JP2004211291A - 防水・遮水シートの接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防水・遮水シートを重ねた状態のまま上から加熱することによって接合を行うことができ、熱風などで接合面を加熱することによる融着と比べると、作業が容易であるとともに接合作業における融着の不良が発生しにくい防水・遮水シートの接合方法を提供する。
【解決手段】導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材6を、隣り合う防水・遮水シート同士2、3の端部4、5の間に介在し、防水・遮水シート3の上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シート2、3を接合する。
【選択図】 図2
【解決手段】導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材6を、隣り合う防水・遮水シート同士2、3の端部4、5の間に介在し、防水・遮水シート3の上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シート2、3を接合する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート下地などに防水層を形成する防水工法や貯水池などに遮水シートを敷設する遮水工法において、既存の下地状態に左右されることなく防水層を形成することのできる機械的固定工法に用いられる防水・遮水シートの接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防水・遮水シートのコンクリートなどからなる下地へ防水層を形成する方法として、機械的固定工法がある。
【0003】
機械的固定工法は通常、接着剤を用いていないため、下地の状態に左右されずに敷設できるとともに、局所的にしか固定されていないので、下地が水分を含んでいても下地から発生した水蒸気が排気しやすいといった利点がある。
【0004】
しかし、下地との固定の際に防水層となるシートにアンカー部材を通す貫通孔を設けなければならないために、防水の面では完全とは言い難いという問題がある。また、防水層の貫通孔をできるだけ小さくし、しかもその孔を塞いでしまうように工夫した方法として、防水シートの素材として塩化ビニルなどの合成樹脂を用い、固定プレートとしては鋼板の表面に防水シートと同質の合成樹脂を貼り付けたものを用いて、防水シートの上から防水シートと固定プレートの間に溶剤を注射針のようなもので注入し、溶剤で防水シート及び固定プレート表面の合成樹脂を溶かすことによって溶着するといった方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
この方法では、防水シートに貫通孔を開けることには違いないが、極めて小さな孔であり、しかも、溶剤を注入することによってその孔も塞ぐことができる。
【0006】
また、その他に固定プレートを熱可塑性樹脂単体で製造したものを使用したり、金属製の固定プレート本体に塩化ビニル樹脂をコーティングして、その上に重ねた同素材の塩化ビニル樹脂からなる防水シートを熱融着するといった方法も採られている。
【0007】
さらに特許文献2では上面に熱溶着材層を有する導体片を下地に固着し、その上から防水シートを重ねて防水シートの上から電磁誘導加熱することによって導体片を加熱し、熱溶着材層を融かして防水シートを熱融着するといった方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭53−31324号公報
【特許文献2】
特開平4−254649号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、塩化ビニルなどの合成樹脂からなる防水シートは、耐候性に劣るという欠点があり、長期に渡って使用すると防水シート表面にクラックを生じて、漏水の問題を引き起こす可能性が考えられ、早期に防水シートの改修を必要とするという問題がある。また、素材として熱収縮が大きく、季節の変化による寸法安定性に乏しいため、しわの発生といった外観上の問題、塩素を含んでいるために環境上の問題などもある。
【0010】
防水シートとして合成樹脂以外に良く用いられる加硫ゴムシートは、合成樹脂製のシートと比べてそのような問題は少なく、加硫ゴムシートを用いて上記のような電磁誘導加熱をつかった下地への固定が望ましい。
【0011】
本発明では加硫ゴムからなる防水シートであっても固定プレートに強固に被覆することができ、同様の素材からなる防水シートとの熱融着を可能にし、しかもゴムシートのような優れた耐候性をもった防水シートを、機械的固定工法で貫通孔を開けることなく固定することができる防水シート用固定プレート及び防水シートの固定方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1ではこのような目的を達成するために導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シートを接合することを特徴とする防水・遮水シートの接合方法である。
【0013】
また、請求項2では導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着しつつ電磁誘導加熱機を接合部に沿って移動させ、該接合部を順次熱融着してゆくことを特徴とする防水・遮水シートの接合方法としている。
【0014】
