JP3737412B2 - 金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体 - Google Patents
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体に関する。更に詳細には、光輝性に富む金属光沢調の色調が変化すると共に、温度変化による色変化を視覚させ、両者の織りなす多彩な様相を呈する金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属光沢調を呈する熱変色性樹脂組成物に関して、本出願人による幾つかの提案が既に開示されている(特開平6−107851号公報、特開平6−107852号公報、特開平6−107853号公報等)。
前記提案は、天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した金属光沢調顔料と熱変色性材料を樹脂中にブレンドしたものであり、金属光沢調の色変化を呈するため、示温、装飾、玩具要素等、多様な分野に適用性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、この種の金属光沢調熱変色性材料の視覚効果について更に追求し、光輝性に富む金属光沢色が視覚されている状態で視点を移動させることによって、より多彩な色変化を呈することのできる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、及び前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体を必須三成分として含む熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、コレステリック液晶型光輝性顔料と、成形用樹脂とからなる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物を要件とする。更には、前記コレステリック液晶型光輝性顔料は、平均の厚みが3〜15μmの範囲にあり、平均の粒度が1〜100μmの範囲にあること、ペレット、粉末、又はペーストの何れかの形態であること等を要件とする。
更には、前記樹脂組成物を使用して射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形の何れかにより成形された金属光沢調熱変色性成形体を要件とする。
【0005】
本出願人が先に提案した金属光沢調の色彩を呈する熱変色性樹脂組成物は、適用される金属光沢顔料が天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した顔料であり、酸化チタンの被覆率により金色、銀色、或いは、メタリック色の金属光沢色を呈する。よって、光輝性を呈すると共に、温度変化によって可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が色変化することにより異なる様相を視覚することが可能である。
【0006】
本発明者は、前記金属光沢性と温度変化によって色変化を示す成形用樹脂組成物について更に検討した結果、コレステリック液晶型光輝性顔料を用いることによって、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色による様相変化に加えて、金属光沢色の色変化を備えた金属光沢調熱変色性成形用組成物が得られることを見いだした。
即ち、本発明に用いられるコレステリック液晶型光輝性顔料は、視点により色調が変化するカラーフロップ性を有しており、前記可逆熱変色性組成物の色変化とカラーフロップ性が連動することにより、多彩な色変化を現出させることができる。
【0007】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料について説明する。
コレステリック液晶型光輝性顔料として用いられる液晶ポリマーは光の干渉効果によって広いスペクトル領域で入射する光の一部の領域のみが反射し、これ以外の領域は全て光が透過する性質を有する。反射スペクトルの領域は、らせん状のポリマーのピッチ幅、及び材料の屈折率によって決まり、また、反射スペクトル領域は左、及び右らせんに偏光した光線成分に分割され、その際、らせんの回転方向に応じて一方は反射され、他方は透過させることが可能となる。これによりコレステリック液晶型光輝性材料は全体的なスペクトル領域にわたり、透過、及び反射する性質、即ち、優れた金属光沢と視点により色調が変化するカラーフロップ性を有する。
また、前記コレステリック液晶型光輝性顔料は、光輝性と共に透明性も有する。
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として具体的には、メソジェンを側鎖に持つシロキサン骨格をベースとした材料を例示できる。
【0008】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として、具体的にはワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)〔青色→暗色〕、Scarabeus(SLM90120)〔緑色→青色〕、Jade(SLM90220)〔金色→緑青色〕、Maple(SLM90320)〔赤銅色→緑色〕等を挙げることができる。
【0009】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料は平均の厚みが3〜15μm、好ましくは5〜10μmの範囲であり、平均の粒度が1〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲が好適に用いられる。
平均の厚み、粒度が前記範囲外の場合、光輝性やカラーフロップ性が損なわれたり、層中での光輝性顔料の配向及び安定性に悪影響を及ぼすこともあり、実用が制限される。
前記コレステリック液晶型光輝性顔料は透明性が非常に高く、混色による色の濁りがないため、色調の異なる複数のコレステリック液晶型光輝性顔料を併用してもよい。
また、従来より公知の真珠光沢顔料、アルミニウム等の金属光沢顔料、染料、顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等を併用して用いることもできる。
前記真珠光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、偏平状ガラス片、酸化アルミニウム等の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料が挙げられる。
【0010】
前記可逆熱変色性組成物としては、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む組成物が好適に用いられる。具体的には、特公昭51−44706号公報、特公平1−29398号公報に記載されている可逆熱変色性組成物が挙げられる。
前記組成物は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、変化前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要する熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、所謂、温度変化による温度−色濃度について小さいヒステリシス幅(ΔH)を示して変色するタイプである。
【0011】
又、本出願人が提案した特公平4−17154号公報に記載されている、大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性熱変色性組成物、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色するタイプの変色材であり、低温側変色点と高温側変色点の間の常温域において、前記低温側変色点以下又は高温側変色点以上の温度で変化させた状態を記憶保持できる特徴を有する熱変色性組成物も有効である。
更に、電子受容性化合物としてアルコキシフェノール化合物を用いた、昇温によって発色性を示す可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
【0012】
前記した可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包して使用する。それは、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定なマイクロカプセル顔料を構成でき、粒子径0.1〜100μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲が実用性を満たす。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0013】
前記成形用樹脂としては、従来より汎用の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が適宜、目的に応じて適用される。
熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、フッ素樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、石油系炭化水素樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリブテン、クマロン−インデン共重合物、フェノキシプラスチック等の熱可塑性樹脂。
エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシアクリレート、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリ(p−ヒドロキシ安息香酸)、ポリウレタン、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0014】
更に、本発明には、必要により各種光安定剤を添加することができる。
