JP3727747B2 - 可逆熱変色性感圧転写テープ及びそれを内蔵した転写具 - Google Patents

可逆熱変色性感圧転写テープ及びそれを内蔵した転写具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可逆熱変色性感圧転写テープ及びそれを内蔵した転写具に関する。更に詳細には、被転写物の任意個所に、温度変化により変色する可逆熱変色性樹脂層を簡易に貼付することのできる可逆熱変色性感圧転写テープ及びそれを内蔵した転写具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙面に記載した誤字等を修正する修正感圧転写テープが開示されている特開平6−92085号公報、特開平8−276695号公報)。この種のテープは、繰り出し装置付きの転写具を介して修正個所の上面に前記テープを貼付し、必要によって前記貼付したテープ上に文字を記載可能に構成したものであって、修正液を塗布する形態の塗布具のように、修正液の乾燥時間を要さず、連続的且つ均質な修正処理が可能であり、近時多用されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この種の感圧転写テープにおいて、熱変色性機能を付与し、修正機能に加えて温度変化により文字等の情報を隠顕可能に構成し、しかも貼付面積に自由度を有する可逆熱変色性感圧転写テープを提供しようとするものである。
更には、前記したテープを繰り出し装置付きの転写具の内蔵して、必要時に適宜量を繰り出し、適宜の寸法の可逆熱変色性樹脂層を被転写物表面に形成して、単なる熱変色性シールでは奏し得ない軽便性を備えた転写具を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体の片面に、直接又は離型層を介して感圧接着性樹脂、可逆熱変色性顔料を含む可逆熱変色性樹脂層を積層してなる可逆熱変色性感圧転写テープ或いは支持体の片面に、直接又は離型層を介して可逆熱変色性顔料及び樹脂を含む可逆熱変色性樹脂層、感圧接着性樹脂層を順次積層してなる可逆熱変色性感圧転写テープを用件とする。更には、前記可逆熱変色性顔料は、0.5〜30μmの粒径の顔料が95体積%以上を占め、且つ層中に5〜80重量%含まれてなること、前記可逆熱変色性樹脂層は、温度変化によりヒステリシス特性を示して着色状態と無色状態間の互変性を呈する可逆熱変色性顔料であること、前記可逆熱変色性樹脂層中に隠蔽材を含んでなること、前記隠蔽材を可逆熱変色性顔料100重量%に対して0.1〜20重量%含んでなること、前記可逆熱変色性顔料の変色温度が−20〜70℃であること、前記可逆熱変色性樹脂層及び/又は感圧接着性樹脂層が任意形状の図柄層であること、前記支持体が帯形状であること等を用件とする。更には一端にヘッド部を備えた本体ケース内に、前記可逆熱変色性感圧転写テープを巻き付けたリールを回転自在に保持し、前記リールから繰り出される転写テープの支持体側を押圧して、可逆熱変色性樹脂層を被転写物に転写可能に構成してなる可逆熱変色性感圧転写テープを内蔵した転写具を用件とする。
【0005】
前記支持体の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂フィルム、紙、合成紙、不織布等の布帛等が挙げられる。
又、前記支持体の形状としては、円形、三角形、或いは、長方形、正方形、菱型等の四角形等が挙げられるが、特に帯形状が好ましく、転写具のリールに巻き付ける場合には細幅で連続した帯形状が好ましい。
前記支持体には、必要によって離型層が設けられる。前記離型層は、支持体と可逆熱変色性樹脂層の間に設けて、被転写物に転写する際、支持体と可逆熱変色性樹脂層が容易に剥離するために設けられる。
又、離型層は支持体の他面、即ち可逆熱変色性樹脂層を設けていない側の面に設けることもできる。これは、前記した構成の感圧転写テープ同士が結着することを防止するためであり、とりわけ、前記感圧転写テープをリール等に巻き付ける場合に有効である。
【0006】
前記可逆熱変色性樹脂層は、温度変化により可逆的に変色する可逆熱変色性顔料を、スチレン−ブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ネオプレン、アクリル樹脂、アルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂に分散状態に固着してなる層である。
尚、前記可逆熱変色性顔料及び樹脂は、溶剤中に溶解或いは分散して塗布することが好ましい。
又、前記可逆熱変色性樹脂層中に感圧接着性樹脂を含まない場合、可逆熱変色性樹脂層を設けた後、感圧接着性樹脂層を設ける。
【0007】
