JP3675151B2 - 両面画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体の周辺に帯電手段、像露光手段と現像手段を配置して像担持体に形成されたトナー像を転写材の両面に転写、定着する複写機等の電子写真方式の両面画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、両面コピーにおいては、像担持体上に形成された一方の面の画像を転写材上に転写、定着し、これを一旦両面反転給紙装置に収納し、再び像担持体上に形成された画像とタイミングを合わせて両面反転給紙装置より転写材を給送し、転写材上に他方の面の画像を転写、定着する方法がとられている。
【0003】
この両面コピー装置は、上記の如く、両面反転給紙装置への給送や定着装置を2度通す等の転写材の搬送が行われるので、転写材搬送の信頼性が低く、ジャムや転写材のシワ等を引き起こす原因となっていた。また周知の如く転写材の搬送距離が長くなるためコピーに多くの処理時間がかかるという問題もあった。
【0004】
これに対し、特公昭49−37538号公報、特公昭54−28740号公報、特開平1−44457号公報、特開平4−214576号公報等により転写材の両面にトナー像を形成後、1回で定着を行うものが提案されている。
【0005】
また本出願人は、2つの像担持手段と2つの転写手段を設けることにより、転写材の両面に対しトナー像を転写し、両面にトナー像を有した転写材を同時に定着する装置について研究を行い、転写材搬送の信頼性が高く、ジャムやシワの発生がなく、また両面コピーの処理速度を著しく早めることの出来る両面画像形成装置の実現を可能とした。
【0006】
前記の両面画像形成装置においては、表裏にトナー像を転写した転写材を、定着装置に1度通すだけで済むため、転写材搬送の信頼性が高く、また転写材の搬送路を短縮してコピーの処理速度も早められるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる優れた特徴を用いている半面問題点をも有していた。後に詳述するように本発明の画像形成装置にあっては、像形成体上に形成した裏面画像を中間転写体上に転写を行い、再び像形成体上に形成した表面画像と中間転写体上の裏面画像とを記録紙の表裏に転写を行い、これを一括して定着を行うこととなるが、この場合、記録紙上の表面画像は1回の転写によって得られた画像であるのに対し、裏面画像は2回の転写によって得られた画像となる。
【0008】
トナー像の転写は100%の転写は不可能で、像形成体又は中間転写体には転写に際して数%の転写残のトナーが残留することとなる。従って表面画像について1回の転写、裏面画像については2回の転写が行われるので、同じ原稿画像について画像形成を行い、記録紙の表面と裏面とに転写を行うと、裏面に付着したトナー付着量は表面のトナー付着量より少なくなる。同じ原稿画像のトナー像を記録紙の両面に形成し、定着を行うと本来は同じであるべき画像は、裏面画像は表面画像に較べて濃度が低い(淡い)画像となる。
【0009】
かかる現象は決して好ましいことではない。本発明者らは、かかる現象を解消するため裏面画像形成時の感光体電位や露光量をあげ、或いは画像処理過程において裏面に付着するトナー量を表面に付着するトナー量より多くなるよう処理を行い、下記問題を解決する研究を行って来た。しかし転写前に付着したトナー量が適当とする量よりも多くなると、堆く盛り上がったようになり転写に際してトナー像の周縁部が広がり、2回転写を行う場合にはこの現象は強調されて画像のニジミやボケになる。
【0010】
本発明は画像形成工程或いは画像処理工程で裏面画像のトナー付着量を特に多くなるよう処理することなく、定着後の画像が表面と裏面とが同じ反射濃度として観察されるような両面画像を形成する画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、像形成体に形成されたトナー像を転写材の第1の面へ転写する第1工程と、像形成体に形成されたトナー像を中間転写体を介して第2の面へ転写する第2工程とから転写材の両面にトナー像を形成後、定着を行う両面画像形成装置において、転写材の両面に付着した同一画像データに対応したトナー付着量は第1の面より第2の面が少ないと共に、前記転写材の第2の面に対する定着温度は第1の面に対する定着温度より高く設定されていて、同一トナー付着量に対応した定着による画像濃度は第1の面より第2の面が高くなることを特徴とする両面画像形成装置、により達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の画像形成装置の実施の形態の説明を行う。
【0013】
