JP3739652B2 - 成体の体細胞核を再構成した被核除去卵母細胞からの動物の満期の成長 - Google Patents

成体の体細胞核を再構成した被核除去卵母細胞からの動物の満期の成長 Download PDF

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Description

【0001】
【従来の技術】
本発明は、宿主の卵母細胞が胚を形成し、生きた動物にまで成長できるように、核を除去した卵母細胞の中に成体の体細胞の核を挿入することによって動物をクローニングすることに関する。本発明の一態様では、核の挿入は、圧電的に刺激されたマイクロインジェクションによって達成される。
【0002】
ほぼ同一の動物を多数迅速に生産することは極めて望ましいことである。例えば、ほぼ同一の動物が遺伝子工学(例えば、トランスジェニック)を施された動物でもあるときには、広い医学的な利益が得られ得ると予測される。遺伝的に改変された大きな動物は、それらのミルク又は他の体液又は組織で価値ある薬学的物質を酸性することによって、生きた薬剤「工場」として働き(時々、「ファーミング(pharming)と称される生産方法」)、ヒトの免疫系によって拒絶されないであろうヒトの臓器又は細胞の生きた臓器又は細胞「工場」として働く。マウス、モルモット、ラット、及びハムスター等のほぼ同一の研究用動物を多数産生することも望ましいことである。例えば、このマウスは、哺乳類の生物学的研究の主要な研究モデルであり、ほぼ同一のトランスジェニック又は非トランスジェニックマウスが利用できることは、例えば、胚の発育、ヒトの疾患の分析、新規薬剤のテストにとって非常に有益であろう。このように、様々な理由により(例えば、飼育動物を繁殖させ、又はマウスで得られたデータを解釈する上で)、親と遺伝的にほぼ同一である特定の動物の子孫を確実に作成することが望ましいであろう。
【0003】
さらに、遺伝子導入に関していえば、トランスジェニック動物を作成するための現在のプロトコールは、動物の個体における遺伝子発現のプログラムされた制御を保障するほどには十分進んでいない。トランス遺伝子が宿主のゲノム中に組み込まれる準ランダムな様式によって引き起こされる有害な「位置」効果を最小限にすることが可能であるが、同じコピー数で同じ座に挿入された同一のトランス遺伝子構築物を担持する個体の間にトランス遺伝子の発現レベルに差が存在し得る。このように、任意の所定の組換えタンパク質を所望のレベルで産生するトランスジェニックを少数作成することでさえ、極めて時間と費用がかかり得る。効率が低いために、トランスジェニックの子孫の数は多くの場合少なく(通常一匹だけ)、且つ多くのトランスジェニックの始祖(founder)が不妊であるので、これらの問題は、より悪化し得る。
【0004】
これらの問題を解決するための一つのアプローチは、所望の特性を有する、又は所望のレベルで標的産物を産生するトランスジェニック又は非トランスジェニック成体動物の細胞から遺伝的にほぼ同一の動物を「クローニング(clone)」することである。この目的のために、単一の成体動物の細胞から、遺伝的にほぼ同一の動物(クローン)のコロニーを比較的迅速に作成することができる。さらに、増加した収量のミルク及び肉を産生する成体動物の選択的且つ確実なクローニングによれば、多数の高産生個体を迅速に産生することができる。成体の体細胞から動物をクローニングすることは、ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、鳥等)及び希少種又は危惧種の繁殖にも有益であり得る。本明細書において、「クローニング」とは、内在する染色体が除去された(卵母細胞等の)レシピエント細胞にドナーの体細胞から得た核染色体を移植することによって、その非ミトコンドリアDNAがドナーの体細胞に由来し得る動物が成体まで完全に成長することを意味する。
【0005】
正常な哺乳類の発育において、卵母細胞は、第一減数分裂の前記にある卵核胞(germinal vesicle)段階で成長が停止するようになる。適切な刺激(例えば、血漿黄体形成ホルモンのサージ)を与えると、減数分裂が再開し、卵核胞が破壊し、第一減数分裂が完了した後、卵母細胞は第二減数分裂の中期(「MetII」)で停止する。続いて、MetII卵母細胞は排卵され、受精され得る。一度受精されると、第二極体の放出(extrusion)と雄性及び雌性前核の形成を伴って、卵母細胞は減数分裂を完了する。特異的な細胞に分化する前に一連の減数分裂を行うことによって、胚は発育を始め、組織及び臓器が組織化される。この発育プログラムにより、卵母細胞から子孫への移行が首尾行われることが保証される。
【0006】
古典的には初期の胚細胞は全能である(すなわち、それらは、それ自体新しい個体に成長することができる)とみなされていたが、この万能性は僅かな回数(この回数は、種(例えば、マウスとウシの胚)によって異なる)の分裂後に失われてしまう。この万能性の見かけの喪失の背後に存在する機序はあまり理解されていないが、遺伝子発現に影響を与えるDNA環境のかすかな変化を反映していると推測されており、集合的に「リプログラミング(reprogamming)」と名付けられている。理論に拘泥するものではないが、クローニング技術は、おそらくは「リプログラミング」を破壊するか、あるいは模倣し得ると信じられている。
【0007】
クローニングには実用的な利点が非常に多いので、技術的な障壁を乗り越え、胚細胞か胎児細胞の何れかを核を除去した卵母細胞と融合するための新規技術を開発することに相応の多大な興味がもたれている。しかしながら、現在まで、成体の体細胞から再現可能にクローンを満期発育(full term development)させるプロトコールは報告されていない。例えば、核を除去した卵母細胞の中にウシの丘細胞(cumulus cell)の核を注入し、続いて卵母細胞を電気的に活性化させると、注入された351の卵母細胞のうち9%が胚盤胞に発育したが、出産予定日まで発育したものはなかった。同様に、センダイウイルスを介して成体マウスの胸腺細胞を核を除去したMeTII卵母細胞と融合させた後、30〜60分後に7%のエタノールで活性化すると、20個の卵母細胞のうち75%が2細胞段階に到達したが、4細胞段階を超えて発育したものはなかった。
【0008】
最近の報告は、核を除去した卵母細胞を用いて培養された「哺乳類の腺細胞」を電気融合し、「ドリー」と名付けられた一匹の生きた子孫ヒツジを作成したと記載している(Wilmut、I. et al.(1997)、Nature 385、810〜813)。ドリーは、無血清条件下で5日間培養された乳腺に由来する細胞と電気融合された434個の核を除去した卵母細胞の1つから発育したと報告されている。ドリーをクローニングするために使用した。ドリーをクローニングするのに使用されたと報告されている方法によれば、「哺乳類の腺細胞」は、マイクロピペットによって、核を除去した卵母細胞の卵黄周囲腔の中に挿入された。Wilmutは、すぐに細胞に電気パルスをかけて膜融合を誘導させ、卵母細胞を活性化して細胞周期の続行を引き起こすことを報告している。適切なレシピエントの中に、(該実験では28個の他の胚とともに)得られた胚を移植し、この場合だけ、妊娠が進行してドリーが得られた。しかしながら、「哺乳類の腺細胞」は、妊娠の第3期にあった6歳齢のヒツジから確立した細胞株から得られたので、そこからドナー核を得た細胞の同一性について、そして細胞が成体由来であったかどうかについてさえ疑問が公に表白された。
【0009】
我々の共願である同時継続の米国特許出願第09/132,104号では(本出願はこの出願の一部継続出願である)、我々は、例えば、成体の丘細胞核からクローニングされた稔性のあるマウスを上手く産生するごとく、成体の体細胞から動物を制御可能且つ効率的にクローニングする方法を開示し、クレームした。我々は、クローニングしたマウスのクローンを産生するためにも首尾良く使用できる方法も開示した。ドナーの丘細胞の入手源は雌なので、得られたクローニングされたマウスは全て雌であった。
【0010】
【発明の実施の形態】
本願は、1998年1月21日に出願した米国特許仮特許出願第60/072,002号及び1998年6月19日に出願した第60/089,940号の利益を主張する1998年8月10日に出願した米国特許出願第09/132,104号の一部継続出願である。
【0011】
米国政府は、本発明に既払いの実施権を有しており、限定された条件において、国立公衆衛生研究所公衆衛生総局によって与えられた契約番号R01−HD−03402の条件によって定められた相当な期間にわたり特許権者をして他の者に実施権を許諾せしめる権利を有する。
【0012】
本発明は、成体動物から採取した繊維芽細胞からクローニングされた生きた子孫を首尾よく産生することを含む発明の方法の拡張である。特に、本発明の方法は、雄の成体動物から採取した繊維が細胞からクローニングされた生きた子孫を提供し、本発明の方法が、クローニングされた雌の動物を産生することに限定されないことを示す。本発明の一態様では、繊維芽細胞は、クローニングされた動物を産生するための核のドナーとしてそれらを使用する前に、ある期間培養される。
【0013】
核を除去した卵母細胞の細胞質中に体細胞の核(又は少なくとも発育を支持することができる最小限の染色体物質を含む核の内容物の一部)を直接挿入し、再構成された卵母細胞の胚の発育を促進することによって成体の体細胞から動物をクローニングするための本発明の方法は、生きた子孫をもたらす。本明細書において、「成体の体細胞」とは、出生後の動物から得られた細胞を意味し、それ故、胎児細胞でも胚細胞の何れでもなく、且つ配偶子系統でない細胞を意味する。得られる生きた子孫は、初めに卵母細胞の中に注入するための体細胞核を与えた動物のクローンである。
【0014】
本発明は、両生類、魚類、鳥類(例えば、飼育されている鶏、七面鳥、ガチョウなど)、及び霊長類、ヒツジ、ウシ、ブタ、クマ、ネコ、イヌ、ウマ、齧歯類等の哺乳類を含む全ての動物のクローニングに適用できる。
【0015】
本発明の一態様では、ドナーの成体の体細胞は「2n」である;すなわち、細胞周期のG0又はG1にみられるような染色体の二倍体相補物(diploid complement)を保有している。ドナーの細胞は、インビボ源から得てもよく、又は培養された細胞株から得てもよい。2nドナー核(すなわちG0又はG1期にある)のインビボ源の例は丘細胞である。丘(cumulus、ラテン語で「小山」)細胞は、排卵の前に発育中の卵の周囲に小胞細胞の固形塊(堆積)を形成するので、このように呼ばれている。マウスなどの幾つかの種では、排卵後に、これらの細胞の多くは卵母細胞に随伴し続け(卵丘を形成する)、マウスでは、90%以上がG0/G1であり、それ故2nである。本発明は、上皮細胞、神経細胞、表皮細胞、ケラチノサイト、造血細胞、メラトサイト、コンドロサイト、リンパ球、マクロファージ、単球、有核赤血球、繊維芽細胞、セルトーリ細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、及び皮膚、肺、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、腸、骨等を含む臓器(これらに限定されない)から得られる他の細胞、及び適切であればそれらの始源細胞を含む(これらに限定されない)2n成体体細胞の他のインビボ又はインビトロ(すなわち培養された)源から摂取されたドナー核を用いることを想定する。
【0016】
