JP4144148B2 - 車両用エアバッグシステムのための乗員判定装置 - Google Patents

車両用エアバッグシステムのための乗員判定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エアバッグシステムに採用するに適した乗員判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両の助手席用エアバッグシステムにおいては、助手席に着座した乗員は、運転席の着座乗員とは異なり、様々な着座姿勢をとることが多い。このため、その着座姿勢によっては、本来乗員を保護するためのエアバッグが、逆にその展開により乗員に障害を与えるおそれがある。従って、助手席においては、乗員の着座姿勢を検知して、この検知着座姿勢に応じてエアバッグの展開を制御することが望まれる。
【0003】
そこで、上述のような助手席の着座姿勢の検知にあたり、広い視野角に亘り多点測距し、この測距結果に応じてエアバッグの展開の制御に必要な乗員の着座姿勢の判定を行うようにしたものが開示されている(特開平9−309402号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報のものでは、着座乗員の姿勢に対する測定点が一次元状に限られているため、高速な測距は可能であるとしても、多様に変化する着座姿勢を詳細に検知するための測距まではできず、当該測距結果によっては、エアバッグの展開のきめ細かな制御に必要な多様な着座姿勢の判定を行うことができないという不具合がある。
【0005】
これに対しては、画像センサを採用し、この画像センサの画像認識でもって乗員の着座姿勢を二次元的に検出することが考えられる。しかし、単に画像センサを採用するだけでは、二次元的な詳細な測距は可能になるものの、測距にあたり立体視を行う必要が生じ、コストの上昇を招くのは勿論のこと、測距のための演算に時間がかかり、高速な測距を行うことができないという不具合を招く。
【0006】
そこで、本発明は、このようなことに対処するため、車両用エアバッグシステムにおいて、画像センサによる測定時には夜間において必ず補助光源を必要とすることに着目し、この補助光源の構成に工夫を凝らすことで、高速で詳細な測距を可能としつつエアバッグのきめ細かな展開制御に必要な詳細な着座姿勢を判定するようにした乗員判定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係る車両用エアバッグシステムの乗員判定装置は、車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、車室内にてフロントピラー(41)の上下方向中間部位に画像センサとは離れて配設されて着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び着座乗員向けビーム光を照射する第2発光素子(62)を有する補助光ユニット(60)と、画像センサにより、第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、着座乗員を一枚目の画像データとして撮像した後第2発光素子によるビーム光の照射にあわせて着座乗員を二枚目の画像データとして撮像するように第1発光素子の選択的駆動、第2発光素子の駆動及び画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、120、121)と、両画像データの差分データを算出することで、ビーム光が着座乗員における照射ポイントで反射し画像センサで撮像された画像データ上での照射ポイントの位置を抽出する抽出手段(123と、抽出された画像データ上での照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における照射ポイントとの間の距離を算出する距離算出手段(124)と、この距離算出手段の算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える。
【0008】
このように、画像センサに補助光源として必要とされる補助光ユニットに、拡散光の出射源である第1発光素子に加え、ビーム光の出射源である第2発光素子を設けて、ビーム光を照射しない場合の画像センサの出力画像データとビーム光を照射した場合の画像センサの出力画像データとの差分データに基づき画像センサで撮像された画像データ上での照射ポイントの位置を抽出し、この照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における照射ポイントとの間の距離を算出し、この算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定するようにした。
【0009】
従って、着座乗員の姿勢が種々に変化していても、この姿勢の変化が、算出距離の長短に応じて、エアバッグの展開を乗員に対する加害性をなくするように制御するように的確に判定され得る。また、上述のごとく、両画像データの差分データを求めて画像データ上での照射ポイントの位置を抽出し、着座乗員における照射ポイントと画像センサとの間の距離を算出するので、二次元の撮像機能を有する画像センサを用いても、当該距離の算出が高速にて可能としつつ上記作用効果を達成できる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明に係る車両用エアバッグシステムの乗員判定装置は、車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、車室内にてフロントピラー(41)の上下方向中間部位に画像センサとは離れて配設されて着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び着座乗員の互いに異なる部位に向け向けビーム光をそれぞれ照射する複数の第2発光素子(62a乃至62d)を有する補助光ユニット(60A)と、画像センサにより、第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、着座乗員を一枚目の画像データとして撮像した後複数の第2発光素子によビーム光を1つずつ順次照射する毎にこれにあわせて着座乗員を順次二枚目の画像データとして撮像するように第1発光素子の選択的駆動、複数の第2発光素子の選択的駆動及び画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、132、133)と、一枚目の画像データと各二枚目の画像データとの間の各差分データを算出することで、ビーム光が着座乗員における各照射ポイントで反射し画像センサで撮像された画像データ上での各照射ポイントの位置を順次抽出する抽出手段(134)と、抽出された画像データ上での各照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における各照射ポイントとの間の距離を順次算出する距離算出手段(135)と、この距離算出手段の各算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える。
【0011】
