JP3736285B2 - 免振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は免振装置に関し、とりわけ免振対象物に入力される上下振動成分を効果的に免振することができる免振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
免振装置は、地盤や床などの振動が入力されるベースと、このベース上に設置される建物や精密機器、その他の振動を嫌う設備や装置、物品などの免振対象物との間に、いわゆる長周期化手段を設け、この長周期化手段によって免振対象物側の固有周期をベースに入力される振動の周期よりも長周期化して、ベースから免振対象物へと入力される振動を低減するようになっている。
【0003】
長周期化手段としては、水平振動を免振する場合には積層ゴムなど、また上下振動を免振する場合にはコイルバネや空気バネなどに代表される各種の弾性体が採用されている。またこれら水平免振用と上下免振用の弾性体を組み合わせて、上下、前後、左右の三次元免振を行うように計画された免振装置も知られている。そしてこれら弾性体は、ベース上に免振対象物の重量を支持した状態で設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
地震の揺れは複雑であるが、その中で特に強い波の周期は0.3〜1.0秒程度であり、免振対象物側の固有周期をそれより長くすることによって免振効果を得ることができ、一般には免振対象物側の固有周期を2秒よりも長く設定することが好ましい。
【0005】
従来の免振装置、特にコイルバネや空気バネ等の弾性体を用いた上下免振用の装置にあっては、上述したように弾性体が免振対象物の重量を支持している状態で免振作用を発揮することが求められる。ところで、弾性体に免振対象物の重量を安定的に支持させるためには、当該弾性体には相当の硬さ(剛性)が必要である。しかしながら、支持性能を満足する剛性を有する弾性体は、その硬さ(剛性)故に免振対象物側の固有周期を2秒以上、つまり長周期化することが困難であり、従って満足のいく効果的な免振性能を得ることができなかった。
【0006】
そこで、上下方向の長周期化を実現する方法として、梃子を用いて免振対象物の重量を弾性体で支持させることが提案されている。つまり、この梃子を利用した免振装置は、梃子の支点をベース側に設けて、その力点を免振対象物に接続するとともに作用点を弾性体に接続し、そして、支点位置を作用点寄りに配置することにより、弾性体の歪み量を免振対象物の上下変位量より小さくして、その分、弾性体に作用する荷重を大きくし、もって硬い(剛性の高い)弾性体を用いて相当の免振作用を確保できるようになっている。
【0007】
ところが、このように梃子を用いた場合は免振対象物の重量や振動荷重によって当該梃子に相当の曲げ変形が発生することが考えられ、特に免振対象物が大重量の建築物である場合には適用が困難であるという課題があった。
【0008】
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、免振対象物とベースとの間の上下相対変位を回転角変位に変換して弾性体に入力するようにして、荷重伝達経路の構造的変形を抑制しつつ上下振動成分に対する長周期化を確保することができる免振装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の免振装置は、振動が入力されるベースと、該ベース上方に設置される免振対象物との間に設けられ、これらベースと免振対象物との間に発生する上下振動を免振するための免振装置において、上記ベースと上記免振対象物との間に、上記ベース又は上記免振対象物の何れか一方に設けられ、これら両者間の上下相対変位によって上下動される雄ねじ体と、上記ベース又は上記免振対象物の何れか他方に回転可能に設けられるとともに、上記雄ねじ体にボールを介して螺合される雌ねじ体とからなるボールねじによって構成され、上記ベースと上記免振対象物との間の上下相対変位を回転角変位に変換する変換機構を設けるとともに、上記雌ねじ体の回転角出力部に伝達部材を巻回して、上記雌ねじ体の回転に追従して繰り出し、巻き取り可能としさらに、前記伝達部材の繰り出し端部に上記免振対象物を弾発支持する弾性体を設けるとともに、該弾性体を前記伝達部材の移動に応じて変形可能としたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ベースと免振対象物との間の上下相対変位を変換機構で回転角変位に変換し、さらに伝達部材を介して弾性体に入力して当該弾性体により免振対象物を上下免振支持するようにしていて、この際、変換機構においては従来の梃子のような曲げ変形を伴うことなく荷重を伝達することができ、荷重伝達経路の構造的変形を抑制しつつ上下振動に対する免振対象物の長周期化を確保することができる。
