JP3910233B2 - 液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物 - Google Patents

液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3910233B2
JP3910233B2 JP12279396A JP12279396A JP3910233B2 JP 3910233 B2 JP3910233 B2 JP 3910233B2 JP 12279396 A JP12279396 A JP 12279396A JP 12279396 A JP12279396 A JP 12279396A JP 3910233 B2 JP3910233 B2 JP 3910233B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
compound
phase
synthesis
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12279396A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0931063A (ja
Inventor
幸治 岩谷
衞 山田
仁 近藤
利光 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP12279396A priority Critical patent/JP3910233B2/ja
Publication of JPH0931063A publication Critical patent/JPH0931063A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3910233B2 publication Critical patent/JP3910233B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pyridine Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶電気光学素子に使用する液晶材料として有用な新規な光学活性カルボン酸エステル化合物に関し、さらに、該化合物を含有する液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は薄型軽量で消費電力も低いため、時計、電卓をはじめとして種々のディスプレイとして使用されてきた。現在、広汎に利用されてきている液晶表示装置には、ネマチック液晶を用いたツィステッドネマティック(TN)と呼ばれる表示方式が採用されている。液晶表示装置を駆動する方法としては、生産性、価格の点から単純マトリックスと呼ばれる上下基板に配置された電極によってのみ駆動する方法が最適であるが、ネマティック液晶は応答速度が遅く、かつ、表示密度を高くするとコントラストの低下を起こすため、高密度なディスプレィを構成するのは困難であった。そこで、薄膜トランジスタ(TFT)を各画素に設け、アクティブマトリックスと呼ばれる非常にコストの高い駆動方法により、コンピューター等のディスプレィに用いられている。このディスプレィを製造するには、非常の多くの工程を必要とするため、高コストであり、種々低コスト化へ向けて努力はされているものの限界がある。
【0003】
一方、1975年Meyer らによって合成された4−(n−デシルオキシベンジリデンアミノ)桂皮酸−2−メチルブチルエステルが強誘電性液晶相を示し(R.B.Meyer ら、J.Phys(France) , 36, L69(1975).)、クラークとラガバールが表面安定化強誘電性液晶素子を提案(N.A.Clark ら、Appl. Phys. Lett. , 36, 899(1980).)するに至って、優れた高速応答性、及び双安定性を有する液晶表示装置の製造が可能と期待され、現在までに多くの強誘電性液晶材料が合成され、提案されてきた。
【0004】
しかし、当初予想されたより、配向状態が非常に複雑で未だ実用には至っていない。すなわち、層内で液晶分子のダイレクタ−が捩じれた状態になり易く、この状態では高いコントラスト比が得られない。また、上下基板に対し層が垂直に立っている構造(ブックシェルフ構造)と考えられていたが、実際には、層が折れ曲がった構造(シェブロン構造)をとっていることがわかった。このため、ジグザグ欠陥が発生し、これもコントラストを低下させる原因になっている。さらには、強誘電性液晶において存在する自発分極自体が問題となり、メモリ−状態を長時間保持すると、逆電界を印加しても反転が困難となり(以下、焼き付けという)、結果としてコントラストの低下を招くことがわかってきた。
【0005】
ところが、近年このような強誘電性液晶の持つ欠点を解消できる可能性のある液晶相の存在が報告された。この液晶相は反強誘電性液晶相で(以後、ScA*相と示す)強誘電性液晶相の持つ二つの安定状態(双安定状態)のほかに、第3の安定状態を有し、この第3の状態では隣接する層間で分子のチルト方向が反転し、自発分極は打ち消されている。しかも、Sc*相の低温側に出現する相ではあるが、応答速度は殆どSc*相と差がない。また、印加電界によりシェブロン構造とブックシェルフ構造間をスイッチングできる。そのため、ScA*相においては、電界印加により容易にブックシェルフ構造となり欠陥もなくなる。さらに、電圧無印加時の安定状態である第3の状態を暗とするように偏光子、検光子を配置して使用し、かつ交番電界により、二つの強誘電状態間をスイッチングさせるため、強誘電性液晶素子にみられた焼き付けも起こさない。
【0006】
以上のように、反強誘電性液晶素子は、低価格でかつ生産性の高い単純マトリックス駆動が可能であり、高コントラストの表示が容易に実現できると言われている。なお、反強誘電性液晶相としては、たとえばより高次の秩序を持つスメクティックI相由来の反強誘電性液晶相(SIA*相)も知られている。しかし、このSIA*相は高次の相であるため、高速の応答を得ることができない。そこで、本明細書においては反強誘電性液晶相として高速応答が可能なScA*相に着目し、説明する。
【0007】
最初に反強誘電性液晶相を示すことが発見されたのは、以下のような化合物である。(Chandaniら、Jpn.J.Appl.phys.,27,L729(1988))
【化5】
Figure 0003910233
(以下MHPOBCと示す。)
その後、キラル部位を1−メチルヘプチル基から1−トリフルオロメチルヘプチル基に代えてもScA*相が出現することが分かった。この1−トリフルオロメチルヘプチル基を導入した化合物においては反強誘電液晶相が比較的安定に出現するため、ScA*相を示すことが報告された化合物の多くはその誘導体である。
【0008】
しかし、1−メチルヘプチル基を1−メチルヘキシル基に代えると、強誘電性液晶相のみが出現し、ScA*相が観察されない。さらに、2−メチルアルキル基ではScA*相は全く観察されない等、非常にキラル部位の構造的修飾は困難であり、このためキラル部位の分子修飾はほとんど行われていない。そこで、一般的に液晶核(コア)側、特に環構造を中心に修飾し種々の化合物が合成されてきている。ところが、従来のネマチック液晶と同様に反強誘電性液晶においても、実用化に向けて様々な性能が要求されるため、単一の化合物群ないしは前述のような類似の化合物のみの配合では、要求性能を満足することは困難であり、多くの性質の異なる化合物が必要とされている。
【0009】
一方、本発明者らは、下記構造の化合物で反強誘電性液晶相が出現することを見出している。
【化6】
Figure 0003910233
(特開平4−82862号公報)
この化合物は2ーメチルアルカン酸を導入しており、反強誘電性液晶相を安定に出現させるが、MHPOBCと同様にビフェニルカルボン酸フェニルエステルのコア構造を持つため粘性が高く、かつ、コア構造が類似しているためその他の特性的にも大きな改質効果は期待できない。
【0010】
また、同様に2−メチルアルカン酸を導入した化合物、2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5(4−(1−メチルペンチルカルボニルオキシ)フェニル)ピリミジン(特開平4−29975号公報)が報告されている。
【化7】
Figure 0003910233
(特開平4−29975号公報)
(上記式中、R5 、R6 は炭素数1〜18のアルキル基で、ともに分岐を持っていてもよい。)
しかし、ここで示された化合物は本願発明の液晶性化合物とは、ピリミジン環の向きが異なり、いずれも反強誘電性相を示していない。
【0011】
さらに本発明に近い化合物として特開昭63−170367号公報に開示された下記化合物が挙げられる。
【化8】
Figure 0003910233
(式中R8 はアルキル又はアルコキシ基を、R*は鎖中に不斉炭素原子を有する光学的に活性なアルキル又はアシル基を示す。)
【0012】
この一般式にて表される2−フェニル−5−フェニルピリミジン誘導体は、本願発明の一般式(1)式で表される2−メチルアルカン酸誘導体の一部を形式上含んではいる。しかし、具体的に特開昭63−170367号公報に開示された化合物は、本願発明の一般式(1)において、R2 がn−C2 5 に相当する化合物唯一つである。また、そのものの相系列はSA−Sc*−Sxであることが明示されているし、そのSc*相の低温側に未同定のスメクティック(Sx)の存在が開示されている。そこで、比較例に示したように、R2 がn−C2 5 である化合物を合成し、未同定のスメクティック相の同定を試みたところ、明らかに高次のスメクティックB相由来の相であり、比較例3〜5に記載されているように反強誘電性液晶相ではないことが分かった。
【0013】
また、強誘電性カイラルスメクティックC相液晶組成物に使用できる化合物として特開平3−12478号公報にR2 がn−C2 5 である下記化合物が唯一開示されている。
【化9】
Figure 0003910233
この液晶化合物の相転移点については何ら記載が無い。そこで、この化合物を合成し、相転移に関して検討したところ、比較例6に記載されているように反強誘電性液晶相を示さない。
従って、特開平3−12478号公報に開示された化合物からは、一般式(1)で示される化合物で反強誘電性液晶相が出現することを予測することは出来ない。
本発明者らは低粘性の反強誘電性相を示す液晶化合物を探索する中で、含窒素ヘテロ環の向き、及び不斉炭素に結合するアルキル基の長さを最適化することにより、反強誘電性液晶相を呈する数多くの化合物を見出し、本発明を完成した。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規な反強誘電性液晶相を示す化合物に関し、既知の反強誘電性液晶化合物との相溶性が良好な新規な液晶性化合物及びこれを含有する液晶組成物を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、反強誘電性液晶相を示す化合物に関し、広範囲な検討を行い、本発明を完成した。すなわち、本発明の第一の発明は液晶性化合物に関する発明であり、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0016】
【化10】
Figure 0003910233
【0017】
(式中、R1 は炭素数4〜16の直鎖あるいは分枝を持つアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基を表し、R2 は炭素数4〜10の直鎖アルキル基あるいは総炭素数が1〜3の分岐基を有する総炭素数4〜12のアルキル基を表し、Xは酸素あるいは硫黄原子を表し、
【0018】
【化11】
Figure 0003910233
で表されることを特徴とする。
【0019】
そして、本発明の第2の発明は液晶組成物に関する発明であり、第1の発明の液晶性化合物を少なくとも1種含有する液晶組成物である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
前記一般式(1)において、R1 のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖のものでも、分岐されているものでもよいが、直鎖のものの方が好ましく、特に炭素数6〜12のものが好ましい。また、R2 のアルキル基は、炭素数4以上の直鎖であっても、炭素数3以上の直鎖を含み総炭素数4以上の分岐を持つアルキル基でもよいが、コアにフッ素置換されていない化合物では反強誘電性液晶相の出現の安定性及び粘性の点から、直鎖部分の炭素数が4〜6のものが好ましい。また、コアにフッ素置換した化合物では直鎖部分の炭素数が3〜8のものが好ましい。さらに、環A、Bがピリジン環又はピリミジン環の化合物が特に好ましい。
