JP2002125669A - 多重包埋処理胚 - Google Patents

多重包埋処理胚

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JP2002125669A
JP2002125669A JP2000325845A JP2000325845A JP2002125669A JP 2002125669 A JP2002125669 A JP 2002125669A JP 2000325845 A JP2000325845 A JP 2000325845A JP 2000325845 A JP2000325845 A JP 2000325845A JP 2002125669 A JP2002125669 A JP 2002125669A
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JP2000325845A
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Akira Onishi
彰 大西
Hirobumi Hanada
博文 花田
Masaki Iwamoto
正樹 岩元
Atsushi Mimatsu
淳 三松
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PRIMETECH KK
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NATL INST OF ANIMAL INDUSTRY
PRIMETECH KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 核移植胚を用いた体細胞核直接注入法による
クローン豚をはじめとするクローン非ヒト動物の作出方
法等に特に有利に用いることができる、クローン胚を効
率よく桑実胚や胚盤胞まで生育させることができる多重
包埋処理胚を提供すること。 【解決手段】 アルギン酸又は寒天等の包埋剤を用い
て、哺乳動物由来の胚に2回以上、好ましくは3回の包
埋処理を施し多重包埋処理胚を得る。2回以上の包埋処
理を行う際には、包埋剤の濃度を順次高めていく包埋処
理が好ましい。包埋処理が施される胚の具体例として
は、採取した豚等の非ヒト動物の卵子から除核し、該除
核された卵子に非ヒト動物の体細胞核を注入した核移植
胚を挙げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数回の包埋処理
が施された多重包埋胚、詳しくは、核移植胚を用いた体
細胞核直接注入法によるクローン豚の作出方法等に特に
有利に用いることができるアルギン酸等による多重包埋
胚に関する。
【0002】
【従来の技術】動物の卵子が受精して受精卵が生じ、こ
の受精卵が分裂して発生していく段階の個体は胚(embr
yyo)と呼ばれているが、従来、かかる胚をアルギン酸
や寒天等により包埋する技術は知られている。例えば、
CB6F1マウス及びゴールデンシリアンハムスターを
用いて、インビトロにおける胚卵割率、着床率、生児出
生率に関し、齧歯目胚のアルギン酸ナトリウムカプセル
化の影響及びインビボにおけるカプセルの分解速度を調
べ、3.0%アルギン酸ナトリウムによる齧歯目動物胚
のカプセル化は、胚の発達、着床率、又は生存率に対し
て悪影響を与えないことや、挿入後48時間以内に分解
するので、インビトロにおけるヒトの受精及び胚着床に
有用であることが報告されている(FERTILITY AND STER
ILITY,59,652-656,1993)。
【0003】ヤギ幼胚の二分割胚の凍結保存における寒
天の影響を調べ、二分割胚を寒天で固定したもの又は固
定しないものの両方を凍結保存し、解凍後、損傷のない
もの及び一部損傷のあるものをレシピエントの子宮に移
植したところ、前者では解凍後も損傷を受けていないも
のが50%の割合で得られたが、後者では解凍後も損傷
を受けていないものが5%であったことが報告されてい
る(THERIOGENOLOGY,28,317-322)。ホルスタイン雌牛
の二分割胚の凍結解凍時におけるポリリジン/アルギン
酸膜の包埋効果について調べ、二分割胚をポリリジン/
アルギン酸膜で包埋すると、対照に比べて高い形態学上
のスコアを示すことが報告されている(THERIOGENOLOG
Y,29,262,1988)。
【0004】ウサギ胚の凍結を成功させるためには、凍
結融解に際しての透明帯の割断損傷を回避することが不
可欠であるとし、凍結融解によって生じる非細胞性成分
(透明帯及びムチン被膜)の損傷及びインビボとインビ
トロにおける融解後の胚の生存性に関し、アルギン酸カ
ルシウムゲル封入の保護効果について調べ、2%アルギ
ン酸ナトリウムを含むリンガー液に浸したウサギ桑実胚
を110mMの塩化カルシウム溶液の中に投入すること
により得られたアルギン酸カルシウムゲル封入胚は対照
