JP3738204B2 - 液体燃料燃焼装置およびその検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油ファンヒータや石油ストーブなどの液体燃料燃焼装置およびその検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体燃料燃焼装置のひとつとして、石油ファンヒータが一般家庭などに広く用いられている。図3を参照して、従来の一般的な石油ファンヒータの外観について説明する。このような石油ファンヒータにおいては、燃焼部や、液体供給装置としての燃料タンクは、筐体1に収納されている。
【0003】
筐体1は、前面をカバーする前板6と、側面および背面をカバーする側裏板7と、上面をカバーする上板8とから形成された箱型部材が置台5に載置されることによって構成されている。前板6の下部には、室内に温風を吹出す吹出口2が形成されている。前板6の上部には、運転状態を切換えるスイッチ類が収まった操作部3が配置されている。上板8には液体供給装置の取出し口が設けられ、その取出し口には本体蓋4が開閉自在に配置されている。このような石油ファンヒータにおいて、簡単に補給作業を行なえるタイプのものとして、図4に示すような石油ファンヒータが既に実用化されている。
【0004】
図4に示すような石油ファンヒータにおいては、タンク部12の下側ではなく上側から燃料を取り出すこととしているため、石油ファンヒータの筐体1内部の燃料循環の構造としては、図5に模式的に示す構造のものが提案されている。石油ファンヒータの筐体1の内部には、灯油などの燃料を貯めておくためのタンク部12以外に、燃料を送る駆動源となる電磁ポンプ14や、燃料を加熱して気化するための気化器15や、燃料を気化してできたガスを空気と混合して燃焼するための燃焼部16などが収められている。燃料循環接続部47と電磁ポンプ14との間は、往路配管21によって接続されており、電磁ポンプ14と気化器15との間は往路配管22によって接続されている。気化器15から燃焼部16へは、ノズル31が突出しており、ノズル31は開閉が可能となっている。気化器15には、燃料をタンク部12に戻すための復路配管23が接続されている。なお、往路配管21,22、復路配管23とも金属からなる。
【0005】
気化器15と復路配管23との接続箇所は戻り弁26によって開閉を行なえるようになっている。気化器15近傍のより詳細な構造を、図6に示す。ノズル31および戻り弁26は、共通するニードル32を気化器15内部で電磁制御により前後に移動させることによって開閉する機構となっている。気化器15前端はノズル31となっており、通電しない状態ではニードル32の先端が挿入された状態でノズル31は閉まっているが、ニードル32が後退したとき(図6における右側に移動したとき)にはニードル32先端が離れることでノズル31は開く。同時に、ニードル32の後ろ側のやや太くなった部分に嵌められたOリング26aが気化器15の後ろ側の出口を塞ぐことにより、戻り弁26は閉まる。逆に、ニードル32が前進したとき(図6における左側に移動したとき)には、ニードル32先端が挿入されることでノズル31は閉まり、戻り弁26は開く。すなわち、ノズル31および戻り弁26の開閉状態は互いに連動しており、ノズル31を開けたときは、戻り弁26が閉じ、ノズル31を閉めたときは、戻り弁26が開くようになっている。
【0006】
タンク部12に接続される燃料循環接続部47には、燃料をタンク部12から取り出すための管と、余った燃料をタンク部12に戻すための管とが設けられることになる。なお、図4、図5に示すように、燃料循環接続部47は、タンク部12に取り付けられたタンク側接続部48と、石油ファンヒータ本体側に取り付けられた本体側接続部49とからなる。これらは、主に樹脂で成形された部品によって構成されている。タンク側接続部48は、タンク部12から取り出すための第1のコネクタ48aと、余った燃料をタンク部12に戻すための第2のコネクタ48bとを含む。タンク側接続部48と本体側接続部49とが互いに接続することで、タンク部12と石油ファンヒータ本体との間の燃料の循環が接続されることになる。本体側接続部49は、逆U字形の通路を形成するダブル通路部96を備えている。ダブル通路部96の上部にはダブル通路部96の内部空間を外気に対して開閉するための空気弁25が設けられている。空気弁25は、電磁制御で内部の弁体を動かして開閉を行なうタイプのものであり、非通電時には閉まっており、通電時には開くようになっている。
