JP3734349B2 - 表面処理炭酸カルシウム粉体、その製造方法並びに該粉体を配合してなる樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面処理炭酸カルシウム粉体、その製造方法並びに該粉体を配合してなる湿気硬化一液型樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、特に、優れたチキソ性及び耐スランプ性並びに良好な貯蔵安定性を付与し、さらにウレタンにおいては、硬化時のクラックや気泡の発生がほとんどない、湿気硬化一液型樹脂に有用な表面処理炭酸カルシウム粉体、その製造方法並びに該粉体を配合してなる湿気硬化一液型樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
湿気硬化一液型樹脂はシーリング材、接着剤、床材、塗料等の幅広い用途に使用されている。この中のシーリング材においては、建築、自動車、床材等の分野で防水、シール等の目的で広く使用されている。これらの用途で湿気硬化一液型樹脂組成物(以下、一液型樹脂組成物と略記する)は、二液型樹脂組成物に比べ施工時に二液各々の成分を混合する必要がなく、従って混合技術が不要で、作業時間が短縮できる等施工上大きな利点を有していることから、生産量が急激に伸びている。一液型樹脂組成物は、目地材、シーリング材等の用途においては垂直部分に施工されることも多く、当然のこととして、施工から硬化するまでの間たれないことが必要であり、これは施工時の作業性に影響することもあって、高いチキソ性と耐スランプ性を備えていなければならない。
【0003】
これら特性を付与するため、従来からコロイド状シリカ、炭酸カルシウム等が使用されている。しかしながら、これらのチキソ性付与剤は、貯蔵中の増粘、硬化時の接着界面における発泡及びクラックの発生等多くの問題を包含しているのが現状である。
例えばコロイド状シリカにおいては、特公昭45−41110、特公昭53−5899等、従来より多くの提案がなされ、その優秀性も認められるところではあるが、このコロイド状シリカにおける欠点として、硬化後のモジュラスが非常に高く被接着物への追随性が悪い、微量で高いチキソ性が出るため微妙な粘性調整が困難、耐候性が悪い、硅肺の恐れがあり労働衛生上の取り扱いが困難等があげられ問題点も多い。
【0004】
また炭酸カルシウムにおいても、一般に重質炭酸カルシウムと呼ばれる原料石灰石を粉砕・分級しただけのものでは、粗大粒子が残存し仕上がり感が悪い、十分なチキソ性が出ない等物性的に不十分であり、一方、沈降製炭酸カルシウムを含む表面処理炭酸カルシウムでは、従来技術の範疇にあるものは、初期のチキソ性は出るものもあるが、空気中の水分で硬化する機構の一液型樹脂組成物においては、炭酸カルシウム表面に吸着した水分が十分に除去されずに残るものは、その水分で反応が開始され、また一般の表面処理剤、例えば脂肪酸・樹脂酸のアルカリ金属塩、ABS等の界面活性剤で表面処理されたものにおいては、これらとの反応により、貯蔵安定性が極端に悪化したり、発泡、クラックの原因ともなっている。
【0005】
これらの中にあって、特開平2−38309において、脂肪酸エステルで表面処理してなる炭酸カルシウムが提案されており、この技術によれば上記問題点の相当程度が解消され、一液型樹脂組成物の代表であるシーリング材の伸長においてかなり有利な方向性が見出されている。
しかしながら、この技術においても表面処理時の条件によってはチキソ性、貯蔵安定性、発泡等の物性において不十分な場合があり、更なる改善が強く望まれているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状に鑑み、表面処理粉体のある特性値を把握することにより、優れたチキソ性及び耐スランプ性並びに良好な貯蔵安定性が満足され、さらにウレタンにおいては硬化時のクラックや気泡の発生がほとんどない、湿気硬化一液型樹脂に特に有用な表面処理炭酸カルシウム粉体及び製造方法並びにそれを配合してなる湿気硬化一液型樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決せんとして鋭意検討を重ねた結果、特定の方法により測定された沈降度が特定の範囲にある表面処理炭酸カルシウムを用いることにより、前述の種々問題点を解決した優れた物性を有する一液型樹脂組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の第1は、炭酸カルシウムの水懸濁液を調製し、該懸濁液の粘度(B型粘度計、60 rpm )が1000 cp 以上で前記炭酸カルシウムを脂肪酸エステルにより、該脂肪酸エステルの融点以上の温度で攪拌することにより表面処理した後、水懸濁液の状態で該脂肪酸エステルの融点以上で6時間以上240時間以下の間保持することにより、脂肪酸エステルからなる表面処理剤で表面処理され、下記の測定方法による沈降度が10ml以下であることを特徴とする湿気硬化一液型樹脂用表面処理炭酸カルシウム粉体を内容とするものである。
[沈降度]
(1)100mlの有栓メスシリンダーに25℃の水を70ml入れ、試料炭酸カルシウム粉体を7g加える。
(2)振幅4cm、320サイクル/分のシェーカーを使用し、(1)で得られる混合物を15分間振動させる。
(3)振動後10分間静置したのちの沈降物の見掛け容積をメスシリンダーの目盛りにて読みとり沈降度とする。
【0009】
また本発明の第2は、このような特定の物性を有する表面処理炭酸カルシウム粉体の製造方法、更に本発明の第3は、このような特定の物性を有する表面処理炭酸カルシウム粉体を配合してなる湿気硬化一液型樹脂組成物をそれぞれ内容とするものである。
【0010】
本発明でいう沈降度とは、表面処理炭酸カルシウム粉体の水への馴染み難さの指標であって、言い換えれば、決められた重量の炭酸カルシウム粉体のうち表面が疎水化されているものがどの程度の割合であるかの指標である。
すなわち一液型樹脂組成物においては、配合される炭酸カルシウムの表面が表面処理剤により疎水化されればされる程、カルシウムイオンの露出が低減されるとともに炭酸カルシウム表面に吸着する水分量が減少し、吸着水分により低下する物性と考えられる貯蔵安定性、発泡等が改善される。また、一液型樹脂に配合する前に炭酸カルシウムを加熱することにより吸着水分を除去する際にも、配合される炭酸カルシウムの表面が疎水化される程水分除去が容易となり、上記物性が改善される。従って、一液型樹脂組成物を調製するにあたって、使用する炭酸カルシウムの表面疎水度合いを規定することが貯蔵安定性を良好とし、発泡、クラックの発生を抑える上で最も重要である。この表面疎水度合いを規定する方法として上記沈降度の測定が有効である。
【0011】
沈降度が10mlを越えると表面疎水化が不十分であるため貯蔵安定性が不良となり、発泡、クラック等も発生し易くなる。従って沈降度は10ml以下にすべきで、好ましくは5ml以下、より好ましくは0ml、すなわち沈降物を皆無とすることである。
【0012】
表面処理炭酸カルシウム粉体の沈降度を10ml以下とするには、表面処理剤として脂肪酸エステルを選定するのが有望である。この脂肪酸エステルについては特に制限はないが、それを構成する脂肪酸の炭素数は出来るだけ多い高級脂肪酸であるほうが貯蔵安定性に加え高いチキソ性、耐スランプ性を兼ね備えることが期待できる。具体的には炭素数が8以上であるのが好ましい。また、もう一方の構成成分であるエステル基についても、脂肪酸部分と同様特に制限はないが、出来るだけ炭素数が多いほど高チキソ性、耐スランプ性に有利である。
このような脂肪酸エステルとしては、例えばステアリン酸ステアレート、ステアリン酸ラウレート、パルミチン酸ステアレート、パルミチン酸ラウレート等が例示される。また一価のアルコールから生成されるエステルのみならず、グリセリン等の多価アルコールから生成する脂肪酸エステルでも同様の効果が期待できる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用される。
【0013】
ただし、炭酸カルシウムに単に脂肪酸エステルを投入し混合するだけでは所望の沈降度を得ることができない場合があり、好ましくは以下の3つの方法を組み合わせて行うのが良い。
【0014】
まず、第1の方法として、表面処理剤により炭酸カルシウムを表面処理した後に、水懸濁液の状態で該表面処理剤の融点以上の温度で6時間以上240時間以下、好ましくは6時間以上120時間以下の間保持することである。この保持により、均一で十分な処理剤の吸着がなされる。この保持時間が6時間未満では十分な処理剤の吸着がなされない場合があり、やはり一液型樹脂組成物の貯蔵安定性等に不都合が生じる場合がある。またこの保持時間が240時間以上となると後述する表面処理剤の加水分解が進行し、これも貯蔵安定性を悪化させる要因となる。
【0015】
第2の方法として、炭酸カルシウムを表面処理するにあたり、表面処理時の温度を表面処理剤の融点以上で十分撹拌処理することである。表面処理温度が表面処理剤の融点以下では、いくら強力に撹拌しても表面処理剤が炭酸カルシウム個々の粒子表面に吸着されないことが多く、両者が混合されている状態に止まり、たとえその後の粉体に融点以上の熱を与え表面処理剤を溶融させたとしても全体系に万遍なく吸着させることはできず、一液型樹脂組成物の貯蔵安定性等に不都合が生じることがある。表面処理時間は通常30分〜1時間程度である。
【0016】
さらに第3の方法として、炭酸カルシウムを表面処理するにあたり、炭酸カルシウムの水懸濁液を調製し、表面処理時の該懸濁液の粘度(B型粘度計、60rpm )を1000cp以上とすることである。これにより表面処理剤が均一に系内に分散し、炭酸カルシウム個々の粒子との接触機会が増え表面への吸着がより均一となる。該懸濁液の粘度が1000cpを下回ると、表面処理剤と炭酸カルシウムが分離することがあり、最終的に処理剤の吸着が不均一となり、これも一液型樹脂組成物の貯蔵安定性等に不都合が生じる場合がある。
【0017】
さらに、表面処理剤として脂肪酸エステルを使用する場合に留意すべきことは、これらエステルが加水分解により変質することがあるということである。表面処理剤が加水分解を起こすと酸成分とアルコールとなるため、貯蔵安定性が低下する。このため、表面処理剤が出来るだけ加水分解しないよう操作すべきである。表面処理剤全体に占める脂肪酸エステルの比率が70重量%未満となると、貯蔵安定性が極端に悪くなる。
【0018】
