JP3738541B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体の周辺に帯電手段、像露光手段と現像手段を配置して像担持体に形成されたトナー像を転写材の両面に転写、定着する複写機等の電子写真方式の両面画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、両面コピーにおいては、像担持体上に形成された一方の面の画像を転写材上に転写、定着し、これを一旦両面反転給紙装置に収納し、再び像担持体上に形成された画像とタイミングを合わせて両面反転給紙装置より転写材を給送し、転写材上に他方の面の画像を転写、定着する方法がとられている。
【0003】
この両面コピー装置は、上記の如く、両面反転給紙装置への給送や定着装置を2度通す等の転写材の搬送が行われるので、転写材搬送の信頼性が低く、ジャムや転写材のシワ等を引き起こす原因となっていた。また周知の如く転写材の搬送距離が長くなるためコピーに多くの処理時間がかかるという問題もあった。
【0004】
これに対し、特公昭49−37538号公報、特公昭54−28740号公報、特開平1−44457号公報、特開平4−214576号公報等により転写材の両面にトナー像を形成後、1回で定着を行うものが提案されている。
【0005】
また本出願人は、2つの像担持手段と2つの転写手段を設けることにより、転写材の両面に対しトナー像を転写し、両面にトナー像を有した転写材を同時に定着する装置について研究を行い、転写材搬送の信頼性が高く、ジャムやシワの発生がなく、また両面コピーの処理速度を著しく早めることの出来る両面画像形成装置の実現を可能とした。
【0006】
前記の両面画像形成装置においては、表裏にトナー像を転写した転写材を、定着装置に1度通すだけで済むため、転写材搬送の信頼性が高く、また転写材の搬送路を短縮してコピーの処理速度も早められるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる優れた特徴を用いている半面問題点をも有していた。後に詳述するように本発明の画像形成装置にあっては、像形成体上に形成した裏面画像を中間転写体上に転写を行い、再び像形成体上に形成した表面画像と中間転写体上の裏面画像とを記録紙の表裏に転写を行い、これを一括して定着を行うこととなるが、この場合、記録紙上の表面画像は1回の転写によって得られた画像であるのに対し、裏面画像は2回の転写によって得られた画像となる。像担持体上のトナー像はこれが転写される際にトナー像の周縁部分が広がるという現象が生じる。図11(a)はこのことを模式的に示しているが、2回転写を行う場合にはこの現象は強調されて、画像のニジミやボケとなる。記録紙上の表面画像については一般の複写機におけると同様に1回の転写を経て得られた画像で問題はないが、裏面画像についてはニジミやボケが無視できない状態となる。この現象は文字画像等において特に顕著となる。
【0008】
本発明は裏面画像についてニジミやボケが低減されて、表面画像と同様な画像が観察されるような画像処理を行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、像形成体と、該像形成体上にトナー像を形成する手段と、中間転写体と、前記像形成体上のトナー像を前記中間転写体又は転写材の表面に転写する第1転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を前記転写材の裏面に再転写する第2転写手段とを有し、前記転写材両面に転写されたトナー像の定着を行う画像形成装置において、像形成体上に形成する画像が表面か裏面かを判定する表裏判定手段と、画像の特性から画像を少なくとも文字領域とそれ以外の領域の2種の領域に分割する領域判別手段と、画像の色特性から画像を少なくとも単色領域とそれ以外の領域の2種の領域に分割する領域色判別手段とを有し、前記表裏判定手段の判定結果に従って行う裏面の画像処理方法は表面の画像処理方法とは異なっていて、前記裏面の画像処理方法は、前記領域判別手段および前記領域色判別手段の判別結果に従って文字領域および単色領域のみに、表面に較べ高域強調および画素の収縮処理を行うことを特徴とする画像形成装置によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の画像形成装置の実施の形態の説明を行う。図1に示すのは両面画像形成を可能とするディジタル方式によるカラー画像形成装置におけるハードウェアの全体構成を示す図である。本発明は転写材両面にカラー画像形成を可能とする画像形成装置に限定するものではなく、両面画像形成を可能とする白黒ディジタル複写機であってもよい。
