JP3740642B2 - グラフト化基材の製造方法およびその装置 - Google Patents

グラフト化基材の製造方法およびその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3740642B2
JP3740642B2 JP2003293283A JP2003293283A JP3740642B2 JP 3740642 B2 JP3740642 B2 JP 3740642B2 JP 2003293283 A JP2003293283 A JP 2003293283A JP 2003293283 A JP2003293283 A JP 2003293283A JP 3740642 B2 JP3740642 B2 JP 3740642B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base material
film
polymerizable compound
substrate
radical polymerizable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003293283A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005060555A (ja
Inventor
孝司 宮崎
裕治 青柳
進 勝圓
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fukui Prefecture
Original Assignee
Fukui Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fukui Prefecture filed Critical Fukui Prefecture
Priority to JP2003293283A priority Critical patent/JP3740642B2/ja
Publication of JP2005060555A publication Critical patent/JP2005060555A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3740642B2 publication Critical patent/JP3740642B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Description

本発明は,繊維布帛,紙やフィルムなどシート状または繊維状基材に,親水性,撥水性,吸放湿性,制電防止性,接着性,抗菌性等の耐久性ある機能を効率的に付与するためのグラフト化基材の製造方法およびその装置に関する。
繊維布帛,紙やフィルムなどシート状または繊維状基材に,風合い改善,吸湿性,吸水性,撥水性,物質吸着能そして異種材料との接着性改善などの恒久的な機能性を付与する手段として,グラフト重合法は有用な方法である。これまで,知られている主なグラフト重合法は過酸化物などの熱重合性の開始剤を用いるケミカルグラフト重合法,低温プラズマを用いるグラフト重合法,光開始グラフト重合法そして放射線グラフト重合法がある。 ケミカルグラフト重合法では,重合開始剤とラジカル重合性化合物を同時に溶解した処理液に基材を浸漬して加熱処理するため,浴中に遊離した開始剤により,ホモポリマーが多く生成し,洗浄工程での負荷が大きくなる,また,グラフト効率がよくないという問題があった。低温プラズマを用いるグラフト重合法では真空装置内にて基材を活性化する必要があり,シート状,繊維状の基材を連続処理するという点では装置が大型化するという問題がある。
光開始グラフト重合法はラジカル重合性化合物と光増感剤とを含有する溶液を高分子素材に含浸させた後,前記素材に紫外線を照射することで重合反応が起こる。しかし,紫外線による活性化は材料表面のみに起こる現象で,より深い材料内部までの改質は困難である。また,光増感剤を使用することから,グラフト化物には不純物としての光増感剤が残存することとなる。
放射線グラフト重合法に関し,現在,工業的に使用可能な放射線はガンマ線か電子線である。ガンマ線は放射性廃棄物が生成し,その処理が問題となる。さらに施設が非常に大規模となり,処理コストが大きく,実用的でない。一方,電子線はタイヤ工業,電線工業などで多く使用されており,とくに,近年,300kV以下の低エネルギー電子線照射装置が開発され,照射装置のイニシャルコストが低下しているという長所がある。
