JP3732032B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機の回転数制御手段を備えた冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の冷蔵庫は、特開平9−126618号公報に開示されているように、回転数可変駆動型の圧縮機と、冷凍庫内温度を検出する冷凍室温度検出回路と、回転数可変駆動型の送風機とを備え、前記冷凍室温度検出回路の出力によって冷凍負荷に応じて前記圧縮機及び送風機の回転数を段階的に変化させる制御手段を備えてなる冷蔵庫がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記、特開平9−126618号公報に開示されている冷蔵庫は、負荷に応じて必要最小限の回転数で圧縮機を運転するものであり、圧縮機を必要最小限の回転数で運転したとき、冷凍庫内温度を所定の温度に冷却するには運転時間が長くかかり過ぎ、キャビネット内面に張り付けている冷凍サイクルのための凝縮パイプからの放熱の一部が、冷蔵庫内に侵入する時間も圧縮機の運転時間と同じだけ長くなり、そのため凝縮パイプからの侵入熱量が増加し、冷却効率の悪い冷蔵庫となるという課題がある。また、運転時間が長いため、騒音となる煩わしい圧縮機等の運転音を長時間聞かされるという課題もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷蔵庫は上記のような課題を解決したもので、請求項1記載の発明は、圧縮機の回転数を所定の範囲で制御する回転数制御手段と、庫内温度を所定の時間毎に検出する庫内温度検出手段とを備え、上記庫内温度検出手段にて検出された庫内温度によって、上記圧縮機の運転・停止の制御をすることにより、庫内温度が所定の設定温度に保たれる冷蔵庫において、圧縮機の起動から停止までの時間が所定の時間となるように、上記圧縮機の運転時間を制御する運転制御手段を備え、上記運転制御手段は、上記圧縮機の所定の停止時間と、冷蔵庫の冷却運転でカウントされる運転時間とから算出される上記圧縮機の運転率が所定の運転率となるように上記圧縮機の運転時間を制御することを特徴とするものであり、この構成により、圧縮機の起動から停止までの運転時間が設定された所定時間内に安定して制御され、常に圧縮機の運転率(運転・停止1サイクル中:運転時間÷(運転時間+停止時間))の値を理想の所定値に設定できるので、負荷条件にかかわらず冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0005】
また、請求項2記載の発明においては、上記運転制御手段は、上記圧縮機を所定の回転数で所定の時間だけ連続に運転し、上記庫内温度検出手段により検出された値が圧縮機を停止させる温度である停止設定温度に達していないとき、上記停止設定温度に達するまで、上記圧縮機の回転数を、所定の間隔をもつ追加運転時間毎に、上記所定の回転数から段階的に所定の上昇回転数だけ上げた圧縮機の回転数にすることを特徴とするものであり、この構成により、負荷が増大した場合でも、なるべく少ない圧縮機の回転数にて、上記所定の時間になるべく近い時間で、庫内温度が設定温度に到達でき、冷蔵庫の異なる負荷条件に対しても変わらない効率のよい運転率の制御が可能となり、負荷条件にかかわらず冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0006】
そして、請求項3記載の発明においては、上記運転制御手段は、圧縮機を運転し、上記所定の時間に対する所定範囲の時間または上記所定の時間をこえた時間で庫内温度が圧縮機を停止させる温度である停止設定温度に達した後圧縮機を停止し、その後、庫内温度が圧縮機を運転させる温度である運転設定温度以上になったとき、上記圧縮機を停止した直前の圧縮機の回転数で上記圧縮機を運転するように制御することを特徴とするものであり、この構成により、設定した上記所定の時間以上かかって停止設定温度に到達したときの圧縮機の回転数で次の運転の初めから開始でき、無駄なく効率よい圧縮機の運転率制御を考慮した運転の開始となり、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい運転ができる冷蔵庫が得られる。
【0007】
そしてまた、請求項4記載の発明においては、上記運転制御手段は、圧縮機を運転し、上記所定の時間に対する所定範囲の時間未満の時間で庫内温度が圧縮機を停止させる温度である停止設定温度に達した後圧縮機を停止し、その後、庫内温度が圧縮機を運転させる温度である運転設定温度以上になったとき、上記圧縮機を停止した直前の圧縮機の回転数より所定の回転数だけ低い低下回転数で上記圧縮機を運転するように制御することを特徴とするものであり、この構成により、設定した上記所定の時間未満で停止設定温度に到達したときの圧縮機の回転数より低い回転数で次の運転の初めから開始でき、必要以上に圧縮機能力を使うことなく、上記所定の時間に近い圧縮機の運転ができ、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率の向上をはかった冷蔵庫が得られる。
