JP3732398B2 - 乗員保護装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の衝突時に、乗員を保護するために用いられる、エアバッグシステム等の乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグは、自動車の衝突時に、ハンドルやダッシュボードと乗員との間で急膨張し、乗員を保護するためのものである。しかし、運転者が小柄であるために、ハンドルに近い位置で運転した場合や、子供が助手席用シートの前方に立った場合等、ハンドルやダッシュボードと乗員との間の距離が極めて近い場合には、このエアバッグの展開が乗員に傷害を与える場合があることが知られている。また、助手席乗員が6才以下の子供である場合には、正常位置に着座しているとしても、エアバッグを展開しない方が安全であるとされている。このため、米国では、エアバッグを用いた乗員保護装置においては、乗員検知装置の設置義務が法制化されようとしている。
【0003】
このための乗員検知装置を備えた乗員保護装置としては、例えば、特開平10−100858号公報に記載されたものが知られている。この装置の構造を、図6に基づいて説明する。図6において、1は自動車等の車両のフロントウインドシールドで、このフロントウインドシールド1の下部に設けられたダッシュボード2には、助手席4に対向して前面衝突用エアバッグ3が収納されている。5は、エアバッグ3が展開した場合に人が存在すると、負傷する恐れのある危険領域を表している。また、ダッシュボード2には、赤外線ビームを放射するための赤外線放射手段11と、PSDを備えた赤外線検出手段16とが設けられている。赤外線放射手段11と赤外線検出手段16とで位置検出手段20を構成する。
【0004】
次に、この従来の乗員保護装置の動作について説明する。赤外線放射手段11からは、図6に示すように、斜め上方に赤外線ビームが放射される。大人が助手席4に正常に着席している場合等、危険領域5に人がいない場合には、この赤外線ビームは車室天井6に達し、車室天井6に赤外線スポットを作る。また、逆に、子供が助手席4の前に立った場合のように、危険領域5に人が存在する場合には、赤外線ビームは人体によって遮られるため、赤外線スポットは人体上に作られる。赤外線検出手段16によって、この赤外線スポットの位置を検出することにより、三角測量の原理で赤外線検出手段16(すなわちダッシュボード2)と人体の距離を検出することができる。図示しない電子制御ユニット(ECU)は、この検出された距離が極めて近く、エアバッグ3が展開すると危険であると判断した場合や、図示しない加速度センサで衝突を検出した場合には、エアバッグ3の展開を抑制し、エアバッグ3の展開により乗員に傷害を与えることを防止する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ダッシュボードと人体との距離を検出する位置検出手段を備えた乗員保護装置の一例としては、特開平11−286256号公報に示される如く、超音波センサを用いたものや、特開平11−217056号公報に示される如く、光センサを用いたもの等、幾つかの方式が知られている。しかし、いずれの場合にも、位置検出手段は、乗員前方のダッシュボード、または、車室天井の前端に備えられており、ダッシュボードと乗員の前面との距離を測定している。従って、例えば、乗員が雑誌や新聞を広げた場合や、体の前面に手を伸した場合には、システムは、危険領域に人が存在すると誤認識し、エアバッグの展開が必要な衝突の場合にも、エアバッグの展開を抑制してしまうという問題点があった。
【0006】
また、乗員は必ずしも正規の位置にいるとは限らず、横方向にずれて着座する場合もあるため、上記従来例のように、1本の赤外線ビームを用いる方法では、人体に赤外線ビームが当らない場合もあった。
【0007】
また、米国特許第5,118,134号明細書に記載された如く、位置検出手段によって衝突時の乗員の動きを検出し、それによって衝突を検出し、エアバッグ等の乗員保護装置の動作を制御する方式も知られているが、実際には、距離センサの応答性や、耐外乱性が十分でなく、未だ実用化されていない。例えば、超音波を用いる距離センサでは、音速が限られていることから、例えば1mの距離を検出するためには、原理的に、音が1mを往復するのに要する6msより応答性を速くすることができず、また、PSDを用いた位置検出手段でも、乗員に直射日光が当った場合のような、強い外乱光が作用した場合にも、正常動作を保証しようとすると、応答性を速くできないという問題点があった。
【0008】
さらに、前後方向の衝突だけでなく、横方向の衝突も位置検出手段によって検出しようとすると、横方向の位置を検出する位置検出手段が別途必要になるという問題点があった。
【0009】
