JP3734126B2 - オートテンショナ - Google Patents

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    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プーリに巻き掛けられたベルトに、所定の張力を付与するオートテンショナに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車に搭載されたエアコンディショナ用コンプレッサ等の機器に、エンジンからの動力を伝達するためには、一般にベルトが用いられている。このベルトの張力を一定に維持するとともに、ベルトの振動を吸収するために従来から用いられているのが、オートテンショナである。
図3は、従来のオートテンショナの断面図である。図において、ベルト101が巻き掛けられるプーリ102は、揺動アーム103の先端部103aを支軸として回転自在に保持されている。揺動アーム103は、先端部103aと一体に、鍔部103b及び筒状部103cを有している。一方、支持部材104は、ばね受け部104aと支持基部104bとを有する成形部材であり、車体に固定されている。なお、支持基部104bの外周面は鋳型の抜き勾配のため、図の右方へ若干先細りのテーパ形状となっている。
【0003】
揺動アーム103は、支持部材104に対して、ナイロン製のブッシュ105を介して回動可能な嵌合状態とされている。支持部材104のばね受け部104aと揺動アーム103の鍔部103bとの間には圧縮ばね106が装填され、この圧縮ばね106は、揺動アーム103を所定の方向(ベルト101を張る方向)に付勢するように、捩り抵抗に抗して巻回方向に蓄勢した状態で係止されている。
また、圧縮ばね106を装着した状態で、環状の摩擦部材107が取り付けられたディスク状の摩擦部材取付板108が、支持部材104に対して回り止めを施して装着され、支持部材104に螺着される固定ねじ109によって固定されている。これにより、圧縮ばね106を圧縮した状態で摩擦部材107と揺動アーム103の鍔部103bとが圧接している。
上記の構成により、揺動アーム103は、固定部材である支持部材104に対して、ブッシュ105を介して所定範囲で揺動(回動)可能となる。このとき、揺動基部は筒状部103cであり、揺動中心軸は固定ねじ109の中心軸上にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のオートテンショナにおいて、巻き掛けられたベルト101の荷重が作用する位置は、揺動アーム103の揺動基部である筒状部103cより図の右側にある。従って、筒状部103cを中心として揺動アーム103を時計回り方向に傾けるモーメントが生じる。この結果、筒状部103cの下部側が左端上がりにブッシュ105を押し上げる。従って、ブッシュ105には図の右方向に移動する力(推力)が生じる。
【0005】
この結果、ブッシュ105が少しづつ伸展変形しながら右方向に押し出され、図4に示すように、先端部に集積部分105aができる。ブッシュ105が右方向に移動したことにより、筒状部103cと支持基部104bとの間に隙間ができ、これが、揺動アーム103のがたつきの原因となる。がたつきが生じると、十分な摩擦力が得られなくなり、ベルト101の振動を吸収することができなくなるので、当該オートテンショナは正常に機能しなくなる。なお、図4における筒状部103cの右端面と、これに対向する摩擦部材取付板108との間に隙間Sを設けているのは、摩擦部材107が摩耗した場合に、上記右端面と摩擦部材取付板108とが互いに接触することを防止するためである。従って、上記隙間Sを塞ぐことにより、ブッシュ105の移動を防止して上記問題点を解消することはできない。
【0006】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、揺動アームのがたつきを防止することのできるオートテンショナを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先端部にプーリを軸支した揺動アームと、この揺動アームを揺動自在に、かつ、揺動中心軸に沿って移動可能に支持する支持部材と、前記揺動アームと前記支持部材との間に介在する摩擦部材と、前記揺動アームを揺動中心軸に沿った所定の方向に付勢して、前記摩擦部材を介して前記支持部材に圧接させるとともに、前記揺動アームを所定の揺動方向に付勢する付勢手段とを備えたオートテンショナにおいて、前記揺動アームの筒状の揺動基部と、前記揺動基部を支持する取付面が外周側に形成された前記支持部材の支持基部と、軸方向の一端を前記支持基部に当接させた状態で前記揺動基部と前記取付面との間に介装され、他端の内径が当該一端の内径より小さい略筒形のブッシュと、前記支持部材に取り付けられ、前記摩擦部材を支持する摩擦部材取付板と、前記揺動基部における前記他端側の端部にリング状に形成された小突起部と、前記ブッシュより硬い材料からなり、前記ブッシュの前記他端側の端面に隣接して設けられることで前記ブッシュと共に前記取付面を隙間なく覆い、前記摩擦部材取付板と接し、前記小突起部の径方向内方側に近接して配置されたリング状のスペーサとを備えたことを特徴とするものである(請求項1)。
