JP3735915B2 - 樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融時の流動性に優れた樹脂結合型磁石用組成物及び該組成物から得られた磁気特性、機械的強度及びリサイクル性に優れた樹脂結合型磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂結合型磁石は、磁性粉末、該磁性粉末を結合するバインダー及び各種添加剤からなる樹脂結合型磁石用組成物を、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法等を使用して製造する。特に、熱可塑性樹脂をバインダーとして用いた射出成形樹脂結合型磁石は、寸法精度が高く、後仕上げ工程の必要がない。従って、磁石の製造コストを低減することができるという利点もある。この射出成形樹脂結合型磁石は、例えば、ポリアミド等の熱可塑性樹脂と、カップリング剤、滑剤等の各種添加剤と、磁性粉末とからなる組成物を、押出機等を用いて混練した後、ペレット或いは粉末に加工し、これらのペレット等を射出成形機に導入して製造する。このような樹脂結合型磁石に用いる組成物は、磁石の磁気特性を向上させるために、磁性粉末の含有量を極力多くする必要がある。しかし、バインダーとしてポリアミド樹脂を主体としこれに滑剤等の添加剤を配合したものを用いると、磁性粉末の配合量が多くなるほどバインダーに対する磁性粉末の分散性が悪くなる。そして、磁性粉末の分散性が悪くなると組成物の流動性が低下するため、磁性粒子の配向性が悪くなって磁性粉末の増加分に見合った磁気特性の向上がみられない。また、混練に要する動力負荷(混練機のトルク)が増大するだけでなく、成形加工性が悪くなるという問題もある。一方、該組成物の流動性を好適な範囲にするために成形温度を高くすると、得られる磁石の保磁力、磁化等の磁気特性が低下するという問題も生じる。
【0003】
また、使用する磁性粉末に非酸化鉄を含む場合には、該非酸化鉄がポリアミド樹脂に対して活性を示すため、該非酸化鉄とポリアミド樹脂が反応して得られる組成物の流動性が低下するという問題を生じる。さらに、得られた磁石を溶融して樹脂結合型磁石用組成物として再利用する場合には、該組成物の流動性が著しく低下するため、再利用性(以下、リサイクル性という)が悪くなるという問題もある。特に、最近、磁石の高磁性化を図るために使用されている異方性磁場(HA )が50kOe以上の磁性粉末(例えば、NdFeB系磁性粉末、SmFeN系磁性粉末等)にあっては、非酸化鉄を含むため、従来のフェライト系磁性粉末を使用する場合に比較して前記の問題は顕著になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶融時の流動性、成形性に優れ、加熱を伴う混練工程、射出工程を繰り返しても熱分解を起こさない樹脂結合型磁石用組成物、及び該組成物から得られた磁気特性、機械的強度及びリサイクル性に優れた樹脂結合型磁石を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、(A)異方性磁場(HA )が50kOe以上の磁性粉末、並びに
(B)末端カルボキシル基及び末端アミノ基の少なくとも1種が末端封止剤で封止された平均分子量6000〜18000のポリアミド樹脂
を含有する組成物であって、該組成物中の磁性粉末の含有量が70〜97重量%である樹脂結合型磁石用組成物である。
本発明の第二は、前記樹脂結合型磁石用組成物を加熱成形して得られる樹脂結合型磁石である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
本発明の樹脂結合型磁石用組成物(以下、磁石用組成物という)は、前記成分(A)の磁性粉末と、前記成分(B)の平均分子量6000〜18000のポリアミド樹脂を含有する組成物である。
【0007】
(A)磁性粉末
本発明に磁性粉末は、異方性磁場(HA )が50kOe以上であり、具体例としては、例えば、SmCo系磁性粉末、NdFeB系磁性粉末、SmFeN系磁性粉末、或いはNdFeB系磁性粉末又はSmFeN系磁性粉末のFeの一部をCoで置換したもの等が挙げられる。中でも、NdFeB系磁性粉末又はSmFeN系磁性粉末のFeの一部をCoで置換したものは、耐酸化性が優れるので好ましい。これらの磁性粉末は、1種単独で、或いは2種以上を混合して用いてもよく、特に混合磁性粉末は磁気特性のバランスが優れる点で好ましい。
本発明に用いる磁性粉末の平均粒径は0.1〜250μmの範囲にあれば良い。特に、平均粒径が1〜40μmの磁性粉末は、磁石用組成物の流動特性が優れ、得られる磁石の寸法安定性や表面平滑性が優れる点で好ましい。また、得られる磁石の密度を向上させるために、所定の粒度分布の磁性粉末を用いることができ、この場合には平均粒径10μm以下のものが密度の向上効果が大きい点で好ましい。
【0008】
(B)ポリアミド樹脂
(B)成分のポリアミド樹脂は、末端カルボキシル基及び末端アミノ基の少なくとも1種を末端封止剤で封止したものであり、数平均分子量が6000〜18000、好ましくは6000〜14000のものである。この平均分子量が小さ過ぎると十分な機械的強度を有する磁石を得ることができない。また、磁性粉末とポリアミド樹脂の比重差が大きくなるため磁石用組成物中で両成分が分離して該組成物の流動性が低下する。逆に、平均分子量が大き過ぎると磁石用組成物の流動性が著しく低下し、磁気特性が優れた磁石を得ることができない。
【0009】
(1)原料ポリアミド樹脂
(B)成分のポリアミド樹脂を得るための原料ポリアミド樹脂としては、従来より公知のポリアミド樹脂を用いることができ、具体的には、例えば、12−ナイロン、6−ナイロン、8−ナイロン、11−ナイロン、4,6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,8−ナイロン、6,10−ナイロン等が挙げられる。これらは1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。原料ポリアミド樹脂は、耐熱性、機械的強度、弾性、寸法精度、耐油性、耐薬品性、耐候性等の要求される性能により適宣に選択すればよい。特に、機械的強度、寸法精度、コスト及び成形加工性能のバランスに優れ、磁性粉末との親和性が良好な点で、12−ナイロン、6−ナイロン及び6,6−ナイロンが好ましい。
【0010】
(2)末端封止剤
▲1▼ カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有するシロキサン
本発明に用いるカルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有するシロキサンとしては、例えば、3−グリシドキシプロピル基等のエポキシ基を含有する官能基を有するエポキシ変性シリコーン;3−アミノプロピル基等のアミノ基を含有する官能基を有するアミノ変性シリコーン;−(CH2 )n −COOH[但し、nは正の整数である]等のカルボキシル基を含有する官能基を有するカルボキシル変性シリコーン;メルカプトメチル基、3−メルカプトプロピル基等のメルカプト基を含有する官能基を有するメルカプト変性シリコーン;
−C3 H6 O(CH2 CH2 O)n (C3 H6 O)m R[但し、Rは水素原子又はメチル、エチル、プロピル等のアルキル基、n及びmは0又は正の整数である]、−C2 H4 −ph−OH(但し、phはフェニレン基である)等のアルコキシ基又はヒドロキシル基を含有する官能基を有するカルビノール変性シリコーンなどが挙げられる。
【0011】
このようなシロキサンの具体例としては、例えば、1−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、α, ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α, ω−ビス(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α, ω−ビス(メルカプトメチル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α, ω−ビス(3−メルカプトプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、1−(3−ヒドロキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、1−メルカプトメチル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、1−(3−メルカプトプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、分子鎖両末端が3−ヒドロキシプロピル基で停止したジメチルシリコーンオイル等が挙げられる。これらのシロキサンの粘度(25℃)は5000cP以下のものが好ましい。
【0012】
▲2▼ カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有する酸化防止剤
本発明に用いるカルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有する酸化防止剤酸化防止剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル基、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル基等のベンゼン環を構成する炭素原子に結合するヒドロキシル基、及びアルコールを構成するヒドロキシル基から選択される少なくとも1種を含有する官能基を有するフェノール系酸化防止剤;リン酸を構成するヒドロキシル基を有するリン系酸化防止剤;アミノ基又はイミノ基を有するアミン系酸化防止剤;メルカプト基を有するイオウ系酸化防止剤;カルボキシル基又はエステル化されたカルボキシル残基を有するカルボン酸系酸化防止剤などが挙げられる。
【0013】
このような酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジーtert−ブチル−4−メチルフェノール及びその誘導体、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、ヘキサメチレンビス−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;ピペリジン環又はその誘導体からなるヒンダードアミン等のアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0014】
▲3▼ カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有するカップリング剤
本発明に用いる反応性カップリング剤に含有する、カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基としては、例えば、−NH2 、−NHR(但し、Rはメチル、エチル、プロピル等のアルキル基である)、−CO−NH−、
−NH−CO−NH−、−NH−CO−NH2 等の窒素原子に結合する活性水素原子を有する基;グリシジル基等の1,2−エポキシエチル基を有する官能基;メルカプト基;アジド基;下記式:
