JP3731961B2 - ブルドーザの油圧装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブルドーザの油圧装置に関し、より詳しくはブレードリフトシリンダの作動を制御する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ブルドーザにおいては、ブレードをチルト作動させた状態、すなわちブレードの右端部もしくは左端部を下方に傾動させた状態で、このブレードを上げ操作もしくは下げ操作すると、片方のブレードリフトシリンダが容易にストロークエンドに到達し、一方のブレードリフトシリンダのみに大きな力が作用することにより、このブレードリフトシリンダを支持する構造部材(例えばラジエータガード)もしくは車体フレームに大きなねじり応力が発生するという不具合を生ずることがあった。このため、従来は、ブレードリフトシリンダを支持する構造部材を前記ねじり応力に耐えられるような強固なものにすることが要求されていた。
【0003】
なお、このような問題点に対処した関連技術として、実開平4−37650号公報においては、左右のチルトシリンダのストロークの差の値からブレードの左右の傾き角を検出し、この傾き角が許容値を越えたときにチルト制限弁を作動させ、これによりブレードと車体との干渉を回避するように構成したものが開示され、また特開平63−63830号公報においては、チルト状態のブレードが昇降範囲の限界近傍であるときに、ブレードを昇降させるためのリフトシリンダに圧送されている圧油の流量を徐々に減少させるようにし、これによってリフトシリンダがストロークエンドに達した際の衝撃を回避するように構成したものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のようにブレードリフトシリンダを支持する構造部材を強固にする方法では、ブルドーザ本体の重量が増大するとともに、コストアップが避けられないという問題点がある。
【0005】
一方、前述の各公報に開示されたものは、チルト作動時にブレードと車体との干渉を防止することを目的としたものであったり、あるいはリフトシリンダがストロークエンドに達した際の衝撃緩和を目的とするものであるために、ブレードをチルト作動させた状態で昇降操作した際に車体フレームに生じるねじり力を低減させるための本質的な解決策とはなり得ない。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、ブレードリフトシリンダの作動によって車体フレームに大きなねじり力が作用するのを防止することのできるブルドーザの油圧装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述の目的を達成するために、第1発明によるブルドーザの油圧装置は、
2本のリフトシリンダでブレードを昇降させるブルドーザの油圧装置であって、
(a)前記リフトシリンダに供給される圧油の方向を切り換えることによってそれらリフトシリンダの作動方向を切り換えるリフト操作弁、
(b)前記リフトシリンダの作動による車体フレームへのねじり力の発生条件を判定するねじり力発生条件判定手段および
(c)このねじり力発生条件判定手段からの信号を受けて、前記リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに供給される圧油を停止することによりそのリフトシリンダの作動を停止させるリフトシリンダ制御手段
を備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、ねじり力発生条件判定手段によりリフトシリンダの作動による車体フレームへのねじり力の発生条件が判定されると、この判定信号に基づきリフトシリンダ制御手段によってリフト操作弁を介してリフトシリンダに供給される圧油が停止され、これによってそのリフトシリンダの作動が停止される。こうして、例えばブレードをチルト作動させた状態でいずれか一方のリフトシリンダが先にストロークエンドに達して、ストロークエンドに達していない方のリフトシリンダのみが大きな力を発生し、このリフトシリンダの取り付け部を介して車体フレームに大きなねじり力が発生するといった不具合が発生するのを回避することができる。通常、ブルドーザのリフトシリンダにはピストンバルブが装着されていて、シリンダストロークエンドでヘッド側とボトム側との油圧経路を連結し、前述のようなねじり力を低減させるように構成されているが、ブレードのリフト速度を向上させるためにポンプ流量を増加させると、前記ピストンバルブの圧損が増大して極めて大きなねじり力を発生することとなる。本発明では、前述のようにリフトシリンダの作動を停止させることで、このようなねじり力の発生を未然に防ぐことを可能にしている。