そこで、この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、簡単な構造で、安全に動作方法を制御することのできる乗員保護装置を得ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る乗員保護装置は、車両の室内天井の略中央に、前席の位置から斜め後方の位置に設置されて、前席側ドアに向かって、アナモフィック光学系により前記車両の室内に対して上下方向の幅が狭く左右方向には扇型に広がるシート状に整形された赤外線を放射する赤外線放射手段と、前記車両の室内天井の略中央に、前記赤外線放射手段からオフセットした位置に設置され、前席に乗員がいない場合には前席側ドアに形成された線状の赤外線スポットを検出し、前席に乗員がいる場合には前記シート状の赤外線が前記乗員に当って散乱された赤外線スポットの位置を検出するための2次元イメージセンサから構成される赤外線検出手段と、前記赤外線検出手段の出力から前記乗員の3次元位置を求め、乗員が前席に不在の場合、乗員が子供の場合、乗員がエアバッグに非常に近い位置の場合、又は固定物の存在を検出した場合にはエアバッグの展開を抑制する制御手段と、を備えたものである。
また、前記赤外線放射手段は、車両の天井の、運転席又は助手席の乗員の頭の位置から斜め後方のルームランプの近傍に設置されるものである。
さらに、前記制御手段は、前記赤外線検出手段により検出された乗員の頭の大きさから該乗員が大人であるか子供であるかを判断するものである。
さらにまた、前記制御手段は、赤外線スポットの動きの有無から、前記固定物であるか否かを判断するものである。
また、前記赤外線放射手段は、前記シート状の赤外線を、複数の高さに放射することができるものである。
さらに、前記赤外線検出手段は、前記シート状の赤外線が前記乗員に当って散乱された赤外線スポットの位置を検出するため、フレームレートが200fps以上としたものである。
さらにまた、前記赤外線検出手段は、射影機能を備えた2次元CMOSイメージセンサからなるものである。
また、前記2次元CMOSイメージセンサは、前記車両の加速度が所定値を越えたとき、前記射影機能により1次元イメージセンサとして動作するものである。
さらに、前記制御手段は、前記赤外線検出手段により検出された、前記車両の前面の衝突が発生した瞬間の、前記乗員の前後方向の動きから衝突の状態を検出するものである。
さらにまた、前記制御手段は、前記赤外線検出手段により検出された、前記車両の横方向の衝突が発生した瞬間の、前記乗員の横方向の動きから衝突の状態を検出するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る乗員保護装置を助手席に設けた場合の構成を示す側面図、図2はその上面図である。これらの図において、上記従来例を表す図5と同一若しくは同等の部材および部位には、同一符号を付す。
図1において、自動車等の車両は、ウインドシールド1、ダッシュボード2、助手席4、助手席側ドア9を備えており、ダッシュボード2には、助手席前面衝突用のエアバッグ3、このエアバッグ3の展開を制御する電子制御ユニット(ECU)7、車両の加速度を検出する加速度センサ8が各々収納されている。ECU7は、加速度センサ8により検出された車両の加速度が所定値を越えたとき、車両の衝突を検出する。車室天井6には、その中央のルームランプの左前部に、赤外線シートを放射するための赤外線投光器11が左前方斜め下方向を向いて設けられており、また、車室天井6のルームランプの右後方部には、同じく左前方斜め下方向を向いて、赤外線検出手段としての2次元のイメージセンサ16が設けられており、このイメージセンサ16の出力はECU7に入力される。赤外線投光器11は、円筒面レンズを用いたアナモフィック光学系(図示せず)を備えている。
【0012】
次に、この実施の形態1の動作について説明する。赤外線投光器11から放射される赤外線は、円筒面レンズその他の図示しないアナモフィック光学系によって、車室に対して上下方向の幅が狭く、左右方向には扇型に広がるシート状に整形されている。この赤外線は、助手席に乗員がいない場合には、助手席側ドア9に達し、線状の赤外線スポット24を形成する。赤外線投光器11は、図示のように傾いているため、赤外線スポット24は斜めの線になる。一点鎖線21はイメージセンサ16の画角、一点鎖線22で囲まれた範囲は、イメージセンサ16の、助手席側ドア9の位置での撮像範囲を示す。助手席側ドア9の前部は、イメージセンサ16からの距離が遠いので、その位置での上下方向の撮像範囲は、助手席側ドア9の後部位置での上下方向の撮像範囲よりも広くなっている。
【0013】
この種の多くのセンサと同様に、赤外線投光器11は、イメージセンサ16の露光タイミングと同期して点滅しており、赤外線投光器11が発光した状態でのイメージセンサ16の出力と赤外線投光器11が消灯した状態でのイメージセンサ16の出力の差分を取ることにより、外乱光が大きい場合にも、外乱光に影響されずに赤外線投光器11の作る赤外線スポットのみを検出する、いわゆる同期検波の手法を用いている。
【0014】
