JP3732255B2 - 反強誘電性液晶化合物および該化合物を含有する反強誘電性液晶組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、液晶電気光学素子に使用する反強誘電性液晶材料として有用な新規反強誘電性液晶化合物に関し、さらに、該化合物を含有する反強誘電性液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、薄型軽量で消費電力も低いため、時計、電卓をはじめとして種々のディスプレイとして使用されてきた。現在、広汎に利用されてきている液晶表示装置には、ネマチック液晶を用いたツィステッドネマティック(TN)と呼ばれる表示方式が採用されている。液晶表示装置を駆動する方法としては、生産性、価格の点から単純マトリックスと呼ばれる上下基板に配置された電極によってのみ駆動する方法が最適であるが、ネマティック液晶は応答速度が遅く、かつ、表示密度を高くするとコントラストの低下を起こすため、高密度なディスプレイを構成するのは困難であった。そのため、薄膜トランジスタ(TFT)を各画素に設け、アクティブマトリックスと呼ばれる非常にコストの高い駆動方法により、コンピューター等のディスプレィに用いられている。このディスプレイを製造するには、非常に多くの工程を必要とするため、高コストであり、種々、低コスト化へ向けて努力はされている。
【0003】
一方、1975年マイヤー等によって合成された4−(n−デシルオキシベンジリデンアミノ)桂皮酸2−メチルブチルが強誘電性液晶相(Sc*相)を示し(R.B.Meyerら、J.Phys.(France), 36, L69(1975).)、また、クラークとラガバールが表面安定化強誘電性液晶素子を提案(N.A.Clarkら、Appl.Phys.Lett.,36, 899(1980).)するに至って、優れた高速応答性および双安定性(二つの安定状態)を有する液晶表示装置の製造が可能と期待され、現在までに多くの強誘電性液晶材料が合成され、提案されてきた。
【0004】
しかし、配向状態が当初予想されたよりも非常に複雑で、層内で液晶分子のダイレクタ−が捩じれた状態になり易く、この状態では高いコントラスト比が得られない。また、上下基板に対し層が垂直に立っている構造(ブックシェルフ構造)と考えられていたが、実際には、層が折れ曲がった構造(シェブロン構造)をとっているため、ジグザグ欠陥が発生し、これもコントラストを低下させる原因になっている。さらには、強誘電性液晶において特徴となっている自発分極自体が問題となり、メモリ−状態を長時間保持すると、逆電界を印加しても反転が困難となり(以下、焼き付けという)、結果としてコントラストの低下を招くことがわかってきた。
【0005】
近年、このような強誘電性液晶の持つ欠点を解消できる可能性のある液晶相の存在が報告された。この液晶相は、反強誘電性液晶相(ScA*相)で、強誘電性液晶相の持つ二つの安定状態(双安定状態)のほかに、第3の安定状態を有し、この第3の状態では隣接する層間で分子のチルト方向が反転し、自発分極は打ち消されており、Sc*相の低温側に出現する相ではあるが、応答速度は殆どSc*相と差がない。また、印加電界によりシェブロン構造とブックシェルフ構造間をスイッチングできる。そのため、ScA*相においては、電界印加により容易にブックシェルフ構造となり欠陥もなくなる。さらに、電圧無印加時の安定状態である第3の状態を暗とするように偏光子、検光子を配置して使用し、かつ交番電界により、二つの強誘電状態間をスイッチングさせるため、強誘電性液晶素子にみられた焼き付けも起こさない。
【0006】
なお、反強誘電性液晶相はスメクティックB相のチルトしたスメクティックI相でも観察されている。しかし、高次の相であるため応答速度が遅く、実際上可能性があるのは低粘性なScA*相のみである。このScA*相を用いた反強誘電性液晶素子は、低価格でかつ生産性の高い単純マトリックス駆動が可能であり、高コントラストの表示が容易に実現できると言われている。
【0007】
最初に、反強誘電性液晶相を示すことが発見されたのは、以下の化学式で表される4−(1−メチルヘプチルオキシカルボニル)フェニル−4’−オクチルオキシビフェニル−4−カルボキシラート(以下、MHPOBCと表す)(Chandaniら、Jpn.J.Appl.phys.,27,L729(1988))である。
【0008】
【化3】
【0009】
その後、キラル部位を1−メチルヘプチル基から1−トリフルオロメチルヘプチル基に代えてもScA*相が出現することが分かった。この1−トリフルオロメチルヘプチル基を導入した化合物においては、反強誘電性液晶相が比較的安定に出現するため、ScA*相を示すことが報告された化合物の多くはその誘導体である。
【0010】
従来、キラルネマティック液晶組成物あるいは強誘電性液晶組成物では、光学活性化合物を含まないネマティックあるいはスメクティックC液晶組成物に光学活性化合物を添加する手法で、それぞれ、キラルネマティック液晶組成物あるいは強誘電性液晶組成物を得ている。一方、反強誘電性液晶組成物に関して、光学活性基を含まない化合物では、反強誘電性液晶相と同一の層構造をとる化合物がほとんど見つかっていないため、反強誘電性液晶相を示す化合物で組成物を組み立て、その層構造を崩さない程度にスメクティックC液晶化合物を添加する手法(一般的には、30〜40重量%(以下、%と表す)以内)で、反強誘電性液晶組成物を得ている。
