JP3737940B2 - 電子天秤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被計量物の質量を測定する電子天秤に係り、特に荷重負荷時に平衡状態から移動するレバーを改良した電子天秤に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の第1の電子天秤(特公平6−29761号に開示)を示す正面断面図、図11は同斜視図である。この電子天秤80は、載置皿90が設けられた可動部81bが固定部81aに対し可動するロバーバル機構81と、可動部81bの移動に連動するレバー83と、レバー83が平衡状態となるよう移動制御する電磁コイル85と、レバー83の平衡状態を検出する位置検出センサ(不図示)と、電磁コイル85を通電制御して被計量物の質量を演算出力する制御部(不図示)とによって大略構成されている。
【0003】
図示のようにロバーバル機構81は、直方体形状のアルミニウム等を側部からくり抜き形成し上下一対の平行なロバーバル部86を有する。ロバーバル部86には計4点の薄肉なバネ部87が形成され、可動部81bの載置皿90上に被計量物が載置されると、この荷重を受けてバネ部87部分が変形し、可動部81bが水平状態を維持した状態のまま下方向に移動する。
【0004】
連動してレバー83の自由端83bは平衡位置から上方向に変位する。制御部は、位置検出センサの出力に基づき、レバー83が平衡する状態となるよう電磁コイル85を通電制御し、レバー83平衡時における電磁コイル85への電流値等に基づき被計量物の質量を演算出力する。
【0005】
図12は、従来の第2の電子天秤(特開平11−51756号公報に開示)を示す分解斜視図である。この電子天秤90は、ロバーバル機構91とレバー92が別体で形成されている。レバー92はロバーバル機構91の両側部を繋ぐ形で設けられており、このレバー92は、支点部材93及び吊り部材94で保持されている。
【0006】
図13は、従来の第3の電子天秤(特許第2922720号公報)を示す斜視図である。この電子天秤100は、ロバーバル機構101を一側部からくり抜き形成し、同時にレバーの取付部102を形成したものである。この取付部102に別体のレバー103を取り付けて構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1の電子天秤の構成におけるレバー83は、一側部側から幅方向に連続してくり抜かれるため、所定の剛性を有するためには、厚みを増さねばならず重量化した。即ち、レバー83の幅はロバーバル機構81の幅と同一であり剛性を有しつつ軽量化することはできなかった。
また、レバー83は、長いほどロバーバル機構81の可動部81bに加わる荷重負荷を減衰させることができ、且つレバー83の自由端83aの変位量(変位量)を増大させてより測定精度を向上できるが、上記のレバー83ではロバーバル機構81の長さ以下となる制約が生じる。
【0008】
また、上記第2の電子天秤90では、ロバーバル機構91とレバー92が別体で形成されているため、各部品の製造をより簡単に行える利点を有するが、全体の大きさ、特に幅Wはロバーバル機構91の幅にレバー92の幅の分だけ加えた幅となり大型化した。例えば、以前より重い質量を測定しようとする場合、ロバーバル機構91の幅Wを大きくすることになるが、全体の幅は常にレバー92を加えた分だけ幅広となり小型化できない。
また、レバー92の基端部92b側の保持が複数の支点部材93及び吊りバンド94により保持されるため、レバー92の組み立て、及び調整に手間がかかった。
【0009】
上記第3の電子天秤100についても、ロバーバル機構101とレバー103が別体で形成されている利点を有するが、レバー103がロバーバル機構101の両側部に設けられるため、全体の大きさ、特に幅Wが大型化し、小型化できない。
【0010】
上記各従来ともに、ロバーバル機構及びレバーの材質としては、一般的にアルミニウムが用いられる。レバーの自由端部分に電磁コイルや平衡位置検出用のセンサを設ける際、これらの取付は同種のアルミニウムであると撓みに弱いので通常、ステンレス製のネジが用いられる。このようにアルミとステンレスの異種金属は線膨張係数が異なるため、ネジの取付部分に歪みが生じると、電磁コイル、及び平衡位置検出用センサの取付位置が変動することとなり、平衡制御に誤差が生じたり、安定した制御が行えず計量精度を向上できなくなる。
【0011】
