JP3734955B2 - 角速度センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定方向に沿って振動している振動子、例えば直交座標のX−Y平面においてY軸に平行に振動している振動子素子の伸縮振動を屈曲振動に変換して回転角速度を検出する角速度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所定方向に沿って振動している振動子、例えば直交座標軸平面(X−Y平面)におけるX軸に沿って振動している振動子がY軸の回りに回転すると、振動子の(X−Y平面と直交する)Z軸方向にコリオリの力が生じる。このコリオリの力は角速度の大きさに比例して定まることから、コリオリの力を振動子の撓み変位量として間接的に、圧電素子の圧電効果、容量変化などで直接的に測定すれば、振動子のY軸の回りに作用した回転角速度の大きさを求めることができる。このため、振動する振動子を角速度検出素子として車両や航空機等に搭載し、その走行或いは飛行軌跡を記録したり旋回時に発生するヨーレイトを検出することが行われている。また、この角速度検出素子をロボットに搭載して、その姿勢制御等にも応用されている。
【0003】
図9は水晶を用いた従来の角速度センサの要部を示す図である。図9において、(a)は平面図、(b)は図9(a)をE方向から見た図である。同図において、1は音叉型の振動子素子(水晶板)、2−1〜2−4は励振用の電極板、3−1〜3−4は角速度検出用の電極板であり、励振用の電極板2−1〜2−4を励振電極2の構成要素とし、角速度検出用の電極板3−1〜3−4を検出電極3の構成要素としている。励振用の電極板2−1〜2−4は振動子素子1の一方の脚部1−1の表裏および左右の面に、検出用の電極板3−1〜3−4は振動子素子1の他方の脚部1−2の左右の面に形成されている。脚部1−1および1−2は、この脚部1−1および1−2に対して平行な軸線Lを有する主軸1−3から分岐されており、脚部1−1,1−2と主軸1−3とは共通の平面に位置している。
【0004】
この角速度センサにおいては、図9(b)に示されるように、励振用の電極板2−1と2−3とが端子P1に共通に接続され、励振用の電極板2−2と2−4とが端子P2に共通に接続され、この端子P1とP2との間に交流電圧(励振振動信号)eが印加される。このため、ある時は図9(b)中脚部1−1に矢印で示す如く電界が発生し、次には逆方向の電界が発生することにより、逆圧電効果により振動子素子1の一方の脚部1−1が、更に他方の脚部1−2も連動して、左右に振動(屈曲振動)する。
【0005】
ここで、脚部1−1,1−2の振動方向をX軸方向、このX軸方向と直交する紙面内の方向、すなわち主軸1−3の軸線Lの方向をY軸方向、このX−Y平面と直交する方向(振動子素子1の板面に垂直な方向)をZ軸方向とした場合、Y軸の回りに回転角速度が作用すると、すなわち振動子素子1がY軸の回りに回転すると、コリオリの力によりZ軸方向の振動成分が生じ、振動子素子1がZ軸方向成分をもって紙面に対し斜めに振動(屈曲振動)する。このZ軸方向の振動成分の大きさはコリオリの力に比例しているので、振動子素子1の他方の脚部1−2には圧電効果により、角速度に比例した大きさで振動の方向に応じた極の電荷が発生する。
【0006】
これにより、検出用の電極板3−1と3−4とを共通に接続した端子P3と、検出用の電極板3−2と3−3とを共通に接続した端子P4との間に電荷が発生し、コリオリの力に応じた電圧信号esが得られる。この電圧信号esの大きさによって、Y軸の回りに作用する回転角速度の大きさを知ることができる。また、この電圧信号esは基本的にサインカーブとして得られ、この電圧信号esの波形は回転の方向に応じて位相が変化するので、電圧信号esの波形と励振振動信号eの波形(励振波形)とを位相比較することにより、その位相の進み遅れで回転角速度の方向を知ることができる。
【0007】
なお、端子P1とP2との間に印加される励振振動信号eの振幅は、図示せぬ温度補償回路によって、温度変化により素子の諸定数、振動姿態が変化しても、一定の振幅に保たれる。また、端子P1とP2との間に印加される励振振動信号eに対して、端子P3とP4との間に得られる電圧信号esは桁違いに小さい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、X−Y平面に平行かつX軸方向に励振振動が発生するのが望ましいが、このような従来の角速度センサでは、製造技術上、素子構造が非対称になったり、励振用の電極板2−1〜2−4の配置が振動面に対して非対称とならざるを得ず、その結果、励振電極2,検出電極3を含む振動子素子1(以下、総称して振動子と言う)がX軸方向に対し、傾いて振動する現象が発生する。
【0009】
すなわち、素子構造がバランスがよく励振用電極板2−1〜2−4が図9のように対称に配置されていれば問題はないが、実際には配線引き回しの関係で相互に直交する面を通過せざるを得ず、そのため電界が非対称となり、振動子の振動方向は図10に示すようにX軸方向に対してθ゜ずれることになる。また、この振動方向のずれ(励振位相の回転)は、検出電極3のある脚部1−2にも伝達され、また温度変化によっても変動することが知られている。この現象により、静止状態であってもZ軸方向成分の電荷が検出側電極に発生することを「振動のもれ」と呼ぶ。この「振動のもれ」により発生する電荷は温度変化など外部要因で変動するため、振動子のZ軸方向に生じる電荷量がコリオリの力と無関係に変化し、検出される回転角速度に誤差が生じる。
【0010】
この回転角速度に誤差が生じる状況を図11を用いて説明する。今、理想的な状態として、振動子がX軸方向へ振動しているものとする(図11(a)参照)。この場合、振動子は、その振幅をW1として、X軸方向(θ=0゜)へ振動している。この時、振動子のY軸の右回りに回転角速度ω1が作用すると、その回転角速度ω1により振動子のZ軸方向にコリオリの力F1が生じる。そのため、振動子はX軸からθ1だけ位相を変化させて振動することになり、検出用電極にはこのF1に比例した電圧es1が発生し、回転角速度ω1として検出することができる。
