JP3734558B2 - コンバインの排出オーガの伸縮機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインのグレンタンクからトラックの荷台等へ籾の排出作業をする排出オーガの伸縮機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からコンバインの座席後部にグレンタンクを配置し、穀稈を刈り取り、脱穀し、選別した後の精粒をグレンタンクに貯留し、グレンタンクがいっぱいになったり、その圃場の刈り取りが終了すると、排出オーガによって、トラックの荷台や乾燥機等に排出していた。この排出オーガはグレンタンクの側部に回動基部を設け、排出オーガを上下に回動したり、左右に回動させて、任意の位置へ排出オーガの排出口を移動できるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の排出オーガの長さは一定であり、コンバイン本機の全長よりも短くして機体の範囲内の長さとしており、長くするためには延長オーガを取り付けることもできるが、機体幅より長くなって、走行時に障害物に当たったり、収納時にはみ出したりして、使用しずらかった。
また、図6に示すように、クレンタンク3より排出オーガ19を用いて籾をトラックTの荷台に排出するときに、コンバインとトラックとの間に畦や川等がある場合に、排出口が届き難いことがあり、また、排出口を一定にしておくと荷台上に堆積する籾は山のようになって、荷台の隅まで堆積させることができず、均一に堆積させるように排出オーガを上下左右に旋回させるが、左右に旋回させると排出口がはみ出したり、上下へ回動すると籾が飛散したりして、機体を移動させないと所望位置に排出できないときがあり、その作業は大変面倒であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
コンバインの上方に配置した排出オーガ19を、筒状に構成した固定オーガ11と、該固定オーガ11の外周に摺動自在に嵌合された可動オーガ32により、伸縮可能に構成し、該固定オーガ11の外周上に伸縮駆動モーターMを配設し、該伸縮駆動モーターMの駆動軸50を、固定オーガ11の軸芯方向と平行状に前方に突出し、該駆動軸50の前端に螺子棒51を固設し、該螺子棒51は、外周面に螺子部を構成し、他方、前記可動オーガ32の外周面の後部上方に係合部53を固設し、該係合部53には前後方向に軸芯を有するねじ孔53aを開口し、前記螺子棒51をネジ孔53aに螺合させて挿入し、前記可動オーガ32は、前部下方に排出口9を形設し、後部は半径方向に径を一段大きくするガイド筒36を形設し、該ガイド筒36の外周に前記係合部53を設け、また、該ガイド筒36の内周面にガイド部31を配設し、該ガイド部31には軸芯を接線方向に有するローラー37を枢支して、ローラー37のガイド面を中央方向に向けて、固定オーガ11の筒体12の外周面に接当させ、該ガイド筒36の内周面と筒体12の外周面の間の前後位置に、二組のガイド部31・31を配設したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の伸縮自在な排出オーガを装着したコンバインの側面図、図2は本発明の排出オーガを示す側面図、図3は可動オーガを固定オーガの基部まで摺動した状態の排出オーガの側面図断面図、図4は前方に移動させた状態の可動オーガを示す側面図断面図、図5は固定オーガの嵌合状態を示す後面断面図、図6はトラックの荷台に籾を放出する状態のコンバインの平面図である。
【0007】
まず、図1を用いてコンバインの全体構成を説明する。
クローラー式走行装置1に機体フレーム2を載置し、この機体フレーム2の進行方向右側前部に運転部Aを配置し、この運転部Aには運転シート60を配設し、この運転シート60の前部にフロントコラム61を立設している。このフロントコラム61上には操向操作を行う操作レバー62を上方へ突出し、上面には表示パネル64を設けて、バッテリーの電圧や水温や油圧等の異常がないかを表示できるようにし、更に、グレンタンク3内部の籾の量を表示するようにしている。
前記運転シート60の側方にはサイドコラム65を配設し、上面に主変速レバー63や作業レバー等を突出している。機体フレーム2の進行方向左側前方に引起し・刈取装置Bを配置して、穀稈を引き起して株元を刈刃によって刈り取り、搬送装置によって後方へ搬送する。引起し・刈取装置Bの後部には脱穀装置Dが配置され、搬送装置によって搬送された穀稈の株元を図示せぬフィードチェーンによって挟持して後方へ搬送しながら、扱胴6によって脱粒する。
【0008】
前記脱穀装置Dで脱粒し、選別後の籾は図示せぬコンベアを介してグレンタンク3内部に搬送される。該グレンタンク3内の下部には排出コンベア16が前後方向に設けられ、この排出コンベア16の後端は縦コンベア18の下端に連通されて、この縦コンベア18は中途部でケースが同軸上で回転可能に構成されて、この縦コンベア18上部は排出オーガ19の回動基部15に連通され、排出オーガ19が上下方向に回動可能に設けられている。この排出オーガ19の先端部下面に排出口9を形設している。
【0009】
各コンベア16・18内部にスクリューを配置しており、それぞれのスクリュー軸の端部において歯車やベベルギア等を配置して、連動連結しており、エンジンEの出力軸より運転シート60下方の伝動ケースに動力が伝えられて排出コンベア16が駆動され、該排出コンベア16の後部より縦コンベア18の下部に動力を伝達して、該縦コンベア18の上端より排出オーガ19の回動軸13に動力が伝えられて駆動され、グレンタンク3内に貯留した籾を排出できるようにしている。
【0010】
次に、本発明の伸縮可能とする排出オーガ19について説明する。
排出オーガ19は固定オーガ11と可動オーガ32からなり、固定オーガ11の基部側は回動基部15によって縦コンベア18上端に連通支持され、該固定オーガ11の先端に可動オーガ32が摺動可能に外嵌されている。該固定オーガ11及び可動オーガ32はパイプ状に構成して、固定オーガは、図2に示すように、後述する搬送バネ40と、該搬送バネ40を内装する筒体12とにより構成されている。該筒体12の基部15の内壁より中心方向に支持板46を突出し、該筒体12の軸芯上で搬送駆動軸39を枢支している。該搬送駆動軸39の基部端には縦コンベア3内の回転軸と連動連結する一方、搬送駆動軸39の先端には搬送バネ40の固設体38を配設しており、縦コンベア3の動力を搬送駆動軸39を介して搬送バネ40に伝達している。前記筒体12の先端部は開放し、筒体12の先端部外周面にはリング管13を外嵌してシールしている。
【0011】
一方、可動オーガ32は、図4に示す如く、固定オーガ11の先端部を被装し、本体を構成する支持筒33と固定オーガ11の筒体12内部に嵌合する搬送筒34とによって二重構成としている。前記支持筒33は、前部を前部壁35で被装し、支持筒33の前部下方に排出口9を形設している。前記支持筒33の後部は半径方向に径を一段大きくするガイド筒36を形設している。該ガイド筒36は図5に示す断面視の如く、内周面にガイド部31・31・・・を配設している。該ガイド部31には軸芯を接線方向に有するローラー37を枢支して、ローラー37のガイド面を中央方向に向けて突出している。更に、前記ガイド部31・31をガイド筒36の前後に二組のガイド部31・31を配設している。
なお、本実施例においては、ガイド部31・31・・・を円周方向に90°毎に四組配設しているが、配設する個数を限定するものではなく、三組または六組を配設することもできる。
【0012】
また、前記搬送筒34は、支持筒33より径を小さくしており、筒体12の内周面と嵌合する大きさに形設している。該搬送筒34を前部壁35の内側面に固設し、搬送筒34の前部下部には投入孔34aを開口しており、該投入孔34aから排出口9を介して外部に続いている。
【0013】
そして、前記可動オーガ32のガイド筒36の内部に固定オーガ11の筒体12を挿入すると、該筒体12の外周面を前記ガイド部31・31・・・のローラー37・37・・・の間位置に嵌合して、固定オーガ11の軸芯と可動オーガ32の軸芯を一致するように保持し、前後に配設するガイド部31・31によって可動オーガ32を上下方向に傾けることなく摺動可能にしている。一方、固定オーガ11の筒体12の内周面には搬送筒34を嵌入しており籾の搬送経路を確保している。
従って、図4に示す如く、可動オーガ32を固定オーガ11の基部まで外嵌すると、二重構造である可動オーガ32の支持筒33と搬送筒34の間を筒体12を挿入するようにしている。
なお、本実施例においては、可動オーガ32を二重構成にして、内側のパイプ状である搬送筒34を筒体12に摺動自在に嵌挿する構成にしているが、支持筒33を筒体12の外周面に摺動自在に外嵌する構成にすることもできる。
【0014】
そして、固定オーガ32の後部上面には伸縮駆動アクチュエーターを配置し、該伸縮駆動アクチュエーターを駆動することによって可動オーガ32を移動させて、任意長さに伸縮できるようにしている。即ち、図3〜図5に示すように、伸縮駆動アクチュエーターとして伸縮駆動モーターMを固定オーガ11の筒体12の基部側の上面に配設し、該伸縮駆動モーターMは運転席より正逆回転操作できるように、運転部A近傍に図示しない正逆回転スイッチを設けて、伸縮駆動モーターMを正逆回転して、排出オーガ19を伸縮できるようにしている。該駆動モーターMの駆動軸50を固定オーガ11の軸芯方向と平行状に前方に突出し、該駆動軸50の前端に螺子棒51を固設している。該螺子棒51は、外周面に螺子溝を穿設し、螺子棒51の他端を更に前方に突出している。
一方、前記可動オーガ32のガイド筒33の外周面の後部上方に係合部53を固設しており、該係合部53には前後方向に軸芯を有するねじ孔53aを開口し、螺子棒51をネジ孔53aに螺合させながら挿入している。また、前記螺子棒51の前端部には張出規制ナット54を螺装固定し、螺子棒51の基端側にも縮小規制ナット55を螺装固定している。
【0015】
そして、図3に示すように、可動オーガ32を固定オーガ11の基部まで嵌挿している排出オーガ19の収縮状態においては、前記螺子棒51のモーター側端部位置に係合部53を係合しており、駆動モーターMを駆動して螺子棒51を回動すると、ネジ溝に従って係合部53を前方に移動させるので、可動オーガ32を前方へ摺動できる。
そして、図4に示す如く、ガイド筒36を筒体12の端部まで移動して、係合部53を張出規制ナット54に当接することで、螺子棒51の回動を停止し、可動オーガ19の前方への摺動を止めて、排出オーガ19を伸長させた状態にしている。
同様に、駆動モーターMを逆回転させることで、係合部53を螺子棒51の基部側に移動させることで、可動オーガ32を移動させており、係合部53を縮小規制ナット55に当接する位置で、可動オーガ32の移動を規制し、排出オーガ19を収縮した状態で止めることができる。
【0016】
但し、本実施例においては、螺子棒51に係合する係合部53を移動させる構成にしているが、可動オーガ32の後端部より後方にラックを突出し、固定オーガ11側にラックと係合するギアを固設する構成にすることもできる。更に、螺子棒51を固設する駆動軸50の基端部にトルクリミッターを介装して駆動モーターMと連動させることによって、係合部53と規制ナット54・55とが当接して、駆動軸50に規定トルクが働くことによって、駆動モーターMの駆動を停止する構成にすることもできる。
【0017】
また、前記可動オーガ32の前部壁35の搬送筒34の軸芯上に従動軸41を枢支し、該従動軸41の可動オーガ32の軸芯方向に向かって後方に突出している。前記従動軸41の端部には、固定オーガ11の基端部に配設する固設体38と同様の固設体42を配設している。これらの固設体38・42は従動軸41又は搬送駆動軸39の半径方向に固定板43を突出し、該固定板43と平行状に圧接板44を配設しており、該固設板43と圧接板44との間に前記搬送バネ40の端部を挟み込み、ボルトを用いて圧着し、搬送バネ40を固定している。該搬送バネ40は前記固定オーガ11の基部位置に配設する固設体38より筒体12の内周面に沿って螺旋状に前方に延出し、筒体12の途中部より搬送筒34の内部に挿入されて、搬送筒34の内周面に沿って螺旋状に前方に延出し、可動オーガ32の前端部に配設した固設体42に搬送バネ40の先端部を固定している。
【0018】
このように構成することによって、可動オーガ32を固定オーガ11の基部まで外嵌して排出オーガ19を収縮している状態には、搬送駆動軸39の回動と連動して搬送バネ40を回動して、筒体12より搬送筒34に籾を受渡し、更に前方に搬送して投入孔34aを介して排出口9より籾の排出を可能にしている。
また、前記駆動モーターMを駆動して可動オーガ32を前方に移動させて、固定オーガ11の筒体12の内部に嵌挿していた搬送筒34を前方に摺動させると、搬送バネ40の螺旋ピッチが図3に示すP1より図4に示すP2へと各ピッチが長くなり、搬送バネ40の全長を排出オーガ19に合わせて伸長している。
このように伸長した状態の搬送バネ40に搬送駆動軸39の回動を伝達しても、搬送バネ40に十分に大きな断面形状を持たせているので途中で折れ曲がる事はなく、搬送バネ40の前部まで動力を伝達しており、内部の籾を前方に搬送して、排出口9より放出できるようにしている。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。 コンバインの上方に配置した排出オーガ19を、筒状に構成した固定オーガ11と、該固定オーガ11の外周に摺動自在に嵌合された可動オーガ32により、伸縮可能に構成し、該固定オーガ11の外周上に伸縮駆動モーターMを配設し、該伸縮駆動モーターMの駆動軸50を、固定オーガ11の軸芯方向と平行状に前方に突出し、該駆動軸50の前端に螺子棒51を固設し、該螺子棒51は、外周面に螺子部を構成し、他方、前記可動オーガ32の外周面の後部上方に係合部53を固設し、該係合部53には前後方向に軸芯を有するねじ孔53aを開口し、前記螺子棒51をネジ孔53aに螺合させて挿入し、前記可動オーガ32は、前部下方に排出口9を形設し、後部は半径方向に径を一段大きくするガイド筒36を形設し、該ガイド筒36の外周に前記係合部53を設け、また、該ガイド筒36の内周面にガイド部31を配設し、該ガイド部31には軸芯を接線方向に有するローラー37を枢支して、ローラー37のガイド面を中央方向に向けて、固定オーガ11の筒体12の外周面に接当させ、該ガイド筒36の内周面と筒体12の外周面の間の前後位置に、二組のガイド部31・31を配設したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、可動オーガ32のガイド筒36の内部に固定オーガ11の筒体12を挿入すると、該筒体12の外周面を前記ガイド部31のローラー37・37・・・の間の位置に嵌合して、固定オーガ11の軸芯と可動オーガ32の軸芯を一致するように保持し、前後に配設するガイド部31・31によって可動オーガ32を上下方向に傾けることなく摺動可能にしている。
また、固定オーガ11側に配設するアクチュエーターの駆動軸に沿って、軸心の異なる可動オーガ32を前後にスムーズに摺動移動できるのである。また、ガイド部31のローラー37により、可動オーガ32を円周方向への回動を規制 することが出来るのである。これにより、運転席等の遠隔操作により伸縮駆動モーターMを駆動して可動オーガ32をスムーズに伸縮させて、任意の位置に排出でき、排出範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の伸縮自在にした排出オーガを装着するコンバインの側面図である。
【図2】 本発明の排出オーガを示す側面図である。
【図3】 可動オーガを固定オーガの基部まで嵌合させた状態の側面図断面図である。
【図4】 前方に移動させた状態の可動オーガを示す側面断面図である。
【図5】 固定オーガの嵌合状態を示す後面断面図である。
【図6】 トラックの荷台に籾を放出する状態のコンバインの平面図である。
【符号の説明】
M 駆動モーター
3 グレンタンク
11 固定オーガ
19 排出オーガ
31 ガイド部
32 可動オーガ
34 ガイド筒
40 搬送バネ
51 螺子棒
Claims (1)
- コンバインの上方に配置した排出オーガ19を、筒状に構成した固定オーガ11と、該固定オーガ11の外周に摺動自在に嵌合された可動オーガ32により、伸縮可能に構成し、
該固定オーガ11の外周上に伸縮駆動モーターMを配設し、該伸縮駆動モーターMの駆動軸50を、固定オーガ11の軸芯方向と平行状に前方に突出し、該駆動軸50の前端に螺子棒51を固設し、該螺子棒51は、外周面に螺子部を構成し、
他方、前記可動オーガ32の外周面の後部上方に係合部53を固設し、該係合部53には前後方向に軸芯を有するねじ孔53aを開口し、前記螺子棒51をネジ孔53aに螺合させて挿入し、
前記可動オーガ32は、前部下方に排出口9を形設し、後部は半径方向に径を一段大きくするガイド筒36を形設し、該ガイド筒36の外周に前記係合部53を設け、
また、該ガイド筒36の内周面にガイド部31を配設し、該ガイド部31には軸芯を接線方向に有するローラー37を枢支して、ローラー37のガイド面を中央方向に向けて、固定オーガ11の筒体12の外周面に接当させ、該ガイド筒36の内周面と筒体12の外周面の間の前後位置に、二組のガイド部31・31を配設したことを特徴とするコンバインの排出オーガの伸縮機構。
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