図3は、図2に示す線X(赤外線投光器11及びイメージセンサ16の中心を通る線)における断面図である。図3において、赤外線シート23は、イメージセンサの上下方向の画角21を上から下へ横切る様に、上下方向には広がることなく進行する。検出対象物がイメージセンサ16に近い点Aに存在した場合には、その検出対象物が生成する赤外線スポット25は撮像範囲の上端近くで観測され、検出対象物が遠い点Bに存在した場合には、その検出対象物が生成する赤外線スポット26は撮像範囲の下端近くで観測される。従って、ECU7は、観測された赤外線スポットの上下位置から検出対象物の距離(イメージセンサ16からの距離)を求めることができる。赤外線シート23の空間的位置は既知であり、イメージセンサ16から検出対象物までの距離が得られるので、これらに基づいて、ECU7は赤外線スポットの3次元形状を求めることができる。
【0015】
実際には、検出対象物の距離の変化に対する、観測される赤外線スポットの上下位置の変化は小さいので、上下方向の画角を小さく絞ることによって検出距離の分解能を上げている。一方、検出対象物の水平方向の存在可能範囲は広いので、アナモフィック光学系によって上下方向の画角を狭く、水平方向の画角を広く取ってある。
【0016】
助手席に大人が正常に着座している場合、および、高いチャイルドシートに子供が座っている場合には、乗員の横顔に赤外線スポットが生成される。人間の頭であれば、長時間の間には必ず多少は動くので、ヘッドレスト等の固定物とは区別する事ができる。イメージセンサ16でこの赤外線スポットの視角を検出し、上記の方法で得られた距離情報で補正することによって、ECU7は横顔の幅の実寸法を求めることができる。横顔の幅と体格は相関があるので、この横顔の幅寸法から大人であるか子供であるかを判断することができる。すなわち、検出された横顔の幅が所定値以上の場合には大人と判断し、所定値以下の場合には子供と判断する。乗員が子供である場合には、衝突事故発生時においても、エアバッグ3を展開するとかえって危険である場合が多いので、ECU7はエアバッグ3の展開を抑制するか、或いは弱い力で展開させるように制御する。
【0017】
乗員が不在であるか、または、図4に示すように、助手席4に座高の低い(所定高さ以下)子供が直接着座している場合には、乗員には赤外線シート23が当らないか、或いは、頭の先端のみに当たり、横顔の幅が非常に小さいと判断されるので、ECU7は、乗員不在、または子供着座と判断して、エアバッグ3の展開を抑制するか、或いは弱い力で展開させるように制御する。
【0018】
エアバッグ3に非常に近い位置(第1の所定距離以内)に乗員の存在が検出された場合には、エアバッグ3を展開すると危険であるので、ECU7は乗員の体格によらずエアバッグ3の展開を抑制する。
【0019】
エアバッグ3にやや近い位置(第1の所定距離より大きく第2の所定距離以下)に乗員の存在が検出された場合には、ECU7は、エアバッグ3を強く展開すると危険であるが、展開は必要と判断し、加速度センサ8が前面の衝突を検知した場合には、弱い力で展開するように制御する。
【0020】
前述のように、乗員の頭部の3次元的位置が得られるので、前面衝突用のエアバッグ3の展開可否判断のみならず、サイドエアバッグの展開可否判断にも同様に使用する事ができる。乗員の位置が図示しないサイドエアバッグに近すぎる場合には、ECU7は、サイドエアバッグを強く展開すると危険であると判断し、加速度センサ8が側面の衝突を検知した場合にも、サイドエアバッグの展開を抑制するか、或いは、弱い力で展開するように制御する。
【0021】
ECU7は、赤外線スポットの動きを監視しており、赤外線シート上に、長時間動かない、有る程度以上の大きさを持つ固定物の存在を検出した場合には、チャイルドシートが固定されているものと判断する。例えば、図5に示すようなチャイルドシート30が固定されている場合には、エアバッグ3を展開すると非常に危険なので、ECU7はエアバッグ3の展開を抑制する。
【0022】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、赤外線投光器11は、赤外線を1枚のシート状に投光したが、複数枚の赤外線シート状に投光可能なようにしてもよい。車種によっては、1枚の赤外線シートでは、乗員の座高やシートの位置によっては乗員の頭部の検出が難しい場合があるので、このように赤外線を複数枚のシート状に投光することによって検出可能範囲を広げることが可能となる。また、精細な3次元形状が得られるようになるので、より確実に乗員の体格を推定することが可能となる。
【0023】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、イメージセンサ16により乗員の静的な大きさや位置のみを検出し、衝突の発生は加速度センサ8の出力に基づいて検出した。エアバッグ3を早期に展開するためには、衝突の判断は、衝突後なるべく早く完了することが望ましい。しかし、短時間の加速度信号のみから判断すると、段差乗上げ時の様な、衝突以外の原因で誤動作する場合があるため、衝突検出の信頼性を上げるためには、有る程度長時間の加速度波形を用いるのが普通である。
従って、衝突時の、イメージセンサ16のリアルタイムの映像から、乗員の動きを検出し、衝突検出の補助とするか、或いは、映像のみから衝突の発生を検知するようにしても良い。