本発明の別の態様では、ドナー成体体細胞は、「2C〜4C」である;すなわち、それは、細胞周期のS期の間に複製する結果、二倍体のゲノム含有物を1〜2倍含有している。このドナー細胞は、上皮細胞、造血細胞、表皮細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞等、及び適切な場合にはそれらの始源細胞(これらに限定されない)を含む活発に分裂する細胞のインビボ又はインビトロ源から得られ得る。
【0017】
本発明の方法の一態様には、(1)卵母細胞に挿入した後、卵母細胞を活性化する前に、核(又は染色体を含むその一部)を一定の期間(例えば、約6時間程度)、核を除去した卵母細胞の細胞質に接触させる工程と、(2)前記卵母細胞を活性化させる工程を含む。本実施態様では、前記核は、前記卵母細胞を同時には活性化しない方法によって前記核を除去した細胞の細胞質中に挿入される。
【0018】
2nの染色体を有するドナーの核を利用するときには、前記方法は、極体の形成を抑制し、2n染色体数を維持するために、前記核を除去した卵母細胞の中に核を挿入した後、しばらくの間、微小管及び/又は細糸(microfilament)の集合体を破壊する工程をさらに含む。例えば、4nドナーの核を利用したときには、本方法の該工程は、極体が形成され、再び有核化された卵母細胞の倍数性を2nに減らし得るように省略される。
【0019】
本発明の好適な実施態様では、核はマイクロインジェクションによって挿入され、より好ましくは圧電的に刺激されたマイクロインジェクションによって挿入される。圧電性ミクロマニピュレーターの使用により、一本の針を用いてドナーの核の採取と注入を実施することが可能となる。さらに、卵母細胞の核除去とドナー細胞核の注入は、素早く、効率的に実施することができ、それ故、融合促進化合物によって、電気によって、又は融合誘発ウイルス(fusogenic virus)仲介されるドナー細胞と卵母細胞の融合のような以前に報告された方法を用いた場合に比べて卵母細胞に与える外傷をより少なくすることができる。
【0020】
マイクロインジェクションによる核の物質の導入は、細胞融合とは、時的に、且つ位相幾何学的に細胞融合とは異なっている。マイクロインジェクション法によって、ドナー細胞の形質膜は、核を除去した卵母細胞中へのその核(又は少なくとも染色体を含むその一部)の導入とは時間的に離隔され、その後に形質膜の破裂が続く一以上の工程において、(核の抽出を可能とするために)破裂させられる。離隔された破裂現象は、細胞融合の特徴ではない。
【0021】
さらに、核の除去と導入が時空間的に離隔されていることは、核と共に物質を制御して導入することを可能とする。異質な(extraneous)細胞質を除去し、さらなる物質又は試薬を導入する能力を高度に望ましいであろう。例えば、添加物は、有利には、再び有核化された卵母細胞の肺形成の発達を調節し得る。このような試薬には、抗体、薬学的シグナル伝達阻害剤、又はそれらの組み合わせを含み得、前記抗体及び/又は前記阻害剤は、細胞分裂又は胚の発育において負の制御的役割を有するタンパク質又は他の分子の作用に対して誘導され、及び/又は前記タンパク質又は他の分子の作用を阻害する。該試薬には、発育に対して潜在的な正の効果を有するタンパク質をコードし、胚の発育の間に発現され得る、組換えプラスミド又は形質転換用ベクター構築物のような核酸配列、及び/又は形質転換された細胞及び遺伝的に改変された動物を形成するために細胞のゲノムに組み込まれる核酸配列が含まれ得る。細胞中への試薬の導入は、核と核を除去した卵母細胞との核を組み合わせる前、その間、又はその後に起こり得る。
核酸配列を含み得る。
【0022】
有糸分裂の細胞周期は、分裂する全ての細胞が等しい遺伝物質を2つの娘細胞に与えることを保証する。DNA合成は、細胞分裂周期全体に起こるのではなく、その一部、すなわち有糸分裂前の合成期(又は「S」期)に限定されて起こる。ギャップ期(G2)は、DNA合成後と細胞分裂前に起こり;別のギャップ(G1)は、分裂後と次のS期の前に起こる。このように、細胞周期は、M(mitotic)期、G1期(第1のギャップ)、S期、G2期(第2のギャップ)からなり、Mに戻る。組織中に存在する多くの分裂していない細胞(例えば、全ての休止している繊維芽細胞)では、有糸分裂後、S期の前で周期が停止している。S期の前で細胞周期を外れたこのような「休止している」細胞は、G0状態にあると言われている。G0に入った細胞は、しばらく、又は極めて長い間この状態にあり続け得る。例えば、セルトーリ細胞とニューロンは、成体の動物では特徴的に分裂せず、G0にあり続ける。排卵後間もない(マウス)の卵母細胞を取り囲んでいる丘細胞は、90%以上がG0又はG1である。G0又はG1にある細胞核は、二倍体(2n)のDNAを含んでいる(すなわち、それらは、各々形態的に異なる(n−1の常染色体型の)染色体を2コピー有している)。G2にある細胞の核は、4CDNA含有量を有している。すなわち、S期の間には、異なる染色体それぞれからなる2つのコピー中の各DNAは複製されている。
【0023】
本発明は、脊椎動物のクローンを作成する方法を記載する。該方法では、各クローンは、成体の体細胞の核(又は少なくとも染色体を含むその一部)を与えられた核を除去した卵母細胞から成長する。本発明の一実施態様では、クローニングされたマウスは、本発明の方法によって、核を除去した卵母細胞の中に丘細胞(すなわち、排卵された卵巣の小胞細胞)の核をマイクロインジェクションした後に生まれる。本発明の別の実施態様では、クローニングされたマウスは、本発明の方法によって、核を除去した卵母細胞の中に成体の尾の繊維芽細胞の核をマイクロインジェクションした後に生まれる。繊維芽細胞を用いる本発明の実施態様では、血清を含まない培地の中で幾つかの繊維芽細胞を培養する;このため、当業者に公知であるように、細胞周期のG0又はG1期に居続けさせるために、これらの繊維芽細胞を「飢餓状態(starved)」にした。それらは、2n染色体を含有するものと推定されている。他の繊維芽細胞は、血清を含有する培地の中でインビトロ培養された;このため、これらの繊維芽細胞は、分裂中ずっと細胞周期を維持し、2C〜4Cであると推定された。本発明のさらなる実施態様では、胸腺細胞、脾臓細胞、マクロファージが、成体の体細胞核のドナーとして使用された。
【0024】
本発明の方法によって、霊長類、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ等のさらなる動物もクローニングされ得るが、これらに限定されない。本発明の方法は、本明細書に記載されているように、胚を桑実胚/胚盤胞段階へと首尾良く高率で発育させること、レシピエントとなった育ての哺乳類中で移植された胚が高率で着床すること、その結果生じた新生児哺乳類の成功率が2%を越えることが示されている。これらの効率の規模は、本発明の方法が容易に再現可能であることを意味している。
【0025】
動物をクローニングするための本発明の一実施態様の工程及びサブ工程は、図5の例に示されている。簡潔に述べれば、卵母細胞ドナー動物から卵母細胞を採取し(1)、核を除去した卵母細胞(染色体が「空の」卵)を形成するためにMetIIプレートを除去する(2)。成体ドナーから体細胞を採取し(3)、健康に見える細胞を選択し(4)、それらの核(又は染色体を含む核の構成成分)を得る(5)。核を除去した卵母細胞の細胞質中に核を1個注入する(6)。核を除去した卵母細胞の細胞質の中に前記核を6時間まで置く(7)。この間に染色体の凝縮が観察され得る。次に、極体の形成を抑制するために、微小管及び/又は細糸集合体の阻害剤の存在下で(9)、前記卵母細胞を活性化する(8)。この活性化期間中に、偽前核の形成が観察され得る。卵を形成する偽前核を選択し、胚の培養中に置く(10)。続いて、生きた子孫の誕生(12)を可能とするために、前記胚を育ての代理母に移植する。
【0026】
このように、哺乳類をクローニングするための本発明の方法の一実施態様は、以下の工程:(a)成体哺乳類の体細胞から、体細胞の核又は少なくとも染色体を含有するその一部を収集する工程と;(b)核を除去した卵母細胞の中に、体細胞核、又は少なくとも染色体を含有するその一部を挿入して再有核化された卵母細胞を形成する工程と;(c)再有核化された卵母細胞を胚に成長せしめる工程と;(d)該胚を生きた子孫に発育せしめる工程とを備える。これらの各ステップは、以下で詳述されている。体細胞の核(又は染色体を含有する核の構成成分)は、2nを超える染色体を有する体細胞から収集され得る(例えば、正常な二倍体のゲノム含有量の1〜2倍を有する細胞)。好ましくは、前記体細胞の核は、2n染色体を有する体細胞から収集される。好ましくは、前記体細胞の核は、前記核を除去した卵母細胞の前記の細胞質中に挿入される。前記核の挿入は、好ましくはマイクロインジェクションによって、より好ましくは圧電的に刺激されたマイクロインジェックションによって達成される。
【0027】
卵母細胞の活性化は、体細胞核の挿入前、その間、又は後に起こり得る。ある実施態様では、前記活性化工程は、卵母細胞の活性化前に一定の期間、前記核を卵母細胞の細胞質と接触せしめるために、前記体細胞の核を挿入してから0乃至約6時間後に起こる。活性化は、電気的活性化、又はエチルアルコールへの暴露、精子の細胞質因子、卵母細胞受容体リガンドペプチドの模倣物(mimetics)、Ca2+放出の薬学的刺激物質(例えば、カフェイン)、Ca2+イオノフォア(例えば、A2318(イオノマイシン))、リンタンパク質シグナリングの制御物質、タンパク質合成の阻害剤等、又はそれらの組み合わせを含む様々な手段によって達成され得るが、これらに限定されない。本発明の一実施態様では、前記活性化は、細胞をストロンチウムイオン(Sr2+)に暴露することによって達成される。
【0028】
2n染色体を注入した活性化され、再有核化された卵母細胞は、好ましくは、極体の形成を阻害し、これにより前記再有核化された宿主卵母細胞内のドナー核の染色体を全て保持するために、微小管及び/又は細糸崩壊物質(以下に記載)に暴露される。活性化され、2C〜4Cの核を注入した再有核化された卵母細胞は、好ましくは、極体を形成せしめて染色体の数を2nに減らすために、好ましくは、このような物質に暴露しない。
【0029】
胚を発育させるための工程には、胚を雌の哺乳類代理レシピエントに移植するサブ工程が含まれ得、該胚は生きた胎児に成長する。当業者に公知のように、胚は、2細胞から桑実胚/胚盤胞段階までの任意の段階で移植され得る。
【0030】
本発明の実施態様は、以下の利点を一以上、及び列記されていない他の利点を有し得る。第一に、マイクロインジェクションによる核の導入(又は染色体を含む核の構成成分の導入)は、インビトロ又はインビボで生育したかどうかにかかわらず−サイズ、形態、ドナーの発育段階等とは無関係に広範な細胞のタイプに適用できる。第二に、異質な物質は、発達の可能性を「害し(poison)」得るので、マイクロインジェクションによる核の導入は、核ドナー細胞の細胞質及び核を注入する時に核を除去した卵母細胞の中に導入される核質の容量を注意深く制御すること(例えば、最小化)を可能とする。第三に、マイクロインジェクションによる核の導入は、核を注入するときに、卵母細胞の中にさらなる物質を注意深く制御して(ドナー核と)同時注入することを可能とする。これらは、以下に例示されている。第四に、マイクロインジェクションによる核の導入は、活性化前に前記核を除去した卵母細胞の細胞質にドナーの核をある期間暴露することを可能とする。この暴露は、その後胚の発育を与えるクロマチンの再モデリング/再プログラミングを可能とせしめる。第五に、マイクロインジェクションによる核の導入は、続く活性化プロトコールの広範な選択を可能とする(ある実施態様では、Sr2+の使用)。様々な活性化プロトコールが、発育の可能性に様々な影響を発揮し得る。第六に、活性化は、染色体の放出を阻害するための微小管及び/又は細糸崩壊剤(ある実施態様では、サイトカラシンB)、及び好ましい発育結果を促進するための細胞分化の調節剤(ある実施態様では、ジメチルスルホキシド)の存在下であり得る。第七に、ある実施態様では、核の導入は、圧電的に刺激されたマイクロインジェクションにより、迅速且つ効率的なサンプルのプロセッシングを可能し、それによって、操作中の細胞への外傷が減少する。これは、部分的には、核を除去した卵母細胞の中への体細胞核の調製と導入は、(透明帯の除芯(coring)と卵母細胞形質膜の破裂の間に、少なくとも1回注射針を交換することが必要な従来のマイクロインジェクションプロトコールとは異なり)同じ注射針で行われ得るからである。さらに、幾つかの種(例えば、マウス)の卵母細胞は、従来の針を用いたマイクロインジェクションには向かないのに対して、圧電的に刺激したマイクロインジェクションは高い成功率を与える。最後に、本発明の個別の工程のみならず、それら相互の関係は、全体として、高いクローニング効率をもたらす。ここで、本発明の中で個別の工程が互いにどのように配置されているかを示すために、より詳細にそれらを記載する。