【0009】
前記ねじり力発生条件判定手段は、いずれか一方のリフトシリンダのピストンがストロークエンドに達したことを検知するストロークエンド検知手段であり得る。
【0010】
本発明において、前記リフトシリンダ制御手段は、操作レバーの操作指示を前記リフト操作弁へ伝達するパイロット回路を遮断することにより前記リフトシリンダの作動を停止させるものとすることができる。また、このリフトシリンダ制御手段は、前記リフト操作弁から前記リフトシリンダへのメータイン回路に設置されたメータイン回路開閉弁を遮断することにより前記リフトシリンダの作動を停止させるものとしても良い。さらに、このリフトシリンダ制御手段は、電気式制御回路にあって前記リフト操作弁への作動指令信号を遮断することにより前記リフトシリンダの作動を停止させるものであっても良い。
【0011】
また、本発明において、前記ストロークエンド検知手段は、前記リフトシリンダのヨーク角を検知するヨーク角センサにてヨークの停止を検知することによりストロークエンドに達したことを検知するものであっても良いし、あるいは前記リフトシリンダに設けられるシリンダストロークセンサにてストロークエンドに達したことを検知するものであっても良いし、あるいは左右のリフトシリンダにおけるシリンダロッドの軸力差またはシリンダロッドピンの荷重差またはシリンダ取り付け部のヨークピンの荷重差を検知することによりストロークエンドに達したことを検知するものであっても良い。
【0012】
次に、第2発明によるブルドーザの油圧装置は、
2本のリフトシリンダでブレードを昇降させるブルドーザの油圧装置であって、
(a)前記リフトシリンダに供給される圧油の方向を切り換えることによってそれらリフトシリンダの作動方向を切り換えるリフト操作弁、
(b)前記リフトシリンダの作動による車体フレームへのねじり力の発生条件を判定するねじり力発生条件判定手段および
(c)このねじり力発生条件判定手段からの信号を受けて、前記リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限して前記リフトシリンダの作動を減速させるリフトシリンダ制御手段
を備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、ねじり力発生条件判定手段によりリフトシリンダの作動による車体フレームへのねじり力の発生条件が判定されると、この判定信号に基づきリフトシリンダ制御手段によってリフト操作弁を介してリフトシリンダに供給される圧油流量が制限され、これによってそのリフトシリンダの作動が減速される。こうして、例えばブレードをチルト作動させた状態でいずれか一方のリフトシリンダが先にストロークエンドに達したときに車体フレームに発生するねじり力を低減させることが可能となる。
【0014】
本発明において、前記ねじり力発生条件判定手段は、いずれか一方のリフトシリンダのピストンがストロークエンド近傍に達したことを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものであっても良いし、あるいはブレードが下降操作時にあることを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものであっても良い。このブレードの下降操作時には、シリンダの受圧面積が大きくねじり力も大きくなることから、特に有効である。
【0015】
また、このねじり力発生条件判定手段は、前記リフトシリンダのヨーク角を検知するヨーク角センサにて左右の各リフトシリンダのヨーク角差が所定値以上で、かつブレード上昇操作時にあることを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものであっても良い。さらに、左右のチルトシリンダのストローク差が所定値以上であることを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものであっても良い。
【0016】