【0011】
この図1において、カラー画像形成装置は、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部Cで構成され、前記画像読取り部Aが読取り手段に、画像処理部Bが画像処理手段に、また、前記画像形成部Cが画像形成手段に相当する。
【0012】
画像読取り部Aは原稿の両面に記録された画像読取りを可能とするもので、画像読取り部Aにおいて、原稿60は表面を下向きとして下側よりページ順に積層されていて、搬出ベルト51とさばきローラ52の作動により最下層の原稿Dが搬送路53に向け搬出される。搬出された原稿60は実線にて示す位置に付勢されているガイド板61を排除して破線にて示す位置に退避させ、搬送ベルト54を介して透明体のプラテンガラス55上に給紙されて、裏面を下向きにした状態で原稿読取位置に一時停止される。
【0013】
プラテンガラス55上の原稿60の裏面画像は、走査光学系を構成する照明ランプと第1ミラーから成る第1ミラーユニット56と、V字状に位置した第2ミラーと第3ミラーから成る第2ミラーユニット57の、第1ミラーユニット56の速度Vによる読み取り動作と、第2ミラーユニットによる同方向への速度V/2による移動露光により読み取られて、投影レンズ62とダイクロイックプリズム63を通して3個のラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。色分離して撮像素子CCD上に結像したライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換される。
【0014】
画像読取り部Aでは裏面画像の読み取りが終了すると、原稿60は搬送ベルト54の一時的な逆回転により反転給紙路58を経て表裏を反転し、再び搬送路53を経て搬送ベルト54を介してプラテンガラス55上に給紙され、表面を下向きにした状態で原稿読取位置に一時停止される。
【0015】
プラテンガラス55上の原稿60は表面画像を前記の走査光学系によって読み取られ、色分離して撮像素子CCDによって電気信号に光電変換される。
【0016】
プラテンガラス55上での画像の読み取りを終了した原稿60は、搬送ベルト54の作動により排紙ローラ59を介してトレイ64上に表面が下向きの状態で下側よりページ順に積み重なるように排紙される。
【0017】
前記画像読取り部Aで読み取られた原稿画像の画像信号(画像データ)は、後述する画像処理部Bにおいて、濃度変換、フィルタ処理、変倍処理、γ補正、表/裏画像の補正処理などの各種画像処理が施された後、画像形成部Cに出力される。
【0018】
画像形成部Cは、電子写真技術を用いたレーザプリンタにより、入力された画像信号に応じて記録紙上に画像形成を行う。
【0019】
画像形成部Cにおいて、第1の像担持体である感光体ドラム10は、例えば、光学ガラスや透明アクリル樹脂の透明部材によって形成される円筒状の基体を内側に設け、透明の導電層、a−Si層あるいは有機感光層(OPC)等の感光層を該基体の外周に形成したものであり、接地された状態で図1の矢印で示す時計方向に回転される。
【0020】
感光体ドラム10は図2の側断面図に示す如く、それを係合固定する両面端のフランジ部材10a及び10bが装置本体に架設固定されるドラム軸110に対し両面端のフランジ部材10a及び10bに嵌込まれたベアリング110a,110bにより軸受けされて回転自在に支持され、フランジ部材10bの一体とする歯車Gが装置本体側の駆動歯車と噛合して駆動されることにより所定の方向に定速で回転される。
【0021】
帯電手段としてのスコロトロン帯電器11はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒色(K)の各色の画像形成プロセスに用いられ、像形成体である感光体ドラム10の移動方向に対して直交する方向に感光体ドラム10と対峙して取り付けられ、感光体ドラム10の前述した有機感光層に対し所定の電位に保持された制御グリッドと、例えば鋸歯状電極からなる放電電極11aとを有し、トナーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態においてはマイナス帯電)を行い、感光体ドラム10に対し一様な電位を与える。放電電極11aとしては、その他ワイヤ電極を用いることも可能である。
【0022】
各色毎の像露光手段としての露光ユニット12は、感光体ドラム10上での露光位置が、スコロトロン帯電器11の放電電極11aと現像器13の現像位置との間に位置するように配置される。
【0023】
