JP3730069B2 - 油圧エレベーターの床沈み自動測定装置 - Google Patents

油圧エレベーターの床沈み自動測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧エレベーターの油漏れによるかごの沈み量を自動的に測定する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧エレベーターは、油圧ジャッキへ油を供給することによりかごを上昇させ、油圧ジャッキから油を排出することによりかごを下降させるものである。油圧エレベーターでは、油圧ジャッキのパッキング部の油漏れが多少あり、この油は戻り管を通じて油タンクへ戻すようにしている。この油漏れのため、停止中のかごに多少の沈下(以下床沈みという)が生じる。
【0003】
そこで、油圧ジャッキのパッキング部分の油漏れを含めた油圧バルブや接続部など油圧回路の油漏れを管理するため、かご床沈み量を測定することが必要となる。この床沈み量が大きいことは、油漏れが大きいことを意味し、運行不良等の不具合が発生することになる。
図4は従来の油圧エレベーターの床沈み量の測定手順を示すフローチャートである。
【0004】
ステップS31でかごを最下階に戸を開いて停止させ、かご内に負荷変動を与えないようにして、かご位置レベル誤差が測定できる状態で休止させ、通常運転ができないようにする。ステップS32でかご床と乗場床の段差、すなわちかご位置レベルを測定し、測定値をAとする。ステップS33で所定時間t3(例えば15分程度)経過後のかご床と乗場床の段差を測定し、測定値をBとする。ステップS34でC=A−Bとして所定時間t3の床沈み量Cを計算する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の油圧エレベーターの床沈み量の測定手段では、かごを休止状態にして測定しているため、かごを通常運転することはできない。また、かご内に負荷変動を与えることができないため、所定時間t3内は他の作業が制限されるという問題点がある。
【0006】
この発明は上記問題点を解消するためになされたもので、かごを休止させることなく、床沈み量を測定できるようにした油圧エレベーターの床沈み自動測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1発明に係る油圧エレベーターの床沈み自動測定装置は、位置検出器によってかごの位置を検出し、閑散時間帯にかごを所定階へパーク運転して停止させ、位置検出器の出力を検出し、このかごが所定時間戸閉め状態を継続すれば、所定時間の終了時位置検出器の出力を検出し、この位置検出器の出力の差を演算するようにしたものである。
【0008】
また、第発明に係る油圧エレベーターの床沈み自動測定装置は、第発明のものにおいて、演算された床沈み量が所定値以上になると、これを通報するようにしたものである。
【0009】
また、第3発明に係る油圧エレベーターの床沈み自動測定装置は、かごの位置を出力する位置検出器と、人為的に操作される点検スイッチとを設け、かごが所定階に停止した状態で点検スイッチを操作して特殊モードを設定し、この特殊モードが設定されると、位置検出器の出力を検出し、このかごが所定時間戸閉め状態を継続すれば、所定時間の終了時位置検出器の出力を検出し、この位置検出器の出力の差を演算するようにしたものである。
【0010】
また、第発明に係る油圧エレベーターの床沈み自動測定装置は、第又は第発明のものにおいて、演算された床沈み量を集積するようにしたものである。
【0011】
また、第発明に係る油圧エレベーターの床沈み自動測定装置は、第発明のものにおいて、集積された床沈み量を携帯表示器で表示するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2はこの発明の第1、第及び第発明の一実施の形態を示す図で、図1は全体構成図、図2は動作フローチャートである。
図1において、1は油圧エレベーターのかご、2は昇降路内に立設された油圧ジャッキ、3は油圧ジャッキ2により昇降するプランジャ、4はプランジャ3の上端に枢着された駆動綱車、5は駆動綱車4に巻き掛けられ、一端が固定部に他端がかご1にそれぞれ結合された主索である。
