JP3726673B2 - エネルギースペクトル測定装置,電子エネルギー損失分光装置、及びそれを備えた電子顕微鏡、及び電子エネルギー損失スペクトル測定方法 - Google Patents

エネルギースペクトル測定装置,電子エネルギー損失分光装置、及びそれを備えた電子顕微鏡、及び電子エネルギー損失スペクトル測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子エネルギー損失スペクトル測定装置,透過型あるいは走査透過型電子顕微鏡および電子エネルギー損失スペクトル測定方法に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや磁気ヘッド素子の微細化,小型化により、素子はサブミクロン程度の領域に数nm(ナノメートル)の薄膜を積層した構造となっている。このような微小領域の構造,元素分布,結晶構造,化学結合状態は、半導体素子や磁気ヘッド素子の特性を大きく左右するようになっているため、微小領域を分析することは重要である。
【0003】
微小領域の観察方法としては、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM),透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM),走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)がある。ナノメーターレベルの空間分解能を有しているのはTEMとSTEMである。TEMは試料にほぼ平行に電子線を照射し、透過した電子線をレンズなどで拡大する装置である。一方STEMは微小領域に電子線を収束し、電子線を試料上で2次元に走査しながら、透過した電子線の強度を測定し、2次元画像を取得する装置である。
【0004】
TEMあるいはSTEMにおいて、電子線が試料を透過する際に、試料を構成する元素との相互作用により、元素(電子構造)固有のエネルギー損失を生ずる。試料を透過した電子を電子分光器によりエネルギー分析する電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)は、試料内の元素分析を行うことができる分析方法である。さらに、同一元素においてもその元素の化学結合状態の違いは、特に元素の電子構造の違いを反映して、数eV程度のエネルギーシフトとして現われる。これまで、これらの分析装置としては、TEMもしくはSTEMとパラレル検出型の電子エネルギー損失分光器(Electron EnergyLoss Spectrometer:EELS)を組み合わせた方法が広く用いられている。
【0005】
STEM内において、試料を透過した電子線は、対物レンズ,投影レンズ入射絞りを通ってEELS装置に入る。EELSは扇型の磁場セクターを電子分光器とし、その前後に4重極電磁レンズと6重極電磁レンズを配置し、最下流にパラレル型の電子線検出器を持つ構造としている。4重極電磁レンズは電子エネルギー損失スペクトルのフォーカスの調整と、電子エネルギー損失スペクトルの拡大に用いる。6重極電磁レンズは電子線検出器に投影される電子エネルギー損失スペクトルの収差を低減するために用いる。4重極電磁レンズで拡大した電子エネルギー損失スペクトルを電子線検出器に投影し、広いエネルギー範囲の電子エネルギー損失スペクトルを測定する。
【0006】
電子線検出器は、電子線を受けて蛍光を発する蛍光体と、それを受光できる複数のピクセルで構成された素子で構成される。あるいは、電子線を受けることができる複数のピクセルで構成された検出器である。同じエネルギーである各ピクセルに入射した蛍光もしくは電子線強度より、電子エネルギー損失スペクトルを測定することができる。
【0007】
EELSの構造に関する先行技術としては、例えば、米国特許第4,743,756 号公報,特開平7−21966号公報,特開平7−21967号公報,特開平7−29544号公報等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のSTEMとEELSを組み合わせた分析装置では、ユーザーが(1)測定場所の指定→(2)元素もしくは、測定するエネルギー範囲の指定→(3)電子エネルギー損失スペクトルをEELSで測定する→(1)の繰り返し操作を全ての測定点で行う必要がある。このとき、外界の電磁場の影響で電子線の軌道が変化すると、電子線検出器に入射するピクセル位置が変化し、電子エネルギー損失スペクトルのエネルギー精度及び確度が劣化するという問題があった。
