JP3730401B2 - パネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びそれらの製造方法 - Google Patents

パネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びそれらの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車外板パネルなどに要求されるパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車外板用鋼板には、優れた成形性、パネル成形後の形状性および耐デント性(局部的な凹みに対する抵抗)が要求される。プレス成形性は、鋼板の素材降伏強度、伸び、n値(加工硬化指数)などの指標で評価される。また、パネル形状性ならびに耐デント性は素材降伏強度、加工および塗装焼き付け処理後の降伏強度でしばしば評価される。鋼板の降伏強度が低くなると、プレス成形性が良好となる反面、パネル成形後の耐デント性には不利である。しかし、逆に降伏強度が高くなると、耐デント性には有利であるが、しわ、われ等のプレス成形上の問題が生じる。したがって、自動車外板用鋼板としては、プレス成形時には低降伏点を有し、パネル成形、焼き付け塗装後には高い降伏強度を有する鋼板が切望されてきた。このような降伏強度の観点において、二律相反する要求を満足する冷延鋼板として、鋼中炭素(C)のひずみ時効現象を利用した塗装焼き付け硬化型冷延鋼板(Bake−Hardenable Steel,以降BH鋼板と称す)が開発された。
【0003】
とくに高深絞り性を有するBH鋼板として、Cが50ppm程度の極低炭素鋼をベースにNb、Ti等の炭窒化物形成元素をC当量比で1以下添加した冷延鋼板の製造方法が知られている。例えば特公昭60−46166号公報にはNbまたはTi添加の極低炭素鋼を900℃近い高温で焼鈍する技術が開示されている。
【0004】
また、特開昭61−276928号公報には700〜850℃付近の温度域で焼鈍することによってNb添加極低炭素系BH鋼板を製造する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭60−46166号公報の技術はBH性とr値を高める点では好ましいが、高温焼鈍であるため、フェライト粒の粗大化に起因した表面肌荒れが懸念されるばかりか、鋼板自体軟質化しているため、高いBH性が得られたとしても、プレス成形および塗装焼き付け処理後の降伏強度は決して高いとは言い難い。一方、特開昭61−276928号公報の技術は前者よりも比較的焼鈍温度が低いため、表面性状、素材降伏強度の確保の点では好ましいが、r値、BH性の向上には限界がある。また、このような従来技術はいずれも耐デント性の向上を目的として鋼板の高BH化に主眼を置いた技術であるため、耐常温時効性の劣化(常温保管時の降伏点伸びの発現に起因したプレス成形時のストレッチャーストレインの発生)が懸念される。このため、実用上の観点からBH量は60MPa以下に抑えられているのが実情である。
【0006】
このように従来技術で製造された冷延鋼板では、自動車外板用鋼板に要求される良好な表面性状、耐常温時効性、パネル耐デント性を充分に満足したものとは言い難い。
【0007】
本発明の目的は、自動車外板用鋼板に求められる優れた鋼板表面性状、耐常温時効性、パネル耐デント性を兼備した冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いている。
(1)本発明の冷延鋼板は重量%で、C:0.004〜0.015%と、Si:0.01〜0.2%と、Mn:0.1〜1.5%と、P:0.01〜0.07%と、S:0.005〜0.015%と、sol.Al:0.01〜0.08%と、N≦0.005%と、さらに、Nb:0.04〜0.12%、Ti:0.045〜0.1%のうち一種以上とを下記(1)式を満たす範囲で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、(Ar −100)℃以上で仕上圧延された鋼板であり、かつ下記(2)式を満足することを特徴とするパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板である。
【0009】
−0.001≦C%−(12/93)Nb%−(12/48)Ti* ≦0.001 …(1)
但し、Ti* =Ti%−(48/14)N%−(48/32)S%、Ti* ≦0の時、Ti* =0とする。
