JP3736694B2 - 蓄熱式バーナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱動作時の高温の廃ガスからパイロットバーナを保護することが可能な蓄熱式バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄熱式バーナとして、例えば特開平6−193837号公報に記載された蓄熱式ラジアントチューブバーナが知られている。
【0003】
この蓄熱式ラジアントチューブバーナは、図4に示すように、周壁に複数の穴2aを形成した燃焼筒2と、燃焼筒2の軸線に沿って燃焼筒2側に延在するメインバーナ管4と、メインバーナ管4内に配設されて燃焼筒2の後端開口部に向けて延在するパイロットバーナ6と、メインバーナ管4の外周に配設され、給排気口7から供給される燃焼空気又は燃焼筒2側から吸入される廃ガスと熱交換を行う環状の蓄熱体8とを備えたバーナである。そして、燃焼筒2の後端開口部には、軸方向に給排気穴10aを設けた支持盤10が固定されており、この支持盤10に、前記メインバーナ管4のノズル4aを形成した先端部が支持されている。
【0004】
また、メインバーナ管4内に配設されているパイロットバーナ6は、図5及び図6に示すように、メインバーナ管4の先端ノズル4aまで延在するパイロットバーナ管12と、このパイロットバーナ管12内に同軸に配設されたパイロット燃料ガス供給管14と、パイロットバーナ管12及びパイロット燃料ガス供給管14との間に形成された環状の燃焼空気供給路16と、メインバーナ管4及びパイロットバーナ管12の間に形成した燃料ガス通路18に絶縁碍子19に支持された状態でパイロットバーナ管12の外周に沿って延在する点火用電極20と、この点火用電極20と接続してパイロットバーナ管12内に突出する点火兼火炎検出用ピン電極22とを備えている。そして、点火用電極20は管状の絶縁碍子24に被覆されてとともに、ピン電極22はパイロットバーナ管12に固定された絶縁碍子26により支持されている。
【0005】
そして、この蓄熱式ラジアントチューブバーナは、図4に示すように、加熱炉26内に配設したラジアントチューブ28に燃焼筒2が同心的に接続されている。なお、符号29で示す燃焼筒2の外周に近接した位置に配設されている部材は、セラミックス製の保護筒である。
【0006】
上記構成の蓄熱式ラジアントチューブバーナによると、パイロットバーナ6がメインバーナ管4内に配設されたことにより、このバーナが蓄熱動作を行う際に、ラジアントチューブ28側から蓄熱体8を通過する高温の廃ガスにパイロットバーナ6が直接接触しないので、熱影響による劣化を防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、蓄熱動作の際には、蓄熱体8を外周に配設しているメインバーナ管4も高温状態となるが、メインバーナ管4の内周面に点火用電極20を被覆している絶縁碍子20が近接した位置に配設されると、絶縁碍子20も高温状態となって絶縁性が低下してしまい、点火用電極20の短絡を引き起こすおそれがある。
【0008】
そこで、メインバーナ管4の内周面から絶縁碍子20が離れた位置となるように、メインバーナ管4の管径Dを大きくすることが考えられるが、そうすると、メインバーナ管4の外周に配設される蓄熱体8の設置空間を小さく設定しなければならず、蓄熱効率が低下した蓄熱式バーナとなる。
【0009】
そこで、本発明は、上記先行技術の未解決の課題に着目してなされたものであり、パイロットバーナの点火用電極の短絡を防止すると同時に、高効率の蓄熱動作を行うことが可能な蓄熱式バーナを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、燃焼筒と、この燃焼筒に向けて延在して燃焼筒の後端部で開口し、当該燃焼筒内に燃料流体を供給するメインバーナ管と、このメインバーナ管の外周側の燃焼空気通路に配設され、燃焼動作時に燃焼空気と熱交換を行い且つ蓄熱動作時に廃ガスと熱交換を行う蓄熱体と、前記燃焼動作時にパイロット火炎を発生するパイロットバーナとを備えた蓄熱式バーナにおいて、前記メインバーナ管内に、パイロット用燃焼空気を供給するパイロットバーナ管を配設し、このパイロットバーナ管内に、パイロット用燃料流体を供給するパイロット燃料流体供給管を配設し、先端部電極のみを前記パイロットバーナ管内に露出し、且つ他の外周部分を第1絶縁体で被覆した棒状の点火用電極を、前記パイロット燃料流体供給管内に配設して前記パイロットバーナを構成した。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の蓄熱式バーナにおいて、前記点火用電極の外周を被覆した第1絶縁体を、パイロット燃料流体供給管内に配設した第2絶縁体の支持により前記パイロット燃料流体供給管と軸線が一致する位置に配設し、この第1絶縁体により前記パイロット燃料流体供給管内に環状の燃料流体通路を形成した。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の蓄熱式バーナの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図4から図6に示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0013】