【0008】
さらに、請求項5記載の発明においては、上記所定の時間の値は切り替え手段によって異なる時間の値に切り替えられることを特徴とするものであり、この構成により、上記所定の時間を冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい範囲内で長い時間に切り替えられるようにした場合、負荷が大きくなったときの対応能力の範囲は狭まるが、必要以上に圧縮機能力を使うことなくより圧縮機の運転効率が向上し、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮したより冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0009】
さらにまた、請求項6記載の発明においては、上記停止設定温度または上記運転設定温度の値は切り替え手段によって異なる温度の値に切り替えられることを特徴とするものであり、この構成により、上記運転設定温度や停止設定温度を冷凍保存に支障のない程度の高い温度に切り替えられるようにした場合、冷却のための使用電力が少なくてすみ、外気との温度差が減少するため外気からの熱の吸収量が減ることによる熱ロスの低減ができ、さらに効率のよい省力化の進んだ冷蔵庫が得られる。
【0010】
また、請求項7記載の発明においては、扉開閉動作が行われた場合、上記切り替え手段によって切り替えられた値を通常運転の値に戻すように上記運転制御手段が制御することを特徴とするものであり、この構成により、扉開閉動作によって庫内の温度が上昇しても、通常運転に戻るため、冷蔵庫内の貯蔵物は常に貯蔵に適した温度に保たれるようになる。さらに、請求項8記載の発明においては、上記所定の運転率は70〜80%の範囲である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の冷蔵庫の実施の形態を図面とともに説明する。
【0012】
図1は本発明の冷蔵庫の実施の形態を示す制御装置のブロック図、図2は本発明の冷蔵庫の実施の形態を示す側断面図、図3は本発明の冷蔵庫の実施の形態を示す制御装置のフローチャート図である。
【0013】
図1において、1は冷蔵庫の制御装置で、制御手段2(例えば、マイクロコンピュータ)に、庫内温度検出装置3が入力されている。そして、上記制御手段2の出力は圧縮機4を動作させる駆動手段5と、庫内送風機6を動作させる駆動手段7とに各々接続されている。また、上記制御手段2には使用目的に合わせて切り替えるためのモード切替装置8や冷凍室や冷蔵室の各々の扉開閉を感知するF(冷凍)扉開閉感知装置9やR(冷蔵)扉開閉感知装置10が各々接続されている。
【0014】
図2において、11は冷蔵庫本体であり、仕切12で上部に冷凍室13、下部に冷蔵室14となるよう仕切られている。15は機械室で内部に上記圧縮機4が設けられている。16は圧縮機4の吐出パイプである。
【0015】
また、17は凝縮器で、冷蔵庫本体11の外壁内側に設けられている。18は冷却器で、下方にガラス管ヒータ等による除霜装置19が、上方に庫内送風機6が設けられている。20は圧縮機4の吸入パイプである。上記圧縮機4、吐出パイプ16、凝縮器17、キャピラリーチューブ(図示せず)、冷却器18、吸入パイプ20は一連の冷凍サイクルを構成している。
【0016】
21はエバカバーで、庫内送風機6にあるファン6aのオリフィス部21aと冷却器18を覆う断熱部21bをもっている。22はファンルーバで、ファン6aの前方に吐出穴22aを、また、ファンルーバ22の下方に吸入穴22bをもっている。エバカバー21とファンルーバ22は組み合わされてエバカバー組品23となる。また、エバカバー21とファンルーバ22とからなるエバカバー組品23は圧力室23aと、その一部から下方に通じるカバーダクト部23b(点線にて表示)を形成している。
【0017】
冷却器18で冷却された冷気は、庫内送風機6のファン6aにより、圧力室23aに送られ、吐出穴22aを通り冷凍室13へ吐き出される。その後、冷凍室13の冷気は内部を冷却し吸入穴22bを通り冷却器18の下方へもどり冷凍室13の冷気回路となる。また、圧力室23aに送られた冷気の一部は、カバーダクト部23bを通り、仕切12の一部に設けられた仕切冷気ダクト12a(点線にて表示)を通り冷蔵室14へ吐き出される。その後、冷蔵室14の冷気は内部を冷却し仕切12のモドリダクト12bを通り冷却器18の下方へもどり冷蔵室14の冷気回路となる。