に比べて、胚の非細胞性成分(透明帯及びムチン被膜)
の損傷の発生が減少し、またアルギン酸カルシウムゲル
から解放された凍結融解胚の生存率が向上し、凍結前に
ウサギ胚をアルギン酸ゲルに封入することにより融解後
の移植できる胚の比率が改善されることが報告されてい
る(THE JOURNAL OF EXPERIMENTAL ZOOLOGY,254,186-19
1,1990)。
【0005】他方、哺乳類の体細胞からのクローン動物
の作出は困難と考えられていたが、1996年にCampbe
llらのグループは羊の胚由来の培養細胞(継代6〜13
代)を血清飢餓状態にして細胞周期をG0期とし、この
細胞の核を移植することにより産仔の獲得に成功し、ほ
ぼ無限に増やせる培養細胞でもクローン個体を作出する
ことができることを示した(Nature,380,64-66,1996) 。
1997年、Wilmutらは同様な手法を用いて、培養した
乳腺細胞及び線維芽細胞を血清飢餓状態にし、一例では
あるがクローン羊ドーリーの作出を報告した(Nature,38
5,810-813,1997) 。クローン羊ドーリーの作出法は、除
核した羊の卵母細胞と雌羊由来の細胞を電気的に融合す
ることにより核移植するものであるが、かかる細胞融合
による核移植では、ドナー細胞の核だけでなく、その細
胞質までも卵子に導入されることが避けられないといわ
れている。その他、細胞融合による核移植に関しては、
乳より分離した乳腺由来の細胞をG0期に同調した後、
電気的融合効率を高めるため30〜120分間トリプシ
ン処理を行い、かかる細胞を用いて核移植するクローン
牛の作出方法が知られている(特開平11−34193
5号公報)。
【0006】また、体細胞核を除核卵母細胞に直接注入
するクローン動物の作出については、若山らがクローン
マウスの作出方法について報告している(Nature,394,36
9-374,1998)。このクローンマウスの作出方法は、未受
精卵の透明帯に穴を開けてピペットを差し込み、分裂中
期の染色体を除去した除核卵母細胞に、過排卵を誘発し
たマウスから採取した卵丘細胞、セルトリ細胞、神経細
胞由来の核を細胞膜を破って直接注入(インジェクショ
ン)し、ストロンチウムで活性化処理した後、サイトカ
ラシンBで極体の放出を抑制しながら偽前核を形成さ
せ、この胚を培養した後、偽妊娠雌マウスの子宮に移植
する方法である。
【0007】ところで、豚の心臓や膵臓等の臓器はその
大きさからしてヒトの臓器と交換可能性がきわめて高
く、クローン豚の作出は異種移植の問題を解決する手段
として、また、良質な食肉生産点からも期待されていた
が、少なくとも4匹の受精卵が子宮に存しないと妊娠に
失敗することから、活力ある数個の胚を用いる必要があ
ること、豚胚は極めて脆く核移植など取扱中に壊れやす
いことなど、クローン豚作出上の特有の問題があり、多
くの研究者がチャレンジしたがうまくいかなかった。し
かし最近、スコットランドのPPL Therapeutics社のAlan
Colmanらは成体細胞からの細胞融合による核移植でク
ローン豚を作出していたことを報告(Nature,407,505-5
09,2000)し、また本発明者らによっても体細胞核直接
導入法によるクローン豚の作出についての報告(Scienc
e,289,1118-1119,2000)がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】クローン非ヒト動物、
特にクローン豚の作出は異種移植の問題を解決する手段
として、また、良質な食肉生産点からも重要である。す
なわち、クローン豚作出技術と遺伝子組換え技術とを組
み合わせることにより、ヒトへの異種移植のためのドナ
ーの供給が可能となり、選択された表現型をもつ豚をク
ローン技術により増産することは、食肉生産が可能とな
る。しかし、前記のように、豚胚は極めて脆く核移植な
ど取扱中に壊れやすいことなど、クローン豚作出上の特
有の問題があり、効率よくクローン豚を作出する技術は
未だ確立されていない現状にある。
【0009】また、凍結融解時等の胚の損傷からの保護
を目的として、アルギン酸ゲルや寒天を用いた胚の包埋
技術は知られているが、これら公知の包埋技術は単層包
埋処理、すなわち胚に1回の包埋処理を施したものであ
り、2回の包埋処理を施した多重包埋処理胚、特に卵細
胞からの除核時及び該除核細胞への体細胞核の直接注入
時の2回にわたって、ある意味で胚を積極的に損傷させ
た体細胞核直接注入法における多重包埋処理核移植胚、
については現在に至るまで報告されていない。本発明の
課題は、核移植胚を用いた体細胞核直接注入法によるク
ローン豚をはじめとするクローン非ヒト動物の作出方法
等に特に有利に用いることができる、クローン胚を効率
よく桑実胚や胚盤胞まで生育させることができる多重包
埋処理胚を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分化した