本発明の画像形成装置は、像形成体に形成されたトナー像を転写材の第1の面(表面)に転写する第1工程と、像形成体に形成されたトナー像を中間転写体を介して第2の面(裏面)へ転写する第2工程とから記録紙の両面にトナー像を形成した後、定着を行う両面画像形成装置であって、同一画像データに対応したトナー付着量が裏面の方が少ないことを、定着工程において表面と裏面との定着条件を異なるようにして、定着後の表面の画像濃度と裏面の画像濃度とが同じになるような定着処理を行うようにした画像形成装置である。
【0014】
本発明の定着工程をもった定着装置の説明に先だって、上記の第1工程と第2工程とによって記録紙の両面にトナー像を形成するようにした両面画像形成装置の2つの実施形態について説明を行う。
【0015】
先ず第1の実施形態について説明を行う。図1に示すのは両面画像形成を可能とするディジタル方式によるカラー画像形成装置におけるハードウェアの全体構成を示す図である。本発明は転写材両面にカラー画像形成を可能とする画像形成装置に限定するものではなく、両面画像形成を可能とする白黒ディジタル複写機であってもよい。
【0016】
この図1において、カラー画像形成装置は、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部Cで構成され、前記画像読取り部Aが読取り手段に、画像処理部Bが画像処理手段に、また、前記画像形成部Cが画像形成手段に相当する。
【0017】
画像読取り部Aは原稿の両面に記録された画像読取りを可能とするもので、画像読取り部Aにおいて、原稿60は表面を下向きとして下側よりページ順に積層されていて、搬出ベルト51とさばきローラ52の作動により最下層の原稿Dが搬送路53に向け搬出される。搬出された原稿60は実線にて示す位置に付勢されているガイド板61を排除して破線にて示す位置に退避させ、搬送ベルト54を介して透明体のプラテンガラス55上に給紙されて、裏面を下向きにした状態で原稿読取位置に一時停止される。
【0018】
プラテンガラス55上の原稿60の裏面画像は、走査光学系を構成する照明ランプと第1ミラーから成る第1ミラーユニット56と、V字状に位置した第2ミラーと第3ミラーから成る第2ミラーユニット57の、第1ミラーユニット56の速度Vによる読み取り動作と、第2ミラーユニットによる同方向への速度V/2による移動露光により読み取られて、投影レンズ62とダイクロイックプリズム63を通して3個のラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。色分離して撮像素子CCD上に結像したライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換される。
【0019】
画像読取り部Aでは裏面画像の読み取りが終了すると、原稿60は搬送ベルト54の一時的な逆回転により反転給紙路58を経て表裏を反転し、再び搬送路53を経て搬送ベルト54を介してプラテンガラス55上に給紙され、表面を下向きにした状態で原稿読取位置に一時停止される。
【0020】
プラテンガラス55上の原稿60は表面画像を前記の走査光学系によって読み取られ、色分離して撮像素子CCDによって電気信号に光電変換される。
【0021】
プラテンガラス55上での画像の読み取りを終了した原稿60は、搬送ベルト54の作動により排紙ローラ59を介してトレイ64上に表面が下向きの状態で下側よりページ順に積み重なるように排紙される。
【0022】
前記画像読取り部Aで読み取られた原稿画像の画像信号(画像データ)は、後述する画像処理部Bにおいて、濃度変換、フィルタ処理、変倍処理、γ補正、表/裏画像の補正処理などの各種画像処理が施された後、画像形成部Cに出力される。
【0023】
画像形成部Cは、電子写真技術を用いたレーザプリンタであって、入力された画像信号に応じて記録紙上に画像形成を行う。
【0024】
画像形成部Cにおいて、第1の像担持体である感光体ドラム10は、例えば、光学ガラスや透明アクリル樹脂の透明部材によって形成される円筒状の基体を内側に設け、透明の導電層、a−Si層あるいは有機感光層(OPC)等の感光層を該基体の外周に形成したものであり、接地された状態で図1の矢印で示す時計方向に回転される。
【0025】
感光体ドラム10は図2の側断面図に示す如く、それを係合固定する両面端のフランジ部材10a及び10bが装置本体に架設固定されるドラム軸110に対し両面端のフランジ部材10a及び10bに嵌込まれたベアリング110a,110bにより軸受けされて回転自在に支持され、フランジ部材10bの一体とする歯車Gが装置本体側の駆動歯車と噛合して駆動されることにより所定の方向に定速で回転される。
【0026】