ところで、レバーに複数の支点を設けることにより、荷重負荷時の自由端側への減衰量を多く取ることができ、それだけ計量精度を向上できるようになる。しかしながら、各支点は、薄肉のバネ部で形成されるため、支点が増えた分だけ加工精度を要求される箇所が増え、簡単に製造できなくなる。
ロバーバル機構とレバーを単に別体で形成した場合であっても、支点の数が増えると、レバーの取扱を慎重に行わなければ組み立てまでの部品の状態でバネ部を損傷し使用できなくなる恐れがある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、容易かつ精度良く組み立てることができ、小型化と測定精度の向上が図れる電子天秤の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の電子天秤は、被計量物の荷重を受けて移動する可動部(14)と、固定部(12)と前記可動部との間に所定長を有し一対で設けられ可動部を水平状態のまま移動させるロバーバル部(18)と、からなり、長さ方向の一端部(2a)から内部にレバー収容部(2b)が開口形成さたロバーバル機構(2)と、
前記レバー収容部に収容固定され、前記ロバーバル機構の可動部に基端部(4a)が固定され、前記ロバーバル機構の可動部の移動に連動することにより自由端(4b)が平衡状態から所定量変位するレバー(4)と、
前記レバーに設けられ基端部から自由端へ所定の力の減衰量を得るための支点(A,B)を含み、該レバーに固定部(30)と可動部(32)を形成しこれらを連結する薄厚のバネ部(34)と、
前記レバーの固定部と可動部との間に設けられ、該固定部と可動部の位置を固定保持するものであり、該レバーを前記ロバーバル機構に固定後切断されるブリッジ(29a、29b)と、
を備えている。
【0014】
前記ロバーバル機構(2)には、前記レバー(4)のブリッジ(29a、29b)の配置位置に該ブリッジを切断するための切断用穴(16,17)が開口されたことを特徴とする。
【0015】
また、前記ブリッジ(29a、29b)は、前記レバーの固定部と可動部との間に、平面からみて、レバーの両側部にそれぞれ所定幅で合計4箇所設けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記レバー(4)には、幅方向に沿って所定厚さを有し突出形成された第1の補強片 (38)と、前記レバーの幅方向と直交する長さ方向に沿って所定厚さを有し、第1の補強片に連続する突出形成された第2の補強片(39)と、が設けられたことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、ロバーバル機構2とレバー4が別体とされ、このレバー4には、固定部30と可動部32間に連結固定用のブリッジ29a、29bが設けられる。ブリッジ29a、29bは、ロバーバル機構2に組み付け後に切断する。これにより、組み付け時にレバー4の各部の寸法を維持した状態で取り付けることができ、簡単に組み立てできるとともに組み立てを精度を向上できる。また、レバー4が固定部30と可動部32からなりバネ部34に支点A,Bを設けた構成であるため所定の力の減衰量を有して高精度な測定が可能となる。
このレバー4には、互いに直交して突出形成された第1、第2の補強片38,39が設けられており、レバー4がブロック塊で無くとも所定の剛性を有し且つ小型軽量化できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子天秤の実施形態を説明する。図1は、電子天秤の概要構成を示す斜視図である。
この電子天秤1は、ロバーバル機構2と、レバー4と、レバー4を平衡状態に制御する電磁コイルからなる平衡駆動手段6と、位置検出手段42と、制御部(不図示)を有して成る。
【0019】
ロバーバル機構2の可動部14上には、荷重受け部材(不図示)が固定され、この荷重受け部材上にコンベアを載置した動秤を構成できる。そして、コンベアで被計量物を搬送させながら被計量物の質量を測定するようになっている。なお、可動部14上に載置皿を設けて被計量物を載置皿上に載せて質量を測定する静秤として使用することも可能である。
【0020】
、図2はロバーバル機構2を示す正面図、図3は同平面図、図4は同側面断面図である。
ロバーバル機構2は、固定部12と、固定部12に対し上下方向に可動する可動部14を有する。可動部14の上面は、固定部12に対しやや高く形成されている。このロバーバル機構2は、長さL、幅W1の直方体形状のアルミニウム塊等を正面側からくり抜き内部に中空部16を貫通形成してなる。また、このロバーバル機構2は、押出成形等により中空部16を形成してもよい。この中空部16にはレバー4のブリッジ29の一方29aが表出している。レバー4の他方のブリッジ29bの一部分にも同様のくり抜きによりブリッジ切断用穴17が貫通形成されている。