【0011】
しかし、反強誘電性液晶相を示す二環性の化合物は、ほとんど見出されておらず、本発明者らの知る限りでは、以下の化学式で表される桂皮酸エステル誘導体のみである(第18回液晶討論会、3B419(1992))。
【0012】
【化4】
【0013】
ところで、後記する本発明の一般式(I)で表される液晶化合物を形式上包含する化合物として、特開平3−12476号公報には、下記一般式(II)
【0014】
【化5】
【0015】
(式中、R5 、R6 は炭素数1〜18の置換基を有していても良い直鎖状、または分岐状のアルキル基であり、少なくとも一方は光学活性であり、またX1 は
【0016】
【化6】
【0017】
を示し、X2 は下記の単結合
【0018】
【化7】
【0019】
を示す。)
で表されるフェニルピリジミン誘導体が開示されている。
【0020】
しかし、上記公報記載の液晶化合物は、強誘電性キラルスメクティック液晶組成物に使用される化合物であり、反強誘電性液晶化合物ではない。
【0021】
また、特開平4−213387号公報には、下記一般式(III)
【0022】
【化8】
【0023】
(式中、R7 、R8 は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、これらは置換基として炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。ただし、R7 ,R8 はともに非光学活性である。Z1 は単結合、
【0024】
【化9】
【0025】
である。)
で表されるフェニルピリミジン誘導体が開示されている。
【0026】
しかし、この誘導体も、強誘電性液晶素子に使用される化合物であり、スメクティックC相を示す化合物であって、反強誘電性液晶化合物ではない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
前記したMHPOBCは、そのキラル部位の1−メチルヘプチル基を1−メチルヘキシル基に代えると、強誘電性液晶相のみが出現し、ScA*相が観察されない。さらに、2−メチルアルキル基でもScA*相は全く観察されず、強誘電性相しか出現しない等、キラル部位の構造的修飾は非常に困難であり、このため、キラル部位の分子修飾は検討されているが、ほとんど反強誘電性液晶相を示していない。
【0028】
また、一般的に液晶核(コア)側、特に環構造を中心に修飾した種々の化合物が合成され、従来のネマチック液晶と同様、反強誘電性液晶においても、実用化に向けて様々な性能が要求されるため、単一の化合物群ないしは前述のような類似の化合物のみの配合では、要求性能を満足することは困難であり、多くの性質の異なる化合物が必要とされている。
【0029】
前述した、唯一知られている二環性反強誘電性液晶である桂皮酸エステル誘導体は、単独では光に対する安定性が悪く、液晶ディスプレイに用いる液晶組成物には添加することができない。従って、化学的、光学的に安定な二環性化合物で反強誘電性液晶相を示す化合物は、本発明者らが知る限り報告されていない。しかし、液晶組成物を得る場合、低粘化、温度範囲の拡大のためには二環性化合物を混合することが必要である。そこで、反強誘電性液晶相と同様に層内で分子がチルトしたスメクチックC相を示す二環性化合物を添加して、反強誘電性液晶組成物の温度範囲、粘度を改良する手法が考えられる。しかし、この場合でも後述するように、MHPOBCのような粘度の高い三環性反強誘電性液晶化合物を60%以上も添加しないと、反強誘電性液晶相は消失してしまう。従って、この様な手法を用いて、望まれるような温度範囲の拡大、粘度の低減等を図るのは非常に困難である。
【0030】
このような実情のため、化学的、光学的に安定である反強誘電性を示す液晶化合物であって、その組成物に多量添加しても反強誘電性液晶相を維持できる二環性化合物の出現が待望されている。
【0031】
本発明の課題は、反強誘電性液晶相を示すか、あるいは、従来既知の反強誘電性液晶相を示す化合物と相溶性が良く、反強誘電性相の温度範囲を広げることができる新規な光学活性化合物を提供すること、さらに、この光学活性化合物を含有する反強誘電性液晶組成物を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来既知の反強誘電性液晶相を示す化合物と相溶性が良く、反強誘電性相の温度範囲を広げることができる光学活性化合物について、広範囲な検討を行った。
【0033】
