JP2557472B2 - フィルムの製造方法 - Google Patents

フィルムの製造方法

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JP2557472B2
JP2557472B2 JP15198088A JP15198088A JP2557472B2 JP 2557472 B2 JP2557472 B2 JP 2557472B2 JP 15198088 A JP15198088 A JP 15198088A JP 15198088 A JP15198088 A JP 15198088A JP 2557472 B2 JP2557472 B2 JP 2557472B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフィルムの縦方向(延伸方向)の耐引裂き強
度及び衝撃強度、剛性、耐抗張力に優れたフィルム製造
法に関するものである。詳しくは線状ポリエチレンを主
体とする、従来のフィルムよりも薄肉化が可能で、かつ
米穀類、肥料等の比較的重い物品を包装するのに適した
包装袋用フィルムの製造方法に関する物である。
〔従来技術〕
エチレンとα−オレフィンの共重合によって製造され
る分岐の少ない線状低密度ポリエチレンは高温高圧下で
ラジカル重合により製造される高圧法低密度ポリエチレ
ンに比べて引張り強さ、衝撃強度、剛性等の強度特性、
耐環境応力亀裂性(ESCR)、耐熱性、ヒートシール性等
に優れた特性を有しており、近年様々な分野で用いられ
ている。特にフィルム分野では、その物性上の優位性か
ら高圧法低密度ポリエチレンから線状低密度ポリエチレ
ンへの代替が急速に進んでいる。
こうした線状低密度ポリエチレン樹脂をTダイ法ある
いはインフレーション法で成形した未延伸フィルムまた
はシート(以下「原反」という)は、成形上の制約か
ら、厚さが極端に薄いものを得ることは困難である。さ
らにこうして得た原反は強度が弱い。そのため、従来か
ら延伸処理を行なうことが提案されている。
そこで、原反を二軸延伸することが考えられるが設備
コストが高く、また延伸条件の範囲が狭いため、運転管
理がきびしく、極一部の分野でしか利用されていない。
また今まで公知となっている縦一軸延伸は、設備コス
トが安く、運転管理が容易であるが、フィルム物性の異
方性、特に縦方向(延伸方向)の耐引裂き強度及び表面
強度に問題が残り実用に供せるフィルムは得られなかっ
た。
〔問題を解決するための手段〕
そこで本発明者は従来技術の欠点を解消し、線状ポリ
エチレンから強度特性に優れた薄肉(延伸)フィルムを
製造すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の線状ポリエチ
レン樹脂から特定の条件下でインフレーション成形した
原反を特定条件下で縦一軸延伸することにより40〜70%
薄肉化しても耐引裂き強度、衝撃強度、剛性及び耐抗張
力に優れたフィルムが得られることを見出し、本発明を
完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨は密度が0.91〜0.965g/cm3
メルトインデックスが2g/10分以下、流動化が50より大
で120以下の線状ポリエチレン100〜50重量部に密度が0.
91〜0.95g/cm3、メルトインデックスが2g/10分以下、流
動化が70以下の分岐状低密度ポリエチレン0〜50重量部
を配合してなる組成物をブローアップ比2〜8、フロス
トライン高さ2D〜50D(Dはダイスの直径)の条件下に
インフレーション成形し、得られたフィルムをフィルム
の引き取り方向に、延伸温度を上記樹脂組成物の融点−
70〜融点−20℃、延伸倍率を1.5〜8として一軸延伸す
ることを特徴とするフィルムの製造方法に存する。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いられる線状ポリエチレンとしては0.91〜
0.95g/cm3の線状低密度ポリエチレン及び0.965g/cm3
下の高密度ポリエチレンが用いられる。
上記線状低密度ポリエチレンとは、エチレンと他のα
−オレフィンとの共重合物であり、従来の高圧法により
製造された分岐状低密度ポリエチレン樹脂とは異なる。
線状低密度ポリエチレンは、例えばエチレンと、他のα
−オレフィンとしてブテン、ヘキセン、オクテン、デセ
ン、4メチルペンテン−1等を4〜17重量%程度、好ま
しくは5〜15重量%程度共重合したものであり中低圧法
高密度ポリエチレン製造に用いられるチーグラー型触媒
又はフィリップス型触媒を用いて製造されたものであ
り、従来の高密度ポリエチレンを共重合成分により短い
枝分かれ構造とし、密度もこの短鎖枝分かれを利用して
適当に低下させ0.91〜0.95g/cm3程度としたものであ
り、従来分岐状低密度ポリエチレンより直鎖性があり、
高密度ポリエチレンより枝分かれが多い構造のポリエチ
レンである。
上記線状ポリエチレンは密度が0.91〜0.965g/cm3、好
ましくは0.91〜0.95g/cm3、さらに好ましくは0.915〜0.