【0018】
なお、冷却器18で吸収した冷蔵庫内の熱は、冷蔵庫本体11の外壁に設けられた凝縮器17により、上記外壁を通し外部へ放出される。また、冷蔵室14の温度をより適度に調整するため、仕切冷気ダクト12aの冷蔵室14へ冷気が吐き出される部分に、ダンパーを設け、その開閉で冷蔵室14の温度を調節してもよい。
【0019】
そして、冷凍室13の内部に庫内温度検出装置3が、冷蔵室14の内部にモード切替装置8が、それぞれ取り付けられている。また、冷蔵庫本体11の背面に本発明の電気回路を構成した制御装置1が取り付けられている。
【0020】
また、仕切12の前方部には冷凍室扉24の開閉を感知するためのF扉開閉感知装置9と冷蔵室扉25の開閉を感知するためのR扉開閉感知装置10が設けられている。そのため、冷凍室扉24や冷蔵室扉25が開けられるとF扉開閉感知装置9やR扉開閉感知装置10で扉の開閉が感知され、制御手段2内にその情報が時間とともに記憶される。
【0021】
つぎに、図3に示すフローチャートを参照しながら本発明の冷蔵庫の動作について説明する。
【0022】
まず、電源を投入すると、マイクロコンピュータからなる制御手段2を初期状態に戻してステップS1に移る。
【0023】
その後、ステップS1で、運転モードがモードAに設定されているかどうかを制御手段2内で判断し、モード切替装置8によって運転モードがモードAに設定されていないときは、ステップS2で通常運転モードの設定の、運転開始をする庫内温度の設定を運転設定温度T1=T1(例えばT1=−16℃)、運転開始時の基本の圧縮機回転数をN1=N1(例えばN1=2400rpm)、圧縮機の回転数変更の要否を判断する下限の連続運転時間を下限運転時間M1=M1(例えばM1=38分)、運転停止をする庫内温度の設定を停止設定温度T2=T2(例えばT2=−20℃)、圧縮機の回転数変更の要否を判断する上限の連続運転時間を上限運転時間M2=M2(例えばM2=40分)、圧縮機上限回転数をNM=NM(例えばNM=3000rpm)、圧縮機の回転数を所定回転数だけ上げて運転する時間の追加運転時間をM3=M3(例えばM3=10分)にそれぞれ設定する。
【0024】
そして、ステップS3で庫内温度検出装置3にて検出された冷凍室13内温度と運転設定温度T1とを比較して上記冷凍室13内温度が運転設定温度T1(例えばT1=−16℃)以上になっているとステップS4へ進み、ステップS4でフラッグFa=1かどうかが判断される。ステップS4でフラッグFa=1でないとき(電源につながれて初めて冷蔵庫が運転されるとき)は、ステップS5で駆動手段5にて圧縮機4を基本の圧縮機回転数N1(例えばN1=2400rpm)で駆動させる。
【0025】
その後、ステップS6でフラッグFa=1にし、ステップS7で運転時間をカウントするカウンタMaのカウントを開始する。次にステップS8で、カウンタMaがMa=M1になったかどうかを判断し、Ma=M1でないときはステップS9で、庫内温度検出装置3にて検出された冷凍室13内温度と停止設定温度T2とを比較して上記冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)より高い場合は、圧縮機はON状態のままステップS8へ進む。
【0026】
その後、冷凍室13内温度が停止設定温度T2より高い場合は、カウンタMaのカウントがMa=M1(例えばM1=38分)になるまで上記ステップS8とステップS9が繰り返され、Ma=M1になるとステップS10へ進む。
【0027】
そして、ステップS10で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になると、ステップS11で圧縮機4の現回転数を記憶回転数NR(この場合はNR=N1=2400rpm)として記憶し、ステップ12でカウンタMaのカウントを停止し、ステップS13で圧縮機4を停止し、ステップS1へ戻る。
【0028】
圧縮機4単体の運転効率から見ると、圧縮機4の必要最小限の回転数で長時間かけて冷却するほうが良い効率となるが、圧縮機4を運転して冷蔵庫本体11の外壁に設けられた凝縮器17により上記外壁を通し冷蔵庫内部の熱を外部に放熱する場合は、この放熱の一部の熱は熱伝導により冷蔵庫内部へ侵入するため、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷蔵庫全体の冷却効率から見ると、適度な時間間隔と回転数で圧縮機を運転・停止させるほうが、良い冷却効率となる。
【0029】
すなわち、上記運転で、圧縮機4の停止時間が16分で、圧縮機4の運転時間がM1=38分であった場合、圧縮機4の運転率は38÷(38+16)×100から算出されほぼ70%となる。この圧縮機4の運転率=70%という値は、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した場合、かなり冷却効率のよい値であり、負荷の増減を考慮にいれた実使用上の運転率としては70%付近の値はのぞましいものである。
【0030】
ステップS1へ戻った後、運転モードがモードAでないとき、ステップS2で上記同様に各設定値を設定し、ステップS3で冷凍室13内温度が運転設定温度T1(例えばT1=−16℃)以上になるとステップS4へ進む。ステップS4では今回はFa=1であるからステップS14へ進み、ステップS14で前回記憶の記憶回転数NR(今の場合はNR=2400rpm)で圧縮機4が運転開始される。
【0031】
そのため、庫内温度が停止設定温度(例えばT2=−20℃)に到達できた圧縮機の回転数で初めから運転でき、無駄なく効率よい運転率制御を考慮した運転の開始となり、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい運転ができる冷蔵庫が得られる。
【0032】
また、圧縮機4を運転していて、ステップS10で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)に低下しないとき、ステップS15へ進みカウンタMaがMa=M2(例えばM2=40分)になると、ステップS16で検出された冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)であるとステップS11へ進み、圧縮機4の現回転数を記憶し、以後は上記同様のステップをふむ。
【0033】
そのため、上記の場合も庫内温度が停止設定温度(例えばT2=−20℃)に到達できた圧縮機の回転数で初めから運転でき、無駄なく効率よい運転率制御を考慮した運転の開始となり、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい運転ができる冷蔵庫が得られる。
【0034】
なお、圧縮機4の回転数が基本の圧縮機回転数N1(例えばN1=2400rpm)と異なる回転数で運転していて、ステップS10またはS16で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になると、ステップS11で圧縮機4のそのときの現回転数を記憶回転数NRとして記憶し、その直後のステップS14では上記の記憶回転数NRで圧縮機は運転され、上記同様の効果が得られる。
【0035】
また、ステップS16で検出された冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になっていないと、ステップS17へ進みカウンタMaのカウントを停止し、ステップS18で圧縮機4の回転数が圧縮機上限回転数のNM(例えばNM=3000rpm)になっているかどうかを判断して、圧縮機上限回転数のNMになっていなければステップS19で現回転数に所定の上昇回転数(例えば100rpm)だけ上昇させた回転数に制御しなおし、ステップS20で圧縮機の回転数を上記所定の上昇回転数(例えば100rpm)だけ上昇させた後からの圧縮機4の運転時間を、カウンタMbにてカウント開始する。
【0036】
その後、ステップS21にてカウンタMbがMb=M3(例えばM3=10分)の追加運転時間になったかどうかを判断し、M3になっていないとステップS22へ進む。ステップS22で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になっていないとステップS21へ進み、ステップS21またはS22でカウンタMbがMb=M3に、または冷凍室13内温度が停止設定温度T2になるまで上記ステップが繰り返される。
【0037】
ステップS21にてカウンタMbがMb=M3(例えばM3=10分)になるとステップS23へ進み、ステップS23で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になっていないと、ステップS17へ戻り、カウンタMbのカウントを停止し、冷凍室13内温度が停止設定温度T2になるまで、圧縮機4の回転数が圧縮機上限回転数のNM(例えばNM=3000rpm)以下の範囲で所定の追加運転時間(例えばM3=10分)毎に所定の上昇回転数(例えば100rpm)ずつ圧縮機4の回転数を上昇させ上記ステップS17〜ステップS23のステップを繰り返される。
【0038】
上記ステップS22またはS23で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になるとステップS24へ進み、ステップS24で、上昇させた後の圧縮機4の現回転数を記憶回転数NRとして記憶し、ステップS12でカウンタMbのカウントを停止し、ステップS13で圧縮機を停止し、ステップS1へ戻る。