露光ユニット12は、感光体ドラム10の軸110と平行に主走査方向に配列された像露光光発光素子としてのLED(発光ダイオード)を複数個アレイ状に並べた線状の露光素子12aと、等倍結像素子としてのセルフォックレンズ12bとが、不図示のホルダに取付けられた露光用ユニットとして構成される。保持部材20に、各色毎の露光ユニット12、一様露光器12c及び転写同時露光器12dが取付けられて感光体ドラム10の基体内部に収容される。画像読取り部Aによって読み取られ、画像処理部Bで画像処理がなされた画像データは、各色毎の露光ユニット12にそれぞれ電気信号として入力される。
【0024】
露光素子としては、その他FL(蛍光体発光)、EL(エレクトロルミネッセンス)、PL(プラズマ放電)等の複数の発光素子をアレイ状に並べたものが用いられる。この実施形態で使用される発光素子の発光波長は、外部から像露光を行う際は通常Y,M,Cのトナーの透過性の高い780〜900nmの範囲のものが用いられるが、裏面から像露光を行う方式であることからカラートナーに対して透光性を十分に有しないこれより短い400〜780nmの波長でもよい。
【0025】
画像形成される色順序と、回転される感光体ドラムに、該色順序に従って設けられる現像器13は、本実施形態においては、図1の感光体ドラム10に対してY,Mの現像器13が感光体ドラム10の左側に、また、C,Kの現像器13が感光体ドラム10の右側に配置され、Y,Mの現像器13の現像ケーシング138の下方にY,Mのスコロトロン帯電器11が、また、C,Kの現像器13の現像ケーシング138の上方にC,Kのスコロトロン帯電器11が配置される。
【0026】
各色毎の現像手段としての現像器13は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒色(K)の一成分あるいは二成分の現像剤をそれぞれ収容し、それぞれ感光体ドラム10の周面に対し所定の間隙を保って、現像位置において感光体ドラム10の回転方向と同方向に回転する例えば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像スリーブ131を備えている。
【0027】
現像器13が不図示の突き当てコロにより感光体ドラム10と所定の値の間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保たれ、各色毎の現像器13による現像作用に際しては、現像スリーブ131に対し直流電圧あるいはさらに交流電圧を加えた現像バイアスが印加され、現像器の収容する一成分或いは二成分現像剤によるジャンピング現像が行われて、負荷電の感光体ドラム10に対してトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の直流バイアスを印加して、露光部にトナーを付着させる非接触の反転現像が行われる。この時の現像間隔精度は画像ムラを防ぐために20μm程度以下が必要である。
【0028】
上記の各色毎の現像器13は、前述したスコロトロン帯電器11による帯電と露光ユニット12による像露光によって形成される感光体ドラム10上の静電潜像を、現像バイアスの印加による非接触現像法により非接触の状態で帯電極性と同極性のトナー(本実施形態においては感光体ドラムは負帯電であり、マイナス極性のトナー)を反転現像する。
【0029】
画像記録のスタートにより不図示の感光体駆動モータの始動により駆動用の歯車を通して感光体ドラム10の後フランジ10bに設けられた歯車Gが回動され感光体ドラム10を図1の矢印で示す時計方向へ回転し、同時に感光体ドラム10の左方でイエロー(Y)の現像器13の現像ケーシング138の下方に配置されたYのスコロトロン帯電器11の帯電作用により感光体ドラム10に電位の付与が開始される。
【0030】
感光体ドラム10は電位を付与されたあと、Yの露光ユニット12において第1の色信号すなわちYの画像データに対応する電気信号による露光が開始され、感光体ドラム10の回転走査によってその表面の感光層に原稿画像のYの画像に対応する静電潜像を形成する。
【0031】
前記の潜像はYの現像器13により現像スリーブ上の現像剤が非接触の状態で反転現像され感光体ドラム10の回転に応じイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0032】
次いで感光体ドラム10は前記イエロー(Y)のトナー像の上に、さらに感光体ドラム10の左方、イエロー(Y)の上部でマゼンタ(M)の現像器13の現像ケーシング138の下方に配置されたマゼンタ(M)のスコロトロン帯電器11の帯電作用により電位が付与され、Mの露光ユニット12の第2の色信号すなわちMの画像データに対応する電気信号による露光が行われ、Mの現像器13による非接触の反転現像によって前記のイエロー(Y)のトナー像の上にマゼンタ(M)のトナー像が重ね合わせて形成される。
