JP3737028B2 - メチルベンゼン類酸化用触媒及び芳香族アルデヒドの製造方法 - Google Patents
メチルベンゼン類酸化用触媒及び芳香族アルデヒドの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メチルベンゼン類の酸化用触媒及びこの触媒を用いた芳香族アルデヒドの製造方法、更にこれにより得られたフタルアルデヒド類からのシクロヘキサンジメタノールの製造方法に関する。詳しくは、本発明は、メチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して、対応する芳香族アルデヒドを高収率で製造するのに好適な触媒、及び、この触媒を用いてメチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して、対応する芳香族アルデヒドを高収率で製造する方法、更にはこれにより得られたフタルアルデヒド類を水素添加し、シクロヘキサンジメタノールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族アルデヒドは反応性の高いアルデヒド基を有しており、芳香族化合物の中でも、幅広い用途がある。中でも、2つのアルデヒド基をパラ位に有するテレフタルアルデヒド(TPAL)は、医薬、農薬、染料、液晶ポリマー、導電性ポリマー、耐熱性プラスチック等への利用が期待され安価な工業的製造法が求められている。
【0003】
p−キシレンの気相酸化により、テレフタルアルデヒドを製造しようという試みは、かなり古くから行われている。特公昭47−2086号公報には、WとMoとの比が1:1〜20:1の範囲にある組成の酸化物触媒が開示されている。特開昭48−97830号公報には、VとRb又はCsとを含む触媒が開示されている。米国特許第3,845,137号明細書には、W及びMoの2元素に、Ca、Ba、Ti、Zr、Hf、Tl、Nb、Zn及びSnからなる群より選択される少なくとも1元素を加えた酸化物からなる触媒が開示されている。米国特許第4,017,547号明細書には、Mo酸化物とW酸化物又はケイタングステン酸、及び、Bi酸化物からなる触媒が開示されている。米国特許第5,324,702号明細書には、脱ホウ素化したボロシリケート結晶モレキュラーシーブに、Fe、Zn等とV、Mo、W等を化学蒸着(CVD)で担持した特殊な触媒が開示されている。
【0004】
しかし、これらの触媒はいずれも目的とするテレフタルアルデヒドの収率が低く、工業的に実用化されるには至っていない。
さらに本発明者らの知見によると、これらの触媒は活性が低いだけでなく、目的物の選択性が低いため、得られたテレフタルアルデヒドを水素添加する際に、1,4−シクロヘキサンジメタノールの収率を低下させるような不純物が含有される傾向にあることが判明した。
【0005】
またシクロヘキサンジメタノールは、ポリエステル系の塗料や合成繊維、合成樹脂等の原料として工業的に極めて有用な化合物である。
1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法としては、▲1▼テレフタル酸ジアルキルエステルを出発原料として用い、該テレフタル酸ジアルキルエステルのベンゼン環を水素添加した後、得られる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを更に水素添加する方法、▲2▼テレフタル酸を出発原料として用い、上記と同様ベンゼン環を水素添加した後、得られる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を更に水素添加する方法、▲3▼キシリレングリコールのベンゼン環を水素添加する方法、更に、▲4▼テレフタルアルデヒドを水素添加する方法等が知られている。
【0006】
これら製法のうち、代表的な方法は▲1▼の製法であるが、出発原料とするテレフタル酸ジアルキルエステルは、p−キシレンを酸化反応し得られるテレフタル酸を更にアルコールでエステル化することで得られる化合物であり、目的物を得るには、その後2段階の水素添加反応を経なければならず、多段の反応が必要である。
また、▲2▼の方法ではp−キシレンを酸化して得られるテレフタル酸を出発原料としているため、エステル化反応は不要であるが、例えば特開昭52―242号公報によれば、水素添加反応で大量のアルコールを溶媒として用いなければならず、生産性が低下するという問題を生ずる。
更にこれらの方法では、ベンゼン環、及び、カルボン酸又はそのエステルの水素添加反応の条件として、高温・高圧が要求されるため特殊な反応設備が必要である。また、後段の反応に用いる銅クロマイト触媒は有毒なクロムを含んでいるので、廃棄処理を行う際に問題を生じる。
【0007】
これらの反応においては、化学量論的には1モルの原料に対して7モルの水素が必要であり、それゆえ多量の水素を消費する反応である。更に、▲1▼の方法では2モルのアルコールが、▲2▼の方法では2モルの水が、それぞれ副生するため原料の原単位も大きい点等、経済的な見地から必ずしも好ましい方法とは言えなかった。
