JP3740923B2 - 粉末発泡成形用重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末発泡成形用重合体組成物、粉末、発泡体、発泡体の製造方法及び成形体に関するものである。更に詳しくは、本発明はエポキシ基を含有する重合体をポリマー成分として含有し、未架橋物の貯蔵安定性に優れ、短時間での架橋発泡が可能であり、圧縮永久歪みが小さく、また表面肌に優れ、且つ表皮すけがほとんどない発泡体を与えうる重合体組成物、該組成物の粉末、該組成物より得られた発泡体、該発泡体の製造方法及び該発泡体を含む成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のインストルメントパネル、ヘッドレスト、アームレスト、ドアートリム等の内装部品は、従来のハードタイプからソフト化の傾向が著しくなってきている。これらの部品はシボ付き表皮層とクッション層である発泡層とから構成されている。発泡層の材料としては架橋発泡性重合体組成物が使用されるが貯蔵中に架橋が進行して該組成物の性能が変化し、所望の性能を有するものが安定して得られ難い問題がある。また、上記自動車の内装部品の製造においては表皮層と発泡層の一体成型品をパウダースラッシュ成形により作製した後、発泡層の面側に補強層である樹脂をインジェクション成形により貼り付ける後加工工程が必要とされる。このとき、発泡層の面側に高温度と高圧力(100〜280℃の温度と15〜600Kgf/cm2の圧力)が加わるため、発泡層が潰れクッション材としての機能が著しく低下する問題がある。
【0003】
表面肌が平滑で優れ、しかもインジェクション成型時の高温度,高圧力の雰囲気においても耐えられるような圧縮永久歪みが小さい発泡体を安定して得る方法は現在見つかっていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明の目的はエポキシ基を含有する重合体をポリマー成分として含有し、未架橋物の貯蔵安定性が優れ、短時間での架橋発泡が可能であり、圧縮永久歪みが小さく、また表面肌に優れ、且つ表皮すけがほとんどない発泡体を与えうる重合体組成物、該組成物の粉末、該組成物より得られた発泡体、該発泡体の製造方法及び該発泡体を含む成形体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)エポキシ基を含有する重合体、(B)10時間の半減期を得るための温度が100℃以上であるパーオキサイド、(C)四級アンモニウム塩及び四級ホスホニウム塩のうちの少なくとも一種、および(D)熱分解型発泡剤を含有する粉末発泡成形用重合体組成物に係るものである。
また、本発明は上記の重合体組成物からなる粉末、該粉末を架橋発泡させて得られる発泡体及び該発泡体の製造方法に係るものである。
さらに本発明は上記発泡体の発泡層に熱可塑性エラストマー組成物又は塩化ビニール系樹脂組成物の非発泡層を積層して得られた二層成形体、及び該二層成形体の発泡層側に熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性エラストマー組成物の保護層を積層して得られた多層成形体に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、エポキシ基を有する重合体(A)としては架橋点として用いられるエポキシ基を有する重合体であれば特に限定はされず、架橋発泡体を製造するのに用いられているものが使用できる。
【0007】
以下に好ましいエポキシ基を有する重合体(A)について述べると、架橋点として用いられるエポキシ基含有単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体が好ましい。
【0008】
エポキシ基含有単量体の例としてはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル類があげられ、中でもグリシジルメタクリレート及びグリシジルアクリレートが好ましい。
【0009】
エポキシ基含有単量体と共重合可能な単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類等のエポキシ基を有しないビニル単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン類、ブタジェン等のジエン類等をあげることができ、これらの単量体は1種又は2種以上組み合わせてエポキシ基含有単量体との共重合に用いることができる。
【0010】