【0015】
【化4】
で表される基;−NHCN;リン酸を構成するヒドロキシル基などが挙げられる。
【0016】
このような反応性カップリング剤の具体例としては、例えば、p−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)尿素、ジエチルトリメチルシリルアミン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジフェニルシランジオール、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メトキシシリル)プロピル]アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ノナメチルトリシラザン、テトラメチルシクロテトラシラザン、テトラメチルジシラザン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジミン、N−トリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニル尿素等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等のチタン系カップリング剤;アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
【0017】
▲4▼ カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有する界面活性剤
本発明に用いる界面活性剤に含有する、カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、スルホ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、1,2−エポキシエチル基、イソシアナト基、ホスホノ基等が挙げられる。本発明に用いる界面活性剤にはこれらの基を2種以上有していてもよい。
【0018】
このような官能基を有する界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤又は高分子界面活性剤のいずれでもよく、具体的には、例えば、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、リン酸エステル及びその塩等が挙げられる。前記のノニオン界面活性剤としては、例えば、ノニルフェノール類、アルキルフェノール類、高級アルコール類、ポリアルキレングリコール類、アルキロールアミド、脂肪酸エステル類、アルキルアミンエチレンオキサイド付加体、アルキルアミドエチレンオキサイド付加体、アルキルアミンエチレンオキサイドポリプロピレン付加体等が挙げられる。前記のカチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩類等が挙げられる。前記の両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾール誘導体等が挙げられる。前記の高分子界面活性剤としては、例えば、セルロース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリカルボン酸誘導体等が挙げられる。
【0019】
▲5▼ アクリルモノマー及びアクリルポリマー
本発明に用いるアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル及びこれらの誘導体が挙げられ、具体的には、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、グリシジルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。このらのモノマーは1種単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0020】
アクリルポリマーとしては、前記のアクリルモノマーの重合体又は共重合体を挙げることができ、特に代表的なものは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル等の単独重合体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等の単独重合体;アクリロニトリル、グリシジルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート等の単独重合体、及び上記モノマーの2以上を組み合わせた共重合体などが挙げられる。アクリルポリマーは1種単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0021】
本発明の磁石用組成物において、アクリルモノマー及びアクリルポリマーは、アクリルモノマー単独又はアクリルポリマー単独で使用しても、或いはアクリルモノマーとアクリルポリマーの混合物として使用してもよい。
このようなアクリルモノマー及びアクリルポリマーは、硬化助剤と共に使用してもよい。硬化助剤としては、例えば、ペンダント基を導入したアクリルポリマーを用いる場合に、そのペンダント基と架橋反応するものを用いることができる。ペンダント基がヒドロキシル基である場合の硬化助剤としては、例えば、アルコキシメチルメラミンが挙げられる。ペンダント基がカルボキシル基である場合の硬化助剤としては、例えば、ジエポキシド、メラミンホルムアルデヒド、酸化亜鉛、酢酸アルミニウム等が挙げられる。ペンダント基がエポキシ基である場合の硬化助剤としては、例えば、ジエポキシド、アルコキシメチルメラミン、カルボン酸、ポリアミン等が挙げられる。また、アクリル樹脂中にイミノ基やアミド基を導入した場合の硬化助剤としては、例えば、ビスフェノールA等のエポキシ基を含有する化合物、イソシアナート、アルデヒド、アミノホルムアルデヒド等が挙げられる。また、このようなペンダント基を有するアクリルポリマーは、ウレタン樹脂と併用する場合に架橋剤としても作用する。
【0022】
このようなアクリルモノマー及びアクリルポリマーに含有するカルボキシル基又はエステル化されたカルボキシル残基は、前記の原料ポリアミド樹脂の末端アミノ基と反応する。
【0023】
▲6▼ ウレタン樹脂
本発明に用いるウレタン樹脂としては、例えば、ウレタンプレポリマーを使用することができ、該ウレタンポリマーとしては、ジオール又はポリオールにジイソシアナート又はポリイソシアナートを反応させて得られたものが挙げられる。
【0024】
前記のジオール又はポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価以上の脂肪族アルコール;2価以上の芳香族アルコール;2価以上の脂環式アルコール;2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール類などが挙げられる。前記のジイソシアナート又はポリイソシアナートとしては、例えば、トリレンジイソシアナート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフチレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルイソシアナート、リジンジイソシアナート等が挙げられる。このようなウレタンプレポリマーは、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の組成物においては、ウレタンポリマーと前記のアクリルポリマー、アクリルモノマー及び硬化助剤等を組み合わせて用いてもよい。
このようなウレタン樹脂の中でも特に好適なものは、下記一般式:
【0025】
【化5】
[式中、R’及びR”は、それぞれ炭素原子数1〜6のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等)、又は非置換又は水素原子の一部が低級アルキル基で置換されたフェニレン基(例えば、フェニレン基、メチルフェニレン基、1,4−ジメチルフェニレン基等)であり、Xは水酸基又は−O−NCO基であり、X’は水素原子又は−NCO基であり、nは20以上の整数である]
で表されるものである。
【0026】
▲6▼ マレイミド化合物
本発明に用いるマレイミド化合物は、下記一般式(1):
【0027】
【化6】
(式中、R1 は1価の有機基である)
で表されるマレイミド化合物である。前記一般式のR1 で表される1価の有機基としては、例えば、炭素原子数1〜21のアルキル基、3〜6員環のシクロアルキル基、フェニル基等の非置換の1価炭化水素基;これらの炭化水素基に結合する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基等で置換された1価炭化水素基;アセトキシ基;カルバモイル基;N−アルキルカルバモイル基;エトキシメチル基;フェノキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基などが挙げられる。
【0028】
このようなマレイミド化合物の具体例としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ブロモメチルマレイミド、N−クロロメチルマレイミド、N−アセチルオキシマレイミド、N−カルバモイルマレイミド、N−(N−メチルカルバモイル)マレイミド等が挙げられる。
本発明に用いるトリメリットイミド化合物は、下記一般式(2):
【0029】
【化7】
[式中、R2 は−(CH2 )n −R3
(但し、R3 はヒドロキシル基又は下記一般式:
【0030】
【化8】
で表される基である)
で表される基であり、nは6以下の整数である]
で表される。
【0031】
このようなトリメリットイミド化合物の具体例としては、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)トリメリットイミド、N,N’−エチレンビストリメリットイミド、N,N’−ヘキサメチレンビストリメリットイミド等が挙げられる。
【0032】
これらのマレイミド化合物及びトリメリットイミド化合物は、それぞれ単独で使用しても、或いはマレイミド化合物とトリメリットイミド化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
(3)ポリアミド樹脂の調製
本発明に用いる(B)成分のポリアミド樹脂を調製する方法としては、例えば、前記の原料ポリアミド樹脂に、前記の末端封止剤を混合し反応させる方法;原料ポリアミド樹脂を合成するときに合成原料とともに末端封止剤を重合系に添加する方法等が挙げられる。なお、分子量の調節が容易な点で末端封止剤を前記の原料ポリアミド樹脂に混合し反応させる方法が好ましい。また、前記の末端封止剤の2種以上を併用するときには、選択した末端封止剤が互いに反応しないものであれば同時に使用することもできるが、反応しないものであっても先ず1種を原料ポリアミド樹脂に反応させた後、選択した残りの末端封止剤を1種ずつ反応させるのが好ましい。また、前記末端封止剤のうち、シロキサンを選択すると、特に加熱溶融時の流動性(以下、流動性という)に優れた磁石用組成物、並びに磁気特性及びリサイクル性に優れた磁石を得ることができる。酸化防止剤を選択すると、特に磁気特性、リサイクル性及び耐候性に優れた磁石を得ることができる。アクリルモノマー、アクリルポリマー又はウレタン樹脂を選択すると、特に流動性に優れた磁石用組成物、並びに機械的強度及びリサイクル性に優れた磁石を得ることができる。カップリング剤を選択すると、特に磁気特性、機械的強度及び耐候性に優れた磁石を得ることができる。界面活性剤を選択すると、特に流動性に優れた磁石用組成物、並びに磁気特性及びリサイクル性に優れた磁石を得ることができる。マレイミド化合物又はトリメリットイミド化合物を選択すると、特に流動性に優れた磁石用組成物、並びに機械的強度に優れた磁石を得ることができる。