非特許文献1に記載されている前照射法と言われる放射線グラフト重合法がある。これは酸素濃度の低い雰囲気で,先ず材料に電子線などの放射線を照射することで,材料内にポリマーラジカルなどの活性種を作り,その後,酸素を除去したラジカル重合性化合物溶液に浸漬することにより,材料に生成した活性種にラジカル重合性化合物がグラフト重合する方法である。しかし,この方法では放射線照射された材料を長時間,空気中に放置すると,生成した活性種が減衰するため,不活性雰囲気で保存するか,直ちにラジカル重合性化合物溶液に浸漬する必要がある。次に,後重合を促進するため,ラジカル重合性化合物溶液槽に長時間浸漬するか,または,ラジカル重合性化合物溶液を付与された材料は窒素雰囲気の槽内において一定温度で後重合する方法が取られる。いずれの方法においても,ラジカル重合性化合物溶液中の溶存酸素を除去するため,あるいは空気雰囲気の酸素を除去するため,多量の窒素ガスを消費する問題があった。さらに,材料上のラジカル重合性化合物の局部的な蒸散などにより,製品のグラフト率の局在化で,不均一な製品となることが問題となる。
特許文献1には大気開放下において沸騰することにより溶存酸素を除去せしめられた重合性モノマーを放射線照射された幹ポリマーに接触させることを特徴とするグラフト共重合体の製造方法が示されている。しかし,重合性モノマーを沸騰するほど加熱すると,熱重合し,モノマーではなく,2量体以上の重合性化合物が生成し,十分なグラフト重合ができないという問題がある。
また,特許文献2の実施例では,電子線照射後,幅10cm*長さ11cmのポリプロピレン性布帛を500mlのモノマー溶液に60℃で30分浸漬しているが,基材重量当たりのモノマー溶液量が多い。このとき,モノマー溶液は常に酸素を除去するため,多量の窒素ガス等を使用する必要がある。また,このように長時間モノマー溶液に浸漬する方法では,モノマー組成の経時変化が起こり,グラフト率の不均一が生じる。
Y. Tabata, Y. Ito and S. Tagawa,"CRC Handbook of Radiation Chemistry", Boston, p.721 (1991) 特開昭57−145112号公報 特開平7−138391号公報
非特許文献1や特許文献1および2に記載されている放射線グラフト重合法では,繊維布帛,紙,フィルムなどシート状または繊維状の基材に対し,連続工程で,効率的に均一なグラフト化基材を製造することは容易ではなかった。
具体的には,電子線等の照射によって基材を活性化した後,溶存酸素を除去したラジカル重合性化合物溶液で満たされた重合促進槽に長時間浸漬する必要があった。そのため,基材重量に対し,多量のラジカル重合性化合物溶液が必要となり,重合促進槽では溶存酸素を除去するため,常に窒素ガス等の不活性ガスを多量に消費する問題があった。さらには,活性化された基材が長時間浸漬される重合促進槽内のラジカル重合性化合物溶液中には,活性化された基材から遊離した水素ラジカルなどが溶け込み,ラジカル重合性化合物単独で重合を開始するつまり,ホモポリマーが生成することになる。その結果,仕込み当初のラジカル重合性化合物溶液と長時間経過した後のラジカル重合性化合物溶液では,ラジカル重合性化合物溶液の組成が変化し,生産されるグラフト化基材のグラフト率が大きく減少してくることが推測される。その結果,ラジカル重合性化合物の利用効率が悪くなる点や製品の品質が一定しないなどの問題が生じることとなる。工業的な生産においては,これらの問題点を解決する必要がある。
本発明者らはフィルムシール技術を電子線グラフト重合法に応用することで,繊維布帛,紙,フィルムなどシート状または繊維状の長尺な基材に対し,効率よく均一なグラフト化基材を製造する方法とその製造装置を提供することを目的とするものである。
本発明に係るグラフト化基材の製造方法は高分子材料からなるシート状または繊維状の基材に電子線を照射した後,ラジカル重合性化合物溶液を付与し,ラジカル重合性化合物溶液が付与された前記基材の両面をフィルムで密着し,0℃から130℃の範囲の温度設定の環境で後重合を促進することを特徴とする。
さらに、前記フィルムは、その両端部分の隙間が前記基材から漏出した前記ラジカル重合性化合物溶液により水封された状で前記基材の両面に密着されることを特徴とする。
本発明に係るグラフト化基材の製造装置は高分子材料からなるシート状または繊維状の基材を搬送する手段と,前記基材に電子線を照射して前記基材内に活性種を生成する基材活性化手段と,活性化された前記基材全体にラジカル重合性化合物溶液を付与する重合性化合物付与手段と,ラジカル重合性化合物溶液が付与された前記基材を挟むように両面にそれぞれフィルムを搬入して全体を圧着することでフィルムを密着させるフィルムシール手段と,フィルムシールされた前記基材を0℃から130℃の範囲の温度設定の環境で重合反応を促進させる後重合手段とを備えていることを特徴とする。