【0008】
これに対し、上記▲3▼の方法、例えば特開平8−187432号公報の実施例7には、キシリレングリコールのベンゼン環を、新規な水素化触媒であるラネールテニウム触媒を用いて温和な条件下で水素添加することにより、目的物であるシクロヘキサンジメタノールを得る方法が開示されている。
しかしながら、この製法においては、原料となるキシリレングリコールが非常に高価であり、未だ安価な工業的製造方法は確立されていない。
【0009】
また最近公開された特開平11−335311号公報には、▲4▼による製法が提案されている。この製法では、長周期律表VIII族金属を含有する触媒を用い、特定の比較的温和な反応条件下で、テレフタルアルデヒドから、アルデヒド基とベンゼン環を同時に水添する1段の水素添加反応が開示されている。
この方法では、アルデヒド基とベンゼン環の水添が必要であるものの、化学量論的には原料1モルに、5モルの水素で済み、またアルコールや水の副生もなく、更に有毒な物質を含む触媒を用いる必要がない製法である。
【0010】
しかしながら、この製法においても、原料となるテレフタルアルデヒドの工業的製法は現在確立されておらず、この公報においてはテレフタルアルデヒドの製法については何ら具体的に記載されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、メチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して、対応する芳香族アルデヒドを高収率で製造できる新規な触媒、及び、この触媒を用いてメチルベンゼン類から高収率で対応する芳香族アルデヒドを製造する方法、更にはこれにより得られる芳香族アルデヒドのうち特にフタルアルデヒド類を水素添加してシクロヘキサンジメタノールを製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して、対応する芳香族アルデヒドを高収率で製造できる新規な触媒について鋭意研究の結果、以下に述べる組成の触媒、又は、この触媒活性成分を耐火性無機担体物質に担持した触媒が優れた部分酸化性能を示し、この触媒を用いることにより、高収率で芳香族アルデヒドを製造できることを見出した。更にここで得られた芳香族アルデヒドのうち特にフタルアルデヒド類を水素添加することにより高効率でシクロヘキサンジメタノールを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下に、本発明を詳述する。
【0013】
本発明におけるメチルベンゼン類とは、1個又は複数個のメチル基が直接ベンゼン環に結合した化合物を意味し、その代表例としては、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、プソイドキュメン、メシチレン及びデュレンの炭素数8〜10のメチルベンゼン類等を挙げることができる。
【0014】
本発明の触媒は、これらメチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して、対応するアルデヒドを製造するものである。具体的には、例えば、p−キシレンからテレフタルアルデヒド及びp−トルアルデヒド、o−キシレンからフタルアルデヒド及びo−トルアルデヒド、m−キシレンからイソフタルアルデヒド及びm−トルアルデヒド、プソイドキュメンから2−メチルテレフタルアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド及び3,4−ジメチルベンズアルデヒド、メシチレンから3,5−ジメチルベンズアルデヒド、5−メチルイソフタルアルデヒド及び1,3,5−トリホルミルベンゼン、デュレンから2,5−ジメチルテレフタルアルデヒド、4,5−ジメチルフタルアルデヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,4,5−トリホルミルトルエン及び1,2,4,5−テトラホルミルベンゼンをそれぞれ製造すること等を挙げることができる。中でも本発明の酸化用触媒は、p−キシレンからテレフタルアルデヒドを製造するのに特に好適に用いられる。
【0015】
本発明のメチルベンゼン類酸化用触媒は、下記一般式(1);
WaXbYcOx (1)
で表される組成を有する。
上記一般式(1)において、Wは、タングステン原子を表す。Xは、P、Sb、Bi及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。Yは、Fe、Co、Ni、Mn、Re、Cr、V、Nb、Ti、Zr、Zn、Cd、Y、La、Ce、B、Al、Tl、Sn、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。Oは、酸素原子を表す。