【0034】
このような末端封止剤と原料ポリアミド樹脂の反応条件としては、200〜400℃で0.5〜5.0時間程度でよい。
【0035】
末端封止剤の使用量は、得られるポリアミド樹脂中の末端カルボキシル基又は末端アミノ基の濃度が、0〜0.2meq /g の範囲になるような量が望ましい。
【0036】
このようにして得られたポリアミド樹脂は、末端カルボキシル基又は末端アミノ基を封止しない同一の分子量のポリアミド樹脂に比較し、磁性粉体の表面と該樹脂との反応性が低い。従って、前記の末端封止剤で処理したポリアミド樹脂を含む磁石用組成物は流動性が優れる。また、このようなポリアミド樹脂は、加熱溶融下の混練時、及び射出成形時においても分子量の変動が極めて小さい。従って、このポリアミド樹脂を含む磁石用組成物は、複数回の熱履歴を受けた場合でも流動性が殆ど変化しないので、該組成物から得られた磁石はリサイクル性に優れる。
【0037】
その他の成分
本発明の磁石用組成物には、前記(A)磁性粉末及び(B)ポリアミド樹脂以外に、必要に応じてカップリング剤、滑剤等を添加することもできる。
【0038】
前記カップリング剤としては、例えば、p−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル ]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)尿素、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジエチルトリメチルシリルアミン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルシランジオール、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メトキシシリル)プロピル]アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプ ロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、ノナメチルトリシラザン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシラザン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、テトラメトキシシラン、テトラメチルジシラザン、テトラフェノキシシラン、トリエチルシラン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジミン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、N−トリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニル尿素、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等のチタン系カップリング剤などが挙げられる。これらのカップリング剤は、用いるバインダー(ポリアミド樹脂)の種類により最適なものを選択し、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
前記滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバワックス、マイクロワックス等のワックス類;ステアリン酸、12−オキシステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル;エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらの変性物からなるポリエーテル類;シリコーンオイル、シリコングリース等のポリシロキサン類;フッ素系オイル、フッ素系グリース、含フッ素樹脂粉末等のフッ素化合物;窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカゲル等の無機化合物粉体などが挙げられる。これらの滑剤は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、用いるポリアミド樹脂との反応性を考慮すると、得られる磁石用組成物の流動性が安定しており、かつ成形加工性が向上する点で、ワックス類、ポロシロキサン類が特に好ましい。
【0040】
本発明の磁石用組成物には、ポリアミド樹脂及び磁性粉末の耐熱性を向上させるために、熱老化防止剤、酸化防止剤等の安定剤を添加することができる。このような安定剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系やアミン系の一次酸化防止剤、イオウ系やリン系の二次酸化防止剤等が挙げられ、特にリン系の二次酸化防止剤であるトリフェニルフォスファイトが好ましい。安定剤は、混合工程、混練工程及び成形工程のいずれの段階でも添加することができ、また、(B)成分のポリアミド樹脂や他の添加剤に予め添加してもよい。
【0041】
磁石用組成物
本発明の磁石用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、次の混合工程及び混練工程を経て得ることができる。
【0042】
▲1▼混合工程
磁性粉末(A)、ポリアミド樹脂(B)、カップリング剤、滑剤及びその他の添加剤を均一に混合する。この混合工程で前記の成分の他に溶媒を使用してもよい。溶媒を使用することにより、カップリング剤や滑剤を組成物中に均一に混合することができる。
【0043】
磁石用組成物中の磁性粉末の含有量は、70〜97重量%、好ましくは80〜95重量%であることが必要である。この含有量が少な過ぎると、得られる磁石の残留磁束密度が低くなり、永久磁石用途としての実用性に乏しいものとなる。また、含有量が多すぎると、得られる磁石の単位体積当たりの磁性粉末量が多くなるもののそれに反して、磁場配向性が劣る。そして、樹脂成分の減少に伴う残留磁束密度がそれに見合う程向上しない上、樹脂成分量が少ないため、該組成物の流動性が劣る。従って、混練及び成形工程において充填不良等のトラブルを惹起させ、実用性に欠ける。
【0044】
使用するポリアミド樹脂の形状は、ペレット状、ビーズ状、パウダー状、ペースト状等のいずれでも良いが、混合物の均質性を高める点で、粒度の細かい形状が望ましい。
【0045】
ポリアミド樹脂の使用量は、磁性粉末100重量部当たり、3〜35重量部、好ましくは3〜15重量部である。この使用量が少なすぎると、磁石用組成物の流動性が極端に悪くなる場合がある。また、逆に多すぎると得られる磁石の磁気特性が低くなり、永久磁石用途としての実用性に乏しくなる場合がある。
【0046】
カップリング剤の使用量は、磁性粉末100重量部当たり、0〜5.0重量部程度でよい。
【0047】
滑剤の使用量は、磁性粉末100重量部当たり、0〜5.0重量部、好ましくは0〜2.0重量部である。なお、滑剤の使用量は、磁石用組成物中の磁性粉末含有量が90重量%未満の場合は、効果に大きな差はないが、磁性粉末含有量が90〜95重量%の場合は、樹脂の種類、磁性粉末の種類あるいは粒子径により大きな効果が得られる。
【0048】
樹脂結合型磁石組成物に用いる各成分を混合するのに用いる混合機としては、特に制限はなく、例えば、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ナウタミキサー、タンブラー等が挙げられる。また、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウェットミル、ジェットミル、ハンマーミル、カッターミル等を用いて、各成分を粉砕しながら混合をする方法も有効である。
【0049】
▲2▼混練工程
混練工程では、前記の混合工程で得た混合物を、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押し出し機、二軸押し出し機等を用いてポリアミド樹脂を溶融しながら混練する。混練温度は、ポリアミド樹脂が溶融し、かつ分解しない温度であればよく、通常、50〜400℃程度でよい。
【0050】
本発明の磁石用組成物は、このように混練工程を経た後、得られた混練物をストランドやシート状に押し出した後、カッティングしたもの、或いは該混合物をホットカットもしくはアンダーウォーターカットし、又は冷却固化したブロック状のものを粉砕してペレット状やパウダー状にしたものとして得ることができる。
【0051】
樹脂結合型磁石
本発明の樹脂結合型磁石は、前記の磁石用組成物を加熱溶融した後、該溶融物を成形して得た成形体に着磁したものである。成形法としては、例えば、射出成形法、押し出し成形法、圧縮成形法等が挙げられる。特に射出成形法は、成形形状の自由度が大きく、しかも得られる樹脂結合型磁石の表面平滑性及び磁気特性が優れる点で好ましい。なお、必要に応じ磁場中で成形してもよい。また、押し出し成形法を採用する場合は、前記の混練と成形とを同時に行うこともできる。成形体への着磁は、通常行われる方法、例えば静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機等を用いて行われる。着磁のときの磁場強度は、15kOe以上が好ましく、更に好ましくは30kOe以上である。
【0052】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本例中、部は重量部を表す。
【0053】
(実施例1)
ポリアミド樹脂の製造
4リットルのオートクレーブに、12−ナイロン(宇部興産株式会社製、UBE NYRON-12 P-3014U)971g及び分子鎖の両末端がヒドロキシル基で停止したジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製、PRX413)21g を投入した後、オートクレーブを窒素でバージした。次いで、オートクレーブの内容物を260 ℃で20時間密閉下に撹拌した後、オートクレーブ内に窒素を流しながらさらに常圧で1 時間撹拌して12−ナイロンとジメチルシリコーンオイルを反応させた。次に、得られた反応生成物をステンレス製のバットに取り出し冷却した後、粉砕し、ポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂2)という。得られた樹脂2の数平均分子量(ポリスチレン換算、以下、平均分子量という)をGPCで測定した。結果を表1に示す。なお、GPCによる測定条件を以下に示す。
【0054】
(測定条件)
カラム:shodex GPC×2
