JP3729622B2 - 押出延伸ネット - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、ミカン等の果実包装などに使用される押出延伸ネットに関し、より詳しくは、単糸強度、単糸伸び、復元性、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びに優れた押出延伸ネットに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、押出延伸ネットは、ミカン、梨、リンゴ等の果実包装、ジャガイモ、玉ねぎ等の野菜包装などに広く使用されている。このような包装に使用される押出延伸ネットは、その性能として包装物の重量に耐える強度を有し、かつ、包装物の荷崩れを防止できる弾力性を有していることが要求されている。具体的には、単糸強度、単糸伸び、復元性、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びの特性に優れていることが要求されている。ここに、復元性は、押し広げられたネットが元の大きさに戻ろうとする性質であり、引掛強度は、ネット目の交点部分の融着強度である。単糸強度、単糸伸び、引掛強度、ループ強度およびループ伸びは、包装物の重量に耐える強度の目安となり、また復元性およびフィット性は、包装物の荷崩れ防止できる弾力性を有しているか否かの目安となる。
【0003】
従来、押出延伸ネットは、その素材として高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、およびこれらの樹脂とチーグラー触媒あるいはフィリップス触媒等を用いて製造された低圧法線状低密度ポリエチレンとの混合物などが使用されている。
【0004】
近年、押出延伸ネットについて、環境問題の面から樹脂使用量の低減、あるいはコストダウンの面から目付けの低減が要求されるようになり、その結果、単糸強度、単糸伸び、復元性、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びの特性の更なる向上が強く求められている。
【0005】
このような状況下に、強度と復元性の改良法が特公平1−30944号公報、特公平7−30216号公報において提案されている。特公平1−30944号公報には、エチレン・酢酸ビニル共重合体に、2種類の線状低密度ポリエチレンを配合した組成物からなる押出延伸ネットが開示されており、また特公平7−30216号公報には、分岐状低密度ポリエチレンに線状低密度ポリエチレンを配合してなる押出延伸ネット用ポリエチレン樹脂組成物が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの公報で提案されている改良法では、強度および復元性の何れもが未だ不十分であり、単糸強度、単糸伸び、復元性、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びの全ての物性を考慮した提案はなされていない。
【0007】
したがって、従来の押出延伸ネットよりも更に機械特性および包装特性に優れた、包装材として好適な押出延伸ネットの出現が望まれている。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、従来の押出延伸ネットよりも更に単糸強度、単糸伸び、復元性、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びの物性に優れた、包装材として好適な押出延伸ネットを提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明に係る押出延伸ネットは、
( I )ポリエチレン樹脂(A)、または
( II )ポリエチレン樹脂(A)を含有してなるブレンド物
からなり、
前記ポリエチレン樹脂(A)が
シングルサイト触媒を用いて調製したエチレンと炭素原子数3〜20のα - オレフィンとの共重合体であって、
( i )メルトフローレート(MFR; ASTM D 1238 , 190 ℃、荷重 2.16kg )が0.1〜10g/10分の範囲にあり、
( ii )密度(d)が895〜940kg/m 3 の範囲にあり、
( iii )示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と、密度(d(kg/m 3 ))とが、
Tm<0.4×d−244
で示される関係を満たす
ことを特徴としている。
【0011】
また、前記ポリエチレン樹脂(A)は、23℃におけるn- デカン可溶成分量率(W)が3.0重量%以下であることが好ましい。
さらに、前記ポリエチレン樹脂(A)は、溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×106 dyne/cm2 に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI(1/秒))と、メルトフローレート(MFR(g/10分)とが、
FI<150×MFR
で示される関係を満たしていることが好ましい。
【0012】
さらに、前記ポリエチレン樹脂(A)は、昇温溶出試験(TREF)において100℃以上で溶出する成分が存在し、かつ、その成分の量が全溶出量の10重量%以下であることが好ましい。
【0013】
前記ポリエチレン樹脂(A)100重量%に対して、高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)が100重量%以下の量で含有されていてもよい。
【0014】
本発明に係る押出延伸ネットは、
(i)引張速度100mm/分で測定した単糸強度が280g/本以上であり、(ii)引張速度200mm/分で荷重3.5kgfまでネットを広げ、その荷重
開放後の復元率が30%以上であることが好ましい。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る押出延伸ネットについて具体的に説明する。
本発明に係る押出延伸ネット成形用ポリエチレン樹脂は、特定の物性を有するポリエチレン樹脂(A)であって、シングルサイト触媒、たとえば公知のメタロセン系触媒またはブルックハルト触媒を用いてエチレンを重合し、あるいはエチレンとα- オレフィンとを共重合して製造される。ポリエチレン樹脂(A)中に、高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)が配合されていてもよい。
【0016】
ポリエチレン樹脂(A)
本発明で用いられるポリエチレン樹脂(A)は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が、通常0.1〜10g/10分、好ましくは0.2〜8g/10分の範囲にある。MFRが上記範囲内にあるポリエチレン樹脂(A)を用いると、十分な単糸強度を有し、しかも、肌荒れのない押出延伸ネットが成形性よく得られる。
【0017】
また、このポリエチレン樹脂(A)の密度(d;ASTM D 1505)は、通常895〜940kg/m3 、好ましくは900〜935kg/m3 、さらに好ましくは900〜930kg/m3 の範囲にある。密度が上記範囲内にあるポリエチレン樹脂(A)を用いると、柔軟で、フィット性および復元性に優れ、しかも、適度の剛性を有するので包装性に優れた押出延伸ネットが得られる。
【0018】
なお、この密度(d)は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷した後、密度勾配管で測定する。
【0019】
本発明で用いられるポリエチレン樹脂(A)は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と、密度(d(kg/m3 ))とが、
Tm<0.4×d−244
で示される関係を満たしている。最大ピーク位置の温度(Tm)と密度(d)とが上記関係を満たすポリエチレン樹脂(A)を用いると、ネット目の交点における融着強度が十分大きな押出延伸ネットが得られる。
【0020】
なお、吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))は、試料約5mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求められる。測定は、パーキンエルマー社製のDSC−7型装置を用いて行なった。
【0021】
またポリエチレン樹脂(A)の23℃におけるn- デカン可溶成分量率(W)は、3.0重量%以下、好ましくは2.0重量%以下であることが望ましい。n- デカン可溶成分量率(W)が3.0重量%以下のポリエチレン樹脂(A)を用いると、得られる押出延伸ネットは、表面のベタツキがなく、耐ブロッキング性に優れていることから包装物を汚すことがなく、また包装作業を容易にする。
【0022】
なお、23℃におけるn- デカン可溶成分量率(W)は、試料約3gをn- デカン450mlに加え、145℃で溶解後、23℃まで冷却し、濾過によりn-デカン不溶部を除去し、濾液よりn- デカン可溶部を回収することにより求められる。すなわち、n- デカン可溶成分量率(W)は、次式により算出される。
【0023】
W(%)={W1/(W1+W2)}×100
この式において、W1は、n- デカン可溶部の重量であり、W2は、n- デカン不溶部の重量である。
【0024】
さらに、ポリエチレン樹脂(A)は、190℃におけるずり応力が2.4×106 dyne/cm2 に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI(1/秒))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とが、
FI<150×MFR
で示される関係を満たしており、好ましくは
FI<100×MFR
で示される関係を満たしていることが望ましい。この関係を満たすポリエチレン樹脂(A)を用いると、十分な単糸強度と引掛強度を有する機械強度の高い押出延伸ネットが得られる。
【0025】
流動性インデックス(FI(1/秒))は、ずり速度を変えながら試料をキャピラリーから押し出し、その時の応力を測定することにより決定される。すなわち、東洋精機製作所製、毛細管式流れ特性試験機を用い、樹脂温度190℃、ずり応力の値が5×104〜3×106dyne/cm2 程度の範囲になるように、ずり速度を変えながらずり応力を測定する。ずり応力をずり速度に対してプロットして、ずり応力が2.4×106 dyne/cm2 に到達する時のずり速度を流動性インデックス(FI)として求める。流動性インデックス(FI)は、測定する試料のMFR(g/10分)によって、ノズル直径を次のように変更して測定する。
【0026】
10≧MFR>3 のとき 1.0mm
3≧MFR>0.8のとき 2.0mm
0.8≧MFR のとき 3.0mm
また、本発明で用いられるポリエチレン樹脂(A)は、昇温溶出試験(TREF)において100℃以上で溶出する成分が存在し、かつ、その成分の量が全溶出量の10重量以下である。100℃以上で溶出する成分の量が上記範囲内にあるポリエチレン樹脂(A)は、延伸を均一に行なうことができる。
【0027】
上記昇温溶出試験(TREF)は、次の要領で行なう。
試料溶液を140℃でカラムに導入した後、降温速度10℃/時間で25℃まで冷却し、その後昇温速度15℃/時間で昇温しながら、1.0mlの一定流速で連続的に溶出する成分をオンラインで検出した。カラムは2.14cmφ×15cmのカラムを用い、充填剤は100μmφのガラスビーズを使用し、溶媒はオルトジクロロベンゼン、試料濃度は200mg/40ml(オルトジクロロベンゼン)、注入量は7.5mlとした。
【0028】
上記のようなポリエチレン樹脂(A)は、シングルサイト触媒、たとえば特開平6−9724号公報、特開平6−13695号公報、特開平6−136196号公報、特開平6−207057号公報等に記載されているメタロセン触媒成分を含む、いわゆるメタロセン系オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンのみを重合、あるいはエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合させることによって製造することができる。
【0029】
すなわち、本発明で用いられるポリエチレン樹脂(A)は、メタロセン系オレフィン重合用触媒等のシングルサイト触媒を用いて調製されたエチレン単独重合体またはエチレン・α- オレフィン共重合体である。
【0030】
エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。これらの中では、炭素原子数3〜10のα- オレフィン、特に炭素原子数4〜8のα- オレフィンが好ましい。
【0031】
上記のようなα- オレフィンは、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
ポリエチレン樹脂(A)は、エチレンから導かれる構成単位が75重量%以上100重量%未満、好ましくは80〜99重量%、さらに好ましくは80〜97重量%、炭素原子数3〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位が25重量%以下、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の量で存在することが望ましい。
【0032】
本発明においては、ポリエチレン樹脂(A)は、単独で押出延伸ネット用ポリエチレン樹脂として用いることができるし、また高圧法低密度ポリエチレン(B)とのブレンド物、エチレン・酢酸ビニル共重合体(C)とのブレンド物あるいは高圧法低密度ポリエチレン(B)およびエチレン・酢酸ビニル共重合体とのブレンド物として用いることができる。
【0033】
ポリエチレン樹脂(A)を、高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)とのブレンド物として用いる場合、高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)は、ポリエチレン樹脂(A)100重量%に対して100重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは50%以下の量で用いられる。このような割合でポリエチレン樹脂(A)を用いると、単糸強度、復元性、フィット性、引掛強度等の物性に優れた押出延伸ネットを得ることができる。
【0034】
本発明においては、ポリエチレン樹脂(A)は、1種、またはメルトフローレート、密度の異なる2種以上のポリエチレン樹脂(A)をブレンドして用いることもできる。
【0035】
本発明で用いられるポリエチレン樹脂(A)としては、押出延伸ネットを成形した場合に、特に以下に示す範囲の物性を示すポリエチレン樹脂が好ましい。
(i)引張速度100mm/分で測定した単糸強度が280g/本以上、好ましくは290g/本以上であり、
(ii)引張速度200mm/分で荷重3.5kgfまで押出延伸ネットを広げ、その荷重開放後の押出延伸ネットの復元率が30%以上、好ましくは35%以上である。
【0036】
また、ポリエチレン樹脂(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)とのブレンド物も、押出延伸ネットを成形した場合に、特に上記(i)、(ii)の物性を有していることが好ましい。
【0037】
高圧法低密度ポリエチレン(B)
本発明で必要に応じて用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)は、エチレンを、500〜5000kg/cm2 の高圧下および100〜350℃の温度下で、酸素、有機過酸化物等のラジカル発生剤を用いて重合することにより製造したポリエチレンである。
【0038】
このような高圧法低密度ポリエチレン(B)は、密度(ASTM D 1505)が通常930kg/m3 以下、好ましくは910〜925kg/m3 の範囲にある。密度が上記範囲にある高圧法低密度ポリエチレン(B)を用いると、柔軟性に優れた押出延伸ネットが得られる。
【0039】
また、この高圧法低密度ポリエチレン(B)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.05〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲にある。メルトフローレートが上記範囲にある高圧法低密度ポリエチレン(B)を用いると、押出成形性が向上する。
【0040】
エチレン・酢酸ビニル共重合体(C)
本発明で必要に応じて用いられるエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)は、500〜5000kg/cm2 の高圧下および100〜350℃の温度下で、酸素、有機過酸化物等のラジカル発生剤を用いて、エチレンと酢酸ビニルとを共重合することにより製造したエチレン・酢酸ビニル共重合体である。
【0041】
このようなエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)は、酢酸ビニル含量(JIS K6730)が0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の範囲にある。酢酸ビニル含量が上記範囲内にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)を用いると、剛性および復元性により優れた押出延伸ネットが得られる。
【0042】
また、このエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.05〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲にある。メルトフローレートが上記範囲にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)を用いると、押出成形性が向上する。
【0043】
その他の成分
本発明で用いられる押出延伸ネット用ポリエチレン樹脂中に、ポリエチレン樹脂(A)、高圧法低密度ポリエチレン(B)およびエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)の他に、従来公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、カーボンブラック、顔料、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、スリップ剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含有させることができる。
【0044】
押出延伸ネット
本発明に係る押出延伸ネットは、上述したように、特に以下に示す物性を有することが好ましい。
(i)引張速度100mm/分で測定した単糸強度が280g/本以上、好ましくは290g/本以上であり、
(ii)引張速度200mm/分で荷重3.5kgfまで押出延伸ネットを広げ、その荷重開放後の押出延伸ネットの復元率が30%以上、好ましくは35%以上である。
【0045】
ここに、単糸強度の「単糸」とは、撚り合わせあるいは引き揃えていない糸のことを指す。
押出延伸ネットの製造
上記(i)、(ii)に示した物性を有する押出延伸ネットは、上記のようなポリエチレン樹脂(A)、あるいはポリエチレン樹脂(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)とのブレンド物を用いて、従来公知の押出延伸成形法により得ることができる。
【0046】
たとえばポリエチレン樹脂(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)とを上述した割合でドライブレンドした後、そのブレンド物を溶融状態で、押出機の先端部に設けたネット成形用回転ダイのノズルから押出しながら、ネット状に融着成形し、得られた押出ネットを冷却水槽に通して固化させる。次いで、その固化した押出ネットを所定の温度に加熱保持させた温水槽に通して、ロール速度を調整することにより所定倍率に延伸し、押出延伸ネットが得られる。
【0047】
上記のような融着成形条件としては、樹脂温度が通常150〜280℃、好ましくは160〜250℃であり、押出速度が通常0.5〜30m/分であり、ドラフト率(引取速度と押出速度との比)が通常10以下の範囲内にある。
【0048】
また、溶融状態の押出ネットを冷却固化せしめるのに用いられる冷却媒体の温度は、通常10〜35℃である。
押出ネットの延伸は、湿式法で行なうことができるし、また乾式法で行なうこともできる。押出ネットの延伸は、1段または2段以上の多段で行なわれる。
【0049】
上記の延伸温度は、通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃であり、延伸速度(引取速度)は、通常20〜100m/分であり、延伸倍率(引取速度と送り速度との比)は、通常1.5〜8倍、好ましくは2〜7倍である。
【0050】
延伸処理して得られたネットを安定化させるために、約40〜90℃の温度で熱処理してもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明に係る押出延伸ネットは、従来の押出延伸ネットよりも更に単糸強度、単糸伸び、復元性、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びの物性に優れている。したがって、本発明に係る押出延伸ネットは、ネット形成用樹脂使用量の低減ないし目付けの低減が可能である。
【0052】
上記のような効果を有する、本発明に係る押出延伸ネットは、みかん、梨、リンゴ等の果実包装、ジャガイモ、玉ねぎ等の野菜包装などの包装材として好適である。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0054】
なお、実施例および比較例で得られた押出延伸ネットの単糸強度、単糸伸び、復元率、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びについては、下記の試験方法により試験を行なった。
<試験方法>
(1)単糸強度および単糸伸び
押出延伸ネットより、単糸150mmを切り取り、チャック間隔100mm、引張速度100mm/分で引張試験を行ない、破断時の強度と伸びを測定した。
(2)復元率
押出延伸ネットより、巾100mmの円筒型の試料を切り取り、10mmφの丸棒型チャックを中に通して、引張速度200mm/分で荷重3.5kgfまで引張り、伸び(L1 :mm)を測定する。次にチャックを元の位置に戻すとネットは収縮するが、その時の収縮量(L2 :mm)を測定し、次の式により復元率(R:%)を算出した。Rが大きい方が、復元性に優れていることを表わす。
R(%)={L1(mm)/L2(mm)}×100
【0055】
(3)フィット性
端部にパンチシール加工を行なった押出延伸ネットに、直径70.5mmの野球ボールを3個直線状に入れて平板上に静置する。次いで、図1に示すように、その状態でボール間の最小ネット直径D(mm)を測定し、次式により割合F(%)を算出し、フィット性の指標とした。Fが小さい方がフィット性に優れていることを表わす。
F(%)={(最小ネット直径D(mm))/70.5(mm)}×100
【0056】
(4)引掛強度
押出延伸ネットより長手方向に3目切り取り、両端のネット目の交点部を引掛けて引張速度200mm/分で引張試験を行ない、破断時の強度を測定した。
この引掛強度は、ネット目の交点部分の融着強度が十分であるかどうかの目安となる。
【0057】
(5)ループ強度およびループ伸び
押出延伸ネットより、巾100mmの円筒型の試料を切り取り、10mmφの丸棒型チャックを中に通して、引張速度200mm/分で引張試験を行ない、破断時の強度と伸びを測定した。
【0058】
また、実施例および比較例で用いた樹脂は、次の通りである。
<メタロセン系触媒を用いて調製した直鎖状低密度ポリエチレン>
(A−1)エチレン・1-ヘキセン共重合体
・エチレン含量:83.9重量%
・密度(ASTM D 1505):905kg/m3
・MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg):4.1g/10分
・Tm:93℃
・デカン可溶成分量率(W):1.6重量%
・流動性インデックス(FI):275[1/秒]
・昇温溶出試験における100℃以上で溶出する成分量:2.3重量%
(A−2)エチレン・1-ヘキセン共重合体
・エチレン含量:87.8重量%
・密度(ASTM D 1505):915kg/m3
・MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg):3.9g/10分
・Tm:119℃
・デカン可溶成分量率(W):1.0重量%
・流動性インデックス(FI):260[1/秒]
・昇温溶出試験における100℃以上で溶出する成分量:2.9重量%
<高圧法低密度ポリエチレン>
(B−1)高圧法低密度ポリエチレン
・密度(ASTM D 1505):918kg/m3
・MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg):0.9g/10分
<エチレン・酢酸ビニル共重合体>
(C−1)エチレン・酢酸ビニル共重合体
・酢酸ビニル含量(JIS K 6730):6.0重量%
・MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg):0.5g/10分
<チーグラー系触媒を用いて調製した直鎖状低密度ポリエチレン>
(D−1)エチレン・4-メチル-1- ペンテン共重合体
・エチレン含量:90.0重量%
・密度(ASTM D 1505):915kg/m3
・MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg):2.0g/10分
・Tm:121℃
・デカン可溶成分量率(W):6.0重量%
・流動性インデックス(FI):310[1/秒]
・昇温溶出試験における100℃以上で溶出する成分量:15重量%
【0059】
【実施例1】
上記のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(A−1)を、80穴のダイノズルを有する回転ダイ付き40mmφ押出機にて、押出温度200℃の条件でダイノズルより押出しながらネット状に融着成形し、20℃の冷却水槽に通して固化した押出ネットを得た。
【0060】
次いで、この押出ネットを、70℃の温水槽を通してロール速度を調製することにより、延伸倍率4倍の押出延伸ネットを得た。
なお、ダイノズルの径は、1.0mmφであり、ダイの径は、60mmφである。ネット折り径は、36.5mmとし、ネットの目の大きさは、5×5mmとした。また、製品の目付けは8.0〜8.2g/mとした。
【0061】
上記のようにして得られた押出延伸ネットの単糸強度、単糸伸び、復元率、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びについて、上述した方法で試験を行なった。
【0062】
その結果を第1表に示す。
【0063】
【実施例2〜4】
実施例1において、第1表に示す樹脂および配合比でドライブレンドして押出延伸成形した以外は、実施例1と同様にして、押出延伸ネットを調製した。
【0064】
得られた押出延伸ネットの単糸強度、単糸伸び、復元率、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びについて、上述した方法で試験を行なった。
その結果を第1表に示す。
【0065】
【比較例1〜4】
実施例1において、第1表に示す樹脂および配合比でドライブレンドして押出延伸成形した以外は、実施例1と同様にして、押出延伸ネットを調製した。
【0066】
得られた押出延伸ネットの単糸強度、単糸伸び、復元率、フィット性、引掛強度、ループ強度およびループ伸びについて、上述した方法で試験を行なった。
その結果を第1表に示す。
【0067】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例等で得られた押出延伸ネットのフィット性の試験方法を説明するための概略平面図である。
【符号の説明】
1 ・・・ 押出延伸ネット
2 ・・・ 直径70.5mmの野球ボール
D ・・・ 最小ネット直径
Claims (5)
- ( I )ポリエチレン樹脂(A)、または
( II )ポリエチレン樹脂(A)を含有してなるブレンド物
からなり、
前記ポリエチレン樹脂(A)が
シングルサイト触媒を用いて調製したエチレンと炭素原子数3〜20のα - オレフィンとの共重合体であって、
( i )メルトフローレート(MFR; ASTM D 1238 , 190 ℃、荷重 2.16kg )が0.1〜10g/10分の範囲にあり、
( ii )密度(d)が895〜940kg/m 3 の範囲にあり、
( iii )示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と、密度(d(kg/m 3 ))とが、
Tm<0.4×d−244
で示される関係を満たす
ことを特徴とする押出延伸ネット。 - 前記ポリエチレン樹脂(A)は、23℃におけるn- デカン可溶成分量率(W)が3.0重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の押出延伸ネット。
- 前記ポリエチレン樹脂(A)は、溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×106 dyne/cm2 に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI(1/秒))と、メルトフローレート(MFR(g/10分))とが、
FI<150×MFR
で示される関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の押出延伸ネット。 - 前記ポリエチレン樹脂(A)は、昇温溶出試験(TREF)において100℃以上で溶出する成分が存在し、かつ、その成分の量が全溶出量の10重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の押出延伸ネット。
- 前記ポリエチレン樹脂(A)100重量%に対して、高圧法低密度ポリエチレン(B)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)が100重量%以下の量で含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の押出延伸ネット。
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