JP3796220B2 - 高分子基材のグラフト重合方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、有機高分子基材に対する放射線グラフト重合における改良に関する。
背景技術
放射線グラフト重合法は、有機高分子基材に電離性放射線を照射してラジカルを形成させ、このラジカル部分に重合性単量体(モノマー)をグラフト反応させるというものであるが、様々な形状の高分子に機能性官能基を導入することができるので、分離機能性材料の製造方法として最近注目されている。特に、半導体産業などの精密電子工業や医薬品製造業においてクリーンルームの空気清浄に最近とみに用いられるようになった空気清浄用ケミカルフィルター素材及び純水製造装置に用いられるイオン交換フィルター素材を製造する方法として、放射線グラフト重合法が注目されている。
放射線グラフト重合法は、放射線を照射した高分子基材(照射済基材)とモノマーとの接触の仕方によって、液相グラフト重合法、気相グラフト重合法及び含浸グラフト重合法に分類される。
液相グラフト重合法は、照射済基材をモノマー液に浸漬したままグラフト重合反応を行わせる方法である、液相グラフト重合法は、均一にグラフト重合を行うことができるが、モノマー及び洗浄薬品を多量に消費するため、ランニングコストが高くなるという問題がある。しかも、基材の形状によってモノマー及び洗浄薬品の量が大きく異なる。例えば、不織布や織布のような繊維状の基材を使用すると、液切れが非常に悪いため、洗浄操作に多大な労力を必要とする。また、多孔性の基材を使用した場合には、基材の微細孔からの薬品のリークが長時間続くので、多量の洗浄薬品が必要で、洗浄時間も長くかかる。したがって、非多孔性の粒子や膜以外のものを基材として用いて液相グラフト重合を行うと、ランニングコストがかなり高くなる。また、繊維状基材を用いた場合であっても、液相グラフト重合においては、基材を多数のガイドロールを介して重合性モノマー溶液中に長時間浸漬するので、基材の強度が膨潤によって低下して、基材がグラフト重合槽内で切断してしまうなどの問題があった。特に、繊維状基材は保液性が大きく、相当量のモノマー溶液を吸収して重たくなるので、液相グラフト重合法は、比較的強度の大きな基材にしか適用することができなかった。
気相グラフト重合法は、モノマーを気体状態(蒸気)で照射済基材と接触させる方法であり、重合装置に多少の配慮を必要とするが、使用するモノマー量が非常に少なく、洗浄工程も不要か又は極めて簡略化することができるため、コスト的に有利であることが知られている。更に、気相グラフト重合は、モノマーの量を調節することによってグラフト率のコントロールを行うことができる。しかしながら、気相グラフト重合法は、比較的蒸気圧の高いモノマーにしか適用できず、グラフトむらが発生しやすいという欠点があり、現時点ではほとんど実施されていない。
含浸グラフト重合法は、照射済基材に所定量のモノマーを含浸させて、真空中又は不活性ガス中で反応させることによりグラフト重合する方法である。この含浸グラフト重合法では、用いたモノマーのほとんど全部を反応させるため、未反応薬剤の残留量が少ないので経済的であり、また、グラフト重合後の基材が乾燥状態で得られるので、基材の取扱いが簡単で、廃液の発生量が少ないなどといった利点を有しており、液相グラフト重合法と気相グラフト重合法の両者の長所を生かした方法と言うことができ、織布/不織布などの空隙性材料をグラフト基材とする場合に極めて有効である。しかしながら、多量のモノマー溶液を基材に含浸させると、基材の重量が極端に重くなるので、高いグラフト率を必要とする場合などには、強度の大きな基材にしか適用できないといった問題があった。
本発明は、上記に説明したような種々のグラフト重合法における問題点を解決し、比較的強度の小さな有機高分子基材に対しても適用することができ、グラフトむらの問題を解消したグラフト重合方法を提供することを目的とする。
発明の開示
上記課題を解決するために、本発明は、放射線を照射した有機高分子基材を重合性モノマーに接触させてグラフト重合するにあたって、有機高分子基材を弛ませながら、連続的又は断続的に移動させてグラフト重合を行うことを特徴とする高分子基材のグラフト重合方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明に係るグラフト重合法において用いることのできる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などを挙げることができるが、本発明において用いるのにはγ線や電子線が適している。なお、放射線グラフト重合法には、グラフト用基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあり、本発明ではいずれの方法も採用することができるが、モノマーの単独重合物の生成が少ない前照射法の方が有利である。