【0039】
そのため、なるべく少ない圧縮機の回転数にて、上記所定の時間(例えばM2=40分)になるべく近い時間で、庫内温度が停止設定温度(例えばT2=−20℃)に到達でき、冷蔵庫の異なる負荷条件にも変わらない効率よい運転率制御となり、負荷条件にかかわらず冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0040】
なお、その直後のステップS14での圧縮機4の運転開始の回転数は、上記ステップS24で記憶した上昇後の記憶回転数NRとなる。そのため、次の圧縮機4の運転はなるべく少ない圧縮機の回転数にて、上記所定の時間(例えばM2=40分)になるべく近い時間で、庫内温度が停止設定温度(例えばT2=−20℃)に到達できた圧縮機の上記回転数で初めから運転でき、無駄なく効率よい運転率制御を考慮した運転の開始となり、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した、冷却効率のよい運転ができる冷蔵庫が得られる。
【0041】
また、ステップS8においてカウンタMaがMa=M1(例えばM1=38分)までの値で、ステップS9で冷凍室13内温度が停止設定温度T2(例えばT2=−20℃)になった場合は、ステップS25でそのときの回転数に対し所定の回転数(例えば100rpm)だけ低下させた回転数の値を記憶回転数NRとして記憶し、ステップS12でカウンタMaのカウントを停止し、ステップS13で圧縮機を停止し、ステップS1へ戻る。
【0042】
なお、その直後のステップS14での圧縮機の運転開始の回転数は、上記ステップS25で記憶した低下後の上記記憶回転数NRとなる。そのため、設定した上記所定の時間(例えばM1=38分)未満で停止設定温度(例えばT2=−20℃)に到達したときの圧縮機の回転数より低い回転数で初めから運転でき、必要以上に圧縮機能力を使うことなく、上記所定の時間に近づいた圧縮機の運転ができ、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率の向上をはかった運転のできる冷蔵庫が得られる。
【0043】
また、上記S1〜S25の各ステップにて、負荷条件が異なっても上記所定の時間(例えば連続運転時間が、下限運転時間M1=38分、上限運転時間M2=40分)になるべく近い時間に最終的には収束し、なるべく少ない圧縮機の回転数にて庫内温度が設定温度(例えばT=−20℃〜ー16℃)に到達でき、冷蔵庫の異なる負荷条件にもあまり変わらない効率よい運転率制御となり、負荷条件にかかわらず冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0044】
なお、モード切替装置8によって運転モードがモードA(例えばモードA=留守番モード)に切り替えられているときは、ステップS1で運転モードがモードAに設定されているためステップS26に進み、ステップS26でモード切替装置8によって運転モードがモードAに切り替えられた後に冷凍庫扉24または冷蔵庫扉25が開かれたかどうかを制御手段2の中で判断し、扉開閉がなかった場合はステップS27へ進む。
【0045】
その後、ステップS27でモードAの設定の、運転設定温度をT1=T4(例えばT4=−14℃)、基本の圧縮機回転数をN1=N1(例えばN1=2400rpm)、下限運転時間をM1=M4(例えばM4=48分)、停止設定温度をT2=T3(例えばT3=−18℃)、上限運転時間をM2=M5(例えばM5=50分)、圧縮機上限回転数をNM=NM(例えばNM=3000rpm)、追加運転時間をM3=M3(例えばM3=10分)にそれぞれ設定し、ステップS3へ進む。その後の動きは、判断基準の各値が異なるだけで、上記S4〜S25の各ステップと同じである。
【0046】
なお、上記運転で圧縮機の停止時間が14分であり、圧縮機の運転時間が上限運転時間のM5=50分であったとすると、圧縮機の運転率は50÷(50+14)×100から算出されほぼ78%となる。この値は、冷蔵庫の扉開閉等による負荷の増大に対する対応能力範囲は狭まるが、必要以上に圧縮機能力を使うことなくより圧縮機4の運転効率が向上し、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した場合、かなり冷却効率のよい値である。現状の圧縮機による冷媒ガス式の冷凍サイクルをもつ冷蔵庫においては、圧縮機の運転率を70〜80%前後の値に設定するのが、実使用上からみてのぞましい。
【0047】
また、上記運転設定温度T1や停止設定温度T2を冷凍保存に支障のない程度の高めの温度(T1=T4=−14℃、T2=T3=−18℃)に切り替えられるようにしているため、冷却のための使用電力が少なくてすみ、外気との温度差が減少し外気からの熱の吸収量が減ることによる熱ロスが減少し、さらに効率のよい省力化の進んだ冷蔵庫が得られる。