【0009】
以上のように試料上のある特定場所の電子エネルギー損失スペクトルを測定する場合、電子エネルギー損失スペクトルのエネルギー精度や確度が劣化すると、次のような問題がある。
【0010】
(A)図3(b)は試料上のある特定場所の電子エネルギー損失スペクトルを測定した場合、スペクトルの精度が劣化する例を示した図である。例えば、酸素の内殻電子励起による電子エネルギー損失スペクトルを測定する場合、測定に1秒間を要し、その時間内に発生した外界の電磁場の影響により、電子線検出器に入射するピクセル位置が基準ピクセル位置(点線)から位置ずれする様子を示している。測定開始から0.5 秒までは図3(b)の(i)に示すスペクトルを検出していた。しかし、0.5 秒後に外部磁場の影響でスペクトルが図3(b)の(ii)に示すように、エネルギーがシフトした。この場合、1秒間測定したスペクトルは図3(b)の(iii)に示すような電子エネルギー損失スペクトルとなる。その結果、酸素のピーク形状が幅広くなり、エネルギー精度が劣化する。
【0011】
以上の課題を解決するためには、エネルギー補正を行ったあとに、電子エネルギー損失スペクトルを測定することが不可欠である。
【0012】
本発明の目的は、TEMもしくはSTEMとEELSとを組み合わせた装置で、高精度,高確度の電子エネルギー損失スペクトル測定装置および方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数のピクセルより構成され、試料を透過した電子線のスペクトルを測定する電子線検出器と、電子線検出器に入射する電子線の位置を制御する制御装置を備えたEELS装置において、分散が既知のスペクトルを電子線検出器で測定し、電子線検出器で測定したスペクトル上に現われたピークのピクセル位置と、電子線検出器で基準位置と定めた基準ピクセル位置との位置ずれピクセル量を検出し、スペクトルの分散に基づいて位置ずれピクセル量を、電子線の位置を制御する制御因子、例えば電圧値や電流値に変換し、制御因子を基に位置ずれ量を補正するピーク位置制御装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子エネルギー損失スペクトル測定方法の特徴は、スペクトルのピーク位置を補正するピーク位置制御装置を備えたEELS装置を用いて、スペクトルのピーク位置ずれ量を補正する操作を行った後に、電子エネルギー損失スペクトルを測定することで高精度のスペクトルを測定することである。
【0015】
また、スペクトル強度が最大となるゼロロスピークを電子線検出器で検出し、ゼロロスピークのピーク位置を電子線検出器の基準ピクセル位置に一致するように、ピーク位置制御装置を用いて補正することで、短時間で高精度にスペクトルのエネルギー補正ができ、高精度,高確度の電子エネルギー損失スペクトルを測定できることを特徴とする。もし、ゼロロスピークが電子線検出器上に無い場合でも、ピーク位置制御装置を用いて、ゼロロスピークを電子線検出器上に現われるように制御した後、さらに電子線検出器の基準ピクセル位置にゼロロスピークが一致するように再びピーク位置制御装置を制御することが可能である。従って、より広い範囲の電子エネルギー損失スペクトルを測定する場合でも、エネルギー補正が短時間かつ、高精度,高確度で測定できることが特徴である。
【0016】
また、本発明のEELSを備えたSTEMもしくはTEMの特徴は、電子線検出器でスペクトルを測定しその結果を記憶するメモリー装置と、分析対象となる元素のコアロスまたはプラズモンロスエネルギーのデータベースを記憶する記憶装置と、スペクトルのピーク位置ずれ量を補正するピーク位置制御装置と、スペクトル測定とピーク位置制御操作を制御する制御装置を備えたことである。さらに、EELSを備えたSTEMの特徴は、電子線検出器で測定したスペクトルをメモリーするメモリー装置と、電子線検出器上のピーク位置を制御するピーク位置制御装置と、試料に入射する電子線の位置を制御する電子線走査部とを制御する制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、ゼロロスを検出し、エネルギー補正を行うための電子線検出器と、電子エネルギー損失スペクトル測定を行う電子線検出器の少なくとも2個の電子線検出器で構成されたEELS装置であることが特徴である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例によるEELS装置を備えた走査透過型電子顕微鏡