溶媒:オルトクロロフェノール
カラム温度:80℃
サンプル濃度:0.1wt%
【0055】
磁石用組成物の製造
樹脂2を7.9 部、低密度ポリエチレン0. 8部、ジフェニルジメトキシシラン0.5 部、エチレンビスステアリン酸アミド0.2 部、パラフィンワックス0.3 部及び磁性粉末[Sm2 Fe17N3 (平均粒径2.5 μm )]91.1部を混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製)を用いて、230 ℃、50rpm 、30min の条件で混練を行った(混練温度:230 ℃、回転数:50rpm 、混練時間:30分間)。次に、得られた混練物を冷却した後、プラスチック粉砕機を用いて粉砕し、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、下記の流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0056】
(1)流動性(Q値)
フローテスター(島津製作所製)を使用してQ値を測定した(測定温度:250℃、負荷:30kg/cm2 )。
【0057】
(2)リサイクル性
ペレットをラボプラストミルで混練し(混練温度:230 ℃、回転数:50rpm 、混練時間:30分間)、そしてプラスチック粉砕機を用いて粉砕する工程を繰り返し、5回工程を繰り返した後のペレット及び10回工程を繰り返した後のペレットについて、前記(1)の流動性の測定と同様にしてQ値を測定した。なお、Q値が10(×10-3cc/s)(射出成形できる限度値)以上であればリサイクル性が良いと判断した。
【0058】
樹脂結合型磁石の製造
磁石用組成物を、磁場射出成形機(たなべ工業社製)を用いて磁場をかけながら成形し、直径20mm、長さ13mmの円筒状成形体及び長さ15mm、幅8mm 、厚さ2mm の短冊状成形体の2種を得た。射出成形は、シリンダー温度240 ℃、金型温度120 ℃、射出圧力1100kg/cm 2 、磁場強度20kOeの条件で行った。得られた成形体について下記の磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
(1)磁気特性
円筒状成形体を室温下にパルス着磁した後(磁場強度:70kOe)、この磁石の残留磁束密度Br(kG)、保磁力(固有保磁力)iHc(kOe)及び最大エネルギー積(BH)max(MGOe)をチオフィー型自記磁束計(東英工業社製)を用いて測定した。
【0060】
(2)曲げ強度
短冊状成形体を用い、これをオートグラフ試験機(島津製作所製)を使用して、ASTMD−790に準拠して測定した。
【0061】
(実施例2)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから981gに変更し、ジメチルシリコーンオイルの使用量を21g から19g に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂3という)。得られた樹脂3の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0062】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂3を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0063】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0064】
(実施例3)
ポリアミド樹脂の製造
実施例2において、ジメチルシリコーンオイル19g に代えて、カルボキシル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製、BY16-750)19g を用いた以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂5という)。得られた樹脂5の平均分子量を実施例2と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0065】
磁石用組成物の製造
実施例2において、樹脂3に代えて樹脂5を用いた以外は、実施例2と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例2と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0066】
樹脂結合型磁石の製造
実施例2の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例2と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例2と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0067】
(実施例4)
ポリアミド樹脂の製造
実施例2と同様にして樹脂3を製造した。
【0068】
磁石用組成物の製造
実施例2において、樹脂3の使用量を7.9 部から5.5 部に変更し、磁性粉末の使用量を91.1部から93.5部に変更した以外は、実施例2と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例2と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0069】
樹脂結合型磁石の製造
実施例2の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例2と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例2と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0070】
(比較例1)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから925gに変更し、ジメチルシリコーンオイルの使用量を21g から75g に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂1という)。得られた樹脂1の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0071】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂1を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0072】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
(比較例2)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから988gに変更し、ジメチルシリコーンオイルの使用量を21g から12g に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂4という)。得られた樹脂4の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0074】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂4を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0075】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0076】
(比較例3)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから975gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてステアリン酸25g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂6という)。得られた樹脂6の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0077】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂6を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0078】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0079】
(比較例4)
ポリアミド樹脂の製造
比較例1と同様にして、樹脂1を製造した。
【0080】
磁石用組成物の製造
実施例4において、樹脂3に代えて樹脂1を用いた以外は、実施例4と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例4と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0081】
樹脂結合型磁石の製造
実施例4の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例4と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例4と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0082】
(比較例5)
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2(7.9 部)に代えて、実施例1で用いた12−ナイロンを末端封止剤で処理しないまま7.9 部用いた以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。なお、実施例1と同様にして測定した12−ナイロンの平均分子量を表1に示す。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表2に示す。
【0083】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表2に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
表2中、LDPEは低密度ポリエチレンを表し、DPMSはジフェニルジメトキシシランを表し、EBSAはエチレンビスステアリルアミドを表し、PWAXはパラフィンワックスを表し、12−NYは12−ナイロンを表す。また、Brは残留磁束密度(kG)を表し、iHcは保磁力(固有保磁力)(kOe)を表し、BHは最大エネルギー積(MGOe)を表す。また、流動性及びリサイクル性はQ値で示した。
【0086】
(実施例5)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから938gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてヘキサメチレンビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(日本チバガイギー社製、IRGANOX 1098)62g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂7という)。得られた樹脂7の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