【0011】
これに対し、図11(b)に示すように、励振位相がすでにθ゜回転していると、振動もれのため(すなわち振動子がその振幅をW1としてX軸方向に対してθ゜ずれて振動していると)、検出電極3には、すでにヌル電圧esNが発生しており、さらに振動子のY軸の回りに上記同様右回りの回転角速度ω1が作用すれば、コリオリの力F1に比例した電圧es2(=es1cos(θ1))が加算され、あたかも、より大きな角速度が発生したかのようにみえる。また、振動もれの量は、構造体の弾性率,寸法などが温度変化により変化するため、その振動姿態が変化するため、温度依存性があり、その結果esNが定まらないので、検出電圧が不安定になり、正確な計測ができない。
【0012】
従来の角速度センサでは、振動モードとコリオリ力発生メカニズムから、Y軸を高さ方向とし、Y軸の回りに作用する回転角速度を検出している。すなわち、従来の角速度センサでは、コリオリの力を検出するために、Y軸方向を立てて使用する必要があり、高さ方向に大きくなり小型化(薄型化)することができない。
【0013】
その上、従来の角速度センサでは、励振側と検出側の周波数温度特性(温特)が異なるため、それぞれの温度での励振側周波数fXTと検出側周波数fZTの周波数差は温度により変動するので、結合度が変動し、その結果Q値が変化するため、検出電荷量変化(感度変化)が発生し、これが零点ドリフトを発生させる一因となっている。すなわち、角速度センサの静止状態において、零点ドリフトがなければ、表示される測定位は所定の基準値となる(図12参照)。すなわち、この基準値を起点として、例えば右回転では表示値が上昇し、左回転では表示値が下降する。この基準値を零点と呼ぶ。零点ドリフトとは、静止状態にも拘わらず、温度変化など外部擾乱(外因による乱れ)により零点位の電圧が変動する現象をいう。図13は圧電振動式角速度センサ(以下、PVGと呼ぶ)の等価回路である。PVGはその感度を良くするため、励振側周波数fxと検出側周波数fzとが一致することが望ましい。しかし、fxをfzに近づけて行くと、振動モードの縮退現象が発生し、本来(原理上)の計測ができなくなる。
【0014】
そこで、縮退現象の影響がない程度まで2つの周波数を隔離して、2つのモードを分離するように設定する。したがって、2つのモード間には周波数差(ΔF=|fx−fz|)を持って設定される。ところで、ΔFの大きさは2つのモードの結合具合を左右するものであり、これによりQ値が変化し、感度を変化させることが知られている。このΔFの値は特定の温度(例えば、常温)で調整された値であるが、このΔFの変動は温度変化によっても発生することを2つの振動モードの温特の違いから説明する。
【0015】
図9に示した従来の角速度センサ(屈曲x励振−屈曲z検出)では、双方共に振動モードは屈曲振動であるが、材料の性質からその温特は異なる。図14にその一例を示す。同図において、Txは励振側の温特、Tzは検出側の温特であり、2つのモードは室温(RT)においてΔF0 だけ隔離して設定されている。この場合、2つのモードの温特の頂点温度T0t(T0x,T0z)が一致していないため、2つのモードは温度変動と共にΔFの値が変動する。したがって、温度変動によるΔFの変動により、回転角速度が作用していないにも拘わらず、出力の変動が発生し、あたかも回転角速度が作用しているかのような状態となる。この温度変動による零点ドリフトによって、検出電圧が不安定になり、正確な計測ができなくなる。
【0016】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、振動のもれ(励振位相の回転)が小さく、また温度変動による零点ドリフトが小さく、回転角速度を高精度で検出することの可能な高さ方向へ薄い角速度センサを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、その両端が支持固定された第1の枝部と、この第1の枝部のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する方向に延びその先端が支持固定された第2の枝部と、第1の枝部の一方の端部と中央部との間および他方の端部と中央部との間の枝面から第2の枝部の長手方向と平行する方向に延びた第3の枝部および第4の枝部とを備え、第1の枝部の長手方向に平行な方向をX軸方向、第2の枝部の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする振動子素子と、第2の枝部の枝面に形成された励振電極により、交流電圧の印加を受けて第2の枝部をY軸方向へ伸縮振動させ、この励振された伸縮振動によって第1の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この屈曲振動によって更に第3の枝部および第4の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動させる励振構造と、第3の枝部および第4の枝部の枝面に形成された検出電極により、この第3の枝部および第4の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動しているとき、振動子素子がZ軸の回りに回転した場合、この第3の枝部および第4の枝部が慣性により生じるX軸方向成分による屈曲振動によって生ずる電荷を取り出す検出構造とを設けたものである。
