JP3739750B2 - 船外機の操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は船外機の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、船外機の操舵装置の動力源は、例えば、船外機に取り付けられたティラーハンドルを手動によって操舵するティラーハンドルタイプや、プッシュプルケーブルを介して操舵機構を遠隔操作するリモートコントロールタイプなど、そのほとんどが人力によるものであった。
【0003】
ところが、上記した人力によるものは、操舵荷重が重いなどの理由により、操舵フィーリングが良くないといった不具合があった。そこで、例えば特許文献1に記載されるように、船外機とは別体の構成、即ち後付けの構成として、操舵用の油圧シリンダを船体に取り付け、リンク機構を介してティラーハンドルの操舵をパワーアシストすることも提案されているが、後付けの油圧シリンダを用いる操舵装置にあっては、構成が複雑になり、部品点数および重量の増加を伴うと共に、船体に油圧シリンダを取り付けるためのスペースが必要になるといった不具合があった。
【0004】
このような不具合を解決する技術として、例えば特許文献2を挙げることができる。特許文献2に記載される技術にあっては、操舵用の油圧シリンダを船外機に直接取り付けるように構成することで、部品点数および重量の増加を抑制すると共に、船体への油圧シリンダの取り付けを不要としている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−125996号公報(図2など)
【特許文献2】
特開平2−279495号公報(図6など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献2に記載される技術にあっては、油圧シリンダの伸縮状態(即ち、船外機の転舵角)によっては油圧シリンダが船外機から水平方向に突出するため、例えば船外機を並列に2機設置する場合(いわゆる2機掛け)にあっては、その突出量を考慮して船外機を設置する必要があるなど、船外機の周囲のスペースに制約が生じるという不具合があった。特に、船外機の転舵力(トルク)を大きくするために油圧シリンダの大きさを増大させた場合、油圧シリンダの水平方向への突出量が大きくなってかかる不具合が顕著であった。
【0007】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、船外機に取り付けた操舵用のアクチュエータの出力を増加させて船外機の転舵力を大きくすると共に、操舵用のアクチュエータが船外機の転舵角に関わらずその外形線から突出しないようにして船外機の周囲のスペースを制約することがないようにした船外機の操舵装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するために、この発明は請求項1項において、内燃機関で駆動されるプロペラを備えると共に、転舵軸であるスイベルシャフトと前記スイベルシャフトが収容されるスイベルケースを介して船体に転舵自在に取り付けられる船外機の操舵装置において、複数個のアクチュエータによって前記スイベルシャフトを回動させて前記船外機を転舵させると共に、前記アクチュエータを、前記船外機の転舵角に関わらず前記船外機の外形線内に位置するように重力方向に重ねて配置するように構成した。
【0009】
このように、船外機の転舵軸であるスイベルシャフトを複数個のアクチュエータで回動させることによって船外機を転舵させるように構成したので、操舵用のアクチュエータの出力が増加されて大きな転舵力(トルク)を得ることができる。さらに、前記複数個のアクチュエータを、船外機の転舵角に関わらずその外形線内に位置するように重力方向に重ねて配置するように構成したので、アクチュエータが常に船外機から突出することがなく、よって船外機の周囲のスペースが制約されない。
【0010】
また、請求項2項にあっては、前記アクチュエータの変位側を前記スイベルシャフトに固定されるマウントフレームに取り付けると共に、前記アクチュエータの固定側を前記スイベルケースに取り付けるように構成した。
【0011】
スイベルシャフトを回動させる操舵用のアクチュエータの変位側を前記スイベルシャフトに固定されるマウントフレーム(船外機の転舵が行なわれることによって船体との相対角度変位が生じる部位)に取り付けると共に、その固定側を前記スイベルシャフトが収容されるスイベルケース(船外機の転舵が行われても船体との相対角度変位を生じない部位)に取り付けるように構成した、換言すれば、リンク機構などを介することなくアクチュエータの出力を直接船外機に伝達するように構成したので、上述した効果に加え、ガタツキのない応答性に優れた操舵が可能になると共に、アクチュエータの取り付けに必要なスペースを小さくすることができる。また、構成が簡素なため、複数個のアクチュエータを船外機に取り付けるために必要な部品点数や工程数を削減することができる。
【0012】
また、請求項3項にあっては、前記アクチュエータは複数個の円筒型油圧シリンダからなり、前記円筒型油圧シリンダをそれらの長手方向が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置すると共に、前記円筒型油圧シリンダと船外機との連結部をそれぞれ同軸上に位置させるように構成した。