さらに,前記フィルムシール手段は,前記基材の両端にそれぞれ配置された無端ベルト状のフィルムを搬送して,搬送中の前記基材の両面に密着させることを特徴とする。
さらに,前記フィルムシール手段は,前記基材の両面に密着させたフィルムの両端部分の隙間が前記基材から漏出した前記ラジカル重合性化合物溶液により水封されていることを特徴とする。
本発明に係るグラフト化基材の製造方法は,電子線照射によって,活性化された基材に対し,ラジカル重合性化合物溶液を直ちに付与し,その後,基材の両面にフィルムを密着させた形態(フィルムシール)とする。このフィルムシール手段で,基材には基材重量に対し,付与率30%から120%のラジカル重合性化合物溶液が供給される。この方法をとることによって,余分なラジカル重合性化合物溶液は絞り出され,その付与率は加圧力を可変できるニップロールを用いることで制御できる。前記ニップロールを通すことで,基材全体に均一にラジカル重合性化合物溶液を付与できる。
さらに,基材幅に比べフィルムシール手段でのフィルム幅を若干広くすること,好ましくは両端をそれぞれ1cm以上広くすることで,基材が存在しない両端のフィルムの空隙にも前記ラジカル重合性化合物溶液が漏出し,水封されることで,ラジカル重合を阻害する空気中の酸素が進入することを防止できるという特徴がある。
従来のような開放系のグラフト重合法に比べ,フィルムシール手段を導入することで,ラジカル重合性化合物溶液が付与された基材の両面にフィルムが密着された状態はフィルム内が従来の反応槽であると言える。その特徴としては多量のラジカル重合性化合物溶液は必要なく,無駄のない量で済む。
さらに,グラフト重合を促進する後重合工程においても,フィルムシールされているため,窒素ガスは必要なく空気雰囲気で十分である。
このようにフィルムシール手段を採用することによって,生産されるグラフト化基材のグラフト率の制御も容易で,しかも,均一性は非常に向上することとなる。
また,フィルムを無端ベルト状にして搬送することで,長時間の連続稼動が可能となる。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
本発明は,繊維布帛,紙やフィルムなどシート状または繊維状基材に電子線を照射することにより,基材内に活性種を生成させる。この工程により,基材内にはラジカル重合を誘発する活性種が生成する。このとき,照射雰囲気は窒素ガスなど不活性ガス雰囲気が好ましいが,空気雰囲気でもよい。ただし,空気雰囲気では空気中の酸素により,基材が酸化される可能性がある。また,電子線照射時の雰囲気温度は,低い温度の方がポリマーラジカルの生成効率は良好となるが,通常の室温でもよい。なお,電子線の照射条件は,好ましくは照射雰囲気の酸素濃度を300ppm以下に設定した状態で,加速電圧100〜800kV,好ましくは120〜300kV及び電流10〜100mAの範囲において,布帛の厚みや目標グラフト率に応じて,適宜照射条件を選定し,電子線を照射する。
電子線照射後,ラジカル重合性化合物溶液を付与するまでの時間はできるだけ短い方が良好である。好ましくは3分以内が良好である。つまり電子線照射後,搬送過程で空気との接触により,生成された活性種の失活を少なくするためである。次に,ラジカル重合性化合物溶液が付与された基材の両面全体をそれぞれフィルムで挟み,その基材/フィルムを圧力調整可能な表面がゴムで覆われたニップロール2本の間を通すことで,基材とフィルムは密着し,ラジカル重合性化合物溶液の付与率を一定に制御できるとともに,布帛に均一に付与できる。
その後,空気雰囲気の所定温度の後重合槽で,数分間滞留させることで,グラフト率の高いグラフト化基材を製造することができる。このときの温度は,0℃から130℃で,より好ましくは40℃から70℃に加温することで,フィルム間の基材とラジカル重合性化合物のグラフト重合反応は促進され,その後,洗浄乾燥することで,グラフト化基材を得ることができる。
次に,図1は,本発明に係る上記のグラフト化基材の製造方法を実施するための装置の概略を示す図である。本実施形態は,基材送り出し機構部2,基材活性化機構部8,重合性化合物付与機構部4,フィルム送り出し機構部6,基材/フィルムシール機構部7,後重合機構部9,フィルム回収機構部11,基材洗浄機構部12,基材乾燥機構部14,基材回収機構部15の順に各機構部を配置している。