上記一般式(1)において、X成分としてのP、Sb、Bi及びSiの中でも、Sb及び/又はBiであることが好ましく、特にSbであることが好ましい。またY成分としてのFe、Co、Ni、Mn、Re、Cr、V、Nb、Ti、Zr、Zn、Cd、Y、La、Ce、B、Al、Tl、Sn、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Na、K、Rb及びCsの中でもFe、Co、Ni、Mn、Zn、Cd、Cr、V、Nb、Ti、Zr、Ce、Sr及びCsからなる群より選択される少なくとも1種の元素であることが好ましく、特にFe、Ni、Co、Zn、Cd及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
【0016】
また、一般式(1)において、a、b、c及びxは、各々、W、X、Y及び酸素原子の原子数を表す。ただし、a、b及びcの比率は、a=12のとき、b=0.5〜10、c=0〜15であり、xは、酸素原子以外の元素の酸化状態によって定まる数値である。
a、b及びcの比率は、好ましくは、a=12のとき、b=1〜6、c=0〜8である。なお、a、b及びcの比率を示すためにa=12のときを用いているが、aが他の数値となるときには、上記の比率に応じてb及びcの数値を設定することになる。
【0017】
本発明の一般式(1)で表される酸化用触媒は、活性向上及び物理的耐久性向上の目的で、耐火性無機担体に担持して用いることもできる。耐火性無機担体としては、この種の触媒の調製に一般に用いられている耐火性無機担体を用いることができる。その代表例としては、α−アルミナ等のアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、炭化珪素等を挙げることができる。中でも比表面積が1m2 /g以下、好ましくは0.1m2 /g以下の低比表面積のα−アルミナ、炭化珪素が副反応が少なく、目的物を高収率で得られる点で好ましい。なお触媒活性成分の担持量は通常耐火性無機担体の5〜90質量%である。
【0018】
本発明の酸化用触媒の調製法には特に制限はなく、この種の触媒の調製に一般的に用いられている方法によって調製することができる。例えば、メタタングステン酸アンモニウム水溶液に酒石酸アンチモン水溶液又は三酸化アンチモン粉末、及び、硝酸鉄水溶液を加え均一溶液又は懸濁液を調製し、成型担体に含浸してから蒸発乾固し、80〜230℃で乾燥処理し、300〜700℃で焼成した後使用する。担体を使用しない場合は、均一溶液又は懸濁液をそのまま加熱攪拌して蒸発乾固し、上記と同様の温度で乾燥し、粉砕、成型した後、上記と同様の温度で焼成した後使用する。この乾燥及び焼成を行う際の雰囲気には特に制限はなく、大気中でも、高酸素濃度又は低酸素濃度雰囲気中でも、また還元性雰囲気中でも、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中でも、更には真空中でも行うことができる。これらは触媒調製に使用した原料の特性等に応じて適宜選択できる。低酸素濃度雰囲気での焼成では、大気中焼成に比べ、触媒活性が低下する傾向にあるが、選択性は向上し、収率が向上する場合がある。酸化物固体粉末原料を使用する際には、不活性ガス雰囲気中での焼成が特に好ましい。上記触媒の調製に用いられる原料には特に制限はなく、使用する元素の硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、有機酸塩、酸素酸、酸素酸アンモニウム塩、ヘテロポリ酸等を使用することができる。
【0019】
また触媒調製時の、耐火性無機担体原料の使用形態についても特に制限はなく、成型体のほかに、酸化物、水酸化物の粉末、又は、ゲル、ゾル等、触媒の使用条件に応じて、多様に使い分けることができる。また触媒の形状についても特に制約はなく、球状、ペレット状、リング状等のほかハニカム状でも使用が可能である。
【0020】
メチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して対応する芳香族アルデヒドを製造する方法であって、上記メチルベンゼン類酸化用触媒を使用する芳香族アルデヒドの製造方法もまた、本発明の1つであり、メチルベンゼン類から対応する芳香族アルデヒドを高収率で製造することができる。
【0021】
上記芳香族アルデヒドの製造方法において、原料として用いられるメチルベンゼン類としては特に限定されず、例えば、炭素数8〜10のメチルベンゼン類であることが好ましい。
上記炭素数8〜10のメチルベンゼン類としては、上述したのと同様のもの等が挙げられる。これらの中でも、本発明の芳香族アルデヒドの製造方法は、p−キシレンを気相酸化して対応するテレフタルアルデヒドを製造する際に好適に適用されることとなる。
【0022】
本発明の気相酸化反応を行う際の原料としては、メチルベンゼン類及び分子状酸素のほかに、必要に応じて、希釈ガスを用いることができる。分子状酸素源としては、空気又は純酸素が使用される。分子状酸素は通常、メチルベンゼン類1モルに対して、5〜100モルの割合で用いる。希釈ガスとしては、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の不活性ガスや水蒸気等が好適に用いられる。
【0023】
