JP3741446B2 - 光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、非常に脆く傷つき易いので、保護、補強等のために、紡糸直後に、ガラス表面に低い弾性率を有する材料で1次被覆を行った後、高い弾性率を有する材料で2次被覆が行われている。
【0003】
これらの材料として、近年、生産性等の面より紫外線硬化型樹脂が使用されている。又、1次被覆及び2次被覆を施した光ファイバーを束ねてテープ化する際にも紫外線硬化型樹脂が使用されている。
【0004】
該紫外線硬化型樹脂に使用されている重合性不飽和ポリウレタンとして、ポリエーテルウレタンアクリレートが広く用いられているのは公知である。ここに用いるポリエーテルポリオール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体、テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体、テトラヒドロフランとエチレンオキサイドの共重合体、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体等を挙げることができる。
【0005】
これらの内、光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂には、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリゴール(PTG)をポリエーテルポリオール成分として用いたポリエーテルウレタンアクリレートが広く使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂に必要な特性として、(1)低粘度、常温で均一液体で作業性に優れている、(2)低紫外線照射量でも充分に硬化し、生産性に優れている、(3)硬化塗膜の吸水率が低く、耐熱性、耐ジェリー性、耐塩基性等、長期信頼性に優れている、(4)低ヤング率である、等があげられる。
【0007】
ポリエーテルウレタンアクリレートのポリエーテルポリオール成分として、ポリプロピレングリコールを用いた場合、低粘度で作業性に優れているが、硬化性、耐熱性が劣るという欠点を有している。一方、ポリテトラメチレングリコールを用いた場合、硬化性、耐熱性に優れているが、結晶性が高く常温固体となるため、作業性が劣るという欠点を有している。この欠点を改良するためテトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体が検討されているが、硬化性、耐熱性等が不十分なのが実態である。また、ポリテトラメチレングリコールを用いた場合、硬化塗膜のヤング率が高くなるため、低ヤング率が要求される場合その使用が制限される。
【0008】
特開平2−135211号公報、特開平4−74735号公報には、ウレタンアクリレートのポリエーテルポリオール成分としてポリブチレングリコールを使用することにより、低吸水率で、耐塩基性、硬化性及び耐熱性に優れた光ファイバー被覆用紫外線硬化型樹脂が提案され、本材料によりヤング率の低い塗膜を得ることもできる。
【0009】
しかしながら、本材料は疎水性が強いため低吸水率である反面、防水材料としてケーブル内に石油系ジェリーが充填されている場合には、ジェリーにより膨潤し耐ジェリー性が低いため、使用範囲が限定されるという問題点が有していた。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、ポリブチレングリコールの特性を発揮し、かつ耐ジェリー性を向上させることによって低粘度で作業性が良く、硬化性に優れ、低吸水率で、耐熱性、耐ジェリー性等長期信頼性に優れ、かつ低ヤング率を達成できる極めてトータルバランスの優れた光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題をを解決するために、(1)(a)ポリブチレングリコール、(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール、(c)ポリイソシアネート及び(d)イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて得られる重合性不飽和ポリウレタン、(2)重合性ビニル基を1個以上有するモノマー及び(3)光重合開始剤を含有することを特徴とする光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【0012】
前記の(a)ポリブチレングリコールと(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオールの使用割合は、重量比で3:7〜8:2の範囲が好ましい。
【0013】
本発明で使用する重合性不飽和ポリウレタンは、(a)ポリブチレングリコール、(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン又はアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール、(c)ポリイソシアネート及び(d)イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得ることができる。
【0014】
本発明で使用するポリブチレングリコール(以下、(a)成分という。)は、1,2−ブチレンオキサイドの開環重合によって得られる重合体である。その市販品としては、「PBG500」、「PBG2000」、「PBG3000」、「PBG5000」、「PBG6000」(第一工業製薬社製)等が挙げられる。本発明の効果を失わない範囲内で、1,2−ブチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドを共重合させることもできる。
【0015】
本発明で使用するプロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン又はアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール(以下、(b)成分という。)としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体、テトラヒドロフランとアルキル化テトラヒドロフランの共重合体等を挙げられる。
【0016】
これらの市販品としては、ポリプロピレングリコールとして「PPG2000」、「PPG3000」(三井東圧化学社製)「エクセノール1020」、「エクセノール2020」、「エクセノール3020」(旭硝子社製)、ポリテトラメチレングリコールとして「PTG2000」、「PTG4000」(保土谷化学社製)、テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体として、「PPTG2000」、「PPTG4000」(保土谷化学社製)「ユニセーフDCB−1100」、「ユニセーフDCB−1800」(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0018】
(b)成分として掲げた化合物の中では、ポリプロピレングリコールが好ましい。
【0019】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、脂肪酸のダイマージイソシアネート等が挙げられる。
【0020】
イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物としては、主としてアクリロイル基を有するヒドロキシ化合物が使用される。例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、グリセリンジアクリレート、カプロラクトン変性2ヒドロキシエチルアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート等が挙げられる。