【0007】
(通常運転の開始)
この石油ファンヒータにおいて通常運転を開始した場合の動作手順の一例を、図5を参照して説明する。通常運転を開始すると、電磁ポンプ14が作動する。なお、この時点では、ノズル31は閉まっており、戻り弁26は開いており、空気弁25は開いている。作動を始めた電磁ポンプ14は、燃料を往路配管21から引き込もうとする。この後、空気弁25が閉じられる。その結果、ダブル通路部96は気密性が保たれることとなり、電磁ポンプ14は、タンク部12から往路配管21を通じて燃料を連続的に取り出すことができる。電磁ポンプ14の作動により、燃料は往路配管21,22を通って気化器15に送られる。気化器15では、燃料はヒータ(図示省略)によって燃料の沸点以上の温度θ1に加熱され、気化する。ノズル31が閉まっているので気化器15内は高圧になるが、戻り弁26が開いているので、余分な圧力は戻り弁26を通って復路配管23に逃げることができる。以前の通常運転などによって復路配管23内に燃料が残っている場合、その燃料はタンク部12に押し戻される。
【0008】
一定時間だけ気化器15を加熱し、点火に十分な量の燃料を気化した後に、ノズル31が開けられる。これは同時に、戻り弁26が閉じられることを意味する。気化した燃料(以下、「気化燃料」という。)は、ノズル31から燃焼部16に送られ、燃焼部16に設けられた点火ヒータ(図示省略)によって点火され、燃焼を始める。この液体燃料燃焼装置は、外部の空気を吸込み、送り出すための送風ファン(図示省略)を備えている。送風ファンによって外部から取り込まれた空気が、燃焼部16で発生した熱を受け取って暖かい空気となり、吹出口2(図3参照)から外部に送り出されることで暖房が行なわれる。以下、電磁ポンプ14によって気化器15内に燃料が供給され、燃料は気化器15内で温度θ1に加熱されることで気化され、気化燃料がノズル31を通って燃焼部16に供給されることによって、燃焼が続けられる。
【0009】
(通常運転の停止)
通常運転を停止した場合は、電磁ポンプ14が停止し、空気弁25が開けられることによって、気化器15への新たな燃料の供給は停止される。一方、その後もノズル31は一定時間開いており、燃焼部16での燃焼は一定時間だけ継続される。この燃焼により、気化器15内に残っていた気化燃料の多くは消費される。この後、ノズル31が閉められることによって戻り弁26が開けられる。気化器15内は高温高圧であるので、戻り弁26を開ければ、燃焼されずに気化器15内に残っていたごく一部の気化燃料は、気化器15内の圧力に押され、復路配管23に入り込む。復路配管23に入り込んだ気化燃料は、そのまま留まる場合もあるが、次回の通常運転開始時には、タンク部12に向けて押し戻される。
【0010】
(クリーニング運転)
従来の液体燃料燃焼装置においても、長く使用を続けていると、気化器15内に、一般に「タール」と呼ばれる不純物が堆積してくる。タールは、燃料の成分が変化したもので、通常のヒータ温度では気化できなくなった残留物である。気化器15内にタールが溜まると、点火しにくくなるなどの不都合をもたらす。このタールを除去するために、従来の液体燃料燃焼装置の中には、クリーニング運転を行なえるようになっているものもある。
【0011】