【0033】
同様のプロセスにより感光体ドラム10の右方でシアン(C)の現像器13の現像ケーシング138の上方に配置されたシアン(C)のスコロトロン帯電器11、Cの露光ユニット12およびCの現像器13によってさらに第3の色信号に対応するシアン(C)のトナー像が、また感光体ドラム10の右方、Cの下部で黒色(K)の現像器13の現像ケーシング138の上方に配置された黒色(K)のスコロトロン帯電器11、露光ユニット12および現像器13によって第4の色信号に対応する黒色(K)のトナー像が順次重ね合わせて形成され、感光体ドラム10の一回転以内にその周面上にカラーのトナー像が形成される(トナー像形成手段)。
【0034】
これ等Y,M,C及びKの露光ユニット12による感光体ドラム10の有機感光層に対する露光はドラムの内部より前述した透明の基体を通して行われる。従って第2、第3および第4の色信号に対応する画像の露光は何れも先に形成されたトナー像の影響を全く受けることなく行われ、第1の色信号に対応する画像と同等の静電潜像を形成することが可能となる。
【0035】
上記の画像形成プロセスによって像形成体としての感光体ドラム10(像形成体)上に裏面画像となる重ね合わせカラートナー像が形成され、感光体ドラム10上の裏面画像の重ね合わせカラートナー像が転写域14bにおいて、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流電圧が印加される転写器14c(第1の転写手段)により、駆動ローラ14d及び従動ローラ14e間に張架され、感光体ドラム10に近接あるいは接触して設けられた第2の像担持手段であるトナー像受像体14a(中間転写体)上に一括して転写される。この際、良好な転写がなされるように、例えばLED(発光ダイオード)を用いた転写同時露光器12dによる一様露光が行われる。
【0036】
転写後の感光体ドラム10の周面上に残ったトナーは像形成体AC除電器16により除電を受けた後、クリーニング装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材から成るクリーニングブレード19aによってクリーニングされ、更に、前プリントまでの感光体の履歴をなくすために、例えばLED(発光ダイオード)を用いた帯電前の一様露光器12cによる露光による感光体周面の除電がなされ、前回プリント時の帯電が除去されて引き続き次の表面画像のカラー画像形成が行われる。
【0037】
以上のようにしてトナー像受像体14a上に裏面画像となる重ね合わせカラートナー像が形成された後、感光体ドラム10上には引き続き表面画像となる重ね合わせトナー像が上記のカラー画像形成プロセスと同様にして形成される。このとき、トナー像受像体14a上に形成されている裏面画像と感光体ドラム10上に形成される表面画像とは転写域14bにおける同期がとられ、図3に示すようなトナー像の形成状態となる。なお、この時に形成される表面画像は、感光体ドラム10上では裏面画像形成とは互いに鏡像になる様に後に説明する画像処理部Bによって画像データの変更が行われる。
【0038】
転写材である記録紙Pが転写材収納手段である各サイズ毎にストックされた給紙カセット15A、15B、15Cより、記録紙サイズの指示に従って対応した記録紙が送り出しローラ15aにより送り出され、給送ローラ15bにより給送されてタイミングローラ15cへ搬送される。
【0039】
記録紙Pは、タイミングローラ15cの駆動によって、感光体ドラム10上に担持された表面画像のカラートナー像と、トナー像受像体14aに担持されている裏面画像のカラートナー像と、の同期がとられて転写域14bへ給送される。この際、記録紙Pは、転写材帯電手段としての紙帯電器14fによりトナーと同極性に紙帯電され、トナー像受像体14aに吸着されて転写域14bへ給送される。トナーと同極性に紙帯電を行うことにより、記録紙Pが転写部以外でトナー像受像体14a上のトナー像や感光体ドラム10上のトナー像と引き合うことを防止して、トナー像の乱れを防止している。また、転写材帯電手段としては、トナー像受像体14aに当接及び当接解除可能な導通ローラやブラシ帯電器等を用いることも可能である。
【0040】