帯電手段としてのスコロトロン帯電器11はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒色(K)の各色の画像形成プロセスに用いられ、像形成体である感光体ドラム10の移動方向に対して直交する方向に感光体ドラム10と対峙して取り付けられ、感光体ドラム10の前述した有機感光層に対し所定の電位に保持された制御グリッドと、例えば鋸歯状電極からなる放電電極11aとを有し、トナーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態においてはマイナス帯電)を行い、感光体ドラム10に対し一様な電位を与える。放電電極11aとしては、その他ワイヤ電極を用いることも可能である。
【0027】
各色毎の像露光手段としての露光ユニット12は、感光体ドラム10上での露光位置が、スコロトロン帯電器11の放電電極11aと現像器13の現像位置との間に位置するように配置される。
【0028】
露光ユニット12は、感光体ドラム10の軸110と平行に主走査方向に配列された像露光光発光素子としてのLED(発光ダイオード)を複数個アレイ状に並べた線状の露光素子12aと、等倍結像素子としてのセルフォックレンズ12bとが、不図示のホルダに取付けられた露光用ユニットとして構成される。保持部材20に、各色毎の露光ユニット12、一様露光器12c及び転写同時露光器12dが取付けられて感光体ドラム10の基体内部に収容される。画像読取り部Aによって読み取られ、画像処理部Bで画像処理がなされた画像データは、各色毎の露光ユニット12にそれぞれ電気信号として入力される。
【0029】
露光素子としては、その他FL(蛍光体発光)、EL(エレクトロルミネッセンス)、PL(プラズマ放電)等の複数の発光素子をアレイ状に並べたものが用いられる。この実施形態で使用される発光素子の発光波長は、外部から像露光を行う際は通常Y,M,Cのトナーの透過性の高い780〜900nmの範囲のものが用いられるが、裏面から像露光を行う方式であることからカラートナーに対して透光性を十分に有しないこれより短い400〜780nmの波長でもよい。
【0030】
画像形成される色順序と、回転される感光体ドラムに、該色順序に従って設けられる現像器13は、本実施形態においては、図1の感光体ドラム10に対してY,Mの現像器13が感光体ドラム10の左側に、また、C,Kの現像器13が感光体ドラム10の右側に配置され、Y,Mの現像器13の現像ケーシング138の下方にY,Mのスコロトロン帯電器11が、また、C,Kの現像器13の現像ケーシング138の上方にC,Kのスコロトロン帯電器11が配置される。
【0031】
各色毎の現像手段としての現像器13は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒色(K)の一成分あるいは二成分の現像剤をそれぞれ収容し、それぞれ感光体ドラム10の周面に対し所定の間隙を保って、現像位置において感光体ドラム10の回転方向と同方向に回転する例えば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像スリーブ131を備えている。
【0032】
現像器13が不図示の突き当てコロにより感光体ドラム10と所定の値の間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保たれ、各色毎の現像器13による現像作用に際しては、現像スリーブ131に対し直流電圧あるいはさらに交流電圧を加えた現像バイアスが印加され、現像器の収容する一成分或いは二成分現像剤によるジャンピング現像が行われて、負荷電の感光体ドラム10に対してトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の直流バイアスを印加して、露光部にトナーを付着させる非接触の反転現像が行われる。この時の現像間隔精度は画像ムラを防ぐために20μm程度以下が必要である。
【0033】
上記の各色毎の現像器13は、前述したスコロトロン帯電器11による帯電と露光ユニット12による像露光によって形成される感光体ドラム10上の静電潜像を、現像バイアスの印加による非接触現像法により非接触の状態で帯電極性と同極性のトナー(本実施形態においては感光体ドラムは負帯電であり、マイナス極性のトナー)を反転現像する。
【0034】
画像記録のスタートにより不図示の感光体駆動モータの始動により駆動用の歯車を通して感光体ドラム10の後フランジ10bに設けられた歯車Gが回動され感光体ドラム10を図1の矢印で示す時計方向へ回転し、同時に感光体ドラム10の左方でイエロー(Y)の現像器13の現像ケーシング138の下方に配置されたYのスコロトロン帯電器11の帯電作用により感光体ドラム10に電位の付与が開始される。