クリーニング運転の動作手順の一例を説明する。クリーニング運転を開始した場合、空気弁25が開いた状態で、ノズル31が開けられることによって戻り弁26が閉じられ、電磁ポンプ14が作動し、気化器15内が通常運転時より高い温度θ2まで加熱される。温度θ2は、通常運転時の温度θ1よりも高く、タールを気化させるのに十分な高温である。空気弁25が開いているので、ダブル通路部96で燃料の流れが分断され、燃料は往路配管21に送られない。電磁ポンプ14は燃料の代わりに、空気弁25から入る空気を気化器15に送り込む。この状態でタールの沸点を超えた温度θ2にまで気化器15を加熱することで、気化器内に溜まっていたタールを気化させる、ないしは、焼き切ることができる。この作業を「空焼き」ともいう。気化したタールは、開いているノズル31から燃焼部16を経て液体燃料燃焼装置の外部に排出される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以下、「開故障」とは、弁を閉めようとしたときに十分に密閉されずに通路の一部または全部が開いたままの状態になる故障をいうものとし、「閉故障」とは、弁を開けようとしたときに十分に開かずに完全に閉じたままの状態または開き方が不十分な状態になる故障をいうものとする。
【0013】
(戻り弁の開故障)
上述のように、通常運転においては、往路配管22から気化器15内に燃料の供給が行なわれる。これは、運転開始当初を除けば、戻り弁26が閉じた状態であることが前提である。なぜなら、通常運転中には、気化器15内は高温高圧となるため、もし戻り弁26を閉じておかなければ、気化器15内の圧力によって高温の燃料が復路配管23に押し出されてしまうからである。
【0014】
しかし、戻り弁26が故障する可能性がないとはいえない。もし万一、戻り弁26が開故障して、通常運転中も開いている状態になった場合、気化器15内の圧力によって押し出された高温の燃料が復路配管23を通って燃料循環接続部47に至る。上述のように、燃料循環接続部47の主要部は樹脂からなるので、高温の燃料ガスが燃料循環接続部47付近まで流れてきた場合、燃料循環接続部47の樹脂部分が溶けて変形してしまう。
【0015】
そこで、戻り弁の開故障に起因するこのような事故を防ぐための対策を講じる必要がある。これを本発明の第1の課題とする。
【0016】
(空気弁の閉故障)
上述のように、クリーニング運転においては、空気弁が開いた状態であることが前提である。もし万一、空気弁25が故障により閉まっていたとすると、ダブル通路部96でタンク部12側からの燃料の流れが接続された形となるため、空気ではなく、燃料が気化器15に送られてしまう。その結果、気化器15は燃料を気化させてノズル31から排出する。クリーニング運転では、燃焼部16は燃焼を行なわないので、気化燃料はそのまま外部に排出されてしまう。このことは、不快な臭いの元となる。また、気化燃料が外部に排出されることは、危険でもある。
【0017】
そこで、空気弁の閉故障に起因するこのような不具合を防ぐための方策を講じる必要がある。これを本発明の第2の課題とする。
【0018】
本発明は、上記第1、第2の課題を解決した液体燃料燃焼装置およびその検査方法を影響することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づく液体燃料燃焼装置は、液体燃料を保持するためのタンク部と、内部に送りこまれた上記液体燃料を加熱して気化させるための気化器と、上記タンク部から上記気化器に向けて液体燃料を送るための往路配管と、上記気化器から上記タンク部に液体燃料を戻すための復路配管と、上記タンク部に上記往路配管および上記復路配管を接続するための樹脂製部品を含む接続部と、上記復路配管の温度を検出できるように配置された温度センサとを備え、上記接続部は、上記タンク部から上記往路配管に向かう液体燃料の通路内部を外気と連通させるか否かを切り替えるための空気弁を備え、上記温度センサは、上記空気弁を開けるための操作を施した状態で上記気化器に向けて流れ込んでいる流体が、空気であれば、異常と検出せず、液体燃料であれば、異常と検出できるように設定されている。