レシピエント卵母細胞
有核化及び核の移植時の卵母細胞のインビボ成熟化工程は、核移植法の成功に重要であると報告されている。一般的に、哺乳類の核移植の報告は、レシピエントとしてMetII卵母細胞の使用を記載している。MetII卵母細胞は、受精している精子によって正常に活性化されるタイプである。成熟化工程の間、卵母細胞の細胞質の化学が変化することが知られている。例えば、成熟化に伴う細胞質の活性、中期促進因子(MPF;metaphase−promoting factor)は、最初の減数分裂(「MetI」)の中期で未成熟な卵母細胞において最大となり、第一の極体(「PbI」)の形成と追放とともに減少し、MetIIで再び高レベルに達する。MetIIで停止した卵母細胞では、MPF活性は高いままであり、卵母細胞の活性化と共に急速に減弱する。体細胞核をMetII卵母細胞(すなわち、高いMPF活性を有するもの)の細胞質中に注入すると、その核膜は破壊し、クロマチンが凝縮し、中期染色体の形成をもたらす。
【0031】
本発明の方法に使用され得る卵母細胞には、未成熟な(例えば、GV段階)及び成熟な(すなわち、MetII段階)卵母細胞が何れも含まれ得る。成熟な卵母細胞は、例えば、性腺刺激ホルモン又はその他のホルモン(例えば、ウマ及びヒトの絨毛性性腺刺激ホルモンの連続投与)の注入により動物に過剰排卵(super−ovulate)を誘導することによって、及び排卵直後(例えば、飼い猫では発情開始の80〜84時間後、ウシでは発情開始の72〜96時間後、マウスでは発情開始の13〜15時間後)に卵を外科的に採取することによって得られ得る。未成熟な卵母細胞を得ることしかできない場合には、それらはMetIIに発達するまで成熟化促進培地で培養される;これはインビトロ成熟化(IVM;in vitro maturation)として知られている。未成熟なウシの卵母細胞のIVM法は、WO98/07841に記載されており、未成熟なマウスの卵母細胞に対する方法は、Eppig&Telfer(Methods in Enzymology 225、77〜84、Academic Press、1993)。
卵母細胞の核除去
好ましくは、卵母細胞は、核除去の前と核除去の間、微小管及び/又は細糸崩壊物質を含有する培地に暴露される。細糸及び/又は微小管の崩壊は、細胞構造への損傷を最小限にして、膜に封入された卵母細胞の一部が容易にピペットの中に吸引され得るように、細胞膜及びその下に存在する皮質細胞質に相対的な流動性を与える。選択し得る微小管崩壊物質の1つは、サイトカラシンB(5μg/mL)である。ノコダゾール、6−ジメチルアミノプリン、及びコルヒチンのような他の適切な微小管崩壊物質が当業者に公知である。細糸崩壊物質も公知であり、サイトカラシンD、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、ラトゥルンキュリンA(latrunculin A)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明のある好適な実施態様では、MetII卵母細胞の核除去は、圧電的に刺激されたミクロピペットを用いた吸引によって達成される。核除去顕微手術を通じて、MetII卵母細胞は、従来の固定用ピペットによって固定され、圧電的に駆動された核除去ピペットの平坦な先端(内径約7μm)は、透明帯と接触させる。適切な圧電駆動ユニットは、Prime Tech社(つくば、茨城県、日本)によって、Piezo Micromanipulator/Piezo Impact Drive Unitの名で販売されている。該ユニットは、高度に制御された迅速な態様で、(注入)ピペットホルダーを極めて短い距離(約0.5μm)だけ進めるために、圧電効果を利用している。各パルス間の強度と間隔は、コントロールユニットによって変えられ、制御され得る。圧電パルス(例えば、強度=1〜5、スピード=4〜16)は、ピペット内部の小さな陰圧を維持しながら透明帯を通過してピペットを進める(又は突き通す)ために適用される。このように、ピペットの先端は、透明帯を素早く通過し、このため、MetIIプレートに隣接した位置(幾つかの種のMetII卵母細胞の細胞質中に存在する半透明領域として識別可能であり、しばしば第一極体の近傍に存在する)まで進行する。続いて、(染色体−紡錘複合体を含有する)中期プレート卵母細胞を含有する卵母細胞の細胞質をやさしく、且つ急速に注入ピペットの中に最小限の容量だけ吸いこみ、注入ピペット(この時点では、MetIIを含有している)を僅かに引き出す。この操作の効果は、MetII染色体を含有する卵母細胞の細胞質のその部分を摘み取らせることである。続いて、透明体を避けて注入ピペットを引き、次の卵母細胞からの染色体を顕微手術で除去するために準備された隣の培地の中に染色体を放出する。適切な場合には、卵母細胞のバッチは、核除去が完全であることを確認するためにスクリーニングされ得る。(ブタ、ヒツジ、及びネコの卵母細胞のような)顆粒状の細胞質を有する卵母細胞に対しては、DNA特異的な蛍光色素(例えば、ヘキスト33342)による染色及び(イメージ強化されたビデオモニターによって増強された)低UV照射による短い調査は、核除去の効率を決定する上で有利である。
【0033】
MetII卵母細胞の核除去は、米国特許第4,994,384号に記載されているように、他の方法によって達成され得る。例えば、核除去は、圧電的に駆動されたマイクロピペットとは異なる従来的なマイクロピペットを用いた顕微手術によって達成され得る。これは、MetII染色体の位置(その紡錘体は、位相鎖顕微鏡によって卵母細胞の皮質中に置かれている)に近接したその周囲約10〜20%に沿って、ガラス針を用いて卵母細胞の透明帯を縦に切断することによって達成され得る。前記卵母細胞は、顕微操作用チャンバー中のサイトカラシンBを含有する培地の小滴の中に置かれる。染色体は、鋭くない、縁を削ったチップを有する核除去用ピペットを用いて除去される。
【0034】
核除去の後、卵母細胞は、そのまま成体体細胞核によって再構成される。ドナー核の挿入から約2時間以内に核を除去した卵母細胞を調製することが好ましい。
成体体細胞核の調製
インビボ又はインビトロで増殖され、2n染色体(例えば、G0又はG1にあるもの)、又は2Cより多い(例えば、通常4CであるG2にあるもの)染色体を細胞を含有する集団に由来する細胞が、適切な核のドナーであり得る。本発明の一実施態様では、前記細胞は、成体哺乳類から採取され、機械的及び/又は酵素的に(ヒアルロニダーゼ)分散された小胞(丘)細胞である。得られた分散された細胞懸濁物は、ある種の特徴(例えば、進行した段階のアポトーシス、壊死、又は分裂を示す)を有するものを避けるために、個別の細胞の詳細な調査、選別、及び取り扱いを容易にする顕微操作用チャンバーの中に置かれ得る。このように選択された細胞をやさしく反復して吸引すると、形質膜の破壊が引き起こされ、対応する核の採集を可能とする。続いて、各別に選択された核は、以下に記載されているように、核を除去した卵母細胞の中に挿入するために、注入用ピペットの中に吸引される。
【0035】
本発明の別の実施態様では、成体の細胞核のドナーは繊維芽細胞である。繊維芽細胞は、当業者に周知の方法によって動物から得られ得る。例えば、繊維芽細胞は、細かく刻まれた尾組織を短時間培養中(例えば、5%COの空気中に37.5℃で5〜7日)に置くことによって、成体マウスの尾から得ることができ、その間に、前記培養中に存在する繊維芽細胞は、主要な細胞タイプとなる。本発明のさらなる実施態様では、胸腺細胞、脾臓細胞、マクロファージは、成体の体細胞核ドナーとして利用される。胸腺又は脾臓細胞懸濁物を得るための方法は、当業者に周知である。マクロファージは、例えば、当業者に公知の方法によって腹腔又は肺の洗浄によって得られ得る。
【0036】
核の入手源として使用され得る他の体細胞には、インビボ源から直接又はインビトロでの培養後に得られた上皮細胞、神経細胞、表皮細胞、ケラチノサイト、造血細胞、メラトサイト、コンドロサイト、リンパ球、単球、有核赤血球、セルトーリ細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、及び皮膚、肺、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、腸、骨等を含む臓器(これらに限定されない)から得られる他の細胞(及び適切であればそれらの始源細胞)が含まれるがこれらに限定されない。
有核化された卵母細胞中へのドナー核の挿入
核(又は染色体を含む核の構成成分)は、マイクロインジェクション技術によって、核を除去した卵母細胞の細胞質の中に直接注入され得る。核を除去した卵母細胞の中に体細胞からの核を注入する好ましい方法では、圧電的に駆動されたマイクロピペットが使用され、ここでは、ここで詳述した修飾を有する(卵母細胞の核除去に関して)上述した装置及び技術を実質的に使用し得る。
【0037】
例えば、注入用ピペットは、既述の如く、約5μmの内径を有する平坦な先端を有するように調製される。前記注入用針は、先端付近に水銀を含有し、販売者の取扱説明書に従って圧電的に刺激されたユニット中に備え付けられる。注入用ピペットの先端付近に水銀滴が存在すると運動量が増加し、それ故、貫通能が増加する。各別に選択した核を含有する注入用ピペットの先端を核を除去した卵母細胞の透明帯と密着させ、数回の圧電パルスを与えて、内部に軽い陰圧を維持しながらピペットを進ませる(強度1〜5、スピード4〜6のスケールにセットしたコントローラーを用いる)。ピペットの先端が透明帯を通過すると、生じた栓帯(zona plug)は、卵黄周囲腔に排出され、核は、ピペットの先端付近に達するま前方に押される。続いて、ピペットの先端を形質膜に近づけ、固定用ピペットが殆ど卵母細胞の皮質の反対側表面に達するまで(卵母細胞の反対側表面の方向に)ピペットの先端を進める。この時点で、前記卵母細胞の形質膜は、注射針の先端の周囲に深く陥入している。1〜2の圧電パルス(典型的には、強度1〜2、スピード1)を与えると、卵細胞膜の急速な弛緩によって示されるように(眼で明確に見え得る)、ピペットの先端部で卵細胞膜が破裂する。その後、随伴する培地が最少量(約6pL)となるように、前記核を前記卵細胞膜の中に排出する。続いて、前記ピペットをやさしく引き出して、新しく導入した核を卵母細胞の細胞質の中に残す。本方法は、典型的には、他の全ての時間において培養条件に維持される10〜15バッチの核を除去した卵母細胞の中で手早く行われる。
【0038】