このようにして表面処理された炭酸カルシウムは、通常の操作によって乾燥、解砕され表面処理炭酸カルシウム粉体とすることができる。
【0019】
本発明で使用する炭酸カルシウムは特に制限されず所望の一液型樹脂組成物の物性によって選択すればよいが、例えば石灰石を原料とし粉砕、分級により所望の粒度とするいわゆる重質炭酸カルシウム、石灰石を一旦焼成し生石灰とし、それを水和により調製した消石灰の水懸濁液中に炭酸ガスを導通して製造する沈降製炭酸カルシウム、炭酸塩溶液とカルシウム塩溶液を反応させて製造する溶液法炭酸カルシウム等目的に応じて種々選択可能である。しかし、高いチキソ性と良好な耐スランプ性を得るためには、好ましくはBET比表面積8m2/g以上、より好ましくは15m2/g以上の炭酸カルシウムが用いられる。さらに好ましくは、より高いBET比表面積が得られる沈降製炭酸カルシウムの方が望ましい。重質炭酸カルシウムや、沈降製炭酸カルシウムであってもBET比表面積が8m2/g未満の場合は高い粘性を付与するのが困難であるので好ましくない。
【0020】
本発明の表面処理炭酸カルシウムが配合される一液型樹脂としては特に制限はなく、例えばポリウレタン、ポリサルファイド、シリコーン、変性シリコーン等が例示され、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、用途もシーリング材、接着剤、床材、塗料等が例示される。
本発明の炭酸カルシウムの一液型樹脂への配合部数は、樹脂の種類や用途によって異なるが、例えばポリウレタン一液型の場合は樹脂100重量部に対して20〜150重量部が好ましく、より好ましくは40〜100重量部程度である。20重量部未満では本発明の目的とする効果が十分でなく、また150重量部を越えると粘度が高くなりすぎ作業性が悪くなる場合がある。
【0021】
貯蔵安定性については水分が大きく関与するため、使用する前に乾燥させれば尚一層確実なものになる。乾燥条件としては、例えば100℃前後で数時間オーブン等に放置すればよい。
本発明の組成物については、上記以外に粘性、その他の物性を調整するために、コロイド状シリカ、タルク、カオリン、ゼオライト、樹脂バルーン、ガラスバルーン等の充填剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の可塑剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ブタン等の脂肪族炭化水素、ガソリン等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、セロソルブアセテート等のエーテルエステル等に例示される溶剤、シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル等の添加剤、その他必要に応じて種々の添加剤、着色剤等を1種又は2種以上添加することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約を受けるものではない。
なお、沈降度以外の測定又は評価については、下記の試験方法によりポリウレタン一液型シーリング材を作成することにより行った。
【0023】
〔試験方法〕
[配合]
樹脂(タケネートL1004、武田薬品工業株式会社製) 150重量部
試料 表面処理炭酸カルシウム 100重量部
[混練方法]
上記配合物を小型ニーダーで混練してシーリング材を作成した。
[粘度測定法]
B8U型粘度計を使用した(ロータはNo.7)。
[水分測定法]
110℃で2時間乾燥後、カールフィッシャー水分計で測定した。
[貯蔵安定性試験法]
50℃のオーブン中に4週間放置した。
[耐スランプ性]
垂直に施工した状態を目視で判定した。
○:耐スランプ性良好である。
×:耐スランプ性不良である。
[クラック]
シーラント硬化後表面の状態を目視で判定した。
○:クラックあり。
×:クラックなし。
【0024】
実施例1
濃度160gCaCO3 /リットル、温度を60℃に調整した、BET比表面積30m2/g、スラリー粘度2000cpの沈降製炭酸カルシウムの水スラリー10リットルに対して80gのステアリルグリセリンエステルを加えて1時間強攪拌し、表面処理を行った。表面処理後、静置してこの炭酸カルシウムスラリーを60℃以上で6時間保持した後、脱水、乾燥、粉砕して沈降度0mlの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表1及び表3に示す。
【0025】
実施例2
実施例1で表面処理剤ステアリルグリセリンエステルをステアリルステアレートに変更し、処理温度60℃を62℃に変更した以外は全て実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度0mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表1及び表3に示す。
【0026】
実施例3