【0021】
(1)式の好ましい化合物として以下の化合物が挙げられる。
【化12】
Figure 0003910233
【0022】
【化13】
Figure 0003910233
【0023】
ここで、W1 、W2 は水素原子又はフッ素原子を表し、X、R1 及びR2 は前記と同じである。
【0024】
本発明の化合物は、単独でも反強誘電性液晶相を示すが、本発明の化合物を2種類以上混合し反強誘電性液晶組成物とすることもできる。本発明の化合物は、既知の反強誘電性液晶化合物との相溶性が良いため、容易に反強誘電性液晶組成物を得ることができるが、好ましい反強誘電性液晶化合物として末端に
【化14】
Figure 0003910233
を有する既知の反強誘電性液晶化合物を挙げることが出来る。ここでR9 は直鎖アルキル基を示す。
【0025】
好ましい具体的な液晶化合物としては、
【化15】
Figure 0003910233
(式中R10、R11は直鎖アルキル基を、m、nは1又は2の整数でm+nは3、1は0又は1の整数を示す。)
を挙げることができる。
【0026】
本発明の液晶性化合物と上述の反強誘電性液晶化合物あるいはその組成物とを混合し、反強誘電性液晶組成物を得る場合、本発明の液晶性化合物は1〜80重量%で添加されることが好ましく、さらに、1〜40重量%である方が好ましい。
【0027】
また、本発明の液晶性化合物はフェニルピリジン、フェニルベンゾエート類のような公知のスメクティックC相あるいはキラルスメクティックC相を示し、反強誘電性液晶相を示さない化合物との相溶性も高いため、反強誘電性液晶相の層構造を維持できる範囲で、スメクティックC相あるいはキラルスメクティックC相を示し、反強誘電性液晶相を示さない化合物と混合し、反強誘電性液晶組成物を得ることができる。この場合、本発明の液晶性化合物と上述の反強誘電性液晶化合物あるいはその組成物とからなる反強誘電性液晶組成物が60〜99重量%含まれることが望ましく、60〜80%含まれることがさらに好ましい。
このように、本発明の液晶性化合物の多くは非常に安定な反強誘電性液晶相を示し、反強誘電性液晶を用いた電気光学素子に使用することが出来る。また、本発明の化合物は、従来知られている多くの液晶性化合物との相溶性が良く、温度特性が改良された液晶材料を提供することが出来る。
【0028】
前記一般式(1)で表される本発明の液晶性化合物は、例えば次のような方法で合成することが出来る。光学活性な2−置換アルカン酸類は、相当する2−置換−2−アルケン酸を不斉水素化するか、あるいはラセミの2−置換アルカン酸又はその誘導体をリパーゼを用いて光学分割すること等により得ることが出来る。これと定法により合成された下記のようなフェノールあるいはチオフェノール誘導体とから本発明の化合物を得ることが出来る。
【化16】
Figure 0003910233
(Xは酸素又は硫黄原子)
【0029】
上記フェノールあるいはチオフェノール誘導体の合成法及び本発明化合物合成法の例を以下に示す。
(1)環Bがピリミジン環の場合
【化17】
Figure 0003910233
【0030】
【化18】
Figure 0003910233
【0031】
【化19】
Figure 0003910233
【0032】
【化20】
Figure 0003910233
【0033】
【化21】
Figure 0003910233
【0034】
【化22】
Figure 0003910233
【0035】
(1)から(6)で得られた中間体のフェノール類は、以下のような方法によりO−アリール (aryl) ジアルキルチオカーバメートとし、加熱することによりS−アリールジアルキルチオカーバメートへと転移させた後、加水分解することによってチオフェノール類とすることが出来る。
【0036】
【化23】
Figure 0003910233
【0037】
【実施例】
以下に、実施例を示し、本発明を詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されない。実施例中に示した相転移点は、偏光顕微鏡観察及び示差走査熱量系(DSC)による測定で決定した。また、化合物あるいは混合物が反強誘電性液晶相の同定は、いわゆる混和法試験を行った。
【0038】
実施例1
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0039】
(1) 5−(4−デシルフェニル)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、200mlの3つ口フラスコに{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩5.55g(12.6mmol)、4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩3.0g(11.4mmol)、エタノール130mlを加え、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液6.6gを氷冷下にてエタノール20mlで滴下した。滴下終了後エタノール還流温度で22時間反応を行った。反応終了後、反応物を300mlの水に投入し、沈殿した結晶物をろ過し、ろ紙上の結晶をメタノールで洗浄し、乾燥することによって目的化合物を4.22g得た。収率92%。
【0040】
(2) 5−(4−デシルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
300mlの4つ口フラスコに化合物1−1を4.20g(10.4mmol)、メタノール40ml、テトラヒドロフラン(以下、THFという)80mlを加え、これにパラジウム−炭素0.84gを加え、40℃、3時間で水素化反応を行った。反応終了後、パラジウム−炭素をろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(以下、カラムクロマトという)(シリカゲル50g、展開溶媒、トルエン/酢酸エチル=10/1)にて精製することにより3.15gの目的化合物を得た。収率97%。
【0041】
(3) 2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、200mlの4つ口フラスコに化合物1−2を1.00g(3.2mmol)、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸0.45g(3.2mmol)、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、DCCという)0.867g(4.2mmol)、ジクロロメタン50mlを加え、これに4−ジメチルアミノピリジン0.04g(0.32mmol)を加えて、室温で3.5時間反応させた。反応終了後、反応物をろ過してカラムクロマト(シリカゲル50g、展開溶媒トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製することによって1.25gの結晶を得た。得られた結晶をエタノール40mlとクロロホルム5mlで再結晶を行い、ODSカラム(アセトニトリル/メタノール/クロロホルム=85/10/5)で分取することによって目的化合物を0.82g得た。収率59%。
【0042】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.26(12H,m), 1.33(6H,m),1.35(1H,m), 1.44(2H,m),1.66(2H,m),1.82(1H,m), 2.69(3H,m),7.22(2H,d,J=8.8Hz), 7.34(2H,d), 7.54(2H,d), 8.52(2H,d,J=8.8Hz), 8.99(2H,s)
MS(m/e) : 528(M+ )
【0043】
この化合物は100.7℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、131.7℃で等方性液体へ転移した。図1に実施例1の化合物と公知の反強誘電性液晶相を示す化合物(MHPDBC)との相図を示す。図から、混合時に液晶相全体の熱安定性が低下する傾向があるが、標準物質の反強誘電性液晶相と完全に混和し、同一の液晶相であることが分かる。
【0044】
実施例2
2−{4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル}−5−(4−デシルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0045】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルオキシフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用いて、実施例1と同様に合成した。
【0046】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.23(12H,m), 1.26(6H,m),1.35(1H,m), 1.44(6H,m),1.82(1H,m), 2.72(1H,m),2.82(2H,t), 7.04(2H,d,J=8.9Hz), 7.21(2H,d,J=8.8Hz)), 7.55(2H,d,J=8.9Hz),8.50(2H,d,J=8.8Hz), 8.96(2H,s)
MS(m/e) : 544(M+ )
この化合物は89.3℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、149℃で等方性液体へ転移した。
【0047】
実施例3
2−(4−((S)−2−メチルヘキサノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0048】
実施例1(3)において(S)ー2, 6ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルヘキサン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.88(3H,t), 0.95(3H,t) ,1.35(21H,m),1.65(3H,m), 1.85(1H,m),2.68(2H,m) ,7.22(2H,d,J=8.9Hz), 7.34(2H,d,J=8.3Hz), 7.54(2H,d,J=8.3Hz) , 8.52(2H,d,J=8.9Hz), 9.00(2H,s)
MS(m/e) : 500(M+
この化合物は91.3℃で融解して反強誘電性液晶相を示し、130℃で強誘電性液晶相(Sc*相)へ転移し、139℃でスメティックA相となり、143.5℃で等方性液体となった。
【0049】
実施例4
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)ー3ーフルオロフェニル)−5−(4−オクチルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0050】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−オクチルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用い、また、4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩に代えて、4−ベンジルオキシ−3−フルオロベンツアミジン塩酸塩を用い実施例1と同様に合成した。
【0051】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.90(9H,m), 1.28(16H,m), 1.34(2H,m), 1.66(3H,m), 1.83(1H,m), 2.68(2H,m),2.77(1H,m), 7.23(2H,d,J=9.0Hz), 7.34(2H,d,J=8.3Hz), 7.55(2H,d,J=8.3Hz), 8.31(2H,d,J=9.0Hz), 8.99(2H,s)
MS(m/e) : 518(M+ )
この化合物は97.3℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、125.8℃で等方性液体へ転移した。
【0052】
実施例5