ドナーの核を挿入するために、従来の注入用ピペットが利用されるその他のマイクロインジェクションの変法を使用し得る。精子の核をハムスターの卵母細胞の中に挿入するために、従来のピペットを利用する適切なマイクロインジェクション法の一例は、「Yanagida, K., Yanagimachi, R.,Perreault,S.D. and R.G. Kleinfeld,Biology of Reproduction 44, 440−447(1991)」に記載されており、このような方法に関する開示は、参考文献として本明細書に組み込まれる。
宿主卵母細胞の活性化
本発明の一実施態様では、再有核化された卵母細胞は、活性化の0〜6時間前に培養条件に戻される。このように、本発明の一実施態様では、卵母細胞は、電気的活性化、一以上の卵母細胞活性化物質の注入、又は一以上の卵母細胞活性化物質を含有する培地の中への卵母細胞の導入のうちの何れかによって、再有核化からおよそ6時間(潜時;latent period)までの任意の時に活性化され得る。
【0039】
活性化刺激(又は活性化刺激の組み合わせ)を与え得る試薬には、再有核化の後、又は再有核化と同時にマイクロインジェクションによって導入され得る精子の細胞質活性化因子、及びある種の薬学的化合物(例えば、Ca2+及び他のシグナル伝達調節物質)が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの活性化刺激は、再有核化された卵母細胞の導入後に、Ca2+放出の刺激物質(例えば、カフェイン、A23187及びイオノマイシンのようなCa2+イオノフォア、及びエタノール)、リンタンパク質シグナリングの調節物質(例えば、2−アミノプリン、スタウロスポリン、及びスフィンゴシン)、タンパク質合成の阻害物質(例えば、A23187、シクロヘキシミド)、6−ジメチルアミノプリン、又は前記物質の組み合わせ(例えば、6−ジメチルアミノプリンとイオノマイシン)を含む一つ又は一群の活性化化合物のサブセットを含有する培地に(すぐに、又は潜時の後の何れかに)与えられる。本発明の一実施態様では、マウス卵母細胞の活性化は、2〜10mMのSr2+を含有する無Ca2+CZB培地中で1〜6時間培養することによて達成される。
【0040】
活性化刺激が再有核化と同時に、又は再有核化の後に与えられる本発明の一実施態様では、再有核化された卵母細胞は、前記活性化刺激を与える時、又はその直後に、微小管及び/又は細糸集合体の阻害剤(例えば、5μg/mLのサイトカラシンB)、又は上述したような(「極体」を介した)染色体の放出を阻害する物質を一以上含有する培地に移される。
【0041】
本発明の一実施態様では、核を除去した卵母細胞は、再有核化される前に活性化され得る。活性化法は、上述のとおりであリ得る。活性化刺激に暴露した後、卵母細胞は、上述したように、2n体細胞核の注入のおよそ6時間前までに培養され得る。本実施態様では、体性由来の染色体は、再有核化された卵母細胞内で直接前核様構造に変化し、サイトカラシンBのような細胞質分裂阻害因子とともに培養することによって、「極体」の放出を抑制する必要はない。
生きた胎児と子孫を作成するための胚の発育
前核形成後に、微小管崩壊物質を含まない培地中で培養することによって、胚を発育させ得る。培養は、2〜8細胞段階、又は桑実胚/胚盤胞段階まで続け得、この時点で、胚は、フォスターマザーの卵管又は子宮に移され得る。
【0042】
あるいは、収率を向上させる目的で、胚を分割し、細胞のクローンを増やしてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、生きた胚の収率を増加させるために、ドナーのクローンを増加(clonal expansion)することにより本発明の方法を用いて、及び/又は、上述した本発明の方法に従って、新しい胚を作成するために、生じた胚からの核の構成成分が核を除去した卵母細胞に戻され得る連続的な(核)の移植工程を使用すれば達成することが可能であり得る。本発明のさらなる実施態様では、適切なレシピエントの中に直接移した後に前核胚はインビボで培養される。
細胞分裂又は胚の発育の調節
本発明の一実施態様では、卵母細胞の再有核化は、核を除去した卵母細胞と核を合わせる前、その間、又は後に、胚の発育結果を変える可能性を有する一以上の物質を導入することを可能とする。これに代えて、又はこれに加えて、前記物質は、再有核化の前又は後に導入し得る。核は、例えば、本発明の方法の結果に影響を与える可能性を持った制御的役割を有すると仮定されるタンパク質に対して誘導された抗体と共に注入され得る。このような分子には、小胞の輸送(例えば、シナプトタグミン)に関与するタンパク質、クロマチン−卵細胞膜間のコミュニケーションを媒介し得るタンパク質(例えば、chk1のようなDNA損傷細胞周期チェックポイント分子)、卵母細胞シグナリングにおいて役割を果たしていると考えられているタンパク質(例えば、STAT3)、又はDNAを修飾するタンパク質(例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ)が含まれ得るが、これらに限定されない。これらのクラスの分子のメンバーは、マイクロインジェクションによって導入され、抗体の役割と類似した役割を有する調節性薬理学的物質の(間接的な)標的でもあり得る。抗体と薬学的物質は共に、それらのそれぞれの標的物質に結合することによって機能する。前記標的が発育結果に対して抑制的な効果を有しているときには、この結合は標的機能を弱め、標的が発育結果に対して正の効果を有するときには、この結合はその機能を促進する。あるいは、クローニングプロセスで重要な機能の調節は、タンパク質に結合する物質よりもむしろタンパク質(例えば、上記クラスに属するタンパク質)を注入することによって直接達成され得る。
【0043】
本発明のさらなる実施態様では、外因性リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)は、再有核化の前又は後で、マイクロインジェクションによって卵母細胞に導入され得る。例えば、必要なシス活性なシグナルを保有する組換えDNAの注入は、元から存在する又は同時注入された転写因子によって、組換えDNAの上に存在する配列の転写をもたらし、続いて発育阻害因子に対する拮抗作用又は胚の発育に対する正の作用を有するコードされたタンパク質の発現をもたらし得る。さらに、転写物は、発育阻害タンパク質をコードするmRNAに対してアンチセンス活性を有し得る。あるいは、アンチセンス制御は、卵母細胞内で予め転写されなくても、それらの核酸標的と直接相互作用することによって抑制的な効果を発揮し得る核酸(又はそれらの誘導体)を注入することにより達成され得る。
【0044】
本発明の方法によって導入された組換えDNA(直鎖又はそれ以外のもの)は、狭い発育発現プロフィールから広い発育発現プロフィールまでの任意のプロフィールを示すプロモーターの制御下で、一以上の発現された機能的遺伝子を含有する機能的レプリコンを含み得る。例えば、前記プロモーターは、そのプロモーターが初期の接合子の中でのみ活性である場合には、即座に、しかし短時間の発現を誘導し得る。導入されたDNAは、胚の発育中のある時点に喪失されるか、又は一以上のゲノム座に組み込まれて、生じたトランスジェニック個体が生きている間、安定に複製され得る。ある実施態様では、テロメラーゼ、又はスーパーオキシドディスムターゼのような「抗老化」タンパク質候補をコードするDNA構築物は、マイクロインジェクションによって卵母細胞の中に導入され得る。あるいは、このようなタンパク質は、直接注入され得る。

以下の例は、本発明の方法および成体の体細胞核を注入された卵母細胞からの生きた子孫の発育について説明する。特に、本例は、成体マウスの丘細胞、セルトール細胞、神経細胞、繊維芽細胞、脾臓細胞、胸腺細胞、及びマクロファージから単離された核を注入した被核除去卵母細胞からのマウスのクローニングを説明する。ここに記載した例は、本発明の方法に使用し得る動物の卵母細胞、成体の体細胞、及び培地の例を意図したにすぎず、当業者であれば本発明の実施態様の他の例を容易に認識し得るように、限定を意図したものではない。
試薬
特に記載してなければ、全ての無機及び有機化合物は、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から購入した。
【0045】
顕微手術後に卵母細胞を培養するために使用した培地は、5.56mMのDグルコースを補充したCZB培地(Chatot, et al.,1989 J.Reprod.Fert.86,679−688)であった。CZB培地は、81.6mM NaCl, 4.8mM KCl, 1.7mM CaCl, 1.2mM MgSO,1.8mM KHPO,25.1mM NaHCO, 0.1mM NaEDTA, 31mM 乳酸ナトリウム, 0.3mM ピルビン酸ナトリウム,7U/mL ペニシリンG, 5U/mL 硫酸ストレプトマイシン,及び4mg/mLウシ血清アルブミンを含む。
【0046】
卵管から得た卵母細胞の集合、続く処理、及び顕微操作用の培地は、20mM
Hepes、減少した量のNaHCO(5mM)、及び3mg/mLのウシ血清アルブミンを含有する修飾CZBであった。この培地は、本明細書では、Hepes−CZBと称する。CZBのpH及びHepes−CZB培地は、約7.5であった。PVAは、BSAより長い間にわたって、注入用ピペットの壁の粘着性をより少なくし続け、複数の核/卵母細胞の導入に単一のピペットを反復して使用するときに有益であったので、マイクロインジェクションを目的とする場合には、Hepes CZB中のBSAを0.1mg/mLのポリビニルアルコール(PVA、冷水に可溶、平均分子量10×10)と交換することが好ましい。
【0047】
再構成された卵母細胞を活性化するために使用した培地は、10mM SrClと5μg/mLのサイトカラシンBを共に含有する無Ca2+CZBであった。Sr2+のストック溶液(蒸留水中100mM)は、室温で保存した。サイトカラシンBのストック溶液(ジメチルスルホキシド(DMSO)中500μg/mL)は、−20℃で保存した。使用直前に、Sr2+の最終濃度が10mMになるように、無Ca2+CZBを用いてSr2+ストック溶液を1:10に希釈した。サイトカラシンBストック溶液は、最終サイトカラシン濃度が最終1%DMSO濃度中5μg/mLになるように、無Ca2+CZBを用いて希釈した。
【0048】
脳の細胞を単離するために使用した培地は、123.0mM KCl, 2.6mM NaCl, 7.8mM NaHPO, 1.4mM KHPO, 3mM NaEDTAからなる核単離培地(NIM;nucleus isolation medium)であった。そのpH値は、少量の1M HClを添加することによって7.2に調整した。PVP(平均分子量3×10、ICN Biochemicals, Costa Mesa, CA)を補充したNIMは、注入前に前記脳細胞を懸濁するために使用した。
【0049】
例で使用した他の培地は、適切なところで開示する。
動物
5〜10週齢のB6D2F1(C57BL/6×DBA/2)、B6C3F1(C57BL/6×C3H/He)及びDBA/2の雌マウスを卵母細胞のドナーとして使用した。5〜10週齢のC57BL/6、C3H/He、DBA/2、B6D2F1、及びB6C3F1の雌マウスを丘細胞核のドナーとして使用した。10〜12週齢のB6C3F1の雄マウスを繊維芽細胞核のドナーとして使用した。5〜10週齢のB6D2F1雌雄マウスをその他の成体細胞核のドナーとして使用した。フォスターマザーは、精管切除した同系統の雄と交配したCD−1雌であった。
【0050】