【0087】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂7を用い、磁性粉末の使用量を91.1部から100 部に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0088】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0089】
(実施例6)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから955gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてトリエチレングリコールビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオネート(日本チバガイギー社製、IRGANOX 245 )45g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂8という)。得られた樹脂8の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
【0090】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂8を用い、磁性粉末の使用量を91.1部から100 部に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0091】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0092】
(実施例7)
ポリアミド樹脂の製造
実施例5において、12−ナイロンの使用量を938gから907gに変更し、ヘキサメチレンビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの使用量を62g から93g に変更した以外は実施例5と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂9という)。得られた樹脂9の平均分子量を実施例5と同様にして測定した。結果を表3に示す。
【0093】
磁石用組成物の製造
実施例5において、樹脂7に代えて樹脂9を用いた以外は、実施例5と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例5と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0094】
樹脂結合型磁石の製造
実施例5の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例5と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例5と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0095】
(実施例8)
ポリアミド樹脂の製造
実施例5と同様にして樹脂7を製造した。
【0096】
磁石用組成物の製造
実施例5において、樹脂7の使用量を7.9 部から5.5 部に変更し以外は、実施例5と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例5と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0097】
樹脂結合型磁石の製造
実施例5の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例5と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例5と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0098】
(比較例6)
磁石用組成物の製造
実施例5において、樹脂7(7.9 部)に代えて、実施例1で用いた12−ナイロンを未調整のまま7.9 部用いた以外は、実施例5と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例5と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0099】
樹脂結合型磁石の製造
実施例5の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例5と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0100】
(比較例7)
ポリアミド樹脂の製造
比較例3と同様にして樹脂6を製造した。
【0101】
磁石用組成物の製造
実施例5において、樹脂7(7.9 部)に代えて樹脂6(7.9 部)を用いた以外は、実施例5と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例5と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0102】
樹脂結合型磁石の製造
実施例5の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例5と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例5と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0103】
(比較例8)
ポリアミド樹脂の製造
実施例5において、12−ナイロンの使用量を938gから794gに変更し、ヘキサメチレンビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの使用量を62g から206gに変更した以外は実施例5と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂10という)。得られた樹脂10の平均分子量を実施例5と同様にして測定した。結果を表3に示す。
【0104】
磁石用組成物の製造
実施例5において、樹脂7に代えて樹脂10を用いた以外は、実施例5と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例5と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0105】
樹脂結合型磁石の製造
実施例5の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例5と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例5と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0106】
(比較例9)
ポリアミド樹脂の製造
実施例7と同様にして樹脂9を製造した。
【0107】
磁石用組成物の製造
実施例7において、樹脂9の使用量を7.9 部から2.0 部に変更し、低密度ポリエチレンの使用量を0.8 部から0.5 部に変更し、そして、ジフェニルジメトキシシラン0.5 部を用いなかった以外は、実施例7と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例7と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表4に示す。
【0108】
樹脂結合型磁石の製造
実施例7の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例7と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例7と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表4に示す。
【0109】
【表3】
表3中、IRGANOX 1098及びIRGANOX 245 は、日本チバガイギー(株)製の酸化防止剤である。
【0110】
【表4】
表4中、LDPE、DPMS、EBSA、PWAX、12-NY 、Br、iHc及びBHは表2と同じであり、流動性及びリサイクル性はQ値で示した。
【0111】
(実施例9)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから935gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてアクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社性、アクリシラップDRー B22 )65g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂11という)。得られた樹脂11の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表5に示す。
【0112】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂11を用い、磁性粉末の使用量を91.1部から100 部に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表6に示す。
【0113】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表6に示す。
【0114】
(実施例10)
ポリアミド樹脂の製造
実施例9において、12−ナイロンの使用量を935gから973gに変更し、アクリル樹脂65g に代えてウレタンプレポリマー(国際ケミカル株式会社製、ADAPT-E No.1)27g を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂12という)。得られた樹脂12の平均分子量を実施例9と同様にして測定した。結果を表5に示す。
【0115】
磁石用組成物の製造
実施例9において、樹脂11に代えて樹脂12を用いた以外は、実施例9と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例9と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表6に示す。
【0116】
樹脂結合型磁石の製造
実施例9の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例9と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例9と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表6に示す。
【0117】
(実施例11)
ポリアミド樹脂の製造