細胞から豚のクローンを作出するための方法について種
々調査・検討し、除核した卵子に豚の胎児線維芽細胞核
を顕微注入し、電気活性化処理により発生を誘発し、か
かる電気パルス活性化処理後のクローン胚を卵管及び子
宮に移植する際に、順次濃度を高めたアルギン酸ゲルで
3重に包埋し、その後雌豚の卵管に移植したところ、桑
実胚、初期胚盤胞、胚盤胞に健全に生育することを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明は、包埋剤を用いて、胚に
2回以上の包埋処理を施すことにより得られる多重包埋
処理胚(請求項1)や、2回以上の包埋処理が3回の包
埋処理であることを特徴とする請求項1記載の多重包埋
処理胚(請求項2)や、2回以上の包埋処理が、包埋剤
の濃度を順次高めていく包埋処理であることを特徴とす
る請求項1又は2記載の多重包埋処理胚(請求項3)
や、包埋剤がアルギン酸又は寒天であることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれか記載の多重包埋処理胚(請求
項4)や、包埋処理が施される胚が、採取した非ヒト動
物の卵子から除核し、該除核された卵子に非ヒト動物の
体細胞核を注入した核移植胚であることを特徴とする請
求項1〜4のいずれか記載の多重包埋処理胚(請求項
5)や、核移植胚が、体細胞核が注入された卵子に活性
化処理を施した核移植胚であることを特徴とする請求項
5記載の多重包埋処理胚(請求項6)や、包埋処理が施
される胚が、豚由来の胚であることを特徴とする請求項
1〜6のいずれか記載の多重包埋処理胚(請求項7)に
関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の多重包埋処理胚として
は、包埋剤を用いて胚に2回以上の包埋処理を施すこと
により得られる包埋処理胚であれば特に制限されるもの
ではなく、かかる2回以上の包埋処理により得られる多
重包埋処理胚としては3回の包埋処理により得られる3
重包埋処理胚が、桑実胚や胚盤胞の高い発生率の点で好
ましい。また、2回以上の包埋処理を行うに際しては、
包埋剤の濃度を順次高めていく包埋処理、すなわち外層
膜ほど高濃度の包埋剤を用いて包埋し、その物理的強度
を内層から外層へと順次高めていく包埋処理が胚に直接
かかるストレスを軽減しうる点で好ましい。また、上記
包埋処理が施される胚には卵子や受精卵が便宜上含ま
れ、かかる胚としてはクローン胚が好ましい。
【0013】包埋処理に用いられる包埋剤としては、公
知の包埋剤を含め特に制限されるものではないが、哺乳
類の卵を覆う透明な卵膜である透明帯の保護機能を有す
るものや、損傷を受けた透明帯の修復機能を有するもの
や、多重包埋処理後の胚を卵管や子宮に移植した後に生
体内での分解機能を有するものや、卵管及び子宮の膜運
動による損耗からの保護機能を有するものや、白血球の
攻撃からの防御機能を有するものや、包埋皮膜を通して
の栄養分の透過・排泄物の排出機能を有するものや、多
重包埋処理後の胚を凍結融解処理したときの凍結融解に
よる影響を排除しうる機能の他、包埋処理時に胚に影響
を与えることなく包埋処理することができるものや、顕
微鏡下で包埋皮膜が確認しやすいものや、顕微鏡下で包
埋胚の操作がし易くなるものなどが好ましい。かかる包
埋剤としては、アルギン酸、寒天等の天然多糖類の他、
ムコタンパク質、ポリアミノ酸などの蛋白質、生分解性
有機高分子等を例示することができるが、上記包埋剤と
しての好ましい機能を備えたアルギン酸が特に好まし
い。その他、包埋剤の使用濃度についても特に制限され
るものではないが、上記包埋剤としての好ましい機能を
十分発揮しうる濃度が好ましい。なお、複数回の包埋処
理を行う場合、例えばアルギン酸と寒天等、包埋剤の種
類を変えて包埋処理をすることもできる。
【0014】例えば、アルギン酸を包埋剤として3重包
埋処理する方法としては、アルギン酸ナトリウムを所定
濃度(例えば0.5%、1.5%、2.0%)となるよ
うにリンゲル液等に溶解し、あらかじめ滅菌しておき、
この滅菌済みのアルギン酸ナトリウム溶液(例えば0.
5%)に核移植胚を浸漬して十分馴染ませた後、塩化カ
ルシウム液等のカルシウムイオン含有液と接触させ、ア
ルギン酸ゲル包埋胚とした後、この包埋胚を前記アルギ
ン酸ナトリウム溶液よりも高濃度のアルギン酸ナトリウ
ム溶液(例えば1.5%)に浸漬して十分馴染ませた
後、塩化カルシウム液等のカルシウムイオン含有液と接
触させ、アルギン酸ゲル2重包埋胚とし、次いでこの2
重包埋胚を上記アルギン酸ナトリウム溶液よりも高濃度
のアルギン酸ナトリウム溶液(例えば2.0%)に浸漬
して十分馴染ませた後、塩化カルシウム液等のカルシウ
ムイオン含有液と接触させ、アルギン酸ゲル3重包埋核
移植胚とする方法を具体的に示すことができる。
【0015】本発明の多重包埋処理胚を調製するときの