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(3−フルオロ−4−デシルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0053】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルオキシ−3−フルオロフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用いて、実施例1と同様に合成した。
【0054】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.29(23H,m), 1.86(3H,m), 2.72(1H,m), 4.10(2H,t), 7.11(1H,s), 7.22(2H,d,J=8.9Hz), 7.35(2H,d), 8.51(2H,d,J=8.8Hz), 8.94(2H,s)
MS(m/e) : 562(M+
この化合物は105.2℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、118.6℃で等方性液体へ転移した。
【0055】
実施例6
2−{3−フルオロ−4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル}−5−(4−デシルフェニル)−ピリジンの合成
【0056】
(1) 4−デシルブロモベンゼンの合成
窒素気流下、反応フラスコに金属マグネシウム10.2g、THF100ml、ヨウ素少量を加えた。次に1,4−ジブロモベンゼン100g、THF500ml溶液の一部を滴下し、反応開始した。開始後、25〜30℃にて残りの溶液を2時間かけて滴下した。その後、40℃にて1時間反応させた後、冷却した。続いて、デシルブロミド187g、ベンゼン500ml、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン98.3g、塩化銅(I)2.1gを加えた反応フラスコを窒素置換し、50℃に加温し、先に調製したグリニア試薬を同温にて30分で滴下した。その後24時間反応させ、冷却した。続いて、反応物を飽和アンモニウム水へ投入し、酢酸エチルで抽出し、水洗して硫酸マグネシウムにて乾燥し、粗生成物107gを得た。次にビグロー付きクライゼンにて蒸留し、目的化合物を43.7g得た。
【0057】
(2) 2−ベンジルオキシ−5−クロロピリジンの合成
窒素気流下、5−クロロ−2−ヒドロキシピリジン10g、塩化ベンジル11.73g、炭酸カリウム16g、DMF250mlを反応フラスコに加え、80℃にて2時間反応させ、冷却後、有機層をろ過しさらに塩部を酢酸エチルにて洗浄後ろ過し、溶媒留去後、カラムクロマト(シリカゲル150g、トルエン/酢酸エチル=5/1)にて目的化合物14.5gを得た。
【0058】
(3) 2−ベンジルオキシ−5−(4−デシルフェニル)−ピリジンの合成
窒素気流下、反応フラスコにマグネシウム2.17g、THF50ml、ヨウ素少量を加えた。次に、4−デシルブロモベンゼン26.8g、THF134mlの混合溶液の一部を滴下し、反応を開始させ、残りの混合溶液を35〜40にて一時間で滴下した。滴下後、同温にて2時間反応させ冷却しグリニア試薬とした。続いて、予め窒素置換した反応フラスコに2−ベンジルオキシ−5−クロロピリジン15.2g、THF150ml、Ni(Ph2P(CH2)3PPh2)Cl2 2.68gを用意し、予め調製したグリニア試薬を同温にて20分で滴下した。滴下後、同温にて1時間反応させ氷水中へ反応物を投入しトルエン抽出した。続いて、有機層をろ過後、溶媒を留去して粗生成物37.18gを得、このものをカラムクロマト(シリカゲル450g、トルエン/酢酸エチル=5/1)を行うことにより目的化合物19.9gを得た。
【0059】
(4) 5−(4−デシルフェニル)−2−ヒドロキシピリジンの合成
反応フラスコに2−ベンジルオキシ−5−(4−デシルフェニル)ピリジン19.9g、メタノール400mlを加え、窒素置換後、パラジウム−炭素3gを加え、水素置換後、反応温度を66℃まで上昇させた後、40℃まで温度を下げることを3回繰り返し、反応を終了させた。反応終了後、冷却してろ過し、溶媒を留去して粗生成物15.0gを得た。このものをカラムクロマト(シリカゲル150g、酢酸エチル/エタノール=1/1)によって精製し、目的化合物12.3gを得た。
【0060】
(5) 2−クロロ−5−(4−デシルフェニル)ピリジンの合成
反応フラスコに5−(4−デシルフェニル)−2−ヒドロキシピリジン12.3g、オキシ塩化リン30.2gを加え、100℃にて6時間反応させた。反応終了後、冷却し氷水中へ反応物を徐々に投入し、トルエンで抽出した後、有機層を水洗し、乾燥後溶媒を留去して粗生成物を得、このものをカラムクロマト(シリカゲル150g、トルエン/酢酸エチル=3/1)を行うことによって、目的化合物を5.55g得た。
【0061】
(6) 2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)ピリジンの合成
窒素気流下、反応フラスコにマグネシウム0.88g、THF50ml、ヨウ素少量を加え、これに3−フルオロ−4−メトキシ−1−ブロモベンゼン7.27gのTHF72ml溶液を少量加え、反応を開始した。開始後、35〜40℃にて残りの溶液を滴下し、滴下後同温にて1時間反応させグリニア試薬とした。一方、予め用意した他の反応フラスコに2−クロロ−5−(4−デシルフェニル)ピリジン5.55g、THF100ml、Ni(Ph2P(CH2)3PPh2)Cl2 0.72gを加え、これに先に調製したグリニア試薬を20分間で滴下した。滴下後、1時間同温にて反応させ、氷水中へ反応物を投入し、トルエンで抽出後、溶媒を留去して粗生成物11.0gを得た。このものをカラムクロマト(シリカゲル150g、トルエン/酢酸エチル=5/1)を行うことにより7.0gの結晶を得、この結晶をクロロホルム20ml、エタノール200mlの溶媒にて溶解後、5℃まで冷却して、ろ過することにより5.61gの目的化合物を得た。
【0062】
(7) 2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)ピリジンの合成
反応フラスコに2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)ピリジン5.61g、酢酸168ml、47%臭化水素酸102mlを加え、110℃にて1晩反応させた。冷却後、氷水中へ反応物を投入し、析出する結晶をろ過し、この結晶物を水洗し、THFに溶解させ、硫酸ナトリウムで脱水後THFを留去することによって6.5gの目的化合物を得た。
【0063】
(8) 2−(3−フルオロ−4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)ピリジンの合成
5−(4−デシルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンを2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)ピリジンに代えた以外は実施例1(3)と同様に操作して、目的化合物を得た。収率20.08%。
【0064】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.29(23H,m), 1.57(2H,m), 1.82(1H,m), 2.67(2H,m),2.77(1H,m), 7.22(2H,d,), 7.31(2H,d), 7.55(2H,d), 7.74(1H,d), 7.76(1H,d), 7.94(2H,d), 8.91(2H,s)
MS(m/e) : 545(M+ )
この化合物は49.5℃で融解し、高次のスメクティック相を経由して、72.5℃で反強誘電性液晶相となり、129.6℃で等方性液体へ転移した。
【0065】
実施例7
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)−2−フルオロフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0066】
実施例1(1)において4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩に代えて、4−ベンジルオキシ−2−フルオロベンツアミジン塩酸塩を用い実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.28(23H,m), 1.86(3H,m), 1.57(1H,m), 1.66(2H,m), 1.80(1H,m), 2.69(3H,m), 7.04(2H,m), 7.34(2H,d,J=8.4Hz), 7.55(2H,d,J=8.3Hz), 8.20(1H,m), 9.05(2H,s)
MS(m/e) : 406(M+ )
この化合物は77.8℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、94.2℃で等方性液体へ転移した。
【0067】
実施例8
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−ノナノイルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0068】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−ベンジルオキシフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用い、また、ペラルゴン酸を用い実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.90(9H,m), 1.38(19H,m), 1.79(3H,m), 2.60(2H,t), 2.72(1H,m), 7.22(2H,d, J=8.9Hz), 7.26(2H,d,J=8.7Hz), 7.63(2H,d,J=8.8Hz), 8.52(2H,d,J=8.9Hz), 8.99(2H,s)
MS(m/e) : 544(M+ )
この化合物は112. 0℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、168.0℃で等方性液体へ転移した。
【0069】
実施例9
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルオキシカルボニルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0070】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−ベンジルオキシフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用い、また、クロロギ酸デシルを用い実施例1と同様に合成した。
【0071】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.90(9H,m), 1.31(22H,m), 1.56(1H,m), 1.76(2H,m), 1.84(1H,m), 2.72(1H,m), 4.29(2H,t), 7.22(2H,d, J=8.8Hz), 7.36(2H,d,J=8.8Hz), 7.64(2H,d,J=8.8Hz), 8.53(2H,d,J=8.9Hz), 8.98(2H,s)
MS(m/e) : 588(M+ )
この化合物は86.0℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、146.0℃で等方性液体へ転移した。
【0072】
実施例10
2−{4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル}−5−(4−ヘキシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0073】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−ヘキシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用いて、実施例1と同様に合成した。
【0074】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.90(9H,m), 1.30(14H,m), 1.57(2H,m),1.66(1H,m), 1.82(1H,m), 2.68(3H,m), 7.22(2H,d,J=8.8Hz), 7.34(2H,d,J=8.3Hz)), 7.54(2H,d,J=8.2Hz), 8.52(2H,d,J=8.9Hz), 9.00(2H,s)