この構成を採用することにより、もし何らかの故障によって、気化器で熱された高温の燃料が復路配管に漏れ出した場合には、復路配管の温度が上がるので、温度センサで検出することができる。特に空気弁の閉故障を温度センサによって検出することが可能となる。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記接続部は、上記樹脂製部品に上記復路配管を取り付けるための金属部材を含み、上記金属部材は、上記復路配管に接しており、上記温度センサは、上記金属部材に伝わった上記復路配管の温度を検出するように取り付けられている。この構成を採用することにより、復路配管に温度センサを直接取り付けるのではなく、一旦、金属部材を介在させるので、取り付けやすい。また、金属部材は熱伝導性が良く、復路配管が高温になったときは金属部材にもその温度が速やかに伝わるので、温度センサで速やかに復路配管の温度を検出することができる。
【0021】
上記発明において好ましくは、上記温度センサが一定以上の温度を検出したときには運転を停止する運転停止手段を備える。この構成を採用することにより、異常発生時には、運転を停止できるので、樹脂製部品が溶けたり、気化燃料を外部に排出したりといった事故発生を回避することができる。
【0022】
上記発明において好ましくは、上記気化器の内部空間を上記復路配管に連通させるか否かを切り替えるための戻り弁を備え、上記温度センサは、上記復路配管の温度を検出することによって上記戻り弁の異常を検出するように設定されている。この構成を採用することにより、通常運転時の戻り弁の開故障を温度センサによって検出することが可能となる。
【0024】
また、上記目的を達成するため、本発明に基づく液体燃料燃焼装置の検査方法は、液体燃料を保持するためのタンク部と、内部に送りこまれた上記液体燃料を加熱して気化させるための気化器と、上記タンク部から上記気化器に向けて液体燃料を送るための往路配管と、上記気化器から上記タンク部に液体燃料を戻すための復路配管と、上記タンク部に上記往路配管および上記復路配管を接続するための樹脂製部品を含む接続部とを備え、上記接続部は、上記タンク部から上記往路配管に向かう液体燃料の通路内部を外気と連通させるか否かを切り替えるための空気弁を含む、液体燃料燃焼装置の検査方法であって、上記空気弁を開けるための操作を施した状態で上記気化器に向けて上記往路配管内の流体を送るための流体駆動手段を駆動させ、上記気化器の内部空間を上記復路配管に連通させた状態で、上記気化器を第1の温度にして維持しつつ、温度センサによって上記復路配管の温度を監視することによって上記空気弁が正常に開いているか否かを検査する空気弁検査工程と、上記空気弁検査工程の後に、上記流体駆動手段を駆動させ、上記気化器の内部空間と上記復路配管との間を遮断した状態で、上記気化器を上記気化器内部の生成物の沸点よりも高い第2の温度にして維持することで上記生成物を気化させる空焼き工程とを含む。この方法を採用することにより、空気弁検査工程において、気化器内で熱された空気または燃料が復路配管に送り込まれる状態となるため、空気と燃料の比熱の違いから生じる温度差を温度センサで検出することができる。ここで気化器から復路配管に流れ込む流体が空気か燃料かを判別することによって、空気弁が正常に開いているか否かを判別することができる。
【0025】
上記発明において好ましくは、上記空気弁検査工程の前に、上記気化器に予熱を与える予熱工程を含む。この方法を採用することにより、クリーニング運転開始時の気化器の温度にかかわらず、空気弁検査工程開始時点では気化器の温度は所望の一定温度に至らしめることができ、空気弁の検査をより正確に行なうことができる。
【0026】
上記発明において好ましくは、上記第1の温度は、上記液体燃料が上記第1の温度の上記気化器で加熱され、上記戻り弁から上記復路配管に流れ込んだとしても、上記接続部の位置で上記液体燃料が上記樹脂製部品の融点より低い第3の温度になるような温度である。この方法を採用することにより、気化器で熱された液体燃料が復路配管に流れ込んだとしても樹脂製部品が溶けることは確実に回避できる。