その過程で、前記特開平3−12476号公報に具体的に開示された化合物は、強誘電性キラルスメクティックC相または単にスメクティックC相を示すことが知られている化合物であり、この化合物は、反強誘電性液晶化合物あるいはその組成物に40%以上添加して反強誘電性液晶相を安定に出現させる化合物としては使用できないことが分かった。すなわち、比較例に示すように、反強誘電性液晶化合物あるいはその組成物に上記の化合物を40%以上混合すると、スメクティックA相液晶組成物あるいは強誘電性液晶組成物となってしまった。このことは、おそらく、強誘電性液晶相と反強誘電性液晶相とは層構造が異なるためであると考えられ、反強誘電性液晶相を示す化合物に強誘電性液晶あるいは非光学活性なスメクティックC液晶化合物を40%以上混合すると、反強誘電性液晶相の層構造が乱れてしまうからであると考えられる。
【0034】
また、特開平4−213387号公報中に記載されている化合物は、この公報には相系列、転移点等については何ら記載がないが、その特許請求の範囲に述べられているように、非光学活性であり、これも、強誘電性液晶素子に使用される化合物であるため、スメクティックC相を示すと考えられ、反強誘電性液晶化合物あるいはその組成物に40%以上添加して反強誘電性液晶相を安定に出現させる化合物としては使用できないと考えられたものである。
【0035】
そこで、本発明者らは、その公報の発明の詳細な説明の欄に、具体的に唯一開示された下記の化合物
【0036】
【化10】
【0037】
を合成し、その相転移に関して調べた(比較例7)。その結果、この化合物は、ネマティック相、スメクティックC相を示すが、反強誘電性液晶相は示さない。さらに、この化合物を公知の反強誘電性液晶相を示す化合物に49.3重量%添加すると、スメクティックA相しか観察されない液晶組成物となってしまうことが分かった。
【0038】
本発明者らは、上述の検討をも踏まえて、二環性の反強誘電性液晶相を示す化合物について、広範囲にかつ詳細に探索する過程で、光学活性な2−メチルアルカン酸誘導体で、かつ、そのアルキル鎖長も限定された範囲で、さらに炭酸結合を有する、後述の一般式(I)で表される本発明の化合物が、反強誘電性液晶相を示し、しかも、従来既知の反強誘電性液晶相を示す化合物と相溶性が良く、混合時に安定に反強誘電性液晶相を出現させ、その反強誘電性相の温度範囲、特に低温側を広げることができることを見出すことができた。さらに、一般式(I)で示される化合物が、単独ではモノトロピックに反強誘電性液晶相を示すか、あるいは、全く液晶相を示さないが、反強誘電性液晶または非光学活性なスメクティックC液晶化合物に60%以上添加しても反強誘電性組成物が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、一般式(I)で表される化合物には、結晶化温度(降温時)付近あるいはそれ以下の温度で反強誘電性液晶相が存在することを見出した。
【0039】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりである。
1. 下記一般式(I)
【0040】
【化11】
【0041】
(式中、R1 は炭素数6〜16のアルキル基を表し、R2 は炭素数3〜8の直鎖アルキル基、または、炭素数4〜10の分岐を持つアルキル基、*印は不斉炭素原子を示す。)
で表される反強誘電性液晶化合物。
【0042】
2. 前記一般式(I)で示される反強誘電性液晶化合物を、少なくとも1種含有する反強誘電性液晶組成物。
【0043】
前記した炭酸エステル、光学活性な2−メチルアルカン酸エステル、フェニルピリミジン環の向き等で限定される本発明の一般式(I)で表される化合物において、R1 のアルキル基は、直鎖のものでもまた分岐されているものでもよいが、直鎖のものの方が好ましく、特に炭素数6〜12のものが好ましい。また、R2 のアルキル基は、炭素数3〜8の直鎖アルキル基、または、炭素数4〜10の分岐を持つアルキル基でもよいが、反強誘電性液晶相の安定性、融点および粘性の点から、直鎖部分の炭素数が3〜6のものが好ましい。
【0044】
一般式(I)で表される本発明の好ましい化合物は、これらを例示すると、以下のような化合物を挙げることができる。
【0045】
【化12】
【0046】
これらの化合物において、式中のR1 は、炭素数6〜16のアルキル基を示し、分岐を含んでも良い。しかし、直鎖の方がさらに好ましい。
【0047】
本発明の一般式(I)で表される液晶性化合物の合成は、例えば、下記の光学活性な2−メチルアルカン酸を常法に従いカルボン酸ハロゲン化物とし、これと、常法により合成された下記のフェノール誘導体(IV)とを、ピリジン存在下で反応せしめることにより、合成することができる。
【0048】
【化13】
【0049】
上記光学活性な2−メチルアルカン酸類は、相当する2−メチル−2−アルケン酸を不斉水素化するか、あるいはラセミの2−メチルアルカン酸またはその誘導体をリパーゼを用いて光学分割すること、等により得ることができる。
【0050】
また、前記フェノール誘導体(IV)は、例えば、下記の合成法により、得ることができる。なお、式中、Bzはベンジル基を示す。
【0051】
【化14】
【0052】
