JP3740777B2 - 受発光素子、光学ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受発光素子、この受発光素子を用いた光学ピックアップ装置及び光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスク、例えばいわゆるピットディスクや光磁気ディスクに対して情報信号を記録再生するための光学ピックアップ装置は、例えば、図21に示すように構成されている。
【0003】
この光学ピックアップ装置1は、半導体レーザ素子2、グレーティング3、ビームスプリッタ4、コリメータレンズ5、対物レンズ6、ウォラストンプリズム7、マルチレンズ8及び光検出器9を備えており、これらの各光学部品が個別にマウントされて構成されている。
【0004】
すなわち、この光学ピックアップ装置1は、上記半導体レーザ素子2から出射される光ビームをグレーティング3を通してビームスプリッタ4に入射し、ビームスプリッタ4で、半導体レーザ素子2から出射された光ビームと光磁気ディスクMOの信号記録面からの反射光束とを分離する。
【0005】
ビームスプリッタ4は、一般に、一対の光学プリズムとこれら一対の光学プリズムの間に蒸着やスパッタリングによって形成された誘電体多層膜とによって構成されている。
【0006】
上記ビームスプリッタ4により分離されて透過した半導体レーザ素子2からの上記誘電体多層膜に対してP偏光成分の光ビームは、コリメータレンズ5に入射され、コリメータレンズ5で平行な光ビームに変換されて上記対物レンズ6に入射される。
【0007】
対物レンズ6は、入射光を光磁気ディスクMOの信号記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ6は、図21中矢印Fで示すフォーカス方向及び図21中矢印Tで示すトラッキング方向に駆動される。
【0008】
光磁気ディスクMOの信号記録面に照射された上記光ビームは、カー効果によって、その偏光面が回転される。
【0009】
光磁気ディスクMOの信号記録面からの反射光束は、再び対物レンズ6及びコリメータレンズ5を介してビームスプリッタ4に入射され、ビームスプリッタ4でその反射率に応じた光量の光ビームが反射分離される。
【0010】
このビームスプリッタ4によって分離された反射光束は、ウォラストンプリズム7に入射され、このウォラストンプリズム7で、複数の光ビームに分割されて、マルチレンズ8に入射される。
【0011】
上記マルチレンズ8に入射された反射光束は、フォーカスエラー検出のための非点収差が発生されるとともに、光検出器9までの反射光束の光路長の延長が図られている。
【0012】
光検出器9は、マルチレンズ8を介してウォラストンプリズム7で複数の光ビームに分割された反射光束を受光するために、その受光面が、複数の受光部から構成されており、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等のエラー信号及び光磁気ディスクMOの読み取り信号の基となる信号を出力する。
【0013】
このように、図21に示した光学ピックアップ装置1は、個別にマウントされた複数の光学部品により、光磁気ディスクMOに書き込まれている記録情報を読み取るようになっており、小型化や高信頼性化が困難であると共に、部品点数が多く、各部品の製造工程,光学ピックアップ装置の組立工程や調整工程が複雑になり、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0014】
これに対して、再生専用の光ディスク、例えば、いわゆる「CD」(Compact Disc)等の再生装置においては、図22に示すような、一体型の受発光素子方式の光学ピックアップ装置が採用されている。
【0015】
この一体型の受発光素子方式の光学ピックアップ装置10は、対物レンズ11、光路折曲用ミラー12,13及び受発光素子14を備えており、受発光素子14から照射された光ビームを光路折曲用ミラー12,13及び対物レンズ11を介して、光ディスク(CD)の信号記録面に収束合焦させる。
【0016】
上記受発光素子14は、図23に示すように構成され、発光素子と受光素子とを一体の光学ブロックとして、半導体パッケージに封入させたものである。
【0017】
受発光素子14は、第1の半導体基板15上に第2の半導体基板16が載置され、この第2の半導体基板16上にレーザダイオードチップ17が搭載されている。
【0018】
レーザダイオードチップ17の前方の第1の半導体基板15上には、レーザダイオードチップ17側に傾斜面(光路分岐面)を有した台形形状のプリズム18が配設されており、この光路分岐面には、ビームスプリッタとしての無偏光半透過膜18aが形成されている。また、プリズム18は、その上面に、全反射膜18bが形成されており、その下面に、無偏光半透過膜18cが形成されている。プリズム18は、レーザダイオードチップ17から出射された光ビームを、その光路分岐面により反射して、光ビームを外部に出射する。
【0019】
この受発光素子14から出射された光ビームは、図22に示すように、光路折曲用ミラー13,12を介して対物レンズ11に入射され、この対物レンズ11により光ディスク(CD)の信号記録面上に収束合焦される。
【0020】
光ディスク(CD)により反射された光ビームは、対物レンズ11及び光路折曲用ミラー12,13を介して受発光素子14のプリズム18内に入射し、プリズム18の底面及び上面で順次に反射されることにより、このプリズム18の底面の二ヶ所で、プリズム18の下方に出射するようになっている。
【0021】
そして、第1の半導体基板15の上面には、プリズム18の底面の二ヶ所から出射した光を受光する位置に、光検出器19a,19bが形成されている。
【0022】
光検出器19a,19bは、図24に示すように、その中央付近において縦方向に平行に延びる三本の分割ラインによって、それぞれ受光部a,b,c,d及び受光部e,f,g,hに4分割されており、光ディスク(CD)で読み取った情報信号を検出する。また、4分割されたセンサ素子のうち、中央よりの二つのセンサ素子による検出信号の差を取ることにより、すなわち、各受光部a、b、c、d、e、f、g、hからの検出信号Sa、Sb、Sc、Sd、Se、Sf、Sg、Shに基づいて、フォーカスエラー信号FCSが、図25にも示すように、
FCS={(Sa+Sd)−(Sb+Sc)}−{(Se+Sh)−(Sf+Sg)}
により、検出される。
【0023】
このように、受発光素子14は、無偏光光学系を用いることにより、小型化、高性能化が実現されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光学ピックアップ装置10においては、光学系として、無偏光光学系が用いられた構成となっていたため、「CD」等の再生専用の光ディスクの再生装置には適用することができるが、光磁気ディスクの記録再生装置の光学ピックアップ装置としては、そのままでは適用することができない。
【0025】
このため、光磁気ディスクの記録再生用の光学ピックアップ装置に適用するには、例えば、図26に示すように、プリズム18とこのプリズム18の下面の無偏光半透過膜18cとの間に、平行平板状の半波長板18dを設けるとともに、ビームスプリッタとしての無偏光半透過膜18cの代わりに、検光子機能を有するPビームスプリッタ(ポラライズド・ビームスプリッタ)18eを用いる等の必要がある。
【0026】
ところが、従来の受発光素子に単に上述のようにビームスプリッタとしてPビームスプリッタを用いると、Pビームスプリッタとなるところに入射する光ビーム線の入射角の中心値が21°程度と小さな角度になり、多層膜によるビームスプリツタを使用することができず、またプリズム18の部品点数が多くなってしまい、製造工程が複雑となり、製造コスト及び組立コストが高くなってしまうという問題があった。
