JP3732778B2 - 縦型ディスク挿入排出機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、CDやDVD等のDISCを録音・再生するためのオーディオ機器に設けられる縦型ディスク挿入排出機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDやDVD等のDISCを演奏するための携帯可能なコンパクト化されたオーディオ機器では、例えば、図11,12に示すように、装置本体100の前面に設けた蓋体101を開閉操作して、DISC102の出し入れをおこなうように構成される。
【0003】
その蓋体101は、図示のように、その下部が装置本体100の下部に回動自在に枢着され、DISC102の出し入れが可能な程度の半開き状態まで開放が許容され、それ以上の外方への回動は規制されている。
【0004】
このような半開きの状態で、DISC102を蓋体101の内面に沿わせるように差し入れた後、蓋体101を閉じると、DISC中央の開孔103が、装置本体100に設けられたメカニズム104に被嵌装着され、録音・再生が可能な状態となる。そして、録音・再生の終了後には、取り出しボタン(図示省略)を操作すると、蓋体101が自動的に半開き状態となり、DISC102を取り出すことができる。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】
ところが、前述したような、従来の縦型ディスク挿入排出機構では、DISC102を取り出す際に、そのDISC102が蓋体101の奥に隠れた状態で収納されており、しかも、蓋体101の内面にへばりついているため、取り出しにくいという問題があった。
【0006】
また、DISC102を挿入する際には、DISC102を蓋体101の奥まで差し入れるため挿入しにくくもあり、挿入した状態が、蓋体101によって隠されてしまうために、外部から挿入状態を明確に確認できないという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、ディスクの出し入れ操作が容易でディスクを外部から容易に視認できる縦型ディスク挿入排出機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0009】
(1)ディスクの装着孔を被嵌させるために装置本体に設けられるディスク装着部と、
下部を前記装置本体下部に枢着されて、前記ディスクを挿入・排出する際の半開き状態と、前記ディスクを前記ディスク装着部に被嵌させて録音・再生可能な状態に収納する閉止状態と、の間で回動自在な蓋体と、
前記蓋体の内側に設けられたガイド部材に案内されて前記蓋体内を上下方向にスライド自在に設けられ、前記蓋体が前記半開き状態から前記閉止状態の直前に至るまでの間、前記ディスクを支持するスライド部材と、
前記装置本体内に固設されるカムベースと、
前記スライド部材と前記カムベースとに連係接続されるカムアームと、を具備し、
前記ディスクを挿入する際には、前記蓋体を半開き状態として、前記ディスクの上部を外部に露出させた状態で、上方位置にある前記スライド部材に支持させ、前記蓋体を閉じると、前記ディスクが前記スライド部材と共に下方にスライドして録音・再生が可能な閉止状態となり、この状態から前記蓋体を開くと、前記ディスクが前記スライド部材と共に上方にスライドして前記ディスクの上部を外部に露出させた半開き状態となるように構成したことを特徴とする。
【0010】
この構成においては、ディスクを挿入する際には、ディスクが、その上部を蓋体から外部に露出した状態でスライド部材に支持されるので、その挿入状態を外部から明確に確認することができる。また、ディスクを蓋体の奥まで差し入れなくてもよいため、挿入作業が容易となる。
【0011】
その蓋体を閉じると、そして、スライド部材が、カムアームを介して、カムベースに連係接続されていることで、蓋体の閉動作に連動してスライド部材が下動し、ディスクが下方にスライドして録音・再生が可能な閉止状態となる。
【0012】
その閉止状態から蓋体を開くと、蓋体の開動作に連動してスライド部材が上動し、ディスクの上部が蓋体から外部に露出した状態となり、ディスクを外部から明確に確認することができ、ディスクを取り出しやすくなる。