本発明の気相酸化反応を実施する際の反応条件には特に制限はなく、例えば、空間速度1000〜100000hr-1、反応温度350〜650℃の条件下に上記原料ガスを本発明の酸化用触媒に接触させればよい。好ましくは空間速度2000〜50000hr-1、反応温度は450〜600℃である。上記反応は通常常圧かやや加圧で行うが、高圧下、減圧下いずれでも実施することができる。反応方式についても特に制限はなく、固定床式、移動床式又は流動床式のいずれでもよい。また単流方式でもリサイクル方式でもよい。
【0024】
フタルアルデヒド類を水素添加してシクロヘキサンジメタノールを製造する方法であって、上記フタルアルデヒド類がメチルベンゼン類をキシレンとして上記芳香族アルデヒドの製造方法により得られるものであるシクロヘキサンジメタノールの製造方法もまた本発明の1つであり、キシレンからシクロヘキサンジメタノールを安価かつ工業的に製造することができる。
【0025】
テレフタルアルデヒドを水素添加して1,4−シクロヘキサンジメタノールを製造する方法であって、上記テレフタルアルデヒドが上記芳香族アルデヒドの製造方法により得られるものである1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法もまた本発明の好ましい実施形態の1つであり、p−キシレンから1,4−シクロヘキサンジメタノールを安価かつ工業的に製造することができる。
【0026】
上記シクロヘキサンジメタノールの製造方法において、フタルアルデヒドの水素添加の方法は、公知の如何なる方法を採用してもよい。具体的には、例えば(I)パラジウムや白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム等の貴金属(白金族)を、活性炭やアルミナ、珪藻土等の担体に担持してなる貴金属担持型触媒;(II)酸化パラジウムや酸化白金、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化イリジウム等の貴金属酸化物;(III)パラジウムブラックや白金ブラック、ルテニウムブラック、ロジウムブラック等の貴金属単体;(IV)ラネーニッケルやラネーコバルト、ラネールテニウム等のラネー系触媒;(V)卑金属を担体に担持してなる卑金属担持型触媒等を還元触媒として用いて水素と反応させる方法等の一般的な手法を採用して水素添加を実施できる。
【0027】
本発明においては、前段の酸化で高い純度のフタルアルデヒド類が得られ、これを精製なしでそのまま用いることもできる。勿論精製して用いてもよい。
反応条件温度や水素分圧等の反応条件は、還元触媒の種類及び使用量等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、反応温度としては常温〜250℃の範囲、好ましくは50〜200℃の温度である。反応温度がこれらの範囲を外れると、反応速度が著しく遅くなったり、又は、官能基の脱離反応等の副反応が起こり選択率が著しく低下するおそれがある。
【0028】
水素分圧については、1MPa以上であることが好ましい。1MPa未満であると未反応系であるアルデヒド基のみが還元されたキシリレングリコールが多量に残存することとなるおそれがある。尚、水素添加はフタルアルデヒド類を不活性な媒体に懸濁させても実施し得るが、アルコールやエーテル等適当な溶媒に溶解して実施するのが好ましい。水素添加の実施形態としては、回分式、半回分式、連続流通式いずれの方式でも構わない。
【0029】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、反応における転化率、選択率及び単流収率は、副生物を含めてそれぞれ以下のように定義される。
転化率(モル%)=(反応した原料のモル数/供給した原料のモル数)×100選択率(モル%)=(生成した各化合物のモル数/反応した原料のモル数)×(生成した各化合物の炭素数/供給した原料の炭素数)×100
単流収率(モル%)=(生成した各化合物のモル数/供給した原料のモル数)×(生成した各化合物の炭素数/供給した原料の炭素数)×100
【0030】
実施例1
アンチモン原料として酒石酸アンチモン水溶液をまず調製した。L−酒石酸150.0gを310mlの水に溶解し、これに三酸化アンチモン(純度99.9%)粉末36.5gを添加し、加熱還流を行い溶解させた。これに少量の水を加え、全体の質量を500gに合わせ、Sb濃度0.5mmol/gの酒石酸アンチモン水溶液を得た。また、Fe原料として硝酸鉄水溶液を調製した。硝酸鉄九水和物40.4gを水に溶解し、溶液全体の質量を100gとし、Fe濃度1mmol/gの硝酸鉄水溶液を得た。上記の酒石酸アンチモン水溶液6.00gに、硝酸鉄水溶液2.00gを加え、更にメタタングステン酸アンモニウム水溶液(WO3 として50質量%含有)5.56gを加え均一含浸液を得た。あらかじめ100℃に予熱しておいたα−アルミナ担体SA5218(ノートン社製、3/8インチ球)20gに上記含浸液を加え、ウォーターバス上で、加熱攪拌を行い、蒸発乾固を行った。これを120℃で16時間乾燥を行い、更に大気中650℃で2時間焼成処理を行った。粉をふるい落として最終的に得られた触媒(以下の実施例でも同じ)の組成は14.3質量%W12Sb3 Fe2 Ox/SA5218であった。この触媒20gを通常の流通式反応装置に充填し、下記条件下で反応を行った。結果を表1に示す。
反応圧:常圧
反応ガス組成:p−キシレン/Air=0.8/99.2(p−キシレン/O2 =1/25.8)
反応ガス供給速度:1.25L(リットル)(標準状態;ガス 0℃、1.013×10-1MPaの体積))/min
SV:5680hr-1
反応温度:550℃
以下の実施例でも、反応温度以外は、特に断らない限り同じ反応条件で反応を行った。ただしSVは、触媒の充填比重の差により、多少変動する。反応温度と反応結果を表1に示す。
【0031】
実施例2
酒石酸アンチモン水溶液の量を8.00gに変更した以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.6質量%W12Sb4 Fe2 Ox/SA5218であった。
【0032】
実施例3
酒石酸アンチモン水溶液の量を4.00gに変更した以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は13.6質量%W12Sb2 Fe2 Ox/SA5218であった。
【0033】
実施例4
硝酸鉄水溶液の量を3.00gに変更した以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.6質量%W12Sb3 Fe3 Ox/SA5218であった。
【0034】
実施例5
酒石酸アンチモンの量を2.00g及び硝酸鉄水溶液の量を1.00gに変更した以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は12.9質量%W12Sb1 Fe1 Ox/SA5218であった。
【0035】
実施例6
Zrの原料として硝酸ジルコニル水溶液を調製した。硝酸ジルコニル二水和物13.50gを水に溶解して、溶液全体の質量を100gとし、Zr濃度0.5mmol/gの硝酸ジルコニル水溶液を得た。実施例1の含浸液にこの硝酸ジルコニル水溶液1.00gを加えた含浸液を使用し、他は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.4質量%W12Sb3 Fe2 Zr0.5 Ox/SA5218であった。
【0036】
実施例7
Csの原料として硝酸セシウム水溶液を調製した。硝酸セシウム9.75gを水に溶解し、溶液全体の質量を50gに合わせ、Cs濃度1mmol/gの硝酸セシウム水溶液を得た。実施例1の含浸液にこの硝酸セシウム水溶液0.5gを加えた含浸液を使用し、他は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.4質量%W12Sb3 Fe2 Cs0.5 Ox/SA5218であった。
【0037】
実施例8
Nbの原料として、蓚酸ニオブ水溶液を調製した。蓚酸ニオブ(Nb2 O5 換算で20.5%含有)12.97gを水に溶解し、溶液全体の質量を100gに合わせ、Nb濃度0.1mmol/gの蓚酸ニオブ水溶液を得た。この水溶液5.0gを実施例1の含浸液に加えた含浸液を使用し、他は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.4質量%W12Sb3 Fe2 Nb0.5 Ox/SA5218であった。
【0038】
実施例9
Bi原料として硝酸ビスマス硝酸水溶液を調製した。硝酸ビスマス24.26gを60%硝酸20gを50gの水で希釈した溶液に溶かし、水を加えて溶液全体の質量を100gとし、Bi濃度0.5mmol/gの硝酸水溶液を得た。まず、この硝酸ビスマスの硝酸水溶液6.0gのみを含浸液とし、実施例1と同様に含浸、蒸発乾固を行った。これに更に、実施例1と同量のメタタングステン酸アンモニウム水溶液と、硝酸鉄水溶液を加えた液を使用して含浸操作を行い、実施例1と同様に乾燥、焼成を行った。得られた触媒の組成は14.9質量%W12Bi3 Fe2 Ox/SA5218であった。
【0039】
実施例10
リンタングステン酸(H3 (PW12O40)・nH2 O)3.42gを5mlの水に溶解させたものを含浸液とし、実施例1と同様に調製を行った。得られた触媒の組成は12.8質量%W12P1 Ox/SA5218であった。
【0040】
実施例11
ケイタングステン酸(SiO2 ・12WO3 ・26H2 O)2.84gを5mlの水に溶解させたものを含浸液とし、実施例1と同様に調製を行った。得られた触媒の組成は12.1質量%W12Si1 Ox/SA5218であった。
【0041】
実施例12
K原料として硝酸カリウム水溶液を調製した。硝酸カリウム5.06gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、K濃度1mmol/gの硝酸カリウム水溶液を得た。実施例8の含浸液にこの硝酸カリウム水溶液0.5gを加えた含浸液を使用し、他は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.5質量%W12Sb3 Fe2 Nb0.5 K0.5 Ox/SA5218であった。