実施例10において、12−ナイロンの使用量を973gから960gに変更し、ウレタンプレポリマーの使用量を27g から40g に変更した以外は実施例10と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂13という)。得られた樹脂13の平均分子量を実施例10と同様にして測定した。結果を表5に示す。
【0118】
磁石用組成物の製造
実施例10において、樹脂12に代えて樹脂13を用いた以外は、実施例10と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例10と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表6に示す。
【0119】
樹脂結合型磁石の製造
実施例10の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例10と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例10と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表6に示す。
【0120】
(実施例12)
ポリアミド樹脂の製造
実施例10と同様にして樹脂12を製造した。
【0121】
磁石用組成物の製造
実施例10において、樹脂10の使用量を7.9 部から5.5 部に変更し以外は、実施例10と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例10と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表6に示す。
【0122】
樹脂結合型磁石の製造
実施例10の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例10と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例10と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表6に示す。
【0123】
(比較例10)
ポリアミド樹脂の製造
実施例10において、12−ナイロンの使用量を973gから921gに変更し、ウレタンプレポリマーの使用量を27g から79g に変更した以外は実施例10と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂14という)。得られた樹脂14の平均分子量を実施例10と同様にして測定した。結果を表5に示す。
【0124】
磁石用組成物の製造
実施例10において、樹脂12に代えて樹脂14を用いた以外は、実施例10と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例10と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表6に示す。
【0125】
樹脂結合型磁石の製造
実施例10の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例10と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例10と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表6に示す。
【0126】
(比較例11)
ポリアミド樹脂の製造
実施例11と同様にして樹脂13を製造した。
【0127】
磁石用組成物の製造
実施例11において、樹脂13の使用量を7.9 部から2.0 部に変更し、低密度ポリエチレンの使用量を0.8 部から0.5 部に変更し、そして、ジフェニルジメトキシシラン0.5 部を用いなかった以外は、実施例11と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例11と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表6に示す。
【0128】
樹脂結合型磁石の製造
実施例11の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例11と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例11と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表6に示す。
【0129】
【表5】
表5中、アクリシラップDR-B22は三菱レイヨン(株)製の熱硬化性アクリル樹脂を表し、ADAPT-E No.1は国際ケミカル(株)製の熱硬化製ウレタン樹脂を表す。
【0130】
【表6】
表6中、LDPE、DPMS、EBSA、PWAX、Br、iHc及びBHは表2と同じであり、流動性及びリサイクル性はQ値で示した。
【0131】
(実施例13)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから980gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製、A-186 )20g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂15という)。得られた樹脂15の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表7に示す。
【0132】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂15を用い、磁性粉末の使用量を91.1部から100 部に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0133】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0134】
(実施例14)
ポリアミド樹脂の製造
実施例13において、12−ナイロンの使用量を980gから984gに変更し、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20g に代えてヘキサメチルジシラザン(東芝シリコーン株式会社製、TSL8802 )16g を用いた以外は実施例13と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂16という)。得られた樹脂16の平均分子量を実施例13と同様にして測定した。結果を表7に示す。
【0135】
磁石用組成物の製造
実施例13において、樹脂15に代えて樹脂16を用いた以外は、実施例13と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例13と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0136】
樹脂結合型磁石の製造
実施例13の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例13と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例13と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0137】
(実施例15)
ポリアミド樹脂の製造
実施例13において、12−ナイロンの使用量を980gから925gに変更し、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20g に代えてジイソプロピルビス(ジオクチル パイロフォスフェート)チタネート(味の素株式会社製、KR-338X )75g を用いた以外は実施例13と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂17という)。得られた樹脂17の平均分子量を実施例13と同様にして測定した。結果を表7に示す。
【0138】
磁石用組成物の製造
実施例13において、樹脂15に代えて樹脂17を用いた以外は、実施例13と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例13と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0139】
樹脂結合型磁石の製造
実施例13の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例13と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例13と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0140】
(実施例16)
ポリアミド樹脂の製造
実施例13において、12−ナイロンの使用量を980gから970gに変更し、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの使用量を20g から30g に変更した以外は実施例13と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂18という)。得られた樹脂18の平均分子量を実施例13と同様にして測定した。結果を表7に示す。
【0141】
磁石用組成物の製造
実施例13において、樹脂15に代えて樹脂18を用いた以外は、実施例13と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例13と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0142】
樹脂結合型磁石の製造
実施例13の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例13と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例13と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0143】
(実施例17)
ポリアミド樹脂の製造
実施例13と同様にして樹脂15を製造した。
【0144】
磁石用組成物の製造
実施例13において、樹脂15の使用量を7.9 部から5.5 部に変更し以外は、実施例13と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例13と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0145】
樹脂結合型磁石の製造
実施例13の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例13と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例13と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0146】
(比較例12)
ポリアミド樹脂の製造
