JP3736576B2 - 紫外線重合型粘着剤組成物及び両面粘着テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、両面粘着テープに関し、特に、増粘した紫外線重合型粘着剤組成物を紫外線により重合した両面粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素数4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、これと共重合可能なエチレン性不飽和結合基を含有する化合物、多官能オリゴアクリレート、及び光重合開始剤からなる紫外線重合型粘着剤組成物を塗工可能な粘度に増粘する場合、つぎの方法が一般に行われている。
1.紫外線重合型粘着剤組成物の一部を反応釜で予備重合して塗工可能な粘度に増粘する。
2.紫外線重合型粘着剤組成物に相溶するポリマーを溶解する方法。
3,特公平2−50145に記載の疏水性シリカ微粉を加えて増粘する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の方法で増粘した中空の微粒子を分散した紫外線重合型粘着剤組成物においては、比重が小さい中空の微粒子が前記粘着剤組成物の表面に浮き上がり、層を形成するので攪拌しながら塗工する必要があった。
ポリマーを溶解させて増粘した紫外線重合型粘着剤組成物では、中空の微粒子が分離してポリマーが析出し、いくら攪拌しても元の均一な溶液に戻らない傾向がある。
疏水性シリカ微粉で増粘したものは、中空微粒子を分離しないが、粘着剤の凝集力が上昇して粘着性が低下するという問題がある。
【0004】
〔本発明の目的〕
中空の微粒子を分散した、圧縮及び復元性のよいフォーム状粘着テープを製造するための安定性のよい紫外線重合型粘着剤組成物を得ることである。
【0005】
本発明者等はこの問題を解決すべく鋭意研究した結果、ベントナイトの主成分の一つであるモンモリロナイトの有機塩基複合体で増粘した紫外線重合型粘着剤組成物は中空微粒子が安定に分散されることを見出した。
【0006】
モンモリロナイトはスメクタイト群粘土鉱物の一つで、含水珪酸アルミニウムの一種である。単位結晶層に存在するカチオンを脂肪族アミン化合物のような有機塩基で置換してやると親油性の増粘剤となり、ルーセントSAN(コープケミカル社)及びオルガナイト(豊潤洋行社)等が市販されている。
【0007】
圧縮及び復元性のよいフォーム状粘着テープを得るために使用する弾性を有する中空微粒子はモノマーに溶解せず、耐熱性のあるのが望ましい。
例えば、メタクリロニトリル−アクリロニトリル共重合樹脂を壁材にしたExpancel 091DE(Novel Indastries社)が好適に使用できる。
【0008】
〔紫外線重合型粘着剤組成物〕
本願に用いる紫外線重合型粘着剤組成物は、炭素数4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、これと共重合可能なエチレン性不飽和結合基を含有する化合物、多官能オリゴアクリレート、及び光重合開始剤からなる紫外線重合型モノマー組成物に、弾性を有する中空微粒子を10〜50容量%及びスメクタイト群粘土鉱物を5〜20重量%混合分散して調製する。
【0009】
アルキル基の炭素数が4〜14個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3,5,5トリメチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エトキシ(メタ)アクリレート、ブトキシ(メタ)アクリート、フェノキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートから選んでもよい。
【0010】
前記共重合可能なエチレン性不飽和結合基を含む単量体は次の各群から少なくとも一種を選んで使用する。
(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ−ト、グリシジル(メタ)アクリ−ト等の極性基を有する単量体からなる群。
【0011】
多官能オリゴアクリレ−トは分子量300で、主鎖間に炭素を10個以上含むものが好ましい。例えば、エンネアエチレングライコ−ルジアクリレ−ト(新中村化学工業社製、NKエステルA−400等)、テトラデカエチレングライコ−ルジアクリレ−ト(新中村化学工業社製、NKエステルA−600等)のポリアルキレングライコ−ルのジアクリレ−ト、エチレンオキサイド変性ビスフェノ−ルAジアクリレ−ト(共栄社油脂化学工業社製、BP−4EA等)、プロピレンオキサイド変性ビスフェノ−ルAジアクリレ−ト(共栄社油脂化学工業社製、BP4PA等)、エチレンオキサイド変性トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト(共栄社油脂化学工業社製、TPM−6EO−3A等)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグライコ−ルジアクリレ−ト(日本化薬工業社製、KAYARAD MANDA等)及びその誘導体(日本化薬工業社製、KAYARAD HX−220、KAYARAD HX−620等)などがあげられる。また、オリゴエステルアクリレ−トやオリゴウレタンアクリレ−トも使用できる。
【0012】
光重合開始剤は、アセトフェノン系又はベンゾイン系のものが最適で、例えば一般に市販されている4−フェノキシジシクロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインイソブチル−テル、ベンジルジメチルケタ−ル等やこれらの混合物があげられる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例に基づき具体的に説明する。
〔実施例1〕