【0035】
感光体ドラム10は電位を付与されたあと、Yの露光ユニット12において第1の色信号すなわちYの画像データに対応する電気信号による露光が開始され、感光体ドラム10の回転走査によってその表面の感光層に原稿画像のYの画像に対応する静電潜像を形成する。
【0036】
前記の潜像はYの現像器13により現像スリーブ上の現像剤が非接触の状態で反転現像され感光体ドラム10の回転に応じイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0037】
次いで感光体ドラム10は前記イエロー(Y)のトナー像の上に、さらに感光体ドラム10の左方、イエロー(Y)の上部でマゼンタ(M)の現像器13の現像ケーシング138の下方に配置されたマゼンタ(M)のスコロトロン帯電器11の帯電作用により電位が付与され、Mの露光ユニット12の第2の色信号すなわちMの画像データに対応する電気信号による露光が行われ、Mの現像器13による非接触の反転現像によって前記のイエロー(Y)のトナー像の上にマゼンタ(M)のトナー像が重ね合わせて形成される。
【0038】
同様のプロセスにより感光体ドラム10の右方でシアン(C)の現像器13の現像ケーシング138の上方に配置されたシアン(C)のスコロトロン帯電器11、Cの露光ユニット12およびCの現像器13によってさらに第3の色信号に対応するシアン(C)のトナー像が、また感光体ドラム10の右方、Cの下部で黒色(K)の現像器13の現像ケーシング138の上方に配置された黒色(K)のスコロトロン帯電器11、露光ユニット12および現像器13によって第4の色信号に対応する黒色(K)のトナー像が順次重ね合わせて形成され、感光体ドラム10の一回転以内にその周面上にカラーのトナー像が形成される(トナー像形成手段)。
【0039】
これ等Y,M,C及びKの露光ユニット12による感光体ドラム10の有機感光層に対する露光はドラムの内部より前述した透明の基体を通して行われる。従って第2、第3および第4の色信号に対応する画像の露光は何れも先に形成されたトナー像の影響を全く受けることなく行われ、第1の色信号に対応する画像と同等の静電潜像を形成することが可能となる。
【0040】
上記の画像形成プロセスによって像形成体としての感光体ドラム10(像形成体)上に裏面画像となる重ね合わせカラートナー像が形成され、感光体ドラム10上の裏面画像の重ね合わせカラートナー像が転写域14bにおいて、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流電圧が印加される転写器14c(第1の転写手段)により、駆動ローラ14d及び従動ローラ14e間に張架され、感光体ドラム10に近接あるいは接触して設けられた第2の像担持手段であるトナー像受像体14a(中間転写体)上に一括して転写される。この際、良好な転写がなされるように、例えばLED(発光ダイオード)を用いた転写同時露光器12dによる一様露光が行われる。
【0041】
転写後の感光体ドラム10の周面上に残ったトナーは像形成体AC除電器16により除電を受けた後、クリーニング装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材から成るクリーニングブレード19aによってクリーニングされ、更に、前プリントまでの感光体の履歴をなくすために、例えばLED(発光ダイオード)を用いた帯電前の一様露光器12cによる露光による感光体周面の除電がなされ、前回プリント時の帯電が除去されて引き続き次の表面画像のカラー画像形成が行われる。
【0042】
以上のようにしてトナー像受像体14a上に裏面画像となる重ね合わせカラートナー像が形成された後、感光体ドラム10上には引き続き表面画像となる重ね合わせトナー像が上記のカラー画像形成プロセスと同様にして形成される。このとき、トナー像受像体14a上に形成されている裏面画像と感光体ドラム10上に形成される表面画像とは転写域14bにおける同期がとられ、図3に示すようなトナー像の形成状態となる。なお、この時に形成される表面画像は、感光体ドラム10上では裏面画像形成とは互いに鏡像になる様に後に説明する画像処理部Bによって画像データの変更が行われる。
【0043】
転写材である記録紙Pが転写材収納手段である各サイズ毎にストックされた給紙カセット15A,15B,15Cより、記録紙サイズの指示に従って対応した記録紙が送り出しローラ15aにより送り出され、給送ローラ15bにより給送されてタイミングローラ15cへ搬送される。
【0044】