【0013】
(2)前記蓋体が閉止状態にある時に、前記カムアームを前記装置本体側に掛止させることにより前記蓋体を前記装置本体に対してロックするロック機構を設けたことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、ロック機構によって蓋体の閉止状態がロックされるため、搬送中や録音・再生時等に不用意に蓋体が開放されるのを防止できる。
【0015】
(3)前記蓋体が半開き状態にある時には前記ディスクを前記スライド部材から離間させて支持するディスク持ち上げ機構を設けたことを特徴とする。
【0016】
この構成においては、蓋体が半開き状態に開かれた時には、厚さの薄いディスクが、ディスク持ち上げ機構により、スライド部材から離間された状態に持ち上げられるため、ディスクを取り出しやすくなり、また、挿入しやすくなる。
【0017】
(4)前記装置本体内に、前記カムアームに伝動連結される駆動源を設け、該駆動源により、前記蓋体を、スライド部材と共に、回動動作させることを特徴とする。
【0018】
この構成においては、装置本体内に設けた駆動源により、カムアームを介して、蓋体をスライド部材と共に回動させるので、蓋体の開閉操作が自動化され使い勝手が向上する。
【0019】
(5)前記カムアームの一端を前記スライド部材に枢着させる一方、前記カムアームの他端に設けたスライダーを前記カムベースに形成したカム溝に遊嵌させると共に、前記カムアームに形成した長孔に、前記装置本体側に設けた支点軸を遊嵌させたことを特徴とする。
【0020】
この構成においては、蓋体の開閉動作とスライド部材の上下動作が、カムアームを介して、連動するので、特に、装置本体内に駆動源を設ける場合には、例えば、カムアームの他端に設けたスライダーを駆動源と伝動連結させることにより、単一の駆動源で蓋体とスライド部材とを連動動作させることができる。
【0021】
(6)前記ロック機構が、前記スライダーをロックするために前記カム溝の端部に折曲形成されたスライダー掛止部であることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、カムベースに形成したカム溝の端部にスライダー掛止部を折曲形成することにより、蓋体が閉止状態にある時に、前記スライダー掛止部に、カムアームに設けたスライダーを掛止させることで、前記蓋体が不用意に開放しないようにロックすることができる。
【0023】
(7)半開き状態の前記蓋体に閉じ方向の外力を作用させた時に、前記蓋体を閉じ方向に無理なく回動させるために、前記カムアームに形成した長孔の端部には、前記装置本体側に設けた支点軸の前記長孔に対する相対的な移動を許容するための逃げ部を形成したことを特徴とする。
【0024】
この構成においては、半開き状態の蓋体に閉じ方向の外力を作用させた時に、カムアームの長孔の端部に形成した逃げ部に、装置本体側に設けた支点軸が逃げ込むことで、装置本体に対するカムアームの移動が許容されるため、蓋体が閉じ方向に容易に回動(始動)する。
【0025】
(8)前記蓋体の開閉動作に連動する前記カムアームの変位状態を検出する検出手段を設けると共に、該検出手段からの検出信号を受け、前記蓋体の開閉動作を制御するために、前記駆動源に制御信号を出力する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0026】
この構成においては、例えば、蓋体の閉じ方向への回動(始動)動作を検出手段で検出して、その検出信号を受けた制御手段により、駆動源を駆動させて、蓋体を自動的に閉じるようにすることができる。従って、当初、半開き状態の蓋体を少し閉じ方向に押し込むだけで、後は、自動的に蓋体を閉じることができ、使い勝手が顕著に向上する。
【0027】
また、閉蓋状態にて、(蓋開きボタンから)蓋体を開くための信号を制御手段が受信すると、駆動源を(逆転)駆動させて、蓋体を半開き状態まで開放するようにすることができ、その半開き状態では、ディスクの上部が外部に露出しているため、取り出しやすく、使い勝手が顕著に向上する。
【0028】