【0012】
この構成によれば、ベースと免振対象物との間の上下相対変位によって雄ねじ体が上下動されると、この雄ねじ体の上下動がボールを介して雌ねじ体に伝達され、これによって雌ねじ体が回転されることとなり、送りねじ機構の中でも高効率なボールねじ機構によって上下相対変位に伴う荷重を、相当の回転力を伴う回転角変位に効率よく変換することができる。
【0017】
また、上記伝達部材がケーブルであることを特徴とする。
【0018】
この構成にあっては、回転角出力部と弾性体とをケーブルで接続するようにしていて、張力に対して好ましく適用できる当該ケーブルで荷重伝達を行うようにしたので、上下相対変位に伴う雄ねじ体の上下移動荷重と、弾性体からの弾発力との双方が張力として作用する荷重伝達経路を好適に構成でき、大きな荷重であってもこれを確実に伝達することができる。
【0019】
更にまた、上記弾性体は、ばね変形量に対して弾発力の変動が小さな非線形ばね領域で上記免振対象物を支持するように設定された皿ばねであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、免振対象物とベースとの上下相対変位に従うばね変形量に対してほぼ一定の弾発力で免振対象物を弾性支持でき、ばね変形量に従って弾発力が増減する線形ばね領域で支持する場合に比べて免振対象物側の上下固有周期を安定的に長周期側に設定することができる。
【0021】
また、上記ベースと上記免振対象物との上下相対変位に応答して上記弾性体の弾性変形を助長する変位増幅手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、変位増幅手段により弾性体の弾性変形が助長されるため、免振対象物の重量を支持すべく剛性高く設定される弾性体であってもこれを十分に変形させることが可能となり、上下振動に対する免振対象物側の固有周期を効果的に長周期化することができて有効な免振作用を確保することができる。
【0023】
更に、上記変位増幅手段は、上記ベースもしくは上記免振対象物のいずれか一方と上記伝達部材との間に圧縮状態で配置され、該伝達部材の移動で自然長に復元すべく伸長する付勢手段であることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、ベースと免振対象物との間の上下相対変位に伴って伝達部材が移動すると、圧縮状態の付勢手段は自然長に復元するように伸長し、この伸長時の付勢力が伝達部材の移動を助長する。これにより、弾性体への入力荷重が増大されて当該弾性体をさらに変形させることができ、免振対象物側の固有周期の更なる長周期化を簡単に達成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の免振装置の実施形態を図1〜図4を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態の免振装置を水平免振を含めた三次元免振装置として示す概略側面断面図、図2は同三次元免振装置の上部基礎の概略底面図、図3は変換機構として用いたボールねじの螺旋溝の要部拡大断面図、図4はボールねじの螺旋溝に嵌合されたボールに作用する分力を示す説明図である。
【0026】
本実施形態は基本的には、振動が入力されるベースとしての上部基礎3と、上部基礎3上方に設置される免振対象物としての建築物4との間に設けられ、これら上部基礎3と建築物4との間に発生する上下振動を免振するための免振装置において、上部基礎3と建築物4との間に、これら両者間の上下相対変位を回転角変位に変換する変換機構としてのボールねじ8を設けるとともに、ボールねじ8の回転角出力部9にその回転角変位に応じて移動される伝達部材としてのケーブル10を介して、建築物4を弾発支持する弾性体としての皿ばね11を連結して構成される。
【0027】
ボールねじ8は、上部基礎3もしくは建築物4のいずれか一方に設けられ、これら両者間の上下相対変位によって上下動される雄ねじ体12と、上部基礎3もしくは建築物4のいずれか他方に設けられ、雄ねじ体12にボール14を介して螺合される雌ねじ体13とからなる。ボールねじ8は、大きな上下相対変位を小さな回転角変位に変換する長リードで構成されている。ボールねじ8は雌ねじ体13の外周に回転角出力部9を備えるとともに、回転角出力部9は、その回転角変位を小さな移動変位でケーブル10に伝達するために小径に形成されている。皿ばね11は、ばね変形量に対して弾発力の変動が小さな非線形ばね領域で建築物4を支持するように設定されている。