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加される第1の転写手段としての転写器14cにより感光体ドラム10の周面上の表面画像が一括して記録紙Pの上面側(表面側)に転写される。この際、トナー像受像体14aの周面上の裏面画像は記録紙Pに転写されないでトナー像受像体14aに存在する。次に、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧を印加した第2の転写手段としての裏面転写器14gによりトナー像受像体14aの周面上の裏面画像を一括して記録紙Pの下面側(裏面側)に転写する。転写器14cによる転写の際、良好な転写がなされるように、転写器14cと対向して感光体ドラム10の内部に設けられた、例えばLED(発光ダイオード)を用いた転写同時露光器12dによる一様露光が行われる。
【0041】
各色のトナー像は互いに重なり合うことから、一括転写を可能とするにはトナー層の上層と下層のトナーとが同様の帯電量で同一極性に帯電していることが好ましい。このことから、トナー像受像体14a上に形成したカラートナー像をコロナ帯電により極性反転を行ったり、感光体ドラム10上に形成したカラートナー像をコロナ帯電により極性反転を行う両面画像形成では、下層のトナーが同極性に十分帯電されないことから、転写が不良となるので好ましくない。
【0042】
感光体ドラム10上で反転現像を繰り返し、重ね合わせて形成した同極性のカラートナー像を極性を変えずにトナー像受像体14aに一括転写し、次に、極性を変えずに記録紙Pに一括転写することが、裏面画像形成の転写性の向上に寄与するので好ましい。表面画像形成に対しても、感光体ドラム10上に反転現像を繰り返し、重ね合わせて形成した同極性のカラートナー像を極性を変えずに記録紙Pに一括転写することが、表面画像形成の転写性の向上に寄与するので好ましい。
【0043】
以上のことからカラー画像形成においては、上記の表面や裏面の画像形成法を用いて、第1の転写手段を動作させて転写材の表面にカラートナー像を形成し、次に、第2の転写手段を動作させて転写材の裏面にカラートナー像を形成する両面画像形成法が好ましく採用される。
【0044】
トナー像受像体14aは厚さ0.5〜2.0mmの無端状のゴムベルトで、シリコンゴム或いはウレタンゴムの108〜1014Ω・cmの抵抗値をもつ半導電性基体と、ゴムの基体の外側にトナーフィルミング防止層として厚さ5〜50μmのフッ素コーティングを行った2層構成とされる。この層も同様な半導電性が好ましい。ゴムベルト基体の代わりに厚さ0.1〜0.5mmの半導電性のポリエステルやポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等を使用することもできる。
【0045】
両面にカラートナー像が形成された記録紙Pが、転写材分離用としての紙分離AC除電器14h(以後分離極ともいう)により除電され、トナー像受像体14aから分離され、両方のローラの内部にヒータを有する2本のローラで構成される定着手段としての定着装置17へと搬送される。定着ローラ17aと、圧着ローラ17bとの間で熱と圧力とを加えられることにより記録紙P上の表裏の付着トナーが定着され、両面画像記録がなされた記録紙Pが排紙ローラ18により送られて、装置外部のトレイへ排出される。
【0046】
転写後のトナー像受像体14aの周面上に残ったトナーは、トナー像受像体のクリーニング手段としてのトナー像受像体クリーニング装置14iに設けられトナー像受像体14aに当接及び当接解除可能なブレードによりクリーニングされる。また、転写後の感光体ドラム10の周面上に残ったトナーは像形成体AC除電器16により除電を受けた後、クリーニング装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材から成るクリーニングブレード19aによってクリーニング装置19内に掻き落とされ、次の画像形成の待機がなされる。
【0047】
次に画像処理部Bの回路構成を図4のブロック図に従って説明する。
【0048】
画像読取り部Aにおいて、撮像素子CCDから出力される色分離した3色のアナログ画像信号はA/D変換器B11によってディジタル画像信号に変換されたのち、画像処理(I)B12において画像形成装置の特性に応じたγ補正処理と、原稿の有効画像領域の抽出の他、枠消し、折り目消しなどの領域加工を行う画像領域処理が行われて、画像データはメモリB14にストアされる。
【0049】
メモリB14にはより多くの画像データを記憶させることから、画像圧縮B13で画像データを圧縮処理して記憶させ、メモリB14からの読み出し時には画像伸長B15によって伸長処理して出力する構成となっている。
【0050】
画像処理部Bでは制御部B10からの指令によって画像処理が行われる。制御部B10には表/裏判定手段B20からの情報によって、画像形成に当たってメモリB14から出力される画像データが表面画像であるか裏面画像であるかの判断を行い、メモリB14から出力される画像データが裏面であるときには、本発明においては裏面画像対応の画像処理が行われる。