(本書では、電顕とも称す。)の主要部分の概略構成図である。図1では、電子線源1からZコントラスト検出器21までを、電顕本体として記載し、フォーカス調整用電磁レンズ16から電子線検出器13までの部分をEELS装置として記載している。
【0020】
電子線源1は、例えば、冷陰極電界放出型の電子線源を用いることができる。電子線源1で発生した電子線2は、電子線走査コイル3で偏向される。偏向された電子線2は、対物レンズ上部磁場4により試料5面で収束し、対物レンズ下部磁場6直後に走査物点7を形成する。この走査物点7は電子線2を電子線走査コイル3を用いて試料面上を走査しても動かない。
【0021】
試料を透過した電子線は投影レンズ8前に像物点9を形成する。最終的には、電子線は対物レンズ下部磁場6や投影レンズ8によって物点10が形成される。
【0022】
この物点10を光源とした電子線は、下流に設置された、扇型の磁場セクター11に入射する。磁場セクター11を構成している磁石の磁場は図1の紙面に垂直な磁場空間を形成する。磁場セクター11に入射した電子線は90゜偏向させると共に、エネルギー分光され、エネルギー分散面12にフォーカスする。本実施例ではエネルギー分散面12は電子線検出器13の上にある。
【0023】
本実施例では、エネルギー分散面12上に形成されるスペクトルは電子分光装置11の電子線の回転半径が100mmの場合、1eV/μm程度になる。これを拡大磁場レンズ15で100倍に拡大する。このとき拡大磁場レンズ15のフォーカス位置をエネルギー分散面12と一致させるためにフォーカス調整用電磁レンズ16の磁場を調整する。これにより、電子線検出器13上に投影される電子エネルギー損失スペクトル18は0.01eV/μm となる。25μm/チャンネルのマルチチャンネルプレートアレイを電子線検出器13として用いれば0.25eV/チャンネルとなる。
【0024】
制御装置26は、データベース24からの情報に基づいて拡大磁場レンズ15,ドリフトチューブ19,磁場セクター11,偏向コイル14を制御し、電子線検出器13からの電子線強度の信号を取り込む。電子線検出器13からの電子線強度信号は、スペクトル測定時は測定したスペクトルを制御装置26内のメモリー部27に記憶する。また、エネルギー補正時では電子線検出器13からの電子線強度信号はスペクトルのピーク位置を検出し、そのピーク位置と電子線検出器13の基準ピクセル位置とのずれ量を制御装置26において検出し、スペクトルの分散に基づき、ピークの位置ずれ量をドリフトチューブ19に印加する電圧を制御する電圧値もしくは電流値、あるいは磁場セクター11の磁場強度を制御する電圧値もしくは電流値、あるいは電子線検出器上の電子線位置を制御する偏向コイル14の電圧値もしくは電流値を用いて制御装置によって、ドリフトチューブ19、あるいは磁場セクター11、あるいは偏向コイル14を制御する。さらに、制御装置26は、試料上の電子線位置を制御する電子線走査コイル3を用いて、試料上の電子線位置を制御する。
【0025】
次に、本実施例を用いた電子エネルギー損失スペクトル測定を行う方法の実施例を述べる。
【0026】
図2を用いて、電子エネルギー損失スペクトル測定を行うための処理の一例を示す。
【0027】
従来、操作者は(1)試料上の分析箇所を指定し、(2)スペクトルのエネルギー零点補正を行い、(3)分析元素あるいは測定するエネルギー範囲を指定した後、(4)スペクトル測定を行っていた。
【0028】
本発明の実施例では、操作者は(1)試料上の分析箇所を指定し、(2)分析元素あるいは測定するエネルギー範囲の指定処理に関与すれば良く、その他の処理、(3)スペクトルのエネルギー補正処理と(4)スペクトル測定を制御装置26の制御下で行う。スペクトル測定中は、常にエネルギーシフトの有無を検出し、もしシフトした場合にはそのずれ量を検出し、スペクトルの分散に基づきスペクトルずれ量を、電子線検出器13上でのスペクトル位置を制御するドリフトチューブ19、あるいは磁場セクター11、あるいは偏向コイル14を制御する電圧もしくは電流値に変換し、スペクトルずれ量を補正する。このようにスペクトルを測定することにより、高精度かつ高確度の電子エネルギー損失スペクトルを測定可能である。