【0013】
スイベルシャフトを回動させる操舵用のアクチュエータとして複数個の円筒型油圧シリンダを用い、前記円筒型油圧シリンダをそれらの長手方向が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置すると共に、前記円筒型油圧シリンダと船外機との連結部をそれぞれ同軸上に位置させるように構成したので、上述した効果に加え、構成がより簡素となり、複数個のアクチュエータを船外機に取り付けるために必要な部品点数や工程数をより一層削減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る船外機の操舵装置を説明する。
【0015】
図1はその船外機の操舵装置を全体的に示す説明図であり、図2は図1の部分説明側面図である。
【0016】
図1および図2において、符合10は、内燃機関、プロペラシャフト、プロペラなどが一体化された船外機を示す。船外機10は、図2に示す如く、スイベルシャフト(後述)が回動自在に収容されるスイベルケース12と、スイベルケース12が接続されるスターンブラケット14を介し、船体(船舶)16の後尾に重力軸回りおよび水平軸回りに転舵自在に取り付けられる。
【0017】
船外機10は、その上部に内燃機関(以下「エンジン」という)18を備える。エンジン18は火花点火式の直列4気筒で2200ccの排気量を備える4サイクルガソリンエンジンからなる。エンジン18は水面上に位置し、エンジンカバー20で覆われて船外機10の内部に配置される。エンジンカバー20で被覆されたエンジン18の付近には、マイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(以下「ECU」という)22が配置される。
【0018】
また、船外機10は、その下部にプロペラ24と、その付近に設けられたラダー26を備える。プロペラ24は、図示しないクランクシャフト、ドライブシャフト、ギヤ機構およびシフト機構を介してエンジン18の動力が伝達され、船体16を前進あるいは後進させる。
【0019】
図1に示す如く、船体16の操縦席付近にはステアリングホイール28が配置される。ステアリングホイール28の付近には舵角センサ30が配置される。舵角センサ30は、具体的にはロータリエンコーダからなり、操縦者によって入力されたステアリングホイール28の操舵(操作)量に応じた信号を出力する。また、操縦席の右側にはスロットルレバー32およびシフトレバー34が配置され、それらの操作は図示しないプッシュプルケーブルを介してエンジン18のスロットルバルブおよびシフト機構(共に図示せず)に伝達される。
【0020】
さらに、操縦席付近には、船外機10のチルト角度を調整するためのパワーチルトスイッチ36と、トリム角度を調整するためのパワートリムスイッチ38が配置され、操縦者によって入力されるチルトのアップ・ダウンおよびトリムのアップ・ダウンの指示に応じた信号を出力する。上記した舵角センサ30、パワーチルトスイッチ36およびパワートリムスイッチ38の出力は、信号線30L,36L,38Lを介してECU22に送られる。
【0021】
ECU22は、信号線30Lを通じて送られた舵角センサ30の出力に応じ、操舵用のアクチュエータ、具体的には油圧シリンダ40(図2に示す。以下「操舵用油圧シリンダ」という)を伸縮させることにより、船外機10を転舵させてプロペラ24およびラダー26を重力軸回りに揺動させ、船体16を操舵する。
【0022】
ECU22は、さらに、信号線36L,38Lを通じて送られたパワーチルトスイッチ36およびパワートリムスイッチ38の出力に応じて公知のパワーチルトトリムユニット42を動作させ、船外機10のチルト角度およびトリム角度を調整する。
【0023】
図3は、図2に示すスイベルケース付近を拡大した部分断面図である。
【0024】
図3に示すように、パワーチルトトリムユニット42は、1本のチルト角度調整用の油圧シリンダ42a(以下「チルト用油圧シリンダ」という)と、2本の(図では1本のみ表れる)トリム角度調整用の油圧シリンダ(以下「トリム用油圧シリンダ」という)42bを一体的に備える。
【0025】
チルト用油圧シリンダ42aは、そのシリンダボトムがスターンブラケット14に固定されて船体16に取り付けられると共に、ピストンロッドのロッドヘッドがスイベルケース12に当接させられる。トリム用油圧シリンダ42bも、そのシリンダボトムがスターンブラケット14に固定されて船体16に取り付けられると共に、ピストンロッドのロッドヘッドがスイベルケース12に当接させられる。
【0026】
スイベルケース12は、チルティングシャフト46を介し、チルティングシャフト46を中心として相対角度変位自在にスターンブラケット14と接続される。また、スイベルケース12は、その内部にスイベルシャフト50が回動自在に収容される。スイベルシャフト50は重力方向に軸方向を有し、その上端がマウントフレーム52に固定されると共に、下端がロアマウントセンターハウジング(図示せず)に固定される。マウントフレーム52とロアマウントセンターハウジングは、それぞれエンジン18やプロペラ24などが配置されるフレームに固定される。