このように、画像センサに補助光源として必要とされる補助光ユニットに、拡散光の出射源である第1発光素子に加え、着座乗員の互いに異なる照射ポイントに向けビーム光を出射する複数の第2発光素子を設けて、ビーム光を照射しない場合の画像センサの出力画像データと各ビーム光を照射した場合の画像センサの各出力画像データとの各差分データに基づき画像データ上での各照射ポイントの位置を抽出し、これら各照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における各照射ポイントとの間の距離を順次算出し、これら各算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定するようにした。
【0012】
従って、着座乗員の姿勢が種々に変化していても、この姿勢の変化が、各算出距離の長短に応じて、エアバッグの展開を乗員に対する加害性をなくするように制御するようにきめ細かに判定され得る。また、上述のごとく、各両画像データの差分データを求めて画像データ上での各照射ポイントの位置を抽出し、着座乗員における各照射ポイントと画像センサとの間の距離を算出するので、二次元の撮像機能を有する画像センサを用いても、当該各距離の算出が高速にて可能としつつ上記作用効果を達成できる。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る車両用エアバッグシステムの乗員判定装置は、車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、車室内にて着座乗員の前側に画像センサとは離れて配設されて着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び着座乗員の互いに異なる部位に向けビーム光をそれぞれ照射する複数の第2発光素子(62a乃至62d)を有する補助光ユニット(60A)と、画像センサにより、第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、複数の第2発光素子によビーム光を1つずつ順次照射する毎にこれにあわせて着座乗員を順次画像データとして撮像するように第1発光素子の選択的駆動、複数の第2発光素子の選択的駆動及び画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、144)と、各画像データのうち先行画像データ及びその後続画像データの対毎に先行画像データ及びその後続画像データの間の差を第1差分データとして算出し、この第1差分データの先行の第1差分データとの間の差を第2差分データとして算出することで、ビーム光が着座乗員における各照射ポイントで反射し画像センサで撮像された画像データ上での各照射ポイントの位置を順次抽出する抽出手段(145、146)と、抽出された画像データ上での各照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における各照射ポイントとの間の距離を順次算出する距離算出手段(147)と、この距離算出手段の各算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える。
【0014】
このように、請求項2に記載の発明にいう補助光ユニットを採用し、画像センサの各出力画像データのうち先行画像データ及びその後続画像データの対毎に先行画像データ及びその後続画像データの間の差を第1差分データとして算出し、この第1差分データの先行の第1差分データとの間の差を第2差分分データとして算出することで、画像データ上での各照射ポイントの位置を順次抽出し、各照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における各照射ポイントとの間の距離を順次算出し、これら各算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定するようにした。これによっても、請求項3に記載の発明と実質的に同様の作用効果を達成できる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明に係る車両用エアバッグシステムの乗員判定装置は、車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、車室内にて着座乗員の前側に画像センサとは離れて配設されて着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び着座乗員の互いに上下方向に異なる部位に向けビーム光をそれぞれ照射する複数の第2発光素子(63a乃至63c)を有し、複数の第2発光素子が鉛直方向下方に配列されてなる補助光ユニット(60B)と、画像センサにより、第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、着座乗員を一枚目の画像データとして撮像した後複数の第2発光素子による各ビーム光の同時照射にあわせて着座乗員を二枚目の画像データとして撮像するように第1発光素子の選択的駆動、複数の第2発光素子の同時駆動及び画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、151)と、一枚目の画像データと二枚目の画像データとの間の差分データを算出することで、ビーム光が着座乗員における各照射ポイントで反射し画像センサで撮像された画像データ上での各照射ポイントの位置を抽出する抽出手段(152)と、抽出された画像データ上での各照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における各照射ポイントとの間の距離を順次算出する距離算出手段(153)と、この距離算出手段の各算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える。
【0016】
このように、画像センサに補助光源として必要とされる補助光ユニットに、拡散光の出射源である第1発光素子に加え、着座乗員の互いに上下方向に異なる照射ポイントに向け同時にビーム光を出射する複数の第2発光素子を設けて、ビーム光を照射しない場合の画像センサの出力画像データと各ビーム光を同時照射した場合の画像センサの出力画像データとの差分データに基づき画像データ上での各照射ポイントの位置を抽出し、これら各照射ポイントの位置に基づき画像センサと着座乗員における各照射ポイントとの間の距離を順次算出し、これら各算出距離の長短に応じて着座乗員の姿勢を判定するようにした。
【0017】
従って、着座乗員の姿勢が種々に変化していても、この姿勢の変化が、各算出距離の長短に応じて、エアバッグの展開を乗員に対する加害性をなくするように制御するようにきめ細かに判定され得る。また、上述のごとく、第2発光素子の同時照射のもと両画像データの差分データを求めて画像データ上での各照射ポイントの位置を抽出し、着座乗員における各照射ポイントと画像センサとの間の距離を算出するので、二次元の撮像機能を有する画像センサを用いても、当該各距離の算出が高速にて可能としつつ上記作用効果を達成できる。なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1乃至図6は、本発明が適用される自動車用エアバッグシステムの一実施形態を示している。このエアバッグシステムは、当該自動車の車室内の助手席10(図2参照)に着座する乗員(以下、乗員Mという)を保護するために採用されている。
【0020】