対象となる胚としては特に制限されないが、例えば、卵
子、受精卵、核移植胚、二分割胚、桑実胚、胚盤胞等を
例示することができる。これらの中でも、採取した非ヒ
ト動物の卵子から除核し、該除核された卵子に非ヒト動
物の体細胞核を注入した核移植胚、特に体細胞核が注入
された卵子に活性化処理を施した核移植胚が本発明の効
果を有利に享受しうる点で好ましい。また、これら胚の
由来としては、哺乳動物の胚であれば特に制限されるも
のではなく、豚、山羊、羊、ウサギ、ヒト、ウシ、ウ
マ、ラット、マウス、ニワトリ等を具体的に例示するこ
とができるが、前記のように、豚の胚は極めて脆く、核
移植など取扱中に壊れる可能性が大きいことから、本発
明の多重包埋処理胚としては豚由来の胚、特に豚由来の
核移植胚を好適に例示することができる。
【0016】例えば、豚由来の核移植胚、好ましくは活
性化処理後の核移植胚は、卵細胞からの除核時及び該除
核細胞への体細胞核の直接注入時の2回にわたって損傷
を受けているが、かかる豚由来の核移植胚を卵管又は子
宮へ移植する前に、包埋剤により多重包埋処理を施す
と、該核移植胚の桑実胚や胚盤胞への発生率を高め、ク
ローン豚等のクローン非ヒト動物を効率よく作出するた
めに有用である。以下、かかる体細胞核直接注入法によ
るクローン非ヒト動物の作出方法について、非ヒト動物
が豚の場合を例にとって説明する。なお、上記体細胞核
直接注入法とは、体細胞の核を除核細胞に直接注入(イ
ンジェクション)する方法をいい、かかる体細胞核直接
注入法には、例えば、プライムテック株式会社製のPM
M三次元マイクロマニピュレーションシステム「EMM
−715OUD」を用いることができる。
【0017】レシピエント卵子としては、豚の成熟卵子
であれば特に制限されるものではなく、プロスタグラン
ジンF2α、クロプロステノール、絨毛ゴナドトロピン
等のホルモン投与による過排卵処理により得られる体内
成熟卵子の他、屠場由来の卵巣から採取した卵子を体外
成熟させたものも使用できるが、着床率の点からして体
内成熟卵子、特に性成熟(6ヶ月齢以上)した雌豚から
採取した体内成熟卵子が好ましい。かかる体内成熟卵子
は、過排卵処理により得られる雌豚の子宮及び卵巣をP
BS溶液等を用いて卵管灌流を行うことにより採取する
ことができるが、卵丘細胞が付着している卵子はヒアル
ロニダーゼ処理を行って、卵丘細胞を除去することが好
ましい。
【0018】上記豚のレシピエント卵子からの除核は、
細胞骨格形成阻害剤であるサイトカラシンB処理を施し
た豚の卵子から除核することが好ましく、より具体的に
はサイトカラシンBを含有するNCSU23等の培地で
体外成熟卵子等のレシピエント卵子を処理した後、除核
操作用シャーレのサイトカラシン入りドロップに移して
ホールディングピペットで保定し、透明帯を迅速・的確
にに貫通することができる除核用ピペット(外径25〜
30μm)を用いて、M(metaphase)II期の染色体を
含む第一極体の付近を極体ごと吸引することにより行わ
れる。なお、吸引した極体を調べることにより除核でき
ていることを確認することが好ましく、また除核卵子か
らはサイトカラシンBを除去することが好ましい。
【0019】体細胞核としては、豚体細胞に由来する核
であれば特に制限されるものではないが、例えば胎児線
維芽細胞核を好適に例示することができる。特にレシピ
エントや仮親と毛色の異なる品種の豚をドナーとするこ
とが、毛色からクローン豚であるかどうかを簡便に判定
する上で好ましい。また、核移植に用いるドナー細胞の
細胞周期は特に制限されるものではないが、細胞周期G
0/G01期に同調させた体細胞が好ましい。細胞周期G0
/G01期に同調させた体細胞は、例えばコンフルエント
な状態で培養液の交換なしに、体細胞を16日間前後培
養し続けることによって得ることができる。線維芽細胞
を用いる場合、トリプシン処理で細胞を分散させたもの
が好ましく、また、培養細胞が線維芽細胞であること
を、サイトケラチンとSSEA−1との陰性反応、ビメ
ンチンでの陽性反応、線維芽細胞の特異的プライマーに
よるPCR分析等により確認することが好ましい。
【0020】上記体細胞核の除核されたレシピエント卵
母細胞への直接注入は、体細胞の細胞膜を崩壊させて実
質的に体細胞核からなる画分を注入することがドナー細
胞質の影響を排除して核移植胚の発生を良好にする点で
好ましい。これに対して融合法による核の注入は細胞質
を伴って注入することになるので、細胞質による汚染に
対して敏感である豚のクローン作出においては好ましく
ない。また、体細胞核のインジェクションピペットとし
ては、透明帯の貫通が迅速・精確かつ簡単にでき、細胞
質膜へのダメージを最小にすることができるものが好ま
しく、かかるインジェクションピペットとしてはピエゾ
マイクロマニピュレーター(プライムテック株式会社
製)に取り付けた体細胞注入用ピペット(外径7〜12
μm)を具体的に例示することができる。