前記可逆熱変色性顔料は、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物が用いられる。具体的には、特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、、特公昭51−44708号、特公昭52−7764号、特公平1−29398号公報、特開平7−186546号公報等に記載のものが挙げられる。前記は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、変化前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要する熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、所謂、温度変化による温度−色濃度について小さいヒステリシス幅(ΔH)を示して変色するタイプである。
【0008】
又、本出願人が提案した特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性組成物、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色するタイプの変色材であり、低温側変色点と高温側変色点の間の常温域において、前記低温側変色点以下又は高温側変色点以上の温度で変化させた状態を記憶保持できる特徴を有する可逆熱変色性組成物も有効である。
【0009】
前記した可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して使用するのが好ましい。即ち、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.1〜100μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは2.0〜10μmの範囲が実用性を満たす。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0010】
又、特開平8─34168号公報に記載の温度変化によりヒステリシス特性を示して変色し、白色不透明状態と無色透明状態の両状態の互変性を有する熱変色性遮光−透光性マイクロカプセル顔料を挙げることもできる。
前記熱変色性遮光−透光性マイクロカプセル顔料は、融点が−40℃〜+90℃の範囲にある結晶性の、エステル類、エーテル類、ケトン類から選ばれる化合物の一種又は二種以上を内包させた粒子径が0.1〜50μmのマイクロカプセル顔料である熱変色性遮光−透光性マイクロカプセル顔料である。
【0011】
前記可逆熱変色性顔料は、0.5〜30μm好ましくは2〜10μmの粒径の顔料が95体積%以上を占め、且つ可逆熱変色性樹脂層中に5〜80重量%含まれることが好ましい。
前記した粒度分布の可逆熱変色性顔料を、層中に前記した重量%含むことにより、発色時に十分な色濃度を呈し、且つ消色時には色残りを生じ難い。
【0012】
又、前記可逆熱変色性顔料は、温度変化によりヒステリシス特性を示して着色状態と無色状態間の互変性を呈することによって、被転写物に印刷された文字や図形、或いは、テープ中の可逆熱変色性樹脂層の下層に設けられた文字や図形を隠蔽し、必要時には現出させることができるが、前記可逆熱変色性樹脂層中に隠蔽材を含有させることによって、より隠蔽性を向上させることができる。前記隠蔽材としては酸化チタンが好適に用いられ、可逆熱変色性顔料100重量%に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%含むことによって、十分な隠蔽性と、可逆熱変色性顔料が消色した際に現出する文字や図形等の視覚を妨げることがない。
【0013】
前記可逆熱変色性顔料の変色温度は、−20〜70℃の温度域、好ましくは20〜50℃、更に好ましくは25〜40℃の温度域で可逆的に変色する可逆熱変色性顔料が好適に用いられる。
前記した変色温度の可逆熱変色性顔料を用いることにより、被転写物に転写した可逆熱変色性樹脂層を手触又は手で擦ることによって容易に変色させることができる。
【0014】
前記可逆熱変色性樹脂層は、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により支持体上に形成することができる。
【0015】
更に、前記した可逆熱変色性樹脂層は、適宜の文字、数字、図形等の像を配した可逆熱変色樹脂層を形成して、被転写物に像を形成するように構成してもよいし、同様に被転写物に像を形成する方法として、可逆熱変色性樹脂層の上面に設ける感圧接着性樹脂層を適宜の文字、数字、図形等の像とすることによっても、被転写物に像を形成することができる。
又、可逆熱変色性樹脂層或いは感圧接着性樹脂層を適宜の像により形成しなくても、転写具のヘッド部をローラーにより形成し、前記ローラー表面に凹状又は凸状の適宜の文字、数字、図形等の像を配することによって適宜の文字、数字、図形等の像を被転写物に形成することができる。