【0048】
そして、モードAで動作中に冷凍室扉24または冷蔵室扉25が開かれた場合は、ステップS26で扉開閉があったと判断され、ステップS2へ進み、負荷の増大に備え通常運転モードへ戻るようにしてある。そのため、扉開閉動作によって庫内の温度が上昇しても、通常運転に戻るため、冷蔵庫内の貯蔵物は常に貯蔵に適した温度に保たれることになる。このとき、ステップ2では、今までの扉開閉動作があったことの情報の記憶が、制御手段2からいったん消去される。
【0049】
なお、上記圧縮機4の運転にともなって、庫内送風機6が駆動手段7にて運転され、圧縮機4の回転数に応じた適度の各々の設定回転数で庫内送風機6が運転されるように制御手段2で制御される。
【0050】
また、庫内温度検出装置3による冷凍室13内の温度検出や、停止設定温度T2や運転設定温度T1と上記検出温度との比較や、それによる圧縮機4の運転・停止のための駆動手段5の実行の判定は、カウンタMaやMbのカウントを含むカウント動作とも関連し、定期的な時間毎に実行される。
【0051】
なお、上記冷蔵庫で急速に貯蔵物を冷凍したいときは、モードAと異なる運転モードを別に設定し、圧縮機4の回転数を高速回転数(例えばN1=NR=NM=4000rpm)にするとよく、また、上記圧縮機4の回転数の増減にともなって、庫内送風機6のファン6aの回転数を最適となるように増減させたり、上記仕切冷気ダクト12aやモドリダクト12bを含む仕切冷気ダクト12aやモドリダクト12bの冷気吸込口や吐出口近く等に別に設けた、庫内冷気の循環を助ける循環送風機の回転数を上記同様に増減させたり、圧縮機等の冷却のために設けられた送風機を機械室15に別に設けて、前記送風機の回転数を上記同様に増減させると、よりいっそう冷却効率がよくなることは明白である。
【0052】
さらに、上記それぞれの回転数を冷蔵庫本体11にあるパイプや板金等の共振回転数にならないように、あらかじめ実験等で見つけ出しておき、その回転数を除いて回転数設定ができるようにすると、共振による騒音の発生や破損の防止ができ、また、それぞれの回転数でうなり音が生じるような回転数にはならないように、圧縮機や送風機の回転数を設定すると、うなり音による騒音が防止できる。
【0053】
また、冷蔵庫本体11周辺の外気温の変化に応じ、上記圧縮機上限回転数NMやそれにともなう上記各々の送風機回転数を所定の値に設定させることにより、外気温が低い場合は各々の回転数を低くし、外気温が高い場合は各々の回転数を高くして、冷却器18の目詰まりを最小限におさえ、冷却速度の対応にそなえることも可能となる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の冷蔵庫は上記のような構成であるから、請求項1記載の発明によれば、圧縮機の起動から停止までの運転時間が設定された所定時間内に安定して制御され、常に圧縮機の運転率の値を理想の所定値に設定できるので、負荷条件にかかわらず冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0055】
また、請求項2記載の発明によれば、負荷が増大した場合でも、なるべく少ない圧縮機の回転数にて、所定の時間になるべく近い時間で、庫内温度が設定温度に到達でき、冷蔵庫の異なる負荷条件に対しても変わらない効率よい運転率制御が可能となり、負荷件にかかわらず冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0056】
そして、請求項3記載の発明によれば、設定した所定の時間以上かかって停止設定温度に到達したときの圧縮機の回転数で次の運転の初めから開始でき、無駄なく効率よい圧縮機の運転率制御を考慮した運転の開始となり、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい運転ができる冷蔵庫が得られる。
【0057】
そしてまた、請求項4記載の発明によれば、設定した所定の時間未満で停止設定温度に到達したときの圧縮機の回転数より低い回転数で次の運転の初めから開始でき、必要以上に圧縮機能力を使うことなく、所定の時間に近い圧縮機の運転ができ、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率の向上をはかった冷蔵庫が得られる。
【0058】
さらに、請求項5記載の発明によれば、所定の時間を冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した冷却効率のよい範囲内で長い時間に切り替えられるようにした場合、負荷が大きくなったときの対応能力の範囲は狭まるが、必要以上に圧縮機能力を使うことなくより圧縮機の運転効率が向上し、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮したより冷却効率のよい冷蔵庫が得られる。