【0021】上記のようにして得られた体細胞核が注入
された卵子には、前記のように、包埋処理に先立って、
活性化処理を施すことが好ましい。かかる活性化処理と
しては、従来公知の核移植胚の活性化処理方法であれば
特に制限されるものではないが、クローン豚の作出にお
いては電気パルス活性化処理を好適に例示することがで
きる。電気パルス活性化処理としては、電荷の大きい1
回の電気パルス、例えば1.5kV/cm、100μs
ec、1回を印可する方がそれより小さい電荷の電気パ
ルスを2回印可するよりも胚活性の点で好ましく、ま
た、電気パルス活性化処理における培地としてはNCS
U23(J.Reprod.Fertil.Suppl.,48,61,1993)を用い
ることが高い胚盤胞形成率の点で好ましい。また、電気
パルスによる活性化処理の場合、体内成熟卵子の方が体
外成熟卵子に比べて胚盤胞の発生能の点で好ましい。さ
らに、レシピエント細胞として体内成熟卵子を用いる場
合には、過排卵処理のために使用した最初のhCG投与
後、50〜60時間後、好ましくは54〜55時間後に
活性化処理をすることが望ましい。
【0022】活性化処理後に包埋剤による多重包埋処理
をした核移植胚を卵管又は子宮に移植する雌豚としては
特に制限されるものではないが、人工授精させた後の妊
娠21〜40日目にプロスタグランジンF2α等を用い
て人工流産させ、同期化を行った雌豚を用いることが好
ましい。また、核移植胚を雌豚の卵管又は子宮に移植す
るに際し、複数個の受精卵を核移植胚に混合して雌豚の
卵管又は子宮に移植する追い移植法を用いることが好ま
しい。
【0023】また産仔した豚ドナー体細胞核由来のクロ
ーンであることの確認は、産仔の毛色の他、クローン
豚、クローン豚の仮親の耳から採取したDNA並びにク
ローン豚を作出するために用いた線維芽細胞等の体細胞
のDNAを採取し、豚のための特異的なマーカーでマイ
クロサテライト分析を行い、クローン豚が体細胞と同一
の遺伝子をもち、仮親と異なる遺伝子をもつことを確認
することにより同定することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例等により詳細に説明す
るが、本発明の技術的範囲は以下の実施例等によって限
定されるものではない。 参考例1[体内成熟卵子の採取] 卵子はランドレース(白色)の雌、又はランドレース×
大ヨークシャー×デュロックの三元交雑腫(黒斑を有す
る白色)の雌から採取した。成熟卵子は性成熟(6ヶ月
齢以上)又は未成熟の雌豚から採取した。性成熟豚の排
卵処理は以下のようにして行った。人工授精から21〜
40日後の性成熟豚に、まずプロスタグランジンF2α
のアナログである(+)-クロプロステノール(住友化学社
製「Planate」)0.2mgを筋肉内に注射して流産さ
せた。筋肉内注射の24時間後に、クロプロステノール
0.2mgとウマ絨毛ゴナドトロピン(eCG)150
0単位を共に筋肉内に注射した。eCGを注射してから
72時間後にヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG)500
単位を筋肉内に注射することにより過排卵処理を行っ
た。一方、未性成熟雌豚の排卵処理は以下のようにして
行った。1500単位のeCGのみを筋肉内に注射し、
その72時間後に500単位のhCGを筋肉内に注射す
ることにより過排卵処理を行った。これら過排卵処理を
行った雌豚は、hCGを投与してから45時間後に屠殺
し、子宮及び卵巣を採取した。0.1%BSAを加えた
カルシウム、マグネシウムを含まないダルベッコのPB
S溶液を用いて卵管灌流を行って体内成熟卵子を採取し
た。卵丘細胞が付着している卵子はヒアルロニダーゼ処
理を行って、卵丘細胞を除去した。採取した体内成熟卵
子は培養液(NCSU23)で38.5℃、5%CO2
インキュベーターで核移植操作まで培養した。
【0025】参考例2[除核操作] 上記参考例1で得られたレシピエント卵子(体外成熟卵
子)を、5μgサイトカラシンB/1ml培養液(NC
SU23)に入れて15分以上処理した後、核移植(除
核操作)用シャーレのサイトカラシン入りドロップに卵
子を移し、第一極体の位置が12時、3時、6時のいず
れかにくるようにホールディングピペットで保定し、ピ
エゾマイクロマニピュレーター(プライムテック株式会
社製)に取り付けた除核用ピペット(外径25〜30μ
m)を用いて透明帯を迅速に貫通することにより、M
(metaphase)II期の染色体を含む第一極体の付近を極
体ごと細胞質の1/4〜1/3程吸引した。除核処理
は、室温下でサイトカラシンBが5μg/ml入りNC
SU23培養液中で10〜15個ずつの卵子を処理し
た。吸引した極体と細胞質を別の5μgヘキスト333
42/1ml培養液(NCSU23)のドロップに移
し、15分後にUVによる蛍光顕微鏡観察を行い、除核
できていることを確認した。除核ができた卵子は、直ち