本発明に係るグラフト重合法に用いることのできる有機高分子基材としては、有機高分子化合物の中でも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン類、PTFE、塩化ビニル等に代表されるハロゲン化ポリオレフィン類、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)等に代表されるオレフィン−ハロゲン化オレフィン共重合体などが適しているが、この範囲に限定されるものではない。
かかる基材の形状は、シート状であればいかなるものにも適用することができる。例えば、繊維状基材としては、織布又は不織布の長い布地状のもの、粒子や粉末であればこれらをフィルムや繊維に保持させてシート状に成形したものなどを好適に用いることができる。
このようなシート状基材をグラフト重合する場合、通常は、グラフト重合槽に基材を順次繰り出して、槽内でガイドロールによって張った状態で所定温度の下で所定時間反応させた後に、巻き取りロールに巻き取るという方法が採用されている。しかしながら、反応終了までに長時間を要する場合や、高いグラフト率を目標とする場合などには、グラフト重合槽内で基材が切断することが多かった。これは、基材の強度がガイドロールによる張力に耐えるほど大きくないからである。
本発明に係るグラフト重合法においては、この問題を解消するために、グラフト槽内において、基材を弛ませながら連続的又は断続的に移動させる。これによって、グラフト反応中に基材に張力がかからなくなるために、強度の低い基材や、織布などの繊維状基材のように多量のモノマー液を含浸して重量が大きくなってしまう基材に関しても、グラフト反応中に切断することなく十分にグラフト反応を進行させることが可能になる。基材を弛ませながら連続的又は断続的に移動させる手段としては、グラフト重合済みの基材を巻き取る巻き取りロールでの張力及び/又は巻き取り速度を検出し、これに基づいてグラフト重合槽へ基材を送り出す繰り出しロールの繰り出し速度を調節するという手法を採用することができる。
以下において、本発明の具体的な態様の例を図を参照して説明する。以下の説明は、本発明の具体的な各種態様を示すものであり、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1は、本発明方法を液相グラフト重合法に適用した例である。放射線を照射した基材1は、送り出しロール4に装填され、グラフト反応槽2中のモノマー溶液の中に送り出される。基材1は、モノマー溶敵中を弛んで浮遊しながらモノマーと反応し、順次洗浄槽3に送られる。洗浄槽3には基材に付着したモノマー溶液を洗浄除去するための洗浄液が配置されており、基材は洗浄液の中を同様に弛んで浮遊しながら送られて、巻き取りロール5に巻き取られる。グラフト反応槽の入口、グラフト反応槽と洗浄槽との間、洗浄槽の出口には、それぞれガイドロール(搬送ロール)6が配置される。ガイドロール(搬送ロール)6は、基材を誘導すると共に、基材の搬送速度を調節して、基材が各槽内で弛んだ状態で搬送されるようにする機能を有する。ここでは、送り出しロール4の送り出し速度と、巻き取りロール5の巻き取り速度、並びにガイドロール6の搬送速度を調節することにより、基材が弛んだ状態でグラフト反応槽及び洗浄槽内を移動するようにすることができる。送り出しロール4及び巻き取りロール5並びにガイドロール6の回転は、連続的であっても断続的であってもよい。グラフト重合反応時間や洗浄時間は、グラフト重合槽及び洗浄槽のそれぞれの大きさや、基材を弛ませる長さ、送り出しロール4、巻き取りロール5並びにガイドロール6のそれぞれの回転速度を調節することによって設定することができる。グラフト反応槽2及び洗浄槽3においては、基材を弛んだ状態で送っているのでガイドロール6の数を少なくすることができ、装置の大きさも小さくできる。基材として、極めて薄いフィルムや、目付の小さい織布・不織布などを用いた場合には、基材がグラフト反応槽及び洗浄槽を通過する際に、基材の膨潤や保液のために基材の強度が低下するが、本発明方法によれば、基材が各液の中を浮遊しているので、ごく僅かの力で基材を送ることができ、過度の張力によって基材が切断するのを防ぐことができる。