本実施形態における基材の流れを詳細に説明する。ここでは、基材として長尺状の布帛を例に説明する。布帛1は,基材送り出し機構部2より送り出され,基材活性化機構部8で電子線が照射され,ポリマーラジカルなどの活性種を生成する。その後,重合性化合物付与機構部4よりラジカル重合性化合物溶液3が付与される。この例では、ラジカル重合性化合物溶液3が線状に滴下されるスプレー装置下を通過するようにしているが,搬送される布帛1にラジカル重合性化合物溶液3の浸漬槽を通過させて,布帛1全体にラジカル重合性化合物溶液3を付与してもよい。
次に,布帛1は,重合性化合物付与機構部4から搬出されると,直ちに上下方向からそれぞれ巻き出された2枚のフィルム10により両面から挟まれ,圧着手段であるニップロール7間を通過させてフィルム10を布帛1に密着させる。このとき,漏出した不要なラジカル重合性化合物溶液3は下のフィルム10に沿って流れ落ち回収容器5に回収される。ニップロール7によって圧着されることで、ラジカル重合性化合物溶液3は布帛1全体に均一に行き渡るようになる。フィルム10は布帛1の幅より両側がそれぞれ5cm広いフィルムを使用している。布帛1の幅に比べフィルム10の幅を若干広くすることで,布帛1が存在しない両端のフィルム部分間にもラジカル重合性化合物溶液3が漏出してフィルム10の両端部分の間が水封され,ラジカル重合を阻害する空気中の酸素が進入することを防止できる。また,ニップロール7には油圧等により圧着力を調整する機構が備えられており,布帛1に対するラジカル重合性化合物溶液3の付与率を比率(30%〜120%)に適宜調整できる。なお,ラジカル重合性化合物溶液3の使用温度は,常温でもよいが,加温してもよい。
上記の工程により,布帛1内に生成した活性種に対し,ラジカル重合性化合物が反応し,グラフト重合反応が開始される。
一般に,低温の条件では,グラフト重合反応が遅いため,前記のラジカル重合性化合物溶液が付与された基材/フィルムは,0℃から130℃,より好ましくは40℃から70℃に設定された後重合機構部9にて,1分〜24時間滞留させることで,グラフト重合反応は促進される。このとき,後重合機構部9の環境はフィルムシールされていることから,空気雰囲気で十分である。
後重合機構部9から搬出された布帛/フィルムはグラフト重合が終了し,フィルム10のみが,フィルム回収機構部11により回収される。次に,グラフト重合が終了した布帛1は洗浄槽12に送り込まれ,温水等で洗浄され,例えば,シリンダー乾燥タイプの基材乾燥機構部14を通過することで乾燥することで,グラフト化された布帛を製造できる。
ここで,使用できるラジカル重合性化合物は,電子線照射で基材に生成したポリマーラジカルと結合を生じる化合物であり,具体的には,アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,メタクリルスルホン酸,スチレンスルホン酸などの酸性基を有する不飽和化合物やこれらのエステル,アクリルアミド,メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド,末端にグリシジル基や水酸基を有する不飽和化合物,ビニルホスホネート等の不飽和有機燐酸エステル,第4,第3アンモニウム塩などの塩基性を有する(メタ)アクリル酸エステル,フルオロアクリレート,アクリロニトリルなどを挙げることができ,これらに限られるものではない。これらは単独又は2種以上混合して用いることができる。
また,ラジカル重合性化合物溶液はあらかじめ,窒素ガスなど不活性ガスを吹き込むことで,溶存酸素を除去することが望ましい。
本発明において適応できる基材とは,綿,麻,絹,パルプなどの天然繊維,レーヨン、テンセルなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、さらにナイロン,ポリエチレン,ポリプロピレン,アセテート等の合成繊維などから製造される繊維状または布帛状,紙状,不織布状の基材である。また,上記の高分子から形成されたフィルム状の基材であってもよい。
フィルムシール手段において使用できるフィルムとは,0.01から0.2mmの厚みを有する高分子フィルムであって,使用する電子線の透過力に応じて,適宜の厚さのものを使用すればよい。その材質はポリエチレンテレフタレート,ポリオレフィン系などが挙げられる。また,無端ベルト状のフィルムつまりエンドレスフィルムを上下に配置し,これらの間にラジカル重合性化合物が付与された基材を密着させてもよい。