(9)前記ディスク持ち上げ機構は、前記スライド部材の内側に突出するように回動自在に設けられたレバー体と、該レバー体を回動させるために、前記蓋体の内側に前記レバー体に対応して設けられたカム状部材と、からなることを特徴とする。
【0029】
この構成においては、蓋体の開閉動作により、スライド部材と蓋体とが相対的に変位することを利用して、開蓋時には、カム状部材によってレバー体をスライド部材の内側に突出するように回動させることで、別途、ディスクを持ち上げるための操作を必要とすることなく、ディスクをスライド部材から離間させることができ、ディスクの出し入れが容易となり、使い勝手が向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態に係る縦型ディスク挿入排出機構について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1,図2は、側面と背面を覆うカバーを取り除いた状態のオーディオ機器を示し、また、図3,図4は、オーディオ機器の要部である縦型ディスク挿入排出機構の構成を示す。
【0031】
これらの図において、符号1は装置本体、2は開閉自在な蓋体で、その下部に設けた支軸21によって装置本体1に回動自在に枢着され、ディスク3を挿入・排出する際の半開き状態(図1(a)(b),図3(a)(b)参照)と、ディスク3を、装置本体1に設けられたディスク装着部(メカニズム)4に被嵌させて録音・再生可能な状態に収納する閉止状態(図2(a)(b),図4(a)(b)参照)と、の間で回動自在となるように構成されている。
【0032】
5は、ディスク3を支持するためのスライド部材(移動トレイ)で、蓋体2の内側両側部に設けられたガイド部材(ガイドレール)22(図10(b)参照)に案内されて蓋体2内を上下方向にスライド自在に設けられ、蓋体2の半開き状態から閉止状態の直前に至るまでの間、ディスク3の下端を支持する。
【0033】
7は、装置本体1内に立設されたカムベース、8はカムアームであり、カムアーム8の一端を支軸16によってスライド部材5に回動自在に枢着させる一方、カムアーム8の他端に設けたスライダー12をカムベース7に形成したカム溝71に遊嵌させると共に、カムアーム8に形成した長孔8に、装置本体1に設けた支点軸13を遊嵌させている。
【0034】
このような構成により、ディスク3を挿入する際には、蓋体2を半開き状態として、ディスク3の上部を外部に露出させた状態で、その下部を上方位置にあるスライド部材5のディスク支持部51に支持させることができる(図3(a)(b)参照)。
【0035】
従って、ディスク3を挿入する際には、ディスク3の上部が蓋体2から外部に露出した状態となるため、その挿入状態を外部から明確に確認することができる。また、ディスク3を蓋体2の奥まで差し入れなくてもよいため、挿入作業が容易となる。
【0036】
蓋体2を閉じると、ディスク3がスライド部材5と共に下方にスライドして録音・再生が可能な閉止状態となる(図4(a)(b)参照)。録音・再生が終了した後、蓋体2を開くと、ディスク3がスライド部材5と共に上方にスライドしてディスク3の上部を外部に露出させた状態となるので、ディスク3を外部から明確に確認することができ、ディスク3を取り出しやすくなる。なお、蓋体2を開いた時のスライド部材5の上昇動作によるディスク3の飛び出しを防止するために、スライド部材5の内面側にディスク押さえ用の突起55,55を設けている。
【0037】
このような蓋体2の開閉動作は、例えば、図示は省略するが、蓋体2を開方向に付勢する戻しばねを設けることによっても半自動的におこなうことができる。すなわち、蓋体2を閉じるには、戻しばねの付勢力に抗して蓋体2を閉じ方向に押し込むことで蓋体2をラッチさせればよく、蓋体2を開くには、ボタン操作等により蓋体2のラッチを解除すれば、蓋体2を戻しばねの付勢力で開かせるようにすればよい。
【0038】