【0042】
実施例13
Co原料として硝酸コバルト水溶液を調製した。硝酸コバルト六水和物14.64gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Co濃度1mmol/gの硝酸コバルト水溶液を得た。この硝酸コバルト水溶液3.00gを硝酸鉄水溶液の代わりに使用し、酒石酸アンチモン水溶液を9.00g、メタタングステン酸アンモニウム水溶液を8.34gにそれぞれ増量し、更に焼成温度を600℃とした以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は17.1質量%W12Sb3 Co2 Ox/SA5218であった。
【0043】
実施例14
硝酸コバルト水溶液を9.00gに増量した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は16.7質量%W12Sb3 Co6 Ox/SA5218であった。
【0044】
実施例15
Ni原料として硝酸ニッケル水溶液を調製した。硝酸ニッケル六水和物14.55gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Ni濃度1mmol/gの硝酸ニッケル水溶液を得た。この硝酸ニッケル水溶液9.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は15.4質量%W12Sb3 Ni6 Ox/SA5218であった。
【0045】
実施例16
Zn原料として硝酸亜鉛水溶液を調製した。硝酸亜鉛六水和物14.89gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Zn濃度1mmol/gの硝酸亜鉛水溶液を得た。この硝酸亜鉛水溶液9.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は16.3質量%W12Sb3 Zn6 Ox/SA5218であった。
【0046】
実施例17
Cd原料として硝酸カドミウム水溶液を調製した。硝酸カドミウム四水和物15.44gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Cd濃度1mmol/gの硝酸カドミウム水溶液を得た。この硝酸カドミウム水溶液9.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は15.8質量%W12Sb3 Cd6 Ox/SA5218であった。
【0047】
実施例18
Mn原料として硝酸マンガン水溶液を調製した。硝酸マンガン六水和物14.37gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Mn濃度1mmol/gの硝酸マンガン水溶液を得た。この硝酸マンガン水溶液9.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は12.7質量%W12Sb3 Mn6 Ox/SA5218であった。
【0048】
実施例19
Ca原料として硝酸カルシウム水溶液を調製した。硝酸カルシウム四水和物14.37gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Ca濃度1mmol/gの硝酸カルシウム水溶液を得た。この硝酸カルシウム水溶液3.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.6質量%W12Sb3 Ca2 Ox/SA5218であった。
【0049】
実施例20
Sr原料として硝酸ストロンチウム水溶液を調製した。硝酸ストロンチウム10.69gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Sr濃度1mmol/gの硝酸ストロンチウム水溶液を得た。この硝酸ストロンチウム水溶液3.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は14.3質量%W12Sb3 Sr2 Ox/SA5218であった。
【0050】
実施例21
La原料として硝酸ランタン水溶液を調製した。硝酸ランタン六水和物21.67gを水に溶解して、溶液全体の質量を100gとし、La濃度0.5mmol/gの硝酸ランタン水溶液を得た。この硝酸ランタン水溶液6.00gを硝酸コバルト水溶液の代わりに使用した以外は実施例13と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は15.5質量%W12Sb3 La2 Ox/SA5218であった。
【0051】
実施例22