当該エアバッグシステムは、図1にて示すごとく、エアバッグ20を有しており、このエアバッグ20は、助手席10の前側にて、当該自動車の車室内のインストルメントパネル30の適所に装備されている。なお、インストルメントパネル30は、当該自動車のフロントウインドシールド40の下縁から車室内側及び下方に向けて延出している。
【0021】
また、当該エアバッグシステムは、図1にて示すごとく、エアバッグ20を駆動するエアバッグ駆動回路D及び乗員判定装置Sを備えており、エアバッグ駆動回路Dは、乗員判定装置Sによる制御を受けてエアバッグ20を助手席10に向けて展開させる。
【0022】
乗員判定装置Sは、画像センサ50を備えており、この画像センサ50は、エアバッグ20の近傍のうち、インストルメントパネル30の上壁31のうち助手席10の背もたれ部11に対向する部分上に設けられている。当該画像センサ50は、図6にて示すごとく、二次元状のCCD素子51と、平凸レンズである受光レンズ52とを備えており、CCD素子51がその受光面51aにて受光レンズ52を介し背もたれ部11に対向している。
【0023】
受光レンズ52は、助手席10に着座した乗員Mの上半身Maから後述のように反射される光をCCD素子51の受光面51a上に結像させる。CCD素子51は、その受光面51a上の結像光を二次元状の画像データとして出力する。このことは、画像センサ50は、乗員Mの上半身Maを画像データとして撮像し画像データとして出力することを意味する。ここで、画像センサ50は助手席10の背もたれ部11の前面を含んで映し出せるように、受光レンズ52により視野角が調整されている。なお、助手席10はその着座部12にて当該自動車の車室内てに床面10a上に設けられている。
【0024】
また、乗員判定装置Sは、補助光ユニット60を備えており、この補助光ユニット60は、当該自動車の車室内前方にてフロントウインドシールド40の助手席側縁に沿って位置するフロントピラー41の上下方向中間部位に取り付けられている(図2参照)。補助光ユニット60は、図1にて示すごとく、図示しないケーシングに収容した両発光素子61、62を備えており、これら両発光素子61、62は、共に、赤外発光ダイオードを内蔵して構成されている。
【0025】
発光素子61は、その内蔵赤外発光ダイオードからのパルス状の拡散光を助手席10の背もたれ部11の前面を照射するように発光する。一方、発光素子62は、その内蔵赤外発光ダイオードからのパルス状のビーム光を助手席10の背もたれ部11の前面の一部を照射するように発光する。ここで、発光素子62は、その発光面の中心部(発光軸上に位置する部分)からビーム光を発光するようになっている。
【0026】
また、乗員判定装置Sは、画像データ処理回路70、補助光ユニット駆動回路80及びマイクロコンピュータ90を備えている。画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、マイクロコンピュータ90により駆動されて画像センサ50を駆動し、当該画像センサ50から画像データ出力を入力されて画像処理信号としてマイクロコンピュータ90に出力する。
【0027】
補助光ユニット駆動回路80は、マイクロコンピュータ90による制御のもと、補助光ユニット60の各発光素子61、62をパルス駆動する。このことは、発光素子61が拡散光をパルス状に発光し、発光素子62がビーム光をパルス状に発光することを意味する。
【0028】
マイクロコンピュータ90は、図3及び図4にて示すフローチャートに従いコンピュータプログラムを実行し、この実行中において、画像センサ駆動及びデータ処理回路70の駆動処理及びその出力の処理、補助光ユニット駆動回路80の駆動処理、乗員Mの着座姿勢の判定処理並びにエアバッグ駆動回路Dの駆動処理を行う。なお、コンピュータプログラムはマイクロコンピュータ90のROMに予め記憶されている。
【0029】
このように構成した本第1実施形態において、マイクロコンピュータ90が図3及び図4のフローチャートに従いコンピュータプログラムの実行を開始すれば、図3のステップ100において、初期設定の処理がなされる。
【0030】
その後、ステップ101において、画像センサ50の作動処理がなされる。このため、画像センサ駆動及びデータ処理回路70が画像センサ50を作動する。これに伴い、画像センサ50は現状の外光のもとに助手席10の着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、当該画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像としてステップ101にて入力する。
【0031】
ついで、ステップ102において、当該正画像の全画素の輝度平均値が算出される。これに伴い、ステップ103において、撮像時間が上記全画素の輝度平均値の高さ、即ち明るさに応じて算出される。ここで、当該撮像時間は暗い場合の方が明るい場合に比べて長く算出される。
【0032】
その後、ステップ110において、ステップ103における撮像時間に応じて補助光の要否が判定される。当該撮像時間が短ければ、明るいために補助光は不要であることからステップ110における判定はNOとなる。一方、当該撮像時間が長ければ、暗いために補助光が必要であることからステップ110における判定はYESとなる。そして、ステップ111において拡散光発光設定がなされる。
【0033】
ステップ110におけるNOとの判定後或いはステップ111の処理後、ステップ120において、画像センサ50の作動処理がなされ、またステップ111にて拡散光発光設定済みの場合には発光素子61の赤外発光ダイオードのパルス発光駆動処理がなされる。
【0034】
従って、ステップ111の処理がされていない場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、上述と同様に、現状の外光による照射のもとに助手席10の着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。
【0035】
また、上述のようにステップ111の処理済みの場合には、発光素子61が、補助光ユニット駆動回路80によりパルス駆動されて拡散光をパルス状に発光し、この拡散光により着座乗員Mの上半身Maを照射する。従って、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、発光素子61のパルス状の拡散光発光のもとに助手席10の着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。
【0036】
すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データD1(図5(a)参照)としてステップ120にて入力する。
【0037】
ついで、ステップ121において、画像センサ50の作動処理及び発光素子62のパルス発光駆動処理がなされ、またステップ111にて拡散光発光設定済みの場合には発光素子61の赤外発光ダイオードのパルス発光駆動処理がなされる。
【0038】
上述のように発光素子62のパルス発光駆動処理がなされると、この発光素子62は、補助光ユニット駆動回路80によりパルス駆動されてビーム光をパルス状に発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maの一部を照射する。
【0039】