図1及び図2は、メインバーナ管4に内装されたパイロットバーナ30を示すものである。
すなわち、メインバーナ管4内の先端部には、軸心位置に貫通穴32aを形成し、貫通穴32aの周囲に複数の燃料ガス通過口32bを形成した支持盤32が配設されている。また、メインバーナ管4内には、先端部の保炎筒34aを貫通穴32aに通して軸線を一致させた状態でパイロットバーナ管34が配設されている。これにより、メインバーナ管4及びパイロットバーナ管34の間に形成した環状空間が燃料ガス通路36とされ、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスが、燃料ガス通路36、燃料ガス通過口32b及びノズル4aを通過して燃焼筒2内に噴射する。
【0014】
また、パイロットバーナ管34の保炎筒34aの後端側内部には、軸心位置に電極挿通穴38aを形成し、電極挿通穴38aの周囲にノズル38bを形成した保炎端壁38が配設されている。また、この保炎端壁38より後端側のパイロットバーナ管34内に、このパイロットバーナ管34と軸線を一致させてパイロット燃料ガス供給管(パイロット燃料流体供給管)40が配設されている。これにより、パイロットバーナ管34及びパイロット燃料ガス供給管40の間に形成した環状空間が燃焼空気通路42とされ、この燃焼空気通路42に、図示しない燃焼空気供給源から燃焼空気が供給される。
【0015】
そして、本実施形態では、パイロット燃料ガス供給管40内に点火用電極44が配設されている。この点火用電極44の先端部(先端部電極)44aは、保炎端壁38の電極挿通穴38aを通過して保炎筒34a内に僅かに突出しているとともに、先端部44a以外のパイロット燃料ガス供給管40内に延在する電極部分は、管状の絶縁碍子(第1絶縁体)46で被覆されている。そして、管状の絶縁碍子46により被覆された点火用電極44は、パイロット燃料ガス供給管40の内周面に当接して径方向内方に延在する複数の三叉形状の絶縁碍子(第2絶縁体)48に支持され、パイロット燃料ガス供給管40と軸線を一致させた状態で配設されている。これにより、パイロット燃料ガス供給管40及び環状の絶縁碍子46の間に形成した環状空間が燃料ガス通路(燃料流体通路)50となり、この燃料ガス通路50に、図示しない燃料ガス供給源から燃料ガスが供給される。
【0016】
次に、図3に示すものは、上記構成の蓄熱式バーナを一対備えた(以下、符号A、Bで示す)蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置を示すものである。この装置の切換弁52、54が図示の切換位置に作動すると、一方の蓄熱式バーナAが燃焼動作を行い、他方の蓄熱式バーナBが蓄熱動作を行う。
【0017】
そして、蓄熱式バーナAのパイロットバーナ30は、燃料ガス通路50から保炎筒34a内に供給された燃料ガスが、燃焼空気通路42から保炎筒34a内に供給された燃焼空気と混合し、点火用電極44の先端部44aのスパークにより燃焼してパイロット火炎を発生する。そして、燃焼ガス導管56を介して蓄熱式バーナAのノズル4aから噴出する燃料ガスが、燃焼空気導管58から蓄熱式バーナAの蓄熱体8を通過して燃焼筒2内に供給された一次燃焼空気と混合し、パイロットバーナ30のパイロット火炎により着火されて、燃焼筒2内で一次燃焼を行う。一次燃料ガスの一部は、燃焼筒2の穴2aを通過して燃焼筒2と保護筒29との間の環状空間へ噴出するとともに、燃焼筒2の外周に沿って供給される二次燃焼空気により二次燃焼し、この二次燃料ガスを含む二次燃焼空気は、燃焼筒2のノズルから噴出する一次燃料ガスの残部を二次燃焼させる。
【0018】
この蓄熱式バーナAの燃焼動作により生ずる廃ガスは、ラジアントチューブ28を通過する間に放熱して加熱炉26内を加熱する。そして、廃ガスは蓄熱式バーナBへ入り、熱交換により蓄熱体8を加熱した後、燃焼空気導管60及び切換弁52を通過して 排気ファン62により排気される。
【0019】
そして、所定時間後に切換弁52、54が逆の切換位置に作動すると、一方の蓄熱式バーナAが蓄熱動作を行い、他方の蓄熱式バーナBが燃焼動作を行う。
ここで、蓄熱式バーナA、Bの一方が蓄熱動作を行う際には、蓄熱体8が廃ガスとの熱交換により高温状態となるので、この蓄熱体8を外周に配設しているメインバーナ管4も高温状態となる。ところが、本実施形態のパイロットバーナ30の点火用電極44は、管状の絶縁碍子46に被覆された状態でパイロット燃料ガス供給管40内に配設されており、このパイロット燃料ガス供給管40内を流れる燃料ガスにより常に冷却されているので、メインバーナ管4からの熱影響によって管状の絶縁碍子46の絶縁性が低下することがなく、点火用電極20は短絡することがない。