【0027】
図4は、図3のIV−IV線断面図である。
【0028】
図3および図4に示すように、スイベルケース12の上部には前記した操舵用油圧シリンダ40が配置される。操舵用油圧シリンダ40は、具体的には第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用シリンダ40bの2本の円筒型油圧シリンダ、より具体的には2本の円筒型の復動シリンダからなる。図3に良く示すように、第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用シリンダ40bは、それらの長手方向(シリンダの軸方向)が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置される。これは、船外機にあっては、一般にスイベルケース12の上方に重力方向(上下方向)のスペースが比較的確保しやすいためであり、かかるスペースを有効に利用するためである。尚、スイベルケース12の上部には、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bの他に、それらに油圧を供給する油圧回路(図示せず)が並んで配置される。
【0029】
マウントフレーム52においてスイベルシャフト50の直上付近には、第1のステー56が設けられる。第1のステー56には、重力方向に軸方向を有する第1の円筒状部材58が支持され、第1の円筒状部材58の下端付近には、第1の操舵用油圧シリンダ40aの変位側、具体的にはピストンロッドのロッドヘッド40a1(連結部)が回動自在に取り付けられる。また、第1の円筒状部材58の上端付近には、第2の操舵用油圧シリンダ40bの変位側、具体的にはピストンロッドのロッドヘッド40b1(連結部)が回動自在に取り付けられる。このように、第1の操舵用油圧シリンダ40aのロッドヘッド40a1と第2の操舵用油圧シリンダ40bのロッドヘッド40b1は、それぞれ同軸上に配置されると共に、第1のステー56と第1の円柱状部材58を介してマウントフレーム52に取り付けられる。
【0030】
また、スイベルケース12の上部において船体側の端部付近には、第2のステー60が設けられる。第2のステー60には、重力方向に軸方向を有する第2の円筒状部材62が支持され、第2の円筒状部材62の下方には、第1の操舵用油圧シリンダ40aの固定側、具体的にはシリンダボトム40a2(連結部)が回動自在に取り付けられる。また、第2の円筒状部材62の上端付近には、第2の操舵用油圧シリンダ40bの固定側、具体的にはシリンダボトム40b2(連結部)が回動自在に取り付けられる。このように、第1の操舵用油圧シリンダ40aのシリンダボトム40a2と第2の操舵用油圧シリンダ40bのシリンダボトム40b2は、それぞれ同軸上に配置されると共に、第2のステー60と第2の円柱状部材62を介してスイベルケース12の上部に取り付けられる。
【0031】
ここで、前述の如く、操縦者がステアリングホイール28を操舵すると、その操舵量は舵角センサ30を介してECU22に入力される。ECU22は、入力された操舵量に応じた通電指令値を算出し、図示しない駆動回路を介して電動モータに送出し、油圧ポンプを駆動して第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bを伸縮させ、スイベルシャフト50を回動させる。このとき、第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用シリンダ40bは、それらの長手方向が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置されていると共に、ロッドヘッド40a1,40b1、およびシリンダボトム40a2,40b2がそれぞれ同軸上に位置していることから、それらの駆動量(伸縮量)は同一となる。
【0032】
このように、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bが駆動されることにより、スイベルシャフト50を転舵軸として船外機10の水平方向の転舵がパワーアシストされ、よってプロペラ24およびラダー26が揺動されて船体16が操舵される。具体的には、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bが伸び方向に駆動されることにより、図5に示すように、スイベルシャフト50およびマウントフレーム52が船体16に対して右回り(上面視において右回り)に回動し、船外機10が右回りに転舵され、よって船体16が左回り(上面視において左回り)に操舵(左旋回)される。
【0033】
一方、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bが縮み方向に駆動されることにより、図6に示すように、スイベルシャフト50およびマウントフレーム52が船体16に対して左回りに回動し、船外機10が左回りに転舵され、よって船体16が右回りに操舵(右旋回)される。
【0034】