【0016】
又、非熱変色性有色染顔料の適宜量を混在させて可逆熱変色性樹脂層の色変化を多様に構成することもできるし、可逆熱変色性樹脂層と感圧接着性樹脂層の間に前記非熱変色性有色染顔料による非変色層を配し、非変色層を隠顕させる構成としてもよい。
この他、非変色層と可逆熱変色性樹脂層を併設したもの、可逆熱変色性樹脂層を重ね刷りしたもの等を挙げることができる。
尚、前記可逆熱変色樹脂層を二層以上を積層する場合、各層が同一温度で変色する層、或いは互いに異なる温度で変色する層でもよい。
【0017】
又、特開平7−81275号公報に記載されている、濃淡の階調を発色状態で呈する、支持体面上に、発色時の濃度が階調的に濃い部分と階調的に淡い部分が連続又は不連続に配されており、最淡部は最濃部の少なくとも半分以下の視覚濃度であり、温度変化により濃淡の階調模様を可逆的に現出させる可逆熱変色樹脂層を設け、立体感、色の拡がり等を具現化させる転写テープとして、視覚的に多彩なデザインの創出を可能となすこともできる。
【0018】
更に、支持体と可逆熱変色性樹脂層の間或いは可逆熱変色性樹脂と感圧接着性樹脂層の間、或いはその両方に光輝層を設けることによって、より色変化を多様にすることができる。
又、前記光輝層は、本出願人が先に提案した、特開平6−1067号公報、特開平6−1068号公報、特開平6−8628号公報等に開示された技術を応用できる。
【0019】
前記光輝層の一例として用いられる真珠光沢顔料層は、従来より公知の二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の真珠光沢顔料が適用でき、バインダーを含む媒体中に分散されて塗料、インキ等の形態として適用される。或いは、樹脂中に前記顔料を分散状態に内在させたものであってもよい。
【0020】
又、前記光輝層としては、光輝性、光輝度反射性、光干渉性、虹彩性、ホログラム性、金属光沢性、蛍光性等の光学的性状を呈する層が挙げられる。
前記光輝層は、具体的には、結合剤としての有機樹脂媒体中にレンズとしての一群の連続した高屈折率ガラスビーズの単層とその背後の光反射層を含む多層複合体からなるもの等の再帰性反射特性を有するもの、微細な凹凸模様の少なくとも片面に光反射層を有するホログラム、金属性鏡面の表面に有色又は無色の塗料によって、光の干渉を引き起こす程度に薄い膜厚となった透明皮膜を被覆形成したもの、或いは前記透明皮膜の一部を所望点を中心とした放射線に沿って肉厚として肉厚部を形成した虹彩模様及び放射線模様を生ずるもの等、金属膜表面で反射された光線と透明皮膜表面で反射されて光線との重なりあって、いわゆる「薄膜干渉」を発生させるもの、透明樹脂溶液に微細なアルミニウム、銅、真鍮、金、銀、ニッケル等の金属粉末、又はプラスチック蒸着粉末、例えば、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂に常法により金属蒸着し、粉砕した粉末を塗工したもの、リーフィングタイプのアルミニウム、銅、亜鉛、銅合金をバインダーと共に塗布したもの、金箔、銀箔等の金属箔によるもの、金属光沢顔料(例えば、天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した金色、銀色、メタリックレッド、メタリックブルー、メタリックグリーンその他のメタリック色)や、蛍光染顔料、燐光性顔料、蓄光性顔料による層を挙げることができる。
【0021】
更に、前記可逆熱変色性樹脂層に光安定剤を添加したり、或いはその上層に光安定剤層を設けることもできる。具体的には、前記光安定剤層は紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を分散状態に固着した層である。
更には老化防止剤、帯電防止剤、極性付与剤、揺変性付与剤、消泡剤、蛍光増白剤、界面活性剤、ワックス等を必要に応じて添加して耐久性等の機能を向上させることができる。
【0022】
前記可逆熱変色性感圧転写テープを内蔵する転写具は、少なくとも本体ケースと、前記本体ケースに内蔵される可逆熱変色性感圧転写テープを巻き付けたリールと、前記転写テープの支持体側を押圧するヘッド部から構成される。
従って、被転写物の所望する部分に前記転写テープを押し当て、前記転写テープの他面をヘッド部により押し付けた状態で本体ケースを移動させると、それに追従してテープを巻き付けたリールが回転し、ヘッド部に転写テープが供給されるため、連続的に可逆熱変色性樹脂層を被転写物に設けることができる。
所望する位置まで可逆熱変色性樹脂層を転写した後、ヘッド部を被転写物から離すと、ヘッド部により押圧した部分の可逆熱変色性樹脂層が被転写物に転写される。
又、可逆熱変色性樹脂層を転写した後に残る支持体は、本体ケース内に収容するようにしてもよいし、本体外に排出するようにしてもよい。