次に、図2は、本発明方法を気相グラフト重合法に適用した例である。帯状の基材11は、その両端が接合されて輪を形成しており、送りロール15の回転によって反応室14内をエンドレスに移動している。送りロール15の回転は連続的であっても断続的であってもよい。反応室の下方にはモノマー溶液13を入れたモノマー溶液皿12が配置されており、ここからモノマーの蒸気が発生する。モノマー蒸気の発生を促進させるためにモノマー溶液皿12の下に加熱装置(図示せず)を配置してもよい。基材は、反応室14内を弛んだ状態で移動せしめられる。ガイドロール16及びガイド板17が配置されて、基材が絡み合わないようにされる。ガイドロール16は、基材の絡みを防止する目的で配置されるもので、基材に張力を与えるものではない。このようなグラフト重合反応装置では、モノマー蒸気がモノマー皿12から発生して上昇するので、反応室14の下方に位置する基材11の部分が、濃厚なモノマー蒸気と接触しやすく、このためにグラフトむらが生じやすいが、本発明によれば、基材が送りロール15の回転によって移動して、一定時間後に再び元の位置に戻ってくる。このように、基材が連続的又は断続的に移動せしめられるので、基材の各部を均一にモノマー蒸気と接触させることができる。基材は、反応室14内を弛んだ状態で移動しているので、過度の張力によって基材が切断することが防止される。
次に、図3は、本発明方法を含浸グラフト重合法に適用した例である。放射線を照射した基材21は、送り出しロール22に装填され、モノマー含浸槽23中のモノマー溶液の中に送り出され、絞りロール25によって所定量のモノマーが基材に含浸せしめられる。基材21は、その後、グラフト重合槽26内で、所定温度で所定時間反応せしめられた後、巻き取りロール27によって巻き取られる。グラフト重合反応槽26内にはガイドロール28、28’が配置されており、上部に配置されたガイドロール28は、基材を誘導すると共に、反応槽26内で基材が弛んだ状態で搬送されるように搬送速度を調節するために用いられる。一方、下部に配置されたガイドロール28’は、基材の絡み付きを防止して反応槽26内での基材の送りをスムーズにするためと、反応温度を均一化するためのものであり、基材に張力を与えるものではない。したがって、基材は反応槽26内を弛んだ状態で送られる。この弛んだ状態を確保するため、巻き取りロール5の張力及び速度を検出し、それぞれ所定値以上にならないように、送り出しロール22、絞りロール25、並びにガイドロール28の回転速度を調節する。なお、各ロールの回転は連続的であっても断続的であってもよい。本発明方法によれば、基材はグラフト反応槽内を弛んだ状態で送られ、過度の張力がかかることがないので、例えば高いグラフト率を得るために相当量のモノマー液を含浸させる必要があって、そのためモノマー液を含浸した基材の重量が相当に大きくなってしまうような場合であっても、基材の切断などを起こすことなく、グラフト反応を十分に進行させることができる。
本発明は、上記具体例で具現化されるグラフト重合装置にも関する。即ち、本発明の他の態様は、放射線を照射した有機高分子基材を重合性モノマーに接触させてグラフト重合反応させるためのグラフト重合反応室を備えたグラフト重合装置において、基材を弛ませながら連続的又は断続的にグラフト重合反応室内を移動させるための手段を有することを特徴とする高分子基材のグラフト重合装置に関する。ここで、グラフト重合反応室とは、上記の記載から明らかなように、放射線照射済みの基材をグラフトモノマー溶液中に浸漬して反応させる液相グラフト重合反応槽であっても、基材に所定量のグラフトモノマーを含浸させた後に、所定時間、所定温度で反応を行わせる含浸グラフト重合反応室であってもよく、更には、グラフトモノマー蒸気が充填された室内に基材を配置する気相グラフト反応室であってもよい。
更に本発明の他の態様は、基材を弛ませながら連続的又は断続的にグラフト重合反応室内を移動させるための手段が、グラフト重合反応室からのグラフト重合済みの基材の取り出し部での張力及び/又は速度を検出し、グラフト重合反応室へのグラフト前の基材の送り出し部での送り出し速度並びにグラフト重合反応室内の基材搬送部での搬送速度を調節する機構を有する上記記載のグラフト重合装置に関する。
本発明方法によって有機高分子基材にグラフトさせることのできるグラフトモノマーとしては、それ自体が種々の機能性官能基を有する重合性単量体や、或いはそれをグラフトした後に更に2次反応を行うことによって機能性官能基を導入することのできる重合性単量体など、放射線グラフト重合法において従来公知の任意のモノマーを用いることがでる。
例えば、本発明を利用してイオン交換フィルター素材を製造する場合、イオン交換基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミドなどをグラフトモノマーとして用いてグラフト重合反応を行うことにより、基材に直接機能性官能基を導入してイオン交換フィルター素材を得ることができる。