にサイトカラシンBの含まれていない培養液NCSU2
3で丁寧に洗浄し、サイトカラシンを除核卵子から除去
し、38.5℃、CO2インキュベーターに戻して培養
した。
【0026】参考例3[胎児線維芽細胞の分離] 梅山豚雌の発情周期を把握した上で人工授精し、妊娠2
4日目の梅山豚×梅山豚(黒色)を屠殺して子宮より一
匹の胎児を採取し、頭部と内臓を除去した後、細切し、
トリプシン処理で細胞を分散させた後、3時間4℃下で
0.25%トリプシンと1mMのEDTAを含むPBS
溶液で培養した後、10%FCSを含むDMEMで洗浄
して初代培養細胞を得た。細胞培養は10%FCS入り
のDMEMで行い、細胞が飽和状態になる度に2〜6回
の植え継ぎを行い、高密度に細胞をまくことにより安定
をはかった(参考写真1参照)。核移植に用いたドナー
細胞としては、飽和状態で培養液の交換なしに16日間
培養し続けることによってG0期になったものを用い
た。培養細胞は、3日後ではPCNAで陽性反応を示す
が、10日後には免疫反応がなくなるので16日目には
0期になったことが証明された。かかる培養細胞が線
維芽細胞であることは、培養細胞がサイトケラチンとS
SEA−1で陰性反応を示し、ビメンチンで強い陽性反
応を示すことにより確認し、胎児の雌雄判別は線維芽細
胞の特異的ZFY/SRYプライマーによるPCR分析
によって行った。また、それぞれの培養細胞の核型が正
常であることはG染色で確認した。
【0027】参考例4[胎児線維芽細胞の準備] 核移植予定日(16日前)に合わせて、新しい培養液
(10%FCS入りDMEM)に植え継ぎ、37℃、5
%CO2で培養し、放置した。核移植直前に、ドナー体
細胞である休止状態の胎児線維芽細胞をPBSで洗浄
し、次いで0.25%トリプシンを用いて細胞を浮遊さ
せた(参考写真2参照)後、トリプシンを10%FCS
入りDMEMで不活化し、遠心後(1000rpm,5
min)、上清を除き核移植に用いる培養液(NCSU
23)に再浮遊させ、核移植(体細胞核注入)用シャー
レのドロップに適量体細胞を浮遊させておいた。
【0028】参考例5[体細胞核の注入] 参考例2の除核処理を行った卵子を、胎児線維芽細胞が
浮遊したシャーレの1つのドロップに10〜15個ずつ
入れて体細胞核注入操作を行った。ピエゾマイクロマニ
ピュレーター(プライムテック株式会社製)に取り付け
た体細胞注入用ピペット(外径7〜12μm)により、
浮遊している体細胞を丁寧に数回ピペッティングするこ
とにより細胞膜を崩壊させて実質的に体細胞核からなる
画分を、除核操作による卵子の透明帯の穴に注意しなが
らホールディングピペットにより保定された除核卵子の
細胞質内に注入した。ピエゾマイクロマニピュレーター
は、透明帯の貫通が簡単にでき、細胞質膜へのダメージ
を最小にすることができた。また、マニピュレーション
の間、インジェクションピペットは、15%PVPを含
むNCSU23培養液のドロップでまめに洗浄した。注
入後、予め準備しておいた培養用ドロップ(NCSU2
3)に移し、次の活性化処理までの3〜4時間、インキ
ュベーター(38.5℃、5%CO2)で培養しておい
た。
【0029】参考例6[電気パルス活性化処理] 上記体細胞核が注入された卵子をNCSU23で培養
し、hCG投与54〜55時間後に電気パルス活性化処
理をSSH−2融合装置(shimadzu社製)を用いて行っ
た。まず、室温放置した電解質溶液(0.01%のBS
A、0.05mMのCaCl2、0.1mMのMgSO4
添加0.28Mマンニトール溶液)の入ったシャーレを
2枚と2mm幅ステンレスワイヤー電極のチャンバーを
用意し、1枚目のシャーレの電解質溶液に卵子を浸して
馴染ませ、さらに2枚目の電解質溶液入りのシャーレに
移して馴染ませた。卵子が電解質溶液に馴染んだ後、2
mm幅ステンレスワイヤー電極のチャンバーに卵子を並
べ、電気パルスによる活性化処理を表1記載の条件で実
施した。電気パルスによる活性化処理後、極体の放出防
止のため活性化した胚を細胞骨格形成阻害剤であるサイ
トカラシンBに浸した。すなわち、5μg/mlサイト
カラシンBを含むNCSU23で2時間培養を行い、第
二極体放出の抑制処理を行った。次に、サイトカラシン
Bを含まないNCSU23で丁寧に洗浄し、発生培養用
ドロップ(NCSU23)で活性後40時間培養した。
電気パルスによる活性化処理後、NCSU23培地に代
えて、BECM3培地(Biol.Reprod.,55,1069,1996)
及びmWM培地(J.Anim.Sci.,71,1561,1993)を用いて
それぞれ同様に活性化した胚を培養した。電気パルス活
性化処理後の卵母細胞の生存率の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1からわかるように、電荷の大きい1回
の電気パルスを印可した場合、それより小さい電荷の電
気パルスを2回印可した場合よりも良好な胚活性を示
