JP3728024B2 - 冷凍装置用取付架台の製造方法及び冷凍装置用取付架台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却貯蔵庫等において冷凍装置を取り付けるのに用いる取付架台並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
業務用冷蔵庫や冷凍庫等では、冷凍装置を構成する圧縮機や凝縮器、さらには電装箱等を取付架台に取り付けてユニット化し、このユニット化したものを、断熱箱体からなる貯蔵庫の天井等に設けられた開口部分に取り付けるようにしている。この取付架台は、庫内に外気の熱が侵入しないように、また自身に露付きが生じないように断熱構造とする必要があり、具体的には、上記した冷凍装置の構成部品等が取り付けられる浅皿状の外パネル内に発泡ウレタンを注入して発泡させるとともに、その発泡ウレタンを挟みつつ耐水シートを対向状に張設することで製造されている。
ここで発泡ウレタンの注入される外パネルには、上記のように冷凍装置の構成部品を取り付けるための取付孔が開口されているため、発泡ウレタンの洩れを無くすために目張りをする必要がある。そのため従来は、図7に示すように、紙テープaを用いて各取付孔bごとに目張りをしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の方法では、多数の取付孔bにいちいち紙テープaを貼るのであるから、作業に時間が掛かっていた。また、外パネルcの加工中に付着した加工油により紙テープaが滑ってうまく貼れず、何度も重ねて貼り直したりする場合があったり、取付用のナットdが溶接して設けられている場合にはさらに手間が掛かる等、作業性が悪いという問題があった。また、目張り箇所が多数あるために貼り忘れが出たり、発泡ウレタンの発泡圧で紙テープaが剥がれてしまったりと、信頼性に欠けるきらいがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、目張り作業を能率良くかつ高い信頼性を持って行うことができ、もって取付架台を安価にかつ高品質に製造するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、パネルに内張り材を対向状に配設することで形成される箱体内に発泡断熱材が充填され、かつ前記パネルには冷凍装置の構成部品を取り付けるための複数の取付孔が開口されてなる冷凍装置用取付架台の製造方法であって、前記パネルの内面の略全面にわたり前記全取付孔を覆って一枚のシートを敷いたのち、発泡断熱材を注入する構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、パネルに内張り材を対向状に配設することで形成される箱体内に発泡断熱材が充填され、かつ前記パネルには冷凍装置の構成部品を取り付けるための複数の取付孔が開口されてなる冷凍装置用取付架台の製造方法であって、前記パネルの内面の略全面にわたり前記全取付孔を覆って一枚の弾性シートを敷いたのちそのパネル内に発泡断熱材を注入し、内張り材を被せた状態で前記注入された発泡断熱材を発泡させる構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明に係る冷凍装置用取付架台は、冷凍装置の構成部品を取り付けるための複数の取付孔が開口されたパネルと、そのパネルに対向状に被せられて箱体を構成する内張り材と、前記パネルの内面の略全面にわたり前記全取付孔を覆って敷かれた一枚の弾性シートと、前記弾性シートが敷かれたのちに前記パネル内に注入されて前記内張り材が被せられた状態で発泡充填された発泡断熱材とからなる構成としたところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用および効果】
<請求項1の発明>
発泡断熱材を注入する前に、パネルの内面の略全面にわたってシートが敷かれることで、そのパネルに開口された全取付孔が一斉に目張りされる。
本発明方法によれば、一枚のシートを敷くだけで目張り作業が完了するので、作業時間が短縮され、目張り忘れもなくなる。また、パネルに加工油が付いていたり、取付用のナットが設けられている場合でも、特に注意を払うことなく簡単にかつ確実に目張りすることができ、作業者の熟練度に拘らず作業時間にばらつきが出ることもなくなる。すなわち、目張り作業を短時間でかつ高い信頼性を持って行うことができ、低コストで高品質の取付架台を製造することができる効果が得られる。