Cr原料として硝酸クロム水溶液を調製した。硝酸クロム九水和物20.03gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、Cr濃度1mmol/gの硝酸クロム水溶液を得た。この硝酸クロム水溶液0.45gを実施例16の含浸液に加えた以外は実施例16と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は16.9質量%W12Sb3 Zn6 Cr0.3 Ox/SA5218であった。
【0052】
実施例23
実施例22と同じ触媒を使用し、反応ガス供給速度を1.95L(リットル)(標準状態)/min、反応温度を570℃に変更した以外は、実施例1と全く同じ条件で、反応を行った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
実施例24
V原料としてメタバナジン酸アンモニウム水溶液を調製した。メタバナジン酸アンモニウム5.91gを水に溶解して、溶液全体の質量を50gとし、V濃度1mmol/gのメタバナジン酸アンモニウム水溶液を得た。この水溶液0.15gを実施例16の含浸液に加えた以外は実施例16と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は17.2質量%W12Sb3 Zn6 V0.1 Ox/SA5218であった。
【0054】
実施例25
四塩化チタン水溶液(Ti16.0〜17.0%含有)0.44gを実施例16の含浸液に加えた以外は実施例16と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は16.8質量%W12Sb3 Zn6 Ti1 Ox/SA5218であった。
【0055】
実施例26
担体SA5218の代わりに炭化珪素自焼結担体(5mm球)20gを使用した以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は13.6質量%W12Sb3 Fe2 Ox/SiCであった。
【0056】
実施例27
酒石酸アンチモン水溶液の量を12.00g、硝酸鉄水溶液の量を4.00g及びメタタングステン酸アンモニウム水溶液の量を11.12gに変更し、更に焼成を酸素濃度1%(残り窒素)のガス流通下で行った以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は18.0質量%W12Sb3 Fe2 Ox/SA5218であった。
【0057】
実施例28
酒石酸アンチモン水溶液の代わりに三酸化アンチモン粉末(純度99.999%)1.166gを使用し、混合攪拌して得られた懸濁液を含浸液とし、更に焼成雰囲気を窒素に変更した以外は実施例27と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は25.0質量%W12Sb4 Fe2 Ox/SA5218であった。
【0058】
実施例29
実施例28の含浸液に、Bi濃度0.5mmol/gの硝酸ビスマス水溶液4.00gを加えた以外は実施例28と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は23.0質量%W12Sb4 Bi1 Fe2 Ox/SA5218であった。
【0059】
実施例30
Ce原料として硝酸セリウム水溶液を調製した。硝酸セリウム六水和物21.73gを水に溶解して、溶液全体の質量を100gとし、Ce濃度0.5mmol/gの硝酸セリウム水溶液を得た。この硝酸セリウム水溶液2.00gを実施例28の含浸液に加えた以外は実施例28と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は25.4質量%W12Sb4 Fe2 Ce0.5 Ox/SA5218であった。
【0060】
実施例31
硝酸鉄水溶液を使用しなかった以外は実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は13.8質量%W12Sb3 Ox/SA5218であった。
【0061】
比較例1
メタタングステン酸アンモニウム水溶液5.56gのみを水8mlで希釈したものを含浸液とし、実施例1と同様に触媒調製を行った。得られた触媒の組成は12.0wt%WOx/SA5218であった。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例32
実施例1で使用した含浸液と同じ液を使用し、担体を用いることなくそのままウォーターバス上で、加熱攪拌濃縮、蒸発乾固を行い120℃で16時間乾燥した。これを粉砕したあと、ペレット(直径5mm、長さ5mm)型に打錠成型を行い、大気中650℃で2時間焼成した。得られた触媒の組成はW12Sb3 Fe2 Oxであった。この触媒10gを使用し、反応ガス供給速度6.00L(標準状態)/min(SV42600hr-1)、反応温度を510℃にした以外は実施例1と全く同じ条件で、反応を行った。反応結果は、p−キシレン転化率93.1%、テレフタルアルデヒド選択率57.7%、p−トルアルデヒド選択率5.4%、テレフタルアルデヒド単流収率53.7%、p−トルアルデヒド単流収率5.0%であった。