前記支持体を本体内に収容する場合、前記支持体を巻き取るリールを本体内に内蔵することが好ましく、巻き取るリールの巻き込み量は、転写テープを巻き付けたリールの送り出し量と等しい、或いは若干大きい方がよい。
これは、転写テープのたるみを防止して、転写テープの移動をスムーズにすることにより、より簡易に転写することができるからである。
【0023】
前記本体ケースは、プラスチック製の本体が主に用いられ、内部の転写テープの残量を視認できるよう、本体を透明、半透明、着色透明にすることが好ましい。又、本体が不透明であっても透孔を設けて残量を視認できるようにすることもできる。
【0024】
前記リールは、プラスチック製の円盤状リールが好適に用いられ、前記リールの中心部を本体ケース内に固定して回転自在に保持されてなる。
【0025】
前記ヘッド部は、本体ケースと一体に設けてもよいし、別体でもよい。
又、ヘッド部の形状としては、平板状、球状、ローラー形状等があげられ、その形状は特に限定されるものではない。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施例1(図1参照)
PETフィルム製帯状支持体2表面に、離型層3、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂による透明樹脂層(厚み5μm)6、35℃未満で黒色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性顔料をアクリル系感圧接着剤に分散して塗布した可逆熱変色性樹脂層4を設けて可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0027】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の可逆熱変色性樹脂層4側を、文字を書いた紙面上に貼付した後、支持体2を剥離すると、文字上に透明樹脂層6及び可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記透明樹脂層6及び可逆熱変色性樹脂層4が転写された紙面は、25℃の室温下では、文字が視覚されないが、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料が無色に変色するため、文字を視認することができる。
又、この状態で放置して35℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性樹脂層は黒色を呈して、下層の文字は視覚されなくなる。
再び35℃以上に加温すると下層の文字を視覚することができ、繰り返し行うことができる。
【0028】
実施例2(図2参照)
PETフィルム製帯状支持体2の表面及び裏面に離型層3を設け、次いで前記離型層3を設けた支持体2の一方の面に感温変色性色彩記憶性熱変色材料をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料〔赤色(着色温度20℃)←→無色(消色温度40℃)〕をスチレン−ブタジエン樹脂に分散した可逆熱変色性樹脂層4、感圧接着性樹脂層5を順次設けて可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0029】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、文字を書いた紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、文字上に可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記可逆熱変色性樹脂層4が転写された紙面は、指で擦過して40℃以上に加温すると、可逆熱変色性樹脂層が消色して、下層の文字が視覚される。
尚、前記文字が視覚される状態は20℃を越える温度で記憶保持される。
【0030】
次に、前記文字が視覚される状態の紙面を20℃以下に冷却すると、可逆熱変色樹脂層が赤色に発色して、文字が視覚されなくなる。
尚、この状態は40℃未満の温度で記憶保持される。
【0031】
再び40℃以上の温度になると、下層の文字が視覚できるようになり、繰り返し行うことができる。
【0032】
実施例3(図3参照)