よって、ステップ111の処理がされていない場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、現状の外光及び上記ビーム光による照射のもとに助手席10の着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データD2(図5(b)参照)としてステップ121にて入力する。
【0040】
一方、ステップ111の処理がされている場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、上記拡散光及びビーム光による照射のもとに助手席10の着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データD2としてステップ121にて入力する。
【0041】
ついで、ステップ122において、両正画像データD1、D2の差分値がデータとして算出され、次のステップ123において、当該差分値データに基づき上半身Maの前面におけるビーム光の照射ポイントPを表すデータSD(=D2−D1)として抽出される(図5(c)参照)。そして、ステップ124において、画像センサ50の受光レンズ52の光心52aと照射ポイントPとの間の当該自動車の前後方向に沿う距離Laが次の数1の式に基づき算出される。
【0042】
【数1】
La=(D・L・tanα)/(L+da・tanα)
この数1の式において、図6にて示すごとく、Dは、発光素子62の発光面の中心部と画像センサ50の受光レンズ52の受光軸との間の間隔である。daは、照射ポイントPで反射されるビーム光が受光レンズ52の光心52aを通り結像するCCD素子51の受光面51a上の結像位置と画像センサ50の受光軸との間の間隔である。Lは、画像センサ50の受光軸(受光レンズ52の受光軸と同じ)上に沿う当該受光レンズ52の光心とCCD素子51の受光面51aとの間隔である。αは、発光素子62の発光軸と当該発光素子62の発光面の中心部から受光レンズ52の光心52aを含む鉛直面に立てた法線とがなす角度である。なお、図6では、便宜上、図2とは異なり、発光素子62の発光面の中心部と受光レンズ52の光心52aとが同一の鉛直面内に位置するように記載されている。
【0043】
ちなみに、数1の式は以下のようにして三角測距法に基づき導出される。まず、着座乗員Mの上半身Maが画像センサ50に対し図6にて図示aにて示す位置にあるとき、画像センサ50の光軸と照射ポイントPとの間の間隔をDaとする。また、上半身Maが画像センサ50に対し図6にて図示bにて示す位置にあるとき、画像センサ50の受光軸上における上半身Maの前面と受光レンズ52の光心52aとの間の距離をLbとする。この前提のもと、図6の両三角形の相似形状等に基づき次ぎの数2乃至数4の式が成立する。
【0044】
【数2】
La:Da=L:da
【0045】
【数3】
La:(D+Da)=Lb:D
【0046】
【数4】
Lb=Dtanα
よって、これら数2乃至数4の各式を整理することで数1の式が導出される。上述のようにステップ125での処理が終了すると、ステップ125において正画像データD1に基づき画像認識処理がなされる。その後、ステップ126において、助手席状態の判定処理がなされる。ここでは、当該画像認識処理及び算出距離Laに応じて乗員Mの助手席10に対する着座姿勢が判定される。例えば、算出距離Laが短ければ、乗員Mは、上半身Maのうち照射ポイントPに対応する部分を他の部分に比べてインストルメントパネル30側へ突出させた着座姿勢をとっていると判定される。一方、算出距離Laが長ければ、乗員Mは、助手席10に対し正常な着座姿勢をとっていると判定される。
【0047】
ついで、ステップ127では、ステップ126における判定処理に基づきエアバッグ20の展開判定処理がなされる。ここでは、当該展開判定処理は、当該自動車の衝突時にエアバッグ20の展開によって着座乗員Mが加害されることなく保護されるようになされる。例えば、上述のように、乗員Mが上半身Maのうち照射ポイントPに対応する部分を他の部分に比べてインストルメントパネル30側へ突出させた着座姿勢をとっている場合には、エアバッグ20の展開力は弱めるように判定される。一方、乗員Mが助手席10に対し正常な着座姿勢をとっている場合には、エアバッグ20の展開力は通常にするように判定される。
【0048】
このような判定のもと、当該自動車の衝突が判定されると、ステップ128において、ステップ127におけるエアバッグ20の展開判定処理に基づきエアバッグ20の制御信号がエアバッグ駆動回路Dに出力される。これに伴い、エアバッグ駆動回路Dは、上記制御信号、即ちエアバッグ20の展開判定処理に基づく展開力でもってエアバッグ20を展開させる。
【0049】
これにより、着座乗員Mは、エアバッグ20により保護される。この場合、エアバッグ20は着座乗員Mの着座姿勢に応じた展開力で展開するので、当該エアバッグ20がその展開によって着座乗員Mに加害することがない。また、上述のごとく、両正画像データD1、D2の差分データSDを求めて照射ポイントPを抽出し、この照射ポイントPと画像センサ50との間の距離La(即ち、エアバッグ20との間の距離)を算出するので、二次元の撮像機能を有する画像センサ50を用いても、当該距離Laの算出が高速にてなされ得る。従って、当該自動車の衝突の際に必要な着座乗員Mの着座姿勢やエアバッグ20の展開の判定も迅速にて行えるので、当該自動車の衝突時には着座乗員の着座姿勢に合致した展開力でエアバッグ20をタイミングよく展開できる。
(第2実施形態)
図7乃至図9は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態では、補助光ユニット60Aが、上記第1実施形態にて述べた補助光ユニット60に代えて採用されている(図7参照)。この補助光ユニット60Aは、上記補助光ユニット60において、発光素子62に代えて、4つの発光素子62a乃至62dを採用した構成を有している。
【0050】
各発光素子62a乃至62dは、上記発光素子62と同様の構成及び機能を有するもので、両発光素子62b、62aは左右に隣接して配置され、各発光素子62c、62dは、それぞれ、各発光素子62a、62bの直下に配置されている。発光素子62aは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の右側上部上の照射ポイントP1を照射する。発光素子62bは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の左側上部上の照射ポイントP2を照射する。発光素子62cは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の右側下部上の照射ポイントP3を照射する。発光素子62dは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の左側下部上の照射ポイントP4を照射する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた補助光ユニット駆動回路80は、上記第1実施形態にて述べた発光素子61、62のうち発光素子62に代え各発光素子62a乃至62dを選択的にパルス駆動するようになっている。また、図7にて示す上半身Maは、乗員Mの上半身(頭部を除く)をその前面の凹凸を上下左右に4分割して模式的に描いたものである。