実施例13において、12−ナイロンの使用量を980gから942gに変更し、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの使用量を20g から58g に変更した以外は実施例13と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂19という)。得られた樹脂19の平均分子量を実施例13と同様にして測定した。結果を表7に示す。
【0147】
磁石用組成物の製造
実施例13において、樹脂15に代えて樹脂19を用いた以外は、実施例13と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例13と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0148】
樹脂結合型磁石の製造
実施例13の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例13と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例13と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0149】
(比較例13)
ポリアミド樹脂の製造
実施例16と同様にして樹脂18を製造した。
【0150】
磁石用組成物の製造
実施例16において、樹脂18の使用量を7.9 部から2部に変更し、低密度ポリエチレンの使用量を0.8 部から0.5 部に変更し、そして、ジフェニルジメトキシシラン0.5 部を用いなかった以外は、実施例16と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例16と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表8に示す。
【0151】
樹脂結合型磁石の製造
実施例16の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例16と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例16と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表8に示す。
【0152】
【表7】
表7中、A-186 は日本ユニカー(株)製シラン系カップリング剤を表し、TSL8802 は東芝シリコーン(株)製シラン系カップリング剤を表し、KR-44 は(株)味の素製チタン系カップリング剤を表す。
【0153】
【表8】
表8中、LDPE、DPMS、EBSA、PWAX、Br、iHc及びBHは表2と同じであり、流動性及びリサイクル性はQ値で示した。
【0154】
(実施例18)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから950.1gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてソルビタンステアレート(理研ビタミン株式会社製、リケマールS-250 、分子量420 )49.9g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂21という)。得られた樹脂21の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表9に示す。
【0155】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂21を用い、低密度ポリエチレン0.8 部を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0156】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0157】
(実施例19)
ポリアミド樹脂の製造
実施例18において、12−ナイロンの使用量を950.1gから967.4gに変更し、ソルビタンステアレートの使用量を49.9g から32.6g に変更した以外は実施例18と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂22という)。得られた樹脂22の平均分子量を実施例18と同様にして測定した。結果を表9に示す。
【0158】
磁石用組成物の製造
実施例18において、樹脂21に代えて樹脂22を用いた以外は、実施例18と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例18と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0159】
樹脂結合型磁石の製造
実施例18の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例18と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例18と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0160】
(実施例20)
ポリアミド樹脂の製造
実施例18において、12−ナイロンの使用量を950.1gから832.9gに変更し、ソルビタンステアレート49.9g に代えてカルボキシル基及びメトキシカルボニル基を有する高分子界面活性剤(ライオン株式会社製、ポリティA-510 、平均分子量2500)167.1gを用いた以外は実施例18と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂23という)。得られた樹脂23の平均分子量を実施例18と同様にして測定した。結果を表9に示す。
【0161】
磁石用組成物の製造
実施例18において、樹脂21に代えて樹脂23を用いた以外は、実施例18と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例18と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0162】
樹脂結合型磁石の製造
実施例18の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例18と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例18と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0163】
(実施例21)
ポリアミド樹脂の製造
実施例19と同様にして樹脂22を製造した。
【0164】
磁石用組成物の製造
実施例19において、樹脂22の使用量を7.9 部から5.5 部に変更し、磁性粉末の使用量を91.1部から93.5部に変更した以外は、実施例19と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例19と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0165】
樹脂結合型磁石の製造
実施例19の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例19と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例19と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0166】
(比較例14)
ポリアミド樹脂の製造
実施例18において、12−ナイロンの使用量を950.1gから877.2gに変更し、ソルビタンステアレートの使用量を49.9g から122.8gに変更した以外は実施例18と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂20という)。得られた樹脂20の平均分子量を実施例18と同様にして測定した。結果を表9に示す。
【0167】
磁石用組成物の製造
実施例18において、樹脂21に代えて樹脂20を用いた以外は、実施例18と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例18と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0168】
樹脂結合型磁石の製造
実施例18の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例18と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例18と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0169】
(比較例15)
ポリアミド樹脂の製造
比較例3と同様にして樹脂6を製造した。
【0170】
磁石用組成物の製造
実施例18において、樹脂21に代えて樹脂6を用いた以外は、実施例18と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例18と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0171】
樹脂結合型磁石の製造
実施例18の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例18と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例18と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0172】
(比較例16)
ポリアミド樹脂の製造
実施例19と同様にして樹脂22を製造した。
【0173】
磁石用組成物の製造
実施例19において、樹脂22の使用量を7.9 部から2.0 部に変更し、磁性粉末の使用量を91.1部から97.0部に変更した以外は、実施例19と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例19と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0174】
樹脂結合型磁石の製造
実施例19の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例19と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例19と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0175】
(比較例17)
磁石用組成物の製造
実施例18において、樹脂21(7.9 部)に代えて、実施例1で用いた12−ナイロンを未調整のまま7.9 部用いた以外は、実施例18と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例18と同様にして流動性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表10に示す。
【0176】
樹脂結合型磁石の製造