【0027】
上記発明において好ましくは、上記温度センサを、空気が上記第1の温度の上記気化器で加熱され、上記戻り弁から上記復路配管に流れ込んだときに上記接続部の位置が有する第4の温度と、上記第3の温度との間に属する一定の温度を閾値とし、上記閾値より高いか低いかを区別して検出できるように設定して用いる。この方法を採用することにより、温度センサは、気化器で熱されて戻り弁から復路配管に流れ込んできたのが、空気なのか燃料なのかを区別して検出することができる。したがって、空気弁の閉故障を検出することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(構成)
図1を参照して、本発明に基づく実施の形態1における液体燃料燃焼装置について説明する。この液体燃料燃焼装置においては、図5に示したものと基本的に同様であるが、復路配管23が本体側接続部49に接続する箇所に温度センサとしてサーミスタ160が取り付けられている。サーミスタ160近傍のより具体的な構成の一例を、図2に示す。サーミスタ160は、復路配管23に接するように取り付けられた金属板161上に取り付けられている。金属板161は、樹脂製部品である本体側接続部49に復路配管23を取り付けるための部材であって、復路配管23と接している。サーミスタ160は、金属板161に設けられた穴にネジ止めされている。
【0029】
ここでサーミスタ160は復路配管23の温度を検出することを目的としている。サーミスタ160と復路配管23との間に金属板161を介在しているのは、復路配管23に直接サーミスタ160を取付けるのは構造上困難であるためである。金属板161は、金属であるので熱伝導性が良く、かつ、復路配管23に接しているため、復路配管23が高温になったときには、金属板161自体も高温になる。したがって、サーミスタ160で金属板161の温度を監視することで、実質的に、復路配管23の温度監視を行なうことができる。
【0030】
この液体燃料燃焼装置は、装置全体の動作を制御するための制御部(図示省略)を備えている。制御部内には、サーミスタが異常な高温を検出したときには、運転を停止し、使用者に向けて異常が発生した旨を表示するように設定されている。また、制御部は、通常運転が行なえるように設定されているが、クリーニング運転が動作可能となっているか否かは問わない。
【0031】
(作用・効果)
上述の液体燃料燃焼装置において、通常運転を行なった場合、もし戻り弁26が開故障していた場合には、気化器15で熱された高温の燃料が復路配管23に押し出される。その場合、復路配管23の温度が上がるので、サーミスタ160で検出することができる。なお、復路配管23は金属製であり、戻り弁26から燃料循環接続部47までの間にはある程度の距離があるため、高温の燃料が復路配管23に押し出され始めても、サーミスタ160の配置されている燃料循環接続部47で即座に樹脂製部品が溶けるほどの高温になるわけではない。しかし、サーミスタ160で検知するには十分な高温となる。こうして、サーミスタ160で高温を検知した場合は、制御部がすぐに運転を停止させ、使用者に向けて異常が発生した旨を表示する。制御部が運転を停止させることで、気化器15の加熱も電磁ポンプ14による燃料の供給も停止されるので、燃料循環接続部47に向けての高温の燃料の流れも止まる。その結果、燃料循環接続部47の樹脂製部品が溶けるような事態を回避することができる。
【0032】
なお、サーミスタ160の取付け方としては、金属板161を介在する取付け方以外に、復路配管23の温度監視を行なえるような取付け方であれば、他の取付け方であってもよい。また、温度センサは、燃料循環接続部47に取り付ける構成に限らず、復路配管の温度を検出できるように配置されていれば、他の箇所に取り付けられていてもよい。また、温度センサとしては、サーミスタ以外の種類のものであってもよい。