この発明によれば、励振電極に交流電圧を印加すると、第2の枝部がY軸方向へ伸縮振動し、この伸縮振動によって第1の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動し、この屈曲振動によって第3の枝部および第4の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動する。この状態で、Z軸の回りに回転角速度が作用すると、コリオリの力がY軸と直交するX軸方向に働き、その結果、第3の枝部および第4の枝部がX軸方向成分をもって屈曲振動する。そして、この屈曲振動によって生ずる電荷が検出電極より取り出され、この取り出された電荷量に基づいてZ軸の回りに作用する回転角速度の大きさが検出される。
【0018】
第2発明(請求項2に係る発明)は、その両端が支持固定された第1の枝部と、この第1の枝部のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する一方向および他方向に延びその先端が支持固定された第2および第3の枝部と、第1の枝部の一方の端部と中央部との間および他方の端部と中央部との間の枝面から第2,第3の枝部の長手方向と平行する方向に延びた第4の枝部および第5の枝部とを備え、第1の枝部の長手方向に平行な方向をX軸方向、第2,第3の枝部の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする振動子素子と、第2の枝部および第3の枝部の枝面に形成された励振電極により、交流電圧の印加を受けて第2の枝部および第3の枝部をY軸方向へ伸縮振動させ、この励振された伸縮振動によって第1の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この屈曲振動によって更に第4の枝部および第5の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動させる励振構造と、第4の枝部および第5の枝部の枝面に形成された検出電極により、この第4の枝部および第5の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって振動しているとき、振動子素子がZ軸の回りに回転した場合、この第4の枝部および第5の枝部が慣性により生じるX軸方向成分による屈曲振動によって生ずる電荷を取り出す検出構造とを設けたものである。
この発明によれば、励振電極に交流電圧を印加すると、第2および第3の枝部がY軸方向へ伸縮振動し、この伸縮振動によって第1の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動し、この屈曲振動によって第4の枝部および第5の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動する。この状態で、Z軸の回りに回転角速度が作用すると、コリオリの力がY軸と直交するX軸方向に働き、その結果、第4の枝部および第5の枝部がX軸方向成分をもって屈曲振動する。そして、この屈曲振動によって生ずる電荷が検出電極より取り出され、この取り出された電荷量に基づいてZ軸の回りに作用する回転角速度の大きさが検出される。
【0019】
第3発明(請求項3に係る発明)は、その両端が支持固定された第1の枝部と、この第1の枝部のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する一方向および他方向に延びその先端が支持固定された第2および第3の枝部と、第1の枝部の一方の端部と中央部との間の枝面から第2,第3の枝部の長手方向と平行する一方向および他方向に延びた第4の枝部および第5の枝部と、第1の枝部の他方の端部と中央部との間の枝面から第2,第3の枝部の長手方向と平行する一方向および他方向に延びた第6の枝部および第7の枝部とを備え、第1の枝部の長手方向に平行な方向をX軸方向、第2,第3の枝部の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする振動子素子と、第2の枝部および第3の枝部の枝面に形成された励振電極により、交流電圧の印加を受けて第2の枝部および第3の枝部をY軸方向へ伸縮振動させ、この励振した伸縮振動によって第1の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この屈曲振動によって更に第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動させる励振構造と、第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部の枝面に形成された検出電極により、この第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動しているとき、振動子素子がZ軸の回りに回転した場合、この第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部が慣性により生じるX軸方向成分による屈曲振動によって生ずる電荷を取り出す検出構造とを設けたものである。
この発明によれば、励振電極に交流電圧を印加すると、第2および第3の枝部がY軸方向へ伸縮振動し、この伸縮振動によって第1の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動し、この屈曲振動によって第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動する。この状態で、Z軸の回りに回転角速度が作用すると、コリオリの力がY軸と直交するX軸方向に働き、その結果、第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部がX軸方向成分をもって屈曲振動する。そして、この屈曲振動によって生ずる電荷が検出電極より取り出され、この取り出された電荷量に基づいてZ軸の回りに作用する回転角速度の大きさが検出される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。