【0021】
前記(a)成分と(b)成分の使用割合は、重量比で、3:7〜8:2の範囲が好ましい。(a)成分の割合が3:7より少ないと、耐熱性、硬化性が十分でなくなり、8:2より多いと、耐ジェリー性が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。
【0022】
本発明で使用する(2)重合性ビニル基を1個以上有するモノマーとしては、主として、アクリル酸エステル系化合物が使用される。光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂においては硬化膜に柔らかさを要求するために、主に単官能の(メタ)アクリル酸エステル系化合物が用いられる。また、硬化性を向上させたり、硬化膜の強靱性を向上させる目的で、二官能以上の多官能アクリル酸エステル系化合物が併用される。
【0023】
本発明で使用する重合性ビニル基を有するモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルモルフォリン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテル、ジアリルフタレート、2−、3−又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルアクリルアミド;スチレン、クロロスチレン、等のビニルモノマーが挙げられる。
【0024】
本発明で使用する(3)光重合開始剤としては、光によりラジカルを発生し、そのラジカルが重合性不飽和化合物と効率的に反応するものであれば良い。分子が開裂してラジカルを発生するタイプや芳香族ケトンと水素供与体の組合せのように複合して用いられるものがある。
【0025】
前者に属する例としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1等が挙げられる。
【0026】
後者の例の芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルスルフイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等が挙げられ、これと組合せる水素供与体としては、例えば、メルカプト化合物及びアミン化合物等が挙げられるが、一般にアミン系化合物が好ましい。
【0027】
アミン系化合物としては、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0028】
これらの光重合開始剤は、単独で用いても良いし、二種類以上組合せて用いても良い。
【0029】
また、その他の成分として、熱重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、シランカップリング剤、界面活性剤等を各種特性を改良する目的で配合することもできる。
【0030】
本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物は、(1)重合性不飽和ポリウレタンを30〜90重量%、(2)エチレン性不飽和結合を有するモノマーを5〜70重量%及び(3)光重合開始剤を0.1〜10重量%の範囲から配合されることが好ましい。
【0031】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
まず、本発明の重合性不飽和ポリウレタンの合成例を示す。
【0033】
(合成例1)
ポリブチレングリコール(数平均分子量3,000)257gとポリプロピレングリコール(数平均分子量3,000)343g、2,4−トリレンジイソシアネート52.2g、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で約2時間反応させ、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0034】
次に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを26.0g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで約15時間反応させて、アクリロイル基を有する重合性不飽和ポリウレタン(A−1)を得た。
【0035】
(合成例2)
ポリブチレングリコール(数平均分子量3,000)600g、2,4−トリレンジイソシアネート52.2g、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で約2時間反応させ、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0036】
次に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを26.0g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで約15時間反応させて、アクリロイル基を有する重合性不飽和ポリウレタン(B−1)を得た。
【0037】
(合成例3)
ポリプロピレングリコール(数平均分子量3,000)600g、2,4−トリレンジイソシアネート52.2g、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で約2時間反応させ、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0038】
次に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを26.0g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで約15時間反応させて、アクリロイル基を有する重合性不飽和ポリウレタン(B−2)を得た。
【0039】
以下に本発明の光ファイバ被覆用紫外線硬化型樹脂組成物の実施例及び比較例を示す。
【0040】
(実施例1)
合成例1で得た重合性不飽和ポリウレタン(A−1)50重量部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(商品名アロニックスM117)50重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部を60℃で1時間混合溶解して、粘度60ポイズ(25℃)の液状紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0041】
(比較例1)
合成例2で得た重合性不飽和ポリウレタン(B−1)50重量部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(商品名アロニックスM117)50重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部を60℃で1時間混合溶解して、粘度64ポイズ(25℃)の液状紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0042】
(比較例2)
合成例3で得た重合性不飽和ポリウレタン(B−2)50重量部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(商品名アロニックスM117)50重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部を60℃で1時間混合溶解して、粘度53ポイズ(25℃)の液状紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0043】
実施例1及び比較例1、2で得た各紫外線硬化型樹脂組成物を用いて、下記の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0044】