【0020】
また、点火用電極44を被覆している管状の絶縁碍子46は、パイロット燃料ガス供給管40内に配設された三叉形状の絶縁碍子48に支持され、環状の燃料ガス通路50を形成しており、管状の絶縁碍子46の全周に燃料ガスが接触するので、管状の絶縁碍子46の冷却を効率良く行うことができる。
【0021】
そして、管状の絶縁碍子46に被覆された点火陽電極44を、パイロット燃料ガス供給管40内に配設したことによって、メインバーナ管4の管径Dを大きくせずに通常の径に設定することができ、メインバーナ管4の外周に配設される蓄熱体8の設置空間が狭くならず、蓄熱効率が低下しない蓄熱式バーナを提供することができる。
【0022】
なお、本実施形態では蓄熱式ラジアントチューブバーナについて説明したが、他の形式の蓄熱式バーナであっても適用し得るものである。
また、パイロット燃料ガス供給管40内において、点火用電極44を被覆した管状の絶縁碍子46を支持する絶縁体として三叉形状の絶縁碍子48を使用したが、環状の燃料ガス通路50を形成する部材であれば、他の形状の絶縁体を使用しても同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の蓄熱式バーナは、蓄熱動作の際に蓄熱体が廃ガスとの熱交換により高温状態となると、この蓄熱体を外周に配設しているメインバーナ管も高温状態となるが、本発明のパイロットバーナの点火用電極は、第1絶縁体に被覆された状態でパイロット燃料流体供給管内に配設されており、このパイロット燃料流体供給管内を流れる燃料流体により常に冷却されるので、メインバーナ管からの熱影響によって第1絶縁体の絶縁性が低下することがなく、点火用電極の短絡を防止することができる。
【0024】
また、第1絶縁体に被覆された点火陽電極を、パイロット燃料流体供給管内に配設したことによって、メインバーナ管の管径を大きくせずに通常の径に設定することができ、メインバーナ管の外周側に配設される蓄熱体の設置空間が狭くならず、蓄熱効率が低下しない蓄熱式バーナを提供することができる。
【0025】
また、請求項2記載の蓄熱式バーナは、請求項1記載の効果に加えて、点火用電極を被覆した第1絶縁体が、パイロット流体供給管内に配設した第2絶縁体に支持されてパイロット流体供給管と軸線が一致する位置に配設され、パイロット燃料流体供給管内に環状の燃料流体通路を形成したので、第1絶縁体の全周に燃料流体が常に接触する。これにより、第1絶縁体の冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイロットバーナの軸線に沿う断面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】本発明の蓄熱式バーナを使用した蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置を示す概略図である。
【図4】蓄熱式バーナの全体構造を示す軸線に沿う断面図である。
【図5】蓄熱式バーナに配設された従来のパイロットバーナを示す軸線に沿った断面図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視図である。
【符号の説明】
2 燃焼筒
4 メインバーナ管
8 蓄熱体
30 パイロットバーナ
34 パイロットバーナ管
40 パイロット燃料ガス供給管(パイロット燃料流体供給管)
42 燃焼空気通路
44 点火用電極
44a 点火用電極の先端部(先端部電極)
46 管状の絶縁碍子(第1絶縁体)
48 三叉形状の絶縁碍子(第2絶縁体)
50 燃料ガス供給通路(環状の燃料流体通路)
Claims (2)
- 燃焼筒と、この燃焼筒に向けて延在して燃焼筒の後端部で開口し、前記燃焼筒内に燃料流体を供給するメインバーナ管と、このメインバーナ管の外周側の燃焼空気通路に配設され、燃焼動作時に燃焼空気と熱交換を行い且つ蓄熱動作時に廃ガスと熱交換を行う蓄熱体と、前記燃焼動作時にパイロット火炎を発生するパイロットバーナとを備えた蓄熱式バーナにおいて、
前記メインバーナ管内に、パイロット用燃焼空気を供給するパイロットバーナ管を配設し、このパイロットバーナ管内に、パイロット用燃料流体を供給するパイロット燃料流体供給管を配設し、先端部電極のみを前記パイロットバーナ管内に露出し、且つ他の外周部分を第1絶縁体で被覆した棒状の点火用電極を、前記パイロット燃料流体供給管内に配設して前記パイロットバーナを構成したことを特徴とする蓄熱式バーナ。 - 前記点火用電極の外周を被覆した第1絶縁体を、パイロット燃料流体供給管内に配設した第2絶縁体の支持により前記パイロット燃料流体供給管と軸線が一致する位置に配設し、この第1絶縁体により前記パイロット燃料流体供給管内に環状の燃料流体通路を形成したことを特徴とする請求項1記載の蓄熱式バーナ。
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