また、本発明において、前記リフトシリンダ制御手段は、主リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに圧油を供給する管路に加えて補助リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに圧油を供給する管路を備える2ポンプシステムにあって、前記補助リフト操作弁を遮断することにより前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限するものであり得る。また、前記リフト操作弁に圧油を供給するポンプシステムをメインポンプにアシストポンプを合流させる応援ポンプシステムにあって、前記アシストポンプからメインポンプへの油圧管路に介挿される応援開閉弁を閉操作することにより前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限するものであっても良い。さらに、このリフトシリンダ制御手段は、可変容量油圧ポンプから前記リフト操作弁に圧油を供給するポンプシステムにあってその可変容量油圧ポンプの吐出油量を減少させることにより前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限するものであっても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるブルドーザの油圧装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(第1実施例)
図1に、本発明の第1実施例に係るブルドーザの側面図が示されている。本実施例のブルドーザ1においては、車体2上にボンネット3および運転席4が設けられ、車体2の前進方向の左右の各側部には、車体2を前進,後進および旋回させる履帯5が設けられている。これら履帯5は、エンジンから伝達される駆動力によって対応するスプロケット6により各履帯5毎に独立して駆動される。
【0019】
前記車体2の前方にはブレード7が配設されている。このブレード7は、左右のストレートフレーム8の先端部に支持されるとともに、これらストレートフレーム8の基端部はトラニオンを介して車体2に枢支され、これによってブレード7は車体2に対して上昇・下降可能なように支持されている。
【0020】
前記車体2の両側部前方には、ブレード7を上昇,下降させる左右一対のブレードリフトシリンダ9が設けられている。これらブレードリフトシリンダ9は、基端部が車体2に回転自在に装着されるヨーク10に支持されるとともに、他端部がブレード7の背面に枢支されている。また、ブレード7をチルト作動させるために、このブレード7と左右の各ストレートフレーム8との間にはブレードピッチシリンダ11が設けられている。
【0021】
前記車体2には、ヨーク10の回動角、言い換えればブレードリフトシリンダ9の水平面に対する角度を検知するヨーク角センサ12が設けられている。また、ブレードリフトシリンダ9には作動ストロークを検知するシリンダストロークセンサ13(図2にのみ図示する)が設けられている。
【0022】
次に、図2に示される本実施例におけるブレード操作回路の油圧回路図において、左右のブレードリフトシリンダ9,9に圧油を供給する固定容量型の油圧ポンプ20Aの吐出管路には方向制御弁(リフト操作弁)21が接続され、この油圧ポンプ20Aの吐出管路には応援用油圧ポンプ20Bの吐出管路が応援用電磁弁22を介して接続されている。また、パイロット用ポンプ23の吐出管路は操作レバー24のパイロット用制御弁25に接続されている。さらに、このパイロット用制御弁25は、リフト制御弁26を介して方向制御弁(リフト操作弁)21に接続されている。
【0023】
前記応援用電磁弁22およびリフト制御弁26はコントローラ27からの指令によって制御される。この制御を実現するために、前記コントローラ27には、ヨーク10の回動角を検知するヨーク角センサ12からのヨーク角信号およびブレードリフトシリンダ9の作動ストロークを検知するシリンダストロークセンサ13からのストローク信号等が入力される。
【0024】
図3に示されているように、前記ブレードリフトシリンダ9のピストン9aにはピストンバルブ9bが設けられている。このピストンバルブ9bは、中央部にバルブシート9cとのシート部となる傾斜面Pを有するとともに、この傾斜面Pの両側に延設される棒状部の端面Qに圧力が作用するように構成されている。このような構成のピストンバルブ9bにおいて、ピストン9aがストロークエンドを離れて作動しているときには、圧力の加わる側のボトム側もしくはヘッド側のシリンダ室の圧力がそのピストンバルブ9bの端面Qに作用し、このピストンバルブ9bの傾斜面Pがバルブシート9cに当接して油路を塞ぐまでピストンバルブ9bが移動する。一方、ピストン9aがストロークエンドに達したときには、ピストンバルブ9bの端面Qがシリンダ室の内側端面に当接することにより反対側に所定量移動して油路が開き、これによってシリンダ室のボトム側とヘッド側との差圧を減少させることによりストローク速度を減少させる。