【0028】
上部基礎3と建築物4との上下相対変位に応答して皿ばね11の弾性変形を助長する変位増幅手段として圧縮コイルばね21が備えられている。圧縮コイルばね21は、上部基礎3もしくは建築物4のいずれか一方とケーブル10側の部材との間に圧縮状態で配置され、ケーブル10の移動で自然長に復元すべく伸長するようになっている。
【0029】
即ち、本実施形態の免振装置1は図1、図2に示すように免振対象物としての建築物4を地震などから保護する場合を例にとって示し、特に本実施形態では上下振動のみならず前後、左右の水平振動をも免振する三次元免振装置として構成された場合を示す。
【0030】
上記免振装置1では、上下振動成分および水平振動成分を含む地震などの振動が入力される鉄筋コンクリート製の基礎2の上方には、ベースとしての鉄筋コンクリート製の上部基礎3が構築されるとともに、この上部基礎3の上方には免振対象物としての建築物4が構築され、この建築物4は上部基礎3を介して基礎2上に設けられる。これら基礎2と上部基礎3との間には、建築物4および上部基礎3の重量を支持しつつ水平振動を免振するための水平免振装置5が設けられるとともに、上部基礎3と建築物4との間には、建築物4の重量を支持しつつ上下振動を免振するための上下免振装置6が設けられる。
【0031】
水平免振装置5は、基礎2と上部基礎3との間に複数の積層ゴム7を互いに間隔を隔てて設けることにより構成される。積層ゴム7は、その上下端部がそれぞれ上部基礎3および基礎2に一体的に固定して設けられ、建築物4および上部基礎3の重量を負担した状態で建築物4側の上部基礎3を基礎2に対して水平相対移動可能に弾性支持することにより、基礎2から伝達される水平振動で水平方向に弾性変形して当該水平振動を免振するようになっている。
【0032】
一方、上下免振装置6は、上部基礎3と建築物4との間に変換機構としてのボールねじ8を設け、該ボールねじ8の回転角出力部9に伝達部材として可撓性を有するケーブル10を巻回し、このケーブル10の繰り出し端部に上記建築物4の弾発支持力を付加する弾性体としての皿ばね11を連結して構成される。
【0033】
上記ボールねじ8は、上下方向に配置される雄ねじ体12と、この雄ねじ体12に嵌合されて上部基礎3に回転自在に支持される雌ねじ体13と、図3に示すように雄ねじ体12に形成された螺旋溝12aおよびこれに対応して雌ねじ体13に形成された螺旋溝13a間に配置される多数のボール14と、を備える。
【0034】
上記螺旋溝12a、13aの傾きは雄ねじ体12の中心軸に近づく方向に大きく傾斜されて上記ボールねじ8を大リード循環式として構成し、雄ねじ体12の上下運動を雌ねじ体13の回転運動に変換する。ここで、該雄ねじ体12の上端部は建築物4の下側に一体的に固定され、上部基礎3と建築物4との上下相対変位によって、該雄ねじ体12は雌ねじ体13に対して相対的に上下移動されることになり、これによって後述するように雌ねじ体13に回転角変位が発生される。また、複数の雄ねじ体12はそれぞれに発生する回転モーメントを打ち消すために、隣接されるもの同士の螺旋溝12aの旋回方向を相互に逆向きとして形成してある。勿論、これによって雌ねじ体13の螺旋溝13aも隣接されるもの同士で逆向きとなる。
【0035】
雌ねじ体13は、上部基礎3の開口部にラジアルベアリング15を介して回転自在に支持されるとともに、スラストベアリング16を介して軸荷重が支持される。また、雌ねじ体13の下端部には、上部基礎3の下側から突設して上記回転角出力部9が一体に形成される。該回転角出力部9はドラム状に形成されて上記ケーブル10が巻回される。
【0036】
上記回転角出力部9から繰り出されるケーブル10は上部基礎3の下面と平行に延長され、その端部は上記皿ばね11の支持壁17を貫通してばね受け板18に結合される。該ばね受け板18は上部基礎3の下面に設けたレール19に沿って移動が案内され、このばね受け板18と上記支持壁17との間に上記皿ばね11が圧縮された状態で保持される。このとき、該皿ばね11は複数枚を用いて構成され、図示例では隣接する皿ばね11を逆向きに突き合わせた状態が示されており、これら皿ばね11の中心開口を貫通して上記ケーブル10が挿通されている。従って、上記建築物4の荷重はボールねじ8およびケーブル10を介して皿ばね11に入力され、この皿ばね11によって建築物4が弾性支持されることになる。