【0029】
図3(a)に、試料構成元素の内殻電子励起による電子エネルギー損失スペクトルを本実施例の装置を用いて測定した例を示す。電子エネルギー損失スペクトルに図3(a)に示すようなピークが現われるのは、電子線が試料を透過した際、電子線が原子の内殻電子を励起することで、元素固有のエネルギーを失うためである。スペクトルの分散が0.25eV/μm であるため、図3(a)に示すように、ピーク位置の測定確度が0.25eV のスペクトルを測定することができる。
【0030】
データベース24に含まれるコアロスピーク27の情報の例としては、鉄(Fe)の場合、EL2:721eV,EL3:708eVである。あるいは、EL2:721eVとEL3:708eVを含むエネルギー範囲として、600〜800eVでもよい。
【0031】
本実施例では、電子線検出器13として、1個のマルチチャンネルプレートアレイを用いたが、2個のマルチチャンネルプレートアレイを用い、1個は電子エネルギー損失スペクトル測定に用い、残り1個はゼロロスが測定できるように配置され、マルチチャンネルプレートアレイ上でのゼロロスピーク位置の変化を常に検出し、もしゼロロスのピーク位置がゼロロスピーク基準位置からずれた場合にはピーク位置を基準位置に戻すように、制御装置26を用いてエネルギー補正を行えばよい。このようにゼロロスピークを常にゼロロスピーク基準位置に位置するように補正を行うことにより、図3(b)に示したようなスペクトルシフトが生じることがなく正確な位置にピークが現われ、高確度な測定が行える。
【0032】
また、本発明の第2の実施例について説明する。本発明の装置を用いれば、電子線検出器13上にゼロロスピークが現われていない場合でも、エネルギー補正することができる。操作者は例えば、自動ゼロロスピーク検索を実行するボタンを押す操作だけでよく、制御装置26は、(1)最も大きなピーク(ゼロロスピーク)の位置を検出する。又は、(1)′最も大きなピーク(ゼロロスピーク)が電子線検出器13上に無い場合には、電子線検出器13上にゼロロスピークが現われるように、ドリフトチューブ19、あるいは磁場セクター11、あるいは偏向コイル14を制御し、(2)電子線検出器13のゼロロス基準ピクセル位置と、(1)又は(1)′の操作で現われたゼロロスピーク位置のずれ量を検出し、(3)ずれ量を補正するように、スペクトルの分散に基づいてドリフトチューブ19、あるいは磁場セクター11、あるいは偏向コイル14を制御する。このように制御装置26を制御することで、操作者は1回の操作でゼロロスピークの位置を自動的に補正を行うことができる。また、電子線検出器13上にゼロロスピークが現れていない場合でも、ゼロロスピークを自動的に検出し電子線検出器13上に移動させ、かつエネルギー補正を行うことができる。上述の自動ゼロロスピーク検索を実行するボタンは、操作者が操作する際のキーボードまたは専用のスイッチとして設けられている。このボタンを押すことにより、上述したような処理が制御装置26,演算装置23,記憶装置24,メモリー装置27等で実行される。
【0033】
さらに、電子線検出器のピクセル数が1024チャンネル、電子エネルギー損失スペクトルの分散が1チャンネル当たり0.25eV の場合、電子線検出器で検出可能なエネルギー幅は256eVとなる。1個の電子線検出器で一度に検出できるエネルギー幅の制限から、256eV以上のエネルギー損失した電子のスペクトル測定を行う場合、ゼロロスピークを用いたエネルギー補正とスペクトル測定を交互に1個の電子線検出器で行う必要がある。しかし、2個の電子線検出器を用いれば、1個はゼロロスピークを検出しエネルギー補正を行い、残り1個は電子エネルギー損失スペクトルの測定を行うことができる。
【0034】
また、2個の電子線検出器の内、1個はゼロロスピークを用いたエネルギー補正を行い、残り1個は電子エネルギー損失スペクトルを形成する電子線強度を各ピクセル毎に検出し、予め指定した複数のエネルギー範囲の電子線強度を用いて演算を行い、その演算結果を画像表示することで、高精度のエネルギー分解能の元素分布像観察することが可能となる。前述の演算とは、内殻励起電子によるコアロスピーク部分のバックグランドを差し引くことであったり、コアロスピーク部分の電子線強度をそれより低損失エネルギーの電子線強度で割るといった演算のことである。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、電子エネルギー損失スペクトル装置を備えた電子顕微鏡において、高精度な電子エネルギー損失スペクトルを取得可能な装置および方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の主要部分の概略構成図。