このような接合方法を採用することによって、防水・遮水シートを重ねた状態のまま上から加熱することによって接合を行うことができ、熱風などで接合面を加熱することによる融着と比べると、作業の効率がよいといった長所がある。
【0015】
請求項3では被覆材の厚みを0.05〜2.0mmとした防水・遮水シートの接合方法としている。
【0016】
固定部材に被覆する被覆材の厚みを所定の厚みとすることによって、電磁誘導加熱によって加熱し、溶融状態になった被覆材が十分に防水・遮水シート表面の凹になった部分にも流れ込み、より広い面積で融着することができるので、固定部材と防水・遮水シートとの間の接着力は高いものとなり、ひいては防水・遮水シートの下地への固定も強固なものとなる。
【0017】
請求項4では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0018】
MFRが高めで加熱時の溶融樹脂の流れがよいものを用いることによって、防水・遮水シート表面の凹になった部分への樹脂の流れも良好なものになるのでより、接着力を高めることができる。
【0019】
請求項5では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料がエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンの中のいずれかである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0020】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【0021】
請求項6では接合する防水シートの内、下地側に配置する防水・遮水シートの上に接合部材を配置した状態で、接合部材の上から防水・遮水シートも貫通してアンカー部材で下地に固定し、次いでもう一方の防水・遮水シートを重ね合せて接合する防水・遮水シートの接合方法としている。
【0022】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水・遮水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面にしたがって本発明の具体的な実施態様を説明する。図1は、本発明の防水・遮水シートの接合方法を施したところを示す断面図である。
【0024】
下地1上で隣り合う防水・遮水シート2、3の端部4、5同士の間に接合部材6を介在して重ね合わせ、融着により接合されている。まず、重ね合わせる際に下側になる防水・遮水シート2の端部4の上に接合部材6を配置して、その上に上側になる防水・遮水シート3の端部4を配置する。
【0025】
接合部材6は図3〜5に示すように導電性基材7の上下面に熱可塑性樹脂8を被覆した構造をしており、電磁誘導加熱によって導電性基材7を加熱することによって上下の熱可塑性樹脂からなる被覆材8が溶融するようになっている。接合部材6を介在して重ね合わせた上側の防水・遮水シート3の更に上から電磁誘導加熱機9を用いて、接合部材6内の導電性基材7を発熱させて被覆材8を溶融し接合部材7と上下の防水・遮水シート2、3を融着する。
【0026】
そして、端部4、5の重ね合わせた部分全部を加熱融着することになるが、図1に示すように接合部材6を介在して端部4、5を重ね合わせたところを端から順番に防水シート3の上から電磁誘導加熱機9を移動させながら順次加熱して融着していき、反対の端まで融着し終わるとその接合部については接合が完了する。
【0027】
また、図2に示すように下側になる防水シート2の端部4の上に接合部材6を配置した段階で、アンカー部材10にて下側の防水・遮水シート2と接合部材6を貫通させて下地1に打ち込み固定して、次いで上側の防水・遮水シート3を接合部材6の上に重ね合せて電磁誘導加熱機9にて接合部材6の導電性基材7を発熱させて融着するといった形態を採ることもできる。
【0028】
このような形態を採ることによって、防水・遮水シート2、3同士の接合と同時し防水・遮水シート2、3の下地1への固定を行うことができるので敷設の作業をより簡略化することができるものである。
【0029】
また防水・遮水シート2、3を下地1に固定する場合の固定数(アンカー部材10の打ち込み本数)は、下地1の状態にもより、特に決まった数があるわけではないが、防水・遮水シート2、3が風などの影響で浮き上がったりしないように十分に下地1に固定される必要があり、通常1〜4個/m2程度の範囲で均等に配置する。
【0030】
そして、接合部材6は図2に示すように防水・遮水シート2、3の端部4、5を押さえるのに便利なように細長い板状の導電性基材6の表面が熱可塑性の被覆材8で覆われた構成からなっており、電磁誘導加熱によって導電性基材6を発熱させて被覆材8を溶融して防水・遮水シート2、3と融着するものであるが、電磁誘導加熱により被覆材8を融解した後に、防水・遮水シート3上から0.05〜5.0MPa、通常は0.05〜0.5MPaの圧力で5〜60秒押さえることによって、防水・遮水シート2、3と接合部材6は融着される。5.0MPaを超えるような圧力で押さえると圧力で防水・遮水シート2、3の端部4、5が薄くなってしまったり破損したりするといった問題や、接合部材6中の導電性基材7が変形してしまうといった問題があるので好ましくない。
【0031】
本発明で用いる防水・遮水シート2、3の素材として用いられるものは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、イソプレン・イソブチレン共重合体(IIR)等が挙げられ、耐候性に優れるとともに良好なゴム弾性を有するEPDMが好ましい。
【0032】
防水・遮水シート2、3の厚みとしては、0.8〜2.5mm程度の厚みのものが用いられる。1.0mm未満であると強度的に不足し、2.5mmを超える厚みになると接合部において段差が大きくなり過ぎて外観を損ねたりシート同士接合部の浮きなどの問題が発生したりするので好ましくない。また、防水・遮水シートの表面には、20〜200μm深さの凹凸パターンを有するものを用いている。
【0033】
防水・遮水シート2、3となる加硫ゴムシートは製造工程における加硫時に帆布からなるライナーで挟持した状態で加圧加熱していることから、前記のようにシートの表面に20〜200μm程度の凹凸パターンができてしまう。よって、被覆材8と接合する場合に加熱して溶融した被覆材8が防水・遮水シート2、3表面の凹凸に十分流れ込むことができないと、高い接合強度を得ることができない。
【0034】
被覆材8として用いられるものとしては、防水・遮水シート2、3と融着が可能な熱可塑性樹脂であることが必要になり、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートなどのオレフィン樹脂やそれらを変成した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、マレイン化エチレンビニルアセテートなどの変成オレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられるが、この中でも加硫ゴムと融着したときの接着強度が大きいことからポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0035】
被覆材8の厚みは0.05〜2.0mm、より好ましくは0.05〜1.0mmの範囲とする。被覆材8の厚みをこのような範囲とすることによって、前記のように防水・遮水シートの表面に20〜200μm深さの凹凸パターンを有していたとしても被覆材8の熱可塑性樹脂が加熱して溶融したときに凹凸パターンの凹部にも十分流れ込むことができるので、接着面積が広くなったことになり接着力としては大きなもの得ることができる。
【0036】
被覆材8の厚みが0.05未満であると加熱して溶融しても防水・遮水シートの凹凸パターン内に十分流れ込むことができず接着力が小さくなってしまうことと薄すぎて強度の面で不安があるという問題が挙げられる。2.0mmを超えると通常の加熱状態では、シートとの接触面まで熱が伝わらず表面が溶融しない状態となるので好ましくない。また、厚みが1.0mmを超えた場合には、被覆材6を防水シートの凹凸パターン内に十分流れ込むだけの溶融させるのに要する加熱時間が長くなるので、より好ましくは1.0mm以下とすることが好ましいといえる。
【0037】
また、被覆材8を構成する熱可塑性樹脂は加熱して溶融したときに流れやすいものの方が防水・遮水シートの凹凸パターン内に流れ込みやすい。そこで本発明では被覆材6を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minの範囲、より好ましくは0.2〜10.0g/10minのものを用いている。被覆材6のMFRが0.1g/10min未満であると加熱時の流れが悪く防水・遮水シート表面の凹凸パターン内に流れ込むことができず接着力が小さくなってしまい、30.0g/10minを超えると加熱後の圧着によって樹脂が周囲に溢れて樹脂の厚みが薄くなるので好ましくない。
【0038】
また、導電性基材7と被覆材8とは、例えば融着や接着剤を介在するなどして固着されている。導電性基材7は、電磁誘導加熱によって加熱することのできる導体である必要があり、さらには防錆性、耐候性の高いものが好ましく、具体的には鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、溶融アルミニウムメッキ鋼板、ガルバニウム鋼板、冷間圧延ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などが挙げられる。そして形状は防水・遮水シートの端部4、5を重ね合わせた部分に介在することから通常は幅が50mmで長さが2m程度の細長い平板状を呈している。また、幅が40〜100mmで長さが15〜20m程度の屈曲可能なテープ状基材を用いることも可能である。
【0039】
この導電性基材7の厚みは使用する金属の種類によっても夫々異なるが、通常0.01〜0.3mm程度のものが用いられる。0.01mm未満であると剛性が低く接合部材の強度が不足してしまうことが挙げられ、防水・遮水シート2、3が風の負圧などで浮き上がろうとした時に破壊される可能性がある。また0.3mmを超えると加工性が乏しくなる上に重量が大きくなり、防水・遮水シート2、3上に現れる段差が大きくなり外観を損ねることになるので好ましくない。特にステンレス鋼を用いる場合は0.1〜1.0mmの厚さがもっとも好ましい。ステンレス鋼であればこの範囲で剛性も十分に得られ、また、金切りはさみで簡単に切断加工することができ、施工時の加工も容易である。
【0040】
導電性基材7と被覆材8との接着は例えば次のような方法で行う。まず金属板の脱脂処理を行う。脱脂方法は、アルカリ洗浄法、溶剤洗浄法、エマルション洗浄法、電界脱脂洗浄法などの中から、使用する金属にあわせて好適なものを選択する。次に金属の防錆、粗面化を行う。化学的方法として酸洗い法、アルカリ防錆法などがあり、物理的方法としては、プラスト法、液体ホーニング法、ウォータージェット法、サンドペーパー研磨法などがあり、状況によって1つ、あるいは2つを組み合わせて用いる。
【0041】
次工程の化成処理は、金属の種類によって異なるが、リン酸塩皮膜、クロム酸塩皮膜、シュウ酸塩皮膜、カップリング材処理皮膜を施す。そして被覆材8とをウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などを用いて接着する。被覆材8は導電性基材7と防水・遮水シート2、3と接する面にのみ配置していてもよいが、全面を覆っていても構わず、導電性基材7から被覆材8が剥離しにくくなるということでは好ましいといえる。
【0042】
また、融着する場合でも導電性基材7の表面を前記のように処理し、ホットメルト型接合材を介在して熱融着するか、導電性基材7に直接被覆材8を融着するなどが可能である。
【0043】
導電性基材7と被覆材8との間の固定強度を高めるために、図4に示すような構造をとることも可能である。導電性基材7には表裏面を貫く少なくとも一つの貫通孔11があり、導電性基材7を覆う被覆材8が貫通孔11に入り込むとともに裏面の被覆材8と一体になっており、被覆材8を導電性基材7に物理的・機械的に固定している。このような固定方法によって金属との接着性に乏しい素材でも十分に強固に固定することができるので、もちろん防水・遮水シート2、3の固定に用いることができる。
【0044】
また、それ以外にも図5に示すようなメッシュ状の導電性基材7を被覆材8でカバーしたような接合部材を用いることも可能であり、ある程度の変形の容易さを有することから、異形な下地に対しても追従しやすく施工性が良好であるということができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シートを接合することを特徴とする防水・遮水シートの接合方法である。
【0046】
このような接合方法を採用することによって、防水・遮水シートを重ねた状態のまま上から加熱することによって接合を行うことができ、熱風などで接合面を加熱することによる融着と比べると、作業の効率がよいといった長所がある。
【0047】
また、請求項2では導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着しつつ電磁誘導加熱機を接合部に沿って移動させ、該接合部を順次熱融着してゆくことを特徴とする防水・遮水シートの接合方法としている。
【0048】
請求項3では被覆材の厚みを0.05〜2.0mmとした防水・遮水シートの接合方法としている。
【0049】
固定部材に被覆する被覆材の厚みを所定の厚みとすることによって、電磁誘導加熱によって加熱し、溶融状態になった被覆材が十分に防水・遮水シート表面の凹になった部分にも流れ込み、より広い面積で融着することができるので、固定部材と防水・遮水シートとの間の接着力は高いものとなり、ひいては防水・遮水シートの下地への固定も強固なものとなる。
【0050】
請求項4では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0051】
MFRが高めで加熱時の溶融樹脂の流れがよいものを用いることによって、防水・遮水シート表面の凹になった部分への樹脂の流れも良好なものになるのでより、接着力を高めることができる。
【0052】
請求項5では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料がエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンの中のいずれかである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0053】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水・遮水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【0054】
請求項6では接合する防水・遮水シートの内、下地側に配置する防水・遮水シートの上に接合部材を配置した状態で、接合部材の上から防水・遮水シートも貫通してアンカー部材で下地に固定し、次いでもう一方の防水・遮水シートを重ね合せて接合する防水・遮水シートの接合方法としている。
【0055】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水・遮水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水・遮水シートの固定方法を実施したところの斜視断面図である。
【図2】本発明の防水・遮水シートの固定方法の別の例を示す断面図である。
【図3】接合部材の断面図である。
【図4】接合部材の別の形態を示す断面図である。
【図5】接合部材の更に別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 下地
2 防水・遮水シート
3 防水・遮水シート
4 端部
5 端部
6 接合部材
7 導電性基材
8 被覆材
9 電磁誘導加熱機
10 アンカー部材
11 貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート下地などに防水層を形成する防水工法や貯水池などに遮水シートを敷設する遮水工法において、既存の下地状態に左右されることなく防水層を形成することのできる機械的固定工法に用いられる防水・遮水シートの接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防水・遮水シートのコンクリートなどからなる下地へ防水層を形成する方法として、機械的固定工法がある。
【0003】
機械的固定工法は通常、接着剤を用いていないため、下地の状態に左右されずに敷設できるとともに、局所的にしか固定されていないので、下地が水分を含んでいても下地から発生した水蒸気が排気しやすいといった利点がある。
【0004】
しかし、下地との固定の際に防水層となるシートにアンカー部材を通す貫通孔を設けなければならないために、防水の面では完全とは言い難いという問題がある。また、防水層の貫通孔をできるだけ小さくし、しかもその孔を塞いでしまうように工夫した方法として、防水シートの素材として塩化ビニルなどの合成樹脂を用い、固定プレートとしては鋼板の表面に防水シートと同質の合成樹脂を貼り付けたものを用いて、防水シートの上から防水シートと固定プレートの間に溶剤を注射針のようなもので注入し、溶剤で防水シート及び固定プレート表面の合成樹脂を溶かすことによって溶着するといった方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
この方法では、防水シートに貫通孔を開けることには違いないが、極めて小さな孔であり、しかも、溶剤を注入することによってその孔も塞ぐことができる。
【0006】
また、その他に固定プレートを熱可塑性樹脂単体で製造したものを使用したり、金属製の固定プレート本体に塩化ビニル樹脂をコーティングして、その上に重ねた同素材の塩化ビニル樹脂からなる防水シートを熱融着するといった方法も採られている。
【0007】
さらに特許文献2では上面に熱溶着材層を有する導体片を下地に固着し、その上から防水シートを重ねて防水シートの上から電磁誘導加熱することによって導体片を加熱し、熱溶着材層を融かして防水シートを熱融着するといった方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭53−31324号公報
【特許文献2】
特開平4−254649号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、塩化ビニルなどの合成樹脂からなる防水シートは、耐候性に劣るという欠点があり、長期に渡って使用すると防水シート表面にクラックを生じて、漏水の問題を引き起こす可能性が考えられ、早期に防水シートの改修を必要とするという問題がある。また、素材として熱収縮が大きく、季節の変化による寸法安定性に乏しいため、しわの発生といった外観上の問題、塩素を含んでいるために環境上の問題などもある。
【0010】
防水シートとして合成樹脂以外に良く用いられる加硫ゴムシートは、合成樹脂製のシートと比べてそのような問題は少なく、加硫ゴムシートを用いて上記のような電磁誘導加熱をつかった下地への固定が望ましい。
【0011】
本発明では加硫ゴムからなる防水シートであっても固定プレートに強固に被覆することができ、同様の素材からなる防水シートとの熱融着を可能にし、しかもゴムシートのような優れた耐候性をもった防水シートを、機械的固定工法で貫通孔を開けることなく固定することができる防水シート用固定プレート及び防水シートの固定方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1ではこのような目的を達成するために導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シートを接合することを特徴とする防水・遮水シートの接合方法である。
【0013】
また、請求項2では導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着しつつ電磁誘導加熱機を接合部に沿って移動させ、該接合部を順次熱融着してゆくことを特徴とする防水・遮水シートの接合方法としている。
【0014】
このような接合方法を採用することによって、防水・遮水シートを重ねた状態のまま上から加熱することによって接合を行うことができ、熱風などで接合面を加熱することによる融着と比べると、作業の効率がよいといった長所がある。
【0015】
請求項3では被覆材の厚みを0.05〜2.0mmとした防水・遮水シートの接合方法としている。
【0016】
固定部材に被覆する被覆材の厚みを所定の厚みとすることによって、電磁誘導加熱によって加熱し、溶融状態になった被覆材が十分に防水・遮水シート表面の凹になった部分にも流れ込み、より広い面積で融着することができるので、固定部材と防水・遮水シートとの間の接着力は高いものとなり、ひいては防水・遮水シートの下地への固定も強固なものとなる。
【0017】
請求項4では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0018】
MFRが高めで加熱時の溶融樹脂の流れがよいものを用いることによって、防水・遮水シート表面の凹になった部分への樹脂の流れも良好なものになるのでより、接着力を高めることができる。
【0019】
請求項5では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料がエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンの中のいずれかである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0020】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【0021】
請求項6では接合する防水シートの内、下地側に配置する防水・遮水シートの上に接合部材を配置した状態で、接合部材の上から防水・遮水シートも貫通してアンカー部材で下地に固定し、次いでもう一方の防水・遮水シートを重ね合せて接合する防水・遮水シートの接合方法としている。
【0022】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水・遮水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面にしたがって本発明の具体的な実施態様を説明する。図1は、本発明の防水・遮水シートの接合方法を施したところを示す断面図である。
【0024】
下地1上で隣り合う防水・遮水シート2、3の端部4、5同士の間に接合部材6を介在して重ね合わせ、融着により接合されている。まず、重ね合わせる際に下側になる防水・遮水シート2の端部4の上に接合部材6を配置して、その上に上側になる防水・遮水シート3の端部4を配置する。
【0025】
接合部材6は図3〜5に示すように導電性基材7の上下面に熱可塑性樹脂8を被覆した構造をしており、電磁誘導加熱によって導電性基材7を加熱することによって上下の熱可塑性樹脂からなる被覆材8が溶融するようになっている。接合部材6を介在して重ね合わせた上側の防水・遮水シート3の更に上から電磁誘導加熱機9を用いて、接合部材6内の導電性基材7を発熱させて被覆材8を溶融し接合部材7と上下の防水・遮水シート2、3を融着する。
【0026】
そして、端部4、5の重ね合わせた部分全部を加熱融着することになるが、図1に示すように接合部材6を介在して端部4、5を重ね合わせたところを端から順番に防水シート3の上から電磁誘導加熱機9を移動させながら順次加熱して融着していき、反対の端まで融着し終わるとその接合部については接合が完了する。
【0027】
また、図2に示すように下側になる防水シート2の端部4の上に接合部材6を配置した段階で、アンカー部材10にて下側の防水・遮水シート2と接合部材6を貫通させて下地1に打ち込み固定して、次いで上側の防水・遮水シート3を接合部材6の上に重ね合せて電磁誘導加熱機9にて接合部材6の導電性基材7を発熱させて融着するといった形態を採ることもできる。
【0028】
このような形態を採ることによって、防水・遮水シート2、3同士の接合と同時し防水・遮水シート2、3の下地1への固定を行うことができるので敷設の作業をより簡略化することができるものである。
【0029】
また防水・遮水シート2、3を下地1に固定する場合の固定数(アンカー部材10の打ち込み本数)は、下地1の状態にもより、特に決まった数があるわけではないが、防水・遮水シート2、3が風などの影響で浮き上がったりしないように十分に下地1に固定される必要があり、通常1〜4個/m2程度の範囲で均等に配置する。
【0030】
そして、接合部材6は図2に示すように防水・遮水シート2、3の端部4、5を押さえるのに便利なように細長い板状の導電性基材6の表面が熱可塑性の被覆材8で覆われた構成からなっており、電磁誘導加熱によって導電性基材6を発熱させて被覆材8を溶融して防水・遮水シート2、3と融着するものであるが、電磁誘導加熱により被覆材8を融解した後に、防水・遮水シート3上から0.05〜5.0MPa、通常は0.05〜0.5MPaの圧力で5〜60秒押さえることによって、防水・遮水シート2、3と接合部材6は融着される。5.0MPaを超えるような圧力で押さえると圧力で防水・遮水シート2、3の端部4、5が薄くなってしまったり破損したりするといった問題や、接合部材6中の導電性基材7が変形してしまうといった問題があるので好ましくない。
【0031】
本発明で用いる防水・遮水シート2、3の素材として用いられるものは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、イソプレン・イソブチレン共重合体(IIR)等が挙げられ、耐候性に優れるとともに良好なゴム弾性を有するEPDMが好ましい。
【0032】
防水・遮水シート2、3の厚みとしては、0.8〜2.5mm程度の厚みのものが用いられる。1.0mm未満であると強度的に不足し、2.5mmを超える厚みになると接合部において段差が大きくなり過ぎて外観を損ねたりシート同士接合部の浮きなどの問題が発生したりするので好ましくない。また、防水・遮水シートの表面には、20〜200μm深さの凹凸パターンを有するものを用いている。
【0033】
防水・遮水シート2、3となる加硫ゴムシートは製造工程における加硫時に帆布からなるライナーで挟持した状態で加圧加熱していることから、前記のようにシートの表面に20〜200μm程度の凹凸パターンができてしまう。よって、被覆材8と接合する場合に加熱して溶融した被覆材8が防水・遮水シート2、3表面の凹凸に十分流れ込むことができないと、高い接合強度を得ることができない。
【0034】
被覆材8として用いられるものとしては、防水・遮水シート2、3と融着が可能な熱可塑性樹脂であることが必要になり、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートなどのオレフィン樹脂やそれらを変成した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、マレイン化エチレンビニルアセテートなどの変成オレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられるが、この中でも加硫ゴムと融着したときの接着強度が大きいことからポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0035】
被覆材8の厚みは0.05〜2.0mm、より好ましくは0.05〜1.0mmの範囲とする。被覆材8の厚みをこのような範囲とすることによって、前記のように防水・遮水シートの表面に20〜200μm深さの凹凸パターンを有していたとしても被覆材8の熱可塑性樹脂が加熱して溶融したときに凹凸パターンの凹部にも十分流れ込むことができるので、接着面積が広くなったことになり接着力としては大きなもの得ることができる。
【0036】
被覆材8の厚みが0.05未満であると加熱して溶融しても防水・遮水シートの凹凸パターン内に十分流れ込むことができず接着力が小さくなってしまうことと薄すぎて強度の面で不安があるという問題が挙げられる。2.0mmを超えると通常の加熱状態では、シートとの接触面まで熱が伝わらず表面が溶融しない状態となるので好ましくない。また、厚みが1.0mmを超えた場合には、被覆材6を防水シートの凹凸パターン内に十分流れ込むだけの溶融させるのに要する加熱時間が長くなるので、より好ましくは1.0mm以下とすることが好ましいといえる。
【0037】
また、被覆材8を構成する熱可塑性樹脂は加熱して溶融したときに流れやすいものの方が防水・遮水シートの凹凸パターン内に流れ込みやすい。そこで本発明では被覆材6を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minの範囲、より好ましくは0.2〜10.0g/10minのものを用いている。被覆材6のMFRが0.1g/10min未満であると加熱時の流れが悪く防水・遮水シート表面の凹凸パターン内に流れ込むことができず接着力が小さくなってしまい、30.0g/10minを超えると加熱後の圧着によって樹脂が周囲に溢れて樹脂の厚みが薄くなるので好ましくない。
【0038】
また、導電性基材7と被覆材8とは、例えば融着や接着剤を介在するなどして固着されている。導電性基材7は、電磁誘導加熱によって加熱することのできる導体である必要があり、さらには防錆性、耐候性の高いものが好ましく、具体的には鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、溶融アルミニウムメッキ鋼板、ガルバニウム鋼板、冷間圧延ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などが挙げられる。そして形状は防水・遮水シートの端部4、5を重ね合わせた部分に介在することから通常は幅が50mmで長さが2m程度の細長い平板状を呈している。また、幅が40〜100mmで長さが15〜20m程度の屈曲可能なテープ状基材を用いることも可能である。
【0039】
この導電性基材7の厚みは使用する金属の種類によっても夫々異なるが、通常0.01〜0.3mm程度のものが用いられる。0.01mm未満であると剛性が低く接合部材の強度が不足してしまうことが挙げられ、防水・遮水シート2、3が風の負圧などで浮き上がろうとした時に破壊される可能性がある。また0.3mmを超えると加工性が乏しくなる上に重量が大きくなり、防水・遮水シート2、3上に現れる段差が大きくなり外観を損ねることになるので好ましくない。特にステンレス鋼を用いる場合は0.1〜1.0mmの厚さがもっとも好ましい。ステンレス鋼であればこの範囲で剛性も十分に得られ、また、金切りはさみで簡単に切断加工することができ、施工時の加工も容易である。
【0040】
導電性基材7と被覆材8との接着は例えば次のような方法で行う。まず金属板の脱脂処理を行う。脱脂方法は、アルカリ洗浄法、溶剤洗浄法、エマルション洗浄法、電界脱脂洗浄法などの中から、使用する金属にあわせて好適なものを選択する。次に金属の防錆、粗面化を行う。化学的方法として酸洗い法、アルカリ防錆法などがあり、物理的方法としては、プラスト法、液体ホーニング法、ウォータージェット法、サンドペーパー研磨法などがあり、状況によって1つ、あるいは2つを組み合わせて用いる。
【0041】
次工程の化成処理は、金属の種類によって異なるが、リン酸塩皮膜、クロム酸塩皮膜、シュウ酸塩皮膜、カップリング材処理皮膜を施す。そして被覆材8とをウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などを用いて接着する。被覆材8は導電性基材7と防水・遮水シート2、3と接する面にのみ配置していてもよいが、全面を覆っていても構わず、導電性基材7から被覆材8が剥離しにくくなるということでは好ましいといえる。
【0042】
また、融着する場合でも導電性基材7の表面を前記のように処理し、ホットメルト型接合材を介在して熱融着するか、導電性基材7に直接被覆材8を融着するなどが可能である。
【0043】
導電性基材7と被覆材8との間の固定強度を高めるために、図4に示すような構造をとることも可能である。導電性基材7には表裏面を貫く少なくとも一つの貫通孔11があり、導電性基材7を覆う被覆材8が貫通孔11に入り込むとともに裏面の被覆材8と一体になっており、被覆材8を導電性基材7に物理的・機械的に固定している。このような固定方法によって金属との接着性に乏しい素材でも十分に強固に固定することができるので、もちろん防水・遮水シート2、3の固定に用いることができる。
【0044】
また、それ以外にも図5に示すようなメッシュ状の導電性基材7を被覆材8でカバーしたような接合部材を用いることも可能であり、ある程度の変形の容易さを有することから、異形な下地に対しても追従しやすく施工性が良好であるということができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シートを接合することを特徴とする防水・遮水シートの接合方法である。