尚、図4から図6において、符号70は上面視における船外機10の外形線(垂直投影面)を示す。また、図5は、具体的には船外機10を右回りに最大転舵角まで回動させたときの前記外形線70と操舵用油圧シリンダ40などを示し、図6は、操舵用10を左回りに最大転舵角まで回動させたときのそれを示す。即ち、図5および図6に示すように、この実施の形態に係る船外機10にあっては、右回りの最大転舵角と左回りの最大転舵角がそれぞれ30度ずつであり、計60度の転舵が可能である。
【0035】
以上のように、この実施の形態に係る船外機の操舵装置にあっては、船外機10の転舵軸であるスイベルシャフト50を複数個のアクチュエータ、具体的には、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bの計2個の円筒型油圧シリンダで回動させることによって船外機10を転舵させるように構成したので、操舵用のアクチュエータの出力が増加されて大きな転舵力(トルク)を得ることができる。
【0036】
また、第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用油圧シリンダ40bをそれらの長手方向が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置するように構成したので、図4から図6に示すように、船外機10を左右に最大転舵角まで転舵させても、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bが船外機10の外形線70の内部から水平方向に突出することがない。即ち、大きな転舵力を得るために、操舵用の油圧シリンダの大きさを増大させるのではなく、油圧シリンダを複数個(2個)とし、さらに船外機10の転舵角に関わらずそれらが船外機10の外形線70の内部に位置するように、スイベルケース12の上部において比較的スペースを確保しやすい重力方向に重ねて配置するようにしたので、2本の操舵用の油圧シリンダ40a,40bのいずれもが常に船外機10から突出することがなく、よって船外機10の周囲のスペースが制約されることがない。
【0037】
また、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bの変位側、具体的にはロッドヘッド40a1,40b1をスイベルシャフト50に固定されるマウントフレーム52(船外機10の転舵が行なわれることによって船体16との相対角度変位が生じる部位)に取り付けると共に、その固定側、具体的にはシリンダボトム40a2,40b2をスイベルケース12(船外機10の転舵が行われても船体16との相対角度変位を生じない部位)に取り付けるように構成した、換言すれば、リンク機構などを介することなく第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bの出力(変位)を直接船外機10に伝達するように構成したので、ガタツキのない応答性に優れた操舵が可能になると共に、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bの取り付けに必要なスペースを小さくすることができる。また、構成が簡素なため、第1および第2の操舵用油圧シリンダ40a,40bを取り付けるために必要な部品点数や工程数を削減することができる。
【0038】
さらに、第1の操舵用油圧シリンダ40aと船外機10の一方の連結部であるロッドヘッド40a1と、第2の操舵用油圧シリンダ40bと船外機10の一方の連結部であるロッドヘッド40b1とを同軸上に位置させると共に、第1の操舵用油圧シリンダ40aと船外機10の他方の連結部であるシリンダボトム40a2と、第2の操舵用油圧シリンダ40bと船外機10の他方の連結部であるシリンダボトム40b2とを同軸上に位置させるように構成したので、構成がより簡素となり、よって大きな転舵力を得るために操舵用の油圧シリンダを複数個用いた場合であっても、それらを船外機10に取り付けるために必要な部品点数や工程数をより一層削減することができる。また、スイベルシャフト50を回動させるのに必要とされる2本の油圧シリンダ40a,40bの駆動量(伸縮量)を同一にすることができるため、油圧の制御も容易となる。
【0039】
上記した如く、この発明の一つの実施の形態にあっては、内燃機関(エンジン18)で駆動されるプロペラ24を備えると共に、転舵軸であるスイベルシャフト50と前記スイベルシャフト50が収容されるスイベルケース12を介して船体16に転舵自在に取り付けられる船外機10の操舵装置において、複数個(2個)のアクチュエータ(第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用油圧シリンダ40b)によって前記スイベルシャフト50を回動させて前記船外機10を転舵させると共に、前記アクチュエータを、前記船外機10の転舵角に関わらず前記船外機10の外形線70内に位置するように重力方向に重ねて配置するように構成した。
【0040】
また、前記アクチュエータの変位側(ロッドヘッド40a1,40b1)を前記スイベルシャフト50に固定されるマウントフレーム52に取り付けると共に、前記アクチュエータの固定側(シリンダボトム40a2,40b2)を前記スイベルケース12に取り付けるように構成した。
【0041】