【図2】電子エネルギー損失スペクトルを得るための処理の一例を示す図。
【図3】コアロス電子の電子エネルギー損失スペクトルの一例を示す図。
【符号の説明】
1…電子線源、2…電子線、3…電子線走査コイル、4…対物レンズ上部磁場、5…試料、6…対物レンズ下部磁場、7…走査物点、8…投影レンズ、9…像物点、10…物点、11…磁場セクター、12…エネルギー分散面、13…電子線検出器、14…偏向レンズ、15…拡大磁場レンズ、16…フォーカス調整用電磁レンズ、18…EELSスペクトル、19…ドリフトチューブ、20…2次電子検出器、21…Zコントラスト検出器、23…演算装置、24…記憶装置、25…画像/スペクトル表示装置、26…制御装置、27…メモリー装置。

Claims (10)

  1. 複数のピクセルより構成され、電子線のエネルギースペクトルを測定するエネルギースペクトル検出器と、
    前記エネルギースペクトル検出器に入射する前記電子線の位置を制御するピーク位置制御装置とを備えたエネルギースペクトル測定装置において、
    前記ピーク位置制御装置は、
    前記検出器で試料のスペクトルを測定しそのピークのピクセル位置を検出し、
    前記ピークのピクセル位置と予め基準位置と定めた基準ピクセル位置との位置ずれピクセル量を検出し、
    前記ピクセル量を、前記エネルギースペクトル検出器の1ピクセル当たりのエネルギー値に基づいて、前記電子線の位置を制御する制御因子に変換し、
    前記制御因子を基に前記電子線の位置を補正することを特徴とするピーク位置制御装置であることを特徴とするエネルギースペクトル測定装置。
  2. 複数のピクセルより構成され、試料を透過した電子線のエネルギースペクトルを測定する電子線検出器と、前記電子線検出器に入射する前記電子線の位置を制御するピーク位置制御装置とを備えた電子線エネルギー損失スペクトル測定装置において、
    前記ピーク位置制御装置は、
    前記検出器で試料のスペクトルを測定しそのスペクトルのピークのピクセル位置を検出し、
    前記ピークのピクセル位置と予め設定された基準ピクセル位置との位置ずれピクセル量を検出し、
    前記ピクセル量を前記エネルギースペクトル検出器の1ピクセル当たりのエネルギー値に基づいて電子線の位置を制御する制御因子に変換し、
    前記制御因子を基に前記電子線の位置を補正することを特徴とするピーク位置制御装置であることを特徴とする電子線エネルギー損失スペクトル測定装置。
  3. 請求項2に記載された電子線エネルギー損失スペクトル測定装置であって、
    前記電子線検出器は、電子線強度が最大のピークのピクセル位置を検出する最大強度ピーク位置検出部と、エネルギー損失した電子線を検出する電子線検出部とを有し、
    前記基準ピクセル位置は、前記最大強度ピーク位置検出部上に設定されており、
    前記最大ピークのピクセル位置に基づいて前記電子線の位置を補正することを特徴とする電子線エネルギー損失スペクトル測定装置。
  4. 請求項2記載の電子線エネルギー損失スペクトル測定装置において、
    前記電子線検出器で測定されたスペクトルを記憶するメモリー装置と、
    前記位置ずれ量を検出し、前記位置ずれ量を補正するピーク位置制御装置と、
    前記スペクトルの測定と、前記電子線の位置の補正とを制御する制御装置を備えたことを特徴とする電子線エネルギー損失スペクトル測定装置。
  5. 電子線を発生する電子線源と、
    試料を透過した電子線を収束,結像する対物レンズと投影レンズと、
    複数のピクセルより構成され、電子線のエネルギー損失スペクトルを測定するエネルギースペクトル検出器と、前記エネルギースペクトル検出器に入射する前記電子線の位置を制御するピーク位置制御装置と、前記電子線検出器で測定されたスペクトルを記憶するメモリー装置とを有する透過型電子顕微鏡であって、
