JP3738460B2 - 光ファイバー被覆用紫外線硬化型組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ被覆用紫外線硬化型組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、ガラス表面の保護、補強のため、紡糸直後に、ガラス表面に低い弾性率を有する材料で1次被覆を行った後、高い弾性率を有する材料で2次被覆が施されている。
【0003】
これらの材料として、現在、生産性の面より紫外線硬化型樹脂が多く使用されている。又、1次被覆及び2次被覆を施した光ファイバーを束ねてテープ化する際にも紫外線硬化型樹脂が使用されている。
【0004】
ところで、被覆光ファイバを複数本収納した光ファイバケーブルは、様々な環境下で使用されるが、地下管路内やマンホール内では、雨水や地下水等によりケーブルが水に浸ることがある。光ファイバケーブル内に水が浸入すると、ガラスの静疲労が進行し易くなるので機械的強度が低下する。
【0005】
このためにケーブル内に乾燥空気を流すガス保守やケーブル内に防水材料を充填した防水ケーブル等が実用化されているが、近年は特にガス保守を必要としない防水ケーブルが多く使用される傾向にある。
【0006】
しかし、防水材料だけで水を完全に遮蔽するのは困難であり、長期間にわたって、光ファイバ表面に水が浸入しないことを保証することは困難である。また、マンホール内のアルカリ性を帯びた水が接触することによって、被覆材料が劣化することが報告されている。
【0007】
このような問題を解決するために、吸水率の低い被覆材料が要求されている。これに加えて、1993年電子情報通信学会秋季大会講演論文集、B−765にあるように、被覆材料の含水率が低いほど光ファイバの強度が大きくなることから、親水性の低い被覆材料が要求されている。
【0008】
一方、防水ケーブルの防水材料としては油性のジェリーが多く使用されているが、光ファイバの被覆樹脂がジェリーにより経時的に膨潤したり、ガラスとの密着力が低下したりする問題があった。従って、ジェリーによって膨潤が小さく、密着力の変化が少ない被覆材料が要求されている。
【0009】
この様な状況において、従来の光ファイバ被覆用紫外線硬化型組成物としては、特開平2−47122号公報に記載の例のように、オキシエチレン単位のごとき親水性ユニットを数個以上有する反応性モノマーまたは反応性オリゴマーを用いたものが知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した公報に記載されている様な組成物で被覆された光ファイバは、耐ジェリー性の改良が達成されるが、吸水率を十分低くし、親水性を抑えることができなかった。
【0011】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐ジェリー性と低吸水率を同時に満足する光ファイバ被覆用紫外線硬化型組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステル、ネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステル又はエチレングリコールとβ−メチル−δ−バレロラクトンとを反応させて得られるポリエステルを原料として用いた(A)ポリエステルウレタンアクリレート、(B)一般式
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、R1は水素原子またはアルキル基、R2はプロピレン基またはブチレン基、nは1〜6の整数を示す。)で表わされるアクリル酸エステル、および(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする光ファイバ被覆用紫外線硬化型組成物を提供するものである。
【0015】
以下に本発明の詳細を述べる。本発明で使用するポリエステルウレタンアクリレート(A)は、例えばポリエステルポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及びイソシアネート基と反応する活性水素及びアクリロイル基を有する化合物(c)を反応させて得ることができる。
【0016】
本発明で使用する(a)ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多塩基酸とを必須成分として反応させて得られる反応生成物や、環状エステル(ラクトン)を多価アルコール等で開環重合して得られる反応生成物があり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3ーメチルー1,5ーペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等のジオール化合物と、εーカプロラクトン又はβ-メチル-δ-バレロラクトンとの付加物;上記ジオール化合物と、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、フマル酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸との反応生成物;上記ジオール化合物と上記二塩基酸とεーカプロラクトン又はβ-メチル-δ-バレロラクトンとの三成分の反応物等を挙げることが出来る。
【0017】
ポリエステルポリオール(a)としては、数平均分子量1000〜20000、中でも3000〜12000程度のものが好ましい。
【0018】
市販品としては、例えば「クラポールL−2010」「クラポールP−4010」「クラポールP−6010」「クラポールPNA−2000」(クラレ製)、「ポリライトOD−X−2420」「ポリライトOD−X−640」「ポリライトOD−X−2492」(大日本インキ化学工業製)、「プラクセル220」「プラクセル220AL」(ダイセル化学製)等が使用できる。
【0019】
ポリエステルポリオール(a)としては、それ自体が、結晶化しておらず結果的に透明なものが良く、結晶化するとしても出来るだけ低温で結晶化するもの、具体的には、例えば10℃でも白濁しないもの、好ましくは5℃でも白濁しないものを用いることが好ましい。
【0020】
特に、3ーメチルー1,5ーペンタンジオールとアジピン酸の反応生成物、ネオペンチルグリコールとアジピン酸の反応生成物、エチレングリコールとβ-メチル-δ-バレロラクトンとの付加物が、低温での結晶性が小さく取扱いが容易な点で、光ファイバ一次被覆用の組成物を調製するのに用いるポリエステルウレタンアクリレート(A)を得るためのポリエステルポリオール(a)としては好ましい。
【0021】
さらに、これら以外のポリオールを本発明の効果を損なわない範囲内で1種以上組み合わせて使用しても良い。組み合わせるポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール、脂肪族飽和炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素の構造を有するポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0022】