【0025】
本実施例において、図2に示されているブレード操作回路は次のように動作する。
【0026】
操作レバー24を左に操作すると、パイロットポンプ23からのパイロット圧はパイロット用制御弁25を介してリフト制御弁26に流入する。このときリフト制御弁26はB位置にあるので、前記パイロット圧はこのリフト操作弁26を通って方向制御弁21の操作部21aに作用し、この方向制御弁21はA位置に切り換わる。これにより、油圧ポンプ20A(および応援用油圧ポンプ20B)から吐出される圧油は方向制御弁21を介してブレードリフトシリンダ9のヘッド側に流入し、ブレードリフトシリンダ9は収縮してブレード7は上昇する。
【0027】
一方、操作レバー24を右に操作すると、パイロットポンプ23からのパイロット圧はパイロット用制御弁25を介してリフト制御弁26に流入する。このときリフト制御弁26はやはりB位置にあるので、前記パイロット圧はこのリフト操作弁26を通って方向制御弁21の操作部21bに作用し、この方向制御弁21はB位置に切り換わる。これにより、油圧ポンプ20A(および応援用油圧ポンプ20B)から吐出される圧油は方向制御弁21を介してブレードリフトシリンダ9のボトム側に流入し、ブレードリフトシリンダ9は伸長してブレード7は下降する。
【0028】
このようなブレードの昇降動作において、例えばブレード7をチルト作動させた状態でいずれか一方のブレードリフトシリンダ9が先にストロークエンドに達したことがヨーク角センサ12からの信号により検知されると、コントローラ27からの指令によってリフト制御弁26がA位置に切り換えられ、これによって方向制御弁21へ供給されるパイロット圧が遮断される。この結果、方向制御弁21が中立位置に戻されてブレードリフトシリンダ9への圧油の供給が停止され、ブレード7の昇降動作が停止される。こうして、このブレードリフトシリンダ9の取り付け部を介して車体フレームに大きなねじり力が発生するのを回避することができる。
【0029】
ところで、前述のようにブレードリフトシリンダ9にはピストンバルブ9bが装着されていて、シリンダストロークエンドでヘッド側とボトム側との油圧経路が連通されることにより前述のようなねじり力を低減させるように作用するが、ブレード7のリフト速度を向上させるために応援用油圧ポンプ20Bによってポンプ流量を増加させると、前記ピストンバルブ9bの圧損が増大して極めて大きなねじり力が発生することとなる。このような問題に対して、本実施例では、前述のように一方のブレードリフトシリンダ9が先にストロークエンドに達したときに、ブレードリフトシリンダ9の作動が停止されるので、このねじり力の発生を未然に防ぐことができる。
【0030】
本実施例においては、いずれか一方のブレードリフトシリンダ9がストロークエンドに達したことを検知するのに、このブレードリフトシリンダ9のヨーク角の検知信号を用いるものとしたが、ブレードリフトシリンダ9の作動ストロークを検知するシリンダストロークセンサ13からのストローク信号により検知しても良い。また、左右のブレードリフトシリンダ9のシリンダロッドの軸力差もしくはシリンダロッドピンの荷重差もしくはシリンダ取り付け部のヨークピンの荷重差を検知することによりストロークエンドに達したことを検知するようにしても良い。
【0031】
また、本実施例においては、操作レバー24の操作指示を方向制御弁21へ伝達するパイロット回路を遮断することによりブレードリフトシリンダ9の作動を停止させるものとしたが、本実施例の変形例として、方向制御弁21からブレードリフトシリンダ9へのメータイン回路にメータイン回路開閉弁を設置し、このメータイン回路開閉弁を遮断することによりブレードリフトシリンダ9の作動を停止させるようにしても良い。また、電気式制御回路の場合には、方向制御弁21への作動指令信号を遮断することによりブレードリフトシリンダ9の作動を停止させるものとすることができる。
【0032】
(第2実施例)
本実施例においては、前記第1実施例におけるのと同様の問題点を解消するために、いずれか一方のブレードリフトシリンダ9がストロークエンドから一定範囲内に入ったときに、このブレードリフトシリンダ9に供給される圧油流量を制限するようにされている。
【0033】