    前記ピーク位置制御装置は、前記検出器で測定されたスペクトルのピークのピクセル位置を検出し、前記ピークのピクセル位置と予め設定された基準ピクセル位置との位置ずれピクセル量を検出し、前記ピクセル量を前記検出器の1ピクセル当たりのエネルギー値に基づいて電子線の位置を制御する制御因子に変換し、前記制御因子を基に前記電子線の位置を補正することを特徴とするピーク位置制御装置であり、
    前記電子顕微鏡は、前記スペクトルの測定と、前記電子線の位置の補正とを制御する制御装置と、分析対象の元素のコアロスエネルギーまたはプラズモンロスエネルギーのデータベースを記憶する記憶装置とを備えたことを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  6. 電子線を発生する電子線源と、
    電子線を試料上で走査する電子線走査部と、
    試料に前記電子線を収束させる対物レンズと、
    複数のピクセルより構成され、電子線のエネルギー損失スペクトルを測定するエネルギースペクトル検出器と、前記エネルギースペクトル検出器に入射する前記電子線の位置を制御するピーク位置制御装置とを備えた走査透過型電子顕微鏡であって、
    前記ピーク位置制御装置は、前記検出器で測定された試料のスペクトルのピークのピクセル位置を検出し、前記ピークのピクセル位置と予め設定された基準ピクセル位置との位置ずれピクセル量を検出し、前記ピクセル量を前記検出器の1ピクセル当たりのエネルギー値に基づいて電子線の位置を制御する制御因子に変換し、前記制御因子を基に前記電子線の位置を補正することを特徴とするピーク位置制御装置であり、
    前記電子顕微鏡は、前記スペクトルの測定と、前記電子線走査部前記電子線の位置の補正とを制御する制御装置と、分析対象の元素のコアロスエネルギーまたはプラズモンロスエネルギーのデータベースを記憶する記憶装置を備えたことを特徴とする走査透過型電子顕微鏡。
  7. 試料上の測定場所を指定し、測定する元素または測定するエネルギー範囲を指定し、スペクトルのピーク位置ずれ量を補正し、電子エネルギー損失スペクトルを測定する電子エネルギー損失スペクトルの測定方法であって、
    前記位置ずれ量の補正は、
    既知の電子エネルギー損失スペクトルを測定し、前記スペクトル強度が最大となるゼロロスピークのピクセル位置を検出し、
    電子線検出器上に定めた基準ピクセル位置と前記ピークピクセル位置とのずれ量を検出し、
    前記ずれ量を前記電子線検出器の1ピクセル当たりのエネルギー値に基づいて、電子線の位置を制御する制御因子に変換し、
    前記制御因子を基に前記位置ずれ量を補正することを特徴とする電子エネルギー損失スペクトルの測定方法。
  8. 電子線エネルギー損失スペクトルの電子線のスペクトル強度が最大となるピーク位置を、前記電子線検出器の基準位置と定めたピクセル位置に合わせるスペクトルエネルギーの補正方法であって、
    電子線位置を移動させるピーク位置制御装置を用いて、前記電子線のスペクトルのうち、スペクトル強度が最大のピークを電子線検出器上に移動させ、
    スペクトル強度が最大となるピークの最大ピークピクセル位置を検出し、
    前記基準位置と、前記最大ピークピクセル位置とのずれ量を検出し、前記ずれ量を前記検出器の1ピクセル当たりのエネルギー値に基づいて、電子線の位置を制御する制御因子に変換し、前記制御因子を基にピーク位置制御装置を用いて前記ずれ量を補正することを特徴とするスペクトルエネルギーの補正方法。
  9. 請求項5記載の透過型電子顕微鏡に、
    前記エネルギー損失した電子線を検出する電子線検出部からの信号を演算する演算装置と、前記演算装置の演算結果を表示する画像装置とを付したことを特徴とする元素分布像観察装置。
  10. または請求項6記載の走査透過型電子顕微鏡に、
    前記エネルギー損失した電子線を検出する電子線検出部からの信号を演算する演算装置と、前記演算装置の演算結果を表示する画像装置とを付したことを特徴とする元素分布像観察装置。
JP2000359475A 2000-11-21 2000-11-21 エネルギースペクトル測定装置,電子エネルギー損失分光装置、及びそれを備えた電子顕微鏡、及び電子エネルギー損失スペクトル測定方法 Expired - Lifetime JP3726673B2 (ja)

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