すなわち、2−(4−ベンジルオキシフェニル)−5−ヒドロキシピリミジンまでの合成ルートは定法(例えば、米国特許第5290477号明細書参照)により合成される。ここで得られた5−ヒドロキシピリミジン誘導体とクロロギ酸アルキルとをピリジン存在下反応せしめ、炭酸エステル誘導体とする。さらに、パラジウム−炭素を用いて常圧水添して、脱ベンジルして、フェノール誘導体(IV)を得ることができる。
【0053】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、単独で反強誘電性液晶相を示すものも多くまた液晶相を示さない化合物でも、既知の反強誘電性液晶化合物との相溶性が良いため、これらに混合することにより、容易に反強誘電性液晶組成物を得ることができる。好ましい反強誘電性液晶化合物として、例えば、次の一般式で表されるような化合物を挙げることができる。
【0054】
【化15】
【0055】
これらの化合物において、式中のn、mは1または2の整数でn+m=3、lは0または1の整数、R9 、R10は直鎖アルキル基を示す。
【0056】
また、本発明の一般式(I)で表される液晶性化合物は、フェニルピリミジン、フェニルベンゾエート類のような公知のスメクティックC相あるいはキラルスメクティックC相を示す化合物との相溶性も高いため、反強誘電性液晶相の層構造を維持できる範囲で、スメクティックC相あるいはキラルスメクティックC相を示す化合物とも混合し、反強誘電性液晶組成物を得ることができる。
【0057】
本発明の反強誘電性液晶化合物を公知の反強誘電性液晶化合物と混合して反強誘電性液晶組成物を得る場合、本発明の液晶性化合物は、1〜60%(重量%)で添加されることが好ましく、さらに好ましくは20〜60%(重量%)である。さらに、ここで得られた該反強誘電性液晶組成物と強誘電性液晶あるいは非光学活性なスメクティックC液晶化合物と混合して反強誘電性液晶組成物を得る場合、強誘電性液晶あるいは非光学活性なスメクティックC液晶化合物は40%(重量%)以下であることが重要である。
【0058】
また、本発明の化合物と強誘電性液晶化合物とを混合し、反強誘電性液晶組成物を得る場合、本発明の化合物が60%(重量%)以上含まれることが必要である。
【0059】
以上、説明したように、本発明の液晶性化合物は、非常に安定な従来既知の反強誘電性液晶相を示す化合物と相溶性が良く、反強誘電性相の温度範囲を広げることができるので、反強誘電性液晶を用いた電気光学素子に使用する材料としてきわめて有用である。
【0060】
以下に、実施例により具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0061】
【実施例】
実施例中に示した相転移点は、偏光顕微鏡観察および示差走査熱量計(DSC)による測定で決定した。また、反強誘電性液晶相の同定は、混和試験および接触試験により行った。なお、実施例中%とあるのは、収率を除き重量%を示す。
【0062】
【実施例1】
2−(4−(S)−2−メチルオクタノイルオキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0063】
(1) 2−(4−ベンジルオキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、200m1の三つ口フラスコに2−(4−ベンジルオキシフェニル)−5−ヒドロキシ−1,3−ピリミジン4.2g(12.0mmol)、ピリジン1.64g(20.8mmol)およびジクロロメタン70m1を加え、これに0℃にてクロロ蟻酸デシル3.44g(15.6mmol)を滴下し、滴下終了後、室温にて17時間撹拌した。反応終了後、反応物を5%塩酸で洗浄し、続いて水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥後、溶媒を留去し残留物を酢酸エチルとメタノールで再結晶することによって目的化合物を5.00g得た。収率90%。
【0064】
(2) 2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
200mlの三つ口フラスコに、2−(4−ベンジルオキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジン5.00g(10.8mmol)、THF80ml、パラジウム−炭素0.50gを加え、1atm、22時間にて水素化を行った。反応終了後、パラジウム−炭素を濾過し、溶媒を留去することによって目的化合物を4.00g得た。収率99%。
【0065】
(3) 2−(4−(S)−2−メチルオクタノイルオキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、50mlの三つ口フラスコに塩化チオニル7.07g(80.25mmol)、(S)−2−メチルオクタン酸2.54g(16.05mmol)を加え、80℃にて3時間反応を行った。反応終了後、過剰の塩化チオニルを留去し、酸クロリドを得、次の反応に用いる。一方、200mlの三つ口フラスコに2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジン4.00g(10.7mmol)、ジクロロメタン80ml、ピリジン2.54g(32.1mmol)を加え、0℃にて先に調製した酸クロリドを滴下し、滴下終了後、室温にて2時間撹拌した。反応終了後、5%塩酸で洗浄後分液し、得られた有機層を飽和重曹水、水の順で洗浄し無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥後、溶媒を留去してシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(トルエン/酢酸エチル=10/1、容積比)にて精製しODSカラムにて分取することによって目的化合物を3.21g得た。収率58.7%。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.89(6H,m),1.33(25H,m),1.59(1H,m),1.78(3H,m),2.71(1H,m),4.31(2H,t),7.20(2H,d,J=8.8Hz),8.45(2H,d,J=8.8Hz),8.721(2H,s)MS(m/e) : 513(M+,+H)
【0066】
この化合物は60℃で融解して等方性液体相となるが、これを冷却するとモノトロピックにチルトしたスメクティック相を示す。この相から等方性液体相への転移点は45℃であった。ここで観察された液晶相は、公知の反強誘電性液晶を示す化合物である4−(1−メチルヘプチルオキシカルボニル)フェニル−4’−デシルオキシビフェニル−4−カルボキシラート(以下、MHPDBCと略す)との接触試験および混和試験の結果、反強誘電性液晶相であることが分かった。
【0067】
【実施例2】
2−(4−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−デシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0068】
実施例1(3)において(S)−2−メチルオクタン酸に代えて、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.89(9H,m),1.28(17H,m),1.42(4H,m),1.57(2H,m), 1.76(3H,m),2.71(1H,m),4.31(2H,t), 7.19(2H,d,J=8.8Hz),8.45(2H,d,J=8.9Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) : 512(M+)
【0069】
この化合物は64.5℃で融解し、等方性液体相となった。これを急冷すると結晶化直前にチルトしたスメクティック液晶相が観察された。そこで、反強誘電性液晶として知られるMHPDBCに56重量%添加し、その相転移点を観察したところ、高温側から等方性液体とスメクティックA相の混合状態となり、57℃で全体が反強誘電性液晶相に転移した。また、実施例1の化合物と接触試験を行ったところ、チルトしたスメクティック相は同一の相であり、反強誘電性液晶相であることが分かった。
【0070】
【実施例3】
2−(4−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−ヘキシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0071】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸ヘキシルを用いて、実施例2と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.90(9H,m),1.32(9H,m),1.43(4H,m),1.57(2H,m),1.79(3H,m),2.71(1H,m),4.31(2H,t),7.20(2H,d,J=14.1Hz),8.45(2H,d,J=14.1Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) : 456(M+)
この化合物は60.7℃で融解し、等方性液体相となった。
【0072】
【実施例4】
2−(4−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−ヘプチルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0073】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸ヘプチルを用いて、実施例2と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.90(9H,m),1.30(11H,m),1.42(4H,m),1.56(2H,m),1.78(3H,m),2.71(1H,m),4.32(2H,t),7.19(2H,d,J=9.0Hz),8.45(2H,d,J=8.9Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) : 470(M+)
この化合物は73.8℃で融解し、等方性液体相となった。
【0074】
【実施例5】