前記光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、0.3〜24重量%、好ましくは0.8〜16重量%の割合で含有される。
前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は、酸化反応を抑制する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
尚、前記光安定剤は可逆熱変色性組成物と共にマイクロカプセルに内包してもよいし、マイクロカプセルに内包すると共に、成形用樹脂中にも添加することができる。
更に、前記成形用樹脂組成物により成形した成形体上には、光安定剤および/または光遮蔽性顔料を含む層を積層することによって耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
前記光遮蔽性顔料は、金属光沢顔料、透明二酸化チタン、透明酸化鉄、透明酸化セシウム、透明酸化亜鉛等の顔料類が挙げられる。
【0015】
前記成形体が適用される分野としては、被服、玩具、造花、文房具、日用品、台所用品、化粧用具、運動用具、屋内装飾品等が挙げられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物は通常ペレットの形態に加工されており、各種成形機によりフイルム、シート、板、棒、パイプ、フィラメント、その他各種形状の造形物の成形に用いられる。成形用樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合は、カレンダロール加工又はインフレーション加工によってフイルムを成形することができる。又、押出成形機により板状体、棒状体、パイプ、フィラメント等を成形することができる。
又、射出成形により種々の形態の造形物を成形することができ、例えば、乗物玩具、人形等の玩具形象の造形物、生活関連用品、運動具、各種屋内装置品等が挙げられ、更に、前記造形物の部品を成形することもできる。
メルトスピニング等により得たフィラメントは、織物や編物に用いられるだけでなく、植毛に用いることもできる。
熱硬化性樹脂を適用する系では、所定形状寸法の金型に充填することにより、種々の成形体を成形することができる。
前記のようにして得られる金属光沢調熱変色性成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の可逆熱変色性を示す。
【0017】
【実施例】
次に、具体的に実施例を示す。実施例中の部は重量部である。
【0018】
実施例1
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Maple、SLM90320)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕40部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点119℃の高密度ポリエチレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成型し、常法により金属光沢調熱変色性成型用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため無色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色して視認する角度によって赤銅色及び黄緑色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記無色、或いは、赤銅色及び黄緑色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0019】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、ブロー成形機によりシリンダー温度175℃の条件で厚さ約2mm、外径5cmの金属光沢調熱変色性球体を成形した。
前記球体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0020】
実施例2
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Scarabeus、SLM90120)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕40部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点119℃の高密度ポリエチレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成型し、常法により金属光沢調熱変色性成型用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため無色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色して視認する角度によって青色及び緑色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記無色、或いは、青色及び緑色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0021】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、ブロー成形機によりシリンダー温度175℃の条件で厚さ約2mm、外径5cmの金属光沢調熱変色性球体を成形した。
前記球体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0022】
実施例3
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Maple、SLM90320)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕20部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、蛍光ピンク色顔料1.5部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点100℃のポリプロピレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて常法により金属光沢調熱変色性成型用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため蛍光ピンク色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色するため、視認する角度によって赤銅色及び黄緑色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記蛍光ピンク色、或いは、赤銅色及び黄緑色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0023】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、射出成形機によりミニチュアカー形態の金属光沢調熱変色性成形体を作成した。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0024】
実施例4
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Jade、SLM90220)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕40部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、青色顔料0.2部、白色顔料0.6部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点105℃のリニア低密度ポリエチレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、常法により2〜3mmの金属光沢調熱変色性成型用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたマイクロカプセル顔料A、及び、3−シクロヘキシルアミノ−7−メチルフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたマイクロカプセル顔料Bを混合したものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため青色になり、視認する角度によって銀色及び青緑色の金属光沢色が視覚される。また、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色するため、視認する角度によって金色及び緑色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記銀色及び青緑色の金属光沢色、或いは、金色及び緑色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0025】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、押出成形機によりシリンダー温度180℃の条件でシート成形を行ない、厚さ約1mmの金属光沢調熱変色性シートを得た。
前記シートは、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0026】
実施例5