【0024】
エアバッグ制御用の衝突センサは、衝突発生後、10〜15msの時間内に衝突を検知する必要があるとされている。従って、加速度センサ8で衝突を判断する場合には、その時間いっぱいの加速度波形を判断に用いている。イメージセンサ11で衝突を検知するためには、この時間内に最低2フレーム、つまり、200fps(Frame Per Second)以上、好ましくは1000fps以上のフレームレートで観測することが必要である。しかし、一般には、2次元イメージセンサは画素数が多いために、この様な高速なフレームレートを実現するのは困難である。
【0025】
そこで、本実施の形態3では、イメージセンサ16として、射影機能を備えたCMOS型のイメージセンサを使用した。射影機能とは、通常の2次元イメージセンサの様に、全画素の輝度値を全て出力するのではなく、x,yの2次元の画素を持つイメージセンサにおいて、x方向の画素各列それぞれについて、y方向の画素の輝度値全ての合計値を一括して1次元情報として出力する機能、すなわち、1次元のイメージセンサとして働かせることのできる機能である。例えば、32×32ドットのイメージセンサを用いた場合、通常は1024個全ての画素の輝度値を出力する必要があるが、射影機能を用いた場合、x方向各列につき1個、合計32個の輝度値を出力するだけで良いため、1000fps以上の、非常に高速なフレームレートの実現が可能であり、衝突センサとして使用可能である。
【0026】
イメージセンサ16は、平常時は、本来の2次元イメージセンサとして、上記実施の形態1と同様に、乗員の静的な位置を検出するために働き、前後方向の加速度センサ8が一定値以上の加速度を検出した瞬間からは、射影機能を用いた、高速なx方向の1次元イメージセンサとして動作するようにし、また、左右方向の加速度センサ8が所定値以上の加速度を検出すると、その瞬間からは、射影機能を用いた、高速なy方向の1次元イメージセンサとして動作するようにして、衝突センサの補助的役割を担わせる。すなわち、加速度センサ8により検出された車両加速度が所定値以上で、イメージセンサ16により検出された乗員の前後方向の動き(移動速度)が所定値以上の場合には、車両の衝突が発生したと判断する。また、本実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様に、同期検波の手法を用いて外乱光の影響を防いでいる。この補助によって、加速度センサ8の出力のみから衝突を判断するよりも早期に、確実に衝突を判断することが可能となる。
【0027】
また、本実施の形態3では、衝突の瞬間の乗員の動きを、リアルタイムで観測することが可能なので、より高度なエアバッグ展開制御が可能となる。例えば、衝突直前には乗員が正常位置範囲内に着座していたが、シートベルトを着用していなかった等の理由で、衝突直後に、予想よりもダッシュボード2に急接近し(すなわち、乗員とダッシュボード2との間の距離の変化率が所定値を越えるとき)、エアバッグ3を展開すると危険な状態になったような場合にも、安全にエアバッグ3の展開を抑制することが可能となる。
【0028】
尚、図1〜5では、構成を分りやすくするために、赤外線放射手段11とイメージセンサ16を可成り離して描いたが、実際にはもっと近い距離に置き、一体化しても良い。特に、ルームランプに一体として組込めば、乗員の邪魔にならず、さらに好ましい。
【0029】
また、上記実施の形態1では、赤外線放射手段11は幅の広いシート状の赤外線を放射するようにしたが、シート状に並べられた複数の赤外線ビームのセット、またはシート状に走査する赤外線ビームを用いても良く、同様の効果を奏する。
【0030】
また、上記実施の形態1では、乗員1人の位置を検出するために、1セットの赤外線放射手段11とイメージセンサ16等の赤外線検出手段を用いたが、故障に対して万全を期すために、複数のセットの赤外線放射手段11と赤外線検出手段を用いても良い。
【0031】
また、上記実施の形態1では、助手席用のエアバッグ展開制御装置について述べたが、本発明は、その他の乗員のための、衝突時の保護手段の動作制御装置としても同様に応用可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、車両の室内天井の略中央に、前席の位置から斜め後方の位置に設置されて、前席側ドアに向かって、アナモフィック光学系により前記車両の室内に対して上下方向の幅が狭く左右方向には扇型に広がるシート状に整形された赤外線を放射する赤外線放射手段と、前記車両の室内天井の略中央に、前記赤外線放射手段からオフセットした位置に設置され、前席に乗員がいない場合には前席側ドアに形成された線状の赤外線スポットを検出し、前席に乗員がいる場合には前記シート状の赤外線が前記乗員に当って散乱された赤外線スポットの位置を検出するための2次元イメージセンサから構成される赤外線検出手段と、前記赤外線検出手段の出力から前記乗員の3次元位置を求め、乗員が前席に不在の場合、乗員が子供の場合、乗員がエアバッグに非常に近い位置の場合、又は固定物の存在を検出した場合にはエアバッグの展開を抑制する制御手段とを備えたので、前記赤外線検出手段により、前席に座った乗員の頭の位置より斜め後方から赤外線を照射して、前記赤外線検出手段により乗員の体格や乗車位置等の3次元形状を検出し、この検出結果に基づいて、前記制御手段によりエアバッグ等の保護装置の動作を制御することにより、より安全な乗員保護装置を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る乗員保護装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る乗員保護装置の概略構成を示す上面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る乗員保護装置の光学系を示す側面断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係る乗員保護装置を備た車両の助手席に子供が着座した場合を示す動作説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係る乗員保護装置を備た車両の助手席にチャイルドシートが備えられた場合を示す動作説明図である。
【図6】 従来の乗員保護装置を示す概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
2 ダッシュボード、3 エアバッグ、6 車室天井、7 ECU、8 加速度センサ、11 赤外線放射手段、16 イメージセンサ(赤外線検出手段)、30 チャイルドシート。

Claims (10)

  1. 車両の室内天井の略中央に、前席の位置から斜め後方の位置に設置されて、前席側ドアに向かって、アナモフィック光学系により前記車両の室内に対して上下方向の幅が狭く左右方向には扇型に広がるシート状に整形された赤外線を放射する赤外線放射手段と、
    前記車両の室内天井の略中央に、前記赤外線放射手段からオフセットした位置に設置され、前席に乗員がいない場合には前席側ドアに形成された線状の赤外線スポットを検出し、前席に乗員がいる場合には前記シート状の赤外線が前記乗員に当って散乱された赤外線スポットの位置を検出するための2次元イメージセンサから構成される赤外線検出手段と、
    前記赤外線検出手段の出力から前記乗員の3次元位置を求め、乗員が前席に不在の場合、乗員が子供の場合、乗員がエアバッグに非常に近い位置の場合、又は固定物の存在を検出した場合にはエアバッグの展開を抑制する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする乗員保護装置。
  2. 前記赤外線放射手段は、車両の天井の、運転席又は助手席の乗員の頭の位置から斜め後方のルームランプの近傍に設置されることを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置。
  3. 前記制御手段は、前記赤外線検出手段により検出された乗員の頭の大きさから該乗員が大人であるか子供であるかを判断することを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  4. 前記制御手段は、赤外線スポットの動きの有無から、前記固定物であるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  5. 前記赤外線放射手段は、前記シート状の赤外線を、複数の高さに放射することができることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  6. 前記赤外線検出手段は、前記シート状の赤外線が前記乗員に当って散乱された赤外線スポットの位置を検出するため、フレームレートが200fps以上であることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  7. 前記赤外線検出手段は、射影機能を備えた2次元CMOSイメージセンサからなることを特徴とする請求項6記載の乗員保護装置。
  8. 前記2次元CMOSイメージセンサは、前記車両の加速度が所定値を越えたとき、前記射影機能により1次元イメージセンサとして動作することを特徴とする請求項7記載の乗員保護装置。
  9. 前記制御手段は、前記赤外線検出手段により検出された、前記車両の前面の衝突が発生した瞬間の、前記乗員の前後方向の動きから衝突の状態を検出することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置。
  10. 前記制御手段は、前記赤外線検出手段により検出された、前記車両の横方向の衝突が発生した瞬間の、前記乗員の横方向の動きから衝突の状態を検出することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置。
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