JP3731808B2 - 膜材接合用熱溶着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜材同士を重ね合わせ、該重ね合わせ部の一方側から熱を加え熱溶着を行うための膜材接合用熱溶着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より各種膜構造物においては、膜材を梁・柱パイプ、鋼材または躯体などの構造支持体に対し固定し、屋根面や天井面などを構成するようにしている。例えば、図1に示されるように、梁部材の上面に左右それぞれの側の膜材を定着し実質的に屋根面が連続するようにしている。
【0003】
かかる膜定着部においては、近年、前記膜定着部の室外側面に雨仕舞いのために、本体の膜材と同様の膜材(以下、フラップ膜という。)を被せ、その両側を長手方向に沿って膜材本体に連続的に熱溶着し雨水等が浸入しないようにする方法が幾つか採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記フラップ膜の熱溶着は、裏面側(室内側)に支持面(台座面)が無い不安定な状態で外面側から熱溶着装置により熱を加えなければならず、熱溶着が不完全となりがちで、熱溶着部の剥離強度の低下を併せて雨仕舞いの機能をも低下させる傾向にある。
【0005】
そこで本発明の主たる課題は、膜材同士を重ね合わせ、該重ね合わせ面の一方面側から熱を加え熱溶着を行うに当たり、裏面側(対向面側)に支持面が存在しない不安定な条件下でも、均質な熱溶着面が得られ、剥離強度の低下を引き起こさないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決するために、膜材の溶着方法についてその手法を変えながら、具体的には熱溶着条件や熱溶着手順などを種々変えながら数多くの実験を試みた。しかし最終的に得られた結論は、熱溶着の手法を変えるよりも、熱溶着装置の当接面による圧力が膜材に対して均等に掛かるようにすることが均質な熱溶着面を得る上で最も重要であるとの知見に至った。
【0007】
その結果、前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、膜材同士を重ね合わせ、その重ね合わせ部の一方側から熱を加え膜材同士を熱溶着するための熱溶着装置において、
前記熱溶着装置は、所定温度に加熱されるとともに、熱溶着を行う前記膜材の重ね合わせ部に当接される加熱ヘッド部を備えるとともに、前記膜材同士を熱融着するに当たり、裏面側に支持面が存在しない条件の下、膜面を所定の引張力が作用した等張力面と仮定し、前記熱溶着装置から掛かる圧力を内圧に置き換えてFEM解析を行い、膜張力と内圧との釣合曲面を求め、この膜面形状を前記加熱ヘッド部の凸曲面として設定したことを特徴とする膜材接合用熱溶着装置が提供される。
【0008】
請求項2に係る本発明として、前記凸曲面は、加熱ヘッド部の長手方向および短手方向に三次元的に形成してある請求項1記載の膜材接合用熱溶着装置が提供される。
【0009】
請求項3に係る本発明として、前記凸曲面の突量は0.2〜2mmである請求項1,2いずれかに記載の膜材接合用熱溶着装置が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0011】
図1はフラップ膜が設けられる膜定着部の横断面図であり、図2はその平面図である。
【0012】
図1に示される膜定着構造では、パイプ梁材1の上面側に、定着座面を形成するために断面T字状の定着支持部材2を溶接等によって固設し、前記定着支持部材2の上面2aにおいて、先ずベースゴム3を敷設した後、左右それぞれの側において、側縁部にエッジロープ9aが取り付けられた膜材9を引込み、カバーゴム4を間に介しながら定着プレート5により前記膜材9を挟み込み、ボルト6及びナット7により締結することにより前記膜材9、9が定着されている。
【0013】
前記膜定着部に雨仕舞いのためにフラップ膜10を設けるには、前記ボルト6の先端にフラップ膜を傷つけないように保護キャップ8を被設した後、前記膜定着部を覆うように膜定着部に沿ってフラップ膜10を配設するとともに、その両側部を熱溶着装置11により長手方向に沿って膜材9に連続的に熱溶着する。
【0014】
前記フラップ膜10の熱溶着は、詳細には図3に示されるように、膜材9とフラップ膜10との熱溶着面に、好ましくは溶着媒体となる1枚のFEPフィルム12(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体フィルム)を間に介しながら外面(室外面)側から熱溶着装置11によって圧力と共に熱を所定時間加えるようにする。
【0015】
前記膜材9は、ガラス繊維織物(基布)に四フッ化エチレン樹脂を主成分とする樹脂をコーティングした膜材であり、一方、前記フラップ膜10としては、一般に前記膜材9と同種・同色の膜材料が使用される。
【0016】
他方、使用される熱溶着装置11は、図4に示されるように、人力で持ち運び可能な熱溶着装置であり、溶着装置本体13の下部側に、所定温度に加熱されるとともに、熱溶着を行う膜材の重ね合わせ部に当接される加熱ヘッド部14と、溶着装置本体13の側部に把手部15,15とを備える構造とされ、全体重量は概ね5〜10kg程度であり自重相当分の加圧を行いながら熱溶着を行うようになっている。
【0017】
前記熱溶着装置11を用いて前記フラップ膜10を膜材9に熱溶着するに当たり、熱溶着部の裏面側(室内側)には支持面は存在せず、不安定な条件下での溶着が強いられることになり、熱溶着部の剥離強度が低下する傾向にあった。