図4に、第2実施例におけるブレード操作回路図が示されている。この油圧回路においては、左右のブレードリフトシリンダ9,9へ供給される圧油を制御する方向制御弁として、主方向制御弁21と補助方向制御弁31とが設けられ、主方向制御弁21へ圧油を供給するための固定容量型の油圧ポンプ20Aおよび応援用油圧ポンプ20Bが設けられる一方、補助方向制御弁31に圧油を供給するための固定容量型の油圧ポンプ30Aおよび応援用油圧ポンプ30Bが設けられている。なお、この応援用油圧ポンプ30Bの吐出管路は、応援用電磁弁32を介して油圧ポンプ30Aの吐出管路に接続されている。また、パイロット用ポンプ23の吐出管路は操作レバー24のパイロット用制御弁25に接続され、このパイロット用制御弁25は、リフト制御弁26を介して主方向制御弁21に接続されるとともに、その接続管路から分岐する分岐管路を介して補助方向制御弁31に接続されている。そして、前記分岐管路には合流制御弁33が介挿されている。
【0034】
前記応援用電磁弁22,32,リフト制御弁26および合流制御弁33はコントローラ27からの指令によって制御される。この制御を実現するために、前記コントローラ27には、ヨーク10の回動角を検知するヨーク角センサ12からのヨーク角信号,ブレードリフトシリンダ9の作動ストロークを検知するシリンダストロークセンサ13からのストローク信号および操作レバー24の操作方向を出力する操作信号出力装置(例えば圧力スイッチ,PPC弁)34からの操作方向出力信号等が入力される。
【0035】
本実施例のブレード操作回路は次のように動作する。
【0036】
操作レバー24を左に操作すると、パイロットポンプ23からのパイロット圧はパイロット用制御弁25を介してリフト制御弁26に流入する。このときリフト制御弁26はB位置にあるので、前記パイロット圧はこのリフト操作弁26を通って主方向制御弁21の操作部21aに作用し、この主方向制御弁21はA位置に切り換わり、同時に合流制御弁33はB位置にあるので、前記パイロット圧はリフト操作弁26および合流制御弁33を通って補助方向制御弁31の操作部31aに作用し、この補助方向制御弁31はA位置に切り換わる。これによって、油圧ポンプ20A(および応援用油圧ポンプ20B)から吐出される圧油は主方向制御弁21を介して、また油圧ポンプ30A(および応援用油圧ポンプ30B)から吐出される圧油は補助方向制御弁31を介して、それぞれブレードリフトシリンダ9のヘッド側に流入し、ブレードリフトシリンダ9は収縮してブレード7は上昇する。
【0037】
一方、操作レバー24を右に操作すると、パイロットポンプ23からのパイロット圧はパイロット用制御弁25を介してリフト制御弁26に流入する。このときリフト制御弁26はやはりB位置にあるので、前記パイロット圧はこのリフト操作弁26を通って主方向制御弁21の操作部21bに作用し、この主方向制御弁21はB位置に切り換わり、同時に合流制御弁33はB位置にあるので、前記パイロット圧はリフト操作弁26および合流制御弁33を通って補助方向制御弁31の操作部31bに作用し、この補助方向制御弁31はB位置に切り換わる。これにより、油圧ポンプ20A(および応援用油圧ポンプ20B)から吐出される圧油は主方向制御弁21を介して、また油圧ポンプ30A(および応援用油圧ポンプ30B)から吐出される圧油は補助方向制御弁31を介して、それぞれブレードリフトシリンダ9のボトム側に流入し、ブレードリフトシリンダ9は伸長してブレード7は下降する。
【0038】
このようなブレードの昇降動作において、シリンダストロークセンサ13からの検知信号により、ブレードリフトシリンダ9のピストン9aがストロークエンドから所定の範囲内に至ったことが検知されると、コントローラ27からの指令によって合流制御弁33がA位置に切り換えられ、これによって油圧ポンプ30A(および応援用油圧ポンプ30B)からブレードリフトシリンダ9に供給される圧油が遮断されるため、ブレードリフトシリンダ9に供給される圧油の流量が減じられてそのブレードリフトシリンダ9の作動が減速される。こうして、このブレードリフトシリンダ9の取り付け部を介して車体フレームに大きなねじり力が発生するのを回避することができる。
【0039】
本実施例においては、ブレードリフトシリンダ9のピストン9aがストロークエンドから所定の範囲内へ到達したことを、ブレードリフトシリンダ9への圧油の流量を制限するための判定条件として選定するものを説明したが、操作レバー24の操作方向を出力する操作信号出力装置34からの操作方向出力信号によりブレード7が下げ操作されているときにその下げ操作の直後から圧油の流量を制限するようにする変形例も可能である。この理由は、ブレード下げ操作時にはシリンダ受圧面積が大きいのでねじり力も大きくなるためである。この変形例の場合、更にブレード上げ操作時には、左右のヨーク角が所定値以上となることによってブレード上げ操作時のブレードリフトシリンダ9のピストン9aがストロークエンドから所定の範囲内に入ったことを検知した信号に基づき、ブレードリフトシリンダ9への圧油の流量を制限するようにするのが好ましい。このようにすれば、ブレード7が排土姿勢から上げ操作されるという頻度の高い作業形態に適用させることができ、このような作業形態においても車体フレームに加わるねじり力を確実に抑えることができる。