exp(ε)×(5.29×exp(ε)−4.19)≦σ/σ0.2 ≦exp(ε)×(5.64×exp(ε)−4.49) …(2)
但し、0.002<ε≦0.096、εは真ひずみ、σ0.2 は0.2%耐力、σはεに対する真応力。
(2)本発明の冷延鋼板は、重量%で、さらに、B:0.0001〜0.002%を含有していることを特徴とする、上記(1)に記載のパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板である。
【0010】
(3)本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、上記(1)または(2)に記載の冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施してなる、パネル表面形状と耐デント性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0011】
(4)本発明の製造方法は、上記(1)または(2)に記載の冷延鋼板を製造する方法において、
鋼を溶製、連続鋳造した後、(Ar3 −100)℃以上で仕上圧延を行い、500〜700℃で巻取る工程と、
巻き取られた熱延鋼帯に対し、冷間圧延、連続焼鈍を施す工程と、
を備えたことを特徴とするパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板の製造方法である。
【0012】
(5)本発明の製造方法は、上記(3)に記載の溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法において、
鋼を溶製、連続鋳造した後、(Ar3 −100)℃以上で仕上圧延を行い、500〜700℃で巻取る工程と、
巻き取られた熱延鋼帯に対し、冷間圧延、連続溶融亜鉛めっきを施す工程と、を備えたことを特徴とするパネル表面形状と耐デント性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者は、自動車外板用鋼板に求められる優れた鋼板表面性状、耐常温時効性、パネル耐デント性を兼備した冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びそれらの製造方法を得るために、鋭意研究を重ねた。
【0014】
その結果、高BH化を図ることにより自動車外板パネルに要求される耐デント性を向上させる従来技術とは違って、パネル成形時の低ひずみ域での加工硬化挙動に重点を置いた材料設計によってパネル耐デント性の向上が可能であること、さらに、敢えてBH性を抑制することで鋼板に良好な表面性状と耐常温時効性を付与できるという知見が得られた。このような特性を有する鋼板は、パネル成形時の低ひずみ域での加工硬化挙動に影響する炭化物を形成するC,Nb,Tiの添加量及び鋼板の熱間圧延条件(仕上温度、巻取温度)を一定範囲内に制御して、鋼の真ひずみεが0.002超え0.096以下の範囲における流動応力σと0.2%耐力σ0.2 との比(σ/σ0.2 )を一定範囲内に制御することにより得られることが判った。
【0015】
以上の知見に基づき、本発明者は、C,Nb,Ti量、引張試験における流動応力と0.2%耐力との比、及び鋼の熱間圧延条件を一定範囲内に制御するようにして、パネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びそれらの製造方法を見出し、本発明を完成させた。
【0016】
すなわち、本発明によれば、鋼組成、引張特性、及び製造条件を下記範囲に限定することにより、自動車外板用鋼板に求められる優れた鋼板表面性状、耐常温時効性、パネル耐デント性を兼備した冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板を安定して得ることができる。
【0017】
以下に、本発明の成分添加理由、成分限定理由、引張特性の限定理由及び製造条件の限定理由について説明する。
(1)成分組成範囲
C:0.004〜0.015%
NbまたはTiと形成される炭化物はパネル成形時の低ひずみ域での加工硬化に影響をおよぼし、耐デント性の向上に寄与する。該効果はCが0.004%未満では得られない。また、0.015%を超えると、パネル耐デント性は向上するものの、パネル形状の悪化を引き起こす。このため、C量は0.004〜0.015%の範囲である。
【0018】
Si:0.01〜0.2%