【0027】
本発明は、以上の点に鑑み、光磁気ディスクに適用可能で、小型、軽量、かつ、信頼性の高い受発光素子とこれを利用した光学ピックアップ装置及び光磁気ディスク装置を提供することを目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上述のような目的を達成するため、本発明に係る受発光素子は、第1の半導体基板上に形成された受光素子群と、上記第1の半導体基板上に搭載された第2の半導体基板上に形成された発光素子と、複屈折性材料により形成され、互いに平行な第1及び第2の面を有し、上記第1及び第2の面と斜めに交差するように設けられた光路分岐面を備え、この光路分岐面には上記発光素子から出射された光ビームと光ディスクの信号記録面で反射された光ビームとを分岐する光分岐膜が形成され、さらに、上記第1の半導体基板に対向する第1の面に、半透過膜が形成されたプリズムとを備える。ここで、上記受光素子群は、第1、第2及び第3の受光部を備え、上記第1の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが上記プリズムから上記半透過膜を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを互いにずれながら重なった状態で受光する位置に設けられ、上記第2及び第3の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが、上記プリズムを透過して上記半透過膜により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記半透過膜が形成された第1の面に対向する第2の面により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記プリズムから上記第1の面の上記半透過膜が形成されていない領域を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを完全に分離した状態でそれぞれ独立に受光する位置に設けられている。
【0029】
上記構成によれば、第1の半導体基板上に受光素子が形成され、この第1の半導体基板上に搭載された第2の半導体基板上に発光素子が形成されている。
【0030】
第1の半導体基板上には、プリズムの半透過膜、そして好ましくは反射防止膜、又はS偏光、P偏光の透過率に差をもたせた誘電体多層膜が形成された互いに平行な第1及び第2の面のうちの一方の面である第1の面が載置されている。プリズムは複屈折性材料により形成され、発光素子から出射された光ビームと光ディスクの信号記録面で反射された光ビームとを分離する光分離膜が形成された光路分岐面を備える。この光路分岐面からプリズム内に入射された光ビームは、複屈折性材料により形成されたプリズムにより2群の光ビームに分離されながら半透過膜が形成された第1の面から第1の受光部に入射される。このとき、分離された2群の光ビームは、光スポットとしては互いにずれながら重なった状態で第1の受光部に入射される。
【0031】
これにより、光路分岐面から半透過膜の形成された第1の面に入射する光ビームは、その一部が透過して第1の受光部に入射すると共に、その一部が反射されて、第1の面に対向するこの面と平行な第2の面に入射する。第2の面に入射された光ビームは、複屈折性材料により形成されたプリズムによりさらに分離されながら第2の面側に形成された高反射層等により反射され、再び第1の面側に至り、光スポットとしても完全に分離された状態で第2及び第3の受光部にそれぞれ入射する。
【0032】
光磁気ディスクから反射された光ビームは、複屈折性材料から成るプリズムに入射し進行することにより、複屈折性材料の特性に基づいて、2群の光ビームに分離される。この分離された二つの光ビームが第1の受光部に入射する際には、その分離が僅かであることから、光スポットとしては一つとみなして、第1の受光部のみによって検出され、処理される。そして、プリズムの第1の面側に設けた半透過膜により反射された2つの光ビームは、第2の面で再び反射された後、プリズム内を透過し、プリズム内を進行する光路の長さに伴って、互いの距離が大きく分離され、光スポットとして完全に2つに分離された状態で第2及び第3の受光部に入射し、検出される。
そして、第1の受光部により検出される検出信号と、第2及び第3の受光部の双方から検出される検出信号又は第2及び第3の受光部のいずれか一方で検出される検出信号に基づいてフォーカスエラー信号を得ることができる。
【0033】
また、本発明は、受発光素子と、この受発光素子から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面上に合焦させて照射するとともに光ディスクの信号記録面から反射された光ビームを受発光素子に導入する光学系とを備えた光学ピックアップ装置において、上述した受発光素子を用いたものである。
さらに、本発明は、光ディスクを回転駆動する駆動手段と、回転する光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射し、上記光ディスクの信号記録面から反射された光ビームを上記対物レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップ装置と、上記対物レンズを二軸方向に移動可能に支持する手段と、上記光検出器からの検出信号に基づいて再生信号を生成する信号処理回路と、上記光検出器からの検出信号に基づいて上記対物レンズを二軸方向に移動させるサーボ回路とを備えた光ディスク装置において、この光ディスク装置に用いられる光学ピックアップ装置の受発光素子として上述した受発光素子を用いたものである。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0038】
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0039】
図10は、この発明の実施の形態に係る受発光素子及びこれを利用した光学ピックアップ装置を組み込んだ光ディスク装置の一実施の形態を示している。
【0040】
図10において、光ディスク装置110は、光磁気ディスク(MO)111を回転駆動する駆動手段としてのスピンドルモータ112と、光学ピックアップ装置113と、その駆動手段としての送りモータ114と、光磁気ディスク111に対して情報記録を行うための磁気へッド115とを備えている。
【0041】
ここで、スピンドルモータ112は、システムコントローラ116及びサーボ制御回路118により駆動制御され、所定の回転数で回転される。
【0042】
光磁気ディスク111としては、複数の種類の光ディスクを選択して、それぞれ記録再生できるようになっている。したがって、例えば光磁気ディスクだけでなく、いわゆる「CD」等の再生専用の光ディスクを再生することも可能である。
【0043】
また、光学ピックアップ装置113は、この回転する光磁気ディスク111の信号記録面に対して、光を照射して、信号変復調器及びECC117からの信号に基づいて、記録磁気ヘッド115とともに、信号の記録を行ない、またはこの信号記録面からの反射光束(戻り光)を検出するために、信号変復調器及びECC117に対して反射光束に基づく再生信号を出力する。
【0044】
これにより、信号変復調器及びECC117の信号復調部にて復調された記録信号は、エラーコレクション部を介して誤り訂正され、コンピュータのデータストレージ用であればインターフェイス120を介して、外部コンピュータ等に送出される。これにより、外部コンピュータ等は、光磁気ディスク111に記録された信号を、再生信号として受け取ることができるようになっている。