【0008】
<請求項2の発明>
目張りが一斉にできることに加えて、シートが弾性シートからなるので、発泡断熱材の発泡圧を受けてパネルの内面によく密着し、より有効に目張りできるとともに、弾力シートが緩衝材としても機能し、冷凍装置の構成部品の振動を吸収して防振効果を得ることができる。
<請求項3の発明>
請求項2の発明方法により製造することが可能であり、安価で高品質の取付架台を得ることができるとともに、冷凍装置の構成部品の振動を吸収する防振機能を発揮することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
図1において、符号1は断熱箱体により形成された冷却貯蔵庫の本体であって、内部に貯蔵室が形成されており、この本体1の天井面に周囲をパネル2で囲まれることによって機械室3が形成されている。機械室3の底面(本体1の天井面)には図示しない取付用の開口が形成されており、その開口に、詳しくは後記するように、冷凍装置の構成部品を積載した取付架台5が取り付けられようになっている。
【0010】
この取付架台5は大まかには、下向きの浅皿状をなす外パネル6(図3参照)内に発泡ウレタン等の発泡断熱材が充填されて、その発泡断熱材を挟んで耐水シート7が張られた構造となっている。そして取付架台5における外パネル6の外面には、図2に示すように、冷凍装置の構成部品である圧縮機8、凝縮器9及び凝縮器ファン10、さらには電装箱11が取り付けられるようになっている。
【0011】
続いて、取付架台5の詳細な構造並びにその製造工程を説明する。
図3および図4(A)に示すように、外パネル6は平面方形状をなし、その周縁に側板13が立てられることで浅皿状に形成されている。この外パネル6には、上記した冷凍装置の構成部品(圧縮機8、凝縮器9及び凝縮器ファン10)と電装箱11を取り付けるための取付孔が所定の配置において形成されている。この取付孔はねじ孔15aであったり、一部は単なる挿通孔15bであって、その内面側(図4(A)では上面)にナット16が溶接して固着されているものもある。また外パネル6の内面には、複数本の合成樹脂製のスペーサ17が、その基端側の取付部18を外パネル6に開口された取付孔19に嵌着して立てられている。各スペーサ17の先端は、側板13の端縁よりも少し引っ込んだ位置まで突出しており、その先端面にはねじの下孔20が形成されている。
耐水シート7は、ビニール材料等からなる薄膜状に形成されている。
【0012】
さてこの実施形態では、外パネル6の各ねじ孔15a並びにナット16を目張りするためのシート22が備えられている。この目張りシート22は例えば発泡ポリエチレン等を素材として、外パネル6の内面の全面を覆うように嵌めることのできる方形状に形成されており、断熱性を有するとともに弾力性にも優れている。
【0013】
次に、取付架台5の製造工程を説明する。まず、外パネル6にスペーサ17を立てたのち、図4(A)に示すように、外パネル6を上下反転させた姿勢にして、発泡組み付け装置の図示しない基台上に載置する。続いて目張りシート22を、同図の矢線に示すように外パネル6の内面に向けて嵌め込む。目張りシート22は、スペーサ17に対応する部分が破られつつスペーサ17を貫通させて嵌め込まれ、同図(B)に示すように外パネル6の内面に敷かれる。それにより、各ねじ孔15aならびにナット16が覆われて目張りされた状態となる。また、スペーサ17の根元の回りも目張りシート22で密着状に覆われる。
【0014】
続いて図5(A)に示すように、注入具24を用いて発泡ウレタンXを外パネル6内に注入する。ねじ孔15aおよびナット16は目張りシート22で覆われているので、注入された発泡ウレタンXが洩れることはない。注入された発泡ウレタンXは発泡しつつ体積膨張するので、所定量の注入が完了したら、同図(B)に示すようにスペーサ17に当てつつ耐水シート7を張り、それとともに、発泡ウレタンXの体積膨張に伴って耐水シート7が膨らまないように、耐水シート7の上面を押圧治具25で押圧する。目張りシート22は発泡圧を受けて外パネル6の内面に密着するので、強固に目張りされてこの間も洩れは生じない。発泡ウレタンXの発泡が停止する所定時間が経過すると、外パネル6と耐水シート7の間に発泡ウレタンXが充填された取付架台5が製造される。
【0015】