【0037】
ここで、上記皿ばね11は、荷重−歪み特性が非線形ばね領域となる変形領域、つまり、歪み変化に対して弾発力の変動が小さくなる領域、換言すれば弾発力の変動が略一定となる領域で用いられる。すなわち、皿ばね11は建築物4の静荷重を支持するに十分な剛性で設定されるが、本実施形態ではさらに、建築物4の静荷重がプリロードとして皿ばね11を圧縮した際に、該皿ばね11が非線形ばね領域に設定されるようにチューニングされ、建築物4の弾性支持が皿ばね11の非線形ばね領域で行われるようになっている。
【0038】
上記ばね受け板18の支持部材となる上部基礎3の下側には、該ばね受け板18の両側に適宜間隔を設けて支持壁20を設け、これらばね受け板18と支持壁20との間に、入力振動に応答した該ばね受け板18の移動に伴って上記皿ばね11の弾性変形を助長する変位増幅手段としての圧縮コイルばね21を設けてある。
【0039】
上記圧縮コイルばね21は、皿ばね11が建築物4の静荷重を支持した状態にあるとき、該ばね受け板18の移動方向、つまりレール19の配置方向に対して直角となるように配置されるとともに、該ばね受け板18と上記支持壁20との間に圧縮状態で取付けられる。該圧縮コイルばね21の両端部はばね受け板18および支持壁20にピン結合22され、該ばね受け板18の移動に伴って傾斜されるようになっている。
【0040】
以上の構成により本実施形態の三次元機能を有する免振装置1にあっては、水平振動成分および上下振動成分を含む地震などが基礎2に入力されると、水平振動成分については水平免振装置5が、また上下振動成分については上下免振装置6がそれぞれ免振作用を発揮する。即ち、水平振動成分および上下振動成分を含む地震などの振動が基礎2に入力されると、積層ゴム7によって水平振動成分が免振され、また上下振動成分がボールねじ8から皿ばね11に至る上下免振装置6によって免振される。
【0041】
即ち、上部基礎3に入力された上下振動成分によって、この上部基礎3と建築物4との間に上下相対変位が生ずると、これに伴って雄ねじ体12が雌ねじ体13に対して相対的に上下移動し、この雄ねじ体12の上下動がボール14を介して雌ねじ体13に伝達される。このとき、図4に示すように該ボール14には、雄ねじ体12が上下動、例えば下方に移動する場合に、雌ねじ体13の螺旋溝13aに規制されて反力Prが発生し、この反力Prに対して螺旋溝13aの傾きに応じた水平方向の分力Pcが発生し、この分力Pcの反力が回転モーメントとなって雌ねじ体13を回転する。また、雄ねじ体12が上方に移動する場合には、同様にして逆方向の水平分力が発生され、雌ねじ体13を逆方向に回転する。
【0042】
このとき、上記螺旋溝12a、13aの傾きを大きく、つまり雄ねじ体12の軸方向に近づく方向に螺旋溝12a、13aを傾けて大リード循環式とすることによって、上記反力Prに対する水平分力Pcをより大きくすることができ、これによって雌ねじ体13により大きな回転力を発生させることができる。また、このことは該回転力が増大した分、雄ねじ体12の上下相対変位量に対する雌ねじ体13の回転角変位量が小さくなり、回転角出力部9に巻回されたケーブル10の巻取り・繰り出し量が少なくなる。つまり、建築物4の上下相対変位量に対して、ケーブル10の繰り出し部分の移動量を小さくしつつ、該ケーブル10に作用する張力を増大させることができて、あたかも梃子と同様の機能を発揮させることができる。
【0043】
また、このようにボールねじ8により梃子と同様な作用を得るようにしたので、荷重の伝達経路における変形を抑制して、建築物4と皿ばね11との間で荷重伝達効率が低下するのを防止することができる。更に、ボールねじ8を用いたことにより、上部基礎3と建築物4との間の上下相対変位をスムーズに回転角変位に変換することができる。
【0044】
更に、上記ボールねじ8の雌ねじ体13に大きな回転力を発生させることができる一方、回転角出力部9に巻回されたケーブル10の繰り出し部分の端部には皿ばね11の大きな弾発力が作用する。このため、上記雌ねじ体13と上記回転角出力部9との間には大きなねじり変形力が作用することになるが、回転角出力部9がその回転角変位を小さな移動変位でケーブル10に伝達するために小径に形成されているので、当該部分のねじれ角を小さくして荷重伝達経路の応答性を高めることができる。
【0045】