【0051】
また、本第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べたフローチャートのうち両ステップ110、111とステップ125との間のフローチャート部分が図8にて示すように変更されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0052】
このように構成した本第2実施形態において、マイクロコンピュータ90が上記第1実施形態にて述べたと同様にステップ110におけるNO又はステップ111の処理を終了すると、コンピュータプログラムはステップ130(図8参照)に進む。すると、このステップ130において、変数NがN=0とリセットされる。ついで、ステップ131において、変数NがN=N+1=1と加算更新される。なお、N=1は発光素子62aに対応し、N=2は発光素子62bに対応し、N=3は発光素子62cに対応し、N=4は発光素子62dに対応するものとする。
【0053】
しかして、ステップ132において、上記第1実施形態にて述べたステップ120における処理と同様の処理がなされ、画像センサ50が駆動され、データ処理回路70から一枚目の正画像データがマイクロコンピュータ90に入力される。ついで、ステップ133において、画像センサ50の駆動処理及びN=1に対応する発光素子62aのパルス発光駆動処理がなされ、またステップ111にて拡散光発光設定済みの場合には発光素子61の赤外発光ダイオードのパルス発光駆動処理がなされる。
【0054】
上述のように発光素子62aのパルス発光駆動処理がなされると、この発光素子62aは、補助光ユニット駆動回路80によりパルス駆動されてビーム光をパルス状に発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maの照射ポイントP1を照射する。
【0055】
よって、ステップ111の処理がされていない場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、現状の外光及び上記発光素子62aのビーム光による照射のもとに着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データ(照射ポイントP1を含む)としてステップ133にて入力する。
【0056】
一方、ステップ111の処理がされている場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、上記拡散光及び発光素子62aのビーム光による照射のもとに着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データ(照射ポイントP1を含む)としてステップ133にて入力する。
【0057】
然る後、ステップ134において、上記第1実施形態にて述べたステップ122、123の処理と同様にして、両ステップ133及び132の各正画像データの差分値がデータとして算出され、当該差分値データに基づき上半身Maの前面におけるビーム光の照射ポイントP1を表すデータとして抽出される(図9参照)。そして、ステップ135において、記第1実施形態にて述べたステップ124の処理と同様にして、画像センサ50の受光レンズ52の光心52aと照射ポイントP1との間の当該自動車の前後方向に沿う距離L(n)=L(1)が数1の式に基づき算出される。但し、間隔dan及び距離L(n)が、数1の式において間隔da及び距離Laに代えて代入されており、現段階ではN=1故、dan=da1及びL(n)=L(1)とする。なお、danは、図9にて示すごとく、上半身Maの左右両側部の境界と照射ポイントPnとの間隔である。なお、現段階では、n=1故、上半身Maの左右両側部の境界と照射ポイントP1との間隔da1が採用される。
【0058】
ステップ135の処理後、ステップ136において、N=1故、NOとの判定がなされる。以下、同様にして、N=2、N=3及びN=4について、ステップ131乃至135の処理が繰り返される。ここで、ステップ133では、N=2、N=3及びN=4に対応する各発光素子62b、62c及び62dがステップ132の処理後毎に順次パルス発光駆動処理され、ステップ134では、N=2、N=3及びN=4の各々のときの両ステップ132、133での各正画像データの差分値が算出されて照射ポイントP2、P3及びP4がステップ133の処理後毎に順次抽出され、ステップ135において、距離L(n)=L(2)、L(3)及びL(4)が数1の式に基づき上述と実質的に同様にして算出される。なお、上述のごとく、各発光素子62a乃至62dは互いに時を異にして発光駆動されるので、照射ポイントが不明になることなく、各距離L(1)、L(2)、L(3)、L(4)の算出は正しくなされる。
【0059】
その後、ステップ136においてYESとの判定がなされ上記第1実施形態と同様にステップ125の処理がなされる。ついで、ステップ126では、ステップ136での画像認識処理及び各算出距離L(1)、L(2)、L(3)、L(4)に応じて乗員Mの助手席10に対する着座姿勢が判定される。この判定は、算出距離の数が照射ポイントP1乃至P4との関連での4倍になっているので、上記第1実施形態の場合よりもよりきめ細かに行われる。
【0060】
従って、次のステップ127でのエアバッグの展開判定処理もステップ126でのきめ細かな判定を根拠にきめ細かに判定される。このような判定のもと、当該自動車の衝突が判定されると、ステップ128において、ステップ127におけるエアバッグ20のきめ細かな展開判定処理に基づきエアバッグ20の制御信号がエアバッグ駆動回路Dに出力される。これに伴い、エアバッグ駆動回路Dは、上記制御信号、即ちエアバッグ20のきめ細かな展開判定処理に基づく展開力でもってエアバッグ20を展開させる。その結果、上記第1実施形態の場合よりも乗員の着座姿勢によりきめ細かに合致したエアバッグの展開のもと乗員の加害性のない保護が可能となる。また、上述のごとく、本第2実施形態では、補助光ユニット60でもってビーム光により照射ポイントP1乃至P4の4点を照射するようにしているが、Nの値に対応する照射ポイントPnの位置を用いて距離L(n)を算出するので、当該距離L(n)の高速な算出が可能となる。従って、当該自動車の衝突の際に必要な着座乗員Mの着座姿勢やエアバッグ20の展開のきめ細かい判定も迅速にて行えるので、当該自動車の衝突時には着座乗員の着座姿勢に合致したきめ細かい展開力でエアバッグ20をタイミングよく展開できる。
(第3実施形態)
図10乃至図12は本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べたフローチャートのうち両ステップ110、111とステップ125との間のフローチャート部分が図10にて示すように変更されている。その他の構成は上記第2実施形態と同様である。
【0061】
このように構成した第3実施形態において、マイクロコンピュータ90が上記第2実施形態にて述べたと同様にステップ110におけるNO又はステップ111の処理を終了すると、ステップ140において、両初期設定画像データSD1及びSSD1(11(a)参照)が設定される。ついで、上記第3実施形態のステップ130と同様に、ステップ141にてN=0とリセットされる。
【0062】