ポリカーボネートポリオールの具体例として、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,4-ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2-メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ビスフェノールAの如きジオール化合物のエチレンオキサイド2〜6モル付加反応物;上記ジオール化合物とシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸の如きジカルボン酸の反応成生物;上記ジオール化合物とε−カプロラクトン又はβ−メチル−δ−バレロラクトン付加反応物であるポリエステルジオール等をジオール成分とするポリカーボネートポリオール;これらのポリカーボネートポリオールの、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド又はε−カプロラクトン又はβ−メチル−δ−バレロラクトン付加反応物であるポリエステルジオール等が挙げられる。
【0023】
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば「デスモフェン2020E」(住友バイエルン製)、「DN−980」(日本ポリウレタン製)、「DN−981」(日本ポリウレタン製)、「DN−982」(日本ポリウレタン製)及び「DN−983」(日本ポリウレタン製)等が使用できる。
【0024】
脂肪族飽和炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素の構造を有するポリオールの具体例としては、例えばメチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジオール、1,2,4-ブタントリオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、オルトフェニレンジオール、メタフェニレンジオール、パラフェニレンジオール、ナフチレンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,4'-メチレンビスシクロヘキサノール、4,4'-メチレンビスフェノール及び2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0025】
ポリイソシアネート (b)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、脂肪酸のダイマージイソシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせ用いても良い。特に、光ファイバ一次被覆材料としてはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0026】
イソシアネート基と反応する活性水素及びアクリロイル基を有する化合物(c)としては、主としてアクリロイル基を有するヒドロキシ化合物が使用される。例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ブトキシヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレート、グリセリンジアクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチルアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート等を挙げることができる。
【0027】
これらのイソシアネート基と反応する活性水素及びアクリロイル基を有する化合物(c)は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせ用いても良い。
【0028】
本発明で使用するポリエステルウレタンアクリレート(A)を得るに際しては、ポリエステルポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及びイソシアネート基と反応する活性水素及びアクリロイル基を有する化合物(c)の反応の順序は特に限定されるものではなく、例えばポリエステルポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて、末端イソシアネート基のプレポリマーを得て、それとイソシアネート基と反応する活性水素及びアクリロイル基を有する化合物(c)とを反応させる方法、ポリイソシアネート(b)とイソシアネート基と反応する活性水素及びアクリロイル基を有する化合物(c)とを反応させて、末端イソシアネート基のイソシアネート基とアクリロイル基を有する化合物を得て、それとポリエステルポリオール(a)とを反応させる方法等がある。
【0029】
勿論、ポリエステルポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させるに当たっては、ポリエステルポリオール(a)にポリイソシアネート(b)を加える様にしてもよいし、その逆でも良い。この様なことは、上記(a)と(b)との反応のみならず、(a)〜(c)を用いてポリエステルウレタンアクリレート(A)を得る全ての素反応について言えることである。
【0030】
ポリエステルウレタンアクリレート(A)としても、低温で結晶化しにくいもの、具体的には、例えば10℃でも白濁しないもの、好ましくは5℃でも白濁しないものを用いることが好ましい。
【0031】
本発明で使用するアクリル酸エステル(B)は、一般式
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、R1は水素原子またはアルキル基、R2はプロピレン基またはブチレン基、nは1〜6の整数を示す。)で表わされるものである。この様な構造のアクリル酸エステル(B)としては、R2がプロピレン基のものが好ましい。アクリル酸エステル(B)としては、例えば、市販品として、「アロニックスM117」(東亞合成化学製)、「NKエステルNPA−5P」(新中村化学製)等が入手できる。
【0034】
本発明においては、上記したポリエステルウレタンアクリレート(A)とアクリル酸エステル(B)との重量割合は特に限定されるものではないが、例えば重量比にして、ポリエステルウレタンアクリレート(A)/アクリル酸エステル(B)=30/70〜80/20、好ましくは40/60〜60/40とする。
【0035】
本発明で使用する光重合開始剤(C)としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、光によりラジカルを発生し、そのラジカルが重合性不飽和化合物と効率的に反応するものであれば良い。分子が開裂してラジカルを発生するタイプや芳香族ケトンと水素供与体の組合せのように複合して用いられるものがある。
【0036】
前者に属する例としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1等を挙げることができる。
【0037】
後者の例の芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルスルフイド、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0038】
これらと組合せる水素供与体としては、例えば、メルカプト化合物及びアミン化合物等が挙げられるが、一般にアミン系化合物が好ましい。アミン系化合物としては、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミン及び4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0039】
本発明においては、これらの光重合開始剤のうち、特に分子が開裂してラジカルを発生するタイプが好ましい。これらの光重合開始剤は、単独で用いても良いし、二種類以上組合せて用いても良い。
【0040】
光重合開始剤(C)の使用量は、ポリエステルウレタンアクリレート(A)とアクリル酸エステル(B)との合計100重量部当たり、通常0.1〜10重量部、好ましくは1〜4重量部である。
【0041】
本発明の組成物は、前記(A)〜(C)から構成され、一次被覆及び二次被覆のいずれにも使用できるが、特に一次被覆用として好適である。
【0042】
光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型組成物は、内割りで、成分(A)を20〜70重量%、成分(B)を10〜70重量%、成分(C)を0.5〜10重量%の範囲から配合されることが好ましい。
【0043】
本発明においては、必要に応じてシランカップリング剤(D)を併用することができる。シランカップリング剤(D)を併用した組成物から得られる硬化塗膜は、ガラスへの密着性の経時変化がより小さくなるという効果が新たに発現する。
【0044】
本発明におけるシランカップリング剤(D)としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、同一分子内にメルカプト基、アミノ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の反応性官能基と次式で表わされる基を併有する化合物が使用できる。
【0045】
【化5】
【0046】
R5はアルキル基、R6はアルキル基である。mは1〜3の整数である。
【0047】
具体的なシランカップリング剤(D)としては、例えば、γ-(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。市販品としては、例えば、「KBM502」「KBM5102」「KBM503」「KBE903」「KBM803」(信越化学工業製)等が使用できる。
【0048】
シランカップリング剤(D)としては、次の一般式で表わされる化合物が好ましくい。
【0049】
【化6】
【0050】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4はメチルまたはエチル基、mは1〜3の整数を示す。)
【0051】
シランカップリング剤(D)としては、最終的に得られる硬化塗膜の引張弾性率の経時変化が極めて小さくできる点で、ジアルコキシシリル基を有するものが特に好ましいく、次の一般式において、m=2のものが硬化塗膜とした時の引張弾性率の経時変化がより小さくなるので特に好ましい。上記一般式で示されるシランカップリング剤(D)の中では、m=2のものが好ましい。
【0052】
成分(D)の含有量は、特に制限されるものではないが、通常重合硬化成分100重量部当たり0〜5重量%であり、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0053】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物には、上記必須成分以外に、不飽和結合を有するその他のモノマーを、希釈剤として本発明の効果を損なわない範囲内で使用することができる。
【0054】
この様な不飽和結合を有するモノマーとしては、主に(メタ)アクリル酸エステルが使用されるが、硬化性の点でアクリル酸エステルを用いるのが好ましい。一次被覆用紫外線硬化型組成物には、硬化塗膜に柔らかさが要求されるため、主に単官能のアクリル酸エステルが用いられ、一方、強靱性を向上させる目的では、二官能以上の多官能アクリル酸エステルが一般的に併用される。
【0055】
単官能アクリル酸エステルモノマーの具体例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ドデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、1,3-ブチレングリコールモノアクリレート、テトラメチレングリコールモノアクリレート、ヘキサメチレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート及びペンタエリスリトールモノアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート等を挙げることができる。
【0056】
多官能アクリル酸エステルモノマーの具体例としては、例えばトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタジエンジアクリレート、ジシクロペンタンジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。
【0057】
(メタ)アクリル酸エステル以外の不飽和結合を有するモノマーとして、例えば、N-ビニルー2ーピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルアミド類、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、t-アミルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、2ージエチルアミノエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロイルモルホリン、等を挙げることができる。
【0058】
また、その他の成分として、熱重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等を各種特性を改良する目的で配合することもできる。
【0059】
本発明の組成物は、光ファイバ心線に塗布した後、所定量の紫外線を照射することにより、硬化塗膜で被覆された光ファイバを得ることができる。
【0060】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、本発明のウレタンアクリレートオリゴマーの合成例を示す。
【0061】
(合成例1)
ポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオールアジペート)(数平均分子量4000)1モル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート2モル、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で反応を行い、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0062】
次に、2-ヒドロキシプロピルアクリレート2モルを、重合禁止剤としてt-ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA−1)を得た。
【0063】
(合成例2)
ポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオールアジペート)(数平均分子量6000)1モル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート2モル、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で反応を行い、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0064】
次に、2-ヒドロキシエチルアクリレート2モルを、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソアネート基がほぼなくなるまで反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA−2)を得た。
【0065】
(合成例3)
ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量4000)1モル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート2モル、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で反応を行い、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0066】
次に、2-ヒドロキシエチルアクリレート2モルを、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソアネート基がほぼなくなるまで反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA−3)を得た。
【0067】
以下に本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型組成物の実施例及び比較例を示す。
【0068】
(実施例1)
合成例1で得たウレタンアクリレートオリゴマ−(UA−1)50重量部、次式で示されるアクリル酸エステル(B)(商品名「NKエステルNPA−5P」)50重量部、及びベンジルジメチルケタール3重量部を60℃で2時間混合溶解して、液状紫外線硬化型組成物を得た。
【0069】
【化7】
【0070】
上記で得られた組成物について、以下に示す評価を行った。その結果を表1に示した。
【0071】
(引張弾性率の評価)
紫外線硬化型組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が 140±20μmとなるように各々塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下で照射光量100mJ/cm2で硬化させた。この硬化膜の引張弾性率をJIS K7113-1981に準拠して測定した。
【0072】
(吸水率の評価)
紫外線硬化型組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が 200±20μmとなるように各々塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下で照射光量200mJ/cm2で硬化させた。この硬化塗膜を試料として、JIS K7209-1984のB法に準拠して吸水率の測定を行った。
【0073】
(耐ジェリー性の評価−1)
吸水率の評価と同様に紫外線硬化型組成物の硬化塗膜を作製した。この硬化膜を23℃50%RHで状態調節したのち、重量M1を測定する。次に、ジェリー「グランディックJ−2000」(大日本インキ化学工業製)に80℃1日漬けた後、取り出し、表面のジェリーを拭き取り重量M2を測定する。これより、重量変化=M2/M1×100(%)を求めた。数値が100に近いほど、ジェリーによる膨潤等が少なく、耐ジェリー性が良いことを示す。
【0074】
(耐ジェリー性の評価−2)
吸水率の評価と同様に紫外線硬化型組成物の硬化塗膜を作製した。
この硬化膜をガラス板より剥がさずに23℃50%RHで24時間状態調節したのちに、JIS Z0237-1991の90度引き剥がし法に準拠して硬化膜についてガラスとの密着力を測定した。引き剥がし速度は100mm/minとした。測定平均値をT1とする。次に、ガラス板上に作製した硬化塗膜を23℃50%RHで24時間状態調節したのちに、そのままジェリー「グランディックJ−2000」(大日本インキ化学工業製)に80℃7日漬けた後、取り出し、表面のジェリーを拭き取った。この硬化膜について上記と同様にガラスとの密着力を測定した。測定平均値をT2とする。これより、ガラスとの密着力の変化率=T2/T1×100(%)を求めた。数値が100に近いほど、ジェリーによる密着力の変化が小さく、耐ジェリー性が良いことを示す。
【0075】
(実施例2)
実施例1で得た組成物に、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン0.2重量部を添加して混合溶解して、液状紫外線硬化型組成物を得た。
(比較例1)
ウレタンアクリレートオリゴマー(UA−1)に代えて、合成例3で得たウレタンアクリレートオリゴマー(UA−3)を同量用いる以外は、実施例1と同様にして、液状紫外線硬化型組成物を得た。
【0076】
(比較例2)
「NKエステルNPA−5P」に代えて次式で示されるアクリル酸エステル(商品名「NKエステルNPA−5E」)を同量用いる以外は実施例1と同様にして、液状紫外線硬化型組成物を得た。
【0077】
【化8】
【0078】
【表1】
【0079】
(実施例3)
合成例2で得たウレタンアクリレートオリゴマ−(UA−2)30重量部、「NKエステルNPA−5P」60重量部、N−ビニルカプロラクタム10重量部、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部、及びγ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン0.2重量部を60℃で2時間混合溶解して、液状紫外線硬化型組成物を得た。
【0080】
この組成物について、実施例1と同様の評価を行ったところ、引張弾性率0.050kgf/mm2、吸水率B法0.9%、耐ジェリー性(重量変化)101%耐ジェリー性(ガラスとの密着力変化)90%という結果であった。
【0081】
尚、実施例で用いた各ポリエステルポリオール(a)と各ポリエステルウレタンアクリレート(A)は、いずれも5℃においても結晶化せずに透明であり、白濁していなかった。
【0082】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ被覆用紫外線硬化型組成物から得られる被覆は、耐ジェリー性に優れ、かつ吸水率が低いという特徴を有する。従って、本発明の光ファイバ被覆用紫外線硬化型組成物で一次被覆した光ファイバは、ジェリー充填構造の他、様々な構造のケーブルにおいても長期間の使用において高い信頼性を得ることができる。
Claims (4)
- (D)シランカップリング剤を含有する請求項1記載の組成物。
- (D)シランカップリング剤が、前記一般式でm=2の化合物である請求項3記載の組成物。
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