実施例18の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例18と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例18と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0177】
【表9】
【0178】
【表10】
表10中、LDPE、DPMS、EBSA、PWAX、12−NY、Br、iHc及びBHは表2と同じであり、流動性及びリサイクル性はQ値で示した。
【0179】
(実施例22)
ポリアミド樹脂の製造
実施例1において、12−ナイロンの使用量を971gから978.8gに変更し、ジメチルシリコーンオイル21g に代えてN−フェニルマレイミド(第八化学工業株式会社製、PM1 、分子量173 )21.2g を用いた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂25という)。得られた樹脂25の平均分子量を実施例1と同様にして測定した。結果を表11に示す。
【0180】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂25を用い、低密度ポリエチレン0.8 部を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0181】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表12に示す。
【0182】
(実施例23)
ポリアミド樹脂の製造
実施例22において、12−ナイロンの使用量を978.8gから986.7gに変更し、N−フェニルマレイミドの使用量を21.2g から13.7g に変更した以外は実施例22と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂26という)。得られた樹脂26の平均分子量を実施例22と同様にして測定した。結果を表11に示す。
【0183】
磁石用組成物の製造
実施例22において、樹脂25に代えて樹脂26を用いた以外は、実施例22と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例22と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0184】
樹脂結合型磁石の製造
実施例22の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例22と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例22と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表12に示す。
【0185】
(実施例24)
ポリアミド樹脂の製造
実施例22において、12−ナイロンの使用量をを978.8gから984.4gに変更し、N−フェニルマレイミド21.2g に代えてN−(メチルフェニル)マレイミド(第八化学工業(株)製、M-PM1 、分子量187 )15.6g を用いた以外は実施例22と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂27という)。得られた樹脂27の平均分子量を実施例22と同様にして測定した。結果を表11に示す。
【0186】
磁石用組成物の製造
実施例22において、樹脂25に代えて樹脂27を用いた以外は、実施例22と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例22と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0187】
樹脂結合型磁石の製造
実施例22の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例22と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例22と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表10に示す。
【0188】
(実施例25)
ポリアミド樹脂の製造
実施例23と同様にして樹脂26を製造した。
【0189】
磁石用組成物の製造
実施例23において、樹脂26の使用量を7.9 部から5.5 部に変更し、磁性粉末の使用量を91.1部から93.5部に変更した以外は、実施例23と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例23と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0190】
樹脂結合型磁石の製造
実施例23の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例23と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例23と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表12に示す。
【0191】
(比較例18)
ポリアミド樹脂の製造
実施例22において、12−ナイロンの使用量を978.8gから945.5gに変更し、N−フェニルマレイミドの使用量を21.2g から54.5g に変更した以外は実施例22と同様にしてポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂24という)。得られた樹脂24の平均分子量を実施例22と同様にして測定した。結果を表11に示す。
【0192】
磁石用組成物の製造
実施例22において、樹脂25に代えて樹脂24を用いた以外は、実施例22と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例22と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0193】
樹脂結合型磁石の製造
実施例22の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例22と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例22と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表12に示す。
【0194】
(比較例19)
ポリアミド樹脂の製造
実施例23と同様にして樹脂26を製造した。
【0195】
磁石用組成物の製造
実施例23において、樹脂26の使用量を7.9 部から2.0 部に変更し、磁性粉末の使用量を91.1部から97.0部に変更した以外は、実施例23と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例23と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0196】
樹脂結合型磁石の製造
実施例23の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例23と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例23と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表12に示す。
【0197】
(比較例20)
ポリアミド樹脂の製造
4リットルのオートクレーブに、12−ナイロン(宇部興産株式会社製、UBE NYRON-12 P-3014U)983g及びラウリン酸17g を投入した後、オートクレーブを窒素でバージした。次いで、オートクレーブの内容物を260 ℃で1時間密閉下に撹拌して12−ナイロンとラウリン酸を反応させた。次に、得られた反応生成物をステンレス製のバットに取り出し冷却した後、粉砕し、ポリアミド樹脂を得た(以下、樹脂28)という。得られた樹脂28の平均分子量をGPCで測定した。結果を表11に示す。
【0198】
磁石用組成物の製造
実施例1において、樹脂2に代えて樹脂28を使用した以外は実施例1と同様にして、磁石用組成物のペレットを得た。得られた磁石用組成物について、実施例1と同様にして流れ性(流れ値Q)及びリサイクル性を評価した。結果を表12に示す。
【0199】
樹脂結合型磁石の製造
実施例1の磁石用組成物に代えて、本例で得られた磁石用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状成形体及び短冊状成形体の2種を得た。そして、得られた成形体について実施例1と同様にして磁気特性及び曲げ強度を評価した。結果を表12に示す。
【0200】
【表11】
【0201】
【表12】
表12中、LDPE、DPMS、EBSA、PWAX、Br、iHc及びBHは表2と同じであり、流動性及びリサイクル性はQ値で示した。
【0202】
【発明の効果】
本発明の組成物は、バインダー成分として末端カルボキシル基又はアミノ基を特定の末端封止剤で封止したポリアミド樹脂を用いるので、加熱処理を伴う混練工程、射出成形工程等を繰り返しても熱分解し難い。従って、該組成物から得た磁石はリサイクル性に優れる。また、本発明の磁石用組成物は、混練工程及び成形工程、特に射出成形工程において、低温で高い流動性及び磁性粉末との適度な親和性を発揮するので、これらの工程中に磁気特性が熱劣化するのを防止することができる。従って、本発明の磁石は、このような組成物を用いて製造するので高い磁気特性と機械特性を併せ持つ。
Claims (3)
- (A)異方性磁場(HA )が50kOe以上の磁性粉末、並びに(B)末端カルボキシル基及び末端アミノ基の少なくとも1種が末端封止剤で封止された平均分子量6000〜18000のポリアミド樹脂を含有する組成物であって、
前記末端封止剤が、カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有するシロキサン、カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有する酸化防止剤、カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有するカップリング剤、カルボキシル基又はアミノ基と反応する官能基を有する界面活性剤、アクリルモノマー及びアクリルポリマー、ウレタン樹脂、下記一般式(1):
(式中、R 1 は1価の有機基である)で表されるマレイミド化合物、並びに下記一般式(2):
[式中、R 2 は−(CH 2 ) n −R 3 (但し、R 3 はヒドロキシル基又は下記一般式:
で表される基である)で表される基であり、nは6以下の整数である]で表されるトリメリットイミド化合物から選ばれる少なくとも1種であり、該組成物中の磁性粉末の含有量が70〜97重量%である樹脂結合型磁石用組成物。 - 前記(A)の磁性粉末が、非酸化鉄を含む磁性粉末である請求項1に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂結合型磁石用組成物を加熱成形して得られる樹脂結合型磁石。
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