前述の後重合機構部は,例えば,布帛の搬送速度が20m/分であるとき,50℃で5分滞留させるには,後重合機構部内の布帛の長さが100mとなるような構造にする必要がある。要するに,後重合機構部内の布帛の長さは,布帛の搬送速度と反応促進のための滞留時間から算出される長さとすればよい。
上記の装置を用いて,幅150cmの綿100%の布帛(タテ:140本/インチ,ヨコ:70本/インチ)に加速電圧200kV,照射線量15kGyとなる条件で,窒素ガス雰囲気,室温で電子線照射した。その後,30秒以内に,あらかじめ窒素ガスを通気することで,溶存酸素を除去した5%アクリル酸水溶液槽に浸漬し,2枚の厚み50μmのポリエステルフィルム間に挟み,3kg/cmの加圧条件でニップロール間に通した。このことにより,綿布帛には,重量比で約75%の5%アクリル酸水溶液が付与され,布帛とフィルムは密着した形態となった。その後,綿布帛/フィルムを50℃に設定された空気雰囲気の後重合槽内に5分間滞留させることで,重合反応を促進した。その後,布帛両面のフィルムを剥離し,基材を温水で洗浄し,乾燥した後,重量を測定した。表1にグラフト反応の結果を示す。
実施例1において,ラジカル重合性化合物の濃度を2%アクリル酸水溶液に変更した他は,実施例1と同じ条件でグラフト重合を行った。表1にグラフト反応の結果を示す。
[比較例1]
本発明との比較のため,フィルムシール手段を用いず,実施例1と全く同じ条件でグラフト重合を行った。表1にグラフト反応の結果を示す。
[比較例2]
本発明との比較のため,フィルムシール手段を用いず,ラジカル重合性化合物の濃度を2%アクリル酸水溶液に変更した他は,実施例1と全く同じ条件でグラフト重合を行った。表1にグラフト反応の結果を示す。
Figure 0003740642
表1におけるグラフト率,グラフト効率の評価は下記の方法で実施した。
(1)グラフト率
ラジカル重合性化合物のグラフト率は反応前の基材乾燥重量(W1)とグラフト反応後の基材乾燥重量(W2)から以下のように算出した。
グラフト率=(W2-W1)/W1*100(%)
(2)グラフト効率
グラフト効率は基材に供給したラジカル重合性化合物に対し,その内,どれだけの量がグラフト反応に利用されたかを評価する数値で,ラジカル重合性化合物の基材に対する付与量をあらかじめ秤量し,前述のグラフト率から,基材単位量当たりのグラフト量を算出し,以下のように算出した。
グラフト効率=グラフト量/(ラジカル重合性化合物の付与量)*100(%)
表1の結果から,比較例1に比べ,実施例1は3倍以上のグラフト率が得られ,グラフト効率も100%で,ラジカル重合性化合物の利用効率が非常に高いものとなっている。実施例2と比較例2からも,同様にグラフト効率に大きな差を確認できる。
また,実施例1および2から,ラジカル重合性化合物の濃度を変えることで,グラフト率を制御できることを示している。
図2には、別の実施形態を示す。この例では、フィルム10を無端ベルト状とし、フィルム送り出し機構部とフィルム回収機構部において,駆動ローラ17、ニップローラ7及びガイドローラ21によりフィルム10を連続回転するようにしている。したがって、フィルム10を巻き取ることがないので、長時間の連続稼動を可能とする。
繊維業界では近年,消臭抗菌,快適性,吸放湿性,撥水性,制電防止性などの様々な機能化繊維の要求がある。しかし,染色整理業における機能加工の多くは後加工の形態で行われており,その加工法の中心は,機能化ポリマー剤を繊維布帛にパディング,浸漬またはコーティングし,熱処理する方法がとられている。しかし,機能化剤は繊維自身と化学的な結合をしていないことから,洗濯や摩擦などに対する耐久性に乏しいという問題がある。
また,フィルム業界では,金属など異種材料との接着やテフロン(登録商標)やゴムなど性質の異なるシート材との接合による複合化フィルムなどの要求がある。
上記のように,基材が有しない性質を基材表面や基材内部にまで付与する手段として,接ぎ木するという意味のグラフト重合法は有効な手段で,本発明に係る製造方法およびその装置はそれを効率的に実施できる点で産業上,十分利用可能なものである。
本発明の実施形態に関する製造フローを示す概略図である。 本発明の別の実施形態に関する製造フローを示す概略図である。
符号の説明
1 基材
2 基材送り出し機構部
3 ラジカル重合性化合物溶液
4 重合性化合物付与機構部
5 回収容器
6 フィルム送り出し部
7 基材/フィルムシール機構部
8 基材活性化機構部
9 後重合機構部
10 シールフィルム
11 フィルム回収機構部
12 基材洗浄機構部
13 洗浄液
14 基材乾燥機構部
15 基材回収機構部
17 駆動ローラ
21 ガイドロール