【0021】
このくり抜き形成の際同時に、上下に所定厚を有する一対の平行なロバーバル部18が設けられる。これら一対のロバーバル部18は長さ方向Lに対して同じ長さを有し、両端にはそれぞれ薄肉なバネ部20が形成されている。バネ部20は、上下面に2カ所づつ計4カ所設けられ、各々上下面から側面で見て円弧状であり、幅W1方向に連続する直線状に形成されている。
【0022】
上部のロバーバル部18の直下位置には、このロバーバル部18と平行にレバー4を固定するためのレバー固定部22が形成されている。このレバー固定部22は、ロバーバル部18の固定部12と可動部14に対応して長さL方向の中途部に切断部22sを有し、固定部12に対する可動部14の移動を妨げない隙間を有している。この切断によって、レバー固定部22は、固定側22aと可動側22bを有する。
【0023】
このロバーバル機構2の長さ方向Lの一端側2aには、上部に所定長さの突出片24が突出形成されており、下面には平衡駆動手段6が取り付けられる。また、この一端側2aに位置するロバーバル機構2の一側面の中央部からロバーバル機構2の内部に向けて、くり抜きによりほぼ直方体形状のレバー収容部2bが開口形成される。このレバー収容部2bは、レバー固定部22の下面に形成されるものであり、図2の正面側から見て可動部14側の位置まで(上記ロバーバル部18のバネ部20を越えた位置に達するまで)くり抜き形成されている。
【0024】
図5はレバー4の正面図、図6は同平面図、図7は同側面図である。
レバー4は、ロバーバル機構2の幅W1に対して小さな幅W2を有し小型軽量化が図られている。基端部4a側には、ロバーバル部18の固定部12、可動部14にそれぞれ固定される固定部30、可動部32aが形成されている。また他端側は自由端4bとされ、この自由端4bはレバー固定後の状態でロバーバル機構2の外部位置まで延出され突出片24の直下に位置する。
【0025】
このレバー4は、ロバーバル機構2の可動部14の移動に可動部32aが連動し、自由端4b側が上下に移動する。このレバー4は、2箇所の支点A,Bを有しており、可動部14に加わる被計量物の質量(荷重負荷)をこの2箇所の支点A,Bにより所定量減衰させる機能、及びレバー4の長さL2の短縮化が図られている。
【0026】
このレバー4についても、アルミニウム塊等をくり抜き形成される。特に正面から見て略U字形状に切削部28(28a、28b、28c)が貫通形成される。
この切削部28によって略中央部に固定部30、固定部30の両側及び下面にそれぞれ可動部32(32a,32b,32c)が形成される。
レバー4の固定部30と可動部32は、支点A,Bに位置する2箇所の薄肉のバネ部34によって互いに接続されている。バネ部34は、ロバーバル機構2のバネ部20とほぼ同様の形状で形成されるものであり、説明は省略する。
【0027】
なお、可動部32側には、基端部4aに負荷される荷重をバネ部34での支点A,Bを介して効率よく自由端4b側に伝達し、併せてバネ部34の強度を維持するために所要箇所(計3カ所)に複数のバネ部36がバネ部34同様に形成されている。
【0028】
このレバー4は、製造時には固定部30と可動部32を固定保持状態に維持するブリッジ29を残して形成される。このブリッジ29(29a、29b)は、図5の正面図で見て略U字形状に形成される切削部28の両開放端部分の2カ所に所定厚を有して形成される。これらブリッジ29は、図6の平面図で見てレバー4の両側部にそれぞれ所定幅で形成されており、合計4カ所設けられることになる。
このブリッジ29を残した状態でレバー4は、固定部30に可動部32が固定された状態となり、レバー4をロバーバル機構2に組み付ける迄の部品状態においてバネ部34,36への不意な負荷を防止し損傷を防止できる。なお、後述するが、レバー4はロバーバル機構2に組み付け後、計4カ所のブリッジ29を中空部16、及びブリッジ切断用穴17から治具を挿入して切断し、可動部32を移動可能にさせる。
【0029】
レバー4の自由端4b側である可動部32cは、所定長を有する板状に形成されるが、この可動部32cの途中位置下面にはレバー4の幅方向に沿って所定厚さの補強片38が下方に向けて突出形成されている。