しかし、蓋体2の開閉操作性を向上させるために、装置本体1内に駆動源(モータ)9(図1(b)参照)を設け、そのモータ9により、蓋体2を自動的に開閉できるようにするのが好ましい。この場合、モータ9を、装置本体1に設けたギヤブロック10を介してピボットギヤ11と伝動連結させ、そのピボットギヤ11の先端に形成した長孔112を、カムアーム8の他端に設けたスライダー12に移動自在に被嵌させればよい。なお、カムベース7、カムアーム8、ピボットギヤ11の単独形状については図5に示される。
【0039】
上述のピボットギヤ11の回動中心となるピボット軸111は、カムベース7の上部に回動自在に枢着され、そのピボット軸111から放射状に配設された一対の被接触子113,114に接触する接触子141を有するモードスイッチ(検出手段)14が設けられ、そのピボットギヤ11の回動状態で、蓋体2の開閉状態を検出することができる。
【0040】
そのモードスイッチ14には、蓋体2の開閉動作を制御するための制御手段としてのコントローラ(CTR)15が接続され、そのコントローラ15の出力側にはモータ9が接続されており、従って、後述するように、蓋体2の開閉状態をモードスイッチ14で検出することにより、蓋体2を自動的に開閉することができる。
【0041】
ところで、図5(a)に示すように、蓋体2が閉止状態にある時には、蓋体2はロック機構20によってロックされており、搬送中や、録音・再生時等に不用意に蓋体2が開放されることのないようにしている。そのロック機構20は、例えば、図5(b)に示すように、カム溝71の端部にやや上方に向けて折曲形成されたスライダー掛止部72を設け、そのスライダー掛止部72にスライダー12をロックさせるように構成することができる。
【0042】
このロック機構20について説明すると、そのスライダー掛止部72の外溝壁721は、ピボット軸111を中心とする円弧状の回動軌跡に沿う曲面状に形成されるのに対して、内溝壁722は直線状に形成されている。従って、蓋体2に開き方向の外力を作用させて、カムアーム8を介して、スライダー12に外力F1が作用した時には、スライダー12は直線状の内溝壁722に掛止されて移動できず、蓋体2はロックされることとなる。これに対して、モータ9からの駆動力により、ピボットギヤ11を介してスライダー12に外力F2が作用すると、スライダー12は外溝壁721に沿って移動し、蓋体2は開放される。
【0043】
また、本実施形態では、半開き状態の蓋体2を閉じ方向に無理なく容易に回動(始動)させるために、図6および図7に示すように、装置本体1に設けた支点軸13が、カムアーム8に形成した長孔81の端部に引っ掛からないように、その端部を少し切り込んで逃げ部82を形成している。
【0044】
その逃げ部82の下側壁821は、概ねスライダー12の軌跡に沿う方向に形成されており、この逃げ部82によって、図6に示すように、半開き状態にある蓋体2に対して閉じ方向にわずかの押力を作用させるのみで、支点軸13が逃げ部82に逃げ込み、図7に示すように、蓋体2がわずかに回動(始動)する。
【0045】
この時、スライダー12の移動によって、ピボットギヤ11が図示時計まわりに回動し、モードスイッチ14の接触子141が被接触子113から外れるため、蓋体2の回動(始動)動作が検出され、その検出信号によって、コントローラ15からの指令でモータ9が駆動されることにより、カムアーム8を介して蓋体2が自動的に閉じられ閉止状態でロックされることとなる。
【0046】
一方、(図示省略の蓋開きボタンから)閉蓋状態にある蓋体2を開くための信号をコントローラ15が受信すると、モータ9を(逆転)駆動させて、蓋体2を半開き状態まで開放する。その間に、スライド部材5が上方に移動してディスク3の上部を外部に露出させるので、ディスク3を取り出しやすく、使い勝手が顕著に向上する。
【0047】
そして、開蓋状態でスライド部材5が上方位置に移動した時には、図9に示すように、ディスク持ち上げ機構17によって、ディスク3を、スライド部材5から離間させた状態に支持させ、ディスク3の出し入れを容易としている。
【0048】
このディスク持ち上げ機構17は、図8ないし図10に示すように、スライド部材5の内側に回動自在に設けられる一対のレバー体18,18と、そのレバー体18,18を回動させるために、蓋体2の内側に設けられた一対のカム状部材19,19からなる。
【0049】