Siは鋼の強化に有効な添加元素であるが、0.01%未満では固溶強化能は得られない。また、0.2%超では鋼板の表面性状の悪化をまねくばかりか、溶融めっき処理後にすじむら状の表面欠陥が発生する。このため、Si量は0.01〜0.2%の範囲である。
【0019】
Mn:0.1〜1.5%
MnはSを析出固定し、熱間延性の劣化を抑制する元素である。また、鋼の強化に有効であるため、添加を要する。0.1%未満では、熱間脆性を引き起こす。また、1.5%を超える添加は、素材鋼板の硬質化およびパネル形状性の劣化をもたらす。このため、Mn量の下限は0.1%、上限は1.5%である。
P:0.01〜0.07%
Pは鋼の固溶強化能に最も優れた元素であり、0.01%以上の含有量を必要とする。0.01%未満では、強化能が小さく、また、0.07%を超える含有量は延性の劣化を引き起こすばかりか、連続溶融亜鉛めっき処理過程での合金化処理時にめっき不良をもたらす。このため、P含有量は0.01〜0.07%の範囲である。
【0020】
S:0.005〜0.015%
Sは0.015%を超えると鋼の熱間脆性を引き起こすため、0.015%が上限である。また、0.005%未満とすることは、溶銑の脱硫処理、溶鋼の脱ガス処理のコストデメリットを招く。このため、S含有量は0.005〜0.015%の範囲である。
【0021】
sol.Al:0.01〜0.08%
Alは鋼の脱酸のため、添加される。0.01%未満では脱酸に不十分であり、また、0.08%を超えると、表面性状の劣化を引き起こす。このため、上限および下限は各々0.08%、0.01%である。
【0022】
N≦0.005%
NはTiNとして固定される。しかし、含有量が0.005%を超えると、耐常温時効性が劣化するため、0.005%以下である。
【0023】
Nb:0.04〜0.12%
NbはCと結合して、微細炭化物を形成する。該炭化物は、パネル成形時の加工硬化挙動に影響を与え、パネル耐デント性の向上に寄与する。0.02%未満の添加では、該効果は得られない。また、0.12%を超えると、耐デント性は向上する反面、スプリングバック、面ひずみ等のパネル形状性の劣化が生じる。本発明では、Nb添加量は実験結果をも考慮して0.04〜0.12%の範囲である。
Ti:0.045〜0.1%
TiはNbと同様、微細炭化物を形成する。この炭化物は成形パネルの耐デント性の向上に大きく寄与する。しかし、0.03%未満の添加では該効果は小さく、また、0.1%を超える添加はパネル形状性の劣化をもたらすとともに、溶融亜鉛めっき性の悪化を引き起こす。本発明では、Ti添加量の上限と下限は実験結果をも考慮して各々0.1%、0.045%である。
【0024】
−0.001≦C%−(12/93)Nb%−(12/48)Ti* ≦0.001(但し、Ti* =Ti%−(48/14)N%−(48/32)S%、Ti* ≦0の時、Ti* =0とする。)
C、Nb、Tiで規定されるC%−(12/93)Nb%−(12/48)Ti* (ここでTi* =Ti%−(48/14)N%−(48/32)S%、Ti* ≦0の時、Ti* =0とする)の上限と下限が各々0.001%、−0.001%であるのは、0.001%を超えると耐常温時効性が劣化するためであり、−0.001%未満では固溶Nbまたは固溶Ti量が増加し、鋼板の表面性状、素材の高降伏点化に起因したパネル形状性の劣化が生じるためである。
【0025】
本発明では、さらに耐2次加工脆性及び耐デント性向上の目的に応じてBを以下の範囲で含有してもよい。
B:0.0001〜0.002%
Bを添加すると、結晶粒界が強化され、また、フェライトが細粒化される。前者は、耐2次加工脆性の向上、後者は素材降伏強度の絶対値確保にともなった耐デント性の向上をもたらす。しかしながら、0.0001%未満の添加では両効果は得られない。また、0.002%を超えると、高降伏点化にともなったパネル形状性の悪化を引き起こす。このため、B添加量は0.0001〜0.002%の範囲である。
【0026】
(2)引張特性
exp(ε)×(5.29×exp(ε)−4.19)≦σ/σ0.2 ≦exp(ε)×(5.64×exp(ε)−4.49)
(但し、0.002<ε≦0.096、εは真ひずみ、σ0.2 は0.2%耐力、σはεに対する真応力。)
上記(1)の成分組成範囲と残部が実質的にFe及び不可避的不純物とからなる鋼組成を有する本発明鋼では、真ひずみεが0.002〜0.096(ただし0.002は含まない)の範囲における、引張試験で得られる流動応力σと0.2%耐力σ0.2 との比(σ/σ0.2 )はexp(ε)×(5.29×exp(ε)−4.19)〜exp(ε)×(5.64×exp(ε)−4.49)の範囲である。
【0027】
これは、σ/σ0.2 が下限値未満では図2〜図4に示すように、耐デント荷重2%P0.1、4%0.1、8%P0.1(各々2,4,8%のひずみを与え、図1に示すモデルパネルに成形、170℃で20分の熱処理を施したのち、0.1mmの残留へこみを与える荷重を測定)が160〜210Nと高くなる反面、スプリングバックδ(成形ひずみが2%のパネルについて測定)が7〜11%と大きくなるため、パネル成形時の形状は好ましくない。また、上限値を超えると、スプリングバックは1〜5%と小さいが、耐デント荷重が140〜165Nと低くなり、耐デント性の向上が望めないからである。
【0028】
上記(1)の成分組成範囲及び(2)の引張特性に調整することにより、自動車外板用鋼板に求められる優れた鋼板表面性状、耐常温時効性、パネル耐デント性を兼備した冷延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板を得ることが可能となる。
【0029】
このような特性の鋼板は、以下の製造方法により製造することができる。
(3)鋼板製造工程
まず上記(1)の成分の鋼を溶製する。溶製方法は転炉法が一般的であるが、電気炉法でも差し支えない。溶鋼を連続鋳造した後、該スラブを鋳造後直ちに、または、冷却したスラブを1050℃以上に加熱した後、熱間圧延に供する。熱間圧延は仕上温度を(Ar3 −100)℃以上とし、巻取温度を500〜700℃の条件とする。これは、図5に示すように、仕上げ温度が(Ar3 −100)℃未満では、2%P0.1(2%のひずみを付与したモデルについて測定)が140〜155Nと低く、パネル耐デント性の向上が得られない。また、巻取温度が500℃未満または700℃超では156〜175NとP0.1は高いがWca(ろ波中心線平均うねり、測定長さ:25mm、同パネルの頂点付近の任意10箇所を測定し、平均値を取った)は0.2超〜0.6μmと大きく、パネル形状性は劣っているためである。
【0030】
つづいて、熱延鋼帯を酸洗、冷間圧延、連続焼鈍または連続焼鈍後、溶融亜鉛めっき処理を施す。鋼板の深絞り性を確保するため、冷間圧延率は70%以上が好ましい。また、焼鈍は930℃以下でフェライト単相の再結晶温度域が望ましい。また、溶融亜鉛めっき処理のみに限らず、連続焼鈍で得られた鋼板にりん酸亜鉛処理、電気亜鉛めっきなどの表面処理を施しても、得られた鋼板に何ら特性上の問題は生じない。
以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証する。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す成分の鋼(No.1〜9,No.11〜13,No.15:本発明鋼、No.10,14参考鋼、No.16〜29:比較鋼)を実験室にて溶製し、板厚60mmの連続鋳造スラブとした。該スラブを板厚30mmまで分塊圧延したのち、1100℃で1hr大気中で加熱し、熱間圧延に供した。粗圧延後、890℃で仕上圧延を終了し、600℃で巻取シミュレーションを施し、板厚3mmの熱延板を作製した。つづいて、熱延板を酸洗し、板厚0.75mmまで冷間圧延を行ない、850℃で90秒の連続焼鈍または850℃で90秒の焼鈍後、460℃で亜鉛めっき処理を施し、合金化処理を500℃で行った。該焼鈍板または溶融めっき鋼板に1.0%の調質圧延を施し、実験用サンプルを作製した。本サンプルを用いて、引張試験(JIS5号試験片、JIS Z 2241に準拠)、2%BH量(JIS G 3135に準拠)およびΔYPel(調質圧延後、25℃で6ケ月間保管したサンプルの降伏点伸びの回復量)の測定を行なった。また、図1に示すモデルパネル(成形ひずみ:2,4,8%の3水準で成形)に成形し、該パネルに170℃、20分の熱処理を施したのち、パネル耐デント性および形状性を調査した。耐デント性は、0.1mmの残留へこみを与える荷重P0.1(以降、2,4,8%成形ひずみのパネルに対して、各々2%P0.1、4%P0.1、8%P0.1と称す)で評価した。また、パネル形状性はスプリグバック量δ(2%ひずみを与えた成形パネルとプレス型の曲率半径R′,Rを用いて、(R′/R−1)×100で定義し、δ≦6%の場合に○、δ=7〜10%の場合に△、δ>10%の場合に×とする)とろ波中心線平均うねりWca(JIS B 0610に準拠。同モデルパネルの頂点付近において任意10箇所につき、一箇所あたり25mm長さのWcaを測定し、10点の平均データを取り、Wca≦0.2μmの場合に○、Wca=0.2超〜0.4μmの場合に△、Wca=0.4超〜0.6の場合に×とする)で評価した。
【0032】
表2に測定および評価結果を示す。本発明鋼及び参考鋼No.1〜15は、2%BH量は0〜26MPa未満であり、ΔYPelはいずれも0%である。2%P0.1、4%P0.1、8%P0.1はC量が0.0025%で、2%BH量が36〜38MPaの比較鋼No.16と比較すると、150〜180N、160〜192N、175〜208Nと高く、パネル耐デント性は良好である。また、δ≦6%(評価○)、Wca<0.2μm(評価○)であることから、パネル形状性は好ましい。さらに、ΔYPelについては、図6に調質圧延後、25℃で18ケ月間まで保管したサンプル(本発明鋼No.6と比較鋼No.18)の降伏点伸びの回復量を測定した結果を示す。保管時間18ケ月においても本発明鋼No.6はΔYPel=0.2%未満と優れた耐常温時効性を示す一方、比較鋼No.18はΔYPel=2.2%と耐常温時効性が大きく劣化していることがわかる。
【0033】
比較鋼No.16〜29は本発明成分範囲外であり、2%P0.1、4%P0.1、8%P0.1は140〜195N、151〜202N、160〜213Nと高く、パネル耐デント性は良好である。しかし、比較鋼No.16、18、19、23、24、29は2%BHが33〜45MPaであり、ΔYPel≧0.2%、Wca>0.2μmである。このため、耐常温時効性およびパネル形状性は本発明例に比べて劣化している。また、比較鋼No.17、20〜22、25〜28はΔYPel=0%であるため、耐常温時効性は良好である。しかし、δ≧7%と高いため、パネル形状性は悪い。
【0034】
【表1】
Figure 0003730401
【0035】
【表2】
Figure 0003730401
【0036】
【表3】
Figure 0003730401
【0037】
【表4】
Figure 0003730401
【0038】
(実施例2)
表1に示す鋼No.2とNo.14の成分を有する鋼を実験室にて溶解、鋳造し、50mmのスラブを作製した。該スラブを20mm厚まで分塊圧延した後、大気中で1200℃、1時間加熱し、引き続き板厚2.8mmまで熱間圧延(仕上温度:750〜930℃)を施し、巻取処理(440〜750℃)を行なった。この熱延板を酸洗したのち、板厚0.75mmまで冷間圧延を行ない、つづいて連続焼鈍(800℃で90秒均熱)後、調質圧延(1.4%)を施した。このようにして作製した薄鋼板を図1に示すモデルパネル(2%,4%,8%の相当ひずみを付与)に成形し、塗布焼き付け相当の熱処理(170℃、20分)を施した。該パネルの耐デント性(2%,4%,8%の3水準のパネル)および形状性(2%ひずみのパネルのみ)を評価した結果を表3に示す(本発明例:No.4〜7,9〜12,15〜18,20,21,参考例:27〜29,32〜34,36〜39、比較例:No.1〜3,8,13,14,19,22〜26,30,31,35,40)。比較例No.1〜3、No.23〜26は、仕上温度が本発明範囲外の(Ar3 −100)℃未満であるため、2%〜8%P0.1は140〜158N、140〜165N、Wcaが0.38〜0.43μm、0.37〜0.59μmであり、良好なパネル耐デント性および形状性は得られない。比較例No.8,14,31,35は、巻取温度が本発明範囲外の500℃未満であるため、2〜8%P0.1がいずれも160〜189Nの範囲内にあり、耐デント性は良好であるが、Wcaが0.23〜0.45μm、δ=7〜8%であり、パネル形状性は劣っている。
【0039】
また、比較例No.13,19,22,30,40は、巻取温度が本発明範囲外の700℃超であるため、2〜8%P0.1がいずれも145〜166Nの範囲内にあり、耐デント性は好ましくない。また、Wcaが0.33〜0.42μmであり、パネル形状性は悪い。
【0040】
一方、本発明例No.4〜7,9〜12,15〜18,20,21,27〜29,32〜34,36〜39は仕上温度及び巻取温度が本発明範囲内であるため、2〜8%P0.1がいずれも153〜188Nの範囲内であり、パネル耐デント性は良好である。また、本発明例はいずれもδ≦5%、Wca<0.2μmであり、形状性は好ましい。
【0041】
【表5】
Figure 0003730401
【0042】
【表6】
Figure 0003730401