この化合物は113.0℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、125.0℃でスメクティックA相を示し、145.0℃で等方性液体へ転移した。
【0075】
実施例11
2−(4′−(S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ−4−ビフェニリル)−5−デシル−1,3−ピリミジンの合成
【0076】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、2−デシル−3−エトキシ−2−プロぺナ−ルを用い、また、4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩に代えて、4−(4−ベンジルオキシフェニル)ベンツアミジン塩酸塩を用い、また実施例1(3)において、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルヘキサン酸を用い実施例1と同様に合成した。
【0077】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.88(3H,t), 0.95(3H,t), 1.35(21H,m), 1.66(2H,m), 1.82(1H,m), 2.64(3H,m), 7.17(2H,d,J=8.7Hz), 7.67(2H,d,J=8.7Hz), 7.69(2H,d,J=8.7Hz), 8.48(2H,d,J=8.6Hz), 8.64(2H,s)
MS(m/e) : 500(M+ )
この化合物は66.0℃で融解し、高次のスメクティック相を経由して、87.0℃で反強誘電性液晶相となり、133.0℃で強誘電性液晶相を示し、135.0℃で等方性液体へ転移した。
【0078】
実施例12
2−(4−((S)−2−メチルデカノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0079】
実施例1(3)において(S)−2, 6ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルデカン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(6H,m), 1.32(29H,m), 1.53(1H,m), 1.65(2H,m), 1.81(1H,m), 2.70(3H,m), 7.22(2H,d,J=11.5Hz), 7.34(2H,d,J=8.3Hz), 7.54(2H,d,J=10.3Hz), 8.51(2H,d,J=11.5Hz), 8.99(2H,s)
MS(m/e) : 557(M+ +H)
この化合物は101.0℃で融解し、強誘電性相を示し、130.0℃で等方性液体へ転移した。また、強誘電性液晶相から冷却すると、結晶化直前にモノトロピックに反強誘電性液晶相が観察された。しかし、温度範囲が狭く転移点は測定できなかった。
【0080】
実施例13
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)−2−フルオロフェニル)−5−(4−デシル−3−フルオロフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0081】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−デシル−3−フルオロフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用い、また、4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩に代えて、4−ベンジルオキシ−2−フルオロベンツアミジン塩酸塩を用い実施例1と同様に合成した。
【0082】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.34(22H,m), 1.86(4H,m), 2.71(1H,m), 4.10(2H,t), 7.04(2H,m), 7.12(1H,t), 7.36(2H,m), 8.20(1H,t), 9.01(2H,s)
MS(m/e) : 580(M+ )
この化合物は71.1℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、96.5℃で等方性液体へ転移した。
【0083】
実施例14
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルチオフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0084】
(1) 2−(4−(ジメチルチオカルバモイルオキシ)フェニル−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、50mlの三つ口フラスコに、実施例1(2)と同様の方法で得られる2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジン1.68g(4.3mmol)、THF10ml、水酸化カリウム0.24g(5.16mmol)の10ml水溶液を加え、これに氷冷下にてジメチルチオカルバモイルクロリド0.80g(6.45mmol)のTHF10ml溶液を滴下した。滴下終了後、反応温度を室温に戻し、18時間撹拌した。反応終了後、飽和重曹水にて洗浄し、反応物をトルエンにて抽出し、得られた有機相を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。乾燥後、溶媒を留去し、カラムクロマト(トルエン/ 酢酸エチル=10/1)を行うことによって目的化合物が1.26g得られた。収率61%。
【0085】
(2) 2−(4−メルカプトフェニル−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、100mlの三つ口フラスコに2−(4−(ジメチルチオカルバモイルオキシ)フェニル−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジン1.26g(2.65mmol)を加え、マントルヒーターにて240℃に加熱し、18時間放置した。このとき、反応物のIRを確認したところカルボニル基の吸収が見られた。放冷後、このものにジエチレングリコ−ル30ml、水酸化カリウム0.22g(4mmol)を加え、150℃−170℃にて1.5時間反応させた。反応終了後、反応物を氷水中に投入した後、クロロホルムにて抽出し、得られた水層を5%塩酸にて酸性とした後、クロロホルムにて抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。乾燥後、カラムクロマト(シリカゲル30g、トルエン/ 酢酸エチル=10/1)にて精製することによって目的化合物が0.96g得られた。収率90%。
【0086】
(3) 2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルチオフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、100mlの三つ口フラスコに2−(4−メルカプトフェニル−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジン0.40g(1mmol)、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸0.17g(1.2mmol)、DCC0.372g(1.8mmol)、ジクロロメタン50mlを加え、これに4−ジメチルアミノピリジン0.012g(0.1mmol)を加えて、室温で5時間反応させた。反応終了後、反応物をろ過してカラムクロマト(シリカゲル30g、トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製することによって0.46gの結晶を得た。得られた結晶をODSカラムで分取することによって目的化合物を0.33g得た。収率60%。
【0087】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(9H,m), 1.21-1.45(22H,m), 1.58(1H,m), 1.66(2H,m), 1.82(1H,m), 2.68(2H,t), 2.77(1H,m), 7.34(2H,d), 7.55(2H,d), 8.53(2H,d), 9.02(2H,s)
MS(m/e) : 544(M+ ) 、404 、141 、113
この化合物は91.6℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、124.4℃で等方性液体へ転移した。
【0088】
実施例15
3−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジンの合成
【0089】
(1) 3−(4−ベンジルオキシフェニル)−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジンの合成
窒素気流下、反応フラスコにマグネシウム0.48g、THF5ml、ヨウ素少量を加え、これに4−ベンジルオキシ−1−ブロモベンゼン4.98gのTHF25ml溶液を少量加え、反応を開始した。開始後、35〜40℃にて残りの溶液を滴下し、滴下後同温にて1時間反応させグリニア試薬とした。これに、Ni(Ph2P(CH2)3PPh2)Cl2 0.054gを加え、3−クロロ−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジン3.185gのTHF25ml溶液を滴下した。滴下後、3時間40℃にて反応させ、希塩酸を加えた氷水中へ反応物を投入し、酢酸エチルを加えた。有機層を炭酸カリウム水溶液で洗浄し水洗した。有機層中に析出した結晶をろ別し、酢酸エチルで十分に洗浄、乾燥して2.55gの目的化合物を得た。
【0090】
(2) 3−(4−ヒドロキシフェニル)−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジンの合成
反応フラスコに3−(4−ベンジルオキシフェニル)−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジン2.55g、THF300ml、メタノール30mlを加え、窒素置換後パラジウム−炭素0.45gを加え、水素置換後、50℃にて一晩反応させた。反応終了後冷却してろ過し、濃縮した後、エタノールより再結晶して目的物1.43gを得た。
【0091】
(3) 3−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジンの合成
5−(4−デシルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンを3−(4−ヒドロキシフェニル)−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジンに代えた以外は実施例1(3)と同様に反応を行った後、2回エタノールより再結晶して目的化合物を得た。収率48.6%。
MS(m/e) : 516(M+ ) 、376 、264 、118
この化合物は147.7℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、195.4℃で等方性液体へ転移した。
【0092】
実施例16
2−(4−((S)−2−メチルデカノイルオキシ)−3−フルオロフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0093】
実施例1(3)において(S)ー2, 6ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルデカン酸を用い、また、4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩に代えて、4−ベンジルオキシ−3−フルオロベンツアミジン塩酸塩を用い実施例1と同様に合成した。
【0094】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(6H,m), 1.29(24H,m), 1.34(3H,d), 1.44(2H,m), 1.58(1H,m), 1.66(2H,m), 1.82(1H,m), 2.68(2H,t), 2.77(1H,m), 7.24(1H,d), 7.34(2H,d), 7.54(2H,d), 8.31(2H,m), 8.99(2H,s)
MS(m/e) : 575(M+ +H),406