2−(4−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−オクチルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0075】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸オクチルを用いて、実施例2と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.89(9H,m),1.29(13H,m),1.43(4H,m),1.56(2H,m),1.79(3H,m),2.71(1H,m),4.31(2H,t),7.20(2H,d,J=9.0Hz),8.45(2H,d,J=8.9Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) : 485(M+)
【0076】
この化合物は72.9℃で融解し、等方性液体相となった。これを急冷すると、結晶化直前にチルトしたスメクティック液晶相が観察された。この化合物は、実施例1の化合物と接触試験を行ったところ、チルトしたスメクティック相は同一の相であり、反強誘電性液晶相であることが分かった。
【0077】
【実施例6】
2−(4−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−ノニルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0078】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸ノニルを用いて、実施例2と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.89(9H,m),1.27(15H,m),1.42(4H,m),1.57(2H,m),1.77(3H,m),2.71(1H,m),4.31(2H,t),7.19(2H,d,J=14.1Hz),8.45(2H,d,J=14.1Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) :499(M+ +H)
この化合物は70.4℃で融解し、等方性液体相となった。
【0079】
【実施例7】
2−(4−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−ヘキサデシルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジン
【0080】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸ヘキサデシルを用いて、実施例2と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm: 0.89(9H,m),1.25(26H,m),1.31(3H,d),1.43(4H,m),1.56(2H,m),1.79(3H,m),2.71(1H,m),4.31(2H,t),7.20(2H,d,J=8.9Hz),8.45(2H,d,J=8.9Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) :596(M+)
この化合物は81.2℃で融解し、等方性液体相となった。
【0081】
【実施例8】
2−(4−(S)−2−メチルペンタノイルオキシフェニル)−5−オクチルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0082】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸オクチルを用い、また、実施例1(3)において(S)−2−メチルオクタン酸に代えて、(S)−2−メチルペンタン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm:0.90(3H,t),0.98(3H,t),1.38(16H,m),1.77(3H,m),2.72(1H,m),4.31(2H,t),7.19(2H,d,J=11.2Hz),8.44(2H,d,J=11.3Hz),8.721(2H,s)
MS(m/e) : 442(M+)
この化合物は53.9℃で融解し、等方性液体相となった。
【0083】
【実施例9】
2−(4−(S)−2−メチルデカノイルオキシフェニル)−5−オクチルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジン
【0084】
実施例1(1)においてクロロ蟻酸デシルに代えて、クロロ蟻酸オクチルを用い、また、実施例1(3)において(S)−2−メチルオクタン酸に代えて、(S)−2−メチルデカン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3) ppm:0.88(3H,t),0.90(3H,t),1.34(25H,m),1.51(1H,m),1.78(3H,m),2.71(1H,m),4.32(2H,t),7.20(2H,d,J=8.9Hz),8.45(2H,d,J=8.9Hz),8.72(2H,s)
MS(m/e) : 513(M+, +H)
この化合物は47.7℃で融解し、等方性液体相となった。これを急冷すると結晶化直前にチルトしたスメクティック液晶相が観察された。
【0085】
【実施例10】
本発明の化合物を混合し、反強誘電性液晶組成物を得ることができる。
以下に、反強誘電性液晶組成物の組成および相転移点を示す。
【0086】
【化16】
【0087】
この組成物は、14℃で融解し反強誘電性液晶相を示し、54℃でスメクティックA相となり、64℃で等方性液体相へ転移した。
このように、比較的類似構造の化合物を単純に混合しても、融点降下が観察され、安定に反強誘電性液晶相が出現し、反強誘電性液晶相の温度範囲を低温側に広げることができる。
【0088】
【実施例11】
本発明の化合物と公知の反強誘電性液晶相を示す化合物、あるいはその組成物とを定法により混合することにより、反強誘電性液晶組成物を得ることができる。以下に、反強誘電性液晶組成物の組成および相転移点を示す。
【0089】
【化17】
【0090】
この液晶組成物は下記のような相転移点を示す。
10℃で融解を開始し、反強誘電性液晶相となり、54.6℃でスメクティックA相に転移し、60℃で等方性液体相へ転移した。
このように、本発明の化合物は、公知の反強誘電性液晶相を示す化合物、あるいはその組成物との相溶性が良く、容易に反強誘電性液晶組成物を得ることができる。
【0091】
【実施例12】
本発明の化合物と公知の非光学活性スメクティックC液晶相を示す化合物、あるいはその組成物と混合することによっても、反強誘電性液晶組成物を得ることができる。ただし、スメクティックC液晶相を示す化合物、あるいはその組成物の添加量可能な量は最大40%以内である。
以下に、反強誘電性液晶組成物の組成および相転移点を示す。
【0092】
【化18】
【0093】
この液晶組成物は下記のような相転移点を示す。
39℃で融解を開始し、反強誘電性液晶相となり、49℃で等方性液体相へ転移した。
このように、本発明の化合物は、公知の非光学活性スメクティックC液晶相を示す化合物、あるいはその組成物との相溶性も良く、容易に反強誘電性液晶組成物を得ることができる。
また、添加量が同等であれば、キラルスメクティックC液晶相を示す化合物、あるいはその組成物と混合し、反強誘電性液晶組成物を得ることもできる。
【0094】
【比較例1】
単にスメクティックC相を示すフェニルピリミジン化合物を、実施例1に示したようなMHPDBCに40%以上添加すると反強誘電性液晶相を得ることができない。例えば、下記のような二成分系ではスメクティックA相しか出現しない。
【0095】
【化19】
【0096】
この混合物は、101℃でスメクティックA相から等方性液体へ転移するが、それ以下の温度では局部的な結晶化が起こる室温まで、強誘電性液晶相、反強誘電性液晶相のようなチルト相は出現しない。
【0097】
【比較例2】
比較例1と同様に単にスメクティックC相を示し、液晶相の熱安定性の高いフェニルピリミジン化合物を、実施例1に示したようなMHPDBCに40%以上添加しても反強誘電性液晶相を得ることができない。例えば、下記のような二成分系でスメクティックA相しか出現しない。
【0098】
【化20】
【0099】
この混合物も、120℃でスメクティックA相から等方性液体へ転移するが、それ以下の温度では、局部的な結晶化が起こる室温まで、強誘電性液晶相、反強誘電性液晶相のようなチルト相は出現しない。
【0100】
【比較例3】
単にスメクティックC相を示し、本発明の一般式(I)と同様にエステル結合を有するフェニルピリミジン化合物を、実施例1に示したようなMHPDBCに40%以上添加すると反強誘電性液晶相を得ることができない。例えば、下記のような二成分系でスメクティックA相しか出現しない。
【0101】
【化21】
【0102】
この混合物も、97.6℃でスメクティックA相から等方性液体へ転移するが、それ以下の温度では、局部的な結晶化が起こる室温まで、強誘電性液晶相、反強誘電性液晶相のようなチルト相は出現しない。
【0103】
【比較例4】
単にスメクティックC相を示すエステル結合を有するフェニルピリミジン化合物を、実施例1に示したようなMHPDBCに40%以上添加しても反強誘電性液晶相を得ることができない。例えば、下記のような二成分系でスメクティックA相、強誘電性液晶相しか出現しない。
【0104】
【化22】
【0105】
この混合物は、84℃でキラルスメクティックC(強誘電性相)からスメクティックA相へ転移し、105℃で等方性液体へ転移するが、それ以下の温度では局部的な結晶化が起こる室温まで反強誘電性液晶相は出現しない。この化合物はMHPDBCと末端エステル結合が類似しているためと考えられるが、強誘電性液晶相は安定に出現する。しかし、上述のように反強誘電性液晶相は全く出現しない。
【0106】
【比較例5】