【0051】
本画像形成装置の操作盤には、片面原稿から両面画像、両面原稿から両面画像等の選択釦があって、この選択釦により入力情報と画像読取り部Aでの原稿読取り順序情報とから表/裏判定手段B20によって、メモリから伸長される画像データの表/裏画像の判定が行われる。
【0052】
本発明の画像形成装置では裏面の画像処理にあたって表面に較べ高域強調を行うもので、図11(b)にはこれを模式的に示している。高域強調を行うことによって2回の転写を経て得られたトナー画像のヘリに当たる部分は、従来ボケた状態にあったものが、強調されてハッキリとし、ボケが低減して表面画像と同様な画像として観察されることとなる。
【0053】
また本発明にあっては、裏面の画像処理に当たって、高域強調に加えて収縮処理を行うことも可能としたもので、図11(c)にはこれを模式的に示している。2回の転写を行うことによってトナー画像はヘリの方向に広がり、例えば文字画像の場合には2回の転写を行うと太線のニジミのある文字画像となってしまう。本発明にあっては2回転写を行う画像に対して収縮処理を行うことによってニジミが低減し、表面画像と同様な画像として観察されることとなる。
【0054】
本発明者は2回転写を行う裏面画像に対して、高域強調や収縮処理を行うことによって、文字画像や単色画像例えば黒の単色画像領域に対しては優れた効果が得られることを見出したが、網点画像に対してはかえって見苦しいモアレが発生することが認められた。本発明の画像処理部BではメモリB14から呼出されたディジタル画像信号に対し、文字信号領域と写真信号領域とを判別し、文字信号領域を出力する領域判別B17と、単色(黒)信号領域と多色信号領域とを判別し、単色(黒)信号領域を出力する単色判定B18とが設けられている。
【0055】
領域判別B17では、例えば輝度分布等から判別する判別手段を用い、例えば原稿画像が図6(a),(b),(c)に示すような、写真原稿、写真と文字との混在原稿、文字原稿について、それら画像を文字部と写真部とに領域分けすると図7(a),(b),(c)に示すようになり、かかる区分に従って領域分けされた文字信号領域を画像処理(II)B16に送信する。
【0056】
単色判定B18では、図8に示すような3次元ルックアップテーブルを用い、B,G,Rの輝度から画素毎に黒(灰色)画素を見つけるようにしたもので、黒(灰色)画素が連続して予め設定したN個以上ある場合にはその連続領域をもって黒単色領域とし、この黒単色領域を画像処理(II)B16に送信する。
【0057】
なお上記の領域判別B17と単色判定B18とはメモリB14から出力する1ページ分のディジタル画像信号毎に行う回路であっても、1ページ分のディジタル画像信号が裏面画像と判断されたときのみに行う回路であってもよい。
【0058】
図5は画像処理(II)B16とデータセレクタB19との詳細を示したもので、メモリB14から出力する1ページ分のディジタル画像信号は色処理B161でマスキング・墨入れ・UCR等の色処理が行われ、ついで裏面処理B162においては当該ディジタル画像信号が裏面画像であるときは文字信号領域又は単色(黒)信号領域に対して高域強調を行うフィルタ処理及び収縮処理を行う。
【0059】
高域強調は例えばコンボリューションフィルタによるもので、例えば図9(a)に示すようなハイパスフィルタを通すことによって空間周波数の高い信号が強調される。図9(b)はハイパスフィルタの特性の一例を示している。
【0060】
また収縮処理については、図10に示す注目画素*について、*=Min(a,b,c・・・h)の収縮の式を用いることによって収縮処理が行われる。
【0061】
かかる画像処理を行うことによって、画像のニジミが気になる文字画像や単色(黒)画像について裏面についても表面と同様な画像が観察されることとなる。
【0062】
なお、裏面画像については2回の転写工程を行うことから、転写効率の関係から表面画像に較べ画像濃度が若干低下する傾向にある。これを補正するよう裏面画像に対してのみγ補正を行うことも行われる。
【0063】
裏面処理B162が行われたのち、スクリーン角、ディザや誤差拡散等の多値化処理B163がなされたY,M,C,K各色のディジタル信号はデータセレクタB19に出力される。
【0064】
データセレクタB19内には表面出力用メモリB192Aと裏面出力用メモリB192Bとが設けられていて、制御部B10から画像出力の指示がなされると、メモリB14から呼出された表面の画像データは画像処理(II)B16による処理がなされて、セレクタ(I)B191によって先ず表面出力用メモリB192Aに入力され、ついで裏面の画像データは裏面出力用メモリB192Bに入力される。裏面出力用メモリB192Bに入力される際はセレクタ(I)B191によって画像データは鏡像となるよう反転された形での入力がなされる。