この化合物は80.4℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、99.8℃で強誘電性液晶相を示し、119.2℃で等方性液体へ転移した。
【0095】
実施例17
2−(4−((S)−2−メチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0096】
実施例1(3)において(S)−2, 6ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルヘプタン酸を用い実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(6H,m), 1.32(23H,m), 1.61(1H,m), 1.66(2H,m), 1.81(1H,m), 2.69(3H,m),7.22(2H,d,J=8.9Hz), 7.34(2H,d,J=8.4Hz), 7.54(2H,d,J=8.3Hz), 8.52(2H,d,J=8.8Hz), 8.99(2H,s)
この化合物は97.4℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、135.7℃で強誘電性液晶相を示し、さらに137℃でスメクティックA相を示し、138℃で等方性液体へ転移した。
【0097】
実施例18
2−(4−((S)−2−メチルオクタノイルオキシフェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0098】
実施例1(3)において(S)−2, 6ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルオクタン酸を用い実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm: 0.89(6H,m), 1.32(25H,m), 1.61(1H,m), 1.66(2H,m), 1.81(1H,m), 2.68(3H,m),7.22(2H,d,J=8.9Hz), 7.34(2H,d,J=8.3Hz), 7.55(2H,d,J=8.3Hz), 8.52(2H,d,J=8.9Hz), 9.00(2H,s)
この化合物は101℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、さらに136℃で等方性液体へ転移した。
【0099】
実施例19
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシフェニル)−5−(4−オクチルオキシフェニル)−1,4−ピラジンの合成
【0100】
実施例15において3−クロロ−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,2−ピリダジンの代わりに3−クロロ−6−(4−オクチルオキシフェニル)−1,4−ピラジンを用いた以外は実施例15と同様にして目的化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.90(9H,m), 1.31(18H,m), 1.58(1H,m), 1.82(3H,m), 2.73(3H,m), 4.04(2H,t), 7.04(2H,d,J=8.9Hz), 7.23(2H,d,J=8.9Hz), 8.01(2H,d,J=9.0Hz), 8.07(2H,d,J=8.9Hz), 9.00(1H,s), 9.01(1H,s)
この化合物は116℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、さらに160℃で等方性液体へ転移した。
【0101】
実施例20
本発明の化合物を混合し、反強誘電性液晶組成物を得ることができる。
以下に反強誘電性液晶組成物の組成、及び相転移点を示す。
【化24】
Figure 0003910233
【0102】
この組成物は58.8℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、125.9℃で強誘電性液晶相、126.5℃でスメクティックA相となり、127.5℃で等方性液体へ転移する。このように比較的類似構造の化合物を単純に混合しても、融点降下が観察され、反強誘電性液晶相の温度範囲を広げることが出来る。
【0103】
実施例21
本発明の化合物と公知の反強誘電性液晶相を示す化合物、あるいはその組成物とを定法により混合することにより、反強誘電性液晶組成物を得ることが出来る。
【化25】
Figure 0003910233
【0104】
この液晶組成物は33.9℃で融解し反強誘電性液晶相を示し、97.6℃でメクティックA相となり、126.3℃で等方性液体となる。このように、本発明の化合物は公知の反強誘電性液晶相を示す化合物、あるいはその組成物との相溶性が良く、容易に反強誘電性液晶組成物を得ることが出来る。
【0105】
実施例22
本発明の化合物と公知のスメクティックC相又はキラルスメクティックC相を示す化合物あるいはその組成物と混合し、反強誘電性液晶組成物を得ることが出来る。
【化26】
Figure 0003910233
【0106】
この液晶組成物はこの液晶組成物は7.5℃で融解し反強誘電性液晶相を示し、60℃で強誘電性液晶相となり、94.5℃で等方性液体となる。
このように、本発明の化合物とスメクティックC相又はキラルスメクティックC相を示し、反誘電性液晶相を示さない化合物あるいはその組成物との相溶性も良く、反強誘電性液晶組成物を得ることが出来る。
【0107】
実施例23
2−(4′−((S)−2−メチルヘプタノイルオキシ)−3′−フルオロ−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成
【0108】
(1) 2−(4−ブロモフェニル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成300mlのフラスコに、3−ジメチルアミノ−2−ノニル−2−プロペナール10g、4−ブロモベンツアミジン塩酸塩10.46g、エタノ−ル100mlを加え、これに28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を滴下し、8時間還留した。反応終了後、エタノールを留去し残留物に水を加えトルエンにて抽出し、溶媒を留去した後、カラムクロマト(トルエン)を行うことによって目的化合物を4.18得た。収率27.7%。
【0109】
(2) 2−(4′−ベンジルオキシ−3′−フルオロ−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、100mlのフラスコに、4−ベンジルオキシ−3−フルオロブロモベンゼン4.96g、マグネシウム0.442g、THF60mlを加え室温にて2時間攪拌しグリニア試薬とする。また、窒素気流下、別に200mlのフラスコに2−(4−ブロモフェニル)−5−ノニル−1,3−ピリミジン2.0g、THF30ml、Ni(dppp)Cl2 0.2gを加え、これに先のグリニア試薬を滴下し、室温にて20時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液中へ投入し、トルエンにて抽出し、溶媒を留去後、カラムクロマト(トルエン)を行うことにより、目的化合物を2.3g得た。収率43.38%。
【0110】
(3) 2−(4′−ヒドロキシ−3′−フルオロ−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成
100mlのフラスコに2−(4′−ベンジルオキシ−3′−フルオロ−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジン2.3g、メタノール40ml、THF40mlを加え、これにパラジウム−炭素0.4gを加え、40℃、8時間で水素化反応を行った。反応終了後、パラジウム−炭素をろ過し、カラムクロマト(トルエン/酢酸エチル=5/1)にて精製することにより1.0gの目的化合物を得た。収率62.5%。
【0111】
(4) 2−(4′−((S)−2−メチルヘプタノイルオキシ)−3′−フルオロ−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成
50mlのフラスコに2−(4′−ヒドロキシ−3′−フルオロ−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジン0.5g、(S)−2−メチルヘプタン酸1.5g、DCC0.36g、ジクロロメタン10mlを加え、これに4−ジメチルアミノピリジンを触媒量加えて、室温で2時間反応させた。反応終了後、反応物をろ過してカラムクロマト(トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製することによって0.5gの結晶を得た。得られた結晶をODSカラムで分取することによって目的化合物を0.35g得た。
【0112】
収率75.71%。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.90(6H,m), 1.33(19H,m), 1.44(2H,m), 1.66(3H,m), 1.83(1H,m), 2.64(2H,t), 2.76(1H,m), 7.20(1H,m), 7.44(2H,m), 7.67(2H,d,J=8.8Hz), 8.49(2H,d,J=8.8Hz), 8.65(2H,s)
MS(m/e) : 519(M+ +H)
【0113】
この化合物は43.5℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、130.6℃で等方性液体へ転移した。このようにコアにフッ素置換した化合物では、非常に広い温度範囲で反強誘電性液晶相を観察することが出来る。このように本発明の一般式(1)のR2 が炭素数3以上の直鎖アルキル基を持つ場合、安定に反強誘電性液晶相が観察される。
【0114】
実施例24
2−(4′−((S)−2−メチルヘキサノイルオキシ)−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成
【0115】
実施例23において、4−ベンジルオキシ−3−フルオロブロモベンゼンに代えて、4−ベンジルオキシブロモベンゼンを用い、また、(S)−2−メチルブタン酸に代えて、(S)−2−メチルヘキサン酸を用いた以外は実施例23と同様に操作して目的化合物を得た。総収率46.2%。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.88(3H,t), 0.94(3H,t), 1.36(19H,m), 1.59(1H,m), 1.67(2H,m), 1.87(1H,m), 2.63(2H,t), 2.71(1H,m), 7.17(2H,d,J=8.8Hz), 7.67(2H,d,J=8.8Hz), 7.69(2H,d,J=8.8Hz), 8.48(2H,d, J=8.7Hz), 8.64(2H,s)
MS(m/e) :486 (M+ )
【0116】
この化合物は73.3℃で融解し、モザイク組織を持つ高次のスメクティック相を示し、88.1℃で反強誘電性液晶相へ転移し、102.6℃でカイラルスメクティックC相となり、138℃で等方性液体となる。このように本発明の一般式(1)のR2 が炭素数3以上の直鎖アルキル基を持つ場合、安定に反強誘電性液晶相が観察される。
【0117】
実施例25
2−{2−フルオロ−4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル}−5−(4−デシルオキシ−3−フルオロフェニル)−ピリジンの合成
【0118】
(1)2−フルオロ−4−ベンジルオキシブロモベンゼンの合成
2−フルオロ−4−ヒドロキシブロモベンゼン64.6g(338mmol)、ベンジルクロリド53.1g(389mmol)、炭酸カリウム93.3g(676mmol)、DMF150mlの混合物を80℃、2時間加熱した。冷却後、内容物を水に投入し酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥後、減圧蒸留(120−122℃/2mmHg)して52.5gの目的物を得た。収率55.3%。
【0119】
(2)2−フルオロ−4−ベンジルオキシフェニルボロン酸の合成