比較例1と同様に単にスメクティックC相を示し、液晶相の熱安定性の高いフェニルピリミジン化合物を、実施例1に示したようなMHPDBCに40%以上添加しても反強誘電性液晶相を得ることができない。例えば、下記のような二成分系でスメクティックA相、強誘電性液晶相しか示さない。
【0107】
【化23】
【0108】
この混合物は、38℃でキラルスメクティックC(強誘電性相)からスメクティックA相へ転移し、102℃で等方性液体へ転移するが、それ以下の温度では局部的な結晶化が起こる室温まで、反強誘電性液晶相は出現しない。比較例1あるいは2と類似構造の化合物であるが、強誘電性液晶相は出現するものの、反強誘電性相は全く観察されない。
【0109】
【比較例6】
本発明の一般式(I)と同一の光学活性活性基およびエステル結合を有するフェニルピリミジン化合物を、実施例1に示したようなMHPDBCに40%以上添加しても反強誘電性液晶相を得ることができない。例えば、下記のよう二成分系でスメクティックA相しか示さない。
【0110】
【化24】
【0111】
この混合物は、80℃でキラルスメクティックA相から等方性液体へ転移するが、それ以下の温度では局部的な結晶化が起こる室温まで、強誘電性液晶相、反強誘電性液晶相のようなチルト相は全く出現しない。
【0112】
以上、比較例1から6に示したように、一般的に強誘電性キラルスメクティック相に使用される化合物をMHPDBCのような反強誘電性液晶相を示す化合物に40重量%以上添加しても、反強誘電性液晶相は全く出現しない。この原因は、反強誘電性液晶相を示す化合物と強誘電性キラルスメクティック相に使用される化合物とでは、出現するチルトしたスメクティック相の層構造が異なるためと考えられる。
【0113】
【比較例7】
2−(4−ヘプタノイルオキシフェニル)−5−オクチルオキシカルボニルオキシ−1,3−ピリミジンの合成
【0114】
実施例1(3)において(S)−2−メチルオクタン酸に代えて、n−ヘプタン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H-NMR(CDCl3 ppm: 0.90(6H,m),1.33(16H,m),1.77(4H,m),2.53(2H,t), 4.32(2H,t),7.21(2H,d,J=9.0Hz),8.45(2H,d,J=9.0Hz),8.71(2H,s)
MS(m/e) : 457(M+,+H)
【0115】
この化合物は、特開平4−213387号公報に開示された化合物であるが、相転移点に関し何ら記載がないため、上述のように合成し相転移点を調べた。その結果、この化合物は59.8℃で融解し、スメクティックC相を示し、74.5℃でネマティック相へ転移し、75.5℃で等方性液体相となった。したがって、この化合物は本発明の一般式(I)で表される化合物と比べ、液晶相全体としての熱安定性は高い。
【0116】
そこで、比較例6までと同様に反強誘電性液晶相を示す化合物であるMHPDBCに49.3重量%添加し、その組成物の相転移点を調べたところ、60℃で液晶相からスメクティックA相となり、101℃で等方性液体となった。また冷却時においても、40℃付近で結晶化が起こるまでスメクティックA相しか観察されなかった。
【0117】
したがって、本発明の一般式(I)に類似した化合物でも、単に炭酸エステル、アルカン酸エステル、フェニルピリミジン構造を持っているだけでは反強誘電性液晶組成物に添加する化合物として、安定に反強誘電性液晶相を出現させることはできない。
【0118】
以上の実施例および比較例から、炭酸エステル、光学活性な2−メチルアルカン酸エステル、フェニルピリミジン環の向き等で限定される本発明の一般式(I)で表される化合物が混合時に反強誘電性液晶相を安定に出現させる化合物であることが分かる。
【0119】
【発明の効果】
本発明の光学活性化合物は、従来知られている多くの反強誘電性液晶化合物との相溶性が良く、温度特性が改良された液晶材料を提供することができる。また、本発明の光学活性化合物を含有する液晶組成物は反強誘電性液晶を用いた電気光学素子に使用することができる。
Claims (8)
- R1は炭素数6〜12の直鎖アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の反強誘電性液晶化合物。
- R2は直鎖部分の炭素数が3〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の反強誘電性液晶化合物。
- R1は炭素数6〜12の直鎖アルキル基であることを特徴とする請求項4に記載の反強誘電性液晶組成物。
- R2は直鎖部分の炭素数が3〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項4に記載の反強誘電性液晶組成物。
- 前記一般式(1)で表される前記反強誘電性液晶化合物が、1〜60重量%で含まれることを特徴とする請求項4に記載の反強誘電性液晶組成物。
- 前記一般式(1)で表される前記反強誘電性液晶化合物が、20〜60重量%で含まれることを特徴とする請求項4に記載の反強誘電性液晶組成物。
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