【0040】
また、他の変形例として、左右のブレードチルトシリンダのストローク差が生じることによりブレード7のチルト角が所定値以上となったときに、ブレードリフトシリンダ9への圧油の流量を制限するようにすることもできる。
【0041】
また、本実施例においては、ブレードリフトシリンダ9への流量制限方法として、補助方向制御弁31からブレードリフトシリンダ9への圧油の供給を停止させる方法を採用したが、図2に示されるようなブレード操作回路(応援ポンプシステム)の場合には、応援用電磁弁22を遮断することによりブレードリフトシリンダ9への圧油の供給流量を制限するようにすることができる。また、主ポンプが可変容量油圧ポンプの場合には、この油圧ポンプの吐出容量を可変調整する可変容量サーボ弁を作動させることによりブレードリフトシリンダ9への圧油の供給流量を制限する実施例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施例に係るブルドーザの側面図である。
【図2】図2は、第1実施例におけるブレード操作回路図である。
【図3】図3は、ブレードリフトシリンダの構造を示す図であって、(a)は全体図、(b)は部分拡大図、(c)はピストンバルブを示す図である。
【図4】図4は、第2実施例におけるブレード操作回路図である。
【符号の説明】
1 ブルドーザ
7 ブレード
9 ブレードリフトシリンダ
9b ピストンバルブ
10 ヨーク
11 ブレードピッチシリンダ
12 ヨーク角センサ
13 シリンダストロークセンサ
20A 油圧ポンプ
20B 応援用油圧ポンプ
21 方向制御弁(リフト操作弁),主方向制御弁
22 応援用電磁弁
23 パイロット用ポンプ
24 操作レバー
25 パイロット用制御弁
26 リフト制御弁
27 コントローラ
30A 油圧ポンプ
30B 応援用油圧ポンプ
31 補助方向制御弁
32 応援用電磁弁
33 合流制御弁
34 操作信号出力装置
Claims (16)
- 2本のリフトシリンダでブレードを昇降させるブルドーザの油圧装置であって、
(a)前記リフトシリンダに供給される圧油の方向を切り換えることによってそれらリフトシリンダの作動方向を切り換えるリフト操作弁、
(b)前記リフトシリンダの作動による車体フレームへのねじり力の発生条件を判定するねじり力発生条件判定手段および
(c)このねじり力発生条件判定手段からの信号を受けて、前記リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに供給される圧油を停止することによりそのリフトシリンダの作動を停止させるリフトシリンダ制御手段
を備えることを特徴とするブルドーザの油圧装置。 - 前記ねじり力発生条件判定手段は、いずれか一方のリフトシリンダのピストンがストロークエンドに達したことを検知するストロークエンド検知手段である請求項1に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記リフトシリンダ制御手段は、操作レバーの操作指示を前記リフト操作弁へ伝達するパイロット回路を遮断することにより前記リフトシリンダの作動を停止させるものである請求項1または2に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記リフトシリンダ制御手段は、前記リフト操作弁から前記リフトシリンダへのメータイン回路に設置されたメータイン回路開閉弁を遮断することにより前記リフトシリンダの作動を停止させるものである請求項1または2に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記リフトシリンダ制御手段は、電気式制御回路にあって前記リフト操作弁への作動指令信号を遮断することにより前記リフトシリンダの作動を停止させるものである請求項1または2に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記ストロークエンド検知手段は、前記リフトシリンダのヨーク角を検知するヨーク角センサにてヨークの停止を検知