その後、ステップ142において、上記第3実施形態のステップ132と同様に、画像センサが駆動され、データ処理回路70から一枚目の正画像データD1(図11(a)参照)がマイクロコンピュータ90に入力される。ついで、ステップ143において、上記第3実施形態のステップ131と同様に、N=N+1=1と加算更新される。すると、ステップ144において、上記第3実施形態のステップ133と同様に、画像センサ50の作動処理及びN=1に対応する発光素子62のパルス駆動処理がなされ、またステップ111にて拡散光発光設定済みの場合には発光素子61の赤外発光ダイオードのパルス発光駆動処理がなされる。
【0063】
上述のように発光素子62aのパルス発光駆動処理がなされると、この発光素子62aは、補助光ユニット駆動回路80によるパルス駆動のもとパルス状のビーム光により着座乗員Mの上半身Maの照射ポイントP1を照射する。よって、ステップ111の処理がされていない場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、現状の外光及び上記発光素子62aのビーム光による照射のもとに着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データD2(図11(b)参照))としてステップ144にて入力する。
【0064】
然る後、ステップ145において、正画像データD2と初期設定画像データD1との差が差分データSD2(=D2−D1)(図11(b)参照)として算出される。すると、ステップ146において、差分データSD2と初期設定画像データSSD1との差が差分データSSD2(=SD2−SSD1)(図11(b)参照)として算出される。ついで、ステップ147において、差分データSSD2中の照射ポイントP1の位置を用いて距離L(1)が数1の式に基づき上記第2実施形態と同様に算出される。
【0065】
この算出後、現段階では、N=1故、ステップ148にてNOとの判定がなされる。その後、ステップ143でのNの加算更新毎にステップ144乃至ステップ147の処理が同様にして繰り返される。ここで、ステップ144では、N=2、N=3及びN=4に対応する各発光素子62b、62c、62dがステップ143の処理後毎に順次パルス発光駆動処理されて正画像データD3、D4、D5(図11(c)、図12(a)、(b)参照)が順次入力され、ステップ145では、両正画像データD3、D2の差分データSD3(=D3−D2)、両正画像データD4、D3の差分データSD4(=D4−D3)、両正画像データD5、D4の差分データSD5(=D5−D4)(図11(c)、図12(a)、(b)参照)がステップ144の処理毎に順次算出され、ステップ146では、両差分データSD3、SD2の差分データSSD3、両差分データSD4、SD3の差分データSSD4、両差分データSD5、SD4の差分データSSD5がステップ145の処理毎に順次算出される。ついで、ステップ147では、差分データSSD3中の照射ポイントP2の位置を用いた距離L(2)の数1の式に基づく算出、差分データSSD4中の照射ポイントP3の位置を用いた距離L(3)の数1の式に基づく算出、差分データSSD5中の照射ポイントP4の位置をを用いた距離L(4)の数1の式に基づく算出がステップ146の処理毎に順次なされる。
【0066】
その後、ステップ148において、N=4に基づきYESとの判定がなされ、以下、上記第2実施形態と同様のステップ125以後の処理がなされる。
【0067】
以上のように、本第3実施形態では、両正画像データDn、Dn−1の差分データSDn及び両差分データSDn、SDn−1の差分データSSDnを用いて照射ポイントPnを抽出し、この抽出ポイントPnの位置との関連で距離L(n)を算出するので、当該距離の算出を高速にて行いつつ、上記第2実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0068】
なお、上記第3実施形態において、各発光素子62a乃至62dの発光順序は、互いに異なる限り、どのように変更してもよい。
(第4実施形態)
図13乃至図16は本発明の第4実施形態を示している。この第4実施形態では、補助光ユニット60Bが、上記第1実施形態にて述べた補助光ユニット60に代えて採用されている(図13参照)。この補助光ユニット60Bは、上記補助光ユニット60において、発光素子62に代えて、3つの発光素子63a乃至63cを採用した構成を有している。
【0069】
各発光素子63a乃至63cは、上記発光素子62と同様の構成及び機能を有するもので、これら各発光素子63a乃至63cは、発光素子63aから発光素子63cにかけて鉛直方向に下方へ配列されている。発光素子63aは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の上部上の照射ポイントP1(図13参照)を照射する。発光素子63bは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の中央部上の照射ポイントP2(図13参照)を照射する。発光素子63cは、その発光軸に沿いパルス状のビーム光を発光し、このビーム光により着座乗員Mの上半身Maのうち頭部を除く前面の下部上の照射ポイントP3(図13参照)を照射する。
【0070】
本第4実施形態では、上記第1実施形態にて述べた補助光ユニット駆動回路80は、上記第1実施形態にて述べた発光素子61、62のうち発光素子62に代え各発光素子63a乃至63cを同時にパルス駆動するようになっている。また、図13にて示す上半身Maは、乗員Mの上半身(頭部を除く)をその前面の凹凸を上下方向に3分割して模式的に描いたものである。
【0071】
また、本第4実施形態では、上記第1実施形態にて述べたフローチャートのうち両ステップ110、111とステップ125との間のフローチャート部分が図14にて示すように変更されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0072】
このように構成した本第4実施形態において、マイクロコンピュータ90が上記第1実施形態にて述べたと同様にステップ110におけるNO又はステップ111の処理を終了すると、ステップ150において、上記第1実施形態にて述べたステップ120における処理と同様の処理がなされ、画像センサ50が駆動され、データ処理回路70から一枚目の正画像データD1(図15(a)参照)がマイクロコンピュータ90に入力される。
【0073】
ついで、ステップ151において、画像センサ50の駆動処理及び各発光素子63a、63b、63cの同時パルス発光駆動処理がなされる。これに伴い、各発光素子63a、63b、63cは、相互に同期して補助光ユニット駆動回路80によりパルス駆動され、同時にビーム光をパルス状に発光する。これに伴い、発光素子63aはそのビーム光により着座乗員Mの上半身Maの照射ポイントP1を照射し、発光素子63bはそのビーム光により着座乗員Mの上半身Maの照射ポイントP2を照射し、発光素子63cはそのビーム光により着座乗員Mの上半身Maの照射ポイントP3を照射する。
【0074】
よって、ステップ111の処理がされていない場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、現状の外光及び上記各発光素子63a乃至63cのビーム光による照射のもとに着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データ(各照射ポイントP1、P2、P3を含む)(図15(b)参照)としてステップ151にて入力する。