そして、上記ケーブル10の繰り出し部分に作用する荷重は、これの先端部分のばね受け板18を介して皿ばね11に入力され、この皿ばね11の弾発力をもって該皿ばね11から上記建築物4に至る一連の振動系が構成される。
【0046】
従って、このように構成される振動系では、上部基礎3と建築物4との間の上下相対変位が皿ばね11に小さな歪み量で、かつ大きな荷重で入力されて、該皿ばね11を十分に弾性変形させることができる。従って、大重量の建築物4の静荷重を支持するために皿ばね11の剛性を大きく設定してあるにもかかわらず、該建築物4側の上下振動の固有周期を2.0秒以上に長周期化することが可能となり、上下振動成分を効果的に免振することができる。
【0047】
また、回転角出力部9と皿ばね11とをケーブル10で接続するようにしていて、張力に対して好ましく適用できる当該ケーブル10で荷重伝達を行うようにしたので、上下相対変位に伴う雄ねじ体12の上下移動荷重と、皿ばね11からの弾発力との双方が張力として作用する荷重伝達経路を好適に構成でき、大きな荷重であってもこれを確実に伝達することができる。
【0048】
また、本実施形態では上記ケーブル10に結合されたばね受け板18と、これの両側に設けられた支持壁20との間に圧縮状態で設けられた圧縮コイルばね22は、上記ばね受け板18が建築物4の静荷重を支持した状態にあるとき、該ばね受け板18の移動方向に対して直角に配置されて該圧縮コイルばね22の圧縮状態が維持されている。この状態から上部基礎3と建築物4との間に上下相対変位が生じてばね受け板18が移動すると、上記圧縮コイルばね22は支持壁20側のピン結合22点を中心として傾斜する。すると、圧縮コイルばね22は圧縮の規制状態が解除されて自然長に復元するように伸長し、この伸長時の付勢力によってばね受け板18の移動が更に助長される。このため、上記皿ばね11に作用する荷重が増大されることになり、これによって該皿ばね11をさらに十分に弾性変形させることができて、建築物4の更なる長周期化を達成することができる。
【0049】
更に、上記皿ばね11は歪み変化に対して弾発力の変動が略一定となる非線形ばね領域で建築物4を支持するため、建築物4の上下相対変位により荷重変動がボールねじ8およびケーブル10を介して皿ばね11に入力されてこれを弾性変形させた場合、建築物4の上下相対変位が略一定の弾性力で弾性支持されることになる。このため、ばね変形量に従って弾発力が増減する線形ばね領域で支持する場合に比べて建築物4側の上下固有周期を安定的に長周期側に設定することができる。
【0050】
ところで、本実施形態の免振装置1は三次元免振装置として構成し、基礎2と上部基礎3との間、つまり下方に水平免振装置5を配置し、上部基礎3と建築物4との間、つまり上方に上下免振装置6を配置した場合を開示したが、これら水平免振装置5と上下免振装置6との上下関係を逆に配置しても同様の効果を発揮することができる。この場合は、基礎2がベースとなり、上部基礎3より上方が免振対象物となる。勿論、免振対象物は建築物4に限ることなく、他の構造物や設備または装置若しくは物品などであってもよく、また、本発明では水平免振装置5を設けることなく、少なくとも上下免振装置6のみを設けることによって免振装置1を構成すれば足りる。
【0051】
また、変換機構としてボールねじ8を用いたが、これ以外の上下変位を回転角変位に変換できる機構を用いることもできる。更に、弾性体は皿ばね11に限ることなく、免振対象物を支持するに十分な剛性をもって弾発力を発揮することができる部材、例えばコイルスプリングや板ばねなどであってもよい。更にまた、変換機構の回転角出力部9に巻回される伝達部材は、ケーブル10以外にも回転角出力部9に巻回可能で、容易に伸縮しないひも状体や帯状体であればよい。
【0052】
また、変位増幅手段とした圧縮コイルばね22をばね受け板18に配置したが、これに限ることなく該圧縮コイルばね22の配置部位は、ベースと免振対象物との間の相対変位に連動した部位に配置すればよい。
【0053】
更に、入力振動として地震の場合を例示したが、これ以外にも交通振動や工場の機械振動、更にはその他の上下振動成分を含んだ振動に対しても本発明を適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる免振装置にあっては、ベースと免振対象物との間の上下相対変位を変換機構で回転角変位に変換し、さらに伝達部材を介して弾性体に入力して当該弾性体により免振対象物を上下免振支持するようにしたので、変換機構においては従来の梃子のような曲げ変形を伴うことなく荷重を伝達することができ、荷重伝達経路の構造的変形を抑制しつつ上下振動に対する免振対象物の長周期化を確保することができる。