2−エチルヘキシルアクリレ−ト920g、アクリル酸80g、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグライコ−ルジアクリレ−ト(日本化薬工業社製、KAYARAD MANDA等)150g、光重合開始剤2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン1−オン(ダロキュア1173、メルク社製)を1.5gを混合後、Expancel 091DE(平均粒径60〜80μm、真密度0.025g/cm3 の中空微粒子)を25g、更にスメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSAN 50gを攪拌しながら徐々に添加し、クリーム状の粘調な紫外線重合型粘着剤組成物を得た。
【0014】
前記紫外線重合型粘着剤組成物の粘度を、25℃でB型粘度計で測定したところ、20回転/分の回転数では6250cps、2回転/分の回転数では20000cpsであった。
以下に表示する粘度は全て、25℃、20回転/分の回転数で測定した値である。
この紫外線重合形粘着剤組成物を10時間静置しても、中空微粒子のExpancel 091DEの分離は認められなかった。
【0015】
次に、厚さ50μmの透明ポリエステル(PET)フィルムの両面をシリコン系離型剤で両面処理した剥離基材の片面に、補強基材(厚さ約20μmの不織布ナプキンB2 大福製紙(株))を載置し、その上に前記紫外線重合形粘着剤組成物を約0.7mmの厚さに塗工した。
更に、その上に、片面をシリコ−ンではく離処理した厚さ50μm の透明なPETフィルムを積層し、2本のロ−ル間で圧縮し、粘着剤組成物層の厚さが均一な0.7mmの厚さになるように調節した。
【0016】
次に、捕虫用蛍光ランプ(主波長352nm、0.44mW/cm2 )を60mm間隔で並べ、被照射体に対して200mmの高さから約2.00mW/cm2 の紫外線照射を行えるようにした照射炉の中で、前記積層物の片面剥離処理したPETフィルム側から紫外線を60秒間照射した。更に、高圧水銀ランプ(主波長365nm、出力80W/cm)を使用して、照射強度35.5mW/cm2 で30秒間、紫外線を照射して硬化させた。片面はく離処理した50μm のPETフィルムをはがすことにより、厚さ0.7mmの粘着テ−プを調製した。
【0017】
得られた粘着テ−プの評価を次のように行った。
(1)圧縮復元性
粘着テ−プを厚さ5mmの平らな板に貼付し、剥離基材を除去した粘着テープ表面に、断面積1cm2 、重さ500gfの金属性の円柱を垂直に乗せ、23℃で約30秒間、圧縮した。
粘着テープの圧縮後の厚み及び1時間後に復元した厚みはそれぞれ0.35mmと0.695mmで、復元回復率は97.9%だった。
【0018】
(2)凹凸面に対する接着性
アクリル塗料を塗装した、表面に突起(直径1〜7mm、高さ0.5〜1mm)を有するサイジングボードに、幅20mm、長さ100mmの粘着テープを貼付し、剥離基材を除去後、幅30mm、長さ200mmの50μm厚のAl箔を載置し、約2Kg荷重のローラーを1往復させて圧着した。
【0019】
前記接着物を23℃で48時間放置してから、90度方向に毎分300mmの速度で剥離した。剥離強度は4Kgf/cmで、粘着テープは凹凸面間によく入りこんでおり粘着テープは全面にわたって凝集破壊を示した。
【0020】
(5)接着強度の測定
被着材として、280番の耐水研磨紙で研磨した厚さ2mm、幅30mm、長さ120mmのステンレス板を使用した。
粘着テ−プを幅20mm、長さ100mmに切断して被着材に軽く貼り合わせた後、幅30mm、長さ200mmに切断した厚さ50μm のアルミ箔をバッキング材として約2kgの荷重のロ−ラを1往復させて接着した。
接着後、23℃に48時間放置し、引き剥がし速度300mm/分でアルミ箔を90度方向にはく離した所、4.8kgf/cmのはく離強度を得た。
【0021】
〔実施例2〕
スメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANの配合量を100gにした他は実施例1と同様にして得た紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度は7000cpsで、10時間放置しても中空微粒子の分離はなかった。
実施例1と同様にして得た粘着テープの(1)圧縮復元性及び(2)凹凸面に対する接着性はそれぞれ97.0%及び4.1kgf/cmだった。
【0022】
〔実施例3〕
スメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANの配合量を150gにした他は実施例1と同様にして得た紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度は6250cpsで、10時間放置しても中空微粒子の分離はなかった。
実施例1と同様にして得た粘着テープの(1)圧縮復元性及び(2)凹凸面に対する接着性はそれぞれ98.5%及び4.0kgf/cmだった。
【0023】
〔実施例4〕
スメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANの配合量を200gにした他は実施例1と同様にして得た紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度は35000cpsで、10時間放置しても中空微粒子の分離はなかった。
実施例1と同様にして得た粘着テープの(1)圧縮復元性及び(2)凹凸面に対する接着性はそれぞれ98.0%及び3.9kgf/cmだった。
【0024】
〔実施例5〕