940g/cm3の範囲であり、またメルトインデックスが2g/1
0分以下、好ましくは0.1〜1g/10分以下、さらに流動化
が50より大で120以下、好ましくは60〜90の範囲のもの
が用いられる。
上記密度が下限未満では剛性及び耐抗張力が低下し、
上限より高いと耐衝撃性が著しく低下するので好ましく
ない。またメルトインデックスが上限より高いと、面強
度が低下するので好ましくない。さらに流動化が上限よ
り高いと成形性及び面強度が低下し、下限未満でも成形
性及び面強度が低下するので好ましくない。
本発明方法においてメルトインデックスとはJIS K 67
60の引用規格であるJIS K 7210の表1の条件4に準拠し
て測定した値であり、流動比とは、上記メルトインデッ
クス測定器を用い、せん断力106ダイン/cm2(荷重11131
g)と105ダイン/cm2(荷重1113g)の押出量(g/10分)
であり、 で算出される。また、密度はJIS K 6760に準拠して測定
した値である。
流動比は用いられる樹脂の分子量分布の目安であり、
流動比の値が小さければ分子量分布は狭く、流動比の比
が大きければ分子量分布は広いことを表わしている。
本発明においては上記線状ポリエチレンとして流動比
が50より大で120以下の範囲の比較的分子量分布の広い
ものを用いる。分子量分布の広い線状ポリエチレンの製
造方法としては公知のいずれの方法でもよく、例えば2
以上の複数の重合槽を用いて分子量の異なるポリマーの
ブレンド物を製造する方法等が好適に採用される。
本発明においては、上記した線状ポリエチレンのみを
用いてもよいが、線状ポリエチレンを主成分とし、これ
に分岐状低密度ポリエチレンを特定量配合することによ
り、フィルム成形性及び延伸性が向上するので望まし
い。
上記線状ポリエチレンに配合される分岐状低密度ポリ
エチレンとは、エチレンホモポリマー及びエチレンと他
の共重合成分との共重合体を含むものである。
共重合成分としては酢酸ビニル、エチルアクリレー
ト、メチルアクリレート等のビニル化合物、ヘキセン、
プロピレン、オクテン、4−メチルペンテン−1等の炭
素数3以上のオレフィン類等が上げられる。共重合成分
の共重合量としては0.5〜18重量%、好ましくは2〜10
重量%程度である。これらの低密度ポリエチレンは通常
の高圧法(1000〜3000kg/cm2)により、酸素、有機過酸
化物等のラジカル発生剤を用いラジカル重合により得た
ものであるのが望ましい。
上記分岐状低密度ポリエチレンはメルトインデックス
が2g/10分以下、好ましくは0.1〜1g/10分の範囲、流動
比が70以下、好ましくは30〜70の範囲のものが用いられ
る。メルトインデックスが上記範囲以上では、フィルム
の面強度が低下するので好ましくない。また、流動比が
上記範囲以上では、フィルムの面強度が低下するので好
ましくない。さらに上記の分岐状低密度ポリエチレンは
密度が0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.91〜0.930g/c
m3、特に好ましくは0.915〜0.925g/cm3の範囲であるの
が、面強度の向上の点から好ましい。
上記線状ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンと
の配合量は線状低密度ポリエチレン100〜50重量部、好
ましくは90〜70重量部に対し分岐状低密度ポリエチレン
0〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の範囲内で用い
られる。
本発明においては、上記ポリエチレン組成物を用いて
インフレーション法によって未延伸フィルムを形成し、
次いで未延伸フィルムを縦方向(フィルムの引き取り方
向)に延伸して延伸フィルムを製造する。
該未延伸フィルムはインフレーション成形法を用い
て、ブローアップ比を2〜8、好ましくは3〜8、フロ
ストライン高さ(ダイス表面からフロストラインまでの
高さ、FLHと略す)をダイス直径(Dと略す)の2〜50
倍、好ましくは5〜50倍の範囲の条件下で行なう。上記
ブローアップ比が下限未満ではフィルムの縦方向の耐引
裂強度及び衝撃強度が低下し、上限より高いとバブルの
成形安定性が低下するので好ましくない。また、フロス
トライン高さが下限未満ではフィルムの縦方向の耐引裂
強度が低下し、上限より高いとバブルの成形安定性が低
下するので好ましくない。
上記未延伸フィルムは次いで延伸温度を上記樹脂組成
物(変成ポリエチレン)の融点−70〜融点−20℃、延伸
倍率を1.5〜8倍の条件下に縦方向に一軸延伸を行う。
延伸温度は融点−20℃以下、融点−70℃以上、好まし
くは融点−30℃〜融点−60℃が望ましい。上記範囲以下