また、前記アクチュエータは複数個(2個)の円筒型油圧シリンダ(第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用油圧シリンダ40b)からなり、前記円筒型油圧シリンダをそれらの長手方向(シリンダの軸方向)が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置すると共に、前記円筒型油圧シリンダと船外機10との連結部(ロッドヘッド40a1とロッドヘッド40b1、およびシリンダボトム40a2シリンダボトム40b2)をそれぞれ同軸上に位置させるように構成した。
【0042】
尚、上記において、スイベルシャフト50を回動させるアクチュエータとして油圧シリンダを例に挙げたが、それに限られるものではなく、油圧モータなどであっても良い。
【0043】
また、アクチュエータを第1の操舵用油圧シリンダ40aと第2の操舵用油圧シリンダ40bの計2個としたが、3個以上設けても良い。
【0044】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、船外機の転舵軸であるスイベルシャフトを複数個のアクチュエータで回動させることによって船外機を転舵させるように構成したので、操舵用のアクチュエータの出力が増加されて大きな転舵力(トルク)を得ることができる。さらに、前記複数個のアクチュエータを、船外機の転舵角に関わらずその外形線内に位置するように重力方向に重ねて配置するように構成したので、アクチュエータが常に船外機から突出することがなく、よって船外機の周囲のスペースが制約されない。
【0045】
請求項2項にあっては、スイベルシャフトを回動させる操舵用のアクチュエータの変位側を前記スイベルシャフトに固定されるマウントフレーム(船外機の転舵が行なわれることによって船体との相対角度変位が生じる部位)に取り付けると共に、その固定側を前記スイベルシャフトが収容されるスイベルケース(船外機の転舵が行われても船体との相対角度変位を生じない部位)に取り付けるように構成した、換言すれば、リンク機構などを介することなくアクチュエータの出力を直接船外機に伝達するように構成したので、ガタツキのない応答性に優れた操舵が可能になると共に、アクチュエータの取り付けに必要なスペースを小さくすることができる。また、構成が簡素なため、複数個のアクチュエータを船外機に取り付けるために必要な部品点数や工程数を削減することができる。
【0046】
請求項3項にあっては、スイベルシャフトを回動させる操舵用のアクチュエータとして複数個の円筒型油圧シリンダを用い、前記円筒型油圧シリンダをそれらの長手方向が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置すると共に、前記円筒型油圧シリンダと船外機との連結部をそれぞれ同軸上に位置させるように構成したので、構成がより簡素となり、複数個のアクチュエータを船外機に取り付けるために必要な部品点数や工程数をより一層削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る船外機の操舵装置を全体的に示す説明図である。
【図2】図1装置の部分説明側面図である。
【図3】図2に示すスイベルケース付近を拡大して示す部分断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示す船外機を右回りに最大転舵角まで転舵させたときの船外機の外形線などを示す図4と同様な断面図である。
【図6】同様に、船外機を左回りに最大転舵角まで転舵させたときの船外機の外形線などを示す図4と同様な断面図である。
【符号の説明】
10 船外機
12 スイベルケース
16 船体
18 エンジン(内燃機関)
24 プロペラ
40a 第1の操舵用油圧シリンダ(アクチュエータ(円筒型油圧シリンダ))
40b 第2の操舵用油圧シリンダ(アクチュエータ(円筒型油圧シリンダ))
40a1 ロッドヘッド(連結部(変位側))
40b1 ロッドヘッド(連結部(変位側))
40a2 シリンダボトム(連結部(固定側))
40b2 シリンダボトム(連結部(固定側))
50 スイベルシャフト
52 マウントフレーム
70 船外機の外形線
Claims (3)
- 内燃機関で駆動されるプロペラを備えると共に、転舵軸であるスイベルシャフトと前記スイベルシャフトが収容されるスイベルケースを介して船体に転舵自在に取り付けられる船外機の操舵装置において、複数個のアクチュエータによって前記スイベルシャフトを回動させて前記船外機を転舵させると共に、前記アクチュエータを、前記船外機の転舵角に関わらず前記船外機の外形線内に位置するように重力方向に重ねて配置したことを特徴とする船外機の操舵装置。
- 前記アクチュエータの変位側を前記スイベルシャフトに固定されるマウントフレームに取り付けると共に、前記アクチュエータの固定側を前記スイベルケースに取り付けたことを特徴とする請求項1項記載の船外機の操舵装置。
- 前記アクチュエータは複数個の円筒型油圧シリンダからなり、前記円筒型油圧シリンダをそれらの長手方向が水平方向と平行となるように重力方向に重ねて配置すると共に、前記円筒型油圧シリンダと船外機との連結部をそれぞれ同軸上に位置させたことを特徴とする請求項1項または2項記載の船外機の操舵装置。
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