より詳しく説明すると、ディスク3の挿入・排出時に蓋体2が半開き状態に開放されている時には、図8(a)(b)に示すように、ディスク3の上部が、蓋体2から露出した状態で、その下部をスライド部材5の下部に突設したディスク受け部材51によって支持され、かつ、突出した一対のレバー体18,18によって、ディスク3の上部がスライド部材5から離間された状態となる。
【0050】
この状態から蓋体2が閉じられると、ディスク3がスライド部材5と共に下方にスライドし、かつ、レバー体18,18が回動してスライド部材5内に没入し、図8(c)に示すように、ディスク3の装着孔31が、ディスク装着部4に被嵌して録音・再生可能な状態となり、録音・再生終了後に、蓋体2を開くと、再び図8(a)(b)の状態に復帰する。
【0051】
このようなディスク3の持ち上げ動作について説明する前に、スライド部材5の蓋体2への組み付け対応図を示す図10に基づいて、蓋体2とスライド部材5の取り合い関係等について説明すると、まず、スライド部材5の両側部には、凹状の遊嵌溝52,52が形成されており、その遊嵌溝52,52が、蓋体2の内側部に設けられたガイドレール22,22にスライド自在に遊嵌し、スライド部材5と蓋体2とが、相対的に上下動自在となっている。なお、図10(a)はスライド部材5の背面側(外側)の斜視図を示し、図10(b)は蓋体2の内面側の斜視図を示す。
【0052】
レバー体18は、図9(d)に示すように、ディスク3に当接するパッド181を貼着したヘッド部182と、その背面側に形成されてカム状部材19のカム面191,192,193に摺接する山形状に形成された摺接部183と、両側に突設された支軸184と、を有し、図10(a)に示すように、スライド部材5の中央両側に開設された開口53,53からヘッド部182,182を内面側に突出自在となるように、各開口53の下部に突設した軸受け54,54に、支軸184を回動自在に支持させるように組付けられる。
【0053】
カム状部材19は、図9(d)に示すように、傾斜状のカム面193を介して段違い状に連続する2つのカム面191,192と、カギ状に形成された掛止部194と、を有し、図10(b)に示すように、ディスク装着部4を嵌め込むために蓋体2の中央部に開設された孔部23の両側に開設された開口24,24に嵌装され、それぞれ3つのカム面191,192,193を内面側に露出させた状態として、スライド部材5に組み込まれたレバー体18,18の摺接部183,183に対応させている。なお、蓋体2の下部両側には、支軸21を支持するブラケット25,25が内側に向けて突設されている。
【0054】
このような構成により、蓋体2が閉止状態にある時には、図9(a)に示すように、スライド部材5は下部位置にあり、レバー体18の摺接部183はカム状部材19の低いカム面192に摺接し、ヘッド部182はスライド部材5の開口53内に没入しパッド181を開口53から覗かせているが、ディスク3は蓋体2内に収納されて録音・再生可能な状態になっている。
【0055】
この状態から、蓋体2が開放されると、図9(b)に示すように、スライド部材5が上方に移動しディスク3も上方に移動するが、レバー体18の摺接部183は依然としてカム状部材19の低いカム面192に摺接しているため、ヘッド部182はスライド部材5の開口53内に没入したままで、ディスク3は持ち上げられない。なお、蓋体2を開放した時のスライド部材5の上昇動作によるディスク3の飛び出しは、スライド部材5の内面側に設けたディスク押さえ用の突起55,55によって防がれる。
【0056】
さらに、蓋体2が限度まで開かれると、図9(c)に示すように、スライド部材5が上部位置に上昇し、ディスク3の上部が蓋体2から充分に露出し、かつ、レバー体18の摺接部183が傾斜したカム面193を乗り越えて高い位置のカム面191に摺接するため、ヘッド部182がスライド部材5の開口53から突出し、パッド181によってディスク3が内方に持ち上げられ、スライド部材5から離間し、取り出しやすい状態となる。なお、ディスク3を挿入する際にも、このような状態となるため、その挿入状態を外部から明確に確認することができる。
【0057】