し、さらに、培養液の違いによる発生の影響では、NC
SU23を用いた場合に最も高い胚盤胞形成率が得られ
た。これらの結果から、クローン作出には、1.5kV
/cm、100μsec、1回の電気パルスを活性化条
件とし、NCSU23で培養することにした。またこれ
と同条件で、体内成熟卵子と体外成熟卵子の発生能を比
較した。167個の体外成熟卵子を活性化した結果、4
8時間までに116個が分割したが、胚盤胞にまで至っ
たのはわずかに4個(2.4%)だけであった。この値
2.4%は、表1に示される対応する体内成熟卵子の値
(31.2%)より有意に低かった。以上の実験結果か
ら、体内成熟卵子をクローン作出に用いることとした。
【0032】実施例1[アルギン酸2重包埋核移植胚] 上記参考例6で得られた電気パルス活性化処理後のクロ
ーン胚に、以下のようにアルギン酸2重包埋法を適用し
た。まず、アルギン酸ナトリウムを所定濃度(0.5
%、2.0%)となるようにリンゲル液に溶かしてオー
トクレーブ滅菌し、包埋液を調製した。電気パルス活性
化処理後40時間の核移植胚を滅菌済みリンゲル液(3
7℃)に移し、ピペッティング等を行いよく馴染ませた
後、0.5%アルギン酸ナトリウムを含む包埋液に移
し、よく馴染ませてからなるべく胚を密集させた状態で
吸引し、滅菌済みの110mM塩化カルシウム液にゆっ
くりと吐出し、固まった胚入りのアルギン酸ナトリウム
を吸引し、次に2.0%アルギン酸ナトリウムを含む包
埋液に移し、よく馴染ませてからなるべく胚を密集させ
た状態で吸引し、滅菌済みの110mM塩化カルシウム
液にゆっくりと吐出し固化させ、アルギン酸3重包埋核
移植胚を得た。
【0033】実施例2[アルギン酸3重包埋核移植胚] 上記参考例6で得られた電気パルス活性化処理後のクロ
ーン胚に、以下のようにアルギン酸3重包埋法を適用し
た。まず、アルギン酸ナトリウムを所定濃度(0.5
%、1.5%、2.0%)となるようにリンゲル液に溶
かしてオートクレーブ滅菌し、包埋液を調製した。電気
パルス活性化処理後40時間の核移植胚を滅菌済みリン
ゲル液(37℃)に移し、ピペッティング等を行いよく
馴染ませた後、0.5%アルギン酸ナトリウムを含む包
埋液に移し、よく馴染ませてからなるべく胚を密集させ
た状態で吸引し、滅菌済みの110mM塩化カルシウム
液にゆっくりと吐出し、固まった胚入りのアルギン酸ナ
トリウムを吸引し、次に1.5%アルギン酸ナトリウム
を含む包埋液に移し、よく馴染ませてからなるべく胚を
密集させた状態で吸引し、滅菌済みの110mM塩化カ
ルシウム液にゆっくりと吐出し、固まった胚入りのアル
ギン酸ナトリウムを吸引し、続いて2.0%アルギン酸
ナトリウムを含む包埋液に移し、よく馴染ませてからな
るべく胚を密集させた状態で吸引し、滅菌済みの110
mM塩化カルシウム液にゆっくりと吐出し固化させ、ア
ルギン酸3重包埋核移植胚を得た。
【0034】比較例[アルギン酸単層包埋核移植胚] 上記参考例6で得られた電気パルス活性化処理後のクロ
ーン胚に、以下のようにアルギン酸単層包埋処理を行っ
た。まず、アルギン酸ナトリウムを0.5%となるよう
にリンゲル液に溶かしてオートクレーブ滅菌し、包埋液
を調製した。電気パルス活性化処理後40時間の核移植
胚を滅菌済みリンゲル液(37℃)に移し、ピペッティ
ング等を行いよく馴染ませた後、0.5%アルギン酸ナ
トリウムを含む包埋液に移し、よく馴染ませてからなる
べく胚を密集させた状態で吸引し、滅菌済みの110m
M塩化カルシウム液にゆっくりと吐出し固化させ、アル
ギン酸単層包埋核移植胚を得た。
【0035】[実験結果]上記包埋処理はすべて37℃
の温度条件下で行われ、アルギン酸で包埋された核移植
胚は移植まで培養液に移しておき、以下の包埋回収実験
に供した。なお、かかる包埋回収実験において未包埋処
理の核移植胚を対照として用いた。包埋回収実験は、活
性化処理2日後のアルギン酸包埋処理又は未包埋処理の
各核移植胚をそれぞれ卵管に移植した。その際、子宮卵
管接合部を皮膚縫合用ナイロン糸で結び、アルギン酸包
埋胚や未包埋胚が子宮に落ちないようにした。移植3日
後にアルギン酸包埋胚や未包埋胚を回収し、その発生状
況を観察した。結果を表2並びに図1及び図2に示す。
なお、表2中、M(morula)は桑実胚を、E−B(earl
y blastocyst)は初期胚盤胞を、B(blastocyst)は胚
盤胞を、H−B(hatching blastocyst)は孵化胚盤胞
をそれぞれ示す。
【0036】
【表2】
【0037】図1に示されるように、包埋なしで子宮か
ら回収された対照区の胚は、細胞質が黒色に変色したも
のや、白血球等に攻撃されて崩壊したものや、また、卵
管、子宮内の膜の運動により胚に負担がかかり胚の細胞
質が飛び出て、透明帯だけ回収というものが多数見られ
た(参考写真3参照)。一方、図2に示されるように、
子宮から回収された3重包埋胚は、健全に生育した胚盤