【0043】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、鋼組成、引張特性及び製造条件を特定することにより、自動車外板用鋼板に求められるパネル耐デント性、表面形状性および耐常温時効性を満足した冷延鋼板ならびに溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することが可能である。従って、本発明の鉄鋼産業および自動車産業における利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る耐デント性及び形状性を評価するための実験の説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係るP0.1(2%〜8%ひずみを与えたパネルの耐デント荷重)とδ(2%パネルのスプリングバック量)におよぼすσ/σ0.2 、exp(ε)と成分の影響を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係るP0.1(2%〜8%ひずみを与えたパネルの耐デント荷重)とδ(2%パネルのスプリングバック量)におよぼすσ/σ0.2 、exp(ε)と成分の影響を示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係るP0.1(2%〜8%ひずみを与えたパネルの耐デント荷重)とδ(2%パネルのスプリングバック量)におよぼすσ/σ0.2 、exp(ε)と成分の影響を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る2%ひずみ付与パネルのP0.1、δ、Wca(ろ波中心線平均うねり)に対する仕上温度と巻取温度の影響を示す図。
【図6】本発明の実施例に係るΔYPel(調質圧延後、25℃で保管した場合のYPelの回復量)におよぼす保管時間の影響を示す図。

Claims (5)

  1. 重量%で、C:0.004〜0.015%と、Si:0.01〜0.2%と、Mn:0.1〜1.5%と、P:0.01〜0.07%と、S:0.005〜0.015%と、sol.Al:0.01〜0.08%と、N≦0.005%と、さらに、Nb:0.04〜0.12%、Ti:0.045〜0.1%のうち一種以上とを下記(1)式を満たす範囲で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、(Ar −100)℃以上で仕上圧延された鋼板であり、かつ下記(2)式を満足することを特徴とするパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板。
    −0.001≦C%−(12/93)Nb%−(12/48)Ti* ≦0.001 …(1)
    但し、Ti* =Ti%−(48/14)N%−(48/32)S%、Ti* ≦0の時、Ti* =0とする。
    exp(ε)×(5.29×exp(ε)−4.19)≦σ/σ0.2 ≦exp(ε)×(5.64×exp(ε)−4.49) …(2)
    但し、0.002<ε≦0.096、εは真ひずみ、σ0.2 は0.2%耐力、σはεに対する真応力。
  2. 重量%で、さらに、B:0.0001〜0.002%を含有していることを特徴とする、請求項1に記載のパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施してなる、パネル表面形状と耐デント性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 請求項1または2に記載の冷延鋼板を製造する方法において、鋼を溶製、連続鋳造した後、(Ar3 −100)℃以上で仕上圧延を行い、500〜700℃で巻取る工程と、巻き取られた熱延鋼帯に対し、冷間圧延、連続焼鈍を施す工程と、を備えたことを特徴とするパネル表面形状と耐デント性に優れた冷延鋼板の製造方法。
  5. 請求項3に記載の溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法において、鋼を溶製、連続鋳造した後、(Ar3 −100)℃以上で仕上圧延を行い、500〜700℃で巻取る工程と、巻き取られた熱延鋼帯に対し、冷間圧延、連続溶融亜鉛めっきを施す工程と、を備えたことを特徴とするパネル表面形状と耐デント性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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