また、放射線グラフト重合の後に更に2次反応を行ってイオン交換基を導入することのできるモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルをモノマーとして用いて、本発明に係るグラフト重合反応によって有機高分子基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによってスルホン基を導入したり、又はジエタノールアミンなどを用いてアミノ化することなどによって、イオン交換材料を得ることができる。
更に、本発明方法を利用して、キレート基を有する重金属吸着剤、触媒、アフィニティクロマトグラフィー用担体などを製造することもできる。
以下の実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、これらの記載は本発明を限定するものではない。
実施例1
図1に示すグラフト反応装置を用いた。グラフト反応装置は、グラフト反応槽2及び洗浄槽3(いずれの槽も、寸法は20cm×40cm幅×60cm高さである)を有しており、反応槽にはアクリル酸10%水溶液を、洗浄槽には純水を、それぞれ3L加えた。反応装置には、照射済み基材収納室内に収容され放射線を照射したロール状基材シートを装填する送り出しロール4、反応後の基材を巻き取る巻き取りロール5、及び各槽内での基材シートの動きを誘導するガイドロール6を有していた。装置全体は、外気から遮断されており、窒素ガスを導入できる配管が接続されていた。また、反応槽2の下部に散気管が配置され、窒素バブリングが行えるようになっていた。更に、照射済み基材収納室を−40℃以下に冷却できる冷凍機が付設されていた。
繊維径10μm、目付25g/m、引張強度3kgf/5cmのポリエチレン製繊維よりなる不織布(30cm幅×50mの反物シート状)に、窒素雰囲気でガンマ線150kGyを照射した。照射後の不織布反物シートを、−40℃以下に冷却した収納室内の送り出しロール4に装填し、反物の先端から1.5mを反応槽内に繰り出した。このまま45分間(反応温度45℃)グラフト重合を行った後、反応済みの不織布反物シートを洗浄槽に移動させ、次の1.5mの反物を反応槽に繰り出した。このようにして、約30mの不織布反物シートを、張力を与えない状態でグラフト重合反応にかけた。洗浄槽を通過した後の不織布は巻き取りロール5に巻き取り、全反物シートを巻き取った後に、更に純水中で10回浸漬洗浄を行った。
この不織布の一部を切り取り、目付の変化からグラフト率を計算したところ、31%であった。更に、濡れたままの不織布の引張強度を測定したところ、0.9kgf/5cmと小さかったが、グラフト後でも反物として取り扱い可能であった。
比較例1
本比較例では、図4に示すグラフト反応装置を用いた。図4に示すグラフト反応装置は、図1の装置において、更にグラフト反応槽2及び洗浄槽3内にもガイドロール6’を設けたものである。実施例1と同様にガンマ線を照射した不織布反物シートの先端部にダミーの不織布シートを取り付け、不織布シートの部分をガイドロール6及び6’を通して巻き取りロール5に取り付け、各ガイドロール間でシートを張りつめた状態とし、この状態を保ちながら巻き取り速度約1m/hで不織布シートを巻き取りロール5で巻き取った。反応槽でのシートの滞留時間は45分間であった。巻き取りロール5のトルクを検出したところ、約7kgfの張力が不織布シートにかかっていた。搬送開始から23分後に、不織布反物シートが切断して搬送不能となった。
実施例2
図2に示す気相グラフト反応装置を用いた。グラフト反応室14は、寸法が30cm×30cm幅×30cm高さであった。また、反応室14内には、駆動ロール15と、ガイドロール16が付設されており、外気から遮断されていて、窒素ガスを導入できる配管が接続されていた。反応室14の底部には金網が配置され、基材不織布がモノマー液13と直接接触しないようにされていた。金網の下側には、モノマー液皿が配置され、グラフトモノマー液(アクリル酸100%)が収容されていた。
繊維径10μm、目付25g/m、引張強度3kgf/5cmのポリエチレン製繊維よりなる不織布(30cm幅×5mの反物シート状)に、窒素雰囲気でガンマ線150kGyを照射した。照射後の不織布反物シートを、図2に示す反応室14内の駆動ロール15及びガイドロール16に通して、両端を接合することにより、輪状に形成した。
モノマー液を70℃に加熱し、駆動ロール15によって輪状の基材不織布を0.1m/minで連続的に動かしながら、アクリル酸の気相グラフト重合を行った。グラフト反応室14内の温度は60℃であった。1時間反応させた後のグラフト率は23±4%であり、比較的均一にグラフト重合が進行していた。