〔基本原理:第1発明〕
図1(a)はこの発明の基本原理を説明する図である。同図において、Aは振動子素子であり、その材料は金属、セラミックス、単結晶など、どれを用いても構わないが、ここでは水晶板で説明する。振動子素子Aは第1の枝部A1と第2の枝部A2と第3の枝部A3と第4の枝部A4とからなる。第1の枝部A1はその両端が支持固定されている。第2の枝部A2は第1の枝部A1のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する方向に延びその先端が支持固定されている。第3の枝部A3は第1の枝部A1の一方の端部と中央部との間の枝面から第2の枝部A2の長手方向と平行する方向に延びている。第4の枝部A4は第1の枝部A1の他方の端部と中央部との間の枝面から第2の枝部A2の長手方向と平行する方向に延びている。枝部A1〜A4は共通の平面に位置している。
【0021】
この振動子素子Aにおいて、第1の枝部A1の長手方向に平行な方向をX軸方向、第2の枝部A2の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする。なお、図1(a)では、第3の枝部A3および第4の枝部A4を第2の枝部A2側に延ばしているが、図1(b)に示すように、第2の枝部A2とは反対の側に延ばした構成としてもよい。
【0022】
このように構成された振動子素子Aに対して、その第2の枝部A2の対向する枝面A21およびA22に励振電極(図示せず)を形成する。また、第3の枝部A3の対向する左右の枝面A31およびA32、表裏の枝面A33およびA34、ならびに第4の枝部A4の対向する左右の枝面A41およびA42、表裏の枝面A43およびA44に検出電極(図示せず)を形成する。そして、第2の枝部A2に形成された励振電極へ交流電圧(励振振動信号)eを印加し、第2の枝部A2をY軸方向へ伸縮振動させる。この励振された伸縮振動によって第1の枝部A1がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって3次モード(3次の屈曲姿態)で屈曲振動する。
【0023】
この場合、第3の枝部A3および第4の枝部A4の形成位置は、第1の枝部A1の3次モードでの屈曲振動に際する腹位置としている。すなわち、第1の枝部A1の3次モードでの屈曲振動に際する節をN1,N2とした場合、第1の枝部A1の一方の端部と節N1との中央位置を第1の腹位置H1とし、第1の枝部A1の他方の端部と節N2との中央位置を第2の腹位置H2とし、第1の腹位置H1に第3の枝部A3を、第2の腹位置H2に第4の枝部A4を形成している。具体的に言えば、枝部A1を3次モードで振動させた場合、第1の枝部A1の長さを「1」とした時、第1の枝部A1の一方の端部からほゞ「0.2」の位置に第3の枝部A3を形成し、ほゞ「0.8」の位置に第4の枝部A4を形成するとよい。また、A1が奇数モードで振動している時、振動の「腹」の部分が同相で振動するので、この部分にA3,A4を形成すればよいが、振幅が大きくとれるのは3次モードであり、以下では3次モードについて記す。
【0024】
第1の枝部A1がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって3次モードで屈曲振動すると、第3の枝部A3および第4の枝部A4は、第1の枝部A1の腹位置H1およびH2に形成されているので、X−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動する。
【0025】
ここで、振動子素子AがZ軸の回りに回転すると、コリオリの力により振動子素子AにX軸方向の振動成分が生じ、第3の枝部A3および第4の枝部A4がX軸方向成分をもって屈曲振動する。このX軸方向成分による屈曲振動により、第3の枝部A3および第4の枝部A4に回転角速度に比例した大きさで、かつ回転方向により位相が変動した形で電荷が発生するために、検出電極からコリオリの力に応じた電圧信号esが得られる。この電圧信号esの大きさによって、Z軸の回りに作用する回転角速度の大きさを知ることができる。また、この電圧信号esの波形と励振振動信号eの波形とを位相比較することにより、その位相の進み遅れで回転角速度の方向を知ることができる。
【0026】
この基本原理では、第2の枝部A2に励振電極を設けて駆動することにより、すなわち第2の枝部A2をY軸方向へ伸縮振動させることにより、第1の枝部A1をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この第1の枝部A1の屈曲振動により第3の枝部A3および第4の枝部A4のX−Y平面に平行なY軸方向への反復移動を誘動しているので、第3の枝部A3および第4の枝部A4の振動方向は純粋にX−Y平面に平行なY軸方向のみの成分をもった振動となり、図9に示した脚部1−1に励振電極2を設けて直接駆動する従来の角速度センサと比較して振動のもれ(励振位相の回転)を小さくすることができる。
【0027】
また、この場合、図4に励振側の温特Tyと検出側の温特Txを示すように、その2つのモードの温特の頂点温度T0t(T0y,T0x)および2次曲線の2次係数が一致しているため、温度変動があってもΔFは一定であり、出力変動の発生がないことから、温度変動による零点ドリフトが防止され、結果的に温特のよい(温度変化に優れた)角速度センサを得ることができる。
【0028】
また、この場合、振動子素子AのZ軸を高さ方向とし、Z軸の回りに作用する回転角速度を検出する構成としているので、高さ方向の薄型化を促進することができる。
【0029】
〔応用例1:第2発明〕