【0045】
また、光ディスク装置がオーディオ用であれば、D/A、A/D変換器121のD/A変換部でディジタル/アナログ変換され、オーディオ信号を得る。
【0046】
上記光学ピックアップ装置l13には、例えば光磁気ディスク111上の所定の記録トラックまで、移動させるための送りモータ114が接続されている。スピンドルモータ112の制御と、送りモータ114の制御と、光学ピックアップ装置113の対レンズを保持する二軸アクチュエータのフォーカシング方向及びトラッキング方向の制御は、それぞれサーボ制御回路118により行われる。
【0047】
図1は、本発明の受発光素子、光学ピックアップ装置及びフォーカスエラー信号検出方法の好適な実施の形態を示す側面図である。
【0048】
図1において、光学ピックアップ装置20は、受発光素子21と、この受発光素子21から出射される光ビームを、図10のスピンドルモータ112により回転駆動される光磁気ディスクMOの表面に収束させる対物レンズ22と、受発光素子21から出射された光ビームを対物レンズ22に導く2個の光路折曲用ミラー23,24と、を有している。
【0049】
光学ピックアップ装置20は、受発光素子21から出射された光ビームを光路折曲用ミラー23、24を介して対物レンズ21に導き、対物レンズ21により光磁気ディスクMOの信号記録面に収束合焦させる。
【0050】
光磁気ディスクMOの信号記録面で反射された光ビームは、対物レンズ21及び光路折曲用ミラー24、23を介して、受発光素子21に入力される。
【0051】
上記受発光素子21は、図2に示すように、発光素子及び受光素子を一体の光学ブロックとして、半導体パッケージに封入されたものである。
【0052】
すなわち、受発光素子21は、第1の半導体基板25上に先出力用の第2の半導体基板26が載置され、この第2の半導体基板26上に光源となるレーザダイオードチップ27が搭載されている。
【0053】
レーザダイオードチップ27の前方の第1の半導体基板25上には、レーザダイオードチップ27側に略45度の斜面として形成された光路分岐面28aを有するプリズム28が設置されており、この光路分岐面28aには、光分離手段(ビームスプリッタ)としての例えば誘電体多層膜29が形成されている。
【0054】
プリズム28は、例えば一軸性結晶LN(LiNbO3 ),二軸性結晶KTP(KTiOPO4 )または一軸性結晶YVO4等の複屈折性材料から構成されており、図示の場合上面28b及び下面28cが互いに平行に形成されている。一軸性結晶は、三次元方向の屈折率をそれぞれnx,ny,nzとしたとき、
nx=ny<nz
または、
nx<ny=nz
が成立している結晶であり、二軸性結晶は、
nx<ny<nz
となっている結晶である。
【0055】
上記誘電体多層膜(ビームスプリッタ)29は、レーザダイオードチップ27からの光ビームを反射させると共に、光磁気ディスクMOからの反射光束を透過させるように構成される。ここで、誘電体多層膜(ビームスプリッタ)29が、P偏光に対する透過率TpがS偏光に対する透過率Tsより大きく選定されていると、光磁気信号のエンハンス機能を有することになり、光磁気信号のS/N比が向上し、より正確な光磁気信号の検出が行われることになる。
【0056】
そして、光磁気ディスクMOにより反射された反射光束は、カー効果により偏光面が回転された光磁気信号成分を含んでおり、上記誘電体多層膜29を透過してプリズム28の光路分岐面28aからプリズム28内に入射して、このプリズム28の下面28cに達する。このプリズム28の光が入射する下面領域には、半透過膜30が選択的に(第2及び第3の光検出器33,34にかさならないように)形成されていると共に、その下方の第1の半導体基板25の上面部には、受光素子群をなす第1の受光部となる第1の光検出器31が形成されている。
【0057】
また、この半透過膜30により反射され、さらにプリズム28の上面28bで反射された光ビームが、再びプリズム28の底面に達する領域には、図4に示すように、光ビームの透過率を促進するために、後述のように、反射防止膜または誘電体多層膜32が形成されていると共に、その下方の第1の半導体基板25の上面部には、上記受光素子群をなす第2及び第3の受光部となる第2及び第3の光検出器33,34が形成されている。
【0058】
ここで、各光検出器31,33,34は、詳細には、図3に示すように、実質的に発光点であるレーザダイオードチップ27と共役な位置(すなわち、図示の場合、プリズム28の上面で反射される位置、反射光束の集光点)の前後に配設されている。
【0059】
この場合、プリズム28が複屈折性材料から構成されていることから、光ビームがプリズム28内に入射すると、この入射光は二群の光ビームにその光路が分離されることになる。すなわち、プリズム28が一軸性結晶(LN(LiNbO3 )、YVO4)から構成されている場合には、このプリズム28への入射光は、常光及び異常光の二つの光ビームにその光路が分離されることになる。また、プリズム28が二軸性結晶(KTP(KTiOPO4 ))から構成されている場合には、このプリズム28への入射光は、三次元方向の屈折率(nx,ny,nz)のうちの中間の屈折率nyとの屈折率の差の大きい方(nxまたはnz)の方位に分離した二つの光ビームにその光路が分離されることになる。
【0060】
そして、プリズム28の上面で反射された二群の光ビームは、それぞれプリズム28の下面に分離したまま達する。従って、これら二つの光線をそれぞれ受光するように第2及び第3の光検出器33、34が設けられている。
【0061】
尚、第1の光検出器31に入射する光ビームは、その分離が僅がであることから、実質的に一つの光束として処理可能であることから、第1の光検出器31のみが設けられている。
【0062】
ここで、半透過膜30で反射された光ビームは、プリズム28の上面にて、高反射層35により反射される。この高反射層35は、例えば反射率98%程度の誘電体高反射膜から構成されるが、Al(アルミニウム),Ag(銀)等の金属膜や金属板から構成されていてもよい。また、上記プリズム28を構成する複屈折材料の屈折率を高く選定すれば、該プリズムの上面は、全反射面として作用させることが可能になるため、高反射層35は省略することも可能である。
【0063】
ここで、プリズム28は、第1の半導体基板25に対して接着剤により固定されるが、一般に接着剤の屈折率は例えば780nmの近赤外域では約1.5であるので、プリズム28を構成する複屈折性材料と接着剤の屈折率の差が大きい場合には、プリズム28と接着剤との間に、反射防止膜32を設けることが望ましい。
【0064】
さらに、プリズム28内では、誘電体多層膜29、半透過膜31等の特性の角度分布や、プリズム28を構成する複屈折性材料の結晶の固有偏光方向の光束内分布等によって、入射する光ビームの光束内に光量分布が発生してしまう。このような光量分布は、場合によっては、光磁気再生信号に悪影響を及ぼすだけでなく、サーボ信号にも悪影響を与えることになる。このため、上述した光量分布を補正するために、P偏光とS偏光に対する光学特性に差を有する誘電体多層膜32が、プリズム28の下面に設けられていてもよい。
【0065】
また、プリズム28は、図2において、その光路分岐面28aが、プリズム28の互いに平行な面である上面28b(第2の面)から下面28c(第1の面)まで延びている。このため、図5に示すように、レーザダイオードチップ27からの光ビームの一部が、光路分岐面28aに形成された光分離膜である誘電体多層膜29を透過して、迷光として直接に第1の検出器31に入射してしまう場合がある。この場合、第1の光検出器31の検出信号がこの迷光によって変化してしまう。このため、例えば図6に示すように、プリズム28の光路分岐面28aのうち、光磁気ディスクMOからの反射光束が入射する際に、不要な部分29bが面取りされることにより、上述した迷光の第1の光検出器31への入射が排除される。