エポキシ基を有する共重合体(A)の例としては、エチレン−酢酸ビニル−エポキシ基含有単量体共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体)、エチレン−(メタ)アクリレート−エポキシ基含有単量体共重合体(例えばエチレン−メチルアクリレート−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体)、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート−エポキシ基含有単量体共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル−メチルアクリレート−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート−グリシジルアクリレート共重合体)、エチレン−プロピレン−エポキシ基含有単量体共重合体(例えばエチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−グリシジルアクリレート共重合体)、(メタ)アクリレート−アクリロニトリル−エポキシ基含有単量体共重合体(例えば、アクリロニトリル−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体)、エチレン−ブタジエン−エポキシ基含有単量体共重合体(例えばエチレン−ブタジエン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブタジエン−グリシジルアクリレート共重合体)、スチレン−ブタジエン−エポキシ基含有単量体共重合体(例えばスチレン−ブタジエン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン−グリシジルアクリレート共重合体)等があげられる。
【0011】
エポキシ基を有する共重合体(A)は、架橋点であるエポキシ基含有単量体単位を全単量体単位の0.1〜35重量%を含むのが好ましく、より好ましくはエポキシ基含有単量体を0.1〜35重量%(さらに好ましくは1〜30重量%)、エチレン、α−オレフィンまたはジエンを30〜99.8重量%(さらに好ましくは40〜98重量%)及びエポキシ基を有しないビニル単量体を0.1〜35重量%(さらに好ましくは1〜25重量%)、あるいはエポキシ基含有単量体を0.1〜35重量%(さらに好ましくは1〜30重量%)とエポキシ基を有しないビニル単量体65〜99.9重量%(さらに好ましくは70〜99重量%)とを溶液重合、乳化重合、懸濁重合、スラリー重合、または気相重合等の公知の重合方法により共重合して得られる重合体が好ましい。
【0012】
本発明に使用されるパーオキサイド(B)は10時間の半減期を得るための温度が100℃以上であるパーオキサイドである。10時間の半減期を得るための温度が100℃未満であると、未架橋物の貯蔵安定性及び得られる発泡体に表皮すけが現れ、また発泡倍率が上がらないという問題が生ずる。
【0013】
上記パーオキサイド(B)の具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン、tert−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、αα’−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m-イソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−tertブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,2−ジメチル−2,5−ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等があげられる。これらは単独もしくは二種以上を組み合わせて用いてもよい。 中でもαα’−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0014】
該パーオキサイド(B)の配合量はエポキシ基を有する重合体(A)100重量部あたり0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜7重量部である。該パーオキサイド(B)が過少であると架橋密度が低すぎて、発泡体の圧縮永久歪みが大きくなり、一方、該パーオキサイド(B)が過多であると架橋密度が上がりすぎて、圧縮永久歪みは小さくなるものの発泡倍率が上がらない、未架橋組成物の貯蔵安定性が劣る、コストが高くなる等の問題が生じる場合がある。
【0015】
本発明の成分(C)は、四級アンモニウム塩及び四級ホスホニウム塩のうちの少なくとも一種である。
【0016】
四級アンモニウム塩の例としては、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、メチルヘキサデシルジベンジルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルピリジウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルヘキサデシルジベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド等があげられる。
【0017】
四級ホスホニウム塩の例としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルトリメトキシメチルホスホニウムクロライド、トリエチルベンジルホスホニウムクロライド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリオクチルメチルホスホニウムアセテート等があげられる。
【0018】
該成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部あたり0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜7重量部である。成分(C)は単独あるいは2種以上を併用してもよい。なお、成分(C)の量は2種以上併用する場合はその合計量とする。成分(C)が過少であると未架橋物の貯蔵安定性は優れるものの、発泡体の圧縮永久歪みが劣る原因となる場合があり、一方、成分(C)が過多であると発泡体のひび割れが生じる、未架橋物の貯蔵安定性が劣る、コスト高等の原因となる場合がある。
【0019】
本発明において使用される熱分解型発泡剤(D)としては、分解温度が120〜230℃の範囲のものが好ましい。これらの条件を満足する具体例としては、アゾジカルボンアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾジアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3−ジスルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)p−トルエンスルホニルヒドラジド、N,N’−ニトロソペンタメチレンテトラミン、重炭酸ナトリウム等があげられる。中でもアゾジカルボンアミドが好ましく使用される。
【0020】
熱分解型発泡剤(D)の配合量は、エポキシ基を有する重合体(A)100重量部あたり0.1〜20重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜13重量部である。熱分解型発泡剤(D)は単独で使用または複数種を併用してもよい。なお、熱分解型発泡剤(D)の量は二種以上併用する場合はその合計量とする。熱分解型発泡剤(D)が過少であると発泡倍率が低いためクッション材としての柔らかさに問題があり、一方、熱分解型発泡剤(D)が過多であると発泡体の表面肌劣る、発泡体にクラックが入り破損する等の問題が生ずる場合がある。
【0021】
上記の本発明の組成物は粉末発泡成形用途に好適に用いられる。
【0022】
本発明の粉末発泡成形用重合体組成物は、必須成分である上記(A)〜(D)に加えて架橋助剤(E)及び発泡助剤(F)を必要に応じて添加することができる。架橋助剤(E)の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、ニトロベンゼン、p―キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等があげられ、これらは単独で用いられるか、もしくは二種以上を併用して用いてもよい。中でもトリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレートが好ましい。使用量としてはエポキシ基を含有する重合体(A)100重量部当たり0.1〜10重量部が好ましい。発泡助剤の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、尿素系助剤、トリエタノールアミン、亜鉛華、炭酸亜鉛、チタン白、カーボンブラック等があげられる。特に亜鉛華が好ましい。添加量は亜鉛華の場合、エポキシ基を含有する重合体(A)100重量部当たり0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜35重量部であり、その他の発泡助剤は0.1〜10重量部程度が好ましい。亜鉛華を添加した場合、特に高温成型時での表面すけがなく、且つ表面肌が改良された発泡体が得られる。
【0023】
更に通常の樹脂工業界、ゴム工業界等で用いられている補強剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、離型剤等を押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、などの通常の混練機を用いて混合したのち、押出し機によりペレットに造粒する。
【0024】
粉末発泡成形用途に用いられる粉末は、球換算平均粒子径が50〜1200μmであることが好ましく、更に好ましくは100〜900μmである。該粒子径が過小であると粉切れ性が悪化し、得られる発泡体の表面肌が劣る場合があり、一方、該粒子径が過大であると粉末スラッシュ成型時にペレットどうしの熱融着が不十分で得られた発泡体の表面肌が劣る場合がある。なお、球換算平均粒径とは粉末粒子の平均体積を求め、その平均体積と同じ体積の球の直径として算出される粒径であり、ここで粒子の平均体積は不作為に取り出した架橋発泡用粉末粒子100個の合計重量を粒子の個数で除した該粒子の平均重量を該架橋発泡用粉末組成物の密度で除して計算される値である。
【0025】
本発明の粉末を溶融温度以上で分解型発泡剤の分解温度以上に加熱することにより架橋発泡させて発泡体とすることができる。その具体的方法としては粉末スラッシュ成形、回転成形、吹き付け成形、電着成形等の粉末発泡成形が採用できるが、特にコスト及び生産性の観点から粉末スラッシュ発泡成形により架橋発泡させることが好ましい。
【0026】
上記粉末から製造された発泡体は、圧縮永久歪みが小さく、また表面肌に優れ、且つ表皮すけがほとんどない。該発泡体の発泡層に熱可塑性エラストマー組成物又は塩化ビニール系樹脂組成物の非発泡層を積層することにより二層成形体を得ることができる。
【0027】
さらに、上記の二層成形体の発泡層側に熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性エラストマー組成物の保護層を積層することにより多層成形体を得ることができる。
【0028】
また、前記の二層成形体の発泡層側に熱可塑性樹脂組成物の芯材を積層することにより上記とは別の多層成形体を得ることができる。
【0029】
さらに、上記の多層成形体の保護層側に熱可塑性樹脂組成物の芯材層を積層して多層成形体を得ることもできる。
【0030】
また、二層成形体の発泡層側にビーズ発泡又はそれに準ずる型発泡層を形成した後、熱可塑性樹脂組成物の芯材層とを接着して多層成形体を得ることもできる。
【0031】
また、二層成形体と熱可塑性樹脂組成物の芯材層をビーズ発泡層を介して合体させることにより多層成形体を得ることができる。
【0032】
粉末スラッシュ成形法による発泡体は、たとえばその成形面に模様を有していてもよい金型を予熱し、該金型上に本発明の架橋発泡用粉末を供給し、粉末どうしを互いに熱融着させて該成形面上にシート状溶融物を得たのち熱融着しなかった余分の粉末を除去し、その後、更に加熱炉(温度は通常160〜260℃、時間は15秒〜5分)で架橋発泡させた後、加熱炉から取り出し金型を冷却し、冷却された発泡体を金型から脱型することにより得られる。
【0033】
粉末スラッシュ成形法による非発泡の表皮層と発泡層から構成される二層成形体は、たとえばその成形面に複雑な模様を有していてもよい金型を予熱し(温度は通常170〜320℃で表皮用樹脂粉末の融点以上)、該金型の成形面上に上記した表皮層用樹脂粉末を供給し、粉末どうしを互いに熱融着させて該成形面上にシート状溶融物を得たのち熱融着しなかった余分の粉末を除去し、次いでこのシート状溶融物の上に架橋発泡用粉末を供給し、粉末どうしを互いに熱融着させて該成形面上にシート状溶融物を得たのち熱融着しなかった余分の粉末を除去し、その後、更に加熱炉(温度は通常160〜450℃、時間は15秒〜5分)で架橋発泡させた後、加熱炉から取り出し金型を冷却し、冷却された二層成型体を金型から脱型することにより得られる。
【0034】
粉末スラッシュ成形法による多層成形体の製造は、前記二層成型体を得る方法に順じて行われる。すなわち、例えば、非発泡の表皮層と発泡層及び保護層から構成される多層成型体は表皮層の上に架橋発泡用粉末溶融層を形成した後、この面に熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂組成物粉末を供給し、粉末どうしを互いに熱融着させて該成形面上にシート状溶融物を得たのち熱融着しなかった余分の粉末を除去しその後、更に加熱炉(温度は通常160〜260℃、時間は15秒〜5分)で架橋発泡させた後、加熱炉から取り出し金型を冷却し、金型から脱型することにより得られる。
【0035】