【0046】
このような接合方法を採用することによって、防水・遮水シートを重ねた状態のまま上から加熱することによって接合を行うことができ、熱風などで接合面を加熱することによる融着と比べると、作業の効率がよいといった長所がある。
【0047】
また、請求項2では導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着しつつ電磁誘導加熱機を接合部に沿って移動させ、該接合部を順次熱融着してゆくことを特徴とする防水・遮水シートの接合方法としている。
【0048】
請求項3では被覆材の厚みを0.05〜2.0mmとした防水・遮水シートの接合方法としている。
【0049】
固定部材に被覆する被覆材の厚みを所定の厚みとすることによって、電磁誘導加熱によって加熱し、溶融状態になった被覆材が十分に防水・遮水シート表面の凹になった部分にも流れ込み、より広い面積で融着することができるので、固定部材と防水・遮水シートとの間の接着力は高いものとなり、ひいては防水・遮水シートの下地への固定も強固なものとなる。
【0050】
請求項4では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0051】
MFRが高めで加熱時の溶融樹脂の流れがよいものを用いることによって、防水・遮水シート表面の凹になった部分への樹脂の流れも良好なものになるのでより、接着力を高めることができる。
【0052】
請求項5では、被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料がエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンの中のいずれかである防水・遮水シートの接合方法としている。
【0053】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水・遮水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【0054】
請求項6では接合する防水・遮水シートの内、下地側に配置する防水・遮水シートの上に接合部材を配置した状態で、接合部材の上から防水・遮水シートも貫通してアンカー部材で下地に固定し、次いでもう一方の防水・遮水シートを重ね合せて接合する防水・遮水シートの接合方法としている。
【0055】
これらの熱可塑性樹脂材料を用いることによって、加硫ゴムとの融着したときの接着力が高く、防水・遮水シートをより強固に下地に固定することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水・遮水シートの固定方法を実施したところの斜視断面図である。
【図2】本発明の防水・遮水シートの固定方法の別の例を示す断面図である。
【図3】接合部材の断面図である。
【図4】接合部材の別の形態を示す断面図である。
【図5】接合部材の更に別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 下地
2 防水・遮水シート
3 防水・遮水シート
4 端部
5 端部
6 接合部材
7 導電性基材
8 被覆材
9 電磁誘導加熱機
10 アンカー部材
11 貫通孔
Claims (6)
- 導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着することによって防水・遮水シートを接合することを特徴とする防水・遮水シートの接合方法。
- 導電性基材に熱可塑性素材からなる被覆材を積層した接合部材を、隣り合う防水・遮水シート同士の間に介在し、防水・遮水シートの上から電磁誘導加熱にて導電性基材を加熱して被覆材を溶融させ防水・遮水シートと融着しつつ電磁誘導加熱機を接合部に沿って移動させ、該接合部を順次熱融着してゆくことを特徴とする防水・遮水シートの接合方法。
- 被覆材の厚みを0.05〜2.0mmとした請求項1記載の防水・遮水シートの接合方法。
- 被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が0.1〜30.0g/10minである請求項1または2記載の防水シートの接合方法。
- 被覆材を構成する熱可塑性樹脂材料がエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンの中のいずれかである請求項1〜3記載の防水・遮水シートの接合方法。
- 接合する防水・遮水シートの内、下地側に配置する防水・遮水シートの上に接合部材を配置した状態で、接合部材の上から防水・遮水シートも貫通してアンカー部材で下地に固定し、次いでもう一方の防水・遮水シートを重ね合せて接合する請求項1〜4記載の防水・遮水シートの接合方法。
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KR20060114809A (ko) * | 2005-05-03 | 2006-11-08 | 최기석 | 전자기유도가열을 이용한 방수시트 시공방법 및 이를 위한방수시트 접합장치 |
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2002
- 2002-12-26 JP JP2002378567A patent/JP2004211291A/ja active Pending
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