【0033】
(実施の形態2)
(構成)
本発明に基づく実施の形態2における液体燃料燃焼装置について説明する。この液体燃料燃焼装置においては、図1に示したものと基本的に同様である。ただし、この液体燃料燃焼装置では、制御部内には、通常運転以外に必要に応じてクリーニング運転をすることもできるようにクリーニング制御部が設けられている。本実施の形態では、実施の形態1と異なり、燃料循環接続部47は樹脂製部品を含んでいる構成に限らない。
【0034】
(液体燃料燃焼装置の検査方法)
以下に、表1を参照して、本発明に基づく液体燃料燃焼装置の検査方法としてのクリーニング運転の手順を説明する。表1は、クリーニング運転の各工程における各部分の状態を示す。ただし、表1における各弁の「開」または「閉」の記載は、各弁に対して送る指示内容にすぎない。たとえば各弁が故障によってこれらの指示に従っていない場合には、各弁の現実の状態を必ずしも表していない。
【0035】
【表1】
【0036】
クリーニング運転開始のスイッチが投入された場合、サーミスタ160の通電が開始され、温度監視が開始される。まず、予熱工程として、気化器15のヒータが一定時間、温度θ3に設定されて気化器15が加熱される。この工程によって、気化器15のスイッチ投入時の温度にかかわらず、気化器15の温度は所望の一定温度に達する。
【0037】
次に、空気弁検査工程として、気化器15のヒータの設定温度を温度θ3に保ったまま、電磁ポンプ14を作動開始する。この工程では、空気弁25は開いており、ノズル31は閉まっている。ノズル31が閉まっているので、当然戻り弁26は開いている。空気弁25が開いているので、電磁ポンプ14は、燃料ではなく空気を気化器15に送り込む。ここで、従来のクリーニング運転と異なり、戻り弁26が開いているので、温度θ3に設定された気化器15によって熱された空気は、戻り弁26から復路配管23に流れ込む。この空気は、復路配管23の途中で放熱しながら、燃料循環接続部47まで進み、温度θ4となる。
【0038】
なお、「温度θ3」は、気化器15が温度θ3に設定されたヒータによって加熱された状態で、仮に燃料が気化器15から戻り弁26を経て復路配管23に流れ込んだとしても、燃料循環接続部47においては、燃料循環接続部47に含まれる樹脂成形による部品が溶けない温度θ5になるような適当な温度とする。温度θ3を決定するに当たっては、燃料が戻り弁26から燃料循環接続部47まで流れる間に金属製の復路配管23において放熱され、燃料の温度がある程度下がることが考慮される。表2に、温度θ3を具体的に決めたいくつかの例を示す。温度θ3は、復路配管23の長さや、電磁ポンプ14の流量などといった要因によってそれぞれ決まる。
【0039】
【表2】
【0040】
なお、気化器15から戻り弁26を経て復路配管23へという同じルートで送られてくるにもかかわらず、空気の場合と燃料の場合とで、燃料循環接続部47に達したときの温度にθ4,θ5という差が生じるのは、空気と燃料との間で比熱が異なるからである。
【0041】
サーミスタ160は、復路配管23に気化器15で熱された空気が流れ込んだ場合の燃料循環接続部47の温度θ4と、復路配管23に気化器15で熱された燃料が流れ込んだ場合の燃料循環接続部47の温度θ5との間の適当な温度θ6を閾値として、温度θ6以上か否かを検出できるように予め設定されている。液体燃料燃焼装置の制御部内には、サーミスタが温度θ6以上であることを検出したときには、運転を停止し、使用者に向けて異常が発生した旨を表示するように設定されている。
【0042】
空気弁検査工程で、一定時間経過した後に、空焼き工程として、戻り弁26を閉め、ノズル31を開け、気化器15のヒータの設定温度を温度θ2にする。温度θ2は、従来のクリーニング運転での空焼きの温度θ2と同じである。この状態を一定時間続け、気化器15内のタールを気化させ、ないしは、焼き切り、ノズル31から噴出させる。その後、気化器15のヒータおよび電磁ポンプ14を停止させる。同時に、ノズル31を閉めることによって戻り弁26を開ける。サーミスタ160の電源も切られる。なお、空気弁25は、これらの各工程を通じて終始開いている。また、燃焼部16においては、クリーニング運転の間は点火は行なわれず、その結果、燃焼は行なわれない。