(硬化性の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が140±20μmとなるように各々塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下で照射光量を変化させて硬化させた。その硬化膜の引張弾性率を測定した。
【0045】
なお、引張弾性率の測定は、JIS K7113に準拠して行った。また、硬化性の指標としては、25mJ/cm2、500mJ/cm2照射時の引張弾性率の比率(%)をとった。数値が大きい程硬化性が良いことを示す。
【0046】
(耐熱性の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が140±20μmと成るように塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気中で照射光量100mJ/cm2で硬化させた。 この硬化膜を120℃空気中で3日間保存し、その後引張弾性率を上記方法と同様に測定した。この測定値の初期値に対する比率を耐熱性の指標とした。数値が1に近いほど耐熱性が良いことを示す。
【0047】
(耐ジェリー性の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が200±20μmと成るように塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気中で照射光量200mJ/cm2で硬化させた。 この硬化膜を23℃、50%RHで状態調節し重量M1を測定する。次いで、ジェリー グランディックJ−2000(大日本インキ化学工業社)に85℃で1日間浸漬した後、取り出し、表面のジェリーを拭き取り重量M2を測定する。重量変化=M2/M1×100(%)を耐ジェリー性の指標とした。数値が100に近いほど耐ジェリー性が良いことを示す。
【0048】
(吸水率の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が200±20μmと成るように塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気中で照射光量200mJ/cm2で硬化させた。 この硬化膜を試料として、JIS
【0049】
K7209のB法に準拠して吸水率の測定を行った。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
表1より、本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物は、ポリブチレングリコールを用いた重合性不飽和ポリウレタンの欠点である耐ジェリー性を改善し、同時に低粘度で、低吸水率で、硬化性、耐熱性にも優れ、低ヤング率を達成できる。
【0052】
従って、本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物は、作業性、生産性に優れ、更に本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物を用いて被覆した光ファイバは、ジェリー充填ケーブルにも使用でき、長期間の使用においても高い信頼性を得ることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、非常に脆く傷つき易いので、保護、補強等のために、紡糸直後に、ガラス表面に低い弾性率を有する材料で1次被覆を行った後、高い弾性率を有する材料で2次被覆が行われている。
【0003】
これらの材料として、近年、生産性等の面より紫外線硬化型樹脂が使用されている。又、1次被覆及び2次被覆を施した光ファイバーを束ねてテープ化する際にも紫外線硬化型樹脂が使用されている。
【0004】
該紫外線硬化型樹脂に使用されている重合性不飽和ポリウレタンとして、ポリエーテルウレタンアクリレートが広く用いられているのは公知である。ここに用いるポリエーテルポリオール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体、テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体、テトラヒドロフランとエチレンオキサイドの共重合体、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体等を挙げることができる。
【0005】
これらの内、光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂には、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリゴール(PTG)をポリエーテルポリオール成分として用いたポリエーテルウレタンアクリレートが広く使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂に必要な特性として、(1)低粘度、常温で均一液体で作業性に優れている、(2)低紫外線照射量でも充分に硬化し、生産性に優れている、(3)硬化塗膜の吸水率が低く、耐熱性、耐ジェリー性、耐塩基性等、長期信頼性に優れている、(4)低ヤング率である、等があげられる。
【0007】
ポリエーテルウレタンアクリレートのポリエーテルポリオール成分として、ポリプロピレングリコールを用いた場合、低粘度で作業性に優れているが、硬化性、耐熱性が劣るという欠点を有している。一方、ポリテトラメチレングリコールを用いた場合、硬化性、耐熱性に優れているが、結晶性が高く常温固体となるため、作業性が劣るという欠点を有している。この欠点を改良するためテトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体が検討されているが、硬化性、耐熱性等が不十分なのが実態である。また、ポリテトラメチレングリコールを用いた場合、硬化塗膜のヤング率が高くなるため、低ヤング率が要求される場合その使用が制限される。
【0008】
特開平2−135211号公報、特開平4−74735号公報には、ウレタンアクリレートのポリエーテルポリオール成分としてポリブチレングリコールを使用することにより、低吸水率で、耐塩基性、硬化性及び耐熱性に優れた光ファイバー被覆用紫外線硬化型樹脂が提案され、本材料によりヤング率の低い塗膜を得ることもできる。
【0009】
しかしながら、本材料は疎水性が強いため低吸水率である反面、防水材料としてケーブル内に石油系ジェリーが充填されている場合には、ジェリーにより膨潤し耐ジェリー性が低いため、使用範囲が限定されるという問題点が有していた。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、ポリブチレングリコールの特性を発揮し、かつ耐ジェリー性を向上させることによって低粘度で作業性が良く、硬化性に優れ、低吸水率で、耐熱性、耐ジェリー性等長期信頼性に優れ、かつ低ヤング率を達成できる極めてトータルバランスの優れた光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題をを解決するために、(1)(a)ポリブチレングリコール、(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール、(c)ポリイソシアネート及び(d)イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて得られる重合性不飽和ポリウレタン、(2)重合性ビニル基を1個以上有するモノマー及び(3)光重合開始剤を含有することを特徴とする光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【0012】
前記の(a)ポリブチレングリコールと(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオールの使用割合は、重量比で3:7〜8:2の範囲が好ましい。