【0065】
そして、画像形成装置での両面画像形成のタイミングに合わせて、セレクタ(II)B193によって先ず裏面出力用メモリB192Bから裏面画像データが露光ユニット12に出力され感光体ドラム10上に裏面画像の形成が行われる。ついでセレクタ(II)B193によって表面出力用メモリB192Bからの表面画像データが露光ユニット12に出力され、表面画像の形成が行われる。
【0066】
なお上記説明においては画像データの鏡像変換処理はデータセレクタB19において行う構成となっているが、裏面処理B162において行う回路構成とすることも可能である。
【0067】
また、上記説明は両面にカラー画像を形成する画像形成装置について説明したが、モノクロ画像の時は色補正は不要で、裏面画像の文字信号領域に対して高域強調を行うことによって、また高域強調と収縮処理とを行うことによって、記録紙上の表面画像と裏面画像との識別は困難なボケやニジミのない画像が得られる。
【0068】
【発明の効果】
請求項1の発明により裏面画像に高域強調がなされることで、エッジ部もはっきりとし、ボケが低減して見える画像が得られることとなる。また、裏面画像に収縮処理がなされることで、線幅が狭くなりニジミが低減して見える画像が得られることとなる。更にボケが目立ちやすい文字部に対してのみ本発明による画像処理が行われるので、網点部に処理してしまったときに発生するモアレを防止することとなる。
【0069】
請求項2の発明によりボケが目立ちやすい黒の単色部に対してのみ本発明による画像処理が行われるので、網点部に処理してしまったときに発生するモアレを防止することとなる。
【0070】
請求項3の発明によりメモリより後方で本発明による画像処理がなされるので、ページの挿入等が可能なこととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の断面構成図。
【図2】像形成体の側断面図。
【図3】トナー像の形成状態を示す説明図。
【図4】本発明の回路構成を示すブロック図。
【図5】画像処理部とデータセレクタ部の回路構成を示すブロック図。
【図6】読取り対象となる原稿例を示す図。
【図7】写真部と文字部との領域区分状態を示す図。
【図8】単色判定用のルックアップテーブル。
【図9】高域強調のフィルタ例とハイパスフィルタの特性例を示す図。
【図10】収縮処理の説明図。
【図11】像形成体上のトナー像と2回転写後のトナー像との関係を示す説明図。
【符号の説明】
10 感光体ドラム
11 スコロトロン帯電器
12 露光ユニット(像露光手段)
13 現像器
14a トナー像受像体
14c 転写器
14g 裏面転写器
14h 分離極
15 給紙カセット
A 画像読取り部
B 画像処理部
C 画像形成部
B10 制御部
B12 画像処理(I)
B14 メモリ
B16 画像処理(II)
B17 領域判別
B18 単色判定
B19 データセレクタ
B20 表/裏判定手段
Claims (3)
- 像形成体と、該像形成体上にトナー像を形成する手段と、中間転写体と、前記像形成体上のトナー像を前記中間転写体又は転写材の表面に転写する第1転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を前記転写材の裏面に再転写する第2転写手段とを有し、前記転写材両面に転写されたトナー像の定着を行う画像形成装置において、
像形成体上に形成する画像が表面か裏面かを判定する表裏判定手段と、
画像の特性から画像を少なくとも文字領域とそれ以外の領域の2種の領域に分割する領域判別手段と、
画像の色特性から画像を少なくとも単色領域とそれ以外の領域の2種の領域に分割する領域色判別手段とを有し、
前記表裏判定手段の判定結果に従って行う裏面の画像処理方法は表面の画像処理方法とは異なっていて、
前記裏面の画像処理方法は、前記領域判別手段および前記領域色判別手段の判別結果に従って文字領域および単色領域のみに、表面に較べ高域強調および画素の収縮処理を行うことを特徴とする画像形成装置。 - 前記単色領域は黒領域であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記裏面の画像処理方法はメモリより後方において行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
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