【0043】
(作用・効果)
空気弁検査工程では、サーミスタ160が温度θ4と温度θ5との間の温度θ6を閾値として、温度θ6以上か否かを検出できるようになっているので、復路配管23内を戻ってきたのが、空気であるか燃料であるかの区別を、サーミスタ160によって検出することができる。仮に燃料が戻ってきたとすると、それは、空気弁25が、開けるための通電をしているにもかかわらず実際には閉まっている、すなわち、閉故障していると考えられる。このことから空気弁25の閉故障を検出することができる。また、仮に燃料が戻ってきた場合、燃料循環接続部47は、空気の場合の温度θ4より高い温度θ5になるが、温度θ5といえども、燃料循環接続部47の樹脂成形部品が溶けるほどの温度とはならないように気化器15のヒータの設定温度θ3は決められているので、燃料循環接続部47の樹脂成形部品が溶けることはない。空気弁検査工程において、上述のようにサーミスタ160が空気弁25の閉故障を検出した場合には、制御部は、異常表示をするとともに、運転を停止し、その後の気化器をより高温にする空焼き工程は行なわれない。
【0044】
空気弁検査工程でサーミスタ160が空気弁25の閉故障を検出しなかった場合には、空気弁25は正常に開いていると考えられるので、そのまま次の空焼き工程に移る。空焼き工程では、戻り弁26は閉まっており、ノズル31が開いているので、気化したタールは、ノズル31から排出される。
【0045】
仮に、空気弁25が閉故障したまま空焼き工程を行なえば、温度θ2に設定された気化器15で燃料が気化し、気化燃料となるものの、気化燃料は、ノズル31から燃焼の行なわれていない燃焼部16に向けて噴出される。気化燃料はそのまま外部に排出され、使用者に不快な臭いをもたらすうえ、危険でもある。しかし、本発明に基づく液体燃料燃焼装置の検査方法では、空気弁検査工程で空気弁25の閉故障を検出した場合には運転を停止し、空焼き工程は全く行なわれないため、このような事故を未然に防ぐことができる。
【0046】
なお、上記各実施の形態では、液体燃料燃焼装置として、石油ファンヒータの例を挙げて説明しているが、本発明は、石油ファンヒータ以外の液体燃料燃焼装置、たとえば、石油ストーブなどにおいても適用可能である。
【0047】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、もし戻り弁が開故障していた場合には、気化器で熱された高温の燃料によって復路配管の温度が上がるので、温度センサで検出することができる。また、クリーニング運転の際に、空焼き前に空気弁から入る空気を気化器に送り込んでやや加熱して戻り弁から復路配管に戻すという動作をさせれば、空気弁の閉故障を温度センサで検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく実施の形態1における液体燃料燃焼装置の配管構成の概念図である。
【図2】 本発明に基づく実施の形態1における液体燃料燃焼装置の温度センサ近傍の具体的構成例の斜視図である。
【図3】 一般的な液体燃料燃焼装置の斜視図である。
【図4】 従来技術に基づく液体燃料燃焼装置のタンク部を着脱する様子の説明図である。
【図5】 従来技術に基づく液体燃料燃焼装置の配管構成の概念図である。
【図6】 従来技術に基づく液体燃料燃焼装置の気化器近傍の断面図である。
【符号の説明】
1 筐体、2 吹出口、3 操作部、4 本体蓋、5 置き台、6 前板、7側裏板、8 上板、12 タンク部、14 電磁ポンプ、15 気化器、16 燃焼部、21,22 往路配管、23 復路配管、24,44 補給口、25 空気弁、26 戻り弁、26a (戻り弁の)Oリング、31 ノズル、32 ニードル、47 燃料循環接続部、48 タンク側接続部、48a 第1のコネクタ、48b 第2のコネクタ、49 本体側接続部、96 ダブル通路部、160 サーミスタ。