【0013】
6は昇降路底部に枢持された綱車、7は昇降路天井部に枢持された綱車で、綱車6,7にロープ8が無端状に巻き掛けられ、ロープ8の一側はかご1に結合されている。9は綱車6により駆動されロープ8の移動量(距離)に対応する位置データを発生する位置検出器、10は位置検出器9が接続された制御盤、11は位置検出器9に接続され、かご1の運転を制御する制御部、12は位置検出器9に接続され床沈み量を演算する床沈み量演算部である。
【0014】
13はかご1の運行不良等を通報する通信装置、14は一般電話回線、15は故障等を受け付けている情報センタ、16は携帯可能に構成され点検時に制御部11に接続すると、各データが表示される携帯表示器である。
【0015】
次に、この実施の形態の動作を説明する。まず、油圧エレベーター本体の動作の概要を説明する。
かご1の上昇指令時、油圧ジャッキ2に圧油が供給されると、プランジャ3が上昇し、駆動綱車4及び主索5を介してかご1は上昇する。かご1の上昇に伴ってロープ8は移動し、綱車6を介して位置検出器9が回転する。かご1の下降指令時、油圧ジャッキ2の圧油が排出されると、かご1は自重で降下し、各部の動作は上述と反対となる。
【0016】
これで、位置検出器9はロープ8の移動量に対応するパルス、すなわちかご1の位置データを発生する。制御部11はこの位置データから一定時間の移動量を演算してかご1の走行速度を求め、かご1の運行を制御するが、この発明とは直接関係はないので、詳細は省略する。
【0017】
次に、床沈み量の自動測定動作を図2を参照して説明する。
(1) ステップS1で閑散時間帯になるのを待つ。例えば、かご1が非使用状態となり、所定時間t1(例えば3分)が経過すると、省エネルギーモード(かご1内の照明灯を消灯する。)になったと判断して、閑散時間帯と判定する。
(2) 閑散時間帯と判定すると、ステップS2で所定時間t2(例えば24時間)以内に床沈み量を集積したかを判定する。
【0018】
(3) 集積していればステップS1へ戻る。集積していなければステップS3へ進み、床沈み量を測定するため、所定階(例えば最下階)へのパーク運転指令を出す。
(4) 床沈み量を過去のものと比較するため、ステップS4で油温検出器(図示しない)の信号を入力して油温を集積する。
(5) ステップS5で位置検出器9の位置データを蓄積する。(蓄積値A1)
(6) ステップS6で床沈み量測定のため、所定時間t3(例えば15分)最下階で戸閉め状態が継続しているかを判定する。
【0019】
(7) 上記(6)の状態が継続していなければステップS1へ戻る。継続していればステップS7へ進み、位置検出器9の位置データを蓄積する。(蓄積値B1)
(8) ステップS8で次式により床沈み量C1を演算する。
C1=A1−B1
【0020】
(9) ステップS9で床沈み量C1のデータを集積する。
(10) ステップS10で床沈み量C1が所定値(例えば30mm)以上かを判定する。
(11) 所定値未満であればステップS1へ戻る。所定値以上になっていればステップS11へ進み、かご1の運行不良と判定し、情報センタ15へ自動通報する。これで、情報センタ15は各現場からの異常信号を受信して、故障修理の手配をする。
【0021】
なお、有人点検時、携帯表示器16を制御部11に接続することにより、自動測定して集積された床沈み量C1を見ることができる。
ここで、ステップS1,S3はパーク運転手段、ステップS5〜S8は床沈み量演算手段、ステップS9は床沈み量集積手段、ステップS10は床沈み量検出手段、ステップS11は異常通報手段を構成している。
【0022】
このようにして、閑散時間帯にかご1を停止させ、所定時間戸閉め状態を隔ててかご1の位置データA1,B1を測定し、その差から床沈み量C1を演算するようにしたため、床沈み量は自動測定により集積され、精度の高い測定値が得られ、有人点検を削除することが可能となる。
また、床沈み量C1が異常になると、これを通報するようにしているため、油漏れ等の発生を早期に知ることが可能となる。また、床沈み量C1を集積し、かつこれを携帯表示器16により表示させるようにしているため、いつでも床沈み量C1を知ることが可能となる。
【0023】
実施の形態2.
図3はこの発明の第発明の一実施の形態を示す動作フローチャートである。なお、図1は実施の形態2にも共用する。
この実施の形態は、有人点検時に床沈み量を自動測定するものである。
【0024】
(1) ステップS21で特殊モードの条件が成立するのを待つ。すなわち、制御盤10内に設けられた点検スイッチ(図示しない)がオンとなり、かつかご1が所定階(例えば最下階)で手動モードとなって、戸閉スイッチ(図示しない)がオフとなると特殊モードが成立する。
【0025】
(2) ステップS22〜S27は図2のステップS4〜S9と同様であり、油温を集積し、所定時間t3の開始時刻及び終了時刻における位置検出器9からの位置データの蓄積値A2,B2を求め、A2−B2から床沈み量C2を演算して、床沈み量C2を集積する。
ここで、ステップS21は特殊モード設定手段、S23〜S26は床沈み量演算手段を構成している。
【0026】
このようにして、特殊モード時床沈み量C2を演算するようにしたため、床沈み量は自動測定して集積され、精度の高い測定値が得られ、有人点検を削除することが可能となる。
また、実施の形態1で説明したように床沈み量C2を携帯表示器16で知ることが可能となる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したとおりこの発明の第1発明では、位置検出器によってかごの位置を検出し、閑散時間帯にかごを所定階へパーク運転した後、位置検出器の出力を検出し、このかごが所定時間戸閉め状態を継続すれば、所定時間の終了時位置検出器の出力を検出し、この位置検出器の出力の差を演算するようにしたので、床沈み量は自動測定され、精度の高い測定値を得ることができ、有人点検を削除することができる。
【0028】
また、第発明では、演算された床沈み量が所定値以上になると、これを通報するようにしたので、油漏れ等の発生を早期に知ることができ、事故発生を未然に防止することができる。
【0029】
また、第3発明では、位置検出器によってかごの位置を検出し、かごが所定階に停止した状態で点検スイッチを操作して特殊モード設定されると、位置検出器の出力を検出し、このかごが所定時間戸閉め状態を継続すれば、所定時間の終了時位置検出器の出力を検出し、この位置検出器の出力の差を演算するようにしたので、床沈み量は自動測定され、精度の高い測定値を得ることができ、有人点検を削除することができる。
【0030】
また、第発明では、演算された床沈み量を集積し、第発明では、集積された床沈み量を携帯表示器で表示するようにしたので、いつでも床沈み量を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1及び実施の形態2を示す全体構成図。
【図2】 この発明の実施の形態1を示す動作フローチャート。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す動作フローチャート。
【図4】 従来の油圧エレベーターの床沈み量の測定手順を示す動作フローチャート。
【符号の説明】
1 油圧エレベーターのかご、2 油圧ジャッキ、9 位置検出器、11 制御部、12 床沈み量演算部、13 通信装置、15 情報センタ、16 携帯表示器、S1,S3 パーク運転手段、S5〜S8,S23〜S26 床沈み量演算手段、S9 床沈み量集積手段、S10 床沈み量検出手段、S11 異常通報手段、S21 特殊モード設定手段

Claims (5)

  1. 油圧ジャッキに供給される油によりかごを駆動するエレベーターにおいて、上記かごの位置を出力する位置検出器を設け、閑散時間帯に上記かごを所定階へ運転して停止させるパーク運転手段と、このパーク運転手段により上記かごが上記所定階に停止すると、上記位置検出器の出力を検出し、このかごが所定時間戸閉め状態を継続すれば上記所定時間の終了時上記位置検出器の出力を検出し、上記両出力の差を演算する床沈み量演算手段とを備えたことを特徴とする油圧エレベーターの床沈み自動測定装置。
  2. 上記床沈み量演算手段により演算された床沈み量が所定値以上になると動作する床沈み量検出手段と、この床沈み量検出手段が動作するとこれを通報する異常通報手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の油圧エレベーターの床沈み自動測定装置。
  3. 油圧ジャッキに供給される油によりかごを駆動するエレベーターにおいて、上記かごの位置を出力する位置検出器と、人為的に操作される点検スイッチとを設け、上記かごが所定階に停止した状態で上記点検スイッチが操作されると特殊モードが設定される特殊モード設定手段と、この特殊モード設定手段により上記特殊モードが設定されると、上記位置検出器の出力を検出し、このかごが所定時間戸閉め状態を継続すれば上記所定時間の終了時上記位置検出器の出力を検出し、上記両出力の差を演算する床沈み量演算手段とを備えたことを特徴とする油圧エレベーターの床沈み自動測定装置。
  4. 上記床沈み量演算手段により演算された床沈み量を集積する床沈み量集積手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の油圧エレベーターの床沈み自動測定装置。
  5. 携帯可能に構成され、上記床沈み量集積手段により集積された床沈み量を表示する携帯表示器を設けたことを特徴とする請求項4記載の油圧エレベーターの床沈み自動測定装置。
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