ではフィルムに延伸斑が発生し、また範囲以上ではフィ
ルムの衝撃強度が大きく低下する。
延伸倍率は1.5倍以上8倍以下で、好ましくは2倍以
上5倍以下で延伸するのが望ましい。延伸倍率が1.5倍
未満では延伸による効果が不充分であり、フィルムの剛
性および耐抗張力は充分なものとはならない。また8倍
以上では延伸フィルムは縦方向への過度の分子配向を有
するものになり、フィルムの縦裂け強度が低下し好まし
くない。
〔実施例〕
以下に実施例を示し本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。
実施例1 マグネシウムエチラート5gと四塩化チタン50ccを130
℃で反応させて得た固体触媒を用いてブテン−1含量が
4.5重量%でありMIが200と0.055の2種類の線状ポリエ
チレンを作り、その各々10kgをとり、これにBHT、ステ
アリン酸カルシウムを各々0.05重量部混合し、バンバリ
ーミキサーで充分混練した。
この様にして得られた線状ポリエチレンはMI=0.3g/1
0分、流量比70、密度は0.93g/cm3であった。
この線状ポリエチレンをモダンマシナリー社製デルサ
ー65φ押出機に環状スリッド径250φ、スリット幅4m/m
のインフレーションダイ及び冷却用エアーリングを取付
けたインフレーションフィルム成形機を用い、押出量80
kg/hr、ブローアップ比3、FLH/D=8の条件下で200μ
のインフレーションフィルムを得た。このフィルム原反
をフィルムの引き取り方向にスリットしたものをロール
延伸装置を用いて延伸温度80℃、延伸倍率(縦方向3
倍)の条件下で、80μの厚さの縦一軸延伸フィルムを製
造した。
評価方法 (イ) 得られたフィルムの強度は エルメンドルフ引裂強度−JIS P8116 ダートドロップインパクト(DDI)−ASTM D1709 に準して試験した。
(ロ) 指抜け強度試験 フィルムの耐抗張力を調べるため、指抜け強度試験を
行なった。
試験法は上記で得られた縦延伸フィルムを、延伸方向
に760mmに切断し、横方向(フィルムの幅方向)に1000m
/mに切断し、横方向にまるめ重ね部分が60mmとなるよう
にし、該重ね部にホットメルト接着剤(新田ゼラチン社
製グレードHX−960)を塗布して重ね部分をホットガン
にて加熱接着させて、筒状体とし、該筒状体の上下のい
ずれかをニューロング社製HS 22B−Z型ヒートシーラを
用いヒートシールした後、得られた袋に20kgの肥料を充
填し開口部を前記と同じくヒートシールした試験用包装
袋を得、上記20kgの肥料袋のヒートシール部が床面と平
行になるように手で持ち上げ、袋のフィルム面に指が喰
い込む状況を観察した。
評 価 A:全く指が喰い込まず、全く問題なし B:やや指が喰い込むが、特に問題なし C:大きく指が喰い込み、問題あり 結果を表1に示す。
実施例−2 実施例−1の線状ポリエチレン80重量部とMI=0.4g/1
0分、流動比40、密度=0.922g/cm3の分岐状低密度ポリ
エチレン20重量部をブレンドしたものを使用した以外実
施例−1と同様にした。
結果を表1に示す。
比較例−1〜6 使用した樹脂の組成や成形条件を表1に示す様に変更
した以外は実施例−1と同様にして行なった。
結果を表1に示す。
〔発明の効果〕 本発明により従来で考えられない薄さで、衝撃強度、
剛性、耐抗張力及び引裂強度が向上したフィルムが、2
軸延伸もしくは横一軸延伸よりも低コストで製造可能と
なる。
本発明により、重中量包装袋等の比較的重い物品を包
装するのに適した包装袋用フィルムの薄肉化が可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−229529(JP,A) 特開 昭64−18625(JP,A) 特開 平1−156042(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が0.91〜0.965g/cm3、メルトインデッ
    クスが2g/10分以下、流動化が50より大で120以下の線状
    ポリエチレン100〜50重量部に密度が0.91〜0.95g/cm3
    メルトインデックスが2g/10分以下、流動化が70以下の
    分岐状低密度ポリエチレン0〜50重量部を配合してなる
    組成物をブローアップ比2〜8、フロストライン高さ2D
    〜50D(Dはダイスの直径)の条件下にインフレーショ
    ン成形し、得られたフィルムをフィルムの引き取り方向
    に、延伸温度を上記樹脂組成物の融点−70〜融点−20
    ℃、延伸倍率を1.5〜8として一軸延伸することを特徴
    とするフィルムの製造方法。
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