Claims (8)
- 液体燃料を保持するためのタンク部と、
内部に送りこまれた前記液体燃料を加熱して気化させるための気化器と、
前記タンク部から前記気化器に向けて液体燃料を送るための往路配管と、
前記気化器から前記タンク部に液体燃料を戻すための復路配管と、
前記タンク部に前記往路配管および前記復路配管を接続するための樹脂製部品を含む接続部と、
前記復路配管の温度を検出できるように配置された温度センサとを備え、
前記接続部は、前記タンク部から前記往路配管に向かう液体燃料の通路内部を外気と連通させるか否かを切り替えるための空気弁を備え、前記温度センサは、前記空気弁を開けるための操作を施した状態で前記気化器に向けて流れ込んでいる流体が、空気であれば、異常と検出せず、液体燃料であれば、異常と検出できるように設定されている、液体燃料燃焼装置。 - 前記接続部は、前記樹脂製部品に前記復路配管を取り付けるための金属部材を含み、前記金属部材は、前記復路配管に接しており、前記温度センサは、前記金属部材に伝わった前記復路配管の温度を検出するように取り付けられている、請求項1に記載の液体燃料燃焼装置。
- 前記温度センサが一定以上の温度を検出したときには運転を停止する運転停止手段を備える、請求項1または2に記載の液体燃料燃焼装置。
- 前記気化器の内部空間を前記復路配管に連通させるか否かを切り替えるための戻り弁を備え、前記温度センサは、前記復路配管の温度を検出することによって前記戻り弁の異常を検出するように設定されている、請求項1から3のいずれかに記載の液体燃料燃焼装置。
- 液体燃料を保持するためのタンク部と、
内部に送りこまれた前記液体燃料を加熱して気化させるための気化器と、
前記タンク部から前記気化器に向けて液体燃料を送るための往路配管と、
前記気化器から前記タンク部に液体燃料を戻すための復路配管と、
前記タンク部に前記往路配管および前記復路配管を接続するための樹脂製部品を含む接続部とを備え、
前記接続部は、前記タンク部から前記往路配管に向かう液体燃料の通路内部を外気と連通させるか否かを切り替えるための空気弁を含む、
液体燃料燃焼装置の検査方法であって、
前記空気弁を開けるための操作を施した状態で前記気化器に向けて前記往路配管内の流体を送るための流体駆動手段を駆動させ、前記気化器の内部空間を前記復路配管に連通させた状態で、前記気化器を第1の温度にして維持しつつ、温度センサによって前記復路配管の温度を監視することによって前記空気弁が正常に開いているか否かを検査する空気弁検査工程と、
前記空気弁検査工程の後に、前記流体駆動手段を駆動させ、前記気化器の内部空間と前記復路配管との間を遮断した状態で、前記気化器を前記気化器内部の生成物の沸点よりも高い第2の温度にして維持することで前記生成物を気化させる空焼き工程とを含む、
液体燃料燃焼装置の検査方法。 - 前記空気弁検査工程の前に、前記気化器に予熱を与える予熱工程を含む、
請求項5に記載の液体燃料燃焼装置の検査方法。 - 前記第1の温度は、前記液体燃料が前記第1の温度の前記気化器で加熱され、前記戻り弁から前記復路配管に流れ込んだとしても、前記接続部の位置で前記液体燃料が前記樹脂製部品の融点より低い第3の温度になるような温度である、
請求項5または6に記載の液体燃料燃焼装置の検査方法。 - 前記温度センサを、空気が前記第1の温度の前記気化器で加熱され、前記戻り弁から前記復路配管に流れ込んだときに前記接続部の位置が有する第4の温度と、前記第3の温度との間に属する一定の温度を閾値とし、前記閾値より高いか低いかを区別して検出できるように設定して用いる、
請求項7に記載の液体燃料燃焼装置の検査方法。
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