することによりストロークエンドに達したことを検知するものである請求項2〜5のうちのいずれかに記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記ストロークエンド検知手段は、前記リフトシリンダに設けられるシリンダストロークセンサにてストロークエンドに達したことを検知するものである請求項2〜5のうちのいずれかに記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記ストロークエンド検知手段は、左右のリフトシリンダにおけるシリンダロッドの軸力差またはシリンダロッドピンの荷重差またはシリンダ取り付け部のヨークピンの荷重差を検知することによりストロークエンドに達したことを検知するものである請求項2〜5のうちのいずれかに記載のブルドーザの油圧装置。
- 2本のリフトシリンダでブレードを昇降させるブルドーザの油圧装置であって、
(a)前記リフトシリンダに供給される圧油の方向を切り換えることによってそれらリフトシリンダの作動方向を切り換えるリフト操作弁、
(b)前記リフトシリンダの作動による車体フレームへのねじり力の発生条件を判定するねじり力発生条件判定手段および
(c)このねじり力発生条件判定手段からの信号を受けて、前記リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限して前記リフトシリンダの作動を減速させるリフトシリンダ制御手段
を備えることを特徴とするブルドーザの油圧装置。 - 前記ねじり力発生条件判定手段は、いずれか一方のリフトシリンダのピストンがストロークエンド近傍に達したことを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものである請求項9に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記ねじり力発生条件判定手段は、ブレードが下降操作時にあることを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものである請求項9に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記ねじり力発生条件判定手段は、前記リフトシリンダのヨーク角を検知するヨーク角センサにて左右の各リフトシリンダのヨーク角差が所定値以上で、かつブレード上昇操作時にあることを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものである請求項9に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記ねじり力発生条件判定手段は、左右のチルトシリンダのストローク差が所定値以上であることを検知することによりねじり力の発生条件を判定するものである請求項9に記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記リフトシリンダ制御手段は、主リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに圧油を供給する管路に加えて補助リフト操作弁を介して前記リフトシリンダに圧油を供給する管路を備える2ポンプシステムにあって、前記補助リフト操作弁を遮断することにより前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限するものである請求項9〜13のうちのいずれかに記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記リフトシリンダ制御手段は、前記リフト操作弁に圧油を供給するポンプシステムをメインポンプにアシストポンプを合流させる応援ポンプシステムにあって、前記アシストポンプからメインポンプへの油圧管路に介挿される応援開閉弁を閉操作することにより前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限するものである請求項9〜13のうちのいずれかに記載のブルドーザの油圧装置。
- 前記リフトシリンダ制御手段は、可変容量油圧ポンプから前記リフト操作弁に圧油を供給するポンプシステムにあってその可変容量油圧ポンプの吐出油量を減少させることにより前記リフトシリンダに供給される圧油流量を制限するものである請求項9〜13のうちのいずれかに記載のブルドーザの油圧装置。
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