これらの例で使用された動物は全て、ハワイ大学の実験動物局のガイドライン、及び実験室資源国立研究評議会協会の実験動物の飼育と使用に関する委員会によって作成されたガイドライン(DHEW発行番号[NIH]80−23、1985年に改訂)に適合していた。動物の取り扱いと処置のプロトコールは、ハワイ大学の動物の飼育と使用委員会によって調査され、承認された。
例1
体細胞の調製
本例では、核を除去したマウスの卵母細胞に注入するための成体体細胞核の採取源として使用するために、マウス卵管から丘細胞を単離した。表2のシリーズA−Dで作成したクローニングされたマウスの起源は、以下に記載されており、「Wakayama, et al., 1998, Nature 394, 369−374」にも記載されている。
【0051】
雌のB6D2F1(シリーズAとBで使用したC57BL/6×DBA/2)、B6C3F1(シリーズCで使用したC57BL/6×C3H/He)、又はシリーズDで作成されたB6C3F1クローニングマウスには、5〜7.5ユニットのウマの絨毛性性腺刺激ホルモン(eCG)と5〜7.5ユニットのヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を静脈内に連続注入することによって、過剰排卵を誘発せしめた。hCGを注入してから13時間後、丘−卵母細胞複合体(図1A参照)を卵管から採集し、丘細胞を分散させるために、ウシ精巣ヒアルロニダーゼ(0.1%[w/v]、300U/mg、ICN Biochemicals、Costa Mesa、CA)を補充したHepes−CZB培地の中で処置した。中型の丘細胞(直径10〜12μm)が最も多く見出され(>70%)、これらを注入用に選択した。分散後、10%(w/v)ポリビニルピロリドン(平均分子量360,000ダルトン)を含有するHepes−CZBに細胞を移し、注入前3時間まで、室温で保持した。
例2
体細胞の調製
本例では、成体マウスから、セルトーリ細胞と脳細胞(ニューロン)を単離した。これらの細胞は、成体動物では分裂しないことが特徴であり、永遠に細胞周期がG0期のままであり続ける。
【0052】
精巣から精細管を単離し、1mgコラーゲナーゼ/mL Hepes−CZBの溶液に、30℃で20分間暴露した。続いて、かみそりの刃で管を細かく切り刻み、時折攪拌しながら、1mg/mLのトリプシンを含有するHepes−CZB中に置いた。その後、得られた懸濁物を静置した。セルトーリ細胞が豊富な画分が最初に落ち着いた。懸濁した細胞を吸引によって除去し、残りを再懸濁するために新鮮な培地を使用した。特徴的な形態的特徴を有するセルトーリ細胞は低倍率の顕微鏡下で容易に同定し得る。各セルトーリ細胞の操作は、大きな注入用ピペットを用いて行った(内径約10μm)。
【0053】
神経細胞は、成体のB6D2F1雌の大脳皮質から単離した。滅菌した鋏で脳組織を除去し、赤血球溶解緩衝液中で素早く洗浄し、室温にて核単離培地(NIM)の中で2〜3秒間、手でやさしくホモゲナイズした。核を除去されたレシピエント卵母細胞の中に導入する前に、注入用ピペットを用いて、生じた懸濁物から顕著な仁を保有する核を各別に採集した。
例3
体細胞の調製
繊維芽細胞は、成体B6C3F1マウスの尾から調製した。マウスから尾を分離し、その皮膚を除去し、小片に切断し、10%ウシ胎児血清(FCS,Hyclone,Logan,UT)を補充したダルベッコの改変イーグル培地(DMEM,Sigma)5mL中の組織培養皿の中に置いた。空気中5%CO2下、37.5℃で5〜7日インキュベートすると、多くの繊維芽細胞が前記皿の内部表面に沿って広がっているように見えた。幾つかの実験では、皿の中の培地は、無FCS DMEMに置き換えて、さらに3〜5日間培養した。前記皿から繊維芽細胞を剥がすために、培地を0.25%トリプシンと0.75mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA,Specialty Media, Lavallette, NJ)を含有する無Ca2+、無Mg2+リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)に置き換えた。10分後、皿の表面から細胞を外すために、2〜3分間ピペッティングすることによって培地を攪拌した。細胞を沈降させるために、培地を集めて遠心した(150×g、10分間)。続いて、DMEM培地中で遠心することにより細胞を3回洗浄した。
例4
体細胞の調製
成体の雌雄B6D2F1マウスから脾臓を取り出した。表面に接着している血液をCZB培地での洗浄によって除去した後、各脾臓を5mLのHepes−CZB培地中に置き、細胞を培地の中に分散させるために、小片に裂いた。
例5
体細胞の調製
成体の雌雄B6D2F1マウスから胸腺を取り出した。表面に接着している血液をCZB培地での洗浄によって除去した後、各胸腺を5mLのHepes−CZB培地中に置き、細胞を培地の中に分散させるために、小片に裂いた。
例6
体細胞の調製
雌又は雄(B6D2F1)マウスを安楽死させた後、皮下組織針を通して、その腹腔中に5mLの0.9%NaCl又はCZB培地を投与した。次に、腹部をマッサージして、針を通して培地を回収した。細胞を沈降させるために、腹腔マクロファージを含有する回収した培地を遠心した。続いて、Hepes−CZB培地の中に細胞を再懸濁した。
例7
成熟した未受精卵母細胞の核除去
本例では、マウスのMetII卵母細胞を採取、核除去し、続いて、圧電刺激したマイクロピペットを用いて、例1〜6の細胞から単離した核をマイクロインジェクトした。全ての卵母細胞の操作、培養、及び細胞核の挿入は、好ましくはE.R.Squibb and Sons, Princeton, NJから入手できるようなビタミンEを抗酸化剤として含有するミネラルオイルの層の下で行った。
【0054】
卵母細胞の核除去は、Prime Tech社(つくば、茨城県、日本)のPiezo MicromanipulatorモデルMB−Uを用いて、圧電的に駆動されたマイクロピペットによる吸引によって達成された。このユニットは、一度に極めて高速でピペットホルダーを極めて短い距離(およそ0.5μm)だけ進めるために圧電効果を使用している。パルスの強度とスピードは、コントローラーによって制御された。
【0055】
卵母細胞(eCGで感作された雌にhCGを投与してから13時間後に得られた)の卵丘を除去し、必要になるまで、空気中約5%(v/v)CO下、37.5℃でCZB培地中に保持した。5μg/mLのサイトカラシンBを含有するHepes−CZBの液滴(約10μL)の中に、予め顕微鏡ステージ上のオペレーションチャンバーに置かれた一群の卵母細胞(通常15〜20の数)を導入した。卵母細胞固定用ピペットによって卵母細胞を固定した後、核除去用ピペット(内径約10μm)の先端に圧電パルスを数回与えることによって、その透明帯に「穴を開けた(drilled)」。随伴する少量の卵細胞質とともに、卵細胞質中の半透明のスポットとして識別されるMetII染色体−紡錘糸複合体をピペットの中に吸いこんだ後、伸びた細胞質の橋が摘み取られるまで、卵母細胞から穏やかに引き離した。1つの群に属する卵細胞(通常、20卵母細胞)全てから核を除去した後(約10分かかった)、無サイトカラシンB−CZBの中に移し、37.5℃で2時間までそこに放置した。上述のように卵細胞を固定及び染色することによって評価したところによれば、核除去の効率は100%であった。
例8
成体体細胞核の核を除去された卵母細胞への挿入
上述のごとく調製した核を除去した卵母細胞の中にドナー核を注入するために、プラスチック皿(100mm×15mm;Falcon Plastics、 Oxnard、CA、カタログ番号1001)のカバー(深さ約5mm)を利用することによって、マイクロインジェクションチャンバーを調製した。2つの丸い液滴と1つの長く伸びた液滴からなる列を皿の中央線に沿って置いた。第一の液滴(約2μL;直径2mm)は、ピペット洗浄用であった(12%[w/v]PVP、平均分子量360,000ダルトンを含有するHepes−CZB)。第二の液滴(約2μL;直径2μm)は、Hepes−CZB中のドナー細胞の懸濁物を含有していた。第三の長く伸びた液滴(6μL;幅2mmと長さ6mm)は、卵母細胞用のHepes−CZB培地のものであった。これらの各液滴は、ミネラルオイルで覆われていた。皿は、ホフマン・モジュレーション・コントラス光学装置のついた倒立顕微鏡のステージに置いた。
【0056】
ドナー細胞核の卵母細胞へのマイクロインジェクションは、既述の圧電マイクロインジェクション法によって達成した。核は、それらの各体細胞から取り出し、それらの核が「裸」又はほぼ裸(すなわち、可視的な細胞質物質の大部分がなくなった)になるまで、注入用ピペット(内径約7μm)の内外への穏やかな吸引に供した。「堅固な」形質膜を有する細胞(例えば、尾の繊維芽細胞)に対しては、膜を破壊するために2〜3の圧電パルスを与えた。「裸の」核がピペットの中に深く吸いこまれた後、次の細胞を同じピペットの中に吸い込んだ。これらの核は、核を除去した卵母細胞の中に1つずつ注入された。
【0057】
核を注入するために、注入用ピペットの近位末端の近傍に少量(約0.5μL)の水銀を置き、続いて、上述の圧電駆動されたユニットにこれを接続された。ピペットの先端方向に前記水銀を押した後、少量の培地(約10pL)をピペットの中に吸った。
【0058】
核を除去した卵母細胞は、顕微鏡ステージ上、5μg/mLのサイトカラシンBを含有するCZB培地の液滴の中に載せた。注入用ピペットの先端を透明帯と密接させながら、固定用ピペットによって前記卵母細胞を固定した。ピペットを進ませるために、その中に軽い陰圧を与えながら、数回の圧電パルス(例えば、強度1〜2、スピード1〜2)を与えた。ピペットの先端が透明帯を通過したときに、ピペット中に存在する円柱片状の帯を卵黄周囲腔の中に排出した。注入用ピペットの先端に近づくまで、ドナーの核を前の方に押した後、その先端が卵母細胞の皮質の反対側にほぼ達するまで、ピペットを機械的に進ませた。1又は2の圧電パルスを与えることによって(典型的には、強度1〜2、スピード1)を与えることによって卵細胞膜を破裂させ、最少容量(約6pL)の随伴する培地とともに前記核を前記卵母細胞の中に排出した。時折、できるだけ培地を回収した。続いて、ピペットを穏やかに引き出して、卵細胞質に前記核を残した。各卵母細胞には1つの各を注入した。本方法によって、10〜15分以内におよそ5〜20の卵母細胞がマイクロインジェクトされた。全ての注入は、通常24〜28℃の範囲の室温で行った。全ての操作は、室温(24〜26℃)で行った。それぞれの核は、裸出後10分以内に、個別の核を除去した卵母細胞の中に注入された。
【0059】
図1Bは、注入から10分以内の被核除去卵母細胞中の丘細胞の核を示している。例2で記載したように調製したセルトーリ細胞と脳細胞の核も、丘細胞の注入について上述した方法によって、核を除去した卵母細胞の中に圧電マイクロインジェクションによって注入された。
【0060】
それぞれ例3、4、5、及び6に記載したように調製した尾の繊維芽細胞、脾臓細胞、胸腺細胞、及びマクロファージの核も、丘細胞の注入について上記した方法により、核を除去した卵母細胞への圧電的マイクロインジェクションによって注入された。
【0061】
続いて、注入された核を含有する幾つかの卵母細胞は、例9に記載されているようにすぐ活性化された。他の類似の卵母細胞は、活性化の前に、約6時間までの間インキュベートした。
例9
卵母細胞の活性化