PETフィルム製帯状支持体2表面に、離型層3、Iriodin100(メルクジャパン社製)を含む光輝層7、35℃未満で黒色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性顔料を塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂溶液に分散して塗布した可逆熱変色性樹脂層4、ウレタン系感圧接着性樹脂層5を順次積層して可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0033】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、文字を書いた紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、文字上に光輝層7及び可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記光輝層7及び可逆熱変色性樹脂層4が転写された紙面は、25℃の室温下では、文字が視覚されず、銀色のテープが視覚されるが、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料が無色に変色するため、文字を視認することができる。
又、この状態で放置して35℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性樹脂層は銀色を呈して、下層の文字は視覚されなくなる。
再び35℃以上に加温すると下層の文字を視覚することができ、繰り返し行うことができる。
【0034】
実施例4(図4参照)
PEフィルム製帯状支持体2表面に、離型層3、35℃未満で青色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料及び非変色性赤色顔料をスチレン−ブタジエン樹脂に分散してなる可逆熱変色性樹脂層4、感圧接着性樹脂層5を順次積層して可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0035】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記可逆熱変色性樹脂層が転写された紙面は、25℃の室温下では、紫色を呈しているが、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料が無色に変色するため、赤色に変色する。
又、この状態で放置して35℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性樹脂層は紫色を呈する。
再び35℃以上に加温すると赤色に変色して、繰り返し行うことができる。
【0036】
実施例5(図5参照)
PEフィルム製帯状支持体2表面に、離型層3、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂による透明樹脂層6、35℃未満で青色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料A及び40℃未満で赤色、40℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料Bを塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂に分散させた可逆熱変色性樹脂層4、アクリル系感圧接着性樹脂層5を順次設けて可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0037】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、文字を書いた紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、文字上に透明樹脂層6及び可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記透明樹脂層6及び可逆熱変色性樹脂層4が転写された紙面は、25℃の室温下では、文字が視覚されず紫色を呈しており、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料Aが無色に変色するため、可逆熱変色性顔料Bによる赤色を視認することができる。
更に、指で擦過して40℃以上に加温すると、可逆熱変色性樹脂層も消色して、下層の文字が視覚される。
又、この状態で放置して40℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性顔料Bが赤色に発色し、更に35℃未満の温度になると、可逆熱変色性顔料Aが青色に発色して下層の文字は視覚されなくなる。
再び加温すると前記した色変化及び下層の文字を視覚することができ、繰り返し行うことができる。
【0038】
実施例6(図6参照)
紙製帯状支持体2表面に、離型層3、35℃未満で青色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料をスチレン−ブタジエン樹脂に分散させた可逆熱変色性樹脂層4、星型の非変色層8、感圧接着性樹脂層5を順次設けて可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0039】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、可逆熱変色性樹脂層4及び非変色層8が転写された。