胞や桑実胚が数多く見受けられた(参考写真4参照)。
また、表2からもわかるように、回収率は、3重包埋胚
87%、2重包埋胚78%、1重包埋胚45%、未包埋
胚77%であり、桑実胚や胚盤胞の発生率は、3重包埋
胚23%、2重包埋胚42%、1重包埋胚10%、未包
埋胚14%であった。表2の結果から、多重包埋処理を
施した核移植胚が、1重包埋胚や未包埋胚に比べて、回
収率及び発生率の点でも優れていることがわかる。
【0038】参考例7[仮親への胚移植] 実施例2で得られたアルギン酸3重包埋胚のうち、発生
が良好なものを仮親の子宮角上端に最終移植した。外科
的胚最終移植10日前に妊娠豚2頭に対して、クロプロ
ステノール2mlを臀部に注射して流産させた。外科的
胚移植6日前に妊娠雌豚に対して、クロプロステノール
2mlとPMSG1500IUを臀部に注射し、注射の
72時間後、hCG500IUを臀部に注射した。2頭
のうち1頭はhCG投与してから24時間後に人工授精
し、外科的胚移植を行う前に受精卵を回収し、この回収
した受精卵4〜5個をアルギン酸3重包埋核移植胚に混
合して、2頭のうちの他の雌豚の子宮角上端に移植し
た。これらの胚の1つから黒色の毛色をもつ子豚が自然
分娩で産まれた。生誕時の子豚の体重は1.2kg、胎
盤重量は0.3kgであり、両値とも通常の子豚の正常
な値の範囲内であった。また、いくつかのクローン牛の
例では胎盤異常が現れ、顕微注入法によるクローンマウ
スでは通常マウスより胎盤が大きくなるという報告があ
ったが、この子豚に付いていた胎盤は、外見上ばかりで
なく解剖学的にも正常であった。
【0039】
【発明の効果】本発明によると、核移植胚を用いた体細
胞核直接注入法によるクローン豚をはじめとするクロー
ン非ヒト動物の作出方法等に特に有利に用いることがで
きる、クローン胚を効率よく桑実胚や胚盤胞まで生育さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】子宮から回収した比較例のアルギン酸未包埋胚
の顕微鏡写真を示す図である。
【図2】子宮から回収した本発明のアルギン酸3重包埋
胚の顕微鏡写真を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩元 正樹 茨城県土浦市荒川沖235−1 エクセル武 井203 (72)発明者 三松 淳 茨城県土浦市霞ヶ岡10−30 Fターム(参考) 4B024 AA10 AA20 GA11 GA18 4B065 AA90X AA90Y AB01 BA04 BC46 BC47 CA47 CA60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包埋剤を用いて、胚に2回以上の包埋処
    理を施すことにより得られる多重包埋処理胚。
  2. 【請求項2】 2回以上の包埋処理が3回の包埋処理で
    あることを特徴とする請求項1記載の多重包埋処理胚。
  3. 【請求項3】 2回以上の包埋処理が、包埋剤の濃度を
    順次高めていく包埋処理であることを特徴とする請求項
    1又は2記載の多重包埋処理胚。
  4. 【請求項4】 包埋剤がアルギン酸又は寒天であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の多重包埋処
    理胚。
  5. 【請求項5】 包埋処理が施される胚が、採取した非ヒ
    ト動物の卵子から除核し、該除核された卵子に非ヒト動
    物の体細胞核を注入した核移植胚であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか記載の多重包埋処理胚。
  6. 【請求項6】 核移植胚が、体細胞核が注入された卵子
    に活性化処理を施した核移植胚であることを特徴とする
    請求項5記載の多重包埋処理胚。
  7. 【請求項7】 包埋処理が施される胚が、豚由来の胚で
    あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の多
    重包埋処理胚。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009005584A (ja) * 2007-06-26 2009-01-15 Miyazaki Prefecture ゲル化剤、凍結保存剤、細胞保存用容器、細胞の凍結保存方法、細胞の融解方法、哺乳動物の細胞

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009005584A (ja) * 2007-06-26 2009-01-15 Miyazaki Prefecture ゲル化剤、凍結保存剤、細胞保存用容器、細胞の凍結保存方法、細胞の融解方法、哺乳動物の細胞

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