【0064】
実施例33
実施例1での反応開始より8時間から10時間までの出口ガスを冷却メタノールで補集した。補集後、エバポレーターにて濃縮し、75gのメタノール溶液に調製した。この溶液にはテレフタルアルデヒド4.06g、p−トルアルデヒド0.44gが含まれていた。
この溶液と活性炭担持ルテニウム(ルテニウム含有率5質量%)1gを仕込んで密封した。次いでオートクレーブ内を窒素置換した後、水素ガスを充填して、内部を5MPaに加圧後、80℃まで加熱した。攪拌しながら水素ガスが吸収されなくなるまで(内圧が低下しなくなるまで)反応させた。
反応終了後、内容物を取り出し櫨過し、反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。その結果、該反応液には1,4―シクロヘキサンジメタノールが3.85g含まれており、テレフタルアルデヒドの転化率は100%であった。従って、1,4−シクロヘキサンジメタノールの収率はテレフタルアルデヒドに対し89モル%であった。尚、p−キシリレングリコールが4%生成していた。
【0065】
実施例34
実施例6での反応開始より8時間から10時間までの出口ガスを冷却メタノールで補集し、エバポレーターにて濃縮後、75gのメタノール溶液に調製した。この溶液にはテレフタルアルデヒド4.25g、p−トルアルデヒド0.32gが含まれていた。
この溶液とラネーニッケル(ニッケル含有率93〜95質量%、アルミニウム5〜7質量%)1gを仕込んで密封した。次いでオートクレーブ内を窒素置換した後、水素ガスを充填して、内部を4MPaに加圧後、60℃まで加熱した。攪拌しながら水素ガスが吸収されなくなるまで(内圧が低下しなくなるまで)反応させた。
反応終了後、内容物を取り出し櫨過し、反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。その結果、該反応液には1,4−シクロヘキサンジメタノールが3.97g含まれており、テレフタルアルデヒドの転化率は100%であった。従って、1,4−シクロヘキサンジメタノールの収率はテレフタルアルデヒドに対し87モル%であった。p−キシリレングリコールは5%生成していた。
【0066】
比較例2
比較例1での反応ガスを、実施例1と同様にして補集したものを75gのメタノール溶液に調製した。この溶液にはテレフタルアルデヒド0.56g、p−トルアルデヒド0.14gが含まれていた。
実施例1と同様な条件で、水素添加反応を行った結果、1,4−シクロヘキサンジメタノールの収率は、仕込んだテレフタルアルデヒドに対し56%であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明のメチルベンゼン類酸化用触媒は部分酸化性能に優れ、メチルベンゼン類から対応する芳香族アルデヒドを高収率で製造することができる。
また本発明にかかるシクロヘキサンジメタノールの製造方法によれば、工業的に入手が非常に容易で、安価なキシレンを出発原料として、ポリエステル系の塗料や合成繊維、合成樹脂等の原料として極めて有用なシクロヘキサンジメタノールを、安価かつ工業的に製造することができる。
Claims (4)
- メチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して対応する芳香族アルデヒドを製造するためのメチルベンゼン類酸化用触媒であって、
下記一般式(1);
WaXbYcOx (1)
(式中、Wは、タングステン原子を表す。Xは、P、Sb、Bi及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素であって、かつSbを必須とする元素を表す。Yは、Fe、Co、Ni、Mn、Re、Cr、V、Nb、Ti、Zr、Zn、Cd、Y、La、Ce、B、Al、Tl、Sn、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。Oは、酸素原子を表す。a、b、c及びxは、各々、W、X、Y及び酸素原子の原子数を表す。ただし、a、b及びcの比率は、a=12のとき、b=0.5〜10、c=0〜15であり、xは、酸素原子以外の元素の酸化状態によって定まる数値である。)で表される組成を有する
ことを特徴とするメチルベンゼン類酸化用触媒。 - 耐火性無機担体上に担持させてなる
ことを特徴とする請求項1記載のメチルベンゼン類酸化用触媒。 - メチルベンゼン類を分子状酸素の存在下に気相酸化して対応する芳香族アルデヒドを製造する方法であって、
請求項1又は2のいずれかに記載のメチルベンゼン類酸化用触媒を使用する
ことを特徴とする芳香族アルデヒドの製造方法。 - フタルアルデヒド類を水素添加してシクロヘキサンジメタノールを製造する方法であって、
該フタルアルデヒド類がメチルベンゼン類をキシレンとして請求項3記載の芳香族アルデヒドの製造方法により得られるものである
ことを特徴とするシクロヘキサンジメタノールの製造方法。
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