【0013】
本発明で使用する重合性不飽和ポリウレタンは、(a)ポリブチレングリコール、(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン又はアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール、(c)ポリイソシアネート及び(d)イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得ることができる。
【0014】
本発明で使用するポリブチレングリコール(以下、(a)成分という。)は、1,2−ブチレンオキサイドの開環重合によって得られる重合体である。その市販品としては、「PBG500」、「PBG2000」、「PBG3000」、「PBG5000」、「PBG6000」(第一工業製薬社製)等が挙げられる。本発明の効果を失わない範囲内で、1,2−ブチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドを共重合させることもできる。
【0015】
本発明で使用するプロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン又はアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール(以下、(b)成分という。)としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体、テトラヒドロフランとアルキル化テトラヒドロフランの共重合体等を挙げられる。
【0016】
これらの市販品としては、ポリプロピレングリコールとして「PPG2000」、「PPG3000」(三井東圧化学社製)「エクセノール1020」、「エクセノール2020」、「エクセノール3020」(旭硝子社製)、ポリテトラメチレングリコールとして「PTG2000」、「PTG4000」(保土谷化学社製)、テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体として、「PPTG2000」、「PPTG4000」(保土谷化学社製)「ユニセーフDCB−1100」、「ユニセーフDCB−1800」(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0018】
(b)成分として掲げた化合物の中では、ポリプロピレングリコールが好ましい。
【0019】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、脂肪酸のダイマージイソシアネート等が挙げられる。
【0020】
イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物としては、主としてアクリロイル基を有するヒドロキシ化合物が使用される。例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、グリセリンジアクリレート、カプロラクトン変性2ヒドロキシエチルアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート等が挙げられる。
【0021】
前記(a)成分と(b)成分の使用割合は、重量比で、3:7〜8:2の範囲が好ましい。(a)成分の割合が3:7より少ないと、耐熱性、硬化性が十分でなくなり、8:2より多いと、耐ジェリー性が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。
【0022】
本発明で使用する(2)重合性ビニル基を1個以上有するモノマーとしては、主として、アクリル酸エステル系化合物が使用される。光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂においては硬化膜に柔らかさを要求するために、主に単官能の(メタ)アクリル酸エステル系化合物が用いられる。また、硬化性を向上させたり、硬化膜の強靱性を向上させる目的で、二官能以上の多官能アクリル酸エステル系化合物が併用される。
【0023】
本発明で使用する重合性ビニル基を有するモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルモルフォリン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテル、ジアリルフタレート、2−、3−又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルアクリルアミド;スチレン、クロロスチレン、等のビニルモノマーが挙げられる。
【0024】
本発明で使用する(3)光重合開始剤としては、光によりラジカルを発生し、そのラジカルが重合性不飽和化合物と効率的に反応するものであれば良い。分子が開裂してラジカルを発生するタイプや芳香族ケトンと水素供与体の組合せのように複合して用いられるものがある。
【0025】
前者に属する例としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1等が挙げられる。
【0026】
後者の例の芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルスルフイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等が挙げられ、これと組合せる水素供与体としては、例えば、メルカプト化合物及びアミン化合物等が挙げられるが、一般にアミン系化合物が好ましい。
【0027】
アミン系化合物としては、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0028】
これらの光重合開始剤は、単独で用いても良いし、二種類以上組合せて用いても良い。
【0029】
また、その他の成分として、熱重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、シランカップリング剤、界面活性剤等を各種特性を改良する目的で配合することもできる。
【0030】
本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物は、(1)重合性不飽和ポリウレタンを30〜90重量%、(2)エチレン性不飽和結合を有するモノマーを5〜70重量%及び(3)光重合開始剤を0.1〜10重量%の範囲から配合されることが好ましい。
【0031】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
まず、本発明の重合性不飽和ポリウレタンの合成例を示す。
【0033】
(合成例1)
ポリブチレングリコール(数平均分子量3,000)257gとポリプロピレングリコール(数平均分子量3,000)343g、2,4−トリレンジイソシアネート52.2g、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で約2時間反応させ、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0034】
次に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを26.0g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで約15時間反応させて、アクリロイル基を有する重合性不飽和ポリウレタン(A−1)を得た。
【0035】
(合成例2)
ポリブチレングリコール(数平均分子量3,000)600g、2,4−トリレンジイソシアネート52.2g、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で約2時間反応させ、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0036】