また、この突出片38の中央部から基端部側にかけては、レバー4の延在方向(基端部から自由端)に沿って中央に所定厚さを有する補強片39が連続して形成されている。これら補強片38,39により平面で見て略T字型の補強片を形成している。補強片39の下面は図5に示すように補強片38の下端に向けて傾斜する傾斜面39aとされていて、可動部32cを最小限の材料量で補強できるようになる。これら補強片38,39は図6の平面で見て略T字型に形成され、可動部32cを軽量化しつつ所定の剛性を維持する。
【0030】
補強片39には略水平なネジ穴38b部分に平衡用錘40が水平方向にスライド可能に取り付けられる。この平衡用錘40は、後述するが、ロバーバル機構2の可動部14上に対する荷重受け部材等の重量負荷時に、この平衡用錘40の調整でレバー4を平衡させるために設けられる。
【0031】
また、レバー4の自由端4b上面には、位置検出センサ42が配置される。位置検出センサ42は、レバー4の自由端4b側に上下に所定高さを有して固定される検知用板42aと、ロバーバル機構2の突出片24下面に固定される投受光センサ42bにより構成されている。検知用板42aには検知穴が開口され、投受光センサ42bは検知用板42aの検知穴の上下移動を検出してレバー4の平衡状態及び平衡状態を基準とした上下の変位量を検出して制御部に出力する。
【0032】
平衡駆動手段6を構成する電磁コイルは、円環状の磁石体6aが突出片24下面に固定され、レバー4の自由端4b上面には磁石体6aの円環内部に巻回状のコイル6bが固定されている。
この平衡駆動手段6は、被計量物の測定時に制御部の電流制御を受け、コイル6bに供給する電流によって磁石体6aとの間の磁力を変化させ、レバー4を平衡状態に復帰させる。
【0033】
図8の斜視図に示すように、レバー4の自由端4bには、長さL方向に延出するピン部材46が設けられている。この自由端4bの直上にある突出片24には、規制手段の規制板48が設けられている。この規制板48は、ロバーバル機構2の固定部12側に取り付けられているため、ロバーバル機構2の移動には関与しない。ゆえに、規制板48は、ベース板10側に固定されていてもよい。また、規制板48には、ピン部材46を遊挿する挿通穴48aが形成されている。挿通穴48aは、遊挿されたピン部材46の移動範囲を所定の範囲とするように形成されている。これにより、レバー4の自由端4bが所定の範囲の移動とされ、レバー4の可動部分(バネ34,36)が破損するようなレバー4の移動を抑止する。
【0034】
これら位置検出センサ42の検知用板42a、及び平衡駆動手段6のコイル6bは、レバー4の自由端4bにネジ45(45a、45b)を用いて固定される。レバー4の材質はアルミニウムであり、ネジ45、及びピン部材46はステンレス製である。
【0035】
この自由端4bには、ネジ45固定用のネジ穴47(47a,47b)及びピン部材46のネジ穴(圧入穴でも良い)47cが形成されている。ここで、レバー4の自由端4bにおいてコイル6bが固定される固定面4baは、レバー4の長さ方向に沿って直線状に形成され、段差面4bbは固定面4baの面位置に対し高さが低く形成されている。上記のネジ穴47はいずれもこの両側部4bbに形成されている。
【0036】
図9は電子天秤の組み立て状態を示す一部裁断正面図である。この図は、便宜上、レバー4は裁断せずロバーバル機構2のみ裁断した状態とした。
電子天秤1は、ロバーバル機構2内部にレバー4を挿入、固定して構成される。ロバーバル機構2は、固定部12がベース板10上にネジ11で固定される。レバー収容部2bには、レバー4が挿入され基端側4aがレバー固定部22にネジ25で固定される。
図4に示すように、レバー収容部2bを形成するレバー固定部22下面には、長さ方向Lに沿ってレバー4の一側面を案内する段差部22dが形成されている。これにより、レバー4挿入時の取付誤差を無くし正確に位置決めでき、組み立てを容易に行える。
【0037】
この際、レバー4は、ブリッジ29が残され、固定部30及び可動部32間が連結された状態にあり、固定部30と可動部32の各部の寸法を維持した状態で取り付けることができる。また、部品状態のレバー4の搬入から組み立てる迄の間、バネ部34,36に不要な力が付与されずバネ部34,36の損傷を防止している。
【0038】
そして、レバー4の固定部30はレバー固定部22の固定側22aに固定され、レバー4の可動部32aはレバー固定部22の可動側22bに固定される。
固定後、レバー4のブリッジ29を切断する。切断は、ロバーバル機構2の正面、及び裏面側に貫通形成された中空部16及びブリッジ切断用穴17から切断用の治具(例えばペンチ等)を用いて正面、裏面側から計4カ所のブリッジ29a、29bを切断する。この切断により、レバー4の可動部32が移動可能(測定可能)となる。なお、図9においてブリッジ29a、29bは便宜上、点線で記載した。