上述した基本原理では駆動する枝部を1つとした。これに対して、応用例1では、図2(a)に示すように、駆動する枝部を2つとする。すなわち、振動子素子Bとして、図1(a)の枝部A1,A2,A3,A4に対応する枝部B1,B2,B4,B5に加え、枝部B3を設ける。この場合、枝部B2を枝部B1のほゞ中央部の板面からこの板面と直交する一方向に延ばしてその先端を支持固定しているのに対し、枝部B3は枝部B1のほゞ中央部の板面からこの板面と直交する他方向に延ばしてその先端を支持固定する。そして、この枝部B3にも枝部B2と同様にして励振電極を形成し、枝部B2およびB3をY軸方向へ逆相(枝部B2が伸びたとき枝部B3が縮み、次にはその逆になるように交互に)で伸縮振動させる。なお、図2(a)では、枝部B4およびB5を枝部B2側に延ばしているが、図2(b)に示すように枝部B3側に延ばした構成としてもよい。
【0030】
〔応用例2:第3発明〕
上述した応用例1では検出用の枝部を2つとした。これに対し、応用例2では、図3に示すように、検出用の枝部を4つとする。すなわち、振動子素子Cとして、図2(a)の枝部B1,B2,B3,B4,B5に対応する枝部C1,C2,C4,C4,C6に加え、枝部C5およびC7を設ける。この場合、枝部C4およびC6を枝部C2,C3の長手方向と平行する一方向に延ばしているのに対し、枝部C5およびC7は枝部C2,C3の長手方向と平行する他方向に延ばす。そして、この枝部C5およびC7にも枝部C4およびC6と同様にして検出電極を形成する。
【0031】
〔実施の形態1〕
図5は上述した基本原理(図1(a))に基づいて作製した角速度センサの要部を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)を裏面側から見た図である。
【0032】
図5において、4は振動子素子(水晶板)、4−1は第1の枝部、4−2は第2の枝部、4−3は第3の枝部、4−4は第4の枝部、4−5は外枠である。第1の枝部4−1はその両端4−1a,4−1bが外枠4−5につながっている。第2の枝部4−2は第1の枝部4−1のほゞ中央部4−1cの枝面4−1dからこの枝面4−1dと直交する方向に延びその先端4−2aが外枠4−5につながっている。
【0033】
第3の枝部4−3は第1の枝部4−1の一方の端部4−1aと中央部4−1cとの間の枝面4−1dから第2の枝部4−2の長手方向と平行する方向に延びている。第4の枝部4−4は第1の枝部4−1の他方の端部4−1bと中央部4−1cとの間の枝面4−1dから第2の枝部4−2の長手方向と平行する方向に延びている。この場合、第1の枝部4−1の長手方向に平行な方向をX軸方向、第2の枝部4−2の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする。
【0034】
このように構成された振動子素子4に対して、その第2の枝部4−2の対向する左右の枝面4−2bおよび4−2cに励振電極5(5−1,5−2)を形成している。すなわち、第2の枝部4−2の枝面4−2bに励振用の電極板5−1を、この枝面4−2bに対向する枝面4−2cに励振用の電極板5−2を形成している。
【0035】
また、第3の枝部4−3の対向する左右の枝面4−3aおよび4−3bに検出用の電極板6−1および6−2を、表裏の枝面4−3cおよび4−3dに検出用の電極板6−3および6−4を形成している。また、第4の枝部4−4の対向する左右の枝面4−4aおよび4−4bに検出用の電極板7−1および7−2を、表裏の枝面4−4cおよび4−4dに検出用の電極板7−3および7−4を形成している。
【0036】
図6は図5における各電極の接続関係を分かり易いように示した結線図であり、図5(a)におけるI−I線断面図に各電極の接続関係を示した図である。すなわち、この角速度センサにおいては、励振用の電極板5−1が端子T1に接続され、励振用の電極板5−2が端子T2に接続されている。また、検出用の電極板6−1と6−2と7−1と7−2が端子T3に共通に接続され、検出用の電極板6−3と6−4と7−3と7−4が端子T4に共通に接続されている。
【0037】
なお、図5では、振動子素子4でのリード電極の引き回し状況を示すために電極パターンを厚くしたが、実際にはスパッタや蒸着などによる薄膜形成が実施されている。しかし、恒弾性金属(例えば、エリンバ)などの材質を使用する場合は薄片に加工された圧電セラミックス板を貼付することもある。
【0038】
また、第3の枝部4−3および第4の枝部4−4の形成位置は、第1の枝部A1の3次モードでの屈曲振動に際する腹位置としている。すなわち、3次モードで振動させた場合、第1の枝部4−1の長さを「1」とした時、第1の枝部4−1の一方の端部4−1aからほゞ「0.2」の位置に第3の枝部4−3を形成し、ほゞ「0.8」の位置に第4の枝部4−4を形成している。
【0039】
〔検出動作〕
端子T1とT2との間に交流電圧(励振振動信号)eを印加する。これにより、励振電極5の電極板5−1と5−2との間に、ある時は図6中に矢印で示す如く電界が発生し、次には逆方向の電界が発生することにより、第2の枝部4−2がY軸方向へ伸縮振動する。この伸縮振動によって第1の枝部4−1がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって3次モード(3次の屈曲姿態)で屈曲振動する。この3次モードの屈曲振動によって、第3の枝部4−3および第4の枝部4−4がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動する。
【0040】
ここで、振動子素子4がZ軸の回りに回転すると、コリオリの力により振動子素子4にX軸方向の振動成分が生じ、第3の枝部4−3および第4の枝部4−4がX軸方向成分をもって屈曲振動する。このX軸方向成分による屈曲振動により、第3の枝部4−3および第4の枝部4−4に回転角速度に比例した大きさで回転方向により位相が変動した形で、電極板(6−1),(6−2)−(6−3),(6−4)、(7−1),(7−2)−(7−3),(7−4)それぞぞの間に対応した電荷が発生する。これにより、電極板6−1,6−2,7−1,7−2を共通に接続した端子T3と電極板6−3,6−4,7−3,7−4を共通に接続した端子T4との間にコリオリの力に応じた電圧信号es が得られる。