実施例3
図3に示す不織布の連続含浸グラフト重合装置を用いた。グラフト重合装置は、モノマー含浸槽23,グラフト重合槽26を有しており、更に送り出しロール22を収容する収容室と、巻き取りロール27を収容する巻き取り室が設けられていた。また、モノマー液含浸後の基材を絞りながら搬送する絞りロール25が設けられ、グラフト重合槽26内には、基材の誘導と搬送を行うガイドロール28,28’が設けられていた。装置全体は、外気から遮断されており、各室に窒素ガスを導入できる配管が接続されていた。モノマー含浸槽23には、グラフトモノマーとしてメタクリル酸グリシジル100%液を加えた。
繊維径15μmのポリエチレン/ポリプロピレン(鞘/芯)よりなる、目付45g/m、長手方向の引張強度11kgf/5cmの不織布(30cm幅×100mの反物シート状)に、窒素雰囲気でガンマ線200kGyを照射した。照射後の不織布基材を送り出しロール22に装填し、モノマー含浸槽、絞りロール25、ガイドロール28,28’を通して巻き取りロール27に巻き取った。基材のモノマー液含浸率が約180%となるように、絞りロール25の絞りを調節した。ガイドロールは、上下5本づつ取り付け、絞りロール25、ガイドロール28及び巻き取りロール27の回転速度を調節して、基材をグラフト重合槽内で弛んだ状態に保持しながら20m/hの速度で搬送して、グラフト重合反応を連続的に行った。グラフト重合槽26内は60℃に保持した。反応時間(グラフト重合槽26内での基材の滞留時間)は約30分であった。反応後の不織布のグラフト率を目付の増加率から計算したところ、120±10%であり、均一なグラフト不織布が長尺で得られた。
比較例2
実施例3と同様のグラフト重合装置を用い、グラフト重合槽26内で不織布基材がガイドロール28,28’間で張りつめた状態になるように各ロールの回転速度を調節して、20m/hの速度で搬送した他は、同様の条件でグラフト重合を行った。巻き取りロール27のトルクを検出したところ、約27kgfの張力が不織布シートにかかっていた。搬送開始から20分後に、不織布反物シートが切断して搬送不能となった。
産業上の利用の可能性
本発明方法によれば、放射線グラフト重合反応にあたって、基材を弛ませて連続的又は断続的に移動させて反応させることにより、基材に過度の張力がかかって切断するという事態を防ぐことができる。したがって、強度の小さな基材や織布・不織布などの保液性の高い基材を用いて、放射線グラフト重合を有効に行うことができるので、放射線グラフト重合の適用範囲が大きく広がる。また、基材を弛ませた状態で連続的又は断続的に移動させることにより、グラフトむらの問題も解決される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一態様に係るグラフト重合反応装置の概念図である。図2は、本発明の他の態様に係るグラフト重合反応装置の概念図である。図3は、本発明の他の態様に係るグラフト重合反応装置の概念図である。図4は、比較例1において用いたグラフト重合反応装置の概念図である。

Claims (4)

  1. 放射線を照射した有機高分子基材を重合性モノマーに接触させてグラフト重合するにあたって、有機高分子基材を弛ませながら、連続的又は断続的に移動させてグラフト重合を行うことを特徴とする高分子基材のグラフト重合方法。
  2. グラフト重合済みの基材の取り出し部での張力及び/又は速度を検出し、それに対応してグラフト前の基材の送り出し部での送り出し速度並びにグラフト重合反応室内の基材搬送部での搬送速度を調節することによって、基材を弛ませながら連続的又は断続的にグラフト重合反応室内を移動させる請求項1に記載の方法。
  3. 放射線を照射した有機高分子基材を重合性モノマーに接触させてグラフト重合反応させるためのグラフト重合反応室を備えたグラフト重合装置において、基材を弛ませながら連続的又は断続的にグラフト重合反応室内を移動させるための手段を有することを特徴とする高分子基材のグラフト重合装置。
  4. 基材を弛ませながら連続的又は断続的にグラフト重合反応室内を移動させるための手段が、グラフト重合反応室からのグラフト重合済みの基材の取り出し部での張力及び/又は速度を検出し、グラフト重合反応室へのグラフト前の基材の送り出し部での送り出し速度並びにグラフト重合反応室内の基材搬送部での搬送速度を調節する機構を有する請求項3に記載のグラフト重合装置。
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