本発明の架橋発泡用粉末組成物は未架橋物の貯蔵安定性が優れているので貯蔵中に架橋が進行せず、また、粉末スラッシュ成形法によって、非発泡の表皮層と発泡層から構成される二層成型体を得るのに際し、発泡体の圧縮永久歪みが小さい、表面肌が優れる、表皮すけがほとんどない等の特徴を備えていることから、芯材層を貼り付けた後も、表皮層からの外観が平滑で優れ、しかも良好な感触を保つことが可能である。更に、低温度、短時間の架橋発泡条件下でも十分な性能を備えた発泡体が得られることから、コストの低減と生産性の向上が可能となる。故に自動車、建築、一般工業用等の各種クッション材、具体的には自動車のインストルメントパネル、ヘッドレスト、コンソール、アームレスト、ドアートリム等の用途に広く使用することができる。
【0036】
【実施例】
実施例1
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例は以下の重合体、パーオキサイド、発泡剤、発泡助剤、及び表中に記載の添加剤を使用した。
[エポキシ基含有共重合体](比率はいずれも重量比)
・共重合体−1:エチレン/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=80/2/18 MFR=340g/10分
・共重合体−2:エチレン/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=88/5/7 MFR=20g/10分
[パーオキサイド]
・パーブチルP40:αα'− ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン:10時間半減期を得るための温度119℃
・パーヘキサ25B40:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン:10時間半減期を得るための温度118℃
・パーヘキサ3M40:1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン:10時間半減期を得るための温度90℃なお、実施例、比較例で使用したパーオキサイドはすべて40重量%に希釈した製品を用いた。例えば表中で6重量部の添加の場合は純品に換算すると2.4重量部(6重量部×0.4)となる。
【0037】
[添加剤の記号]
ODTMA−Br:オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド
ODTMA−Cl:オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド
MTPP−Br:メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド
TAIC−M60:日本化成(株)製トリアリルイソシアヌレート
ノーガード445:ユニロイヤル社製 老化防止剤
スミライザーTPS:住友化学工業(株)製 老化防止剤
セルマイクS:三協化成(株)製発泡剤 オキシベンゼンスルホニルヒドラジド
セルマイクC121:三協化成(株)製発泡剤 アゾジカルボンアマイド
【0038】
実施例、比較例は以下のようにして行った。
[混練り]
表1〜3に示す配合物を東洋精機製ラボプラストミル(内容積100ml)に投入し、温度105℃、回転数50rpm、混練り時間5分、チャージ率80%の条件で混練りを行った。
[冷凍粉砕]
上記で得られた混練りコンパウンドを熱いうちに押さえてシート状にした後、鋏にて約5mm四方の賽の目状に切断する。この切断試料を液体窒素に約5分間浸漬したのち、東洋精機製ラボ冷凍粉砕機に供給し、球換算平均粒径350mμの架橋発泡用粉末を得た。
[粉末スラッシュ成型による発泡方法]
150mm四方のシボ付き金型を260℃に予熱したのち、該金型上に表皮層用樹脂粉末を山盛りに供給し、15秒間放置後熱融着しなかった余分の粉末を除去し30秒間保った。次いでこのシート状溶融物の上に上記で得られた架橋発泡用粉末を供給し、20秒間放置後熱融着しなかった余分の架橋発泡用粉末を除去し、ただちに220℃のギアーオーブンで2分間架橋発泡を行った。ギアーオーブンから取り出した金型を水冷して非発泡の表皮層と発泡層から構成される二層成型体を得た。
得られた発泡成形体の評価は以下のようにして行った。
[発泡倍率の測定]
上記二層成形体の表皮層をカッターナイフで剥ぎ取り発泡層のみを試料とし、発泡前後の密度を測定し次式により求めた。それぞれの蜜度は、東洋精機製作所製自動密度計(Densimeter)により測定した。
発泡倍率=発泡前の密度/発泡体の密度
[発泡体の表面肌の評価]
前記粉末スラッシュ成形により得られた二層成形体の発泡体側の表面肌の状態を目視により優劣を判定した。表面肌の凹凸が著しいと補強層を貼合した際、表皮側に凹凸が転写されるので使用不可能と判断した。下記の4段階で評価した。