【0041】
この電圧信号es の大きさによって、Y軸の回りに作用する回転角速度の大きさを知ることができる。また、この電圧信号es の波形と励振振動信号eの波形とを位相比較することにより、その位相の進み遅れで回転角速度の方向を知ることができる。
【0042】
〔実施の形態2〕
図7は上述した応用例2(図3)に基づいて作製した角速度センサの要部を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)を裏面側から見た図である。
【0043】
図7において、8は振動子素子(水晶板)、8−1は第1の枝部、8−2は第2の枝部、8−3は第3の枝部、8−4は第4の枝部、8−5は第5の枝部、8−6は第6の枝部、8−7は第7の枝部、8−8は外枠である。第1の枝部8−1はその両端8−1a,8−1bが外枠8−8につながっている。第2の枝部8−2は第1の枝部8−1のほゞ中央部8−1cの枝面8−1dからこの枝面8−1dと直交する一方向に延びその先端8−2aが外枠8−8につながっている。第3の枝部8−3は第1の枝部8−1のほゞ中央部8−1cの枝面8−1eからこの枝面8−1eと直交する他方向に延びその先端8−3aが外枠8−8につながっている。
【0044】
第4の枝部8−4は第1の枝部8−1の一方の端部8−1aと中央部8−1cとの間の枝面8−1dから第2の枝部8−2,第3の枝部8−3の長手方向と平行する一方向に延びている。第6の枝部8−6は第1の枝部8−1の他方の端部8−1bと中央部8−1cとの間の枝面8−1dから第2の枝部8−2,第3の枝部8−3の長手方向と平行する一方向に延びている。
【0045】
第5の枝部8−5は第1の枝部8−1の一方の端部8−1aと中央部8−1cとの間の枝面8−1eから第2の枝部8−2,第3の枝部8−3の長手方向と平行する他方向に延びている。第7の枝部8−7は第1の枝部8−1の他方の端部8−1bと中央部8−1cとの間の枝面8−1eから第2の枝部8−2,第3の枝部8−3の長手方向と平行する他方向に延びている。この場合、第1の枝部8−1の長手方向に平行な方向をX軸方向、第2の枝部8−2,第3の枝部8−3の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする。
【0046】
このように構成された振動子素子8に対して、その第2の枝部8−2の対向する左右の枝面8−2bおよび8−2cに励振電極9(9−1,9−2)を形成している。すなわち、第2の枝部8−2の枝面8−2bに励振用の電極板9−1を、この枝面8−2bに対向する枝面8−2cに励振用の電極板9−2を形成している。また、第3の枝部8−3の対向する左右の枝面8−3bおよび8−3cに励振電極10(10−1,10−2)を形成している。すなわち、第3の枝部8−3の枝面8−3bに励振用の電極板10−1を、この枝面8−3bに対向する枝面8−3cに励振用の電極板10−2を形成している。
【0047】
また、第4の枝部8−4の対向する左右の枝面8−4aおよび8−4bに検出用の電極板11−1および11−2を、表裏の枝面8−4cおよび8−4dに検出用の電極板11−3および11−4を形成している。また、第5の枝部8−5の対向する左右の枝面8−5aおよび8−5bに検出用の電極板13−1および13−2を、表裏の枝面8−5cおよび8−4dに検出用の電極板13−3および13−4を形成している。
【0048】
また、第6の枝部8−6の対向する左右の枝面8−6aおよび8−6bに検出用の電極板12−1および12−2を、表裏の枝面8−6cおよび8−6dに検出用の電極板12−3および12−4を形成している。また、第7の枝部8−7の対向する左右の枝面8−7aおよび8−7bに検出用の電極板14−1および14−2を、表裏の枝面8−7cおよび8−7dに検出用の電極板14−3および14−4を形成している。
【0049】
図8は図6における各電極の接続関係を分かり易いように示した結線図である。図8(a)は図7(a)におけるII−II線断面図に各電極の接続関係を示した図であり、図8(b)は図7(a)におけるIII −III 線断面図に各電極の接続関係を示した図である。
【0050】
すなわち、この角速度センサにおいては励振用の電極板9−1が端子T1に、9−2がT2に、10−1がT3に、10−2がT4にそれぞれ接続されている。ここでT1とT3、T2とT4は同一の極性であり、配線の関係で素子の外で接続して2端子としている。
【0051】
また、検出用の電極板11−1、11−2、12−1、12−2、13−3、13−4、14−3、14−4は共通に接続され端子T5に、検出用の電極板11−3、11−4、12−3、12−4、13−1、13−2、14−1、14−2は共通に接続され端子T6として2端子を形成している。
【0052】
なお、図7では、振動子素子8でのリード電極の引き回し状況を示すために電極パターンを厚くしたが、実際にはスパッタや蒸着などによる薄膜形成が実施されている。しかし、恒弾性金属(例えば、エリンバ)などの材質を使用する場合は薄片に加工された圧電セラミックス板を貼付することもある。
【0053】
また、第4の枝部8−4および第6の枝部8−6の形成位置は、第1の枝部8−1の3次モードでの屈曲振動に際する腹位置としている。すなわち、第1の枝部8−1を3次モードで振動させた場合、第1の枝部8−1の長さを「1」とした時、第1の枝部8−1の一方の端部8−1aからほゞ「0.2」の位置に第4の枝部8−4を形成し、ほゞ「0.8」の位置に第6の枝部8−6を形成している。
【0054】