【0018】
そこで本発明では特に、図5に示されるように、前記熱溶着装置11の加熱ヘッド部14の当接面14aを凸曲面状に形成したものを作製し、この熱溶着装置11を用いて熱溶着を行うようにする。溶着温度、溶着時間等の溶着条件は、膜材の厚みや種別に応じて適宜決定するようにする。
【0019】
前記加熱ヘッド部14の当接面14aに形成される凸曲面の形状を決定するに当たっては、前記加熱ヘッド部14の当接面14aにより膜面を押圧した時、膜面にほぼ等分布の圧力が掛かる形状とするのが望ましい。したがって、図6(当接面14aの等高線図)に示されるように、加熱ヘッド部の長手方向および短手方向に三次元的に形成するのが望ましく、かつ凸曲面の突量Sは0.2〜2mmとするのが望ましい。前記突量が0.2mm未満の場合には、従来の当接面が平面である熱溶着装置との有意差が出ず剥離強度にムラが出てしまう。また、突量が2mmを超える場合には、相対的に中央部分の押圧力が高くなる傾向にあり、やはり熱溶着が不均一となる。
【0020】
より好適に前記凸曲面の形状を定める場合には、膜面を所定の引張力が作用した等張力面と仮定し、熱溶着装置11から掛かる圧力を内圧に置き換えて、有限要素法または境界要素法等のFEM解析を行い、膜張力と内圧との釣合曲面を求め、この膜面形状を前記当接面14aの凸曲面として設定するのが望ましい。また、簡便法として、シェルに関する膜応力理論式を用いても良い。
【0021】
以上のように当接面が凸曲面である熱溶着装置11を使用して通常の手順に従って、フラップ膜10の熱溶着を行うと、凸曲面が中央部分から膜面に当接するようになるため、膜材間に介在されている空気が外側に排除されるようになるとともに、膜面に対してほぼ均等の圧力を作用させるようになる。その結果、膜面に加えられる熱が均等に伝達され、かつ膜材同士を均等に溶着するようになる。
【0022】
これらのことは、フラップ膜の熱溶着のみならず、膜面の補修(パッチワーク)に用いる小型の補修用熱溶着装置においても有効であることは言うまでもない。
【0023】
【実施例】
本実施例では、従来の当接面が平面である熱溶着装置と、本発明に従って当接面を凸曲面とした熱溶着装置とを使用し、膜材同士20,21を熱溶着し図7に示されるように、片側の膜材20を反転方向に引っ張り、その際の剥離応力曲線(横軸は時間)を調べた。その結果を図8に示す。
【0024】
図8(A)は本発明に係る熱溶着装置によって熱溶着を行った試験片の試験結果であり、図8(B)は従来の熱溶着装置によって熱溶着を行った試験片の試験結果である。試験結果から明らかなように、本熱溶着装置による熱溶着片では、剥離応力曲線のギザギザが、熱溶着が均一であることから、ある一定幅内に収まり、剥離強度にムラが無いことがわかる。一方の従来型溶着装置による熱溶着片の場合には、熱溶着の不均一に起因する剥離応力曲線に大きなムラがあり、特に中央部分では熱溶着が不十分であり、結果として剥離強度が低下していることが分かる。
【0025】
また、剥離面の目視評価では、本熱溶着装置による熱溶着片の場合には基布の部分が綺麗に露出しているのに対し、従来型溶着装置による熱溶着片の場合には所々に剥離面にコーティング樹脂が散在し、熱溶着に部分的にムラがあることも確認された。
【0026】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、膜材同士を重ね合わせ、該重ね合わせ面の一方面側から熱を加え熱溶着を行うに当たり、裏面側(対向面側)に支持面が存在しない不安定な条件下でも、剥離強度の低下を引き起こさず均質な熱溶着面が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フラップ膜が設けられる膜定着部の横断面図である。
【図2】 その平面図である。
【図3】 熱溶着部の拡大断面図である。
【図4】 熱溶着装置による熱溶着要領を示す斜視図である。
【図5】 加熱ヘッド部14の拡大側面図である。
【図6】 加熱ヘッド部14の当接面を等高線図で示した図である。
【図7】 実施例における剥離試験要領を示す図である。
【図8】 実施例による試験結果を示す図で、(A)は本熱溶着装置による熱溶着片の試験結果、(B)は従来型溶着装置による熱溶着片の試験結果である。
【符号の説明】
1…パイプ梁材、2…定着支持部材、5…定着プレート、9…膜材、10…フラップ膜、11…熱溶着装置、14…加熱ヘッド部、14a…当接面
Claims (3)
- 膜材同士を重ね合わせ、その重ね合わせ部の一方側から熱を加え膜材同士を熱溶着するための熱溶着装置において、
前記熱溶着装置は、所定温度に加熱されるとともに、熱溶着を行う前記膜材の重ね合わせ部に当接される加熱ヘッド部を備えるとともに、前記膜材同士を熱融着するに当たり、裏面側に支持面が存在しない条件の下、膜面を所定の引張力が作用した等張力面と仮定し、前記熱溶着装置から掛かる圧力を内圧に置き換えてFEM解析を行い、膜張力と内圧との釣合曲面を求め、この膜面形状を前記加熱ヘッド部の凸曲面として設定したことを特徴とする膜材接合用熱溶着装置。 - 前記凸曲面は、加熱ヘッド部の長手方向および短手方向に三次元的に形成してある請求項1記載の膜材接合用熱溶着装置。
- 前記凸曲面の突量は0.2〜2mmである請求項1,2いずれかに記載の膜材接合用熱溶着装置。
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