前記可逆熱変色性樹脂層4及び非変色層8が転写された紙面は、25℃の室温下では、青色を呈しているが、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料が無色に変色するため、星型の非変色層による星型の像が視覚される。
又、この状態で放置して35℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性樹脂層が発色して青色を呈する。
再び35℃以上に加温すると星型の像が視覚され、繰り返し行うことができる。
【0040】
実施例7(図7参照)
PETフィルム製帯状支持体2表面に、離型層3、35℃未満で青色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料を塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂溶液に分散して塗装した複数の星型の可逆熱変色性樹脂層4、前記星型の可逆熱変色性樹脂層4上に感圧接着性樹脂層5を順次設けて可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0041】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記可逆熱変色性樹脂層4が転写された紙面は、25℃の室温下では、青色の星型の像が視覚されるが、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料が無色に変色するため、星型の像は視覚されなくなる。
又、この状態で放置して35℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性樹脂層が発色して青色の星型の像が視覚される。
再び35℃以上に加温すると星型の像が視覚され、繰り返し行うことができる。
【0042】
実施例8(図8参照)
布製帯状支持体2表面に、離型層3、35℃未満で赤色、35℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料をスチレン−ブタジエン樹脂に分散させた可逆熱変色性樹脂層4、複数の三角型の感圧接着性樹脂層5を順次設けて可逆熱変色性感圧転写テープ1を得た。
【0043】
前記可逆熱変色性感圧転写テープ1の感圧接着性樹脂層5側を、紙面上に貼付けた後、支持体2を剥離すると、三角形の可逆熱変色性樹脂層4が転写された。
前記可逆熱変色性樹脂層4が転写された紙面は、25℃の室温下では、赤色の三角型の像が視覚されるが、手触することにより35℃以上に加温すると、前記可逆熱変色性顔料が無色に変色するため、三角形の像は視覚されなくなる。
又、この状態で放置して35℃未満の温度になると、再び可逆熱変色性樹脂層が発色して赤色の三角形の像が視覚される。
再び35℃以上に加温すると三角形の像が視覚され、繰り返し行うことができる。
【0044】
実施例9(図9参照)
実施例2の可逆熱変色性感圧転写テープ1をプラスチック製円盤状リール12に巻き付け、前記リール中心部を本体ケース11内の突起111に軸支して回転自在に保持し、前記リール12から送り出される転写テープ1を本体ケース11と前記本体ケース11内のガイド片112の間を挿通して孔から外部へ導出し、前記孔の近傍に設けた平板形状のヘッド部13を介して再び別の孔から本体ケース11内部へ導き、更に別に設けた排出孔から外部へ排出する構成の転写具10に内蔵した。
【0045】
前記の如くして形成した転写具10を用いて、紙面状に前記ヘッド部13を押圧したまま転写具10を移動させると、本体ケース11内のリール12が回転してテープ1を紙面上に供給すると共に、ヘッド部13に押圧された部分が紙に転写される。又、転写された後の支持体2は、再び本体ケース11内を通って外部に排出される。
前記のようにして簡易且つ連続的に熱変色性樹脂層を紙面に転写することができた。
【0046】
実施例10
実施例4の可逆熱変色性感圧転写テープをプラスチック製円盤状リールに巻き付け、前記リール中心部を本体ケース内の突起に軸支して回転自在に保持し、前記リールから送り出される転写テープを本体ケースと前記本体ケース内のガイド片の間を挿通して孔から外部へ導出し、前記孔の近傍に設けた表面に凸状の星型の像を設けたローラー形状のヘッド介して再び別の孔から本体内部へ導き、更に別に設けた排出孔から外部へ排出する構成の転写具に内蔵した。
【0047】
前記の如くして形成した転写具を用いて、紙面状に前記ヘッド部を押圧したまま転写具を移動させると、本体ケース内のリールが回転してテープを紙面上に供給すると共に、ヘッド部に押圧された星型の部分が紙に転写される。又、転写された後の支持体は、再び本体ケース内と通って外部に排出される。