また、第5の枝部8−5および第7の枝部8−7の形成位置は、第1の枝部8−1の3次モードでの屈曲振動に際する腹位置としている。すなわち、第1の枝部8−1を3次モードで振動させた場合、第1の枝部8−1の長さを「1」とした時、第1の枝部8−1の一方の端部8−1aからほゞ「0.2」の位置に第5の枝部8−5を形成し、ほゞ「0.8」の位置に第7の枝部8−7を形成している。
【0055】
〔検出動作〕
端子T1とT2との間および端子T3とT4との間に交流電圧(励振振動信号)eを印加する。これにより、励振電極9の電極板9−1と9−2との間および励振電極10の電極板10−1と10−2との間に、ある時は図8(a),(b)中に矢印で示す如く電界が発生し、次には逆方向の電界が発生することにより、第2の枝部8−2と第3の枝部8−3が逆相(枝部8−2が伸びたとき枝部8−3が縮み、次にはその逆になるように交互に)でY軸方向へ伸縮振動する。この伸縮振動によって第1の枝部8−1がX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって3次モード(3次の屈曲姿態)で屈曲振動する。この3次モードの屈曲振動によって、第4の枝部8−4,第5の枝部8−5,第6の枝部8−6および第7の枝部8−7がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動する。
【0056】
ここで、振動子素子8がZ軸の回りに回転すると、コリオリの力により振動子素子8にX軸方向の振動成分が生じ、第4の枝部8−4,第5の枝部8−5,第6の枝部8−6および第7の枝部8−7がX軸方向成分をもって屈曲振動する。このX軸方向成分をもつ屈曲振動により、第4の枝部8−4,第5の枝部8−5,第6の枝部8−6および第7の枝部8−7に回転角速度に比例した大きさで回転方向により位相が変動した形で、電極板(11−1),(11−2)と(11−3),(11−4)、(12−1),(12−2)と(12−3),(12−4)、(13−1),(13−2)と(13−3),(13−4)、(14−1),(14−2)と(14−3),(14−4)、それぞぞの間に対応した電荷が発生する。
【0057】
これにより、電極板11−1、11−2、12−1、12−2、13−3、13−4、14−3、14−4を共通に接続した端子T5と電極板11−3、11−4、12−3、12−4、13−1、13−2、14−1、14−2を共通に接続した端子T6との間にコリオリの力に応じた交流の電圧信号es が得られる。
【0058】
この電圧信号es の大きさによって、Z軸の回りに作用する回転角速度の大きさを知ることができる。また、この電圧信号es の波形と励振振動信号eの波形とを位相比較することにより、その位相の進み遅れで回転角速度の方向を知ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、第1発明に代表されるように、第2の枝部をY軸方向へ伸縮振動させることより、第1の枝部をX−Y平面に平行でY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この第1の枝部の屈曲振動により第3の枝部および第4の枝部のX−Y平面に平行なY軸方向への反復移動を誘導しているので、第3の枝部および第4の枝部の誘動振動のX軸方向成分がきわめて小さくなり、回転運動が作用しない状態で検出側のヌル電圧を限りなく零にすることができ、すなわち振動のもれ(励振位相の回転)を小さくして回転角速度を高精度で検出することができるようになる。
また、この発明によれば、励振側の温特と検出側の温特では、その2つの振動モードの頂点温度温特のT0tおよび2次曲線の2次係数が一致しているため、温度変動があってもΔFは一定であり、出力変動の発生がないことから、温度変動による零点ドリフトが防止され、結果的に温特のよい(温度変化に優れた)角速度センサを得ることができる。
また、この発明によれば、振動子素子のZ軸を高さ方向とし、Z軸の回りに作用する回転角速度を検出する構成としているので、高さ方向の薄型化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本原理(第1発明)を説明する図である。
【図2】 本発明の応用例1(第2発明)を説明する図である。
【図3】 本発明の応用例2(第3発明)を説明する図である。
【図4】 本発明における励振側の温特Tyと検出側の温特Txを示す図である。
【図5】 基本原理に基づいて作製した角速度センサの要部(実施の形態1)を示す図である。
【図6】 図5における各電極の接続関係を分かり易いように示した結線図である。
【図7】 応用例3に基づいて作製した角速度センサの要部(実施の形態2)を示す図である。
【図8】 図7における各電極の接続関係を分かり易いように示した結線図である。
【図9】 従来の角速度センサの要部を示す図である。
【図10】 この角速度センサにおける励振位相の回転を説明する図である。
【図11】 この角速度センサにおいて励振位相がθ゜回転した場合に検出される回転角速度に誤差が生じる状況を説明する図である。
【図12】 センサの出力を表示される測定値の一例を説明する図である。
【図13】 圧電振動式角速度センサの等価回路を示す図である。
【図14】 従来の角速度センサの励振側の温特Txと検出側の温特Tzを示す図である。
【符号の説明】
A…振動子素子、A1…第1の枝部、A2…第2の枝部、A3…第3の枝部、A4…第4の枝部、B…振動子素子、B1…第1の枝部、B2…第2の枝部、B3…第3の枝部、B4…第4の枝部、B5…第5の枝部、C…振動子素子、C1…第1の枝部、C2…第2の枝部、C3…第3の枝部、C4…第4の枝部、C5…第5の枝部、C6…第6の枝部、C7…第7の枝部、4…振動子素子(水晶板)、4−1…第1の枝部、4−2…第2の枝部、4−3…第3の枝部、4−4…第4の枝部、5(5−1,5−2)…励振電極、6(6−1〜6−4),7(7−1〜7−4)…検出電極、8…振動子素子(水晶板)、8−1…第1の枝部、8−2…第2の枝部、8−3…第3の枝部、8−4…第4の枝部、8−5…第5の枝部、8−6…第6の枝部、8−7…第7の枝部、9(9−1,9−2),10(10−1,10−2)…励振電極、11(11−1〜11−4),12(12−1〜12−4),13(13−1〜13−4),14(14−1〜14−4)…検出電極。