・表面肌優れ実用的に使用可能−−−−−−−−−−−−−−○
・表面に多少の凹凸がみられるが実用的に使用可能−−−−−○△
・表面に凹凸があり実用的に使用不可能である−−−−−−−△
・表面に凹凸がかなりあり実用的に使用不可能−−−−−−−×
[表皮すけの評価]
前記粉末スラッシュ成形により得られた二層成形体の発泡層と、黒色の表皮層の界面の密着度の尺度として表皮すけを判定したものである。界面に大きな気泡が発生すると、表皮層が極端に薄くなり界面の密着度が劣ることになる。また、表皮層が部分的に薄くなると意匠性に乏しくなり、実用に供さないため、界面はミクロな発泡層であることが好ましい。その方法は、発泡層側を蛍光燈に向け黒色の表皮側から見ると、表皮すけがあると表皮の薄い個所は明るく見えるため、界面の密着度を判定することができる。下記の4段階で評価した。
・表皮すけなく実用的に使用可能−−−−−−−−−−○
・表皮すけが僅かにみられるが実用的に使用可能−−−○△
・表皮すけがあり実用的に使用不可能−−−−−−−−△
・表皮すけが顕著で実用的に使用不可能−−−−−−−×
〔圧縮永久歪みの測定〕
ハンドプレスを用いて発泡体を下記条件で圧縮し永久変形を測定する。
プレス温度:上熱盤が200℃、下熱盤が25℃
圧縮圧力:50Kfg/cm2G
圧縮時間:5秒間
除圧後15分間室温で放置した後測定した発泡体の厚さ・・・L1
圧縮前の発泡体の厚さ・・・・・・・・・・・・・・・・・・L0
(算出方法)
圧縮永久歪み(%)=100−(L1/L0)100
[貯蔵安定性の評価]
架橋発泡用粉末を23℃、40℃、または55℃の恒温槽に載置し、経時的な成形性の変化を調べた。架橋発泡用粉末作成後翌日スラッシュ成形したものをオリジナルとし、この発泡層の表面肌に対し、熱処理した架橋発泡用粉末を用いて成形した発泡層の表面肌の優劣を比較した。貯蔵中に早期架橋して貯蔵安定性が劣るものは、流動性が悪化し、発泡層の表面肌が劣ることになる。
下記の4段階で評価した。
・非常に優れ使用可能−−−−−−−−−−−−−−○
・優れ実用的に使用可能−−−−−−−−−−−−−○△
・表面肌が劣り、実用的に使用不可能−−−−−−−△
・表面肌が顕著に劣り、実用的に使用不可能−−−−×
[セルサイズ]
発泡体の切断断面にスケールルーペ(10倍)をあて、セルのサイズを測った。
・0.5mm未満…ミクロ
・0.5〜1.5mm未満…小
・1.5〜2mm未満…中
・2.5mm以上…大
【0039】
[結果の考察]
本発明の条件を充足するすべての実施例は、すべての評価項目において満足すべき結果を示している。一方、本発明の範囲外の比較例1は10時間の半減期を得るための温度が100℃以下のパーオキサイドを使用しているため発泡体の表面肌、表皮すけ、貯蔵安定性等が劣る。比較例2〜6は四級アンモニウム塩以外のアンモニウム化合物を使用しているため発泡体の圧縮永久歪みが大きく、また表皮すけが現れている。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によりエポキシ基を含有する重合体を一成分として含有し、未架橋組成物の貯蔵安定性が優れ、且つ短時間での架橋発泡が可能であり、また圧縮永久歪みが小さく、表面肌に優れ、且つ表皮すけのほとんどない発泡体を与えうる粉末発泡成形用重合体組成物、該組成物を用いた粉末、発泡体、発泡体の製造方法及び成形体を提供することができる。
Claims (8)
- エポキシ基を含有する重合体(A)、10時間の半減期を得るための温度が100℃以上であるパーオキサイド(B)、四級アンモニウム塩及び四級ホスホニウム塩のうちの少なくとも一種(C)、および熱分解型発泡剤(D)を含む粉末発泡成形用重合体組成物。
- (A)100重量部あたりの(B)、(C)および(D)の配合量がそれぞれ0.1〜10重量部、0.1〜10重量部および0.1〜20重量部である請求項1記載の粉末発泡成形用重合体組成物。
- (A)100重量部あたり0.1〜50重量部の亜鉛華がさらに配合された請求項1記載の粉末発泡成形用重合体組成物。
- 粉末スラッシュ発泡成形用途に用いる請求項1、2または3記載の粉末発泡成形用重合体組成物。
- 請求項1、2または3記載の粉末発泡成形用重合体組成物の粉末。
- 請求項5記載の粉末を架橋発泡させて得られる発泡体。
- 請求項5記載の粉末を架橋発泡させる発泡体の製造方法。
- 請求項6記載の発泡体からなる発泡層に熱可塑性エラストマー組成物又は塩化ビニール系樹脂組成物からなる非発泡層が積層されてなる二層成型体。
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