実施例1のスメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANをオルガナイト(豊潤洋行社)に置き換え、配合量を150gにした他は実施例1と同様にして得た紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度は6500cpsで、10時間放置しても中空微粒子の分離はなかった。
実施例1と同様にして得た粘着テープの(1)圧縮復元性及び(2)凹凸面に対する接着性はそれぞれ98.0%及び4.5kgf/cmだった。
【0025】
〔比較例1〕
スメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANの量を20gとした他は、実施例1と同様にして紫外線重合型粘着剤組成物をつくったが、ルーセントSANの量が少なすぎて増粘せず、中空微粒子は5分以内で分離してしまった。
【0026】
【比較例2】
スメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANの量を250gとした以外は、実施例1と同様にして得た紫外線重合型粘着剤組成物はセメントスラリー状の粘調な液となり、中空微粒子は分離しなかったが、実施例1と同様に粘着テープを製造したが筋むら及び気泡が発生し、実用に供せられなかった。。
【0027】
〔比較例3〕
実施例1のスメクタイト群粘土鉱物であるルーセントSANを親水性のモンモリロナイトのナトリウム塩に置き換え、配合量を150gにした他は実施例1と同様にして得た紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度は120cpsで、中空微粒子は5分以内で分離した。
【0028】
〔比較例4〕
2−エチルヘキシルアクリレート920g、アクリル酸80g、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルジアクリレート(KAYARAD MANDA日本火薬(株)1.5gに、アクリルゴム(トアクロンPS220、東亜ペイント(株))30gを加え48時間攪拌して、溶解した。この溶液の粘度は750cpsだった。
更に、光重合開始剤(ダロキュア1173、メルク社)1.25g及びExpancel 091DE)25gを分散させて、粘調なクリーム状の粘着剤組成物を得た。
【0029】
この粘着剤組成物を室温で2時間放置したところ、Expancel 091DEが上部に分離してき、更に3時間放置させると攪拌しても、前記のようなクリーム状の均一な溶液に戻らなかった。
【0030】
〔比較例5〕
2−エチルヘキシルアクリレート920g及びアクリル酸80gに、光重合開始剤(ダロキュア1173、メルク社)0.15gを加え、シャッター装置を有する重合反応装置で予備重合させ、粘度750cpsの溶液を得た。
この溶液に、KAYARAD MANDAを1.5g、ダロキュア1173を1.25g、Expancel 091DEを25g加えて攪拌して粘調なクリーム状の粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物も比較例4と同様に、中空の微粒子が分離し、元の粘調なクリーム状の粘着剤組成物に戻らなかった。
【0031】
〔比較例6〕
実施例1のルーセントSANの代わりに、親水性シリカ(エアロジルR200デグッサ社)を70g配合した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物の粘度は4500cpsだったが、比較例4と同様に、中空の微粒子が分離してしまった。
【0032】
〔比較例7〕
実施例1のルーセントSANを疎水製シリカ(エアロジルR972デグッサ社)に置き換えて、配合量を150gとした以外は同様にして得た粘着剤組成物の粘度は5000cpsで、10時間放置しても中空微粒子は分離しなかった。
この粘着剤組成物から実施例1と同様にして作った粘着テープは、指触による粘着性も乏しく、圧縮・復元率は85.7%であった。
【発明の効果】
モンモリロナイトはスメクタイト群粘土鉱物の一つ、含水珪酸アルミニウムの一種の単位結晶層に存在するカチオンを脂肪族アミン化合物のような有機塩基で置換した親油性の増粘剤、例えばルーセントSAN(コープケミカル社)及びオルガナイト(豊潤洋行社)等を使用することにより、紫外線重合型粘着剤組成物を容易に増粘でき、しかも分離し易い中空微粒子を溶液中に安定に保持できる。

Claims (3)

  1. 剥離基材上に紫外線重合型粘着組成物層が形成されてなる両面粘着テープにおいて、
    上記紫外線重合型粘着組成物層は、炭素数が4から14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、上記アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合基を含有する化合物と、多官能オリゴアクリレートと、メタクリロニトロ−アクリロニトリル共重合樹脂を壁材として弾性を有する中空微粒子と、光重合開始剤とを含有するとともに、親油性のスメクタイト粘土鉱物を添加して増粘され、上記粘土鉱物と上記中空微粒子が重量部で2:1〜8:1の配合比率で配合されている紫外線重合型粘着剤組成物に紫外線を照射して重合された層からなることを特徴とする両面粘着テープ。
  2. 上記親油性のスメクタイト粘土鉱物は、上記(メタ)アクリル酸エステル及び該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合基を含有する化合物100重量部に対して、5〜20重量部配合されることを特徴とする請求項1記載の両面粘着テープ。
  3. 上記親油性のスメクタイト粘土鉱物は、親水性基を有機アミン化合物で置換した親油性のモンモリロナイト有機塩基複合体であることを特徴とする請求項1記載の両面粘着テープ。
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