【0066】
また、上記第1の半導体基板25上には、図11及び図12に示すように、上記レーザダイオードチップ27より見て上記プリズム28の後方側に位置して、光出力検出器36となる受光部が形成されている。この光出力検出器36は、上記レーザダイオードチップ27より発せられ上記プリズム28を透過した光束を受光し、該レーザダイオードチップ27の発光出力を検出する。上記レーザダイオードチップ27の発光出力は、上記光出力検出器36より出力される検出出力に応じて、一定の出力に制御される(いわゆるフロントオートパワーコントロール(FAPC))。
【0067】
上述した各光検出器31,33,34は、それぞれ光磁気ディスクMOの半径方向に関して、分割されている。すなわち、第1の光検出器31は、図7に示すように、四つの分割受光部a,b,c,dに分割され、また第2及び第3の光検出器33,34は、それぞれ両側と中央の三つの分割受光部x,y,xとw,z,wに分割されている。
【0068】
そして、各分割受光部a,b,c,dとx,y,w,zからの検出信号Sa,Sb,Sc,Sd及びSx,Sy,Sw,Szは、それぞれ図示しないアンプにより電流−電圧変換された後、例えば受発光素子21の半導体基板25に形成された図示しない演算回路もしくは、各分割受光部と接続された受発光素子21の外部の演算回路により、以下のようにして、光磁気再生信号(MO信号)、ピット再生信号、フォーカスエラー信号FCS及びトラッキングエラー信号TRKが演算される。
【0069】
すなわち、本発明に係るフォーカスエラー信号検出方法は、以下のようにして、上記演算回路により実行される。
【0070】
すなわち、光磁気再生信号MO・RFは、
MO・RF=(Sx+Sy)−(Sw+Sz)
により得られ、ピット再生信号PIT・RFは、
PIT・RF=(Sa+Sb+Sc+Sd)+(Sx+Sy)+(Sw+Sz)により得られる。
【0071】
尚、ピット再生信号PIT・RFは、(Sa+Sb+Sc+Sd)と、(Sx+Sy)及び(Sw+Sz)とのうち、少なくとも一つから得られる。
【0072】
これに対して、フォーカスエラー信号FCSは、各検出部31,33,34の検出信号(Sa,Sb,Sc,Sd)と、(Sx,Sy)及び(Sw,Sz)のうち、少なくとも一つの検出信号とに基づいて得られる。また、トラッキングエラ一信号TRKは、上記検出信号(Sa,Sb,Sc,Sd)と、(Sx,Sy)及び(Sw,Sz)のうち、何れか一組の検出信号を演算すればよい。
【0073】
ここで、上記フォーカスエラー信号FCSに関しては、プリズム28内で二回反射された反射光束が、二つに分離されていることから、図22及び図23で示した「CD」用の受発光素子14の場合と同じ演算によっては、フォーカスエラー信号が得られない。このため、フォーカスエラー信号FCSは、以下のようにして検出されるようになっている。上記各光検出器31,33,34上における上記反射光束がなすスポットの形状は、図18に示すように、上記対物レンズ22の焦点位置と上記光磁気ディスク111の信号記録面とのずれに応じて変化する。
【0074】
すなわち、第1の検出方法においては、第1の光検出器31に入射する光ビームの分離は僅かであるので、一つの光束として扱うことが可能である。従って、図7に示すように、四つに分割された第1の光検出器31の各分割受光部a,b,c,dからの検出信号Sa,Sb,Sc,Sdと、第2及び第3の光検出器33,34のうち、一方の光検出器33の各分割受光部x,yからの検出信号Sx,Syに基づいて、フォーカスエラー信号FCSは、Gを正の定数としたとき、図8にも示すように、
FCS={(Sb+Sc)−(Sa+Sd)}−G・(Sy−Sx)
により与えられる。ここで、上記第1の光検出器31からの検出信号S1は、
S1=(Sb+Sc)−(Sa+Sd)
であり、上記第2の光検出器33からの検出信号S2は、
S2=Sy−Sx
である。
【0075】
この場合、上記定数Gは、半透過膜30により分配される光量比に基づいて決定される。これにより、従来の「CD」(コンパクト・ディスク)用受発光素子14と同様のフォーカスエラー信号が得られることになる。すなわち、上記定数Gは、上記第1の光検出器31が受光している上記反射光束(反射光束)の強度(Pα)と、上記第2の光検出器33が受光している該反射光束の強度(PI)との比(Pα/PI)によって定められている。すなわち、
G=Pα/PI=(Sb+Sc+Sa+Sd)/(Sy+Sx)
尚、この場合、第3の光検出器34の各分割受光部w,zからの個々の検出信号Sw,Szは、フォーカスエラー信号や他の信号の検出のために利用されないので、第3の光検出器34は、図9に示すように、分割されずに、一つの受光部を有するように構成されていてもよい。
【0076】
上記の検出方法においては、上記プリズム28が複屈折性材料の結晶により形成されているので、上記第1の光検出器31の受光面に形成される入射光のスポットは2本の光束が僅かにずれて重なって形成されていることから、図19に示すように、合焦時の電気的バイアスがフォーカスエラー信号の基準レベルからずれてしまったり、スポット位置がずれたとき等において、合焦時の最適な電気的バイアスがずれてしまうことにより、結果としてデフォーカスしてしまうことがある。
【0077】
すなわち、上記第1の光検出器31からの検出信号S1と上記第2の光検出器33からの検出信号S2とのバランスがとれているときには、図15に示すように、上記フォーカスエラー信号FCSの変化を示すS字カーブ(FCS)は、合焦位置で0となる。ところが、上記各検出信号S1,S2が、上記第1の光検出器31の受光面に2つの光スポットが僅かにずれて重なって形成されていることによって、互いにアンバランスになると、図16に示すように、上記フォーカスエラー信号FCSは、合焦位置において0とならなくなる。
【0078】
このため、第1の光検出器31及び第2の光検出器33の内側分割受光部b,c,yの検出信号Sb,Sc,Syは対して、外側分割受光部a,d,xの検出信号Sa,Sd,Sxにゲインを持たせることにより、上記不具合を除去または抑制することができる。従って、第2の検出方法として、フォーカスエラー信号FCSは、上記ゲインとしての定数K1,K2として、
FCS={(Sb+Sc)−K1・(Sa+Sd)}−G・(Sy−K2・Sx)
により、与えられる。
【0079】
さらに、この光学ピックアップ装置においては、上記演算回路は、上記第2の光検出器33からの検出信号S2に掛かる定数Gを適宜設定された初期値として動作を開始し、後述する対物レンズ駆動機構により上記フォーカスエラー信号FCSに基づくフォーカスサーボ動作が開始された後に、該定数Gを、上記第1の光検出器31受光している上記反射光束の強度Pαと上記第2の光検出器33が受光している該反射光束の強度PIとの比に応じて、
G=Pα/PI=(Sb+Sc+Sa+Sd)/(Sy+Sx)
となるように再設定するものとすることができる。
【0080】
さらに、この光学ピックアップ装置においては、上記フォーカスエラー信号FCSを、
FCS={(Sb+Sc)−K1・(Sa+Sd)}−C・(Sy−K2・Sx)