【0055】
更に、雄ねじ体の上下動を、ボールを介して伝達して雌ねじ体を回転させる、送りねじ機構の中でも高効率なボールねじ機構を採用したので、上下相対変位に伴う荷重を、相当の回転力を伴う回転角変位に効率よく変換することができる。
【0058】
また、回転角出力部と弾性体とをケーブルで接続するようにしたので、張力に対して好ましく適用できる当該ケーブルで荷重伝達を行って、上下相対変位に伴う雄ねじ体の上下移動荷重と、弾性体からの弾発力との双方が張力として作用する荷重伝達経路を好適に構成でき、大きな荷重であってもこれを確実に伝達することができる。
【0059】
更にまた、免振対象物とベースとの上下相対変位に従うばね変形量に対してほぼ一定の弾発力で免振対象物を弾性支持でき、ばね変形量に従って弾発力が増減する線形ばね領域で支持する場合に比べて免振対象物側の上下固有周期を安定的に長周期側に設定することができる。
【0060】
また、変位増幅手段により弾性体の弾性変形を助長するようにしたので、免振対象物の重量を支持すべく剛性高く設定される弾性体であってもこれを十分に変形させることが可能となり、上下振動に対する免振対象物側の固有周期を効果的に長周期化することができて有効な免振作用を確保することができる。
【0061】
更に、ベースと免振対象物との間の上下相対変位に伴って伝達部材が移動すると、圧縮状態の付勢手段は自然長に復元するように伸長し、この伸長時の付勢力によって伝達部材の移動を助長するようにしたので、弾性体への入力荷重が増大されて当該弾性体をさらに変形させることができ、免振対象物側の固有周期の更なる長周期化を簡単に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す三次元免振装置の概略側面断面図である。
【図2】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す三次元免振装置の上部基礎の概略底面図である。
【図3】本発明にかかる免振装置の一実施形態に用いられるボールねじの螺旋溝の要部拡大断面図である。
【図4】本発明にかかる免振装置の一実施形態に用いられるボールねじの螺旋溝に嵌合されたボールに作用する分力を示す説明図である。
【符号の説明】
1 免振装置
2 基礎
3 上部基礎
4 建築物
5 水平免振装置
6 上下免振装置
8 ボールねじ
9 回転角出力部
10 ケーブル
11 皿ばね
12 雄ねじ体
13 雌ねじ体
14 ボール
21 圧縮コイルばね

Claims (5)

  1. 振動が入力されるベースと、該ベース上方に設置される免振対象物との間に設けられ、これらベースと免振対象物との間に発生する上下振動を免振するための免振装置において、
    上記ベースと上記免振対象物との間に、上記ベース又は上記免振対象物の何れか一方に設けられ、これら両者間の上下相対変位によって上下動される雄ねじ体と、上記ベース又は上記免振対象物の何れか他方に回転可能に設けられるとともに、上記雄ねじ体にボールを介して螺合される雌ねじ体とからなるボールねじによって構成され、上記ベースと上記免振対象物との間の上下相対変位を回転角変位に変換する変換機構を設けるとともに、上記雌ねじ体の回転角出力部に伝達部材を巻回して、上記雌ねじ体の回転に追従して繰り出し、巻き取り可能としさらに、前記伝達部材の繰り出し端部に上記免振対象物を弾発支持する弾性体を設けるとともに、該弾性体を前記伝達部材の移動に応じて変形可能としたことを特徴とする免振装置。
  2. 上記伝達部材がケーブルであることを特徴とする請求項1に記載の免振装置。
  3. 上記弾性体は、ばね変形量に対して弾発力の変動が小さな非線形ばね領域で上記免振対象物を支持するように設定された皿ばねであることを特徴とする請求項1又は2に記載の免振装置。
  4. 上記ベースと上記免振対象物との上下相対変位に応答して上記弾性体の弾性変形を助長する変位増幅手段を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の免振装置。
  5. 上記変位増幅手段は、上記ベースもしくは上記免振対象物のいずれか一方と上記伝達部材との間に圧縮状態で配置され、該伝達部材の移動で自然長に復元すべく伸長する付勢手段であることを特徴とする請求項4に記載の免振装置。
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