前記のようにして簡易且つ連続的に紫色から赤色に変色する星型の熱変色像を紙面に転写することができた。
【0048】
実施例11
実施例7の可逆熱変色性感圧転写テープをプラスチック製円盤状リールに巻き付け、前記リール中心部を本体ケース内の突起に軸支して回転自在に保持し、前記リールから送り出される転写テープを本体ケースと前記本体ケース内のガイド片の間を挿通して孔から外部へ導出し、前記孔の近傍に設けた平板形状のヘッド介して再び別の孔から本体内部へ導き、テープを巻き取るリールに接続した構成の転写具に内蔵した。
【0049】
前記の如くして形成した転写具を用いて、紙面状に前記ヘッド部を押圧したまま転写具を移動させると、本体ケース内のリールが回転してテープを紙面上に供給すると共に、ヘッド部に押圧された部分が紙に転写される。又、転写された後の支持体は、再び本体ケースのリールに巻き取られる。
前記のようにして簡易且つ連続的に星型の熱変色像を紙面に転写することができた。
【0050】
【発明の効果】
本発明の可逆熱変色性感圧転写テープは、簡易且つ連続的に気温の変化や手触或いは摩擦等により下層の文字や図形を隠顕させる適宜寸法の可逆熱変色性樹脂層を被転写物に設けたり、或いは所望の熱変色像を設けることができ、より自由度の高い可逆熱変色性感圧転写テープを提供することができる。
又、前記テープを転写具に内蔵して用いることによって、軽便性に優れ、より簡易に前記した可逆熱変色性樹脂層或いは熱変色像を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの一実施例の縦断面説明図である。
【図2】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図3】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図4】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図5】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図6】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図7】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図8】本発明可逆熱変色性感圧転写テープの他の実施例の縦断面説明図である。
【図9】本発明可逆熱変色性感圧転写テープを内蔵した転写具の縦断面説明図である。
【符号の説明】
1 可逆熱変色性感圧転写テープ
2 支持体
3 離型層
4 可逆熱変色性樹脂層
5 感圧接着性樹脂層
6 透明樹脂層
7 光輝層
8 非変色層
10 転写具
11 本体ケース
111 突起
112 ガイド片
12 リール
13 ヘッド部

Claims (11)

  1. 支持体の片面に、直接又は離型層を介して感圧接着性樹脂、可逆熱変色性顔料を含む可逆熱変色性樹脂層を積層してなる可逆熱変色性感圧転写テープ。
  2. 支持体の片面に、直接又は離型層を介して可逆熱変色性顔料及び樹脂を含む可逆熱変色性樹脂層、感圧接着性樹脂層を順次積層してなる可逆熱変色性感圧転写テープ。
  3. 前記可逆熱変色性顔料は、0.5〜30μmの粒径の顔料が95体積%以上を占め、且つ層中に5〜80重量%含まれてなる請求項1又は2の可逆熱変色性感圧転写テープ。
  4. 前記可逆熱変色性樹脂層は、温度変化によりヒステリシス特性を示して着色状態と無色状態間の互変性を呈する可逆熱変色性顔料である請求項1乃至3のいずれかの可逆熱変色性感圧転写テープ。
  5. 前記可逆熱変色性樹脂層中に隠蔽材を含んでなる請求項1乃至4のいずれかの可逆熱変色性感圧転写テープ。
  6. 前記隠蔽材を可逆熱変色性顔料100重量%に対して0.1〜20重量%含んでなる請求項5の可逆熱変色性感圧転写テープ。
  7. 前記可逆熱変色性顔料の変色温度が−20〜70℃である請求項1乃至6のいずれかの可逆熱変色性感圧転写テープ。
  8. 前記可逆熱変色性樹脂層及び/又は感圧接着性樹脂層が任意形状の図柄層である請求項1乃至7のいずれかの可逆熱変色性感圧転写テープ。
  9. 前記支持体が帯形状である請求項1又は2の可逆熱変色性感圧転写テープ。
  10. 一端にヘッド部を備えた本体ケース内に、請求項1乃至9のいずれかの可逆熱変色性感圧転写テープを巻き付けたリールを回転自在に保持し、前記リールから繰り出される転写テープの支持体側を押圧して、可逆熱変色性樹脂層を被転写物に転写可能に構成してなる可逆熱変色性感圧転写テープを内蔵した転写具。
  11. 本体内に前記可逆熱変色性感圧転写テープの支持体を巻き取るリールを収容してなる請求項10の可逆熱変色性感圧転写テープを内蔵した転写具。
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