によって求めることとし、上記第2の光検出器34からの検出信号S2に掛かる定数Cを、上記対物レンズ22がこの対物レンズ22の光軸に直交する方向に移動操作されたとき(視野移動が生じたとき)の、上記第1の光検出器31が受光している上記反射光束の強度Pαの変化ΔPαと上記第2の光検出器34が受光している該反射光束の強度PIの変化ΔPIとの比によって定めることとしてもよい。視野移動が生じたときの上記強度変化ΔPα,ΔPIの比は、図17に示すように、該視野移動に対する上記各検出信号S1,S2の変化を検出することにより求めることができる。
【0081】
したがって、この光学ピックアップ装置においては、上記フォーカスエラー信号FCSを、
FCS={(Sb+Sc)−K1・(Sa+Sd)}−G・C・(Sy−K2・Sx)
により求め、上記第2の光検出器34からの検出信号S2に掛かる定数を、上記第1の光検出器31が受光している上記反射光束の強度(Pα)及び上記第2の光検出器33が受光している該反射光束の強度(PI)との比と、上記視野移動が生じたときの該第1の光検出器31が受光している上記反射光束の強度の変化ΔPαと該第2の光検出器34が受光している該反射光束の強度の変化ΔPIとの比とに応じたものとすることができる。
【0082】
また、上記第2の検出方法をさらに簡略化した第3の検出方法として、フォーカスエラー信号FCSは、K1=K2=0として、
FCS=(Sb+Sc)−G1・Sy
によっても与えられることになる(G1は、上記定数Gと同様の定数)。
【0083】
上述した第1乃至第3の検出方法は、何れも第1の光検出器31及び第2の光検出器33の各分割受光部からの検出信号に基づいて、フォーカスエラー信号を生成する方法であるが、同様にして、第1の光検出器31及び第3の光検出器34の各分割受光部からの検出信号に基づいて、フォーカスエラー信号を生成することも可能である。
【0084】
すなわち、フォーカスエラー信号FCSは、第1の光検出器31の各分割受光部a,b,c,dからの検出信号Sa,Sb,Sc,Sdと、第3の光検出器34の各分割受光部w,zからの検出信号Sw,Szに基づいて、
FCS={(Sb+Sc)−K1・(Sa+Sd)}−G2・(Sz−K3・Sw)
により与えられる。また、この検出方法において、K1=K3=1,K1=K3=0とすることにより、フォーカスエラー信号FCSは、
FCS={(Sb+Sc)−(Sa+Sd)}−G2・(Sz−Sw)
あるいは
FCS=(Sb+Sc)−G2・Sz
により与えられる(G2は、上記定数Gと同様の定数)。
【0085】
さらに、第1の光検出器31と第2の光検出器33,第3の光検出器34の各分割受光部からの検出信号に基づいて、フォーカスエラー信号を生成することも可能である。
【0086】
すなわち、フォーカスエラー信号FCSは、第1の光検出器31の各分割受光部a,b,c,dからの検出信号Sa,Sb,Sc,Sdと、第2の光検出器33の各分割受光部x,yからの検出信号Sx,Sy、そして第3の光検出器34の各分割受光部w,zからの検出信号Sw,Szに基づいて、
FCS={(Sb+Sc)−K1・(Sa+Sd)}−G1・(Sy−K3・Sx)−G2・(Sz−K3・Sw)
により与えられる。また、この検出方法において、Kl=K2=K3=1,Kl=K2=K3=0とすることにより、フォーカスエラー信号FCSは、
FCS={(Sb+Sc)−(Sa+Sd)}−G1・(Sy−Sx)−G2・(Sz−Sw)
あるいは
FCS=(Sb+Sc)−G1・Sy−G2・Sz
により与えられる。
【0087】
本実施の形態による光学ピックアップ装置20は以上のように構成されており、光学ピックアップ装置20においては、受発光素子21のレーザダイオードチップ27から発射された光ビームが、プリズム28の光路分岐面28aに形成された誘電体多層膜29により反射される。この光路分岐面28aでは、誘電体多層膜29によって、光ビームのうち、例えばS偏光成分が多く反射され、光路折曲用ミラー23,24を介して対物レンズ22に入り、この対物レンズ22により光磁気ディスクMOの信号記録面に収束照射される。
【0088】
光磁気ディスクMOの信号記録面からの反射光束である光ビームは、信号記録面にてカー効果により回転され、記録信号を含んだ主としてP偏光となる。このP偏光成分を含んだ反射光束は、対物レンズ22及び光路折曲用ミラー23,24を介して、受発光素子21のプリズム28の光路分岐面28aに入射し、誘電体多層膜(ビームスプリッタ)29を透過する。
【0089】
このビームスプリッタ29を透過する反射光束は、透過、屈折時に固有偏光方向が異なる2群に僅かに分離し、このように分離した光ビームは、半透過膜30に入射して一部が透過すると共に、一部が反射され、プリズム28の上面に導かれる。
【0090】
この2群の光ビームは、プリズム28の上面28bの高反射層35により、高い反射率にて反射され、それぞれプリズム28の底面に達して、好ましくはプリズム28の底面から反射防止膜または偏光依存性ビームスプリッタ32を介して、光検出器33,34に入射する。
【0091】
このようにして、光検出器31,33及び光検出器34は、各分割受光部a,b,c,d,x,y,w,zが、それぞれ入射する光ビームの入射光量に基づいて、検出信号Sa,Sb,Sc,Sd,Sx,Sy,Sw及びSzを出力する。そして、これらの検出信号がアンプにより増幅され、更に演算回路によってそれぞれ・加減算処理が行われて、上述のように、光磁気再生信号MO信号,ピット再生信号PITとフォーカスエラー信号FCS及びトラッキングエラー信号TRKが得られる。
【0092】
上記対物レンズ22は、図11に示すように、上記フォーカスエラー信号FCS及び上記トラッキングエラー信号TRKに基づいてこの対物レンズ22をこの対物レンズ22の光軸方向及びこの光軸に直交する上記光磁気ディスク111の径方向に移動操作する対物レンズ駆動機構(二軸アクチュエータ)37により支持されている。
【0093】
この対物レンズ駆動機構37は、アクチュエータベース41を有して構成されている。このアクチュエータベース41は、略々平板状に形成されている。このアクチュエータベース41は、上記受発光素子20を収納したケース50上に固定して配設してもよい。このアクチュエータベース41の一端側には、支持壁部42が設けられている。この支持壁部42には、弾性支持部材43の基端側が固定されている。この弾性支持部材43は、金属材料や合成樹脂材料からなる板バネの如き部材であり、弾性変位により、先端側を移動可能としている。この弾性支持部材43の先端側には、レンズホルダ38が取付けられている。
【0094】
上記レンズホルダ38は、上記弾性支持部材43の変位により、移動可能となされている。このレンズホルダ38には、上記対物レンズ22が両面部を外方側に臨ませた状態で取付けられている。上記アクチュエータベース41の上記対物レンズ22に対向する部分には、この対物レンズ22に入射される光束が通過するための透孔49が設けられている。
【0095】
この対物レンズ駆動機構37は、上記ケース50の上面部に上記アクチュエータベース41の底面部を接合させて配設されている。上記対物レンズ22は、上記第1の半導体基板25の上方側において支持され、光磁気ディスク111の信号記録面に対向される。上記対物レンズ22は、入射された光束を、上記光磁気ディスク111の信号記録面上に集光させる。
【0096】
そして、上記レンズホルダ38には、フォーカスコイル39及びトラッキングコイル40が取付けられている。上記アクチュエータベース41上には、上記フォーカスコイル39及びトラッキングコイル40に対向して、それぞれマグネット45,47が取付けられた一対のヨーク44,46が立設されている。これらマグネット45,47及びヨーク44,46は、上記各コイル39,40を、発生する磁界中に位置させている。
【0097】