そして、製造された取付架台5を発泡組み付け装置から外し、図6に示すように再度上下反転させ、外パネル6の外面に、圧縮機8、凝縮器9及び凝縮器ファン10、並びに電装箱11を、対応するねじ孔15a並びにナット16を利用して取り付ければよい。これにより、図2に示すようなユニットUが完成される。なお、耐水シート7の外面には図示しない冷却器が取り付けられるが、その場合はスペーサ17を利用し、耐水シート7を破りつつスペーサ17の下孔20にタッピングねじをねじ込んで取り付ければよい。そして既述したように、取付架台5が本体1の天井面の開口部に取り付けられて設置されることになる。
【0016】
なお、目張りシート22は、柔軟な素材で形成するほど外パネル6に対する密着性が増すので、目張り用としてはより効果的となる。また目張りシート22は弾力性に富んでいるので緩衝材としても機能し、圧縮機8や凝縮器ファン10のモータなどの振動を吸収して防振効果を得ることもできる。目張りシート22に、ブチルゴム系の防振シートを使用すれば、より防振効果を高めることができる。
【0017】
以上説明したように本実施形態によれば、一枚の目張りシート22を敷くだけで目張り作業が完了するので、目張り作業の時間ひいては製造時間が大幅に短縮される。また、個々に目張りを行っていた場合と違って目張り忘れもなくなる。また、外パネル6に加工油が付いていたり、あるいは取付用のナット16が設けられている場合でも、特に注意を払うことなく簡単にかつ確実に目張りすることができ、作業者の熟練度に拘らず作業時間にばらつきが出ることもなくなる。すなわち、目張り作業を短時間でかつ高い信頼性を持って行うことができ、低コストで高品質の取付架台5を製造することができる。
【0018】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)なお本発明は、外パネルと内パネルとを対向状に組み付けて箱体を形成し、その中に発泡断熱材を充填する形式の取付架台にも同様に適用することができる。
(2)また本発明は、貯蔵庫本体の天井面に取り付けられる取付架台に限らず、貯蔵庫本体の側壁に取り付けるようにした取付架台にも同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る冷却貯蔵庫の外観斜視図である。
【図2】 取付架台に冷凍装置を取り付けたユニットの斜視図である。
【図3】 取付架台の分解斜視図である。
【図4】 取付架台の製造工程を示し、(A)は目張りシートを敷く動作を示す断面図、(B)は目張りシートが敷かれた状態を示す断面図である。
【図5】 同じく取付架台の製造工程を示し、(A)は発泡ウレタンの注入状態を示す断面図、(B)は発泡途中の状態を示す断面図である。
【図6】 製造完了後の取付架台の断面図である。
【図7】 従来の目張り方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
5…取付架台 6…外パネル 7…耐水シート 8…圧縮機 9…凝縮器 10…凝縮器ファン 11…電装箱 15a…ねじ孔(取付孔) 16…ナット(取付孔) 17…スペーサ 22…目張りシート X…発泡ウレタン
Claims (3)
- パネルに内張り材を対向状に配設することで形成される箱体内に発泡断熱材が充填され、かつ前記パネルには冷凍装置の構成部品を取り付けるための複数の取付孔が開口されてなる冷凍装置用取付架台の製造方法であって、
前記パネルの内面の略全面にわたり前記全取付孔を覆って一枚のシートを敷いたのち、発泡断熱材を注入することを特徴とする冷凍装置用取付架台の製造方法。 - パネルに内張り材を対向状に配設することで形成される箱体内に発泡断熱材が充填され、かつ前記パネルには冷凍装置の構成部品を取り付けるための複数の取付孔が開口されてなる冷凍装置用取付架台の製造方法であって、
前記パネルの内面の略全面にわたり前記全取付孔を覆って一枚の弾性シートを敷いたのちそのパネル内に発泡断熱材を注入し、内張り材を被せた状態で前記注入された発泡断熱材を発泡させることを特徴とする冷凍装置用取付架台の製造方法。 - 冷凍装置の構成部品を取り付けるための複数の取付孔が開口されたパネルと、そのパネルに対向状に被せられて箱体を構成する内張り材と、前記パネルの内面の略全面にわたり前記全取付孔を覆って敷かれた一枚の弾性シートと、前記弾性シートが敷かれたのちに前記パネル内に注入されて前記内張り材が被せられた状態で発泡充填された発泡断熱材とからなることを特徴とする冷凍装置用取付架台。
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