Claims (3)

  1. その両端が支持固定された第1の枝部と、この第1の枝部のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する方向に延びその先端が支持固定された第2の枝部と、前記第1の枝部の一方の端部と中央部との間および他方の端部と中央部との間の枝面から前記第2の枝部の長手方向と平行する方向に延びた第3の枝部および第4の枝部とを備え、前記第1の枝部の長手方向に平行な方向をX軸方向、前記第2の枝部の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする振動子素子と、
    前記第2の枝部の枝面に形成された励振電極により、交流電圧の印加を受けて前記第2の枝部をY軸方向へ伸縮振動させ、この励振された伸縮振動によって前記第1の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この屈曲振動によって更に前記第3の枝部および第4の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動させる励振構造と、
    前記第3の枝部および第4の枝部の枝面に形成された検出電極により、この第3の枝部および第4の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動しているとき、前記振動子素子がZ軸の回りに回転した場合、この第3の枝部および第4の枝部が慣性により生じるX軸方向成分による屈曲振動によって生ずる電荷を取り出す検出構造と
    を備えたことを特徴とする角速度センサ。
  2. その両端が支持固定された第1の枝部と、この第1の枝部のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する一方向および他方向に延びその先端が支持固定された第2および第3の枝部と、前記第1の枝部の一方の端部と中央部との間および他方の端部と中央部との間の枝面から前記第2,第3の枝部の長手方向と平行する方向に延びた第4の枝部および第5の枝部とを備え、前記第1の枝部の長手方向に平行な方向をX軸方向、前記第2,第3の枝部の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする振動子素子と、
    前記第2の枝部および第3の枝部の枝面に形成された励振電極により、交流電圧の印加を受けて前記第2の枝部および第3の枝部をY軸方向へ伸縮振動させ、この励振された伸縮振動によって前記第1の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この屈曲振動によって更に前記第4の枝部および第5の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動させる励振構造と、
    前記第4の枝部および第5の枝部の枝面に形成された検出電極により、この第4の枝部および第5の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動しているとき、前記振動子素子がZ軸の回りに回転した場合、この第4の枝部および第5の枝部が慣性により生じるX軸方向成分による屈曲振動によって生ずる電荷を取り出す検出構造と
    を備えたことを特徴とする角速度センサ。
  3. その両端が支持固定された第1の枝部と、この第1の枝部のほゞ中央部の枝面からこの枝面と直交する一方向および他方向に延びその先端が支持固定された第2および第3の枝部と、前記第1の枝部の一方の端部と中央部との間の枝面から前記第2,第3の枝部の長手方向と平行する一方向および他方向に延びた第4の枝部および第5の枝部と、前記第1の枝部の他方の端部と中央部との間の枝面から前記第2,第3の枝部の長手方向と平行する一方向および他方向に延びた第6の枝部および第7の枝部とを備え、前記第1の枝部の長手方向に平行な方向をX軸方向、前記第2,第3の枝部の長手方向に平行な方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向と平行な方向をZ軸方向とする振動子素子と、前記第2の枝部および第3の枝部の枝面に形成された励振電極により、交流電圧の印加を受けて前記第2の枝部および第3の枝部をY軸方向へ伸縮振動させ、この励振した伸縮振動によって前記第1の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ振幅をもって屈曲振動させ、この屈曲振動によって更に前記第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部をX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動させる励振構造と、
    前記第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部の枝面に形成された検出電極により、この第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部がX−Y平面に平行にY軸方向へ反復移動しているとき、前記振動子素子がZ軸の回りに回転した場合、この第4の枝部,第5の枝部,第6の枝部および第7の枝部が慣性により生じるX軸方向成分による屈曲振動によって生ずる電荷を取り出す検出構造と
    を備えたことを特徴とする角速度センサ。
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