この対物レンズ駆動機構37においては、上記フォーカスコイル39にフォーカス駆動電流が供給されると、このフォーカスコイル39が上記マグネット45,47の発する磁界より力を受け、図11及び図12中矢印Fで示すように、上記レンズホルダ38を上記対物レンズ22の光軸方向、すなわち、フォーカス方向に移動操作する。上記フォーカス駆動電流が上記フォーカスエラー信号FCSに基づいて供給されることにより、上記フォーカスサーボ動作が実行される。また、この対物レンズ駆動機構37においては、上記トラッキングコイル40にトラッキング駆動電流が供給されると、このトラッキングコイル40が上記マグネット45,47の発する磁界より力を受け、図11及び図12中矢印Tで示すように、上記レンズホルダ38を上記対物レンズ22の光軸に直交する方向であって上記光磁気ディスク111の径方向、すなわち、トラッキング方向に移動操作する。上記トラッキング駆動電流が上記トラッキングエラー信号TRKに基づいて供給されることにより、上記トラッキングサーボ動作が実行される。上記トラッキング方向は、光磁気ディスク111上において上記光束が集光されて形成されるビームスポットの記録トラックに沿う方向の径を小さくするために、上記レーザダイオードチップ27における平行発散角θ//の方向となされている。
【0098】
上述のように、本実施の形態の受発光素子21及びこれを用いた光学ピックアップ装置20によれば、プリズム28が複屈折性材料から一体に形成されていることにより、光磁気ディスクMOからの反射光束がプリズム28内に入射して分離されると共に、その底面に形成された半透過膜31により反射された光ビームが、プリズム28の上面に形成した高反射層35により反射され、再びプリズム28の底面に導かれて、第2及び第3の光検出器に入射することになる。
【0099】
従って、第1の光検出器31と第2の光検出器33及び/または第3の光検出器34からの検出信号に基づいて、第2の光検出器33及び/または第3の光検出器34からの検出信号にゲインを持たせることによって、フォーカスエラー信号のオフセットが除去されるので、フォーカスエラー信号の検出精度が向上して、安定したフォーカスサーボが行われることになる。
【0100】
さらに、上記受発光素子21は、図9に示した従来の「CD」(コンパクト・ディスク)用受発光素子14と比較して、プリズム28の構成材料を複屈折性材料に変更すると共に、第1の半導体基板25上に形成される光検出器31,33,34のパターンを変更するだけで、容易に構成される。従って、受発光素子21及び光学ピックアップ装置20の製造設備は、従来の「CD」用のものと共通化することが可能であり、コストが低減されることになる。
【0101】
また、本発明に係る光学ピックアップ装置は、図13に示すように、上記受発光素子を用いずに構成してもよい。すなわち、この光学ピックアップ装置は、光源となるレーザダイオードチップ27を有している。このレーザダイオードチップ27は、封入缶51内に収納され、図示しない光学ブロック部内に固定して配設されている。上記封入缶51の前面部には、上記レーザダイオードチップ27より発せられた光束(レーザ光束)が射出されるための、ガラスの如き透明材料により閉蓋された開口部が設けられている。
【0102】
上記レーザダイオードチップ27より発せられる光束は、発散光束であって、断面形状が楕円形となっている。そして、この光学ピックアップ装置は、上記レーザダイオードチップ27から発せられた光束が入射され、この光束を上記光磁気ディスク111の信号記録面111a上に集光させる対物レンズ22を有している。すなわち、上記レーザダイオードチップ27より発せられた光束は、上記光学ブロック部内に配設されたグレーティング(回折格子)52、光束分岐手段となるビームスプリッタ53及びコリメータレンズ54を透過して、該光学ブロック部の上方側に配設された上記対物レンズ22に導かれる。上記グレーティング52は、入射光束を0次光及び±1次光に分岐させることにより、後述するトラッキングエラー信号の検出を可能とするものである。
【0103】
そして、この光学ピックアップ装置においては、上記信号記録面111aに照射された光束の該信号記録面111aによる反射光を上記光学ブロック部内に配設された第1及び第2の光検出器58,59によって検出することにより、上記光磁気ディスク111の信号記録層111aに記録された情報信号の読み出しと、上記光束の該信号記録面上への集光を維持するためのエラー信号、すなわち、上記フォーカスエラー信号FCS及びトラッキングエラー信号TRKの検出とが行われる。
【0104】
すなわち、上記反射光は、上記対物レンズ22及び上記コリメータレンズ54を経て、上記ビームスプリッタ53に戻る。この反射光束は、上記信号記録面上に記録された情報信号に応じて、強度を変調されている。この反射光束は、上記ビームスプリッタ53の反射面により反射されて、第2のビームスプリッタ(ハーフミラープリズム)57により分岐されて、上記各光検出器58,59に入射される。
【0105】
以下、本発明に関係するフォーカスエラー信号検出方法に注目して説明する。上記第1の光検出器58は、図14に示すように、上記反射光束の集光点の前方側において、この反射光束を受光する。また、上記第2の光検出器59は、図14に示すように、上記反射光束の集光点の後方側において、この反射光束を受光する。これら光検出器58,59の受光部は、図14に示すように、それぞれ内側の分割受光部A1,B1と、外側の分割受光部A2,B2とから構成されている。上記対物レンズ22を介して射出される光束が上記信号記録面111a上に集光されているとき(合焦状態)においては、上記各光検出器58,59の受光部上において上記反射光束が形成する光スポットは、互いに略々同一の大きさとなっており、それぞれ上記内側の分割受光部A1,B1上に形成されている。
【0106】
上記フォーカスエラー信号FCSは、上記光束の集光点と上記信号記録面111aとの、上記対物レンズ22の光軸方向についての距離を示す信号である。この光学ピックアップ装置においては、上記フォーカスエラー信号FCSが0となるように、図13中矢印Fで示すように、上記対物レンズ22のこの対物レンズ22の光軸方向への移動操作、すなわち、フォーカスサーボ動作が行われる。
【0107】
上記トラッキングエラー信号TRKは、上記光束の集光点と上記記録トラックとの、この記録トラックの接線及び上記対物レンズ22の光軸に直交する方向、すなわち、光ディスク111の径方向についての距離を示す信号である。上記光学ピックアップ装置においては、上記トラッキングエラー信号TRKが0となるように、図13中矢印Tで示すように、上記記録トラックの接線方向及び上記対物レンズ22の光軸に直交する方向への該対物レンズ22の移動操作、すなわち、トラッキングサーボ動作が行われる(なお、図13においては、上記対物レンズ駆動機構37の構成を図示するために、この対物レンズ駆動機構37のみを上記対物レンズ22の光軸回りに90°回転させた状態で図示している)。
【0108】
上記フォーカスサーボ動作及びトラッキングサーボ動作は、上記対物レンズ22を移動操作可能に支持する上述した対物レンズ駆動機構(2軸アクチュエータ)37において行われる。
【0109】
そして、この光学ピックアップ装置においては、上記レーザダイオードチップ27より発せられて上記ビームスプリッタ53に入射された光束(すなわち、上記対物レンズ22に入射される前の光束)の一部は、このビームスプリッタ53の反射面において反射され、上記コリメータレンズ54に入射されることなく、光出力検出器(FAPC−PD)55に入射されて受光される。この光出力検出器55は、上記レーザダイオードチップ27の発光出力をモニタしてこのレーザダイオードチップ27の発光出力を制御する、いわゆるオート・パワー・コントロール(APC)に使用される光検出出力を得るためのものである。なお、このように、光出力検出器55を半導体レーザ1の外部に設けてオート・パワー・コントロールを行う方式を、フロント・オート・パワー・コントロール(FAPC)という。