【0075】
一方、ステップ111の処理がされている場合には、画像センサ50は、画像センサ駆動及びデータ処理回路70による駆動のもと、上記拡散光及び各発光素子63a乃至63cのビーム光による照射のもとに着座乗員Mの上半身Maを二次元的に撮像し画像データとして画像センサ駆動及びデータ処理回路70に出力する。すると、この画像センサ駆動及びデータ処理回路70は、上記画像データをデータ処理して画像処理信号をマイクロコンピュータ90に上半身Maを表す二次元の正画像データ(各照射ポイントP1、P2、P3を含む)(図15(b)参照)としてステップ151にて入力する。
【0076】
然る後、ステップ152において、上記第1実施形態にて述べたステップ122、123の処理と同様にして、各正画像データD1、D2の差分値が差分値データSD(=D2−D1)として算出され、当該差分値データSDに基づき上半身Maの前面における各ビーム光の照射ポイントP1、P2、P3を表すデータとして抽出される(図15(c)参照)。
【0077】
そして、ステップ153において、記第1実施形態にて述べたステップ124の処理と同様にして、画像センサ50の受光レンズ52の光心52aと照射ポイントP1との間の当該自動車の前後方向に沿う距離L(1)、光心52aと照射ポイントP2との間の当該自動車の前後方向に沿う距離L(2)及び光心52aと照射ポイントP3との間の当該自動車の前後方向に沿う距離L(3)が数1の式に基づき順次算出される。但し、間隔dan(=da1、da2、da3)及び距離L(n)(=L(1)、L(2)、L(3))が、数1の式において間隔da及び距離Laに代えて代入されている。
【0078】
なお、danは、図16にて示すごとく、上半身Maの左右方向中央と照射ポイントPnとの間隔である。従って、数1の式に基づく距離L(n)の算出にあたり間隔danが算出される。また、本実施形態では、上半身Maの前面においては、照射ポイントP1が図16にて図示帯状部Q1上に存在し、照射ポイントP2が図示帯状部Q2上に存在し、かつ照射ポイントP3が図示帯状部Q3上に存在するようになっていることから、各照射ポイントP1、P2、P3の間の相互の区別が可能である。従って、距離L(n)の算出は、各発光素子63a乃至63cを同期してパルス発光しても、正しくできる。
【0079】
ステップ153の処理後、上記第1実施形態と同様にステップ125以後の処理がなされる。ここで、ステップ126での助手席状態の判定はステップ125での画像認識及び各距離L(1)、L(2)、L(3)に基づききめ細かに行われる。これに伴い、ステップ127でのエアバッグ20の展開判定処理も同様にきめ細かに行われる。
【0080】
従って、エアバッグ駆動回路Dは、上記制御信号、即ちエアバッグ20のきめ細かな展開判定処理に基づく展開力でもってエアバッグ20を展開させる。その結果、上記第1実施形態の場合よりも乗員の着座姿勢によりきめ細かに合致したエアバッグの展開のもと乗員の加害性のない保護が可能となる。
【0081】
また、上述のごとく、本第4実施形態では、補助光ユニット60Bでもって各ビーム光により照射ポイントP1乃至P3の3点を同時照射するようにしているが、これら各照射ポイントP1乃至P3の位置を用いて距離L(1)、L(2)、L(3)を算出するので、当該各距離の高速な算出が可能となる。従って、当該自動車の衝突の際に必要な着座乗員Mの着座姿勢やエアバッグ20の展開のきめ細かい判定も迅速にて行えるので、当該自動車の衝突時には着座乗員の着座姿勢に合致したきめ細かい展開力でエアバッグ20をタイミングよく展開できる。
【0082】
なお、本発明の実施にあたっては、補助席10に限ることなく、当該自動車の運転席や後席に着座する乗員を保護するためのエアバッグシステムの乗員判定装置に本発明を適用して実施してもよい。
【0083】
また、本発明の実施にあたり、画像センサ50の配置位置は上記実施形態にて述べた位置に限ることなく、着座乗員の上半身を撮像できる位置であれば、適宜、画像センサ50の位置を変更してもよい。
【0084】
また、本発明の実施にあたり、上述したフローチャートに代えて、このフローチャートにおける各ステップを、それぞれ、機能実行手段としてハードロジック構成により実現するようにしてもよい。
【0085】
また、本発明の実施にあたり、上記エアバッグシステムは、自動車用に限ることなく、バスやトラック等の車両用エアバッグシステムであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概略全体構成図である。
【図2】図1のエアバッグ、画像センサ及び補助光ユニットの自動車における配置位置を示す模式的側面図である。
【図3】図1のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの前段部である。
【図4】図1のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの後段部である。
【図5】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、一枚目の正画像データ、二枚目の正画像データ及び差分データを示す図である。
【図6】上記第1実施形態において三角測距法により距離Laを算出するための説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す要部斜視図である。
【図8】上記第2実施形態におけるマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの要部である。
【図9】上記第2実施形態において照射ポイントPnと間隔danとの関係を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示すフローチャートの要部である。
【図11】上記第3実施形態において(a)乃至(c)は、それぞれ、ビーム光による照射なしのときの正画像データ及び両差分データ、照射ポイントP1への照射のときの正画像データ及び両差分データ及び照射ポイントP2への照射のときの正画像データ及び両差分データを示す図である。
【図12】上記第3実施形態において(a)、(b)は、それぞれ、照射ポイントP3への照射のときの正画像データ及び両差分データ及び照射ポイントP4への照射のときの正画像データ及び両差分データを示す図である。
【図13】本発明の第4実施形態を示す要部斜視図である。
【図14】上記第4実施形態を示すフローチャートの要部である。
【図15】上記第4実施形態において(a)乃至(c)は、それぞれ、ビーム光による照射のないときの正画像データ、照射ポイントP1乃至P3への同時照射のときの正画像データ及び当該両正画像データの差分データを示す図である。
【図16】上記第4実施形態において各照射ポイントPnと間隔danとの関係を示す図である。
【符号の説明】
D…エアバッグ駆動回路、M…乗員、Ma…上半身、10…補助席、20…エアバッグ、30…インストルパネル、50…画像センサ、60、60A、60B…補助光ユニット、61、62、62a乃至62d、63a乃至63c…発光素子、70…画像センサ駆動及びデータ処理回路、80…補助光ユニット駆動回路、90…マイクロコンピュータ。