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Sapphire、SLM90020)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕30部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、蛍光黄色顔料5部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤5部、エポキシ樹脂700部、及びアミン系硬化剤250部を均一に混合して金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物を作成した。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため蛍光黄色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色して視認する角度によって青色及び暗紫色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記蛍光黄色、或いは、青色及び暗紫色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0027】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記組成物をハート型の注型用型に注ぎ、70℃で1時間硬化させて、ハート型の金属光沢調熱変色性成形体を得た。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0028】
実施例6
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料A〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Scarabeus、SLM90120)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕15部、コレステリック液晶型光輝性顔料B〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Maple、SLM90320)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕15部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点100℃のポリプロピレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を使用して、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成形し、常法により金属光沢調熱変色性成形用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため無色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色して視認する角度によって金色及び銀色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記無色、或いは、金色及び銀色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0029】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、射出成形機によりミニチュアカー形態の金属光沢調熱変色性成形体を作成した。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0030】
実施例7
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Maple、SLM90320)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕60部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30部、スチレン−ブタジエン共重合樹脂(メルトフローレート7.3)1000部、紫外線吸収剤10重量部、金属石鹸系滑剤0.5重量部を混合し、タンブラーミキサーで均一に分散した後、押出成形機を用いて金属光沢調熱変色性成形用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ミリスチルアルコール25部、カプリン酸セチル25部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、20℃以上になると無色になり、20℃未満では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色して視認する角度によって赤銅色及び黄緑色の金属光沢色が視覚される。
【0031】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、イルカ型の金型を使用して射出成形により、イルカ形態の金属光沢調熱変色性成形体を得た。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0032】
実施例8
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Jade、SLM90220)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕20部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点100℃のポリプロピレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成形し、常法により金属光沢調熱変色性成形用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため無色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が青色に発色するため、視認する角度によって銀色及び青緑色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記無色、或いは、銀色及び青緑色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0033】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、射出成形機により厚さ3mm、縦5cm、横5cmの星型の金属光沢調熱変色性成形体を得た。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0034】
実施例9
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
コレステリック液晶型光輝性顔料〔ワッカーケミー社製、ヘリコーンHC(Maple、SLM90320)、平均の厚み5μm、平均粒径30μm〕20部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤5部、ポリスチレンブロックとポリオレフィン構造のエラストマーブロックで構成されるブロック共重合体エラストマー(破断伸度:1200%、スチレン含有量:13%)1000部を均一に混合した後、押出成形機を使用してシリンダー温度200℃、ゲート温度200℃の条件で常法により金属光沢調熱変色性成形用ペレットを得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤の界面重合法によるカプセル化で得られたものであり、二つの変色点(低温側変色点:15℃、高温側変色点:32℃)をもつ感温変色性色彩記憶型マイクロカプセル顔料である。
前記成型用ペレットは、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色するため無色になり、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色して視認する角度によって赤銅色及び黄緑色の金属光沢色が視覚される。
また、15〜32℃間では、前記無色、或いは、赤銅色及び黄緑色の金属光沢色を択一的に視覚することができる。
【0035】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、射出成形機により、シリンダー温度220℃の条件でクモの形態を模した金属光沢調熱変色性成形体を成形した。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈する。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、温度変化による色彩変化と金属光沢性の光輝効果とが織りなす多彩な様相を呈し、金属光沢色が視覚されている状態で視点を移動させることによって、より多彩な色変化を呈することのできる特異な金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた成形体を供給でき、玩具要素、装飾要素、示温要素、差別化要素等、多様な分野に適用される。
Claims (4)
- 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、及び前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体を必須三成分として含む熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、コレステリック液晶型光輝性顔料と、成形用樹脂とからなる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
- 前記コレステリック液晶型光輝性顔料は、平均の厚みが3〜15μmの範囲にあり、平均の粒度が1〜100μmの範囲にある請求項1記載の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
- ペレット、粉末、又はペーストの何れかの形態である請求項1又は2記載の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載された樹脂組成物を使用して射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形の何れかにより成形された金属光沢調熱変色性成形体。
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