【0110】
上記光出力検出器55は、フォトダイオードの如き受光素子からなり、受光した光の強度に応じた検出出力を出力する。したがって、この光学ピックアップ装置においては、上記光出力検出器55から出力される検出出力に基づいて、制御回路を介して、上記レーザダイオードチップ27の発光出力の制御を行う。
【0111】
この光学ピックアップ装置において、上記フォーカスエラー信号FCSは、上記分割受光部A1より出力される光検出信号をSa1、上記分割受光部A2より出力される光検出信号をSa2、上記分割受光部B1より出力される光検出信号をSb1、上記分割受光部B2より出力される光検出信号をSb2としたとき、
FCS=(Sa1−Sa2)−(Sb1−Sb2)
により求められる。さらに、上述したように、
FCS=(Sa1−K1・Sa2)−(Sb1−K2・Sb2)
FCS=(Sa1−K1・Sa2)−G・(Sb1−K2・Sb2)
FCS=(Sa1−K1・Sa2)−G・C・(Sb1−K2・Sb2)
のように、上記ゲインK1,K2及び上記定数G、Cを用いることにより、オフセットのない正確なフォーカスエラー信号FCSを求めることができる。
【0112】
さらに、本発明に係る光学ピックアップ装置は、図20に示すように、上記ビームスプリッタや対物レンズとして機能するホログラムレンズ60を用いて構成することができる。この光学ピックアップ装置においては、上記レーザダイオードチップ27、上記第1及び第2の光検出器58,59は、半導体基板25上に形成されている。上記レーザダイオードチップ27は、上記半導体基板25の主面部に対する垂直上方に光束を発する。上記ホログラムレンズ60は、上記半導体基板25の上方に配設されている。
【0113】
この光学ピックアップ装置においては、上記レーザダイオードチップ27より発せられた光束は、上記ホログラムレンズ60に入射され、このホログラムレンズ60により、光ディスク111の信号記録面111a上に集光される。この信号記録面111aにより反射された反射光束は、上記ホログラムレンズ60に戻り、このホログラムレンズ60により、上記第1及び第2の光検出器58,59の受光面上に照射される。このとき、これら第1及び第2の光検出器58,59の受光面上には、図14に示すように、上記反射光束の集光点の前方側に相当する反射光束と、該反射光束の集光点の後方側に相当する反射光束とが照射される。
【0114】
これら光検出器58,59の受光部は、図14に示すように、それぞれ内側の分割受光部A1,B1と、外側の分割受光部A2,B2とから構成されている。上記ホログラムレンズ60を介して射出される光束が上記信号記録面111a上に集光されているとき(合焦状態)においては、上記各光検出器58,59の受光部上において上記反射光束が形成する光スポットは、互いに略々同一の大きさとなっており、それぞれ上記内側の分割受光部A1,B1上に形成されている。
【0115】
この光学ピックアップ装置においても、上記フォーカスエラー信号FCSは、上記分割受光部A1より出力される光検出信号をSa1、上記分割受光部A2より出力される光検出信号をSa2、上記分割受光部B1より出力される光検出信号をSb1、上記分割受光部B2より出力される光検出信号をSb2としたとき、FCS=(Sa1−Sa2)−(Sb1−Sb2)
により求められる。さらに、上述したように、
FCS=(Sa1−K1・Sa2)−(Sb1−K2・Sb2)
FCS=(Sa1−K1・Sa2)−G・(Sb1−K2・Sb2)
FCS=(Sa1−K1・Sa2)−G・C・(Sb1−K2・Sb2)
のように、上記ゲインK1,K2及び上記定数G、Cを用いることにより、オフセットのない正確なフォーカスエラー信号FCSを求めることができる。
【0116】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、光磁気ディスクの記録再生に用いられ、小型で、軽量であり、信頼性の高い受発光素子、光学ピックアップ装置及び光ディスク装置を提供することができる。、
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による受発光素子の一実施の形態を組み込んだ光学ピックアップ装置の構成を示す側面図である。
【図2】上記受発光素子の側面図及び平面図である。
【図3】上記受発光素子における発光点と光検出器の共役関係を示す側面図である。
【図4】上記受発光素子におけるプリズムの構成を示す側面図である。
【図5】上記受発光素子におけるプリズム内の迷光を示す側面図である。
【図6】上記受発光素子におけるプリズムの変形例での迷光を示す側面図である。
【図7】上記受発光素子の光検出器の構成を示す側面図及び平面図である。
【図8】上記受発光素子を用いた光学ピックアップ装置によるフォーカスエラー検出の様子を示す信号波形図である。
【図9】上記受発光素子の光検出器の他の構成を示す側面図及び平面図である。
【図10】上記受発光素子を利用した光ディスク装置の全体構成を示すブロック図である。
【図11】上記光学ピックアップ装置の対物レンズ駆動機構の構成を示す縦断面図である。
【図12】上記光学ピックアップ装置における受発光素子と対物レンズ駆動機構との位置関係を示す平面図である。
【図13】本発明に係る光学ピックアップ装置の構成の他の例を示す縦断面図である。
【図14】上記図13に示した光学ピックアップ装置における光検出器の受光部の構成を示す正面図である。
【図15】上記光学ピックアップ装置において得られるフォーカスエラー信号のデフォーカス量に対する変化を示すグラフである。
【図16】上記光学ピックアップ装置においてオフセットが含まれているフォーカスエラー信号のデフォーカス量に対する変化を示すグラフである。
【図17】上記光学ピックアップ装置における視野移動に対する検出信号のレベルの変化を示すグラフである。
【図18】上記光学ピックアップ装置においてデフォーカス量に対する光検出器上のスポット形状の変化を示す平面図である。
【図19】基準レベルからのずれを有するフォーカスエラー信号の時間の経過に対する変化を示すグラフである。
【図20】ホログラムレンズを用いて構成した本発明に係る光学ピックアップ装置の構成を示す縦断面図である。
【図21】従来の光磁気ディスクの光学ピックアップ装置の構成を示す縦断面図である。
【図22】従来のCD用の光学ピックアップの構成を示す側面図である。
【図23】図22に示した光学ピックアップ装置における受発光素子の拡大縦断面図である。
【図24】図22に示した光学ピックアップ装置における受発光素子における受光素子の平面図である。
【図25】図24に示した受光素子に基づいたフォーカスエラー信号の波形を示すグラフである。
【図26】図22に示した受発光素子の変形例を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
20 光学ピックアップ装置、21 受発光素子、22 対物レンズ、23,24 光路折曲用ミラー、25 第1の半導体基板、26 第2の半導体基板、27 レーザダイオードチップ、28 プリズム、28a 光路分岐面、29 誘電体多層膜、30 半透過膜、3I 第1の光検出器、32 反射防止膜または偏光依存性ビームスプリッタ、33 第2の光検出器、34 第3の光検出器、35 高反射層
Claims (9)
- 第1の半導体基板上に形成された受光素子群と、
上記第1の半導体基板上に搭載された第2の半導体基板上に形成された発光素子と、