体細胞核の注入後、いくつかの群の卵母細胞は、すぐに10mM Sr2+と5μg/mLのサイトカラシンBをともに含有する無Ca2+CZBの中に6時間置かれた。丘細胞の核を注入された被核除去卵母細胞のさらなる群を、約1〜約6時間、好ましくは約1〜約3時間の間、空気中の5%(v/v)CO下、37.5℃のCZB中に放置し、この間に前記卵母細胞中の核は脱凝縮し(decondense)、目で見える染色体に変化した。続いて、10mM Sr2+と5μg/mLのサイトカラシンBをともに含有する無Ca2+CZBの中で、6時間活性化するために、約6〜約7時間卵母細胞をインキュベートした。Sr2+処理は卵母細胞を活性化したのに対して、サイトカラシンBは、続く極体の形成を、それ故、染色体の放出を阻害し、このため、成体体細胞核の全染色体が、活性化された卵母細胞の細胞質中に残存することが保証される。丘細胞核を注入した被核除去卵母細胞の調査によって、染色体の凝縮は注入後1時間以内に起こることが明らかとなった(図1C参照)。無Sr2+培地中で1〜6時間インキュベートした後に、Sr2+とサイトカラシンBを含有する培地中で卵母細胞を活性化すると、それらの丘由来染色体が分離して(図1D参照)、正常な受精後に形成される前核に似た構造(ここでは、偽前核と称する)を形成した。固定と染色後にこのような卵母細胞47個を調べることによって、64%が2つの偽前核を有し(図1Eと1E’参照)、36%が3以上の偽前核を有することが示された。少なくとも1つの明瞭な偽前核を有する卵母細胞は、正常に活性化されているものと考えた。最初の卵割(cleavage)の前に固定されたこのような卵母細胞13個の染色体を分析することにより(データは示されていない)、85%が正常な二倍体の染色体数(2n=40)を有することが明らかとなった。
【0062】
空気中5%(v/v)CO下、37.5℃で、2〜8細胞又は桑実胚/胚盤胞段階に達するまで、Sr2+とサイトカラシンBが含まれていないCZBで、活性化された卵母細胞を洗浄し、培養した。
【0063】
図1Fは、核を除去した卵母細胞に丘細胞核を注入した後に作られる生きた胚盤胞を示している。
例10
胚の移植
それぞれ1日前に精管切除されたCD−1雄と交配したフォスターマザー(CD−1、アルビノ)の卵管又は子宮に、2〜8細胞の胚(活性化開始から24又は48時間後)を移した。3日前に精管切除された雄と交配したフォスターマザーの子宮に桑実胚/胚盤胞(活性化から72時間後)を移植した。丘細胞又は繊維芽細胞を核のドナーとして使用するときには、レシピエントの雌は、19.5dpcに安楽死させ、胎児の存在と着床部位についてそれらの子宮を調べた。もし存在すれば、生きた胎児は、他の授乳用フォスターマザー(CD−1)によって育てた。他の体細胞核(すなわち、脾臓と胸腺細胞及びマクロファージ)が使用されたときには、全てのレシピエント雌は、8.5〜12.5dpcに安楽死され、胎児の存在と着床部位についてそれらの子宮を調べた。
例11
DNAタイピング
以下の対照系統及び雑種からのDNAは、脾臓組織から得た:C57BL/6J(B6)、C3H/HeJ(C3)、DBA/2J(D2)、B6C3F1、及びB6D2F1.3匹の丘細胞ドナーの雌(B6C3F1)、3匹の卵母細胞レシピエント雌(B6D2F1)、及び3匹のフォスター雌(CD−1)からのDNAは、尾の先端の生検から調製された。6匹のB6C3F1由来のクローニングされた子孫から得た全DNAは、それらに付随する胎盤から調製した。
【0064】
マイクロサテライトマーカーとして、D1Mit46、DS2Mit102、及びD3Mit49、プライマー対(MapPairs)はResearch Genetics(Huntsville,AL)から購入し、PCR反応を30サイクル実施し、産物を3%アガロースゲル(Metaphor)によって分離し、エチジウムブロミド染色によって可視化したことを除いて、「Dietrich,W. et al., Genetics 131, 423−447(1992)」に既述されているようにタイピングを実施した。
【0065】
内在性のエコトロピックマウス白血病プロウイルスDNA配列(Emv座)は、「Taylor,B.A. and L.Rowe, Genomics 5,221−232(1989)」に記載されている方法に従って、診断用プローブpEc−B4にPvuII消化されたゲノムDNAをハイブリダイズした後に同定された。プローブの標識、サザンブロッティング、及びハイブリダイゼーション操作は、「Johnson,K.R. et al., Genomics 12,503−509(1992)」に既述のとおりであった。
例12
胎盤の検査
子宮内に満期の胎児(19.5dpc)が見出されたときには、胎盤を単離し、秤量し、その後組織学的に詳細な検査を行うためにブワンの溶液で固定した。一般的には、各宿主フォスターマザー中で、1又は2匹の着床したクローニングマウス子孫が満期に達した。本研究の間、クローニングされた胎児の胎盤は、正常な退治の胎盤よりも有意に大きいことに気付いた(表7参照)。大きな胎盤が、各子宮にいる胎児の数が少ない(正常な妊娠中には、各マウスの子宮には数匹、あるいは10匹にも及ぶ胎児がいる)ことに起因し得るという可能性を調べるために、以下のように正常な妊娠の同腹子の数を故意に減らした:C57BL/6雌マウスをC3H/He雄と交配した。次の日、卵管から全核を含有する卵を集め、1〜2の胚だけを着床させるために、2〜3の卵を偽妊娠している各フォスターマザー(CD−1)の卵管に移植した。胚と胎盤を19.5dpcに秤量した。
結果
丘細胞の核を用いたクローニング 丘細胞からの核を注入した宿主の被核除去卵母細胞の着床前の発育が、表1に示されている。注入直後に活性化刺激を与えられた182個の卵母細胞のうち、153(84.1%)が首尾よく活性化され、生存した。これらの153個の卵母細胞のうち、61個がインビトロで桑実胚/胚盤胞まで成長した。しかしながら、注入から1〜3時間後に活性化された508個の注入された卵母細胞のうち474個(93.3%)、及び注入から3〜6時間後に活性化された182個の注入された卵母細胞のうち151個(83.0%)が上手く活性化され、生存した。これらのうち、それぞれ、277個(58.4%)と101個(66.9%)がインビトロで桑実胚/胚盤胞まで発育した。それ故、核を注入してから1〜6時間後に活性化したときには、注入直後に活性化された卵母細胞に比べて、有意に高い比率で卵母細胞がインビトロで桑実胚/胚盤胞まで成長し(p<0.005>、これらの実験における核の注入と卵母細胞の活性化との時間的な間隔は卵母細胞の発育の割合に影響を与えるようである。
【0066】
丘細胞の核を注入された宿主の被核除去卵母細胞の発育が、表2に示されている。第一の実験シリーズ(シリーズA)では、発育している計142個の胚(2細胞から桑実胚/胚盤胞の段階にある)を16匹のレシピエント雌に移植した。これらの雌を交尾後8.5及び11.5日(dpc)に調べると、子宮の中には、5匹の生きた胎児がおり、5匹の死んだ胎児がいた。第二の実験シリーズ(シリーズB)では、計800個の胚が54匹のフォスターマザーに移植された。18.5〜19.5dpcに帝王切開を行い、17匹の生きた胎児を見出した。これらのうち、6匹は出産後すぐに死亡し、1匹は出産から約7日後に死亡したが、残りの10匹の雌は生存し、見かけは健康である。長子(「キュムリナ」と名付けられ、図2Aでは彼女のアルビノのフォスターマザーとともに、写真の前方にいる)を含めて、これらは全て交配、出産し、正常な子孫を育てた。図2Bは、CD−1(アルビノ)雄と交配した後に彼女が出産した子供と、2.5月齢のキュムリナの写真である。これらの子孫のうちの幾つか、順にいまでは稔性のある成体に成長した。
【0067】
第三の実験シリーズ(表2のシリーズC)では、核を除去したB6D2F1の卵母細胞にB6C3F1の丘細胞の核を注入した。B6D2F1マウスは黒であるのに対して、B6C3F1マウスは、agoutiA遺伝子のコピーを有しており、そのためアグーチである。この実験で得られる子孫は、それ故、B6D2F1卵母細胞ドナーの黒よりもむしろ、アグーチ毛の色を有している。B6C3F1丘細胞核に由来する計298の胚を18匹のフォスターマザーに移植した。19.5dpcに行った帝王切開によって、6匹の生きた胎児が明らかになり、その胎盤をDNAタイピング分析に使用した(上記例6参照)。誕生から1日後に1匹死亡したが、現存する5匹の雌は健康であり、アグーチ毛の表現型を有している。図2Cは、写真中央にいるそれらのアルビノのフォスターマザー(CD−1)とともに、このようなクローニングされたアグーチの子供2匹を示している。写真の左側には、対応するアグーチB6C3F1の丘ドナーがいる。クローニングされた子供(中央)は、丘ドナーの一卵性「双生児の」姉妹(すなわち、彼女達はクローンである)のようである。B6D2F1の卵母細胞ドナー(黒)は、写真の右に示されている。
【0068】
その後の再クローニングのラウンドでクローンが効率的にクローニングされ得るかどうかを調べるために、さらなる実験(表2のシリーズD)を行った。この実験では、シリーズCで作成したB6C3F1(アグーチ)のクローンから丘細胞を採集し、シリーズA−Cの記載どおりに移植した胚を作成するために核を除去したB6D2F1卵母細胞の中にそれらの核を注入した。クローニングされたB6C2F1丘細胞核に由来する計287個の胚を18匹のフォスターマザーに移植した。19.5dpcに帝王切開を行うと、8匹の生きた胎児が得られた。1匹は誕生後すぐに死亡したが、生存した7匹の雌は健康であり、予想されたアグーチ毛の表現型を有している。これらの結果は、クローン(シリーズBとC)及びクローニングされたクローン(シリーズD)が同じような効率で作成されることを示唆している。続いて、シリーズD(データは示されていない)からの動物を丘染色体ドナーとして用いて、この工程を繰り返すことが可能であり、クローニングされたクローンが誕生する(3代目のクローン)。それ故、連続した世代のクローンは、クローニング工程の結果に影響を与える変化(正又は負の何れか)を受けることはないようである。
【0069】
クローンが丘細胞ドナーと遺伝的に同一であることの確認 図4A、4B、及び4Cに示されているように、ドナーとシリーズCの子孫のDNAタイピングは、クローニングされた子孫が丘細胞ドナーと遺伝的に同一であること、及び卵母細胞のドナー、宿主フォスター雌と同一でないことを支持している。C57BL/6、C3H、DBA/2、及びCD−1マウス系統の指標である高度に多様な対立遺伝子(系統特異的なマーカー)を用いて、DNAのPCRタイピングを利用した。これらの系統、又はそれらのF1雑種をこの研究で使用し、それ故、それらを併せれば、存在する全ての遺伝子型を占める。全ての図で、6匹のクローニングされたシリーズCの子孫(レーン10〜15)からの胎盤DNAを、3匹の丘細胞ドナー雌(B6C3F1、レーン1〜3)、3匹の卵母細胞ドナー雌(B6D2F1、レーン4〜6)、及び3匹の宿主雌(CD−1、レーン7〜9)から得た胎盤DNAと比較した。対照DNAは、C57BL/6(レーン16)、C3H(レーン17)、DBA/2(レーン18)、B6C3F1(レーン19)、及びB6D2F1(レーン20)からのものであった。図4Aと4Bは、アガロースゲル及び系統特異的なマーカーD1Mit46及びD2Mit102を利用したDNAタイピングの結果を示しており、図4Cは、サザンブロット分析及び系統特異的なEmv座(Emv1、Emv2、及びEmv3)マーカーを利用したDNAタイピングの結果を示している。
【0070】
これらの図に示されたデータは、丘細胞核のドナーと推定クローンとの遺伝的な重なり(superimposability)、及び卵母細胞ドナー又はフォスターマザーの何れかとの遺伝的非同一性を示している。それ故、6匹のクローニングされた各マウスのゲノムは、丘細胞の核に由来していた。
【0071】
