JP3915516B2 - 架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の化学発泡剤や熱膨張性マイクロカプセルの使用による発泡では不可能であった、微小な発泡セルを均一に生成することが可能な架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物及びそれよりなる粒子に関するものであり、さらに熱可塑性樹脂フィルム、シートや、塗料、印刷インキ等に対する改質添加剤等として好適な架橋発泡粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂の発泡体の製造方法としては、種々の方法が知られており、例えばポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤を混合し成形した後、電離性放射線を照射して架橋させるとともに加熱して発泡させる方法,ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤と発泡剤の分解温度より低い分解温度を有する有機過酸化物を混合して成形した後、これを加熱し有機過酸化物を分解させて架橋し、ついで発泡剤を分解させて発泡させる方法等がある。しかしながら、いずれの方法も自動車用のインストルメンタルパネル、ヘッドレスト、アームレストといった異形で、非常に複雑な形状を持つ用途においては発泡成形体を簡単な成形操作で製造することが困難であった。また、これら成形体は架橋発泡体であるために、真空成形、熱プレス成形等の熱成形により加工することが困難であった。
【0003】
このような課題を解決する方法として、粉末成形法、押出発泡成形法、常圧発泡法を用いた発泡体の成形が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の粉末成形法においては、従来から未発泡のヘッドレスト、アームレスト、インストルメンタルパネル等の自動車内装用の表皮材が製造されているが、用いられている材料は熱可塑性エラストマーが中心であり、このような熱可塑性エラストマーを用いて高倍率の発泡成形体を得ることは困難とされていた。
【0005】
また、発泡剤をあらかじめ練り込んだ高圧法LDPEを用いて発泡成形を行った場合、賦形時のせん断がほとんどかからないため、使用する樹脂の分子量を下げて高流動性を付与する必要があるが、製品強度が低下するという問題があった。
加えて、LDPEは溶融粘度の温度依存性が大きいため、架橋処理を行なわなければ発泡剤から発生するガスを樹脂中に保持することができない、いわゆるガス抜けが生じ、高倍率での発泡が困難であるとともに、シャープなエッジやオーバーハングを有する複雑な形状ができないためにその利用分野が大幅に制限されているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明は、賦形時の圧力およびせん断力がほとんどかからない状態でも高流動性を保ち、発泡体とした際の発泡セルが均一となり表面が均一であり、残留歪みやそりがなくシャープなエッジやオーバーハングを有している複雑な形状をも有する発泡成形体を得ることが可能となる架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物及びそれよりなる架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のオレフィン系樹脂に特定の化合物を配合してなる架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物が、賦形時の圧力およびせん断力がほとんどかからない状態でも高流動性を保ち、かつ発泡倍率が3倍を越え、発泡セルが均一で表面が均一な発泡成形体を与えうるとともに、発泡剤が分解してガスが発生したと同時に架橋が進行することで従来の架橋工程が省略できることを見いだした。さらに、該架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物よりなる特定の重量平均粒子径を有する粒子を粉末成形法に供した際に、得られる発泡成形体は残留歪みやそりがなくシャープなエッジやオーバーハングを有する複雑な形状の高倍率の発泡成形体を製造できること見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、エチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、スルホニルヒドラジド化合物、又は、スルホニルヒドラジド化合物とアゾ化合物の混合物のいずれかを1〜20重量部配合することを特徴とする架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物及びそれよりなる架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子に関するものである。
【0009】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0010】
本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は、エチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、スルホニルヒドラジド化合物、又は、スルホニルヒドラジド化合物とアゾ化合物の混合物のいずれかを1〜20重量部配合してなるものである。
【0011】
本発明におけるエチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂とは、エチレン系不飽和シラン化合物により変性されたオレフィン系樹脂をいい、該エチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂の製造方法としては、例えば1)オレフィン系樹脂を有機過酸化物等のラジカル発生剤の存在下にエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト反応する方法,2)オレフィン類とエチレン性不飽和シラン化合物とをラジカル共重合法等により共重合させる方法等が挙げらる。
【0012】
ここで、オレフィン系樹脂を変性するエチレン系不飽和シラン化合物としては特に制限はなく、エチレン系不飽和シラン化合物の範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えば一般式RSiR’nY3-n (ここで、Rはエチレン性不飽和炭化水素基又はハイドロカーボンオキシ基を示し、R’は炭化水素基を示し、Yは加水分解可能な有機基を示し、nは0〜2の整数である。)で表されるエチレン系不飽和シラン化合物を挙げることができ、Rとしては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル等を挙げることができ、R’としては、例えばメチル、エチル、プロピル、デシル、フェニル等を挙げることができ、Yとしては、例えばメトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ等を挙げることができる。
【0013】
このようなエチレン性不飽和シラン化合物の具体的例示としては、従来公知のシラン架橋し得るものであれば何でも良く、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
【0014】