【0059】
さらにまた、請求項6記載の発明によれば、運転設定温度や停止設定温度を冷凍保存に支障のない程度の高い温度に切り替えられるようにした場合、冷却のための使用電力が少なくてすみ、外気との温度差が減少するため外気からの熱の吸収量が減ることによる熱ロスの低減ができ、さらに効率のよい省力化の進んだ冷蔵庫が得られる。
【0060】
また、請求項7記載の発明によれば、扉開閉動作によって庫内の温度が上昇しても、通常運転に戻るため、冷蔵庫内の貯蔵物は常に貯蔵に適した温度に保たれるようになる。さらに、請求項8記載の発明によれば、上記所定の運転率は70〜80%の範囲であるので、冷凍サイクルによる凝縮熱の侵入をも考慮した場合、冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷蔵庫の実施の形態を示す制御装置のブロック図である。
【図2】本発明の冷蔵庫の実施の形態を示す側断面図である。
【図3】本発明の冷蔵庫の実施の形態を示す制御装置のフローチャート図である。
【符号の説明】
1 制御装置
2 制御手段
3 庫内温度検出装置
4 圧縮機
8 モード切替装置

Claims (8)

  1. 圧縮機の回転数を所定の範囲で制御する回転数制御手段と、庫内温度を所定の時間毎に検出する庫内温度検出手段とを備え、前記庫内温度検出手段にて検出された庫内温度によって、前記圧縮機の運転・停止の制御をすることにより、庫内温度が所定の設定温度に保たれる冷蔵庫において、
    前記圧縮機の起動から停止までの時間が所定の時間となるように、前記圧縮機の運転時間を制御する運転制御手段を備え、
    前記運転制御手段は、前記圧縮機の所定の停止時間と、冷蔵庫の冷却運転でカウントされる運転時間とから算出される前記圧縮機の運転率が所定の運転率となるように前記圧縮機の運転時間を制御することを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記運転制御手段は、前記圧縮機を所定の回転数で所定の時間だけ連続に運転し、前記庫内温度検出手段により検出された値が圧縮機を停止させる温度である停止設定温度に達していないとき、前記停止設定温度に達するまで、前記圧縮機の回転数を、所定の間隔をもつ追加運転時間毎に、前記所定の回転数から段階的に所定の上昇回転数だけ上げた圧縮機の回転数にすることを特徴とする、請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記運転制御手段は、前記圧縮機を運転し、前記所定の時間に対する所定範囲の時間または前記所定の時間をこえた時間で庫内温度が圧縮機を停止させる温度である停止設定温度に達した後、圧縮機を停止し、その後、庫内温度が圧縮機を運転させる温度である運転設定温度以上になったとき、前記圧縮機を停止した直前の圧縮機の回転数で前記圧縮機を運転するように制御することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記運転制御手段は、前記圧縮機を運転し、前記所定の時間に対する所定範囲の時間未満の時間で庫内温度が圧縮機を停止させる温度である停止設定温度に達した後、圧縮機を停止し、その後、庫内温度が圧縮機を運転させる温度である運転設定温度以上になったとき、前記圧縮機を停止した直前の圧縮機の回転数より所定の回転数だけ低い低下回転数で前記圧縮機を運転するように制御することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記所定の時間の値は切り替え手段によって異なる時間の値に切り替えられることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の冷蔵庫。
  6. 前記停止設定温度または前記運転設定温度の値は切り替え手段によって異なる温度の値に切り替えられることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の冷蔵庫。
  7. 扉開閉動作が行われた場合、前記切り替え手段によって切り替えられた値を通常運転の値に戻すように前記運転制御手段が制御することを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の冷蔵庫。
  8. 前記所定の運転率は70〜80%の範囲である、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の冷蔵庫。
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