ここで報告したシリーズB〜Dの生きた子孫が全て、専ら丘細胞の染色体に由来するクローンであることは、幾つかの点から確認される。(1)卵母細胞/卵は、インビトロで精子に晒されなかった。(2)フォスターマザー(CD−1、アルビノ)は、不稔性が証明された精管切除した雄(CD−1、アルビノ)と交配された。このような精管切除した雄による受精という考えにくい現象においては、子孫はアルビノだろう。(3)2〜8細胞の胚又は胚盤胞が、フォスターマザーの卵管/子宮に移植された。2〜8細胞のマウス胚/胚盤胞が精子による受精に全く応答しないことは十分に確立されている。(4)満期の動物は全て、黒い目で生まれた。シリーズBからの生存した10匹は黒い毛を有し、シリーズCの生存した5匹はアグーチ毛を有している。このような毛の色の遺伝パターンは、それぞれのケースにおける核ドナーの遺伝子型によって予想されたものと正確に一致する。B6D2F1マウスは、agoutiA遺伝子を欠くので、シリーズCのアグーチマウスは、非B6D2F1核からのアグーチ毛の色を受け継いでいなければならない。(5)ここで使用したB6、C3、D2、及びCD−1系統の指標となる高度に多様な対立遺伝子のDNAタイピング(図4)は、合理的な疑いを超えて、シリーズCの6匹のクローニングされた子孫(誕生直後に死亡した1匹を含む)が、使用した3匹の丘細胞ドナーの雌(B6C3F1)と同系であり、卵母細胞ドナー(B6D2F1)又は宿主フォスターマザー(CD−1)の何れかに由来するDNAを含有していないことを実証している。(6)核を除去した後、染色体の極体への放出が、サイトカラシンBを用いることによって抑制された。このため、もし卵母細胞の核除去が、全く不成功であるか、部分的にしか成功していなければ、全ての胚は高倍数体(hyperploid)のはずであり、正常な子孫に成長しないであろう。(7)204の卵母細胞から核を除去し、固定と染色後に調べた予備実験では、染色体が全くなく、染色体の除去効率が99.99%を超えることが示唆された。
【0072】
例1では、用いた細胞のタイプは、非常に高い確度で、丘細胞と同定された。該細胞は、インビトロで培養されなかった。丘細胞の核が、核を除去したMetII卵母細胞の細胞質内部で凝縮した染色体に変化するのに十分な時間が与えられた。胚が桑実胚/胚盤胞に成長する割合及び着床の割合は、極めて高かった。核の注入と卵細胞の活性化との時間を延長することは、着床前と着床後の発育の両者にとって有益であり(表1と2参照)、丘細胞の遺伝子が胚の発育の再プログラミングをする機会を増大させたかもしれない。
【0073】
圧電マイクロマニピュレーターの使用も胚の高い発育率に寄与したと考えられる。この装置によって、卵母細胞とドナー細胞の操作(例えば、卵母細胞の核を除去するために透明帯に穴を開けること、及びドナー細胞の核を注入すること)が極めて迅速且つ効率的に行われ得る。圧電駆動ピペットを用いて卵母細胞の中にドナー核を導入することは、圧電パルス、センダイウイルス、又はポリエチレングリコールの使用に比べて卵母細胞に外傷を与えることが少ないようであり、体細胞核を卵母細胞の細胞質中に直接導入することを可能とする。また、核を除去した卵母細胞に導入された体細胞の細胞質の量は、マイクロインジェクションによって最少になった。これも、本発明における胚の高い着床前発育に寄与したかもしれない
セルトーリと脳細胞の核を用いたクローニング セルトーリ細胞の核と脳細胞の核を注入した被核除去卵母細胞のうち約63(40%)及び50(22%)が、それぞれインビトロで、桑実胚/胚盤胞まで発育し、これらのうち、それぞれ59及び46がレシピエントのフォスターマザーの子宮に移植された。図3は、セルトーリ細胞の核を核除去した卵細胞の中に注入した後の被移植胚の発育を示している。図3Aは、8.5dpcでのレシピエントの子宮の写真である。しかしながら、全ての子宮着床部位は、8.5dpcに安楽死させたフォスターマザーの子宮に見出された1匹の生きた胎児(図3B)を除いて、発育することができなかった(表3)。脳細胞の核を注入した核除去された卵母細胞は何れも6〜7dpcを超えて発育しなかった(表3)。このため、本発明の方法は、セルトーリ細胞又は脳細胞の核を注入した卵母細胞の胚及び胎児の発育を与えた。
成体繊維芽細胞の核を用いたクローニング
B6C3F1成体雄(アグーチ)の尾から得た繊維芽細胞の核をB6D2F1雌(非アグーチ)の被核除去卵母細胞に注入した実験の結果が、表5に示されている。示されているように、血清を含有する培地中で培養された繊維芽細胞を注入した活性化された卵母細胞の約50%が、桑実胚/胚盤胞段階まで発育した。これらのうち、177の2細胞又は桑実胚/胚盤胞段階の胚がレシピエントフォスターマザーに移植され、1.1%の胚が満期に達した(すなわち、2匹の生きた子孫が生まれた)。無血清培地中で培養された繊維芽細胞を注入した活性化された卵母細胞のうち約58%が、桑実胚/胚盤胞段階まで発育した。これらのうち、97の2細胞又は桑実胚/胚盤胞段階の胚がレシピエントフォスターマザーに移植され、1.0%の胚が満期に達した(すなわち、1匹の生きた子孫が生まれた)。全ての生きた子孫は、繊維芽細胞の核のドナーと同じように、雄で、黒い目とアグーチ毛の色を持っていた。上記子孫は全て交配すると稔性があることが証明された。繊維芽細胞は、無血清培地で培養されると、有血清培地で培養されるとにかかわらず、得られる生きた子孫の数には殆ど又は全く差が生じないようであった。
成体の脾臓、胸腺、及びマクロファージの核を用いたクローニング
成体の脾臓、胸腺、又はマクロファージ細胞の核を受容した核が摘出された卵母細胞の発育も表4に示されている。これらの研究では、胸腺細胞は、3.1%の活性化された卵母細胞の桑実胚/胚盤胞への発育を支持したが、この段階を超えて発育したものはなかった。
【0074】
脾臓細胞の核は、21〜22%の活性化された卵母細胞が桑実胚/胚盤胞段階に成長する胚段階の発育を支持した。多くは移植後に着床したが、それらは、6〜7dpcまでに再吸収されるようであった。
【0075】
マクロファージの核は、23〜31%の活性化された卵母細胞が桑実胚/胚盤胞に成長する胚段階の発育を支持したが、胚は吸収されるか、又は6〜7dpc以前に発育を停止した。
【0076】
このように、本発明の方法は、胸腺、脾臓、又はマクロファージ細胞の核を注入した卵母細胞の胚段階及び胎児段階の発育を与えた。これらの研究では、成体動物から得た胸腺、脾臓、及びマクロファージの核は、丘細胞の核又は繊維芽細胞の核に比べて、胚段階の発育に対して、より限定的な支持を示したので、これらの細胞からの核は、生きた子孫の発育を支持し得るが、他の成体細胞からの核に比べてより低い効率で支持するようである。
マウスの純系及び雑種系統から得た丘細胞核を用いたクローニング
3つの異なる純系及び2つの雑種系マウスから得た丘細胞を被核除去卵母細胞中に注入した実験を行った。結果を表6に示す。純系マウス(C57BL/6、C3H/He、及びDBA/2)の丘細胞を雑種(B6D2F1)卵母細胞に注入すると、幾つかの卵母細胞は、正常な見かけの胚盤胞まで成長し、1匹(DBA/2×B6D2F1)が満期の生きた子孫まで成長した。対照的に、雑種B6D2F1とB6C3F1のマウスから得た丘細胞の核を、それぞれ同じ雑種マウスの核除去卵母細胞中に注入すると、合計41の生きた子孫(移植された胚の2%〜4%)が得られた。これらの子孫は全て雌であった。これらは、丘細胞核のドナーと同じく、黒い目と同じ毛の色を有していた。
クローニングされたマウス対正常なマウスの妊娠の胎盤重量の差
我々の研究の間、クローニングされたマウスと正常なマウスの妊娠には、胎盤の重量に関して顕著な差が見られた。表7に示されているように、クローニングされたマウスの平均胎盤重量は、0.25〜0.33gであったのに対して、同じ数の胎児を有する対照(正常)胎盤の平均胎盤重量は約0.12〜0.15gであり、これは、クローニングされたマウスの胎盤重量の約半分であった。
【0077】
我々は、以下の理由により、ここで報告する生きた子孫は全て、遺伝的な夾雑が存在しない、成体の体細胞核、特に丘細胞と繊維芽細胞由来のクローンであると信じている。(1)卵母細胞/卵は、決して実験の間インビトロで精子に晒されていない。哺乳類では、そのままの卵母細胞が精子なしに満期まで発達することはあり得ない。(2)フォスターマザー(CD−1)は、不稔性が証明された精管除去した雄(CD−1、アルビノ)と交配された。たとえ、精管除去された雄が射精し、CD−1卵母細胞を受精させたとしても、それらの子孫は全てアルビノであるはずである。再構築された2〜8細胞胚又は胚盤胞は、フォスターマザーの卵管/子宮に移植された。このような発育中の胚は、たとえ、精管切除した雄が射精したとしても、決して精子によって受精されないであろう。(3)全ての満期動物は、黒い目(アルビノではない)を持って生まれ、毛の色の遺伝パターンは、各ケースで核のドナーの遺伝子型によって予想されるパターンと正確に一致している。B6D2F1マウスは、卵母細胞のレシピエントに使用されたagouti遺伝子を欠如している。それ故、アグーチの子孫を得る唯一の方法は、B6C3F1マウスからのドナー細胞核(例えば、尾の繊維芽細胞と幾つかの丘細胞)を介することである。(4)クローニングされたマウスの性別は、ドナーマウスの性別と一致していた。雌の丘細胞から得られたクローンは全て雌であった。雄の尾の繊維芽細胞から得られたクローンは全て雄であった。(5)極体への染色体の放出は、サイトカラシンBの使用によって抑制された。このため、たとえ卵母細胞の核除去が、全く不成功であるか、部分的にしか成功していなくても、全ての接合体は高倍数体のはずであり、このような胚は、正常な子孫に成長することができない。
【0078】
ここに、本発明の方法が、成体丘細胞と成体繊維芽細胞の核から生きたクローニングされたマウスの子孫を得るために使用できることが実証された。成功率は、3%にまで及んだ。現在まで、丘細胞の核を用いた場合、本方法が最も上手くいく。この理由は定かではない。各マウスの卵母細胞は、約5,000の丘細胞に囲まれている(データは示されていない)。丘細胞は全て、小胞の発育を通じて、ギャップジャンクションを介して互いにコミュニケートすることが知られている。卵母細胞に最も近いもの(縫線冠細胞)は、ギャップジャンクションを介して卵母細胞と接している。理論に拘泥するものではないが、卵母細胞と周囲の丘細胞との間でイオンと小分子(<2,000Mr)の著しい交換が起こっていると考えられる。これは、核を除去された卵母細胞の細胞質の中でゲノムがより容易に「再プログラム可能」になるように丘細胞の遺伝子に影響を与え得る。
【0079】
雑種マウスの丘細胞核が対応する雑種マウスの核を除去された卵母細胞中に注入されたときに、本発明の方法によって最良のクローニング結果が得られることが明らかとなった。唯一の例外は、dBA/2丘細胞核が雑種(B6D2F1)卵母細胞に注入されたケースであった。現時点では、純系マウスの丘細胞の核が何故胚の着床後の発育を一般に支持できなかったは分からない。MannとStewart(Development 113, 1325−1333(1991))は、無配偶子生殖の凝集キメラの発育可能性は、幾分、マウスの系統に依存することを報告している。さらに、マウスの雑種の胚は純系のマウスの胚よりもインビトロで培養するのがずっと容易であることが周知である(Suzuki,et al.(1996)Repord.Fertil.Dev.8,975−980)。ヘテローシスはクローニングされた胚の発達を満期まで促進するようである。
【0080】