実施例1でスラリー粘度2000cpを1500cpに変更し、表面処理後の保持時間を168時間に変更した以外は全て実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度0mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表1及び表3に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
比較例1
実施例1でスラリー粘度2000cpを100cpに、表面処理剤ステアリルグリセリンエステルをステアリルステアレートに、処理温度60℃を62℃に、保持時間6時間を0時間に変更した以外は全て実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度11mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表2及び表3に示す。
【0029】
比較例2
実施例1でスラリー粘度2000cpを100cpに、保持時間6時間を0時間に変更した以外は全て実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度11mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表2及び表3に示す。
【0030】
比較例3
実施例1でスラリー温度60℃を50℃に、表面処理後50℃で保持時間1時間に変更した以外は全て実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度18mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表2及び表3に示す。
【0031】
比較例4
実施例1で表面処理剤ステアリルグリセリンエステルをステアリルステアレートに、処理温度60℃を62℃に、表面処理後の保持時間6時間を300時間に変更した以外は実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度17mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表2及び表3に示す。
【0032】
比較例5
実施例1で表面処理剤ステアリルグリセリンエステルをアビエチン酸ソーダに、スラリー粘度2000cpを1500cpに変更した以外は実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度15mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表2及び表3に示す。
【0033】
比較例6
実施例1で40gのステアリルグリセリンエステルと40gのアビエチン酸ソーダを併用して表面処理を行った以外は全て実施例1と同様とした。得られた表面処理炭酸カルシウム粉体は沈降度14mlであった。この粉体をさらに110℃で2時間乾燥させた後、前記試験方法により1液ポリウレタンシーリング材を作成してその効果をテストした。結果を表2及び表3に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】
叙上のとおり、本発明の表面処理炭酸カルシウム粉体は、特に湿気硬化一液型樹脂組成物に有用で、貯蔵安定性、作業性、耐スランプ性、クラックにおいて優れた湿気硬化一液型樹脂組成物を提供することができる。
Claims (5)
- 炭酸カルシウムの水懸濁液を調製し、該懸濁液の粘度(B型粘度計、60 rpm )が1000 cp 以上で前記炭酸カルシウムを脂肪酸エステルにより、該脂肪酸エステルの融点以上の温度で攪拌することにより表面処理した後、水懸濁液の状態で該脂肪酸エステルの融点以上で6時間以上240時間以下の間保持することにより、脂肪酸エステルからなる表面処理剤で表面処理され、下記の測定方法による沈降度が10ml以下であることを特徴とする湿気硬化一液型樹脂用表面処理炭酸カルシウム粉体。
[沈降度]
(1)100mlの有栓メスシリンダーに25℃の水を70ml入れ、試料炭酸カルシウム粉体を7g加える。
(2)振幅4cm、320サイクル/分のシェーカーを使用し、(1)で得られる混合物を15分間振動させる。
(3)振動後10分間静置したのちの沈降物の見掛け容積をメスシリンダーの目盛りにて読みとり沈降度とする。 - 表面処理剤が、表面処理剤全体に占める脂肪酸エステルの比率として70重量%以上含む請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム粉体。
- 炭酸カルシウムが、BET比表面積8m2/g以上である請求項1又は2記載の表面処理炭酸カルシウム粉体。
- 炭酸カルシウムの水懸濁液を調製し、該懸濁液の粘度(B型粘度計、60rpm )が1000cp以上で前記炭酸カルシウムを脂肪酸エステルにより、該脂肪酸エステルの融点以上の温度で攪拌することにより表面処理した後、水懸濁液の状態で該脂肪酸エステルの融点以上で6時間以上240時間以下の間保持することを特徴とする湿気硬化一液型樹脂用表面処理炭酸カルシウム粉体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム粉体を配合してなる湿気硬化一液型樹脂組成物。
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