このように構成されたオートテンショナにおいては、ブッシュが、揺動アームから力を受けて、伸展変形とともにその内径の小さい方側へ揺動中心軸に沿っての移動を促された場合に、ブッシュより硬いスペーサがブッシュの伸展変形及び移動を阻止する。摩擦部材やブッシュが摩耗した場合には、スペーサが小突起部を支持することによりブッシュを補助して揺動アームの揺動を支える。
【0008】
また、前記ブッシュはHRR90以上95以下の樹脂からなり、前記スペーサはHRR110以上120以下の樹脂成形材からなるものであってもよい(請求項2)。
この場合、ブッシュは割れにくく、スペーサはブッシュに比して摩耗に対する十分な耐性を発揮する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1及び図2はそれぞれ、本発明の一実施形態によるオートテンショナの断面図及び側面図である。図1において、ベルト1が巻き掛けられるプーリ2は、その中心部に玉軸受3が装着されている。この玉軸受3の内輪は、揺動アーム4の先端部4aに外嵌され、皿ワッシャ5とボルト6とによって先端部4aに固定されている。これによって、プーリ2は、揺動アーム4の先端部4aを支軸として回転自在に保持されている。揺動アーム4は、先端部4aと一体に、鍔部4b、及び筒状部4cを有している。
【0010】
一方、支持部材7は、内部に空洞部7a、ばね受け部7b、ねじ孔7cを有し、ねじ孔7cの周りを支持基部7dとする成形部材であり、側面には一対の取付部7e(図2)が設けられている。取付部7eで車体のシャシやエンジン等の固定部に固定することにより、支持部材7は固定される。なお、支持基部7dの外周面は鋳型の抜き勾配のため、図1の右方へ若干先細りのテーパ形状となっている。この支持基部7dの外周面に、右端部の内径が左端部の内径より小さく、図1の右側程漸次肉厚が増す略筒状のブッシュ8が装着されている。ブッシュ8は、硬さがHRR90〜95の樹脂(ナイロン等)である。
【0011】
揺動アーム4は、その筒状部4cがブッシュ8の外周面に外挿されることにより、支持部材7に対して揺動自在である。また、支持部材7のばね受け部7bと揺動アーム4の鍔部4bとの間に圧縮ばね9が装填されている。圧縮ばね9の一方の端部9aは支持部材7に係止され、他方の端部9bは揺動アーム4の下部に係止されている。圧縮ばね9は、端部9bが揺動アーム4を図2の時計回り方向に付勢するように、捩り抵抗に抗して巻回方向に蓄勢した状態で係止されている。従って、ベルト1には一定の張力が与えられている。
【0012】
図1において、ブッシュ8の端部には、リング状のスペーサ10が装着されている。このスペーサ10は、硬さがHRR110〜120の樹脂(エンジニアリングプラスチック)成形材であり、ブッシュ8より硬く、耐摩耗性に優れている。スペーサ10の外径は隣接するブッシュ8の右端の外径より若干小さい。また、スペーサ10の厚さ(図1の左右方向の長さ)は、装着時に、ブッシュ8と共に支持基部7dの外周側の取付面7fを隙間なく覆い、当該スペーサ10が摩擦部材取付板12に当接するように選定されている。なお、ブッシュ8の左端は、上記取付面7fの左端と一致している。
【0013】
一方、環状の摩擦部材11が取り付けられたディスク状の摩擦部材取付板12は、支持部材7に対して回り止めを施して装着され、支持部材7のねじ孔7cに螺着される固定ねじ13によって固定されている。これにより、圧縮ばね9を圧縮した状態で摩擦部材11と揺動アーム4の鍔部4bとが圧接している。揺動アーム4の筒状部4cの右端にはリング状に小突起部4dが形成され、この小突起部4dと、これに対向する摩擦部材取付板12との間には、摩擦部材11の摩耗を考慮した一定の隙間が設けられている。
【0014】
上記の構成により、揺動アーム4は、固定部材である支持部材7に対して、ブッシュ8を介して所定範囲で揺動(回動)可能となる。このとき、揺動基部は筒状部4cであり、揺動中心軸は固定ねじ13の中心軸上にある。