成体の雄の繊維芽細胞を用いた本発明の方法によって、3匹の生きたクローニングされたマウスが産生された。以前は、ヒツジをクローニングするのに成功するキーは、ドナー細胞をG0相の細胞周期にすることであると主張されていた。例えば、Wilmutらは、それらを「飢餓状態」にするために無血清培地中で細胞を培養することによってこれを行った。本実験では、無血清培地中で成体の繊維芽細胞を培養することには、クローニングの成功率を増加させる顕著で有益な効果はないようであった。クローニングされたウシは、血清と共に培養された胎児細胞から得られたことも報告され得ている(Cibelli et al., Science 280, 1256−1258(1998))。活発に分裂している細胞集団は、核の移植後に満期まで発育を支持することができ、血清の飢餓状態は、少なくともマウスのモデルでは必要な処理ではないようである。
【0081】
本実験では、全てのクローニングされた胎児が、正常な胎盤よりほぼ2倍大きな胎盤を有することが見出された。時々、識別可能な胎児がない大きな胎盤が見受けられた(データは示されていない)。大きな胎盤は、極めて幼い小さな卵母細胞と融合された成熟な卵母細胞から発育した2倍体の単為生殖の胚に、Konoら(Nature Genet. 13,91−94(1996))によっても注目されていた。妊娠から13.5日目に、これらの単為生殖の胚は、極めて大きな胎盤を有していた。Konoらは、母親の対立遺伝子からの遺伝子の発現がないことが、正常なマウスと比べて胚及び胎盤の発育が増加したことを説明し得る。他の幾つかの遺伝子が、母親で発現されるMash2(Guillemot etal.,(1995).Nature Genet.9、235−242)、及び極栄養外胚葉細胞の増殖に必要な父親で発現される(母親では抑制されている)遺伝子(Braton, et al., J.Embryol.Exp.Morphol.90,267−285(1985))のように、特に胎盤の発育に重要であり得る。さらに、誕生の直後に死亡した幾つかのクローニングされたマウスは、他のマウスよりも体重が重かった。さらに、Katoら(Science 282,2095−2098(1998))によって報告されているように、体細胞に由来する死亡したクローニングされたウシは、生きたウシに比べて大きい傾向があった。このことは、核の移植後における体細胞の核の再プログラミング中に、幾つかの遺伝子が、正常に機能するように完全に完成又は再プログラムされていないことを示唆するであろう。理論に拘泥するものではないが、これらの知見は、刷り込まれた遺伝子発現に起こり得る変化と一致するであろう。
【0082】
好ましい実施態様を参照しながら、本発明をここに記載したが、本発明を具体的に開示した形式に限定することを意図したものではないことを理解しなければならない。逆に、本発明の精神と範囲に属する多種多様な修飾と代替型の全てをカバーすることを意図している。
【表1】
Figure 0003739652
【0083】
【表2】
Figure 0003739652
【0084】
【表3】
Figure 0003739652
【0085】
【表4】
Figure 0003739652
【0086】
【表5】
Figure 0003739652
【0087】
【表6】
Figure 0003739652
【0088】
【表7】
Figure 0003739652
【0089】
本特許の出願には、少なくとも1つのカラーで政策された図面を含んでいる。カラー図面の付いた本特許のコピーは、必要な料金を支払って請求すれば、米国特許商標庁から入手できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、丘細胞によって囲まれた生きた排卵された卵母細胞の顕微鏡写真である。卵被膜(egg coat)、透明帯は、卵母細胞周囲の比較的きれいなゾーンとしてみられる。
図1Bは、核を除去した卵母細胞の細胞質中に丘細胞の核を注入してから10分以内に撮られた顕微鏡写真であり、卵母細胞の細胞質内に元通りの損なわれていない丘細胞の核が示されている。丘細胞の核を注入した卵母細胞を固定、染色し、位相差顕微鏡を用いて写真撮影した。
図1Cは、核を注入してから3時間後に、明らかに無秩序な染色体の中に核が転換していることを示す顕微鏡写真である。この無秩序は、単一の凝縮したクロマチドが各々接着して、一本の紡錘となり、それ故、中期板(metaphase plate)上に配列されている異常な状況を反映している。
図1Dは、2つの群に分離された染色体を示している、Sr2−による卵母細胞の活性化から1時間後に撮られた顕微鏡写真である(mb=midbody(中央体))。
図1Eと1E’は、卵ごとに識別できる様々な数の明瞭な仁様構造を有する2つの偽前核を示している、Sr2+で卵母細胞を活性化してから5時間後に撮られた顕微鏡写真である。偽前核のサイズと数は様々であり、卵母細胞の活性化の後のランダムな染色体の分離を示唆している。
図1Fは、核を除去した卵母細胞に丘細胞の核を注入した後に生じた生きた胚盤胞の顕微鏡写真である。
【図2】 図2Aは、4週齢の(クローニングされたマウス)キュムリナ(Cumulina)(前景)と彼女のフォスターマザーの写真である。
図2Bは、2.5月齢のキュムリナとCD−1(アルビノ)雄と交配した後に彼女が出産した子の写真である。
図2Cは、彼らのアルビノのフォスターマザー(CD−1)の前にいる2匹のB6C3F1由来のクローニングされたアグーチの子供(中央)、B6D2F1卵母細胞ドナー(黒、右)、及びB6C3F1丘細胞のドナー(アグーチ、左)の写真である。中央にいる2匹のアグーチの子孫は、アグーチ丘細胞のドナーのクローン(一卵性「双生児」の姉妹)であり、シリーズC(本文参照)と表2に記載された子孫のうちの2匹である。
【図3】 図3は、セルトーリ細胞の核を核除去した卵母細胞に注入した後に得られた胚を子宮に移植した後の発育を示している。図3Aは、ブワン液で固定し、脱水し、ベンジルベンゾエートで清浄化した、交尾から8.5日後(dpc)のレシピエントとなった雌の子宮の顕微鏡写真である。全ての子宮の着床部位は、胚(図3B)が正常に見受けられ、概十二体節段階にある1つを除いては(矢印)発育しなかった。
【図4】 図4は、クローニングされた子孫と丘細胞ドナーとの遺伝的同一性及び卵母細胞ドナーと宿主となった育ての雌との非同一性を支持するシリーズC(本文及び表2参照)のドナーと子孫のDNAタイピングを表している。6匹のクローニングされたシリーズCの子孫からの胎盤DNA(レーン10〜15)を、丘細胞ドナーとなった3匹の雌(レーン1〜3)、卵母細胞レシピエントとなった3匹の雌(レーン4〜6)、及び宿主となった3匹の雌(レーン7〜9)からのDNAと比較した。対象DNAは、C57BL/6(レーン16)、C3H(レーン17)、DBA/2(レーン18)、B6C3F1(レーン19)、及びB6D2F1(レーン20)からのものであった。100塩基対(bp)DNAサイズマーカーのラダーが、図4Aと4Bの左側に示されている。図4Aは、系統特異的なマーカーD1Mit46を用いたPCRタイピングを示している。図4Bは、系統特異的なマーカーD2Mit102を用いたPCRタイピングを示している。F1ハイブリッドマウスからのPCR増幅されたDNA(図4Aと図4B)は、近親交配の親系統からのDNA(レーン16〜20)には見られないさらなるゲルバンドを示している。この余分なバンドは、そのコンフォメーションが変則的なゲルの移動をもたらす2つの親産物に由来するヘテロ二本鎖に対応している。図4Cは、系統特異的なEmv座(Emv1、Emv2、及びEmv3)のサザンブロットタイピングを示している。
【図5】 図5は、本発明のクローニング操作の模式図である。

Claims (25)

  1. 非ヒト哺乳類をクローニングする方法であって、
    (a)成体非ヒト哺乳類の丘細胞から体細胞核を収集する工程と;
    (b)核を除去した非ヒト哺乳類卵母細胞の中に、染色体を含む前記体細胞核の少なくとも一部を挿入して、再有核化された非ヒト哺乳類卵母細胞を形成する工程と;
    (c)前記体細胞核を挿入する前又は後に、一定の期間、前記卵母細胞中の微小管および/または細糸の集合体の形成を崩壊させて、極体形成を抑制する工程と;
    (d)前記再有核化された非ヒト哺乳類卵母細胞を胚に成長せしめる工程と;
    (e)該胚を生きた子孫に発育せしめる工程と
    を備えた方法。
  2. 前記体細胞核が2n染色体を有する丘細胞から収集される、請求項1の方法。
  3. 前記体細胞核が2C〜4Cの丘細胞から収集される、請求項1の方法。
  4. 前記体細胞核が、前記核を除去した卵母細胞の細胞質中に挿入される請求項1の方法。
  5. 挿入する工程がマイクロインジェクションによって達成される請求項4の方法。
  6. 前記マイクロインジェクションが、圧電駆動されたマイクロインジェクションである請求項5の方法。
  7. 前記核を除去した卵母細胞が第2減数分裂の中期で停止している請求項1の方法。
  8. 前記体細胞核を挿入する前、又はその間、又は後に、前記卵母細胞を活性化する工程をさらに備えた請求項1の方法。
  9. 前記活性化工程が、前記体細胞核の挿入から0乃至6時間後に起こる請求項8の方法。
  10. 前記活性化工程が、前記体細胞核の挿入の前に起こる請求項8の方法。
  11. 前記活性化工程が、電気的活性化、又は化学的活性化物質への暴露を備えた請求項8の方法。
  12. 前記化学的活性化物質が、エチルアルコール、精子の細胞質因子、卵母細胞受容体リガンドペプチドの模倣物、Ca2+放出の薬学的刺激物質、Ca2+イオノフォア、ストロンチウムイオン、リンタンパク質シグナリングの制御物質、タンパク質合成の阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項11の方法。
  13. 前記化学的活性化物質が、カフェイン、Ca2+イオノフォアA 23187、エタノール、2−アミノプリン、スタウロスプリン、スフィンゴシン、シクロヘキミド、イオノマイシン、6−ジメチルアミノプリン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項16の方法。
  14. 前記活性化物質がSr2+を含む請求項12の方法。
  15. 前記卵母細胞中の微小管の集合体の形成を崩壊させる一定の期間が、0〜6時間である請求項1の方法。
  16. 前記微小管の集合体の形成が 、サイトカラシンB、ノコダゾール、コルヒチン、およびそれらの組み合わせからなる群からの選択によって崩壊される請求項1の方法。
  17. 前記微小管形成がサイトカラシンBによって崩壊される請求項16の方法。
  18. 前記卵母細胞中の細糸の集合体の形成を崩壊させる一定の期間が、0〜6時間である請求項1の方法。
  19. 前記細糸が、サイトカラシンD、ジャスプラキノリド、ラトゥルンキュリンA、又はそれらの組み合わせによって崩壊される請求項1の方法。
  20. 胚を生きた子孫に発育させる工程が、雌の代理レシピエントに胚を移植するサブステップをさらに備え、前記胚が生きた胎児に発育する請求項1の方法。
  21. 前記挿入工程が、前記卵母細胞の細胞質中に試薬を挿入することをさらに備えた請求項1の方法。
  22. 前記試薬が、外因性タンパク質、外因性タンパク質の誘導体、抗体、薬学的物質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項21の方法。
  23. 前記挿入工程が、外因性核酸又は外因性核酸の誘導体を前記卵母細胞の細胞質中に挿入することをさらに備えた請求項21の方法。
  24. 前記非ヒト哺乳類が、霊長類、ヒツジ、ウシ、ブタ、クマ、ネコ、イヌ、ウマ、及び齧歯類からなる群から選択される請求項1の方法。
  25. 前記哺乳類が、マウスである請求項24の方法。
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