【0039】
レバー4は、この固定状態で、自由端4bがロバーバル機構2の一端側2aに突出し、突出片24の直下に位置する。
これにより、平衡駆動手段(電磁コイル)6はロバーバル機構2の外部に設けることができるため、製造時の組み立て及び組み立て後の調整、交換等の保守を簡単に行えるようになる。
また、ロバーバル機構2の内部から外部にかけてレバー4を設けた構成により、レバー4の長さを大きく取ることができるとともに、電子天秤1全体の幅はロバーバル機構2の幅で決定でき、電子天秤1の幅及び長さのいずれも小型化できるようになる。
【0040】
次に、上記構成の電子天秤1による被計量物の質量測定動作を説明する。
平衡用錘40を水平方向に移動調整させることにより、荷重受け部(コンベア重量を含む)の重量負荷状態でレバー4の平衡を取るよう調整できる。このレバーの平衡状態は位置検出センサ42により検出される。
【0041】
次に、被計量物がコンベア上に載置されこのコンベア上を搬送移動する。ロバーバル機構2は、被計量物の荷重を受けて可動部14が図中Z1方向に下降する。この際、ロバーバル部18は計4カ所のバネ部20の変形により、可動部14を水平状態を維持したままの状態で下降させる。
【0042】
可動部14の下降に連動して、レバー4の可動部32aが同様に下降する。可動部32aが下降すると、バネ部34(支点A)を中心として可動部32bがZ2方向に移動し、レバー4の自由端4b(可動部32c)はバネ部34(支点B)を中心としてZ3方向に上昇する。
【0043】
レバー4の自由端4bは、平衡状態に対し所定量変位(上昇)し、この変位量が位置検出センサ42で検出される。制御部は、レバー4が再度平衡状態に復帰するよう平衡手段6の電磁コイルを通電制御する。
この際、電磁コイルのコイル6bに対する電流方向、及び供給する電流量を制御し、位置検出センサ42によりレバー4が再度平衡状態となったことを検出した際におけるコイル6bへの電流値を得て、この電流値に基づき被計量物の質量を演算出力する。
【0044】
上記のようにレバー4に支点を2箇所A,B設けることにより、可動部32側に加わる被計量物の質量(荷重負荷)を、自由端4b側へ減衰して伝達でき、同時に可動部32側の移動量に対して自由端4b側の変位量を増大させて得ることができる。これにより、計量精度の向上が図れる。また、レバー4の長さL2短くしつつ所定の力の減衰量を有する構成にできる。また、レバー4の可動部32cは、補強片38,39によって補強されており、可動部32cの剛性を維持しつつ重量を軽量化できる。レバー4を小型、軽量化したことにより、荷重に対する移動の反応をより敏感にでき、計量精度の向上が図れる。
【0045】
また、レバー4自由端4b側から力を加えれば、増大させて可動部32側(ロバーバル機構2の可動部14側)に伝達できる為、自由端4b側での小さな力でレバー4を制動できるようになる。
これにより、レバー4の自由端4bに設けられるピン部材46は、規制板48の挿通穴48aに開口された移動範囲だけで移動することができ、この小さなピン部材46でレバー4全体の移動を規制しつつ可動部分(バネ34,36)の破損を防止できる。
【0046】
ところで、レバー4は、ネジ穴47にネジ45,ピン部材46がネジ止めされるが、環境温度の変化等により、ステンレスのネジ45側が熱膨張した場合でも、アルミニウムで出来たレバー4の固定面4baの面位置は変動しない。即ち、ネジ45側が熱膨張すると、レバー4はネジ穴47を介し段差面4bb部分が膨張するが、この段差面4bbは固定面4baに対して1段低く形成されているため、固定面4baの面位置は変動しない。
【0047】
平衡駆動手段6はレバー4の自由端4b(コイル6b)側が高さ方向に移動すし、固定の磁石体6aとの相対位置に基づきレバー4の平衡位置を検出するものであるため、コイル6b側の高さ位置の変動及び傾きが生じると同じ移動量を得るために必要な制御電流が変わる影響が生じる。しかし、上記構成によれば、固定面4ba(コイル6b)の面位置が高さ方向に対し不変であるため、平衡駆動手段6によりレバー4を平衡位置に移動させるための制御電流は変わらず、駆動特性を一定に維持できる。
【0048】
そして、上記の電子天秤1は、特に、荷重受け部上にコンベア等の重量物が設けられる動秤としての使用に耐えることができる。この剛性は、ロバーバル機構2が比較的広い幅W1を有していることにより得られる。この剛性の向上により、コンベア上に被計量物が載置される際の衝撃等に耐え得る電子天秤1を構成できる。