(1)で得られたブロモ体5.62g(20mmol)、エチルエーテル60mlの溶液を−72℃に冷却し、n−ブチルリチウム18.8ml(30mmol)を滴下し同温度で2時間攪拌した。続いて、同温度でトリメトキシボラン2.39g(22mmol)、エーテル5mlの溶液を滴下し同温度で1時間、−72℃〜室温にて1時間、室温にて1時間攪拌した。続いて、内容物を希塩酸にて酸性にし酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥後、n−ヘキサンにて再結晶することにより目的物を2.85g得た。収率57.9%。
【0120】
(3)3−フルオロ−4−デシルオキシブロモベンゼンの合成
3−フルオロ−4−ヒドロキシブロモベンゼン50g(262mmol)、デシルブロミド69.4g(314mmol)、炭酸カリウム72.2g(524mmol)、DMF150mlを用い(1)と同様にして合成し50.4gの目的物を得た。収率58.1%。
【0121】
(4)5−(4−デシルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−ベンジルオキシピリジンの合成
窒素気流下、反応フラスコにマグネシウム3.08g(127mmol)、THF60ml、ヨウ素少量を加えた。次に、3−フルオロ−4−デシルオキシブロモベンゼン40g、THF60mlの溶液の一部を滴下し、反応を開始させ、残りの混合溶液を35〜40℃にて1時間で滴下した。滴下後、同温にて2時間反応させ冷却しグリニア試薬とした。続いて、予め窒素置換した反応フラスコに2−ベンジルオキシ−5−クロロピリジン25.2g(115mmol)、THF100ml、Ni(Ph2 P(CH2 2 PPh2 )Cl2 0.5gを用意し、予め調製したグリニア試薬を同温にて20分で滴下した。滴下後、60℃にて3時間反応させ塩化アンモニウム水溶液へ反応物を投入しトルエン−酢酸エチル=1/1にて抽出し乾燥した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することによって24.5gの目的化合物を得た。収率49%。
【0122】
(5)5−(3−フルオロ−4−デシルフェニル)−2−ヒドロキシピリジンの合成
反応フラスコに2−ベンジルオキシ−5−(3−フルオロ−4−デシルフェニル)ピリジン14.0g、THF50ml、メタノール15ml、10%パラジウム−炭素2gを加え、室温、48時間で常圧水添を行った。反応終了後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、目的化合物12.3gを得た。収率32.5%。
【0123】
(6)2−クロロ−5−(3−フルオロ−4−デシルフェニル)ピリジンの合成
反応フラスコに5−(4−デシルフェニル)−2−ヒドロキシピリジン3.27g、オキシ塩化リン8ml、ジエチルアニリン4.24gを加え、100℃にて24時間反応させた。反応終了後、冷却し氷水中へ反応物を徐々に投入し、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去して粗生成物を得、このものをカラムクロマトグラフィーを行うことによって、目的化合物を1.6g得た。収率46.5%。
【0124】
(7)2−(2−フルオロ−4−ベンジルオキシフェニル)−5−(4−デシルオキシ−3−フルオロフェニル)ピリジンの合成
2−フルオロ−4−ベンジルオキシフェニルボロン酸1.12g、(6)で得られたクロロピリジン1.5g、水酸化ナトリウム0.25g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.14gの混合物に窒素気流下、ジメトキシエタン38ml、脱気水5.5mlを加えて80℃にて一晩攪拌した。冷却後、酢酸エチル50mlを加えて熱時ろ過後、溶媒を留去しカラムクロマトグラフィーにて精製することによって目的化合物を1.55g得た。収率70.8%。
【0125】
(8)2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−デシルオキシ−3−フルオロフェニル)ピリジンの合成
(7)で得られたベンジル体1.13g、10%パラジウム−炭素0.34g、THF15ml、メタノール4mlの混合液を40℃にて40時間常圧水添を行った。反応終了後、カラムクロマトグラフィーにて精製することによって0.66gの目的物を得た。収率96.0%。
【0126】
(9)2−(3−フルオロ−4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)ピリジンの合成
5−(4−デシルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンを2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−デシルオキシ−3−フルオロフェニル)ピリジンに代えた以外は実施例1(3)と同様に操作して、目的化合物を得た。収率76.9%。
【0127】
1H−NMR(CDCl3 )δppm : 0.89 (9H,m), 1.2-1.51 (20H,m), 1.56-1.58 (3H,m), 1.84-1.87 (3H,m), 2.70-2.72 (1H,m), 4.09 (2H,t), 6.97-7.09 (3H, m), 7.33-7.39 (3H,m), 7.85-7.88 (2H,m), 8.04-8.11 (1H,m), 8.89 (1H,s)
MS(m/e): 579(M+
この化合物は53.5℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、86.6℃で等方性液体へ転移した。
【0128】
実施例26
2−{4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル}−5−(4−デシルオキシフェニル)−ピリジンの合成
実施例25と同様にして目的化合物を合成した。
【0129】
1H−NMR(CDCl3 )δppm : 0.89 (9H,m), 1.23-1.33 (20H,m), 1.57-1.58(3H,m), 1.80-1.83 (3H,m), 2.71-2.73 (1H,m), 4.01 (2H,t), 7.02 (2H,d,J=8.8Hz), 7.20 (3H,d,J=8.8Hz), 7.56 (2H,d,J=8.8Hz), 7.75 (2H,d), 7.89 (2H,d), 8.05 (2H,d,J=8.8Hz), 8.88 (1H,s)
MS(m/e): 543(M+ +H)
この化合物は105.1℃で融解し、高次のスメクティック相を経由し、135.7℃で反強誘電性液晶相を示し、146℃で等方性液体へ転移した。
【0130】
実施例27
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)−2−フルオロフェニル)−5−(4−オクチルオキシ−3−フルオロフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−オクチルオキシ−3−フルオロフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用い、また、4−ベンジルオキシベンツアミジン塩酸塩に代えて、4−ベンジルオキシ−2−フルオロベンツアミジン塩酸塩を用い実施例1と同様に目的化合物を合成した。
【0131】
1H−NMR(CDCl3 )δppm : 0.88-0.91 (9H,m), 1.23-1.36 (16H,m), 1.53-1.59 (3H,m), 1.84-1.88 (3H,m), 2.71-2.72 (1H,m), 4.10 (2H,t), 7.02-7.04 (2H,m), 7.11-7.13 (1H,m), 7.36-7.39 (2H,m), 8.17-8.22 (1H,m), 9.01 (2H,s)
MS(m/e): 552 (M+
この化合物は84℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、99℃で等方性液体へ転移した。
【0132】
実施例28
2−{4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル}−5−(4−オクチルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−オクチルオキシフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用いて、実施例1と同様に目的化合物を合成した。
【0133】
1H−NMR(CDCl3 )δppm : 0.88-0.91 (9H,m), 1.23-1.36 (16H,m), 1.53-1.59 (3H,m), 1.84-1.88 (3H,m), 2.70-2.73 (1H,m), 4.10 (2H,t), 7.04 (2H,d,J=8.8Hz), 7.21 (2H,d,J=8.9Hz), 7.55 (2H,d,J=8.9Hz), 8.51 (2H,d,J=8.8Hz), 8.96 (2H,s)
MS(m/e): 516(M+
この化合物は111℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、154℃で強誘電性液晶相を示し、さらに155℃でスメクティックA相を示し、156℃で等方性液体へ転移した。
【0134】
実施例29
2−(4−((S)−2−メチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−オクチルオキシカルボニルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0135】
(1)5−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
200mlの3つ口フラスコに{3−ジメチルアミノ−2−(4−ベンジルオキシフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩3.93g(10.0mmol)、4−ヒドロキシベンツアミジン塩酸塩1.38g(8.0mmol)、エタノール100mlを加え、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液5.79gを氷冷下にてエタノール20mlで滴下した。滴下終了後エタノール還流温度で22時間反応を行った。反応終了後、反応物を100mlの氷水に投入し、沈殿した結晶物をろ過し、ろ紙上の結晶をメタノールで洗浄し、乾燥することによって目的化合物を2.39g得た。収率84.5%。
【0136】
(2)5−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−(4−(S)−2−メチルヘプタノイルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
(1)で得られた化合物0.80g(2.26mmol)、(S)−2−メチルヘプタン酸0.76g(5.60mmol)、DCC2.00g(10.0mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.028g(0.226mmol)、THF30ml、塩化メチレン20mlの混合物を室温で6時間攪拌した。攪拌後、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物を0.93g得た。収率86.1%。
【0137】
(3)5−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−(S)−2−メチルヘプタノイルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
(2)で得られた化合物0.90g、パラジウム−炭素0.18g、THF20mlの混合物を室温にて45時間常圧水添を行った。反応終了後、カラムクロマトグラフィーにて精製することにより目的物を0.36g得た。収率50.0%。
【0138】
(4)5−(4−オクチルオキシカルボニルオキシフェニル)−2−(4−(S)−2−メチルヘプタノイルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
(3)で得られた化合物0.36g(0.923mmol)、ピリジン0.44g(5.55mmol)、THF10ml、塩化メチレン5mlの溶液に0℃にてクロロ蟻酸オクチル0.21g(1.11mmol)を滴下し、同温度で1時間攪拌した。攪拌後、0℃にて水を加えた後塩化メチレンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後カラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物を0.26g得た。収率52.0%。
【0139】