そして、上記1)に記載の方法により得られるエチレン性不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂を構成するオレフィン系樹脂としては、例えばエチレン,プロピレン,ブテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、該α−オレフィンとエチレン,プロピレン,ブテン−1,3−メチルブテン−1,ペンテン−1,4−メチルペンテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1,デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられ、具体的例示としては、低・中・高密度ポリエチレン等の分岐状エチレン単独重合体又は直鎖状エチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸プロピル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン−アクリル酸オクチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸プロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸オクチル共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂;ブテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1系樹脂等が挙げられる。
【0015】
また、上記2)に記載の方法により得られるエチレン性不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂を構成するオレフィンとしては、例えばエチレン,プロピレン,ブテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンを挙げることができる。
【0016】
また、本発明に用いられるスルホニルヒドラジド化合物、又は、スルホニルヒドラジド化合物とアゾ化合物の混合物は加熱溶融時に分解してガスを発生し、熱分解型発泡剤として作用すると伴に、スホニルヒドラジド化合物が熱分解する際に発生するスルフィン酸がエチレン性不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂の脱水縮合反応を促進するシラノール縮合触媒として作用し架橋を促進するものであり、このため、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は、従来シラノール縮合触媒として使用されてたジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウテート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウテート、酢酸第一錫、2−エチルカプロン酸鉄、カプリル酸第一錫、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸金属塩、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジ−イソプロピルチタネート等の有機金属化合物;エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン等の有機塩基;酢酸、オレイン酸、フタル酸、トルエンスルホン酸等の有機酸;硫酸、塩酸等の無機酸等をあえて用いる必要性はない上に、シリコーンのシラノール間の脱水縮合反応を促進するためにシラノール縮合触媒の溶液に架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物を浸漬・含浸させる工程が不要となるばかりか、水架橋法による架橋処理には、通常、常温〜250℃程度の液状又は蒸気状の水に1分〜1日程度にわたって接触させることが必要であるが、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物では熱分解型発泡剤から大量の水が該発泡剤の分解により生成するためにこの工程も不要となる。
【0017】
このようなスルホニルヒドラジド化合物としては、具体的にはベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルフォニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、パラトルエンスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物を挙げることができる。
【0018】
また、アゾ化合物としては、例えばアゾジカルボンアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物を挙げることが出来る。
【0019】
この中でも本発明においては、その架橋性及び発泡性の効率に極めて優れることから、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、又は、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)とアゾジカルボンアミドの混合物が特に好ましい。
【0020】
本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は、エチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、熱分解型発泡剤としてスルホニルヒドラジド化合物、又は、スルホニルヒドラジド化合物とアゾ化合物の混合物のいずれかを1〜20重量部配合してなるものである。ここで、熱分解型発泡剤が1重量部未満である場合、得られる架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は気泡をほとんど含有していないために発泡体とは言えないものしか得られない。
一方、熱分解型発泡剤が20重量部を越える場合、得られる架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は発泡剤から発生するガスを保持することができず、気泡が粗大化したものとなってしまう。
【0021】
本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物の調整方法としては、特に制限はなくエチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、スルホニルヒドラジド化合物、又は、スルホニルヒドラジド化合物とアゾ化合物の混合物のいずれかを1〜20重量部配合することが可能であればいかなる方法を用いることが可能であり、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等の混合機で混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の溶融混練機で溶融混練する方法等を挙げることができる。
【0022】
また、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物には、加熱発泡を行う際に熱分解型発泡剤の分解温度を低下させる目的で、発泡促進剤及び/又は発泡助剤を配合することもできる。ここで、発泡促進剤又は発泡助剤としては、例えば亜鉛華、硝酸亜鉛、フタル酸鉛、炭酸鉛、三塩化リン酸塩、三塩基性硫酸鉛等の無機塩;亜鉛脂肪酸石鹸、鉛脂肪酸石鹸、カドミウム脂肪酸石鹸等の金属石鹸;ほう酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸等の酸類;尿素、エタノールアミン、グルコース、グリセリン等が挙げられる。
【0023】
一方、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物には、加熱発泡を行う際に熱分解型発泡剤の分解温度を上げる目的で発泡抑制剤を用いることもできる。発泡抑制剤としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の有機酸;ステアロイルクロリド、フタロイルクロリド等のハロゲン化有機酸;ハイドロキノン等の多価アルコール;脂肪酸アミン;アミド;オキシム、イソシアネート等の含有機硫黄化合物;亜リン酸塩化物等のリン酸塩;ジブチルスズマレート、塩化スズ、硫酸スズ等のスズ化合物;その他ヘキサクロロペンタジエン等が挙げられる。
【0024】
また、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は、必要に応じて熱可塑性樹脂に通常用いられる酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤等の添加剤等が配合されてもよい。
【0025】
本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は、 成形加工に供した際の膨張率、膨張力が高くなると伴に、得られる発泡成形品の表面性が良くなることから重量平均粒子径が1〜1000μm、特に10〜300μmである架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子として用いることが好ましい。
【0026】
ここで、架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子の調整方法としては、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物を、例えば化学粉砕法又は機械粉砕法により重量平均粒子径1〜1000μmに粉砕する方法を挙げることができ、その中でも得られる粒子の形状が規則的、かつ、微細なものとなることから化学粉砕法によるものが好ましい。
【0027】
尚、化学粉砕法とは、通常ペレット形状を有している樹脂又は樹脂組成物を良溶媒に加熱溶解した後、攪拌しながら冷却させる方法、或いは、攪拌しながら貧溶媒を加えて沈殿させる方法等により、粒子として析出させる方法である。
【0028】
本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物を化学粉砕法により架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子とする際の良溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができ、貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール類等をそれぞれ挙げることができる。
【0029】
又、機械粉砕法としては、例えばターボミル等の衝撃式粉砕機を挙げることができる。
【0030】
本発明でいう重量平均粒子径とは、例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することが可能である。
【0031】
また、該架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を発泡成形し直径で3倍程度、体積で30倍程度、セル外殻厚みを2μm程度に発泡・膨張させた架橋発泡粒子とすることもできる。該架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子は発泡剤の分解によって生成する水分と触媒成分で架橋が進行するため、粒子に外部から水分を接触する必要がなく生産効率を格段に上げることが可能となる。得られた架橋発泡粒子は、従来軽量化のために一般的に使用されてきた充填材、例えばパーライト、フライアッシュ、シラスバルーン、ガラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバブル、発泡スチレンビーズと同じ用途に使用することが可能である。加えてこれら充填材の問題であったセル殻の破壊が防止でき、軽量化性能を大幅に改良できる。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
以下に実施例により得られた架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物の評価方法を示す。
【0034】
〜発泡成形体の外観評価〜
得られた発泡成形体を目視により観察し、下記のように評価した。
○:厚みのムラがなく、均一に発泡している。
△:厚みのムラが若干あるが、ほぼ均一に発泡している。
×:厚みのムラが大きく、不均一に発泡している。
【0035】
〜発泡成形体セルの状態評価〜
得られた発泡成形体のセル構造を目視により観察し、下記のように評価した。○:セルが均一である。
△:セルがやや不均一である。
×:セルが不均一である。
【0036】
〜発泡倍率〜
得られた発泡成形体の発泡倍率を以下の式により算出した。
発泡倍率=発泡体前組成物の密度/発泡成形体の密度
〜重量平均粒子径の測定〜
得られた架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子の重量平均粒子径をレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、商品名LA−920)を用いて測定した。
【0037】
〜ゲル分率の測定〜
発泡成形体を120℃のキシレン中に24時間浸漬し、得られた残渣重量を、浸漬前の発泡体の発泡体重量で除した値をゲル分率とした。
【0038】
実施例1
エチレン性不飽和シラン化合物変性エチレン系樹脂としてエチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体(三菱化学社製、商品名リンクロンXF800T;ビニルトリメトキシシラン単位の含有量1.5重量%、190℃でのメルトフローレート0.8g/10分、密度0.924g/cm3)100重量部に対して、熱分解型発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(永和化成工業製、商品名ネオセルボンN#5000)5重量部を配合し80℃でトリクロロエチレンに溶解させた後、室温まで冷却し、攪拌下にアセトンを添加し化学粉砕を行い架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を得た。この粒子の99重量%がタイラー標準篩の32メッシュ篩を通過し、その重量平均粒子径は15μmであった。また、密度は0.930g/cm3であった。
【0039】
そして、250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱し、該金型の表面温度が200℃になった時、得られた架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を10秒間ふりかけ、その後、過剰の該粒子を排出した。さらに、該金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、架橋・発泡処理を行い発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の評価結果を表1に示す。
【0040】
実施例2
エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体100重量部に対して、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)5重量部の代わりに、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体100重量部に対して、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を調整し、その評価を行った。該粒子の99重量%がタイラー標準篩の32メッシュ篩を通過し、その重量平均粒子径は20μmであり、また、密度は0.933g/cm3であった。架橋発泡性の評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例3
高密度ポリエチレンをビニルトリメトキシシランでグラフト反応工程に付して得られたエチレン性不飽和シラン化合物変性エチレン系樹脂(三菱化学社製、商品名リンクロンHF700N;ビニルトリメトキシシラン単位の含有量1.6重量%、190℃でのメルトフローレート0.5g/10分、密度0.955g/cm3)100重量部に対して、熱分解型発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(永和化成工業製、商品名ネオセルボンN#5000)5重量部を配合し、80℃でトリクロロエチレンに溶解させた後、室温まで冷却し、攪拌下にアセトンを添加し化学粉砕を行い架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を得た。この粒子の99重量%がタイラー標準篩の32メッシュ篩を通過し、その重量平均粒子径は20μmであった。また、密度は0.960g/cm3であった。
【0042】
そして、250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱し、該金型の表面温度が200℃になった時、得られた架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を10秒間ふりかけ、その後、過剰の該粒子を排出した。さらに、該金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、架橋・発泡処理を行い発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の評価結果を表1に示す。
【0043】
実施例4
エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体100重量部に対して、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)5重量部の代わりに、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体100重量部に対して、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)とアゾジカルボンアミドの混合物(永和化成工業製、商品名スパンセルDS#25)10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を調整し、その評価を行った。該粒子の99重量%がタイラー標準篩の32メッシュ篩を通過し、その重量平均粒子径は20μmであり、また、密度は0.933g/cm3であった。架橋発泡性の評価結果を表1に示す。
【0044】
比較例1
高密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名ニポロンハード4000;190℃でのメルトフローレート5g/10分、密度0.960g/cm3)100重量部に対して、熱分解型発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(永和化成工業製、商品名ネオセルボンN#5000)5重量部を配合し80℃でトリクロロエチレンに溶解させた後、室温まで冷却し、攪拌下にアセトンを添加し化学粉砕を行い発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を得た。この粒子の99重量%がタイラー標準篩の32メッシュ篩を通過し、その重量平均粒子径は20μmであった。また、密度は0.965g/cm3であった。
【0045】
そして、250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱し、該金型の表面温度が200℃になった時、得られた発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を10秒間ふりかけ、その後、過剰の該粒子を排出した。さらに、該金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、発泡処理を行い発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の評価結果を表1に示す。
【0046】
得られた発泡成形体は架橋構造が見られず、そのセル構造が不均一であるとと伴に、発泡倍率が低いものであった。
【0047】
比較例2
エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体100重量部に対して、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)5重量部の代わりに、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体100重量部に対して、アゾジカルボンアミド(永和化成工業製、商品名ビニホールAC#3)10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を調整し、その評価を行った。該粒子の99重量%がタイラー標準篩の32メッシュ篩を通過し、その重量平均粒子径は20μmであり、また、密度は0.933g/cm3であった。発泡性の評価結果を表1に示す。
【0048】
得られた発泡成形体は架橋構造が見られず、その成形外観に厚みムラが大きいものであった。
【0049】
【表1】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物は賦形時のせん断がほとんどない状態でも高流動性を示し、発泡成形に供した際には高い発泡倍率が得られると伴に、発泡セルが均一で表面状態の良好であり、残留歪みやそりがなくシャープなエッジやオーバーハングを持った複雑な形状をした成形体をも得ることができ、各種容器、家電外装材、自動車内装材等に使用可能である。また各種熱可塑性エラストマーとの多層化も可能であり、皮シボ模様付きのドアライナー、インストロメントパネル、アームレスト等の高級感のある自動車内装材にも使用可能である。
Claims (5)
- エチレン系不飽和シラン化合物変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、スルホニルヒドラジド化合物、又は、スルホニルヒドラジド化合物とアゾ化合物の混合物のいずれかを1〜20重量部配合することを特徴とする架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物。
- スルホニルヒドラジド化合物が4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)であり、アゾ化合物がアゾジカルボンアミドであることを特徴とする請求項1に記載の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物よりなり、その重量平均粒子径が1〜1000μmの範囲であることを特徴とする架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物を化学粉砕することを特徴とする請求項3に記載の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子の製造方法。
- 請求項3に記載の架橋発泡性オレフィン系樹脂組成物粒子を発泡成形して得られる架橋発泡粒子。
Priority Applications (1)
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