以上説明したように、蓋体2の開閉動作により、スライド部材5が蓋体2に対して相対的に連動して変位する構成を利用して、開蓋時には、レバー体18,18によってディスク3をスライド部材5から離間させる(持ち上げる)ことができ、ディスク3の出し入れが容易となり、使い勝手が顕著に向上する。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は以下の効果を奏する。
【0059】
(1)ディスクを挿入する際には、ディスクが、その上部を蓋体から外部に露出した状態でスライド部材に支持されるので、その挿入状態を外部から明確に確認することができる。また、ディスクを蓋体の奥まで差し入れなくてもよいため、挿入作業が容易となる。
【0060】
また、ディスクを取り出す際にも、蓋体が半開き状態になると、ディスクの上部が蓋体から外部に露出した状態となるので、ディスクを外部から明確に確認することができ、ディスクを取り出しやすくなる。
【0061】
(2)ロック機構によって蓋体の閉止状態がロックされるため、搬送中や録音・再生時等に不用意に蓋体が開放されることによるトラブルの発生を未然に防止することができる。
【0062】
(3)蓋体が開かれた時には、ディスク持ち上げ機構により、厚さの薄いディスクが、スライド部材から離間された状態に持ち上げられるので、ディスクを取り出しやすくなり、また、挿入しやすくなる。
【0063】
(4)装置本体内に設けた駆動源により、カムアームを介して、蓋体をスライド部材と共に回動させるので、蓋体の開閉操作が自動化され、使い勝手が向上する。
【0064】
(5)蓋体の開閉動作とスライド部材の上下動作が、カムアームを介して、連動するので、特に、装置本体内に駆動源を設ける場合には、例えば、カムアームの他端に設けたスライダーを駆動源と伝動連結させることにより、単一の駆動源で蓋体とスライド部材とを連動動作させることができる。
【0065】
(6)カムベースに形成したカム溝の端部にスライダー掛止部を折曲形成して、蓋体の閉止時には、前記スライダー掛止部に、カムアームに設けたスライダーを掛止させるので、前記蓋体が不用意に開放しないようにロックすることができる。
【0066】
(7)半開き状態の蓋体に閉じ方向の外力を作用させた時に、カムアームの長孔の端部に形成した逃げ部に、装置本体側に設けた支点軸が逃げ込むので、装置本体に対するカムアームの移動が許容され、蓋体が閉じ方向に容易に回動(始動)する。
【0067】
(8)蓋体の閉じ方向への回動(始動)動作を検出手段で検出して、その検出信号を受けた制御手段により、駆動源を駆動させて、蓋体を自動的に閉じるように構成できるので、当初、半開き状態の蓋体を少し閉じ方向に押し込むだけで、後は、自動的に蓋体を閉じることができ、使い勝手が顕著に向上する。
【0068】
また、閉蓋状態にて、(蓋開きボタンから)蓋体を開くための信号を制御手段が受信すると、駆動源を(逆転)駆動させて、蓋体を半開き状態まで開放するように構成できるので、その半開き状態では、ディスクの上部が外部に露出しているため、取り出しやすく、使い勝手が顕著に向上する。
【0069】
(9)蓋体の開閉動作により、スライド部材と蓋体とが相対的に変位することを利用して、開蓋時には、カム状部材によってレバー体がスライド部材の内側に突出するように回動させることにより、ディスクをスライド部材から離間させるので、ディスクの出し入れが容易となり、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るオーディオ機器の開蓋状態の斜視図である。
【図2】同オーディオ機器の閉蓋状態の斜視図およびディスク位置の説明図である。
【図3】同開蓋状態の縦型ディスク挿入排出機構の要部構成の説明図である。
【図4】同閉蓋状態の縦型ディスク挿入排出機構の要部構成の説明図である。
【図5】同要部部品の説明図である。
【図6】同開蓋状態における逃げ部とスライダーの対応状態の説明図である。
【図7】同スライダーが逃げ部に移動した状態の説明図である。
【図8】同ディスク持ち上げ動作の概略説明図である。
【図9】同ディスク持ち上げ動作の詳細説明図である。
【図10】同蓋体とスライド部材の組み付け対応図である。
【図11】従来のオーディオ機器の開蓋状態の斜視図である。
【図12】同蓋開閉動作の説明図である。