Claims (4)

  1. 車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、
    車室内にてフロントピラー(41)の上下方向中間部位に前記画像センサとは離れて配設されて前記着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び前記着座乗員向けビーム光を照射する第2発光素子(62)を有する補助光ユニット(60)と、
    前記画像センサにより、前記第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、前記着座乗員を一枚目の画像データとして撮像した後前記第2発光素子によるビーム光の照射にあわせて前記着座乗員を二枚目の画像データとして撮像するように前記第1発光素子の選択的駆動、前記第2発光素子の駆動及び前記画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、120、121)と、
    前記両画像データの差分データを算出することで、前記ビーム光が前記着座乗員における照射ポイントで反射し前記画像センサで撮像された画像データ上での前記照射ポイントの位置を抽出する抽出手段(123と、
    前記抽出された前記画像データ上での前記照射ポイントの位置に基づき前記画像センサと前記着座乗員における前記照射ポイントとの間の距離を算出する距離算出手段(124)と、
    この距離算出手段の算出距離の長短に応じて前記着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える車両用エアバッグシステムのための乗員判定装置。
  2. 車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、
    車室内にてフロントピラー(41)の上下方向中間部位に前記画像センサとは離れて配設されて前記着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び前記着座乗員の互いに異なる部位に向け向けビーム光をそれぞれ照射する複数の第2発光素子(62a乃至62d)を有する補助光ユニット(60A)と、
    前記画像センサにより、前記第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、前記着座乗員を一枚目の画像データとして撮像した後前記複数の第2発光素子によビーム光を1つずつ順次照射する毎にこれにあわせて前記着座乗員を順次二枚目の画像データとして撮像するように前記第1発光素子の選択的駆動、前記複数の第2発光素子の選択的駆動及び前記画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、132、133)と、
    前記一枚目の画像データと前記各二枚目の画像データとの間の各差分データを算出することで、前記ビーム光が前記着座乗員における各照射ポイントで反射し前記画像センサで撮像された画像データ上での前記各照射ポイントの位置を順次抽出する抽出手段(134)と、
    前記抽出された前記画像データ上での前記各照射ポイントの位置に基づき前記画像センサと前記着座乗員における前記照射ポイントとの間の距離を順次算出する距離算出手段(135)と、
    この距離算出手段の各算出距離の長短に応じて前記着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える車両用エアバッグシステムのための乗員判定装置。
  3. 車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、
    車室内にて前記着座乗員の前側に前記画像センサとは離れて配設されて前記着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び前記着座乗員の互いに異なる部位に向けビーム光をそれぞれ照射する複数の第2発光素子(62a乃至62d)を有する補助光ユニット(60A)と、
    前記画像センサにより、前記第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、前記複数の第2発光素子によビーム光を1つずつ順次照射する毎にこれにあわせて前記着座乗員を順次画像データとして撮像するように前記第1発光素子の選択的駆動、前記複数の第2発光素子の選択的駆動及び前記画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、144)と、
    前記各画像データのうち先行画像データ及びその後続画像データの対毎に先行画像データ及びその後続画像データの間の差を第1差分データとして算出し、この第1差分データの先行の第1差分データとの間の差を第2差分データとして算出することで、前記ビーム光が前記着座乗員における各照射ポイントで反射し前記画像センサで撮像された画像データ上での前記各照射ポイントの位置を順次抽出する抽出手段(145、146)と、
    前記抽出された前記画像データ上での前記各照射ポイントの位置に基づき前記画像センサと前記着座乗員における前記照射ポイントとの間の距離を順次算出する距離算出手段(147)と、
    この距離算出手段の各算出距離の長短に応じて前記着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える車両用エアバッグシステムのための乗員判定装置。
  4. 車両の衝突時に乗員を保護するように作動するエアバッグシステムに車室内の適所に位置するように装備されて当該車室内の着座乗員を二次元の画像データとして撮像する画像センサ(50)と、
    車室内にて前記着座乗員の前側に前記画像センサとは離れて配設されて前記着座乗員に向け拡散光を照射する第1発光素子(61)及び前記着座乗員の互いに上下方向に異なる部位に向けビーム光をそれぞれ照射する複数の第2発光素子(63a乃至63c)を有し、前記複数の第2発光素子が鉛直方向下方に配列されてなる補助光ユニット(60B)と、
    前記画像センサにより、前記第1発光素子による拡散光の照射或いは非照射の同一状態のもと、前記着座乗員を一枚目の画像データとして撮像した後前記複数の第2発光素子による各ビーム光の同時照射にあわせて前記着座乗員を二枚目の画像データとして撮像するように前記第1発光素子の選択的駆動、前記複数の第2発光素子の同時駆動及び前記画像センサの駆動を行う駆動処理手段(70、80、151)と、
    前記一枚目の画像データと前記二枚目の画像データとの間の差分データを算出することで、前記ビーム光が前記着座乗員における各照射ポイントで反射し前記画像センサで撮像された画像データ上での前記各照射ポイントの位置を抽出する抽出手段(152)と、
    前記抽出された前記画像データ上での前記各照射ポイントの位置に基づき前記画像センサと前記着座乗員における前記照射ポイントとの間の距離を順次算出する距離算出手段(153)と、
    この距離算出手段の各算出距離の長短に応じて前記着座乗員の姿勢を判定する姿勢判定手段(126)とを備える車両用エアバッグシステムのための乗員判定装置。
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