ベルト1が振動を生じると、揺動アーム4は、図2の時計回り方向及び反時計回り方向の揺動を繰り返す。揺動アーム4の揺動は、互いに圧接された鍔部4bと摩擦部材11とを擦り合わせる動作を伴うので、揺動アーム4には摩擦による揺動抵抗が付与される。従って、ベルト1の振動エネルギーは摩擦による熱エネルギーに変化して、ベルト1の振動が急速に減衰する。
摩擦部材11が摩耗すると、その摩耗分だけ、圧縮ばね9の付勢力により揺動中心軸に沿って揺動アーム4が図1の右方向に移動する。すなわち、揺動アーム4は、摩擦部材11の摩耗により、揺動中心軸方向に移動可能に、支持部材7によって支持されている。
【0015】
ベルト1の巻き掛けにより、図1の矢印に示す方向に荷重Fが印加される。一方、揺動アーム4の揺動基部である筒状部4cは、荷重Fが印加される位置より図1の左側にある。この結果、揺動アーム4全体を図1の時計回り方向に傾けるモーメントが生じて、筒状部4cの下部側が左端上がりにブッシュ8を押し上げる。従って、ブッシュ8は伸展変形を生じる力を受けるとともに、図1の右方向に移動する力(推力)がブッシュ8に生じる。しかしながら、スペーサ10がブッシュ8の伸展変形及び移動を阻止するので、ブッシュ8は揺動中心軸方向に押し出されることがない。また、スペーサ10は耐摩耗性に優れているため、摩擦部材11及びブッシュ8が摩耗した場合にも、依然として所定の外径や厚さをほぼ保っている。従って、スペーサ10は、揺動中心軸方向へのブッシュ8の移動を禁止して、ブッシュ8を定位置に保持する。さらに、スペーサ10は、ブッシュ8が摩耗した場合に、揺動アーム4の小突起部4dを支持して、揺動アーム4の揺動を補助的に支持する作用をする。
このようにして、揺動アーム4におけるがたつきの発生は、長期間にわたって防止される。
【0016】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1のオートテンショナによれば、ブッシュが、揺動アームから力を受けて伸展変形及び移動を促された場合に、ブッシュより硬いスペーサがブッシュの伸展変形及び移動を阻止するので、ブッシュの周囲に隙間ができるのを防止することができ、揺動アームのがたつきを防止することができる。また、摩擦部材やブッシュが摩耗した場合には、スペーサが小突起部を支持することによりブッシュを補助して揺動アームの揺動を支えるので、長期間にわたって揺動アームのがたつきを抑えることができる。
【0017】
請求項2のオートテンショナによれば、ブッシュは割れにくく、スペーサはブッシュに比して摩耗に対する十分な耐性を発揮するので、高い信頼性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるオートテンショナの断面図である。
【図2】上記オートテンショナの側面図である。
【図3】従来のオートテンショナの断面図である。
【図4】上記従来のオートテンショナの一部における、ブッシュの伸展変形状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
2 プーリ
4 揺動アーム
4a 先端部
4c 筒状部(揺動基部)
7 支持部材
7d 支持基部
8 ブッシュ
9 圧縮ばね
10 スペーサ
11 摩擦部材

Claims (2)

  1. 先端部にプーリを軸支した揺動アームと、この揺動アームを揺動自在に、かつ、揺動中心軸に沿って移動可能に支持する支持部材と、前記揺動アームと前記支持部材との間に介在する摩擦部材と、前記揺動アームを揺動中心軸に沿った所定の方向に付勢して、前記摩擦部材を介して前記支持部材に圧接させるとともに、前記揺動アームを所定の揺動方向に付勢する付勢手段とを備えたオートテンショナにおいて、
    前記揺動アームの筒状の揺動基部と、
    前記揺動基部を支持する取付面が外周側に形成された前記支持部材の支持基部と
    軸方向の一端を前記支持基部に当接させた状態で前記揺動基部と前記取付面との間に介装され、他端の内径が当該一端の内径より小さい略筒形のブッシュと、
    前記支持部材に取り付けられ、前記摩擦部材を支持する摩擦部材取付板と、
    前記揺動基部における前記他端側の端部にリング状に形成された小突起部と、
    前記ブッシュより硬い材料からなり、前記ブッシュの前記他端側の端面に隣接して設けられることで前記ブッシュと共に前記取付面を隙間なく覆い、前記摩擦部材取付板と接し、前記小突起部の径方向内方側に近接して配置されたリング状のスペーサと
    を備えたことを特徴とするオートテンショナ。
  2. 前記ブッシュはHRR90以上95以下の樹脂からなり、前記スペーサはHRR110以上120以下の樹脂成形材からなることを特徴とする請求項1記載のオートテンショナ。
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