複屈折性材料により形成され、互いに平行な第1及び第2の面を有し、上記第1及び第2の面と斜めに交差するように設けられた光路分岐面を備え、この光路分岐面には上記発光素子から出射された光ビームと光ディスクの信号記録面で反射された光ビームとを分岐する光分岐膜が形成され、さらに、上記第1の半導体基板に対向する第1の面に、半透過膜が形成されたプリズムとを備え、
上記受光素子群は、第1、第2及び第3の受光部を備え、
上記第1の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが上記プリズムから上記半透過膜を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを互いにずれながら重なった状態で受光する位置に設けられ、
上記第2及び第3の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが、上記プリズムを透過して上記半透過膜により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記半透過膜が形成された第1の面に対向する第2の面により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記プリズムから上記第1の面の上記半透過膜が形成されていない領域を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを完全に分離した状態でそれぞれ独立に受光する位置に設けられていることを特徴とする受発光素子。 - 上記第1の受光部からの検出信号と、上記第2の受光部及び/又は第3の受光部からの検出信号とに基づいて、フォーカスエラー信号を得る構成としたことを特徴とする請求項1記載の受発光素子。
- 上記第2及び第3の受光部からの検出信号に基づいて、光磁気信号を得る構成としたことを特徴とする請求項2記載の受発光素子。
- 上記第1の受光部からの検出信号と、第2の受光部及び/又は第3の受光部からの検出信号の定数倍の信号との差信号により、フォーカスエラー信号を得る構成としたことを特徴とする請求項2記載の受発光素子。
- 上記第1の受光部からの検出信号の定数倍の信号と、第2の受光部及び/又は第3の受光部からの検出信号との差信号により、フォーカスエラー信号を得る構成としたことを特徴とする請求項2記載の受発光素子。
- 上記各受光部が、それぞれ内側受光部と外側受光部とに分割され、各受光部からの検出信号として、それぞれ内側受光部からの検出信号から外側受光部からの検出信号の定数倍の信号を引いた差信号が用いられることを特徴とする請求項2記載の受発光素子。
- 上記プリズムは、複屈折性材料として、一軸性結晶LiNbO3、二軸性結晶KTiOPO4、又は、一軸性結晶YVO4から形成されていることを特徴とする請求項1記載の受発光素子。
- 受発光素子と、
上記受発光素子から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面上に合焦させて照射するとともに上記光ディスクの信号記録面から反射された光ビームを上記受発光素子に導入する光学系とを備えた光学ピックアップ装置であって、
上記受発光素子は、
第1の半導体基板上に形成された受光素子群と、
上記第1の半導体基板上に搭載された第2の半導体基板上に形成された発光素子と、
複屈折性材料により形成され、互いに平行な第1及び第2の面を有し、上記第1及び第2の面と斜めに交差するように設けられた光路分岐面を備え、この光路分岐面には上記発光素子から出射された光ビームと光ディスクの信号記録面で反射された光ビームとを分岐する光分岐膜が形成され、さらに、上記第1の半導体基板に対向する第1の面に、半透過膜が形成されたプリズムとを備え、
上記受光素子群は、第1、第2及び第3の受光部を備え、
上記第1の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが上記プリズムから上記半透過膜を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを互いにずれながら重なった状態で受光する位置に設けられ、
上記第2及び第3の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが、上記プリズムを透過して上記半透過膜により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記半透過膜が形成された第1の面に対向する第2の面により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記プリズムから上記第1の面の上記半透過膜が形成されていない領域を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを完全に分離した状態でそれぞれ独立に受光する位置に設けられていることを特徴とする光学ピックアップ装置 - 光ディスクを回転駆動する駆動手段と、
回転する光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射し、上記光ディスクの信号記録面から反射された光ビームを上記対物レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップ装置と、
上記対物レンズを二軸方向に移動可能に支持する手段と、
上記光検出器からの検出信号に基づいて再生信号を生成する信号処理回路と、
上記光検出器からの検出信号に基づいて上記対物レンズを二軸方向に移動させるサーボ回路とを備えた光ディスク装置において、
上記光学ピックアップ装置は、受発光素子と、この受発光素子から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面上に合焦させて照射するとともに上記光ディスクの信号記録面から反射された光ビームを上記受発光素子に導入する光学系とを備え、
上記受発光素子は、
第1の半導体基板上に形成された受光素子群と、
上記第1の半導体基板上に搭載された第2の半導体基板上に形成された発光素子と、
複屈折性材料により形成され、互いに平行な第1及び第2の面を有し、上記第1及び第2の面と斜めに交差するように設けられた光路分岐面を備え、この光路分岐面には上記発光素子から出射された光ビームと光ディスクの信号記録面で反射された光ビームとを分岐する光分岐膜が形成され、さらに、上記第1の半導体基板に対向する第1の面に、半透過膜が形成されたプリズムとを備え、
上記受光素子群は、第1、第2及び第3の受光部を備え、
上記第1の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが上記プリズムから上記半透過膜を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを互いにずれながら重なった状態で受光する位置に設けられ、
上記第2及び第3の受光部は、上記光路分岐面から上記プリズムに入射する際に2群に分離された光ビームが、上記プリズムを透過して上記半透過膜により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記半透過膜が形成された第1の面に対向する第2の面により反射され、再び上記プリズムを透過し、上記プリズムから上記第1の面の上記半透過膜が形成されていない領域を透過した位置であって、上記2群に分離された光ビームのそれぞれの群により形成される光スポットを完全に分離した状態でそれぞれ独立に受光する位置に設けられていることを特徴とする光ディスク装置。
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-
1997
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