【符号の説明】
1−装置本体
2−蓋体
22−ガイド部材
3−ディスク
31−装置孔
4−ディスク装着部
5−スライド部材
7−カムベース
71−カム溝
72−スライダー掛止部
8−カムアーム
81−長孔
82−逃げ部
9−駆動源
12−スライダー
13−支点軸
14−検出手段
15−制御手段
17−ディスク持ち上げ機構
18−レバー体
19−カム状部材
20−ロック機構
Claims (9)
- ディスクの装着孔を被嵌させるために装置本体に設けられるディスク装着部と、
下部を前記装置本体下部に枢着されて、前記ディスクを挿入・排出する際の半開き状態と、前記ディスクを前記ディスク装着部に被嵌させて録音・再生可能な状態に収納する閉止状態と、の間で回動自在な蓋体と、
前記蓋体の内側に設けられたガイド部材に案内されて前記蓋体内を上下方向にスライド自在に設けられ、前記蓋体が前記半開き状態から前記閉止状態の直前に至るまでの間、前記ディスクを支持するスライド部材と、
前記装置本体内に固設されるカムベースと、
前記スライド部材と前記カムベースとに連係接続されるカムアームと、を具備し、
前記ディスクを挿入する際には、前記蓋体を半開き状態として、前記ディスクを、その上部を外部に露出させた状態で、上方位置にある前記スライド部材に支持させ、前記蓋体を閉じると、前記ディスクが前記スライド部材と共に下方にスライドして録音・再生が可能な閉止状態となり、この状態から前記蓋体を開くと、前記ディスクが前記スライド部材と共に上方にスライドして前記ディスクの上部を外部に露出させた半開き状態となるように構成したことを特徴とする縦型ディスク挿入排出機構。 - 前記蓋体が閉止状態にある時に、前記カムアームを前記装置本体側に掛止させることにより前記蓋体を前記装置本体に対してロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 前記蓋体が半開き状態にある時には前記ディスクを前記スライド部材から離間させて支持するディスク持ち上げ機構を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 前記装置本体内に、前記カムアームに伝動連結される駆動源を設け、該駆動源により、前記蓋体を、スライド部材と共に、回動動作させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 前記カムアームの一端を前記スライド部材に枢着させる一方、前記カムアームの他端に設けたスライダーを前記カムベースに形成したカム溝に遊嵌させると共に、前記カムアームに形成した長孔に、前記装置本体側に設けた支点軸を遊嵌させたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 前記ロック機構が、前記スライダーをロックするために前記カム溝の端部に折曲形成されたスライダー掛止部であることを特徴とする請求項5に記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 半開き状態の前記蓋体に閉じ方向の外力を作用させた時に、前記蓋体を閉じ方向に無理なく回動させるために、前記カムアームに形成した長孔の端部には、前記装置本体側に設けた支点軸の前記長孔に対する相対的な移動を許容するための逃げ部を形成したことを特徴とする請求項5または6に記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 前記蓋体の開閉動作に連動する前記カムアームの変位状態を検出する検出手段を設けると共に、該検出手段からの検出信号を受け、前記蓋体の開閉動作を制御するために、前記駆動源に制御信号を出力する制御手段を設けたことを特徴とする請求項7に記載の縦型ディスク挿入排出機構。
- 前記ディスク持ち上げ機構は、前記スライド部材の内側に突出するように回動自在に設けられたレバー体と、該レバー体を回動させるために、前記蓋体の内側に前記レバー体に対応して設けられたカム状部材からなることを特徴とする請求項3ないし8に記載の縦型ディスク挿入排出機構。
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