記録紙Pは、タイミングローラ15cの駆動によって、感光体ドラム10上に担持された表面画像のカラートナー像と、トナー像受像体14aに担持されている裏面画像のカラートナー像と、の同期がとられて転写域14bへ給送される。この際、記録紙Pは、転写材帯電手段としての紙帯電器14fによりトナーと同極性に紙帯電され、トナー像受像体14aに吸着されて転写域14bへ給送される。トナーと同極性に紙帯電を行うことにより、記録紙Pが転写部以外でトナー像受像体14a上のトナー像や感光体ドラム10上のトナー像と引き合うことを防止して、トナー像の乱れを防止している。また、転写材帯電手段としては、トナー像受像体14aに当接及び当接解除可能な導通ローラやブラシ帯電器等を用いることも可能である。
【0045】
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加される第1の転写手段としての転写器14cにより感光体ドラム10の周面上の表面画像が一括して記録紙Pの上面側(表面側)に転写される(第1工程)。この際、トナー像受像体14aの周面上の裏面画像は記録紙Pに転写されないでトナー像受像体14aに存在する。次に、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧を印加した第2の転写手段としての裏面転写器14gによりトナー像受像体14aの周面上の裏面画像を一括して記録紙Pの下面側(裏面側)に転写する(第2工程)。転写器14cによる転写の際、良好な転写がなされるように、転写器14cと対向して感光体ドラム10の内部に設けられた、例えばLED(発光ダイオード)を用いた転写同時露光器12dによる一様露光が行われる。
【0046】
各色のトナー像は互いに重なり合うことから、一括転写を可能とするにはトナー層の上層と下層のトナーとが同様の帯電量で同一極性に帯電していることが好ましい。このことから、トナー像受像体14a上に形成したカラートナー像をコロナ帯電により極性反転を行ったり、感光体ドラム10上に形成したカラートナー像をコロナ帯電により極性反転を行う両面画像形成では、下層のトナーが同極性に十分帯電されないことから、転写が不良となるので好ましくない。
【0047】
感光体ドラム10上で反転現像を繰り返し、重ね合わせて形成した同極性のカラートナー像を極性を変えずにトナー像受像体14aに一括転写し、次に、極性を変えずに記録紙Pに一括転写することが、裏面画像形成の転写性の向上に寄与するので好ましい。表面画像形成に対しても、感光体ドラム10上に反転現像を繰り返し、重ね合わせて形成した同極性のカラートナー像を極性を変えずに記録紙Pに一括転写することが、表面画像形成の転写性の向上に寄与するので好ましい。
【0048】
以上のことからカラー画像形成においては、上記の表面や裏面の画像形成法を用いて、第1の転写手段を動作させて転写材の表面にカラートナー像を形成し、次に、第2の転写手段を動作させて転写材の裏面にカラートナー像を形成する両面画像形成法が好ましく採用される。
【0049】
トナー像受像体14aは厚さ0.5〜2.0mmの無端状のゴムベルトで、シリコンゴム或いはウレタンゴムの108〜1014Ω・cmの抵抗値をもつ半導電性基体と、ゴムの基体の外側にトナーフィルミング防止層として厚さ5〜50μmのフッ素コーティングを行った2層構成とされる。この層も同様な半導電性が好ましい。ゴムベルト基体の代わりに厚さ0.1〜0.5mmの半導電性のポリエステルやポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等を使用することもできる。
【0050】
両面にカラートナー像が形成された記録紙Pが、転写材分離用としての紙分離AC除電器14h(以後分離極ともいう)により除電され、トナー像受像体14aから分離され、後に詳しく説明する両方のローラの内部にヒータを有する2本のローラで構成される定着手段としての定着装置30へと搬送される。上ローラ310と、下ローラ320との間で熱と圧力とを加えられることにより記録紙P上の表裏の付着トナーが定着され、両面画像記録がなされた記録紙Pが排紙ローラ18により送られて、装置外部のトレイへ排出される。
【0051】
転写後のトナー像受像体14aの周面上に残ったトナーは、トナー像受像体のクリーニング手段としてのトナー像受像体クリーニング装置14iに設けられトナー像受像体14aに当接及び当接解除可能なブレードによりクリーニングされる。また、転写後の感光体ドラム10の周面上に残ったトナーは像形成体AC除電器16により除電を受けた後、クリーニング装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材から成るクリーニングブレード19aによってクリーニング装置19内に掻き落とされ、次の画像形成の待機がなされる。
【0052】
次に画像処理部Bの回路構成を図4のブロック図に従って説明する。
【0053】
画像読取り部Aにおいて、撮像素子CCDから出力される色分離した3色のアナログ画像信号はA/D変換器B11によってディジタル画像信号に変換されたのち、画像処理(I)B12において画像形成装置の特性に応じたγ補正処理と、原稿の有効画像領域の抽出の他、枠消し、折り目消しなどの領域加工を行う画像領域処理が行われて、画像データはメモリB14にストアされる。
【0054】
メモリB14にはより多くの画像データを記憶させることから、画像圧縮B13で画像データを圧縮処理して記憶させ、メモリB14からの読み出し時には画像伸長B15によって伸長処理して出力する構成となっている。
【0055】
画像処理部Bでは制御部B10からの指令によって画像処理が行われる。制御部B10には表/裏判定手段B20からの情報によって、画像形成に当たってメモリB14から出力される画像データが表面画像であるか裏面画像であるかの判断を行い、メモリB14から出力される画像データが裏面であるときには、裏面画像対応の画像処理が行われる。
【0056】
本画像形成装置の操作盤には、片面原稿から両面画像、両面原稿から両面画像等の選択釦があって、この選択釦により入力情報と画像読取り部Aでの原稿読取り順序情報とから表/裏判定手段B20によって、メモリから伸長される画像データの表/裏画像の判定が行われる。
【0057】
図5は画像処理(II)B16とデータセレクタB19との詳細を示したもので、メモリB14から出力する1ページ分のディジタル画像信号は色処理B161でマスキング・墨入れ・UCR等の色処理が行われ、ついで裏面処理B162においては当該ディジタル画像信号が裏面画像であるときはフィルタ処理及びγ補正が行われる。但し本実施形態においては裏面画像に対してトナー付着量を多くするような処理は行わない。
【0058】
裏面処理B162が行われたのち、スクリーン角、ディザや誤差拡散等の多値化処理B163がなされたY,M,C,K各色のディジタル信号はデータセレクタB19に出力される。
【0059】
データセレクタB19内には表面出力用メモリB192Aと裏面出力用メモリB192Bとが設けられていて、制御部B10から画像出力の指示がなされると、メモリB14から呼出された表面の画像データは画像処理(II)B16による処理がなされて、セレクタ(I)B191によって先ず表面出力用メモリB192Aに入力され、ついで裏面の画像データは裏面出力用メモリB192Bに入力される。裏面出力用メモリB192Bに入力される際はセレクタ(I)B191によって画像データは鏡像となるよう反転された形での入力がなされる。
【0060】
そして、画像形成装置での両面画像形成のタイミングに合わせて、セレクタ(II)B193によって先ず裏面出力用メモリB192Bから裏面画像データが露光ユニット12に出力され感光体ドラム10上に裏面画像の形成が行われる。ついでセレクタ(II)B193によって表面出力用メモリB192Aからの表面画像データが露光ユニット12に出力され、表面画像の形成が行われる。
【0061】
なお上記説明においては画像データの鏡像変換処理はデータセレクタB19において行う構成となっているが、裏面処理B162において行う回路構成とすることも可能である。
【0062】
次に第2実施形態について説明を行う。この実施形態は図6に示す如く、2つの像形成手段を用いて第1工程と第2工程とによって記録紙の両面にトナー像を形成するようにした両面画像形成装置である。なお第1の実施形態と同じ機能をもった部材に対しては同一符号をもって示している。
【0063】
本実施形態においては、中間転写体たるトナー像受像体14a上面の搬送下流側と上流側には第1及び第2の像形成体たる共通の感光体ドラム10の周面にそれぞれ複数のスコロトロン帯電器11、露光ユニット12と現像器13とを配置した第1及び第2のプロセスユニット20A及び20Bが配設されている。
【0064】
先ず原稿裏面の画像データが前記の第2のプロセスユニット20Bの各露光ユニット12に入力され、第2のプロセスユニット20Bにおいては各帯電器11、各現像器13の作用により感光体ドラム10は1回転中にその周面上にイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各トナー像の重ね合わせによりカラートナー像が形成される。このカラートナー像は転写器14cにより前記のトナー像受像体14aの周面上に一旦転写される。
【0065】
原稿裏面のカラートナー像の形成及び転写に並行して給紙カセット15から転写材として記録紙Pが搬出ローラ15aの作動により給紙を開始され、記録紙Pは給紙経路15dを経由してタイミングローラ15cに給送される。
【0066】
前述した第2のプロセスユニット20Bへの原稿裏面の画像データの入力に所定の時間差を置いて原稿裏面の画像データが前記の第1のプロセスユニット20Aに入力され、第2のプロセスユニット20Bにおけると同様のプロセスを経て感光体ドラム10は1回転中に重ね合わせによりカラートナー像が形成される。なお第1のプロセスユニット20Aの感光体ドラム10上に形成される原稿表面の各トナー像は先に形成した原稿裏面のカラートナー像に対し鏡像関係となるよう前もって画像データが変換される。
【0067】
第1のプロセスユニット20Aにおける感光体ドラム10の周面上の原稿表面のカラートナー像の形成と、前述したトナー像受像体14a上に転写した原稿裏面のカラートナー像の位置の双方に同期して前記のタイミングローラ15cの作動が開始され、記録紙Pが原稿表裏の各カラートナー像に位相を合わせて、表裏のカラートナー像先端位置と記録紙Pの先端位置が合致するようトナー像受像体14a上に給紙される。
【0068】
記録紙Pは紙帯電器14fの帯電によりトナー像受像体14aと密着した状態で搬送されて、先ずその上面に第1のプロセスユニット20Aの感光体ドラム10の担持する原稿表面のカラートナー像を転写器14c′により転写され(第1工程)、次いでその下面に第2のプロセスユニット20Bの感光体ドラム10より転写されたトナー像受像体14a上の原稿裏面のカラートナー像を転写器14gにより再転写される(第2工程)。
【0069】
かくして、上下すなわち表裏両面にカラートナー像を転写された記録紙Pは除電器14hの放電により除電されてトナー像受像体14aの周面より分離され、次に説明する定着装置30においてトナーを記録紙P上に溶着したのち排紙ローラ18を経てトレイ上に排出される。
【0070】
一方カラートナー像の転写を終えた各感光体ドラム10とトナー像受像体14aはそれぞれの備えるクリーニング装置19並びにトナー像受像体クリーニング装置14iによって残留トナーを除去、清掃されて続くカラートナー像の形成並びに転写に備える。
【0071】
以上の説明した第1及び第2の実施形態において、同一画像データに対応した記録紙Pの裏面に付着したトナー付着量は2回転写がなされる関係から表面のトナー付着量の80〜95%である。次に説明する定着装置30は、上記の記録紙Pを定着する際裏面の反射濃度が表面の反射濃度に比較すると高くなって、定着後の表面と裏面が少なくとも最大濃度が略同じになるような定着が行われる。
【0072】
図7は本発明の両面画像形成装置に用いる定着装置30の実施形態を示す断面構成図である。定着装置30は、上側にあって記録紙Pの表面トナー像の定着を担当する上ローラ310と、下側にあって記録紙Pの裏面トナー像の定着を担当する下ローラ320とが対向して圧接・加熱し、その間を通過する記録紙Pの保持するトナー像の定着を行う。
【0073】
上ローラ310は内側芯部にはハロゲンランプ等から成る加熱手段(本実施形態では700Wのハロゲンランプ)である第1ヒータ311を有している。上ローラ310はこの第1ヒータ311を内蔵した薄肉の金属パイプから成る芯金310aの外周を、例えば30〜200μmのPFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂やシリコン樹脂等の耐熱性で高離型層でコーティングした表面層310bを有するハードローラである。
【0074】
下ローラ320は内側芯部にはハロゲンランプ等から成る加熱手段(本実施形態では300Wのハロゲンランプ)である第2ヒータ321を有している。下ローラ320はこの第2ヒータ321を内蔵した薄肉の金属パイプから成る芯金320aの外周に厚さ2〜8mmのゴム硬度アスカーC55度程度のシリコンゴム等の耐熱性を有した弾性体から成る弾性体層320bを設け、その外周を表面層320cとして厚さ30〜200μmのPFAやPTFE等のフッ素樹脂やシリコン樹脂等の耐熱性で高離型層でコーティングしたソフトローラである。
【0075】
上下のローラ310,320の周面には、それぞれ周面上に付着したトナーや紙粉等を吸着除去するためにクリーニングローラ312,322と、オフセット防止のために離型剤であるシリコンオイルを塗布するオイル塗布ローラ313,323が設けられている。クリーニングローラ312,322の表面には例えば発泡シリコンゴムのようなオイルに対して非吸収性の材料を使用する。吸収性の材料を使用すると吸収して溜まったオイルを吐き出すこととなり、オイルむらになる。従ってクリーニングローラ312,322に非吸収性の材料を使用し、オイル塗布量のバラツキを抑える。またトナー等の異物除去性能を良くするため、離型性の低いものとし、更に上、下ローラ310,320からの熱を吸収しないよう熱容量の小さいものが選択使用され、クリーニングローラ312,322及びオイル塗布ローラ313,323はそれぞれ上、下ローラ310,320に圧着して従動回転する。
【0076】
また、下ローラ320には導電性の薄肉金属ローラの内側に外部ヒータ331としてハロゲンランプ(本実施形態では500Wのハロゲンランプ)を内蔵した外部加熱手段である外部加熱ローラ330が下ローラ320に圧着して従動回転する構成となっている。なお、外部加熱手段としては下ローラ320と非接触の棒状のハロゲンランプと樋状の反射鏡から成る加熱手段を用いることもできる。
【0077】
更に上ローラ310、下ローラ320の各々に当接し或いは極く近接した位置にサーミスタ等からなる第1及び第2の温度検知手段である第1温度センサ314、第2温度センサ324が設けられていて、ローラの表面温度が検知され、この検知信号に基づいて第1ヒータ311,第2ヒータ321及び外部ヒータ331の通電制御が行われ、所定の温度範囲内に保持される。
【0078】
上ローラ310と下ローラ320との間は不図示のバネなどの付勢部材によって線圧0.8〜1.8kg/cmで圧接されるようになっていて、この時のニップ部の長さは線圧やローラの硬度によって異なるがほぼ2〜7mmとなっている。上ローラ310と下ローラ320とはニップ部においてスリップが生じないよう同一の駆動源によって駆動され、同じ線速(本実施例では160mm/sec)で回転し、ニップ部において両面定着が行われる。
【0079】
本発明においては、両面にトナー像を保持した記録紙の定着に当たって、表面(第1面)の定着を行う上ローラ310の表面温度は設定定着温度TS1(℃)に温度制御を行い、裏面(第2面)の定着を行う下ローラ320の表面温度は設定定着温度TS2(℃)に温度制御が行われる。ここでTS2>TS1であって、TS2−TS1=(10〜40)℃の間に設定される。
【0080】
本実施形態においては上ローラ310はハードローラとして設定定着温度TS1=170℃に設定し、下ローラ320はソフトローラとして設定定着温度TS2=200℃に設定する。かかる条件での定着により裏面については表面に較べて反射濃度が高まり、本来はハードローラ側が光沢画像となったものが裏面側のトナーが高温によってつぶれて光沢画像となる。図8はこれを模式的に示したもので、かかる定着処理を行うことによって、2回転写を行った裏面画像についても表面画像と表裏の判別が困難な画像濃度をもった画像が得られることとなる。
【0081】
【発明の効果】
1回の転写によって表面画像を、2回の転写によって裏面画像を記録紙の両面に保持して定着を行う両面画像形成装置で、裏面画像の方が画像濃度が低くなるという問題を解決する手段として画像形成時における感光体電位や露光量を上げて解決しようとする方法は感光体の劣化等が生じ、また過剰にトナーが付着した状態で転写を行うときは転写率が低いばかりでなく、転写時での画像の乱れが生じたのが、本発明によって定着時に表裏画像の差異を解消して、同一の原稿画像に対しては同じ画像濃度の両面画像が得られることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の断面構成図。
【図2】像形成体の側断面図。
【図3】トナー像の形成状態を示す説明図。
【図4】実施形態の回路構成を示すブロック図。
【図5】画像処理部とデータセレクタ部の回路構成を示すブロック図。
【図6】第2の実施形態の画像形成装置の断面構成図。
【図7】定着装置の断面構成図。
【図8】定着前後のトナーの付着状態を示す模式図。
【符号の説明】
10 感光体ドラム
11 スコロトロン帯電器
12 露光ユニット(像露光手段)
13 現像器
14a トナー像受像体
14c 転写器
14g 裏面転写器
14h 分離極
30 定着装置
310 上ローラ
311 第1ヒータ
314 第1温度センサ
320 下ローラ
321 第2ヒータ
324 第2温度センサ
331 外部ヒータ

Claims (2)

  1. 像形成体に形成されたトナー像を転写材の第1の面へ転写する第1工程と、像形成体に形成されたトナー像を中間転写体を介して第2の面へ転写する第2工程とから転写材の両面にトナー像を形成後、定着を行う両面画像形成装置において、
    転写材の両面に付着した同一画像データに対応したトナー付着量は第1の面より第2の面が少ないと共に、
    前記転写材の第2の面に対する定着温度は第1の面に対する定着温度より高く設定されていて、
    同一トナー付着量に対応した定着による画像濃度は第1の面より第2の面が高くなることを特徴とする両面画像形成装置。
  2. 前記転写材の第2の面に対する定着手段はソフト、第1の面に対する定着手段はハードであることを特徴とする請求項1に記載の両面画像形成装置。
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