1H−NMR(CDCl3 )δppm : 0.91 (6H,m ), 1.31 (3H,d), 1.28-1.37 (12 H,m), 1.39-1.45 (4H,m), 1.61 (1H,m), 1.75-1.90 (3H,m), 2.72 (1H,m), 4.29(2H,t), 7.22 (2H,d,J=9.0Hz), 7.34 (2H,d,J=8.8Hz), 7.64 (2H,d,J=8.8Hz), 8.52 (2H,d,J=9.0Hz), 8.99 (2H,s)
MS(m/e): 546(M+
この化合物は86.5℃で融解し、反強誘電性液晶相を示し、153.5℃で等方性液体へ転移した。
【0140】
実施例30
2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−(デシルオキシカルボニル)フェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0141】
(1)5−(4−(デシルオキシカルボニル)フェニル)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
5−(4−カルボキシフェニル)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,3−ピリミジン0.80g(2.1mmol)に1,2−ジクロロエタン6ml、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.7mgを加え、還流し、これに塩化チオニル2mlを加え、20時間還流した。還流後、減圧下にて溶媒及び塩化チオニルを留去し、酸クロリドとした。続いて、1−デカノール0.398g(2.52mmol)、THF10ml、ピリジン1.00g(12.6mmol)の溶液にさきに調製した酸クロリドをTHF懸濁液として0℃にて加え、10分間攪拌した後に室温に戻して60時間攪拌した。攪拌後、水を加えて不溶物をろ過した後分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥後、カラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的物を0.37g得た。収率33.7%。
【0142】
(2)5−(4−デシルオキシカルボニル)フェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
(1)で得た、エステル0.37gをTHF7mlに加え、これにパラジウム−炭素0.11g、メタノール3mlを加えて、40℃、24時間にて常圧水添を行う。続いて、パラジウム−炭素をろ過しカラムクロマトグラフィーにて精製することによって、目的物を0.15g得た。収率48.3%。
【0143】
(3)2−(4−((S)−2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−(デシルオキシカルボニル)フェニル)−1,3−ピリミジンの合成
(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸0.22g(1.42mmol)、(2)で得たヒドロキシ体に、塩化メチレン10ml、THF3mlを加えて、DCC0.44g(2.13mmol)、4−ジメチルアミノピリジンを少量加えて1時間攪拌し、生成した塩をろ過した後、カラムクロマトグラフィーにて精製することによって目的物を50mg得た。
【0144】
1H−NMR(CDCl3 )δppm : 0.89 (9H,m ), 1.24-1.44 (19H,m), 1.33 (3 H,d), 1.55-1.63 (3H,m), 1.78-1.82 (3H,m), 2.70-2.74 (1H,m), 4.36 (2H,t),7.24 (2H,d), 7.71 (2H,d), 8.20 (2H,d), 8.54 (2H,d), 9.04 (2H,s)
MS(m/e): 573(M+ +H)
この化合物は99℃で融解して反強誘電性液晶相を示し、107℃で等方性液体へ転移した。
【0145】
比較例1
5−(4−(2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−2−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0146】
(1) 2−(4−デシルフェニル)−5−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,3−ピリミジン(化合物1c−1)の合成
窒素気流下、200mlの3つ口フラスコに{3−ジメチルアミノ−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−プロペニリデン}−ジメチルアンモニウム過塩素酸塩6.05g(14.8mmol)、4−デシルベンツアミジン塩酸塩4.0g(13.5mmol)、エタノール130mlを加え、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液7.82gを氷冷下にてエタノール20mlで滴下した。滴下終了後エタノ−ル還流温度で24時間反応を行った。反応終了後、反応物を200mlの水に投入し、沈殿した結晶物をろ過し、ろ紙上の結晶をトルエンで洗浄し、乾燥することによって目的化合物を4.50g得た。収率70%。
【0147】
(2) 2−(4−デシルフェニル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジン(化合物1c−2)の合成
300mlの4つ口フラスコに化合物1c−1を3.70g(9.5mmol)、メタノール50ml、THF100mlを加え、これにパラジウム−炭素0.74gを加え、50℃、3時間で水素化反応を行った。反応終了後、パラジウム−炭素をろ過し、カラムクロマト(シリカゲル50g、トルエン)にて精製することにより2.20gの目的化合物を得た。収率60%。
【0148】
(3) 5−(4−(2,6−ジメチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−2−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
窒素気流下、200mlの4つ口フラスコに化合物1c−2を1.74g(4.5mmol)、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸0.78g(4.9mmol)、DCC1.20g(5.8mmol)、ジクロロメタン50mlを加え、これに4−ジメチルアミノピリジン0.05g(0.4mmol)を加えて、室温で4時間反応させた。反応終了後、反応物をろ過してカラムクロマト(シリカゲル80g、トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製することによって2.22gの結晶を得た。得られた結晶をエタノ−ル40mlとクロロホルム5mlで再結晶を行うことによって目的化合物を2.22g得た。収率94%。
【0149】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.87(9H,m), 1.24(14H,m), 1.26(2H,m), 1.31(4H,m), 1.34(1H,m),1.43(2H,m), 1.67(2H,m),1.81(1H,m),2.70(3H,m), 7.24(2H,d), 7.32(2H,d), 7.63(2H,d), 8.38(2H,d,J=10.3Hz), 8.98(2H,s)
MS(m/e) : 528(M+ )
この化合物は109.8℃で融解し、Sc*相のみを示し、126.4℃で等方性液体となり、加熱時、冷却時ともに、反強誘電性液晶相は示さない。従って、実施例1と同様に2, 5−ジフェニルピリミジン骨格を持っていても、ピリミジン環の向きが異なると、好ましくない。
【0150】
比較例2
2−(4−(2−フルオロ−2−メチルヘプタノイルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0151】
実施例1(3)において(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸の代わりに(S)−2−フルオロ−2−メチルヘプタン酸を用いた以外は実施例1と同様に操作して目的化合物を得た。収率35%。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.88(3H,t), 0.92(3H,t), 1.34(20H,m), 1.55(4H,m), 1.74(3H,J=21.2Hz), 2.68(2H,t), 7.26(2H,d,J=8.9Hz), 7.34(2H,d,J=8.3Hz), 7.55(2H,d,J=8.2Hz), 8.55(2H,d,J=8.9Hz), 9.00(2H,s)
MS(m/e) : 532(M+ )
【0152】
この化合物は73.3℃で融解して強誘電性液晶相となり、109℃でスメクティックA相に転移し、117.5℃で等方性液体となり、反強誘電性液晶相は示さない。この化合物は、実施例1とキラル部の構造が異なるだけだが、このような構造修飾を行うと、反強誘電性液晶相は出現せず、好ましくない。
【0153】
比較例3
2−(4−((S)−2−メチルブチリルオキシ)フェニル)−5−(4−デシルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0154】
実施例1(3)において(S)ー2, 6ジメチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルブタン酸を用いて、実施例1と同様に合成した。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.88(3H,t), 1.05(3H,t), 1.50(17H,m), 1.65(3 H,m), 1.85(1H,m), 2.68(2H,m), 7.22(2H,d,J=8.9Hz), 7.33(2H,d,J=8.3Hz), 7.54(2H,d,J=8.3Hz), 8.52(2H,d,J=8.9Hz), 9.00(2H,s)
MS(m/e) : 472(M+ )
【0155】
この化合物は103.7℃で融解して未同定の高次のスメクティック相を示し、117℃で強誘電性液晶相(Sc*相)へ転移し、160℃でスメクティックA相となり、176℃で等方性液体となった。従って、この化合物では反強誘電性液晶相は観察されなかった。このように一般式(1)のR2 =C2 5 の化合物では反強誘電性相は出現しない。
【0156】
比較例4
2−(4−((s)−2−メチルブチリルオキシ)フェニル)−5−(4−オクチルフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0157】
実施例1(3)において、5−(4−デシルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンに代えて5−(4−オクチルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ピリミジンを用い、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸の代わりに(S)−2−メチルブタン酸を用いた以外は実施例1と同様に操作して目的化合物を得た。 収率95. 1%。
【0158】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(3H,t), 1.05(3H,t), 1.31(13H,m), 1.66(3H,m), 1.87(1H,m), 2.68(3H,m), 7.22(2H,d,J=9.0Hz), 7.34(2H,d,J=8.4Hz), 7.54(2HI,d,J=8.4Hz), 8.52(2H,d, J=9.0Hz), 9.00(2H,s)
MS(m/e) : 446(M+ +H)
【0159】
この化合物は特開昭63−170367号公報に開示された化合物であり、その明細書には116℃で融解して、カイラルスメクティックC相を示し、161℃でスメクティックAとなり、176℃で等方性液体に転移することが示されており、さらに、カイラルスメクティックC相から冷却すると119℃でスメクティックX相がモノトロピックに出現することが記載されている。そこで、本発明者らはこの化合物を合成し、カイラルスメクティックC相の高次相であるスメクティックX相に関して検討した。偏光顕微鏡下の観察では、このスメクティックX相はモザイク組織を示した。このモザイク組織は、強誘電性スメクティックC相及び反強誘電性スメクティックC相では観察されることはなく、スメクティックB相の様な、より高次の液晶相で観察される。
【0160】
さらに、ガラス基板上に導電性透明膜を付け、ポリビニルアルコールの配向膜を塗布し、上下配向膜を平行にラビングし、厚さ2.3ミクロンに組み立てた液晶セルにこの化合物を注入して、電圧を印加しながら各相転移を観察したところ、高温側からスメクティックA相、強誘電性キラルスメクティックC相が観察され、その低温側でさらに、強誘電性キラルスメクティック相の応答が観察された。従って、この化合物で観察されたスメクティックX相は、スメクティックB相系列のチルト相であり、反強誘電性液晶相ではないことが分かった。
【0161】
比較例5
2−(4−((S)−2−メチルブチリルオキシ)フェニル)−5−(4−オクチルオキシフェニル)−1,3−ピリミジンの合成
【0162】
実施例1(1)において{3−ジメチルアミノ−2−(4−デシルフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩に代えて、3−ジメチルアミノ−2−(4−オクチルオキシフェニル)プロペニリデン}ジメチルアンモニウム過塩素酸塩を用いて、実施例1(3)において、(S)−2,6−ジメチルヘプタン酸の代わりに(S)−2−メチルブタン酸を用いた以外は実施例1と同様に操作して目的化合物を得た。
【0163】
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.89(3H,t), 1.05(3H,t), 1.21(11H,m), 1.45(2H,m), 1.67(1H,m), 1.85(3H,m), 2.65(1H,m), 4.02(2H,t), 7.04(2H,d,J=8.8Hz), 7.22(2H,d,J=8.8Hz), 7.55(2H,d,J=8.8Hz), 8.51(2H,d, J=8.9Hz), 8.97(2H,s)
MS(m/e) : 460(M+ )
【0164】
この化合物は特開昭63−170367号公報に開示された化合物であり、その明細書には59℃で融解して、スメクティックX相を示し、76℃でスメクティックY相に転移し、115℃でスメクティックZ相に転移し、120℃でカイラルスメクティックC相を示し、161℃でスメクティックAとなり、176℃で等方性液体に転移することが記載されている。そこで、本発明者らはこの化合物を合成し、カイラルスメクティックC相の高次相であるスメクティックX〜Z相に関して検討した。偏光顕微鏡下の観察では、このスメクティックZ相はモザイク組織を示した。このモザイク組織は、強誘電性スメクティックC相及び反強誘電性スメクティックC相では観察されることはなく、スメクティックB相の様な、より高次の液晶相で観察される。従って、この化合物で観察されたスメクティックZ相は、スメクティックB相系列のチルト相であり、さらに、スメクティックX、Yの各相はさらに高次の相であり、反強誘電性液晶相ではないことが分かった。
【0165】
比較例6
2−(4′−((S)−2−メチルブチリルオキシ)−4−ビフェニリル)−5−ノニル−1,3−ピリミジンの合成
【0166】
実施例24において、(S)−2−メチルヘプタン酸に代えて、(S)−2−メチルブタン酸を用いた以外は実施例24と同様に操作して目的化合物を得た。総収率43.8%。
1H−NMR(CDCl3) δppm : 0.88(3H,t), 1.05(3H,t), 1.32(15H,m), 1.67(3H,m), 1.87(1H,m), 2.64(3H,m), 7.17(2H,d,J=8.8Hz), 7.67(2H,d,J=8.9Hz), 7.69(2H,d,J=8.7Hz), 8.48(2H,d, J=8.7Hz), 8.64(2H,s)
MS(m/e) : 458(M+ )
【0167】
この化合物は特開平3−12478号公報に開示された化合物である。この化合物は82.3℃で融解し、モザイク組織を持つ高次のスメクティック相を示し、98.1℃でSc*相へ転移し、152.3℃でカイラルネマティック相(コレステリック相)となり、154℃で等方性液体となる。ここで、強誘電性カイラルスメクティックC相の低温側で観察された高次のスメクティック相は、比較例4と同様にモザイク組織を示すことから、スメクティックB相等の高次相であり、反強誘電性液晶相ではない。
【0168】
【発明の効果】
本発明の液晶性化合物の多くは非常に安定な反強誘電性液晶相を示し、反強誘電性液晶を用いた電気光学素子に使用することが出来る。また、本発明の化合物は、従来知られている多くの反強誘電性液晶化合物との相溶性が良く、温度特性が改良された液晶材料を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知化合物(MHPDBC)と実施例1の化合物の相図。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003910233
    (式中、Rは炭素数4〜16の直鎖あるいは分枝を持つアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基を表し、Rは炭素数4〜10の直鎖アルキル基あるいは総炭素数が1〜3の分岐基を有する総炭素数4〜12のアルキル基を表し、Xは酸素あるいは硫黄原子を表し、
    Figure 0003910233
    で表される液晶化合物。
  2. 下記一般式(1)
    Figure 0003910233
    (式中、Rは炭素数4〜16の直鎖あるいは分枝を持つアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基を表し、Rは炭素数4〜10の直鎖アルキル基あるいは総炭素数が1〜3の分岐基を有する総炭素数4〜12のアルキル基を表し、Xは酸素あるいは硫黄原子を表し、
    Figure 0003910233
    で表される化合物を少なくとも1種含有する液晶組成物。
  3. 請求項1において、前記Rのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖で炭素数が6〜12であることを特徴とする液晶化合物。
  4. 請求項2において、前記Rのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖で炭素数が6〜12であることを特徴とする液晶組成物。
  5. 請求項1において、
    前記一般式(1)で表される液晶化合物は、
    Figure 0003910233
    (W、Wは水素原子又はフッ素原子を表す。)
    のいずれか一であることを特徴とする液晶化合物。
  6. 請求項において、
    前記一般式(1)で表される化合物は、
    Figure 0003910233
    (W、Wは水素原子又はフッ素原子を表す。)
    のいずれか一であることを特徴とする液晶組成物。
  7. 請求項1に記載の液晶化合物が、1〜80重量%で添加されている反強誘電液晶組成物。
  8. 請求項1に記載の液晶化合物が、1〜40重量%で添加されている反強誘電液晶組成物。
JP12279396A 1995-04-24 1996-04-22 液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物 Expired - Fee Related JP3910233B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12279396A JP3910233B2 (ja) 1995-04-24 1996-04-22 液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12046495 1995-04-24
JP7-120464 1995-04-24
JP12279396A JP3910233B2 (ja) 1995-04-24 1996-04-22 液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0931063A JPH0931063A (ja) 1997-02-04
JP3910233B2 true JP3910233B2 (ja) 2007-04-25

Family

ID=26458044

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12279396A Expired - Fee Related JP3910233B2 (ja) 1995-04-24 1996-04-22 液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3910233B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5065711B2 (ja) * 2007-03-05 2012-11-07 富士フイルム株式会社 トリアジン誘導体、液晶組成物、異方性材料、及びそれを用いた液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0931063A (ja) 1997-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5716542A (en) Liquid crystal compound and liquid crystal composition containing the same
US4911863A (en) Alkylbyphenyloxyacetic acid esters and their use in smectic liquid crystal materials
US4876027A (en) Optically active composition, mesomorphic compound and liquid crystal device
JPH02127A (ja) 光学活性化合物及びそれを含む液晶組成物、液晶素子
US5059345A (en) Optically active compound and chiral liquid crystal composition containing the same
JPH0669988B2 (ja) エステル化合物及びこれを含む液晶組成物
JP3910233B2 (ja) 液晶性化合物及び該化合物を含有する液晶組成物並びに反強誘電液晶組成物
US5820782A (en) Optically active compound and antiferroelectric liquid crystal composition containing the same
US5211879A (en) Ester compounds and liquid crystal compositions containing the same
JP2857230B2 (ja) 新規なエステル化合物、これを含む液晶組成物及び光スイッチング素子
JP2786513B2 (ja) エステル化合物及びこれを含む液晶組成物
JP2908529B2 (ja) 含フッ素エステル化合物及びこれを含む液晶組成物
JP3732255B2 (ja) 反強誘電性液晶化合物および該化合物を含有する反強誘電性液晶組成物
JP2975157B2 (ja) 新規なフェニルキノリン化合物及びこれを含む液晶組成物
JPH11269153A (ja) 光学活性なジフェニルピリミジン化合物
JP3016659B2 (ja) 新規な安息香酸エステル化合物及びこれを含む液晶組成物
JP2989317B2 (ja) 新規なフェニルピリジン化合物を含む液晶組成物
JP2989324B2 (ja) 新規なナフチルピリジン化合物、これを含む液晶組成物および光スイッチング素子
JP2865891B2 (ja) 新規なエステル化合物、これを含む液晶組成物および光スイッチング素子
JP2966140B2 (ja) 新規なシクロヘキサンカルボン酸エステル化合物及びこれを含む液晶組成物
JPH11100578A (ja) 新規エステル化合物、およびこれを含む液晶組成物並びに光スイッチング素子
JP3819460B2 (ja) 反強誘電性液晶化合物及び反強誘電性液晶組成物
JP3095435B2 (ja) 液晶化合物
JP2923001B2 (ja) 新規なエステル化合物、これを含む液晶組成物および光スイッチング素子
JPH04368370A (ja) 新規なフェニルキノリン化合物、これを含む液晶組成物および光スイッチング素子

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees