JP3731497B2 - 半導体装置及びその作製方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビヤホールやコンタクトホール等の接続孔に特徴を有する半導体装置及びその作製方法、更に詳しくは、所謂タングステンブランケットCVD法によって形成される接続孔の部分に特徴を有する半導体装置及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のVLSIやULSI等に見られるように半導体装置の高集積化及び高性能化が進むに伴い、半導体装置内で配線部分の占める割合が増大する傾向にある。それ故、半導体素子面積の増加を防止するために多層配線が必須の技術となっている。半導体装置においては、配線材料が埋め込まれたビアホールが多層配線層間を接続するために形成されている。あるいは又、配線材料が埋め込まれたコンタクトホールが、半導体基板に形成された不純物拡散領域と上層導体層とを接続するために形成されている。
【0003】
次世代以降の超々LSI等の半導体集積回路においては、その微細化、高集積化が著しく進められる。そのため、ビヤホールやコンタクトホール(以下、これらを総称して接続孔ともいう)等の開口径は、例えば0.35μmというように益々小さくなりつつある。このように開口径が小さくなるに従い、従来のアルミニウムあるいはアルミニウム合金(以下、Al系合金という)を用いたスパッタ法では、段差被覆性(ステップカバレッジ)の点から、高信頼性を有する接続孔を形成することが不可能になってきている。
【0004】
半導体基板に形成された不純物拡散領域、各種電極あるいは下層配線層(以下、これらを総称して下層導体層という場合がある)上に絶縁層を形成し、かかる絶縁層に設けられた開口部内に導電性材料を埋め込み、微細な接続孔を形成する技術として、所謂ブランケットCVD法が注目されている。具体的には、ブランケットCVD法とは、例えば下層導体層上に形成された絶縁層上及びかかる絶縁層に形成された開口部内に、例えばタングステンから成るタングステン層を化学気相析出法(CVD法)にて堆積させた後、絶縁層上に形成されたタングステン層をエッチバックして除去することによって、開口部の内部にメタルプラグが形成された接続孔を完成させる方法である。尚、このような方法を、以下、タングステンブランケットCVD法と呼ぶ。
【0005】
タングステンブランケットCVD法でタングステン層を形成する場合、タングステン層の下に密着層を形成する必要がある。その理由は、タングステンブランケットCVD法で形成されるタングステン層はステップカバレッジには優れるものの、絶縁層に対する密着性が乏しいからである。また、タングステン層を形成するための原料ガスであるWF6といった金属フッ化物ガスが下層導体層を浸食することを防止する必要もある。更に、ブランケットCVD法によるタングステン層の形成は比較的高温で行われるため、下層導体層に対するバリヤ性を高める必要もあるからである。
【0006】
以上の理由から、Ti層/TiN層やTi層/TiON層等から成る密着層をタングステン層と絶縁層との間に形成する必要がある。この場合、Ti層の上にTiN層又はTiON層を形成する。
【0007】
現在、スパッタ法によって密着層を形成している。密着層をスパッタ法にて形成するとき、半導体基板を押え治具にて基板支持台上に固定する必要がある。押え治具は、通常、半導体基板のエッジ部分を被覆するような状態で半導体基板を押える。従って、押え治具にて押えられた部分の半導体基板上には密着層が形成されない。スパッタ法にて密着層を形成した後の半導体基板の模式的な平面図を図10の(A)に示す。図中、参照番号100は半導体基板、参照番号102は密着層である。また、密着層が形成されない半導体基板の領域に斜線を付した。
【0008】
タングステンブランケットCVD法でタングステン層を形成する場合、密着層が形成されていない絶縁層の領域にタングステン層が形成されると、かかる領域に形成されたタングステン層は絶縁層から剥離し易い。そのため、タングステン層を形成する際、被覆治具にて密着層が形成されていない絶縁層の領域を被覆する。この被覆治具は、密着層が形成されていない絶縁層の領域だけでなく、密着層が形成された絶縁層の一部分をも被覆する。この状態を図10の(B)の模式的な平面図に示す。図中、参照番号104は被覆治具である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような被覆治具を用いて、タングステンブランケットCVD法にてタングステン層を形成するとき、被覆治具によって被覆された部分の密着層が絶縁層から剥離するという問題がある。この問題は、以下に説明する現象に起因すると考えられる。
【0010】
即ち、タングステンブランケットCVD法においては、先ず、原料ガスとして低圧のWF6及びSiH4を用い、SiH4の還元反応を利用して、絶縁層上及び開口部内にタングステンの核を形成する。尚、この工程(核形成段階と呼ぶ)は、密着層上のタングステン層の膜厚均一性を改善するために行われる。核形成段階においては、被覆治具で被覆されていない密着層上にタングステンの核が充分形成される。然るに、原料ガスの圧力が低圧であるため、被覆治具で被覆されている密着層上には原料ガスが浸入し難い。その結果、被覆治具で被覆されている密着層上にはタングステンの核が形成されないか、僅かしか形成されず、密着層が露出した状態となる。
【0011】
核形成工程に続き、原料ガスとして高圧のWF6及びH2を用い、H2の還元反応を利用して、絶縁層上及び開口部内にタングステン層を形成する。この工程を高速成長段階と呼ぶ。被覆治具で被覆されていないタングステンの核が充分形成された領域においては、WF6は直ちにH2にて還元され、タングステン層が形成される。一方、原料ガスの圧力が高圧であるため、被覆治具で被覆されている密着層上にも原料ガスが浸入する。
【0012】
ところが、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、密着層を構成するTiN層あるいはTiON層中を拡散し、密着層を構成するTi層中のTiと反応し、TiFXが生成される。かかるTiFXの生成の結果、Ti層とTiN層若しくはTiON層との間で層間剥離が生じ、その結果、密着層が絶縁層から剥離するという問題がある。このようなメカニズムを模式的に拡大された一部断面図である図11に示す。尚、図11において、被覆治具104と密着層の表面との間の隙間を誇張して描いた。
【0013】
現在、このような密着層の剥離に対処するために、スパッタ法にて密着層を形成した後、タングステンブランケットCVD法を実施する前に、窒素ガス雰囲気下、約900゜C、30秒間のRTA(Rapid Thermal Annealing)処理を行っている。このRTA処理を行うことによって、Ti層中のTiが反応してTiNとなり、あるいはTiN層若しくはTiON層がWF6若しくはFの拡散を抑制することができる。
【0014】
しかしながら、かかるRTA処理時、用いる絶縁層の種類によっては、密着層にクラックが生じるという問題がある。また、下層導体層がAl系合金から成る場合、Al系合金が溶融するために、かかるRTA処理を行えないという問題もある。更には、かかるRTA処理を行うと、接続孔と下層導体層との間のコンタクト抵抗が増加したり、接続孔と下層導体層のコンタクトが非オーミック性を示すという問題もある。
【0015】
従って、本発明の目的は、メタルプラグの形成時、絶縁層と密着層との間に密着性が低下することのない構造を有する半導体装置及びその作製方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る半導体装置は、基体に形成された下層導体層と、下層導体層を被覆する絶縁層と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層とを電気的に接続するための絶縁層内に形成された接続孔を有する。そして、接続孔は、接続孔の少なくとも底面に形成されたTiN又はTiONから成る単層の密着層と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグとから成ることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様に係る半導体装置においては、下層導体層は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成することができる。この場合、下層導体層上にはTiN、TiON又はTiWから成る導電層が形成されていることが望ましい。
【0018】
本発明の第1の態様に係る半導体装置を作製するための、本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法は、
(イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)絶縁層上及び開口部内にTiN又はTiONから成る単層の密着層を形成する工程と、
(ハ)密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ニ)絶縁層上のタングステン層及び密着層を除去して、開口部内にタングステンプラグ及び密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする。
【0019】
本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法においては、前記(イ)の工程以前に、下層導体層の上にTiN、TiON又はTiWから成る導電層を形成する工程を含ませることができる。また、密着層をスパッタ法にて形成することが望ましい。
【0020】
本発明の第1の態様に係る半導体装置を作製するための、本発明の第2の態様に係る半導体装置の作製方法は、
(イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、この下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)絶縁層上及び開口部内に、アルゴンガス雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて厚さ6nm以下の第1の密着層を堆積させる工程と、
(ハ)次いで、第1の密着層上に、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて第2の密着層を堆積させ、併せて第1の密着層を窒化し、以って単層化された密着層を形成する工程と、
(ニ)この単層化された密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ホ)絶縁層上のタングステン層及び単層化された密着層を除去して、開口部内にタングステンプラグ及び単層化された密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする。ここで、第1の密着層の厚さは、絶縁層上での厚さである。
【0021】
この第2の態様に係る半導体装置の作製方法においては、下層導体層は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成することができる。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る半導体装置は、基体に形成された下層導体層と、下層導体層を被覆する絶縁層と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層とを電気的に接続するための絶縁層内に形成された接続孔を有する。そして、接続孔は、接続孔の少なくとも底面に形成されたチタン系材料から成る第1の密着層と、第1の密着層上に形成された第2の密着層と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグとから成ることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の態様に係る半導体装置においては、第1の密着層は、下からTi層/TiN層又はTi層/TiON層から構成され、第2の密着層はタングステン又はシリコンから成ることが望ましい。あるいは又、別の形態においては、第1の密着層は、TiON単層又は下からTi層/TiON層の2層から構成され、第2の密着層はTiNから成ることが望ましい。
【0024】
本発明の第2の態様に係る半導体装置を作製するための、本発明の第3の態様に係る半導体装置の作製方法は、
(イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)開口部の少なくとも底部に第1の密着層を形成する工程と、
(ハ)全面に第2の密着層を形成する工程と、
(ニ)第2の密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ホ)絶縁層上に形成された各層を除去して、開口部内にタングステンプラグ並びに第2及び第1の密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の態様に係る半導体装置の作製方法においては、第1の密着層は、下からTi層/TiN層又はTi層/TiON層の2層から構成されており、それぞれスパッタ法にて形成され、且つ、前記(ロ)の工程において全面に第1の密着層が形成され、第2の密着層はタングステン又はシリコンから成ることが望ましい。あるいは又、別の形態においては、第1の密着層は、TiON単層又は下からTi層/TiON層の2層から構成されており、それぞれスパッタ法にて形成され、且つ、前記(ロ)の工程には絶縁層上に形成された第1の密着層を除去する工程を含み、第2の密着層はTiNから成り、スパッタ法にて形成されることが望ましい。
【0026】
タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術において密着層と絶縁層との間に発生する密着不良は、先に述べたように、Ti層/TiN層又はTi層/TiON層の層間にTiFXが生成することに起因する。本発明の第1の態様に係る半導体装置あるいは第1の態様に係る半導体装置の作製方法においては、密着層はTiN又はTiONから成る単層にて構成されるので、かかる密着不良を効果的に防止することができる。
【0027】
このような本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法にあっては、基体に形成された下層導体層がアルミニウム又はアルミニウム合金から成る場合、密着層を形成する際、開口部の底部に露出した下層導体層の表面が窒化されてコンタクト抵抗が増加する場合がある。本発明の第2の態様に係る半導体装置の作製方法においては、絶縁層上及び開口部内に、アルゴンガス雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて厚さ6nm以下の第1の密着層を堆積させ、次いで、第1の密着層上に、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて第2の密着層を堆積させ、併せて第1の密着層を窒化し、以って単層化された密着層を形成する。
【0028】
第1の密着層の堆積をアルゴンガス雰囲気下で行い窒素ガスを用いないので、下層導体層の表面は窒化されず、コンタクト抵抗の増加を防止することができる。
【0029】
第2の密着層の形成時に第1の密着層は窒化され、TiリッチなTiN(成膜条件によってはTiON)になる。また、第2の密着層はTiN(成膜条件によってはTiON)から構成されるので、結果的に第1の密着層と第2の密着層とは単層化される。従って、タングステンプラグを形成するためにこの単層化された密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術のようにTi層を含む密着層と絶縁層との間の密着不良が発生することはない。
【0030】
本発明の第2の態様に係る半導体装置あるいは第3の態様に係る半導体装置の作製方法においては、第2の密着層が形成される。かかる第2の密着層が、例えば、タングステンから成る場合、タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、絶縁層上に形成された第1の密着層への第1のWF6あるいはFの拡散は、WF6とH2との反応が進行するまで、タングステンから成る第2の密着層によって抑制される。第2の密着層が、例えば、シリコンから成る場合、タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、WF6は第2の密着層を構成するシリコンと反応してWが形成される。その結果、絶縁層上に形成された第1の密着層への第1のWF6あるいはFの拡散は、シリコンから成る第2の密着層によって抑制される。更に、第2の密着層が、例えば、TiNから成る場合、タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する前に、絶縁層上から第1の密着層を除去しておけば、第2の密着層は絶縁層から剥離することがなく、従来技術における絶縁層からの密着層の剥離を防止できる。
【0031】
【実施例】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【0032】
(実施例1)
実施例1は、本発明の第1の態様に係る半導体装置、及び第1の態様に係る半導体装置の作製方法に関する。実施例1の半導体装置は、図1に模式的な一部断面図を示すように、基体10に形成された下層導体層12と、下層導体層12を被覆する絶縁層14と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層12とを電気的に接続するための絶縁層14内に形成された接続孔22を有する。そして、接続孔22は、接続孔の底面に形成されたTiNから成る単層の密着層18と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグ20Aとから成る。尚、実施例1においては、接続孔22の側壁にも密着層18が形成されている。実施例1においては、基体10は半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁層であり、下層導体層12は、具体的には、基体10上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金から成る配線層あるいは電極である。実施例1の半導体装置の作製方法を、以下、図2を参照して説明する。
【0033】
[工程−100]
先ず、下層導体層12の形成された基体10上にSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14を例えばCVD法にて形成する。次いで、下層導体層12上の絶縁層14に、例えばフォトリソグラフィ技術及びリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)技術にて開口部16を形成する(図2の(A)参照)。
【0034】
[工程−110]
その後、絶縁層14上及び開口部16内にTiNから成る単層の密着層18を、例えばスパッタ法にて形成する(図2の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
とすることができる。このスパッタリングによって図10の(A)に示した基体の領域に密着層が形成される。
【0035】
[工程−120]
次に、開口部16内を含む密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図2の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、以下のとおりとすることができる。
第1ステップ(核形成段階)
WF6/SiH4/Ar=5/3/2000sccm
圧力 4×102Pa(3Torr)
温度 450°C
第2ステップ(高速成長段階)
WF6/H2/Ar=40/400/2250sccm
圧力 1.1×104Pa(80Torr)
温度 450°C
【0036】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、密着層は露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、密着層を構成するTiN中を拡散する。ところが、絶縁層上には単層の密着層が形成されているだけなので、密着層が絶縁層から剥離するという現象は生じない。
【0037】
[工程−130]
次いで、絶縁層14上のタングステン層20及び密着層18を除去して、開口部16内にタングステンプラグ20A及び密着層18を残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20及び密着層18の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図1に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0038】
実施例1においては、TiNから成る単層の密着層を用いたが、代わりにTiONから成る単層の密着層を用いることができる。
【0039】
また、図3に示すように、下層導体層12上にTiN、TiON又はTiWから成る導電層24を形成することもできる。この導電層24は、[工程−100]に先立ち、スパッタ法にて形成することができる。即ち、下層導体層12がAl系合金から成る場合、スパッタ法にてAl系合金層を基体10上に堆積させた後、スパッタ法にて導電層24をAl系合金層上に形成する。その後、導電層24及びAl系合金層を選択的に除去して、下層導体層12及びその上に形成された導電層24を得ることができる。このような構造にすることにより、下層導体層12とタングステンプラグ20Aとの間のコンタクト抵抗を低減させることができる。
【0040】
(実施例2)
実施例1においては、絶縁層14上及び開口部16内にTiNから成る単層の密着層18を、窒素ガス雰囲気下、スパッタ法にて形成した。そのため、開口部の底部に露出したアルミニウム又はアルミニウム合金から成る下層導体層12の表面が窒素プラズマによって窒化される。その結果、下層導体層12の表面には絶縁物である窒化アルミニウム(AlN)が形成され、コンタクト抵抗が増加する場合がある。
【0041】
実施例2は、本発明の第1の態様に係る半導体装置、及び第2の態様に係る半導体装置の作製方法に関する。実施例2の半導体装置の構造それ自体は、図1に模式的な一部断面図を示した実施例1の半導体装置の構造と同様である。即ち、基体10に形成された下層導体層12と、下層導体層12を被覆する絶縁層14と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層12とを電気的に接続するための絶縁層14内に形成された接続孔22を有する。そして、接続孔22は、接続孔の底面に形成された密着層18と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグ20Aとから成る。尚、実施例2においては、接続孔22の側壁にも密着層18が形成されている。また、基体10は半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁層であり、下層導体層12は、具体的には、基体10上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金から成る配線層あるいは電極である。
【0042】
実施例2においては、アルゴンガス雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて厚さ6nm以下の第1の密着層18Aを堆積させ、次いで、この第1の密着層18A上に、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下(例えば、窒素ガス単独、あるいは窒素ガスとアルゴンガスの併用、更には、窒素ガス、酸素ガスとアルゴンガスの併用等)、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて第2の密着層18Bを堆積させ、併せて第1の密着層18Aを窒化し、以って単層化された密着層18を形成する。この点が、実施例1にて説明した本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法と相違する。
【0043】
実施例2の半導体装置の作製方法を、以下、図4を参照して説明する。
【0044】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様に、下層導体層12の形成された基体10上にSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14を例えばCVD法にて形成し、次いで、下層導体層12上の絶縁層14に開口部16を形成する(図4の(A)参照)。
【0045】
[工程−210]
その後、アルゴンガス雰囲気下で、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて絶縁層14上及び開口部16内に第1の密着層18Aを堆積させる(図4の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : Ti
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 0.5Pa (4 m Torr)
パワー : 1kW
成膜時間 : 4秒
とすることができる。
【0046】
第1の密着層18Aの厚さを、絶縁層14上で6nmとした。窒素ガスを使用せずに、アルゴンガス雰囲気下でスパッタリングを行うことによって、開口部底部に露出した下層導体層12の表面の窒化を防止することができ、コンタクト抵抗の増加を防ぐことができる。
【0047】
第1の密着層18Aは、TiN(成膜条件によってはTiON)を含むTiから構成される。即ち、ターゲットであるTiの表面には、通常、前回の第2の密着層18Bの形成(この工程は次の[工程−220]に相当する)の際TiNが形成される。第1の密着層18Aの成膜時、このターゲット表面のTiNが、ターゲット表面から放出され、絶縁層14上及び開口部16内に堆積する。併せて、ターゲットから放出されたTiも絶縁層14上及び開口部16内に堆積する。従って、絶縁層14上及び開口部16内に堆積した第1の密着層18Aは、主にTiから構成され、TiN(成膜条件によってはTiON)が含まれる。
【0048】
[工程−220]
次いで、引き続き、窒素ガス雰囲気下で、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて、第1の密着層18A上に第2の密着層18Bを堆積させる(図4の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
成膜時間 : 44秒
とすることができる。第2の密着層18Bの厚さは、絶縁層14上で70nmとした。尚、使用ガスは窒素ガスとアルゴンガスの併用であってもよい。
【0049】
この第2の密着層18Bの形成の際、スパッタリングの雰囲気が窒素ガスであるために、第1の密着層18Aは窒化されて、TiリッチなTiNとなる。その結果、第1の密着層18A及び第2の密着層18Bが全体として単層化されて、TiNから成る密着層18が形成される。以上の2段階のスパッタリングによって、図10の(A)に示した基体の領域に単層化された密着層が形成される。従って、タングステンプラグを形成するために単層化された密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術のようにTiから構成された密着層と絶縁層との間の密着不良といった問題の発生を防止することができる。
【0050】
絶縁層14上での第1の密着層18Aの厚さが6nmを越えると、[工程−210]で、TiNを含まないTi層が厚く形成される。また、[工程−220]で第1の密着層18Aが十分窒化されず、純Tiが第1の密着層18A中に相当量残存してしまう。その結果、次のタングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術のように密着層と絶縁層との間に密着不良が発生する。
【0051】
[工程−230]
次に、開口部16内を含む単層化された密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図4の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、実施例1と同様とすることができる。
【0052】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、密着層は露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、密着層を構成するTiN中を拡散する。ところが、絶縁層上には全体としてTiNから成る単層化された密着層18が形成されているだけなので、密着層18が絶縁層14から剥離するという現象は生じない。
【0053】
[工程−240]
次いで、絶縁層14上のタングステン層20及び単層化された密着層18を除去して、開口部16内にタングステンプラグ20A及び単層化された密着層18を残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20及び密着層18の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図1に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0054】
TiNから成る第2の密着層18Bの厚さを70nm一定とし、第1の密着層18Aの絶縁層14上での膜厚を変化させたときの密着層と絶縁層との密着性及びコンタクト抵抗測定結果を、以下の表に示す。
第1の密着層の厚さ 密着性 コンタクト抵抗(Ω)
0nm 良好 226
6nm 良好 1.6
12nm 不良 −
23nm 不良 1.3
【0055】
実施例2においては、TiNから成る第2の密着層18Bを形成したが、代わりに、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスの雰囲気下、TiONから成る第2の密着層を形成してもよい。また、ターゲット材料としては、チタンの代わりに、アルミニウムあるいはアルミニウム合金から成る下層導体層を窒化することなくスパッタ法にて成膜することができ、しかも、窒化されても電気伝導性を有し、更には、窒化物がWF6やFに対する耐性を有する金属材料を用いることができる。
【0056】
(実施例3)
実施例3は、本発明の第2の態様に係る半導体装置、及び第3の態様に係る半導体装置の作製方法に関する。実施例3の半導体装置は、図5に模式的な一部断面図を示すように、基体10Aに形成された下層導体層12Aと、下層導体層12Aを被覆する絶縁層14と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層12Aとを電気的に接続するための絶縁層14内に形成された接続孔22を有する。そして、接続孔22は、接続孔の底面に形成されたチタン系材料から成る第1の密着層30A,30Bと、第1の密着層上に形成された第2の密着層32と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグ20Aとから成る。第1の密着層はTi層30A及びTiN層30Bから成り、第2の密着層32はタングステンから成る。
【0057】
尚、実施例3においては接続孔22の側壁にも第1の密着層30A,30B及び第2の密着層32が形成されている。実施例3においては、基体10Aはシリコン半導体基板であり、下層導体層12Aは、具体的には、基体10A上に形成された不純物拡散領域である。実施例3の半導体装置の作製方法を、以下、図6を参照して説明する。
【0058】
[工程−300]
先ず、下層導体層12Aの形成された基体10A上にSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14を例えばCVD法にて形成する。次いで、下層導体層12A上の絶縁層14に、例えばフォトリソグラフィ技術及びRIE技術にて開口部を形成する。こうして、図2の(A)に示した構造が得られる。
【0059】
[工程−310]
その後、絶縁層14上及び開口部16内に第1の密着層30A,30Bを、例えばスパッタ法にて形成する(図6の(A)参照)。第1の密着層は、下からTi層30A/TiN層30Bの2層構成である。スパッタリングの条件は、例えば、
(Ti層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 0.5Pa (4 m Torr)
パワー : 2kW
(TiN層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
とすることができる。このスパッタリングによって図10の(A)に示した基体の領域に密着層が形成される。実施例3においては、開口部16内を含む絶縁層14の全面に第1の密着層30A,30Bが形成された状態で次の工程を実行する。
【0060】
[工程−320]
次いで、全面に第2の密着層32を形成する(図6の(B)参照)。即ち、開口部16内を含む絶縁層14の全面に形成された第1の密着層30A,30B上に、第2の密着層32をスパッタ法にて形成する。実施例3においては、第2の密着層32はタングステンから成る。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : W
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 1.6Pa (12 m Torr)
パワー : 2kW
とすることができる。
【0061】
[工程−330]
次に、開口部16内を含む密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図6の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、実施例1と同様とすることができる。
【0062】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、第2の密着層が露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている第2の密着層上で、タングステンの堆積が速やかに進行する。その結果、第1の密着層を構成するTiN層30B中へのWF6、あるいはWF6の分解によって発生したFの拡散が抑制される。従って、第1の密着層が絶縁層から剥離するという現象の発生を抑制することができる。
【0063】
[工程−340]
次いで、絶縁層14上に形成された各層(実施例3においては、タングステン層20、第2の密着層32及び第1の密着層30A,30B)を除去して、開口部内にタングステンプラグ20A並びに第2及び第1の密着層32,30B,30Aを残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20並びに第1及び第2の密着層30B,30A,32の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図5に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0064】
実施例3においては、Ti層/TiN層から成る第1の密着層を用いたが、代わりにTi層/TiON層から成る第1の密着層を用いることができる。
【0065】
また、第2の密着層32をタングステンの代わりに、タングステンとの反応性に優れた材料、例えば、シリコンから構成することもできる。この場合、通常のCVD法によって例えばポリシリコンから成る第2の密着層を第1の密着層上に形成すればよい。第2の密着層32をシリコンから構成することによって、高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている第2の密着層上でタングステンとシリコンとの反応が生じ、Wが生成される。その結果、第1の密着層を構成するTiN層30B中へのWF6、あるいはWF6の分解によって発生したFの拡散が抑制される。従って、第1の密着層が絶縁層から剥離するという現象の発生を抑制することができる。
【0066】
(実施例4)
実施例4は、実施例3の変形である。実施例4の半導体装置が実施例3と相違する点は、第1の密着層が下からTi層/TiON層の2層から構成されている点、及び、第2の密着層がTiNから成る点にある。また、実施例4の半導体装置の作製方法が実施例3と相違する点は、絶縁層上に形成された第1の密着層を、第2の密着層の形成前に除去する点、及び、TiNから成る第2の密着層をスパッタ法にて形成する点にある。
【0067】
実施例4の半導体装置は、図8の(D)に模式的な一部断面図を示すように、第1の密着層40A,40Bは、Ti層及びTiON層の2層から構成されている。また、第2の密着層42はTiNから成る。その他の構造は、実施例3で説明した半導体装置と同様であり、詳細な説明は省略する。実施例4の半導体装置の作製方法を、以下、図7及び図8を参照して説明する。
【0068】
[工程−400]
先ず、不純物拡散領域から成る下層導体層12Aの形成されたシリコン半導体基板から成る基体10A上に、例えばSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14をCVD法にて形成し、次いで、下層導体層12A上の絶縁層14に例えばフォトリソグラフィ技術及びRIE技術で開口部16を形成する(図7の(A)参照)。
【0069】
[工程−410]
その後、第1の密着層40A,40Bを、通常のスパッタ法にて開口部16内を含む絶縁層14の全面に形成する。第1の密着層は、例えば、下からTi層40A及びTiON層40Bから成る(図7の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
(Ti層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 0.5Pa (4 m Torr)
パワー : 2kW
(TiON層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素及び酸素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
とすることができる。このスパッタリングによって図10の(A)に示した基体の領域に密着層が形成される。実施例4においては、次に、開口部16内に形成された第1の密着層以外の密着層、即ち絶縁層14上に形成された第1の密着層を除去する。
【0070】
[工程−420]
そのために、先ず、レジスト材料を全面に形成した後、レジスト材料のエッチバックを行い、絶縁層14の上方のレジスト材料層を除去し、開口部16内にレジスト材料44を残す(図7の(C)参照)。尚、開口部16内のレジスト材料層の一部分がエッチバックされてもよい。要するに、絶縁層14の上方のレジスト材料層が確実に除去されていればよい。
【0071】
その後、通常のRIE法にて、絶縁層14上の第1の密着層40B,40Aを除去する(図8の(A)参照)。場合によっては、図8の(A)に示すように、開口部16の上部側壁上の第1の密着層も除去されるが問題はなく、開口部16の底部に形成された第1の密着層40A,40Bが除去されなければよい。次いで、開口部16内のレジスト材料を除去する。
【0072】
[工程−430]
次に、開口部内を含む全面に、第2の密着層42を形成する(図8の(B)参照)。第2の密着層42はTiN層から成り、実施例1の[工程−110]と同様の条件のスパッタ法にて形成することができる。これによって、絶縁層14の上には、第2の密着層42が形成される。また、開口部16の少なくとも底部には、第1の密着層40A,40B及び第2の密着層42が形成される。
【0073】
[工程−440]
次に、開口部16内を含む密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図8の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、実施例1と同様とすることができる。
【0074】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、第2の密着層が露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、第2の密着層42を構成するTiN中を拡散する。然るに、絶縁層14上には第2の密着層42が形成されているだけなので、密着層が絶縁層から剥離するという現象の発生を抑制することができる。
【0075】
[工程−450]
次いで、絶縁層14上に形成された各層(実施例4においては、タングステン層20及び第2の密着層32)を除去して、開口部内にタングステンプラグ20A並びに第2及び第1の密着層30B,30Aを残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20並びに第2の密着層42の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図8の(D)に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0076】
(実施例5)
図9に模式的な一部断面図を示す実施例5の半導体装置は、実施例4にて説明した半導体装置の変形である。実施例4ではTi層/TiON層から成る第1の密着層を用いたが、実施例5においては、その代わりにTiON層の単層から成る第1の密着層40を用いている。また、基体10は半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁層であり、下層導体層12は、具体的には、基体10上に形成されたAl系合金から成る配線層あるいは電極である。
【0077】
更に、実施例1の変形例にて説明したと同様に、必要に応じて、下層導体層12上にTiN、TiON又はTiWから成る導電層24が形成されていることが望ましい。この導電層24は、[工程−400]に先立ち、スパッタ法にて形成することができる。即ち、下層導体層12がAl系合金から成る場合、スパッタ法にてAl系合金層を基体10上に堆積させた後、スパッタ法にて導電層24をAl系合金層上に形成する。その後、導電層24及びAl系合金層を選択的に除去して、下層導体層12及びその上に形成された導電層24を得ることができる。
【0078】
実施例5の半導体装置は、実施例4にて説明した半導体装置の作製方法と基本的には同様の方法で作製することができ、その詳細な説明は省略する。尚、第1の密着層をTiON単層の代わりに、Ti層及びTiON層の2層から構成することもできる。
【0079】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。絶縁層14は、SiO2以外にも、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SbSG、あるいはSiN等の公知の絶縁材料から構成することができる。絶縁層14に開口部16を形成した後、絶縁層14を構成する材料によっては、絶縁層14に約900゜Cで30分間程度の熱処理を行い、絶縁層14の表面を平坦化してもよい。
【0080】
密着層あるいは第1及び第2の密着層の形成は、マグネトロンスパッタリング装置、DCスパッタリング装置、RFスパッタリング装置、ECRスパッタリング装置、また基板バイアスを印加するバイアススパッタリング装置等各種のスパッタリング装置にて行うことができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明においては、絶縁層からの密着層の剥離を効果的に防止することができる。密着層の形成後、ブランケットタングステンCVD法の実行の前に、RTA処理を行う必要がなくなるので、密着層にクラックが生じるという問題を回避することができる。更に、下層導体層がAl系合金から成る場合にRTA処理を行うとAl系合金が溶融するという問題も回避することができるし、接続孔と下層導体層との間のコンタクト抵抗の増加、あるいは接続孔と下層導体層のコンタクトが非オーミック性を示すという問題が解決される。
【0082】
また、第2の態様に係る半導体装置の作製方法を採用することによって、コンタクト抵抗の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図2】実施例1の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図3】実施例1の半導体装置の変形の模式的な一部断面図である。
【図4】実施例2の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図5】実施例3の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図6】実施例3の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図7】実施例4の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図8】図7に引き続き、実施例4の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図9】実施例5の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図10】スパッタリング後の密着層の形成状態、及びCVD時の被覆治具による密着層の被覆状態を示す模式的な平面図である。
【図11】密着層の絶縁層からの剥離メカニズムを示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
10,10A・・・基体、12,12A・・・下層導体層、14・・・絶縁層、16・・・開口部、18,18A,18B・・・密着層、20・・・タングステン層、20A・・・タングステンプラグ、22・・・接続孔、24・・・導電層、30A,30B,40A,40B・・・第1の密着層、32,42・・・第2の密着層、44・・・レジスト材料
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビヤホールやコンタクトホール等の接続孔に特徴を有する半導体装置及びその作製方法、更に詳しくは、所謂タングステンブランケットCVD法によって形成される接続孔の部分に特徴を有する半導体装置及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のVLSIやULSI等に見られるように半導体装置の高集積化及び高性能化が進むに伴い、半導体装置内で配線部分の占める割合が増大する傾向にある。それ故、半導体素子面積の増加を防止するために多層配線が必須の技術となっている。半導体装置においては、配線材料が埋め込まれたビアホールが多層配線層間を接続するために形成されている。あるいは又、配線材料が埋め込まれたコンタクトホールが、半導体基板に形成された不純物拡散領域と上層導体層とを接続するために形成されている。
【0003】
次世代以降の超々LSI等の半導体集積回路においては、その微細化、高集積化が著しく進められる。そのため、ビヤホールやコンタクトホール(以下、これらを総称して接続孔ともいう)等の開口径は、例えば0.35μmというように益々小さくなりつつある。このように開口径が小さくなるに従い、従来のアルミニウムあるいはアルミニウム合金(以下、Al系合金という)を用いたスパッタ法では、段差被覆性(ステップカバレッジ)の点から、高信頼性を有する接続孔を形成することが不可能になってきている。
【0004】
半導体基板に形成された不純物拡散領域、各種電極あるいは下層配線層(以下、これらを総称して下層導体層という場合がある)上に絶縁層を形成し、かかる絶縁層に設けられた開口部内に導電性材料を埋め込み、微細な接続孔を形成する技術として、所謂ブランケットCVD法が注目されている。具体的には、ブランケットCVD法とは、例えば下層導体層上に形成された絶縁層上及びかかる絶縁層に形成された開口部内に、例えばタングステンから成るタングステン層を化学気相析出法(CVD法)にて堆積させた後、絶縁層上に形成されたタングステン層をエッチバックして除去することによって、開口部の内部にメタルプラグが形成された接続孔を完成させる方法である。尚、このような方法を、以下、タングステンブランケットCVD法と呼ぶ。
【0005】
タングステンブランケットCVD法でタングステン層を形成する場合、タングステン層の下に密着層を形成する必要がある。その理由は、タングステンブランケットCVD法で形成されるタングステン層はステップカバレッジには優れるものの、絶縁層に対する密着性が乏しいからである。また、タングステン層を形成するための原料ガスであるWF6といった金属フッ化物ガスが下層導体層を浸食することを防止する必要もある。更に、ブランケットCVD法によるタングステン層の形成は比較的高温で行われるため、下層導体層に対するバリヤ性を高める必要もあるからである。
【0006】
以上の理由から、Ti層/TiN層やTi層/TiON層等から成る密着層をタングステン層と絶縁層との間に形成する必要がある。この場合、Ti層の上にTiN層又はTiON層を形成する。
【0007】
現在、スパッタ法によって密着層を形成している。密着層をスパッタ法にて形成するとき、半導体基板を押え治具にて基板支持台上に固定する必要がある。押え治具は、通常、半導体基板のエッジ部分を被覆するような状態で半導体基板を押える。従って、押え治具にて押えられた部分の半導体基板上には密着層が形成されない。スパッタ法にて密着層を形成した後の半導体基板の模式的な平面図を図10の(A)に示す。図中、参照番号100は半導体基板、参照番号102は密着層である。また、密着層が形成されない半導体基板の領域に斜線を付した。
【0008】
タングステンブランケットCVD法でタングステン層を形成する場合、密着層が形成されていない絶縁層の領域にタングステン層が形成されると、かかる領域に形成されたタングステン層は絶縁層から剥離し易い。そのため、タングステン層を形成する際、被覆治具にて密着層が形成されていない絶縁層の領域を被覆する。この被覆治具は、密着層が形成されていない絶縁層の領域だけでなく、密着層が形成された絶縁層の一部分をも被覆する。この状態を図10の(B)の模式的な平面図に示す。図中、参照番号104は被覆治具である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような被覆治具を用いて、タングステンブランケットCVD法にてタングステン層を形成するとき、被覆治具によって被覆された部分の密着層が絶縁層から剥離するという問題がある。この問題は、以下に説明する現象に起因すると考えられる。
【0010】
即ち、タングステンブランケットCVD法においては、先ず、原料ガスとして低圧のWF6及びSiH4を用い、SiH4の還元反応を利用して、絶縁層上及び開口部内にタングステンの核を形成する。尚、この工程(核形成段階と呼ぶ)は、密着層上のタングステン層の膜厚均一性を改善するために行われる。核形成段階においては、被覆治具で被覆されていない密着層上にタングステンの核が充分形成される。然るに、原料ガスの圧力が低圧であるため、被覆治具で被覆されている密着層上には原料ガスが浸入し難い。その結果、被覆治具で被覆されている密着層上にはタングステンの核が形成されないか、僅かしか形成されず、密着層が露出した状態となる。
【0011】
核形成工程に続き、原料ガスとして高圧のWF6及びH2を用い、H2の還元反応を利用して、絶縁層上及び開口部内にタングステン層を形成する。この工程を高速成長段階と呼ぶ。被覆治具で被覆されていないタングステンの核が充分形成された領域においては、WF6は直ちにH2にて還元され、タングステン層が形成される。一方、原料ガスの圧力が高圧であるため、被覆治具で被覆されている密着層上にも原料ガスが浸入する。
【0012】
ところが、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、密着層を構成するTiN層あるいはTiON層中を拡散し、密着層を構成するTi層中のTiと反応し、TiFXが生成される。かかるTiFXの生成の結果、Ti層とTiN層若しくはTiON層との間で層間剥離が生じ、その結果、密着層が絶縁層から剥離するという問題がある。このようなメカニズムを模式的に拡大された一部断面図である図11に示す。尚、図11において、被覆治具104と密着層の表面との間の隙間を誇張して描いた。
【0013】
現在、このような密着層の剥離に対処するために、スパッタ法にて密着層を形成した後、タングステンブランケットCVD法を実施する前に、窒素ガス雰囲気下、約900゜C、30秒間のRTA(Rapid Thermal Annealing)処理を行っている。このRTA処理を行うことによって、Ti層中のTiが反応してTiNとなり、あるいはTiN層若しくはTiON層がWF6若しくはFの拡散を抑制することができる。
【0014】
しかしながら、かかるRTA処理時、用いる絶縁層の種類によっては、密着層にクラックが生じるという問題がある。また、下層導体層がAl系合金から成る場合、Al系合金が溶融するために、かかるRTA処理を行えないという問題もある。更には、かかるRTA処理を行うと、接続孔と下層導体層との間のコンタクト抵抗が増加したり、接続孔と下層導体層のコンタクトが非オーミック性を示すという問題もある。
【0015】
従って、本発明の目的は、メタルプラグの形成時、絶縁層と密着層との間に密着性が低下することのない構造を有する半導体装置及びその作製方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る半導体装置は、基体に形成された下層導体層と、下層導体層を被覆する絶縁層と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層とを電気的に接続するための絶縁層内に形成された接続孔を有する。そして、接続孔は、接続孔の少なくとも底面に形成されたTiN又はTiONから成る単層の密着層と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグとから成ることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様に係る半導体装置においては、下層導体層は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成することができる。この場合、下層導体層上にはTiN、TiON又はTiWから成る導電層が形成されていることが望ましい。
【0018】
本発明の第1の態様に係る半導体装置を作製するための、本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法は、
(イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)絶縁層上及び開口部内にTiN又はTiONから成る単層の密着層を形成する工程と、
(ハ)密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ニ)絶縁層上のタングステン層及び密着層を除去して、開口部内にタングステンプラグ及び密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする。
【0019】
本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法においては、前記(イ)の工程以前に、下層導体層の上にTiN、TiON又はTiWから成る導電層を形成する工程を含ませることができる。また、密着層をスパッタ法にて形成することが望ましい。
【0020】
本発明の第1の態様に係る半導体装置を作製するための、本発明の第2の態様に係る半導体装置の作製方法は、
(イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、この下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)絶縁層上及び開口部内に、アルゴンガス雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて厚さ6nm以下の第1の密着層を堆積させる工程と、
(ハ)次いで、第1の密着層上に、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて第2の密着層を堆積させ、併せて第1の密着層を窒化し、以って単層化された密着層を形成する工程と、
(ニ)この単層化された密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ホ)絶縁層上のタングステン層及び単層化された密着層を除去して、開口部内にタングステンプラグ及び単層化された密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする。ここで、第1の密着層の厚さは、絶縁層上での厚さである。
【0021】
この第2の態様に係る半導体装置の作製方法においては、下層導体層は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成することができる。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る半導体装置は、基体に形成された下層導体層と、下層導体層を被覆する絶縁層と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層とを電気的に接続するための絶縁層内に形成された接続孔を有する。そして、接続孔は、接続孔の少なくとも底面に形成されたチタン系材料から成る第1の密着層と、第1の密着層上に形成された第2の密着層と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグとから成ることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の態様に係る半導体装置においては、第1の密着層は、下からTi層/TiN層又はTi層/TiON層から構成され、第2の密着層はタングステン又はシリコンから成ることが望ましい。あるいは又、別の形態においては、第1の密着層は、TiON単層又は下からTi層/TiON層の2層から構成され、第2の密着層はTiNから成ることが望ましい。
【0024】
本発明の第2の態様に係る半導体装置を作製するための、本発明の第3の態様に係る半導体装置の作製方法は、
(イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)開口部の少なくとも底部に第1の密着層を形成する工程と、
(ハ)全面に第2の密着層を形成する工程と、
(ニ)第2の密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ホ)絶縁層上に形成された各層を除去して、開口部内にタングステンプラグ並びに第2及び第1の密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の態様に係る半導体装置の作製方法においては、第1の密着層は、下からTi層/TiN層又はTi層/TiON層の2層から構成されており、それぞれスパッタ法にて形成され、且つ、前記(ロ)の工程において全面に第1の密着層が形成され、第2の密着層はタングステン又はシリコンから成ることが望ましい。あるいは又、別の形態においては、第1の密着層は、TiON単層又は下からTi層/TiON層の2層から構成されており、それぞれスパッタ法にて形成され、且つ、前記(ロ)の工程には絶縁層上に形成された第1の密着層を除去する工程を含み、第2の密着層はTiNから成り、スパッタ法にて形成されることが望ましい。
【0026】
タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術において密着層と絶縁層との間に発生する密着不良は、先に述べたように、Ti層/TiN層又はTi層/TiON層の層間にTiFXが生成することに起因する。本発明の第1の態様に係る半導体装置あるいは第1の態様に係る半導体装置の作製方法においては、密着層はTiN又はTiONから成る単層にて構成されるので、かかる密着不良を効果的に防止することができる。
【0027】
このような本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法にあっては、基体に形成された下層導体層がアルミニウム又はアルミニウム合金から成る場合、密着層を形成する際、開口部の底部に露出した下層導体層の表面が窒化されてコンタクト抵抗が増加する場合がある。本発明の第2の態様に係る半導体装置の作製方法においては、絶縁層上及び開口部内に、アルゴンガス雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて厚さ6nm以下の第1の密着層を堆積させ、次いで、第1の密着層上に、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて第2の密着層を堆積させ、併せて第1の密着層を窒化し、以って単層化された密着層を形成する。
【0028】
第1の密着層の堆積をアルゴンガス雰囲気下で行い窒素ガスを用いないので、下層導体層の表面は窒化されず、コンタクト抵抗の増加を防止することができる。
【0029】
第2の密着層の形成時に第1の密着層は窒化され、TiリッチなTiN(成膜条件によってはTiON)になる。また、第2の密着層はTiN(成膜条件によってはTiON)から構成されるので、結果的に第1の密着層と第2の密着層とは単層化される。従って、タングステンプラグを形成するためにこの単層化された密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術のようにTi層を含む密着層と絶縁層との間の密着不良が発生することはない。
【0030】
本発明の第2の態様に係る半導体装置あるいは第3の態様に係る半導体装置の作製方法においては、第2の密着層が形成される。かかる第2の密着層が、例えば、タングステンから成る場合、タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、絶縁層上に形成された第1の密着層への第1のWF6あるいはFの拡散は、WF6とH2との反応が進行するまで、タングステンから成る第2の密着層によって抑制される。第2の密着層が、例えば、シリコンから成る場合、タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、WF6は第2の密着層を構成するシリコンと反応してWが形成される。その結果、絶縁層上に形成された第1の密着層への第1のWF6あるいはFの拡散は、シリコンから成る第2の密着層によって抑制される。更に、第2の密着層が、例えば、TiNから成る場合、タングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する前に、絶縁層上から第1の密着層を除去しておけば、第2の密着層は絶縁層から剥離することがなく、従来技術における絶縁層からの密着層の剥離を防止できる。
【0031】
【実施例】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【0032】
(実施例1)
実施例1は、本発明の第1の態様に係る半導体装置、及び第1の態様に係る半導体装置の作製方法に関する。実施例1の半導体装置は、図1に模式的な一部断面図を示すように、基体10に形成された下層導体層12と、下層導体層12を被覆する絶縁層14と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層12とを電気的に接続するための絶縁層14内に形成された接続孔22を有する。そして、接続孔22は、接続孔の底面に形成されたTiNから成る単層の密着層18と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグ20Aとから成る。尚、実施例1においては、接続孔22の側壁にも密着層18が形成されている。実施例1においては、基体10は半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁層であり、下層導体層12は、具体的には、基体10上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金から成る配線層あるいは電極である。実施例1の半導体装置の作製方法を、以下、図2を参照して説明する。
【0033】
[工程−100]
先ず、下層導体層12の形成された基体10上にSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14を例えばCVD法にて形成する。次いで、下層導体層12上の絶縁層14に、例えばフォトリソグラフィ技術及びリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)技術にて開口部16を形成する(図2の(A)参照)。
【0034】
[工程−110]
その後、絶縁層14上及び開口部16内にTiNから成る単層の密着層18を、例えばスパッタ法にて形成する(図2の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
とすることができる。このスパッタリングによって図10の(A)に示した基体の領域に密着層が形成される。
【0035】
[工程−120]
次に、開口部16内を含む密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図2の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、以下のとおりとすることができる。
第1ステップ(核形成段階)
WF6/SiH4/Ar=5/3/2000sccm
圧力 4×102Pa(3Torr)
温度 450°C
第2ステップ(高速成長段階)
WF6/H2/Ar=40/400/2250sccm
圧力 1.1×104Pa(80Torr)
温度 450°C
【0036】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、密着層は露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、密着層を構成するTiN中を拡散する。ところが、絶縁層上には単層の密着層が形成されているだけなので、密着層が絶縁層から剥離するという現象は生じない。
【0037】
[工程−130]
次いで、絶縁層14上のタングステン層20及び密着層18を除去して、開口部16内にタングステンプラグ20A及び密着層18を残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20及び密着層18の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図1に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0038】
実施例1においては、TiNから成る単層の密着層を用いたが、代わりにTiONから成る単層の密着層を用いることができる。
【0039】
また、図3に示すように、下層導体層12上にTiN、TiON又はTiWから成る導電層24を形成することもできる。この導電層24は、[工程−100]に先立ち、スパッタ法にて形成することができる。即ち、下層導体層12がAl系合金から成る場合、スパッタ法にてAl系合金層を基体10上に堆積させた後、スパッタ法にて導電層24をAl系合金層上に形成する。その後、導電層24及びAl系合金層を選択的に除去して、下層導体層12及びその上に形成された導電層24を得ることができる。このような構造にすることにより、下層導体層12とタングステンプラグ20Aとの間のコンタクト抵抗を低減させることができる。
【0040】
(実施例2)
実施例1においては、絶縁層14上及び開口部16内にTiNから成る単層の密着層18を、窒素ガス雰囲気下、スパッタ法にて形成した。そのため、開口部の底部に露出したアルミニウム又はアルミニウム合金から成る下層導体層12の表面が窒素プラズマによって窒化される。その結果、下層導体層12の表面には絶縁物である窒化アルミニウム(AlN)が形成され、コンタクト抵抗が増加する場合がある。
【0041】
実施例2は、本発明の第1の態様に係る半導体装置、及び第2の態様に係る半導体装置の作製方法に関する。実施例2の半導体装置の構造それ自体は、図1に模式的な一部断面図を示した実施例1の半導体装置の構造と同様である。即ち、基体10に形成された下層導体層12と、下層導体層12を被覆する絶縁層14と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層12とを電気的に接続するための絶縁層14内に形成された接続孔22を有する。そして、接続孔22は、接続孔の底面に形成された密着層18と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグ20Aとから成る。尚、実施例2においては、接続孔22の側壁にも密着層18が形成されている。また、基体10は半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁層であり、下層導体層12は、具体的には、基体10上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金から成る配線層あるいは電極である。
【0042】
実施例2においては、アルゴンガス雰囲気下、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて厚さ6nm以下の第1の密着層18Aを堆積させ、次いで、この第1の密着層18A上に、少なくとも窒素ガスを含む雰囲気下(例えば、窒素ガス単独、あるいは窒素ガスとアルゴンガスの併用、更には、窒素ガス、酸素ガスとアルゴンガスの併用等)、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて第2の密着層18Bを堆積させ、併せて第1の密着層18Aを窒化し、以って単層化された密着層18を形成する。この点が、実施例1にて説明した本発明の第1の態様に係る半導体装置の作製方法と相違する。
【0043】
実施例2の半導体装置の作製方法を、以下、図4を参照して説明する。
【0044】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様に、下層導体層12の形成された基体10上にSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14を例えばCVD法にて形成し、次いで、下層導体層12上の絶縁層14に開口部16を形成する(図4の(A)参照)。
【0045】
[工程−210]
その後、アルゴンガス雰囲気下で、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて絶縁層14上及び開口部16内に第1の密着層18Aを堆積させる(図4の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : Ti
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 0.5Pa (4 m Torr)
パワー : 1kW
成膜時間 : 4秒
とすることができる。
【0046】
第1の密着層18Aの厚さを、絶縁層14上で6nmとした。窒素ガスを使用せずに、アルゴンガス雰囲気下でスパッタリングを行うことによって、開口部底部に露出した下層導体層12の表面の窒化を防止することができ、コンタクト抵抗の増加を防ぐことができる。
【0047】
第1の密着層18Aは、TiN(成膜条件によってはTiON)を含むTiから構成される。即ち、ターゲットであるTiの表面には、通常、前回の第2の密着層18Bの形成(この工程は次の[工程−220]に相当する)の際TiNが形成される。第1の密着層18Aの成膜時、このターゲット表面のTiNが、ターゲット表面から放出され、絶縁層14上及び開口部16内に堆積する。併せて、ターゲットから放出されたTiも絶縁層14上及び開口部16内に堆積する。従って、絶縁層14上及び開口部16内に堆積した第1の密着層18Aは、主にTiから構成され、TiN(成膜条件によってはTiON)が含まれる。
【0048】
[工程−220]
次いで、引き続き、窒素ガス雰囲気下で、チタンをターゲットとしたスパッタ法にて、第1の密着層18A上に第2の密着層18Bを堆積させる(図4の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
成膜時間 : 44秒
とすることができる。第2の密着層18Bの厚さは、絶縁層14上で70nmとした。尚、使用ガスは窒素ガスとアルゴンガスの併用であってもよい。
【0049】
この第2の密着層18Bの形成の際、スパッタリングの雰囲気が窒素ガスであるために、第1の密着層18Aは窒化されて、TiリッチなTiNとなる。その結果、第1の密着層18A及び第2の密着層18Bが全体として単層化されて、TiNから成る密着層18が形成される。以上の2段階のスパッタリングによって、図10の(A)に示した基体の領域に単層化された密着層が形成される。従って、タングステンプラグを形成するために単層化された密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術のようにTiから構成された密着層と絶縁層との間の密着不良といった問題の発生を防止することができる。
【0050】
絶縁層14上での第1の密着層18Aの厚さが6nmを越えると、[工程−210]で、TiNを含まないTi層が厚く形成される。また、[工程−220]で第1の密着層18Aが十分窒化されず、純Tiが第1の密着層18A中に相当量残存してしまう。その結果、次のタングステンプラグを形成するために密着層上にタングステン層を形成する際、従来の技術のように密着層と絶縁層との間に密着不良が発生する。
【0051】
[工程−230]
次に、開口部16内を含む単層化された密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図4の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、実施例1と同様とすることができる。
【0052】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、密着層は露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、密着層を構成するTiN中を拡散する。ところが、絶縁層上には全体としてTiNから成る単層化された密着層18が形成されているだけなので、密着層18が絶縁層14から剥離するという現象は生じない。
【0053】
[工程−240]
次いで、絶縁層14上のタングステン層20及び単層化された密着層18を除去して、開口部16内にタングステンプラグ20A及び単層化された密着層18を残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20及び密着層18の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図1に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0054】
TiNから成る第2の密着層18Bの厚さを70nm一定とし、第1の密着層18Aの絶縁層14上での膜厚を変化させたときの密着層と絶縁層との密着性及びコンタクト抵抗測定結果を、以下の表に示す。
第1の密着層の厚さ 密着性 コンタクト抵抗(Ω)
0nm 良好 226
6nm 良好 1.6
12nm 不良 −
23nm 不良 1.3
【0055】
実施例2においては、TiNから成る第2の密着層18Bを形成したが、代わりに、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスの雰囲気下、TiONから成る第2の密着層を形成してもよい。また、ターゲット材料としては、チタンの代わりに、アルミニウムあるいはアルミニウム合金から成る下層導体層を窒化することなくスパッタ法にて成膜することができ、しかも、窒化されても電気伝導性を有し、更には、窒化物がWF6やFに対する耐性を有する金属材料を用いることができる。
【0056】
(実施例3)
実施例3は、本発明の第2の態様に係る半導体装置、及び第3の態様に係る半導体装置の作製方法に関する。実施例3の半導体装置は、図5に模式的な一部断面図を示すように、基体10Aに形成された下層導体層12Aと、下層導体層12Aを被覆する絶縁層14と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と下層導体層12Aとを電気的に接続するための絶縁層14内に形成された接続孔22を有する。そして、接続孔22は、接続孔の底面に形成されたチタン系材料から成る第1の密着層30A,30Bと、第1の密着層上に形成された第2の密着層32と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグ20Aとから成る。第1の密着層はTi層30A及びTiN層30Bから成り、第2の密着層32はタングステンから成る。
【0057】
尚、実施例3においては接続孔22の側壁にも第1の密着層30A,30B及び第2の密着層32が形成されている。実施例3においては、基体10Aはシリコン半導体基板であり、下層導体層12Aは、具体的には、基体10A上に形成された不純物拡散領域である。実施例3の半導体装置の作製方法を、以下、図6を参照して説明する。
【0058】
[工程−300]
先ず、下層導体層12Aの形成された基体10A上にSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14を例えばCVD法にて形成する。次いで、下層導体層12A上の絶縁層14に、例えばフォトリソグラフィ技術及びRIE技術にて開口部を形成する。こうして、図2の(A)に示した構造が得られる。
【0059】
[工程−310]
その後、絶縁層14上及び開口部16内に第1の密着層30A,30Bを、例えばスパッタ法にて形成する(図6の(A)参照)。第1の密着層は、下からTi層30A/TiN層30Bの2層構成である。スパッタリングの条件は、例えば、
(Ti層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 0.5Pa (4 m Torr)
パワー : 2kW
(TiN層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
とすることができる。このスパッタリングによって図10の(A)に示した基体の領域に密着層が形成される。実施例3においては、開口部16内を含む絶縁層14の全面に第1の密着層30A,30Bが形成された状態で次の工程を実行する。
【0060】
[工程−320]
次いで、全面に第2の密着層32を形成する(図6の(B)参照)。即ち、開口部16内を含む絶縁層14の全面に形成された第1の密着層30A,30B上に、第2の密着層32をスパッタ法にて形成する。実施例3においては、第2の密着層32はタングステンから成る。スパッタリングの条件は、例えば、
ターゲット : W
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 1.6Pa (12 m Torr)
パワー : 2kW
とすることができる。
【0061】
[工程−330]
次に、開口部16内を含む密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図6の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、実施例1と同様とすることができる。
【0062】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、第2の密着層が露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている第2の密着層上で、タングステンの堆積が速やかに進行する。その結果、第1の密着層を構成するTiN層30B中へのWF6、あるいはWF6の分解によって発生したFの拡散が抑制される。従って、第1の密着層が絶縁層から剥離するという現象の発生を抑制することができる。
【0063】
[工程−340]
次いで、絶縁層14上に形成された各層(実施例3においては、タングステン層20、第2の密着層32及び第1の密着層30A,30B)を除去して、開口部内にタングステンプラグ20A並びに第2及び第1の密着層32,30B,30Aを残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20並びに第1及び第2の密着層30B,30A,32の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図5に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0064】
実施例3においては、Ti層/TiN層から成る第1の密着層を用いたが、代わりにTi層/TiON層から成る第1の密着層を用いることができる。
【0065】
また、第2の密着層32をタングステンの代わりに、タングステンとの反応性に優れた材料、例えば、シリコンから構成することもできる。この場合、通常のCVD法によって例えばポリシリコンから成る第2の密着層を第1の密着層上に形成すればよい。第2の密着層32をシリコンから構成することによって、高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている第2の密着層上でタングステンとシリコンとの反応が生じ、Wが生成される。その結果、第1の密着層を構成するTiN層30B中へのWF6、あるいはWF6の分解によって発生したFの拡散が抑制される。従って、第1の密着層が絶縁層から剥離するという現象の発生を抑制することができる。
【0066】
(実施例4)
実施例4は、実施例3の変形である。実施例4の半導体装置が実施例3と相違する点は、第1の密着層が下からTi層/TiON層の2層から構成されている点、及び、第2の密着層がTiNから成る点にある。また、実施例4の半導体装置の作製方法が実施例3と相違する点は、絶縁層上に形成された第1の密着層を、第2の密着層の形成前に除去する点、及び、TiNから成る第2の密着層をスパッタ法にて形成する点にある。
【0067】
実施例4の半導体装置は、図8の(D)に模式的な一部断面図を示すように、第1の密着層40A,40Bは、Ti層及びTiON層の2層から構成されている。また、第2の密着層42はTiNから成る。その他の構造は、実施例3で説明した半導体装置と同様であり、詳細な説明は省略する。実施例4の半導体装置の作製方法を、以下、図7及び図8を参照して説明する。
【0068】
[工程−400]
先ず、不純物拡散領域から成る下層導体層12Aの形成されたシリコン半導体基板から成る基体10A上に、例えばSiO2から成り厚さ500nmの絶縁層14をCVD法にて形成し、次いで、下層導体層12A上の絶縁層14に例えばフォトリソグラフィ技術及びRIE技術で開口部16を形成する(図7の(A)参照)。
【0069】
[工程−410]
その後、第1の密着層40A,40Bを、通常のスパッタ法にて開口部16内を含む絶縁層14の全面に形成する。第1の密着層は、例えば、下からTi層40A及びTiON層40Bから成る(図7の(B)参照)。スパッタリングの条件は、例えば、
(Ti層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : アルゴン
ガス圧 : 0.5Pa (4 m Torr)
パワー : 2kW
(TiON層の形成)
ターゲット : Ti
使用ガス : 窒素及び酸素
ガス圧 : 1.1Pa (8 m Torr)
パワー : 6kW
とすることができる。このスパッタリングによって図10の(A)に示した基体の領域に密着層が形成される。実施例4においては、次に、開口部16内に形成された第1の密着層以外の密着層、即ち絶縁層14上に形成された第1の密着層を除去する。
【0070】
[工程−420]
そのために、先ず、レジスト材料を全面に形成した後、レジスト材料のエッチバックを行い、絶縁層14の上方のレジスト材料層を除去し、開口部16内にレジスト材料44を残す(図7の(C)参照)。尚、開口部16内のレジスト材料層の一部分がエッチバックされてもよい。要するに、絶縁層14の上方のレジスト材料層が確実に除去されていればよい。
【0071】
その後、通常のRIE法にて、絶縁層14上の第1の密着層40B,40Aを除去する(図8の(A)参照)。場合によっては、図8の(A)に示すように、開口部16の上部側壁上の第1の密着層も除去されるが問題はなく、開口部16の底部に形成された第1の密着層40A,40Bが除去されなければよい。次いで、開口部16内のレジスト材料を除去する。
【0072】
[工程−430]
次に、開口部内を含む全面に、第2の密着層42を形成する(図8の(B)参照)。第2の密着層42はTiN層から成り、実施例1の[工程−110]と同様の条件のスパッタ法にて形成することができる。これによって、絶縁層14の上には、第2の密着層42が形成される。また、開口部16の少なくとも底部には、第1の密着層40A,40B及び第2の密着層42が形成される。
【0073】
[工程−440]
次に、開口部16内を含む密着層18上に、化学気相析出法にてタングステン層20を堆積させる(図8の(C)参照)。タングステン層20はブランケットタングステンCVD法にて形成する。このとき、被覆治具にて密着層が形成されていない基体の領域を被覆する。この被覆治具は、図10の(B)に示したように、密着層が形成されていない基体の領域だけでなく、密着層が形成された基体の一部分をも被覆する。このブランケットタングステンCVDの条件を、例えば、実施例1と同様とすることができる。
【0074】
核形成段階である第1ステップにおいては、被覆治具で被覆された基体の領域にはタングステンの核が形成されないか、形成されても僅かであり、第2の密着層が露出した状態である。高速成長段階である第2ステップにおいては、被覆治具で被覆されている密着層上にタングステンの核が形成されていないため、密着層上に吸着したWF6とH2との吸着解離が起こるまでの間に、WF6、あるいはWF6の分解によって発生したFが、第2の密着層42を構成するTiN中を拡散する。然るに、絶縁層14上には第2の密着層42が形成されているだけなので、密着層が絶縁層から剥離するという現象の発生を抑制することができる。
【0075】
[工程−450]
次いで、絶縁層14上に形成された各層(実施例4においては、タングステン層20及び第2の密着層32)を除去して、開口部内にタングステンプラグ20A並びに第2及び第1の密着層30B,30Aを残し、接続孔22を形成する。絶縁層14上のタングステン層20並びに第2の密着層42の一部は、必要に応じて残してもよい。こうして、図8の(D)に示した半導体装置が作製される。この半導体装置の絶縁層上には、更に、例えばAl系合金から成る上層導体層をスパッタ法等によって形成する。
【0076】
(実施例5)
図9に模式的な一部断面図を示す実施例5の半導体装置は、実施例4にて説明した半導体装置の変形である。実施例4ではTi層/TiON層から成る第1の密着層を用いたが、実施例5においては、その代わりにTiON層の単層から成る第1の密着層40を用いている。また、基体10は半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁層であり、下層導体層12は、具体的には、基体10上に形成されたAl系合金から成る配線層あるいは電極である。
【0077】
更に、実施例1の変形例にて説明したと同様に、必要に応じて、下層導体層12上にTiN、TiON又はTiWから成る導電層24が形成されていることが望ましい。この導電層24は、[工程−400]に先立ち、スパッタ法にて形成することができる。即ち、下層導体層12がAl系合金から成る場合、スパッタ法にてAl系合金層を基体10上に堆積させた後、スパッタ法にて導電層24をAl系合金層上に形成する。その後、導電層24及びAl系合金層を選択的に除去して、下層導体層12及びその上に形成された導電層24を得ることができる。
【0078】
実施例5の半導体装置は、実施例4にて説明した半導体装置の作製方法と基本的には同様の方法で作製することができ、その詳細な説明は省略する。尚、第1の密着層をTiON単層の代わりに、Ti層及びTiON層の2層から構成することもできる。
【0079】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。絶縁層14は、SiO2以外にも、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SbSG、あるいはSiN等の公知の絶縁材料から構成することができる。絶縁層14に開口部16を形成した後、絶縁層14を構成する材料によっては、絶縁層14に約900゜Cで30分間程度の熱処理を行い、絶縁層14の表面を平坦化してもよい。
【0080】
密着層あるいは第1及び第2の密着層の形成は、マグネトロンスパッタリング装置、DCスパッタリング装置、RFスパッタリング装置、ECRスパッタリング装置、また基板バイアスを印加するバイアススパッタリング装置等各種のスパッタリング装置にて行うことができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明においては、絶縁層からの密着層の剥離を効果的に防止することができる。密着層の形成後、ブランケットタングステンCVD法の実行の前に、RTA処理を行う必要がなくなるので、密着層にクラックが生じるという問題を回避することができる。更に、下層導体層がAl系合金から成る場合にRTA処理を行うとAl系合金が溶融するという問題も回避することができるし、接続孔と下層導体層との間のコンタクト抵抗の増加、あるいは接続孔と下層導体層のコンタクトが非オーミック性を示すという問題が解決される。
【0082】
また、第2の態様に係る半導体装置の作製方法を採用することによって、コンタクト抵抗の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図2】実施例1の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図3】実施例1の半導体装置の変形の模式的な一部断面図である。
【図4】実施例2の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図5】実施例3の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図6】実施例3の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図7】実施例4の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図8】図7に引き続き、実施例4の半導体装置の作製方法を説明するための、各作製工程における半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図9】実施例5の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図10】スパッタリング後の密着層の形成状態、及びCVD時の被覆治具による密着層の被覆状態を示す模式的な平面図である。
【図11】密着層の絶縁層からの剥離メカニズムを示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
10,10A・・・基体、12,12A・・・下層導体層、14・・・絶縁層、16・・・開口部、18,18A,18B・・・密着層、20・・・タングステン層、20A・・・タングステンプラグ、22・・・接続孔、24・・・導電層、30A,30B,40A,40B・・・第1の密着層、32,42・・・第2の密着層、44・・・レジスト材料
Claims (2)
- 基体に形成された下層導体層と、該下層導体層を被覆する絶縁層と、絶縁層上に形成すべき上層導体層と該下層導体層とを電気的に接続するための絶縁層内に形成された接続孔を有する半導体装置であって、
該接続孔は、該接続孔の少なくとも底面に形成された、下からTi層/TiON層から成る第1の密着層と、該第1の密着層上に形成された、シリコンから成る第2の密着層と、接続孔内部に堆積されたタングステンプラグとから成ることを特徴とする半導体装置。 - (イ)下層導体層の形成された基体上に絶縁層を形成し、次いで、該下層導体層上の絶縁層に開口部を形成する工程と、
(ロ)開口部内含む全面に、下からTi層/TiON層の2層から構成された第1の密着層をスパッタ法にて形成する工程と、
(ハ)全面に、シリコンから成る第2の密着層を形成する工程と、
(ニ)第2の密着層上に化学気相析出法にてタングステン層を堆積させる工程と、
(ホ)絶縁層上に形成された各層を除去して、開口部内にタングステンプラグ並びに第2及び第1の密着層を残し、以って接続孔を形成する工程、
から成ることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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