Claims (5)

  1. 高分子材料からなるシート状または繊維状の基材に電子線を照射した後,ラジカル重合性化合物溶液を付与し,ラジカル重合性化合物溶液が付与された前記基材の両面をフィルムで密着し,0℃から130℃の範囲の温度設定の環境で,後重合を促進することを特徴とするグラフト化基材の製造方法。
  2. 前記フィルムは、その両端部分の隙間が前記基材から漏出した前記ラジカル重合性化合物溶液により水封された状で前記基材の両面に密着されることを特徴とする請求項1に記載のグラフト化基材の製造方法。
  3. 高分子材料からなるシート状または繊維状の基材を搬送する手段と,前記基材に電子線を照射して前記基材内に活性種を生成する基材活性化手段と,活性化された前記基材全体にラジカル重合性化合物溶液を付与する重合性化合物付与手段と,ラジカル重合性化合物溶液が付与された前記基材を挟むように両面にそれぞれフィルムを搬入して全体を圧着することでフィルムを密着させるフィルムシール手段と,フィルムシールされた前記基材を0℃から130℃の範囲の温度設定の環境で重合反応を促進させる後重合手段とを備えていることを特徴とするグラフト化基材製造装置。
  4. 前記フィルムシール手段は,前記基材の両端にそれぞれ配置された無端ベルト状のフィルムを搬送して,搬送中の前記基材の両面に密着させることを特徴とする請求項3に記載のグラフト化基材製造装置。
  5. 前記フィルムシール手段は,前記基材の両面に密着させたフィルムの両端部分の隙間が前記基材から漏出した前記ラジカル重合性化合物溶液により水封されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のグラフト化基材製造装置。
JP2003293283A 2003-08-14 2003-08-14 グラフト化基材の製造方法およびその装置 Expired - Fee Related JP3740642B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003293283A JP3740642B2 (ja) 2003-08-14 2003-08-14 グラフト化基材の製造方法およびその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003293283A JP3740642B2 (ja) 2003-08-14 2003-08-14 グラフト化基材の製造方法およびその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005060555A JP2005060555A (ja) 2005-03-10
JP3740642B2 true JP3740642B2 (ja) 2006-02-01