このように、ロバーバル機構2の幅W1を広げた場合であっても、レバー4はロバーバル機構2の内部に設けられるため、電子天秤1の幅はこのロバーバル機構2の幅で決定することができ、全体の小型化が図れるようになる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の電子天秤によれば、ロバーバル機構とレバーを別体とし、レバーに支点を設けた構成としたので所定の力の減衰量を有して高精度な測定が可能となる。このレバーには、固定部と可動部間に連結固定用のブリッジを設けておき、ロバーバル機構に組み付け後に切断する構成としたので、組み付け時にレバーの各部の寸法を維持した状態で取り付けることができ、簡単に組み立てできるとともに組み立てを精度を向上できる。また、部品状態時のレバーは、可動部が固定部に固定保持されるのでバネ部の損傷を防止でき、部品扱いを容易化できる。
上記支点を有するレバーは長さを短くでき、電子天秤を小型化できる効果を有する。加えて、ロバーバルに開口形成したレバー収容部にレバーを収容固定する構成とすれば、レバーの幅を取らずより全体の小型化が図れる。
【0050】
また、レバーには、互いに直交して突出形成された第1、第2の補強片で補強する構成とすることにより、レバーがブロック塊で無くとも所定の剛性を有し且つ小型軽量化できるようになる。レバーを小型、軽量化できることにより、荷重に対するレバーの移動の反応をより敏感にでき、計量精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子天秤の実施の形態を示す斜視図。
【図2】 ロバーバル機構を示す正面図。
【図3】 ロバーバル機構の平面図。
【図4】 ロバーバル機構の側面断面図。
【図5】 レバーを示す正面図。
【図6】 レバーの平面図。
【図7】 レバーの側面図。
【図8】 レバーの自由端部分を示す斜視図。
【図9】 ロバーバル機構にレバーを組み込んだ状態を示す裁断正面図。
【図10】 従来の第1の電子天秤を示す正面断面図。
【図11】 同従来の第1の電子天秤の斜視図。
【図12】 従来の第2の電子天秤を示す分解斜視図。
【図13】 従来の第3の電子天秤を示す斜視図。
【符号の説明】
1…電子天秤、2…ロバーバル機構、2b…レバー収容部、4…レバー、4a…基端部、4b…自由端、4ba…固定面、4bb…段差面、6…平衡駆動手段(電磁コイル)、6b…コイル、12…固定部、14…可動部、17…ブリッジ切断用穴、18…ロバーバル部、20…バネ部、22…レバー固定部、30…固定部、32(32a、32b、32c)…可動部、34…バネ部(支点A,B)、38,39…補強片、42…位置検出センサ。
Claims (3)
- 被計量物の荷重を受けて移動する可動部(14)と、固定部(12)と前記可動部との間に所定長を有し一対で設けられ可動部を水平状態のまま移動させるロバーバル部(18)と、からなり、長さ方向の一端部(2a)から内部にレバー収容部(2b)が開口形成さたロバーバル機構(2)と、
前記レバー収容部に収容固定され、前記ロバーバル機構の可動部に基端部(4a)が固定され、前記ロバーバル機構の可動部の移動に連動することにより自由端(4b)が平衡状態から所定量変位するレバー(4)と、
前記レバーに設けられ基端部から自由端へ所定の力の減衰量を得るための支点(A,B)を含み、該レバーに固定部(30)と可動部(32)を形成しこれらを連結する薄厚のバネ部(34)と、
前記レバーの固定部と可動部との間に設けられ、該固定部と可動部の位置を固定保持するものであり、該レバーを前記ロバーバル機構に固定後切断されるブリッジ(29a、29b)と、
を備え、
前記ロバーバル機構(2)には、前記レバー(4)のブリッジ(29a、29b)の配置位置に該ブリッジを切断するための切断用穴(16,17)が開口されたことを特徴とする電子天秤。 - 前記ブリッジ(29a、29b)は、前記レバーの固定部と可動部との間に、平面からみて、レバーの両側部にそれぞれ所定幅で合計4箇所設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子天秤。
- 請求項1記載の電子天秤において、
前記レバー(4)には、幅方向に沿って所定厚さを有し突出形成された第1の補強片 (38)と、前記レバーの幅方向と直交する長さ方向に沿って所定厚さを有し、第1の補強片に連続する突出形成された第2の補強片(39)と、が設けられたことを特徴とする電子天秤。
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