次に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを26.0g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで約15時間反応させて、アクリロイル基を有する重合性不飽和ポリウレタン(B−1)を得た。
【0037】
(合成例3)
ポリプロピレングリコール(数平均分子量3,000)600g、2,4−トリレンジイソシアネート52.2g、触媒としてジブチル錫ジラウレートの微量を窒素ガス導入管、撹拌機及び冷却管のついた反応容器に仕込み、70℃で約2時間反応させ、イソシアネート基濃度が仕込濃度の1/2になったことを確認した。
【0038】
次に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを26.0g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを微量及びジブチル錫ジラウレートを微量加え、さらに70℃でイソシアネート基がほぼなくなるまで約15時間反応させて、アクリロイル基を有する重合性不飽和ポリウレタン(B−2)を得た。
【0039】
以下に本発明の光ファイバ被覆用紫外線硬化型樹脂組成物の実施例及び比較例を示す。
【0040】
(実施例1)
合成例1で得た重合性不飽和ポリウレタン(A−1)50重量部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(商品名アロニックスM117)50重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部を60℃で1時間混合溶解して、粘度60ポイズ(25℃)の液状紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0041】
(比較例1)
合成例2で得た重合性不飽和ポリウレタン(B−1)50重量部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(商品名アロニックスM117)50重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部を60℃で1時間混合溶解して、粘度64ポイズ(25℃)の液状紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0042】
(比較例2)
合成例3で得た重合性不飽和ポリウレタン(B−2)50重量部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(商品名アロニックスM117)50重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2重量部を60℃で1時間混合溶解して、粘度53ポイズ(25℃)の液状紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0043】
実施例1及び比較例1、2で得た各紫外線硬化型樹脂組成物を用いて、下記の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0044】
(硬化性の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が140±20μmとなるように各々塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下で照射光量を変化させて硬化させた。その硬化膜の引張弾性率を測定した。
【0045】
なお、引張弾性率の測定は、JIS K7113に準拠して行った。また、硬化性の指標としては、25mJ/cm2、500mJ/cm2照射時の引張弾性率の比率(%)をとった。数値が大きい程硬化性が良いことを示す。
【0046】
(耐熱性の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が140±20μmと成るように塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気中で照射光量100mJ/cm2で硬化させた。 この硬化膜を120℃空気中で3日間保存し、その後引張弾性率を上記方法と同様に測定した。この測定値の初期値に対する比率を耐熱性の指標とした。数値が1に近いほど耐熱性が良いことを示す。
【0047】
(耐ジェリー性の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が200±20μmと成るように塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気中で照射光量200mJ/cm2で硬化させた。 この硬化膜を23℃、50%RHで状態調節し重量M1を測定する。次いで、ジェリー グランディックJ−2000(大日本インキ化学工業社)に85℃で1日間浸漬した後、取り出し、表面のジェリーを拭き取り重量M2を測定する。重量変化=M2/M1×100(%)を耐ジェリー性の指標とした。数値が100に近いほど耐ジェリー性が良いことを示す。
【0048】
(吸水率の評価)
紫外線硬化型樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥塗膜厚が200±20μmと成るように塗布した後、80W/cmのメタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気中で照射光量200mJ/cm2で硬化させた。 この硬化膜を試料として、JIS
【0049】
K7209のB法に準拠して吸水率の測定を行った。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
表1より、本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物は、ポリブチレングリコールを用いた重合性不飽和ポリウレタンの欠点である耐ジェリー性を改善し、同時に低粘度で、低吸水率で、硬化性、耐熱性にも優れ、低ヤング率を達成できる。
【0052】
従って、本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物は、作業性、生産性に優れ、更に本発明の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物を用いて被覆した光ファイバは、ジェリー充填ケーブルにも使用でき、長期間の使用においても高い信頼性を得ることができる。
Claims (2)
- (1)(a)ポリブチレングリコール、
(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール、
(c)ポリイソシアネート
及び
(d)イソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて得られる重合性不飽和ポリウレタン、
(2)重合性ビニル基を1個以上有するモノマー
及び
(3)光重合開始剤
を含有することを特徴とする光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物。 - (a)ポリブチレングリコールと(b)プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びアルキル化テトラヒドロフランから成る群から選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド化合物の開環重合によって得られるポリエーテルポリオールの使用割合が重量比で3:7〜8:2の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ一次被覆用紫外線硬化型樹脂組成物。
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