Family

ID=34370292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003293283A Expired - Fee Related JP3740642B2 (ja) 2003-08-14 2003-08-14 グラフト化基材の製造方法およびその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3740642B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4788179B2 (ja) * 2005-04-12 2011-10-05 Dic株式会社 シートモールディングコンパウンドの搬送装置及び搬送方法
CN102477163B (zh) * 2011-07-29 2014-04-16 深圳光启高等理工研究院 一种基于高分子材料的微结构的制备方法
WO2016104054A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 株式会社カネカ グラフト化繊維の製造方法
JP6545494B2 (ja) * 2015-03-23 2019-07-17 倉敷紡績株式会社 表面親水化基材の製造方法
KR102360735B1 (ko) 2016-08-10 2022-02-08 에이지씨 엔지니아링 가부시키가이샤 기재 시트의 처리 방법, 개질 기재 시트의 제조 방법, 그래프트 중합 사슬이 형성된 기재, 및 이온 교환막
KR101974895B1 (ko) * 2018-10-04 2019-05-07 강원대학교산학협력단 압착 가열 기상 그라프팅 소수화 장치 및 이를 이용하여 제조한 내열수성 종이 및 유흡착 종이
CN116003872A (zh) * 2022-11-07 2023-04-25 中国科学技术大学 用于薄膜、无纺布、织物连续化接枝改性的装备及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005060555A (ja) 2005-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940010048B1 (ko) 흡수성 복합체의 제조방법, 연속적 제조방법, 제품 및 제조장치
JP5491402B2 (ja) 親水性多孔質基材
JP3740642B2 (ja) グラフト化基材の製造方法およびその装置
JP2010516916A (ja) 反応性界面活性剤分子を用いる、電離放射線によるグラフトの方法並びに得られる布基材及び電池セパレータ
JP2005344273A (ja) 繊維製品の表面処理方法
JP3741871B2 (ja) 放射線グラフト重合方法
JP2005060894A (ja) グラフト化基材製造装置
JP6675713B2 (ja) グラフト化繊維の製造方法
KR101559949B1 (ko) 부직포형 이온교환섬유의 제조방법
JPH041774B2 (ja)
US20080248212A1 (en) Methods of making functionalized fluoropolymer films
JP3292924B2 (ja) 連続式プラズマ・グラフト処理方法
JPS6013823A (ja) 高分子材料表面の連続改質方法
JP3796220B2 (ja) 高分子基材のグラフト重合方法
JP2006241618A (ja) 有機高分子複合材料の連続放射線グラフト重合法
CN110551309A (zh) 一种多孔膜材料紫外光接枝设备及其接枝工艺
JPS597725B2 (ja) 表面改質法
JP3955996B2 (ja) 長尺高分子基材に対する放射線グラフト重合方法及び装置
JP3787643B2 (ja) シート状脱臭材料の製造方法
JPH01271238A (ja) ゴム・繊維複合体の製造方法
JP2550534B2 (ja) 合成繊維製品の改質方法
JPH0753949B2 (ja) 吸水性複合体の製造方法および連続的製造方法
JP6596766B2 (ja) 糖修飾高分子素材及びその製造方法
WO2004113426A1 (en) Process for improving the adhesion capacity of a natural and/or synthetic fiber material to a plastic material
JP2002275760A (ja) 吸水性複合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051026

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081118

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091118

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101118

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111118

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121118

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121118

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131118

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees