JP2001093459A - 走査透過型電子顕微鏡 - Google Patents
走査透過型電子顕微鏡Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 実時間で元素マッピング像を取得できる走査
透過型電子顕微鏡において、低倍率でも視野周辺でエネ
ルギーずれや視野カットの無い元素マッピング像が得ら
れる走査透過型電子顕微鏡を提供すること。 【解決手段】 電子線源1と走査コイル3、対物レンズ
4、結像レンズ8、電子分光装置11、それにエネルギ
ースリット14とマッピング検出器15を備えた走査透
過型電子顕微鏡において、振り戻しコイル7を設け、走
査コイル3により電子線を走査したことにより、エネル
ギースリット14の位置で電子線に現れる電子線の移動
量19を、振り戻しコイル7による電子線の偏向により
相殺して低減し、マッピング検出器15の出力の演算処
理を走査コイル3による電子線の走査に同期して逐次実
行させ、画像表示するようにしたもの。 【効果】 低倍率の元素マッピング像を実時間で取得す
る際に、電子線走査に伴うスペクトルのエネルギードリ
フトを低減が小さくなり、元素マッピング像のエネルギ
ーずれや視野制限が生じないようにできる。
透過型電子顕微鏡において、低倍率でも視野周辺でエネ
ルギーずれや視野カットの無い元素マッピング像が得ら
れる走査透過型電子顕微鏡を提供すること。 【解決手段】 電子線源1と走査コイル3、対物レンズ
4、結像レンズ8、電子分光装置11、それにエネルギ
ースリット14とマッピング検出器15を備えた走査透
過型電子顕微鏡において、振り戻しコイル7を設け、走
査コイル3により電子線を走査したことにより、エネル
ギースリット14の位置で電子線に現れる電子線の移動
量19を、振り戻しコイル7による電子線の偏向により
相殺して低減し、マッピング検出器15の出力の演算処
理を走査コイル3による電子線の走査に同期して逐次実
行させ、画像表示するようにしたもの。 【効果】 低倍率の元素マッピング像を実時間で取得す
る際に、電子線走査に伴うスペクトルのエネルギードリ
フトを低減が小さくなり、元素マッピング像のエネルギ
ーずれや視野制限が生じないようにできる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡に係
り、特に電子線分光手段を備えた走査透過型電子顕微鏡
に関する。
り、特に電子線分光手段を備えた走査透過型電子顕微鏡
に関する。
【0002】
【従来の技術】微小領域の観察方法として、従来から電
子顕微鏡が良く知られているが、これには、大別して、
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscop
e)、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Mic
roscope)、走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Trasm
ission Electron Microscope)があり、ナノメーターレ
ベルの空間分解能を有しているのはTEMとSTEMで
ある。
子顕微鏡が良く知られているが、これには、大別して、
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscop
e)、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Mic
roscope)、走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Trasm
ission Electron Microscope)があり、ナノメーターレ
ベルの空間分解能を有しているのはTEMとSTEMで
ある。
【0003】ここで、TEMは、試料にほぼ平行に電子
線を照射し、透過した電子線をレンズなどで拡大する装
置であり、次にSTEMは、試料上の微小領域に電子線
を収束し、電子線を試料上で2次元に走査しながら透過
した電子線の強度を測定し、2次元画像を取得する装置
である。
線を照射し、透過した電子線をレンズなどで拡大する装
置であり、次にSTEMは、試料上の微小領域に電子線
を収束し、電子線を試料上で2次元に走査しながら透過
した電子線の強度を測定し、2次元画像を取得する装置
である。
【0004】ところで、これらTEM及びSTEMで検
出される透過電子の強度は、電子が透過した部分の平均
原子番号と相関があり、このため原子番号が近い元素で
構成された薄膜や、平均原子番号が近いシリコン酸化膜
とシリコン窒化膜などの試料は識別することができな
い。
出される透過電子の強度は、電子が透過した部分の平均
原子番号と相関があり、このため原子番号が近い元素で
構成された薄膜や、平均原子番号が近いシリコン酸化膜
とシリコン窒化膜などの試料は識別することができな
い。
【0005】一方、試料が金属膜の場合、蛍光X線分析
を用いて2次元像を取得する方法により識別が可能にな
るが、しかし、検出される蛍光X線強度が弱いので、2
次元像を得るには長い測定時間が必要となる。また、こ
の蛍光X線分析は軽元素の分析には適していないため、
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜などの識別は困難であ
る。
を用いて2次元像を取得する方法により識別が可能にな
るが、しかし、検出される蛍光X線強度が弱いので、2
次元像を得るには長い測定時間が必要となる。また、こ
の蛍光X線分析は軽元素の分析には適していないため、
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜などの識別は困難であ
る。
【0006】そこで、これらの問題を解決する分析方法
として、電子分光器を用い、試料を透過した電子のエネ
ルギーにより試料をスペクトル分析するようにした電子
エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy Loss Sp
ectroscopy)がある。
として、電子分光器を用い、試料を透過した電子のエネ
ルギーにより試料をスペクトル分析するようにした電子
エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy Loss Sp
ectroscopy)がある。
【0007】この方法は、電子が試料を透過する際、試
料を構成する元素(電子構造)固有のエネルギーによる損
失を受けることを利用したものであり、従って、このよ
うに元素固有のエネルギー損失を受けた電子により2次
元像を得るようにした分析方法は、特にEF−TEM(E
nergy Filtering-TEM)法と呼ばれている。
料を構成する元素(電子構造)固有のエネルギーによる損
失を受けることを利用したものであり、従って、このよ
うに元素固有のエネルギー損失を受けた電子により2次
元像を得るようにした分析方法は、特にEF−TEM(E
nergy Filtering-TEM)法と呼ばれている。
【0008】ところで、このEF−TEM法の1種に、
パラレル検出型の電子エネルギー損失分光器(Parallel
detection Electron Energy Loss Spectrometer:PEELS)
をSTEMに組み合わせた方法があり、EF−STEM
と呼ばれている。
パラレル検出型の電子エネルギー損失分光器(Parallel
detection Electron Energy Loss Spectrometer:PEELS)
をSTEMに組み合わせた方法があり、EF−STEM
と呼ばれている。
【0009】ここで、PEELSとは、扇型の磁場セク
ターを電子分光器とし、その前後に4重極レンズを配置
し、最下流にマルチチャンネルプレートアレイによるパ
ラレル電子線検出器を持つ構造のもので、このとき、そ
の4重極レンズは、EELSスペクトルのフォーカスの
調整と、EELSスペクトルの拡大に用いられる。
ターを電子分光器とし、その前後に4重極レンズを配置
し、最下流にマルチチャンネルプレートアレイによるパ
ラレル電子線検出器を持つ構造のもので、このとき、そ
の4重極レンズは、EELSスペクトルのフォーカスの
調整と、EELSスペクトルの拡大に用いられる。
【0010】そして、電子エネルギー損失スペクトル
は、電子分光器で分光された電子線スペクトルを4重極
拡大レンズで拡大してパラレル電子線検出器に投影して
測定するのである。なお、更に6重極レンズを配置する
場合もあるが、この場合、その6重極レンズは、検出器
に投影されるEELSスペクトルの収差を低減するため
に用いられる。
は、電子分光器で分光された電子線スペクトルを4重極
拡大レンズで拡大してパラレル電子線検出器に投影して
測定するのである。なお、更に6重極レンズを配置する
場合もあるが、この場合、その6重極レンズは、検出器
に投影されるEELSスペクトルの収差を低減するため
に用いられる。
【0011】ここで、従来技術によるEF−STEMに
ついて、図3の概念構成図により説明する。この図3に
おいて、電子線源1により発生された電子線は、照射レ
ンズ2と走査コイル3を介して対物レンズ(レンズ系)4
に入射され、細い平行電子線として試料5に照射され
る。そして、この試料5を透過した後、対物レンズ4の
下流に電子線像を結ぶ。
ついて、図3の概念構成図により説明する。この図3に
おいて、電子線源1により発生された電子線は、照射レ
ンズ2と走査コイル3を介して対物レンズ(レンズ系)4
に入射され、細い平行電子線として試料5に照射され
る。そして、この試料5を透過した後、対物レンズ4の
下流に電子線像を結ぶ。
【0012】この電子線像は結像レンズ8で拡大され、
絞り9で取り込み角が制限されてから扇形の磁極を有す
る電子分光装置11に入射される。この扇形の磁極は、
図の紙面に垂直な磁場空間を形成しているので、ここに
入射した電子線は、90度の角度まで偏向され、これに
よりエネルギー分析されてからマッピング検出器15と
スペクトル検出器16上に投影される。
絞り9で取り込み角が制限されてから扇形の磁極を有す
る電子分光装置11に入射される。この扇形の磁極は、
図の紙面に垂直な磁場空間を形成しているので、ここに
入射した電子線は、90度の角度まで偏向され、これに
よりエネルギー分析されてからマッピング検出器15と
スペクトル検出器16上に投影される。
【0013】ここで、この従来技術におけるPEELS
は、1段或いは数段の4重極拡大電磁レンズ13を用
い、この4重極拡大電磁レンズ13と4重極電磁レンズ
10の組み合わせにより、エネルギー分散方向に10〜
1000倍に拡大したEELSスペクトルを、エネルギ
ースロット14を介してマッピング検出器15上にフォ
ーカスさせて投影するようになっている。
は、1段或いは数段の4重極拡大電磁レンズ13を用
い、この4重極拡大電磁レンズ13と4重極電磁レンズ
10の組み合わせにより、エネルギー分散方向に10〜
1000倍に拡大したEELSスペクトルを、エネルギ
ースロット14を介してマッピング検出器15上にフォ
ーカスさせて投影するようになっている。
【0014】一方、スペクトル検出器16には、チャン
ネル幅25μm、1024チャンネル構成の一般的なマ
ルチチャンネルプレートアレイによる平面検出器が用い
られている。このとき、スペクトルの倍率は、4重極拡
大電磁レンズ13の磁場の大きさによっても異なるが、
0.02eV/チャンネル〜2eV/チャンネル程度の
範囲で可変になっている。
ネル幅25μm、1024チャンネル構成の一般的なマ
ルチチャンネルプレートアレイによる平面検出器が用い
られている。このとき、スペクトルの倍率は、4重極拡
大電磁レンズ13の磁場の大きさによっても異なるが、
0.02eV/チャンネル〜2eV/チャンネル程度の
範囲で可変になっている。
【0015】ここで、この電子分光装置11は、ゼロロ
ス電子線がスペクトル検出器16の中央に来るように設
計されているため、エネルギー損失した電子線のスペク
トルを測定するためには、このエネルギー損失した電子
線を、電子分光装置11内部に設置してある加速管12
により、損失エネルギー分だけ加速して、測定するよう
になっており、これにより、測定したいロス電子線を、
エネルギースロット14を備えた電子線検出器、つまり
マッピング検出器15の中央に持ってくることができ
る。
ス電子線がスペクトル検出器16の中央に来るように設
計されているため、エネルギー損失した電子線のスペク
トルを測定するためには、このエネルギー損失した電子
線を、電子分光装置11内部に設置してある加速管12
により、損失エネルギー分だけ加速して、測定するよう
になっており、これにより、測定したいロス電子線を、
エネルギースロット14を備えた電子線検出器、つまり
マッピング検出器15の中央に持ってくることができ
る。
【0016】なお、このPEELSの詳細な構造につい
ては、例えば第4,743,756号米国特許明細書
や、特開平7−21966号、特開平7−21967
号、特開平7−29544号の各公報に記載がある。
ては、例えば第4,743,756号米国特許明細書
や、特開平7−21966号、特開平7−21967
号、特開平7−29544号の各公報に記載がある。
【0017】ところで、このような電子顕微鏡では、画
像表示のため、試料面を電子線で走査するようになって
いるのが通例であり、図3のEF−STEMでも、走査
コイル3により電子線を偏向させ、試料5の面を電子線
で走査し、これによりマッピング検出器15から2次元
の画像データが取得できるようにしている。
像表示のため、試料面を電子線で走査するようになって
いるのが通例であり、図3のEF−STEMでも、走査
コイル3により電子線を偏向させ、試料5の面を電子線
で走査し、これによりマッピング検出器15から2次元
の画像データが取得できるようにしている。
【0018】ここで、この走査コイル3は、電子線源1
から電子分光装置11の入口までの間にある照射レンズ
2と対物レンズ4、それに結像レンズ8の各光軸を結ん
でいる直線、つまり、このEF−STEMの電子光学系
の光軸を法線とする面内で、直交するX軸とY軸の2軸
方向に電子線を偏向することができるものである。
から電子分光装置11の入口までの間にある照射レンズ
2と対物レンズ4、それに結像レンズ8の各光軸を結ん
でいる直線、つまり、このEF−STEMの電子光学系
の光軸を法線とする面内で、直交するX軸とY軸の2軸
方向に電子線を偏向することができるものである。
【0019】この走査コイル3による電子線の試料5の
面上での走査のため、結像レンズ8の下流の位置でも光
軸から電子線が移動し、この移動量を17とすると、こ
れがかなり大きくなっている。この電子線の移動量17
は、対物レンズ2と結像レンズ8の組み合わせにもよる
が、例えば試料5の面上での電子線の移動量6の5倍か
ら10倍にも拡大される。
面上での走査のため、結像レンズ8の下流の位置でも光
軸から電子線が移動し、この移動量を17とすると、こ
れがかなり大きくなっている。この電子線の移動量17
は、対物レンズ2と結像レンズ8の組み合わせにもよる
が、例えば試料5の面上での電子線の移動量6の5倍か
ら10倍にも拡大される。
【0020】また、このようなPEELSの電子光学系
では、仮想光源をX軸方向に100〜1000倍に拡大
してマッピング検出器15とスペクトル検出器16に投
影しているため、仮想光源の移動量18も、100倍か
ら1000倍に拡大されて各検出器に投影され、従っ
て、検出器位置での移動量19は、試料5の面上での電
子線の移動量6の500倍から10000倍にも拡大さ
れる。
では、仮想光源をX軸方向に100〜1000倍に拡大
してマッピング検出器15とスペクトル検出器16に投
影しているため、仮想光源の移動量18も、100倍か
ら1000倍に拡大されて各検出器に投影され、従っ
て、検出器位置での移動量19は、試料5の面上での電
子線の移動量6の500倍から10000倍にも拡大さ
れる。
【0021】そこで、従来技術では、EELSスペクト
ル取得時に各測定点での電子線の移動量を測定し、測定
終了後、計算機処理で補正し、例えば珪素、酸化珪素、
窒化珪素のプラスモンロスなどの方法でコントラストを
付加し、階調化された元素マッピング像を取得してい
た。
ル取得時に各測定点での電子線の移動量を測定し、測定
終了後、計算機処理で補正し、例えば珪素、酸化珪素、
窒化珪素のプラスモンロスなどの方法でコントラストを
付加し、階調化された元素マッピング像を取得してい
た。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、実時
間レベルでEELSスペクトルから元素マッピング像を
得る点について配慮がされているとはいえず、画像表示
までにかなりの時間を要してしまうという問題があっ
た。
間レベルでEELSスペクトルから元素マッピング像を
得る点について配慮がされているとはいえず、画像表示
までにかなりの時間を要してしまうという問題があっ
た。
【0023】すなわち、従来技術では、上記したよう
に、各測定点での電子線の移動量を測定し、測定終了
後、計算機で処理する必要があるが、この補正は、これ
までのような計算機では困難であり、測定に数時間を必
要としているので、実時間レベルでの処理ができないと
いう問題を生じてしまうのである。
に、各測定点での電子線の移動量を測定し、測定終了
後、計算機で処理する必要があるが、この補正は、これ
までのような計算機では困難であり、測定に数時間を必
要としているので、実時間レベルでの処理ができないと
いう問題を生じてしまうのである。
【0024】また、実時間で元素マッピングをする場
合、測定すべきエネルギーの電子線を選択するため、エ
ネルギースリットをマッピング検出器の前に配置する。
このとき、従来技術では、実時間で低倍率の元素マッピ
ングの場合、検出器上での電子線の移動量が大きいた
め、測定すべきエネルギーの電子線がスリットに入らな
くなり、視野が狭くなるという問題もあり、このこと
は、同時に視野の周辺で観察している電子線のエネルギ
ーがずれていることを意味している。
合、測定すべきエネルギーの電子線を選択するため、エ
ネルギースリットをマッピング検出器の前に配置する。
このとき、従来技術では、実時間で低倍率の元素マッピ
ングの場合、検出器上での電子線の移動量が大きいた
め、測定すべきエネルギーの電子線がスリットに入らな
くなり、視野が狭くなるという問題もあり、このこと
は、同時に視野の周辺で観察している電子線のエネルギ
ーがずれていることを意味している。
【0025】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたもので、実時間で広い領域の元素分布像
が取得できるようにした走査透過型電子顕微鏡の提供を
目的としている。
鑑みてなされたもので、実時間で広い領域の元素分布像
が取得できるようにした走査透過型電子顕微鏡の提供を
目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電子線源か
ら試料に照射される電子線を電子線走査手段により走査
し、試料から透過された電子線を電子分光手段とエネル
ギースリットによりエネルギー分析して電子線検出手段
に入力することにより、電子線エネルギーを階調化して
画像表示する方式の透過型電子顕微鏡において、前記試
料と前記電子分光手段の間に配置した振り戻し走査手段
と、前記電子線検出手段の出力に対して画像表示に必要
な演算処理を施す演算手段とを設け、該振り戻し走査手
段を前記電子線走査手段と同期して動作させることによ
り、前記エネルギースリット位置に前記試料の電子線に
よる走査に伴って現れる電子線の光軸からの移動を相殺
低減させ、前記演算手段による演算処理を、前記試料の
電子線による走査に同期して逐次実行させるようにして
達成される。
ら試料に照射される電子線を電子線走査手段により走査
し、試料から透過された電子線を電子分光手段とエネル
ギースリットによりエネルギー分析して電子線検出手段
に入力することにより、電子線エネルギーを階調化して
画像表示する方式の透過型電子顕微鏡において、前記試
料と前記電子分光手段の間に配置した振り戻し走査手段
と、前記電子線検出手段の出力に対して画像表示に必要
な演算処理を施す演算手段とを設け、該振り戻し走査手
段を前記電子線走査手段と同期して動作させることによ
り、前記エネルギースリット位置に前記試料の電子線に
よる走査に伴って現れる電子線の光軸からの移動を相殺
低減させ、前記演算手段による演算処理を、前記試料の
電子線による走査に同期して逐次実行させるようにして
達成される。
【0027】また、ここで、前記電子線検出手段は、少
なくとも2チャンネルのエネルギースリット位置を有
し、2種類以上の異なったエネルギーの電子線強度に応
じた出力を発生するようにしても上記目的を達成するこ
とができる。
なくとも2チャンネルのエネルギースリット位置を有
し、2種類以上の異なったエネルギーの電子線強度に応
じた出力を発生するようにしても上記目的を達成するこ
とができる。
【0028】同じく、ここで、前記振り戻し走査手段
は、1段又は複数段の偏向コイルで構成され、電子線の
経路内の対物レンズと投影レンズ又は中間レンズの間に
配置されているようにしても上記目的を達成することが
できる。
は、1段又は複数段の偏向コイルで構成され、電子線の
経路内の対物レンズと投影レンズ又は中間レンズの間に
配置されているようにしても上記目的を達成することが
できる。
【0029】更に、ここで、前記振り戻し走査手段は、
1段又は複数段の偏向コイルで構成され、電子線の経路
内の投影レンズ又は中間レンズと前記電子分光手段の間
に配置されているようにしても上記目的を達成すること
ができる。
1段又は複数段の偏向コイルで構成され、電子線の経路
内の投影レンズ又は中間レンズと前記電子分光手段の間
に配置されているようにしても上記目的を達成すること
ができる。
【0030】また、ここで、前記振り戻し走査手段は、
電子線の光軸を法線とする面内で直交するX軸とY軸の
2軸方向に電子線の偏向が可能で、前記2軸が、前記電
子線走査手段による走査方向のX軸、Y軸と一致するよ
うに、前記面内で回転可能にしても上記目的を達成する
ことができる。
電子線の光軸を法線とする面内で直交するX軸とY軸の
2軸方向に電子線の偏向が可能で、前記2軸が、前記電
子線走査手段による走査方向のX軸、Y軸と一致するよ
うに、前記面内で回転可能にしても上記目的を達成する
ことができる。
【0031】更に、ここで、前記電子線検出手段の出力
が、高ロスエネルギー電子線強度と低ロスエネルギー電
子線強度の2種類の電子線強度出力であり、前記演算手
段による演算処理が、前記2種の電子線強度出力につい
て暗電流補正と感度補正を施す演算処理と、前記高ロス
エネルギー電子線強度出力を分子、前記低ロスエネルギ
ー電子線強度出力を分母として除算する演算処理の少な
くとも2種の演算処理となるようにしても上記目的を達
成することができる。
が、高ロスエネルギー電子線強度と低ロスエネルギー電
子線強度の2種類の電子線強度出力であり、前記演算手
段による演算処理が、前記2種の電子線強度出力につい
て暗電流補正と感度補正を施す演算処理と、前記高ロス
エネルギー電子線強度出力を分子、前記低ロスエネルギ
ー電子線強度出力を分母として除算する演算処理の少な
くとも2種の演算処理となるようにしても上記目的を達
成することができる。
【0032】更にまた、ここで、前記電子線検出手段の
出力が、1種類の高ロスエネルギー電子線強度と2種類
の低ロスエネルギー電子線強度の計3種類の電子線強度
出力であり前記演算手段による演算処理が、前記2種の
電子線強度出力について暗電流補正と感度補正を施す第
1の演算処理と、前記2種類の低ロスエネルギー電子線
強度出力に基いて高ロスエネルギー電子線強度のバック
グラウンドを演算する第2の演算処理、それに、前記高
エネルギー電子線強度から前記バックグラウンドを減算
する第3の演算処理の少なくとも3種類の演算処理とな
るようにしても上記目的を達成することができる。
出力が、1種類の高ロスエネルギー電子線強度と2種類
の低ロスエネルギー電子線強度の計3種類の電子線強度
出力であり前記演算手段による演算処理が、前記2種の
電子線強度出力について暗電流補正と感度補正を施す第
1の演算処理と、前記2種類の低ロスエネルギー電子線
強度出力に基いて高ロスエネルギー電子線強度のバック
グラウンドを演算する第2の演算処理、それに、前記高
エネルギー電子線強度から前記バックグラウンドを減算
する第3の演算処理の少なくとも3種類の演算処理とな
るようにしても上記目的を達成することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明による走査透過型電
子顕微鏡について、図示の実施の形態により詳細に説明
する。図1は、本発明による走査透過型電子顕微鏡の一
実施形態で、図において、7は振り戻しコイルであり、
その他の構成は、図3で説明した従来技術によるEF−
STEMと同じである。
子顕微鏡について、図示の実施の形態により詳細に説明
する。図1は、本発明による走査透過型電子顕微鏡の一
実施形態で、図において、7は振り戻しコイルであり、
その他の構成は、図3で説明した従来技術によるEF−
STEMと同じである。
【0034】振り戻しコイル7は、電子線源1から電子
分光装置11の入口までの間にある照射レンズ2と対物
レンズ4、それに結像レンズ8の各光軸を結ぶ直線、つ
まりこの走査透過型電子顕微鏡の電子光学系の光軸を法
線とする面内で、直交するX軸とY軸の2軸方向に電子
線を偏向する振り戻し走査手段として働くもので、且
つ、この振り戻しコイル7による偏向軸のX軸とY軸
が、走査コイル3による電子線の偏向軸におけるX軸、
Y軸と夫々一致するようにして設けてある。
分光装置11の入口までの間にある照射レンズ2と対物
レンズ4、それに結像レンズ8の各光軸を結ぶ直線、つ
まりこの走査透過型電子顕微鏡の電子光学系の光軸を法
線とする面内で、直交するX軸とY軸の2軸方向に電子
線を偏向する振り戻し走査手段として働くもので、且
つ、この振り戻しコイル7による偏向軸のX軸とY軸
が、走査コイル3による電子線の偏向軸におけるX軸、
Y軸と夫々一致するようにして設けてある。
【0035】次に、この実施形態の動作について説明す
る。電子線源1で発生した電子線は、照射レンズ2によ
り細い平行電子線にされ、対物レンズ4により試料5の
面上にフォーカスされるが、このとき、走査コイル3に
より電子線が偏向され、試料5の面上を走査する。そし
て、試料5を透過した電子線は対物レンズ4により収束
され、下流に電子線による実像と回折像を形成する。
る。電子線源1で発生した電子線は、照射レンズ2によ
り細い平行電子線にされ、対物レンズ4により試料5の
面上にフォーカスされるが、このとき、走査コイル3に
より電子線が偏向され、試料5の面上を走査する。そし
て、試料5を透過した電子線は対物レンズ4により収束
され、下流に電子線による実像と回折像を形成する。
【0036】このとき、走査コイル3による電子線の走
査のため、上記したように、電子線の角度が変化してし
まう。そこで、この実施形態では、図示のように、対物
レンズ4の下流に形成される回折像の近くに、振り戻し
コイル7を設置し、走査コイル3による電子線の走査と
同期して、この振り戻しコイル7により電子線を偏向
し、走査コイル3により電子線が走査されたことによる
電子線の角度の変化を打ち消し、対物レンズ4の下流で
電子線の角度が変化しないようにしたものである。
査のため、上記したように、電子線の角度が変化してし
まう。そこで、この実施形態では、図示のように、対物
レンズ4の下流に形成される回折像の近くに、振り戻し
コイル7を設置し、走査コイル3による電子線の走査と
同期して、この振り戻しコイル7により電子線を偏向
し、走査コイル3により電子線が走査されたことによる
電子線の角度の変化を打ち消し、対物レンズ4の下流で
電子線の角度が変化しないようにしたものである。
【0037】これにより、対物レンズ4のフォーカス位
置にも依存するが、対物レンズ4の下流での電子線の移
動量を、従来技術における電子線の移動量の10%以下
に低減させることができる。具体的には、試料5の位置
での走査範囲が0.75μm、対物レンズ4による拡大
倍率が20倍程度の場合、従来技術では、対物レンズの
下流で15μm移動していたが、この実施形態では、振
り戻しコイル7により、1μm程度に低減できる。
置にも依存するが、対物レンズ4の下流での電子線の移
動量を、従来技術における電子線の移動量の10%以下
に低減させることができる。具体的には、試料5の位置
での走査範囲が0.75μm、対物レンズ4による拡大
倍率が20倍程度の場合、従来技術では、対物レンズの
下流で15μm移動していたが、この実施形態では、振
り戻しコイル7により、1μm程度に低減できる。
【0038】対物レンズ4の下流での像は、結像レンズ
8により0.5倍にされるため、この結像レンズ8の下
流での電子線の移動量(図3における17)は0.5μm
程度となる。ここで、この実施形態では、EELSを、
エネルギー分散が0.1eV/25μmにして用いてい
るので、スペクトルの拡大率は、分散方向では150
倍、分散方向と垂直な方向では0.4倍になっている。
従って、従来技術では、検出器位置で1.125mmも
あったスペクトルの移動が、この実施形態では、75μ
m程度の移動に抑えることができた。
8により0.5倍にされるため、この結像レンズ8の下
流での電子線の移動量(図3における17)は0.5μm
程度となる。ここで、この実施形態では、EELSを、
エネルギー分散が0.1eV/25μmにして用いてい
るので、スペクトルの拡大率は、分散方向では150
倍、分散方向と垂直な方向では0.4倍になっている。
従って、従来技術では、検出器位置で1.125mmも
あったスペクトルの移動が、この実施形態では、75μ
m程度の移動に抑えることができた。
【0039】次に、この実施形態による元素マッピング
像の取得動作について説明する。これには、エネルギー
スリット14を有するマッピング検出器15と、スペク
トル検出器16の双方を用いる。
像の取得動作について説明する。これには、エネルギー
スリット14を有するマッピング検出器15と、スペク
トル検出器16の双方を用いる。
【0040】具体的には、最初はマッピング検出器15
とエネルギースリット14を除き、スペクトル検出器1
6によりエネルギースペクトルを取る。次いで、測定す
べきエネルギースペクトルのピークがスペクトル検出器
16の中央に来るように、加速管12に所定の電圧を印
加し、その後、スペクトル検出器16の前にマッピング
検出器15とエネルギースリット14を入れ、元素マッ
ピング像を取得する処理に入るのである。
とエネルギースリット14を除き、スペクトル検出器1
6によりエネルギースペクトルを取る。次いで、測定す
べきエネルギースペクトルのピークがスペクトル検出器
16の中央に来るように、加速管12に所定の電圧を印
加し、その後、スペクトル検出器16の前にマッピング
検出器15とエネルギースリット14を入れ、元素マッ
ピング像を取得する処理に入るのである。
【0041】まず、プラズモンロスを用いてコントラス
トを得るようにした場合の元素マッピング像の取得につ
いて説明する。いま、ここで、対象となる元素が珪素
(シリコン)と窒化珪素(窒化シリコン)、それに酸化珪素
(酸化シリコン)であるとすると、この場合、図4に示す
ように、珪素のプラズモンロス20のピークは17eV
に出るが、窒化珪素のプラズモン21と酸化珪素のプラ
ズモン22は、夫々23eV付近にピークを持つ。そし
て、同じ膜厚であれば、図示のように、窒化物のプラズ
モンロス21の方が、酸化物のプラズモン22よりもピ
ーク強度が大である。
トを得るようにした場合の元素マッピング像の取得につ
いて説明する。いま、ここで、対象となる元素が珪素
(シリコン)と窒化珪素(窒化シリコン)、それに酸化珪素
(酸化シリコン)であるとすると、この場合、図4に示す
ように、珪素のプラズモンロス20のピークは17eV
に出るが、窒化珪素のプラズモン21と酸化珪素のプラ
ズモン22は、夫々23eV付近にピークを持つ。そし
て、同じ膜厚であれば、図示のように、窒化物のプラズ
モンロス21の方が、酸化物のプラズモン22よりもピ
ーク強度が大である。
【0042】そこで、この場合、酸化物/窒化物プラズ
モンロスによるコントラスト補正を用い、このためエネ
ルギースリット幅が3eVとなるように、スリット幅が
0.75mmのエネルギースリット14を用いる。この
ときのエネルギースペクトルに対するエネルギースリッ
トの位置を、図4に23として示した。
モンロスによるコントラスト補正を用い、このためエネ
ルギースリット幅が3eVとなるように、スリット幅が
0.75mmのエネルギースリット14を用いる。この
ときのエネルギースペクトルに対するエネルギースリッ
トの位置を、図4に23として示した。
【0043】上記したように、最初は、マッピング検出
器15とエネルギースリット14を除いてスペクトル検
出器16によりエネルギースペクトルを取り、次に測定
すべきプラズモンロスピークがスペクトル検出器16の
中央に来るように、加速管12に所定の電圧23Vを印
加し、ここでマッピング検出器15とエネルギースリッ
ト14を入れる。
器15とエネルギースリット14を除いてスペクトル検
出器16によりエネルギースペクトルを取り、次に測定
すべきプラズモンロスピークがスペクトル検出器16の
中央に来るように、加速管12に所定の電圧23Vを印
加し、ここでマッピング検出器15とエネルギースリッ
ト14を入れる。
【0044】そして、マッピング検出器15の出力につ
いて、暗電流補正と感度補正など所定の処理を行った
後、図示してない画像表示装置に入力し、この画像表示
装置の画像表示面での2次元表示位置を、走査コイル3
による電子線の走査に同期させて制御し、画像表示させ
ると、酸化物の部分による像を中間調としてグレイ階調
化された画像が得られ、このとき、図6及び図7に示す
ように、窒化物の部分による像は白っぽく、珪素の部分
による像は黒く表示される。
いて、暗電流補正と感度補正など所定の処理を行った
後、図示してない画像表示装置に入力し、この画像表示
装置の画像表示面での2次元表示位置を、走査コイル3
による電子線の走査に同期させて制御し、画像表示させ
ると、酸化物の部分による像を中間調としてグレイ階調
化された画像が得られ、このとき、図6及び図7に示す
ように、窒化物の部分による像は白っぽく、珪素の部分
による像は黒く表示される。
【0045】ここで、図6は、従来技術の場合で、この
とき、100万倍位の高倍率では、試料位置での電子線
の移動量が0.1μm以下なので、検出器位置での移動
量も150μmとなり、これは、エネルギースリット幅
0.75mmの20%程度の移動なので、測定終了後、
計算機処理で補正しなくても、実時間で図6(a)に示す
ように、視野全体にプラズモンによりコントラストが付
けられた元素マッピング像を得ることができた。
とき、100万倍位の高倍率では、試料位置での電子線
の移動量が0.1μm以下なので、検出器位置での移動
量も150μmとなり、これは、エネルギースリット幅
0.75mmの20%程度の移動なので、測定終了後、
計算機処理で補正しなくても、実時間で図6(a)に示す
ように、視野全体にプラズモンによりコントラストが付
けられた元素マッピング像を得ることができた。
【0046】しかし、従来技術の場合、10万倍にする
と、試料位置での電子線の移動が多くて0.75μmに
もなるので、検出器位置での移動量は1.1mm程度に
なって、エネルギースリットの幅より大きく移動してし
まう。このため、従来技術では、測定終了後での計算機
処理による補正なしでは、図6(b)に示すように、周辺
で電子線が来ない視野カットが生じてしまうので、実時
間での元素マッピング像の取得は困難になってしまう。
と、試料位置での電子線の移動が多くて0.75μmに
もなるので、検出器位置での移動量は1.1mm程度に
なって、エネルギースリットの幅より大きく移動してし
まう。このため、従来技術では、測定終了後での計算機
処理による補正なしでは、図6(b)に示すように、周辺
で電子線が来ない視野カットが生じてしまうので、実時
間での元素マッピング像の取得は困難になってしまう。
【0047】一方、本発明の実施形態では、上記したよ
うに、試料位置での電子線の移動が小さく抑えられ、検
出器位置での移動量は、10万倍でも75μmと、エネ
ルギースリット14の幅の10%程度に抑えられ、従っ
て、図7(a)に示すように、100万倍位の高倍率では
勿論、図7(b)に示すように、10万倍でも周辺までコ
ントラストが付けられた綺麗な元素マッピング像を実時
間で容易に得ることができる。
うに、試料位置での電子線の移動が小さく抑えられ、検
出器位置での移動量は、10万倍でも75μmと、エネ
ルギースリット14の幅の10%程度に抑えられ、従っ
て、図7(a)に示すように、100万倍位の高倍率では
勿論、図7(b)に示すように、10万倍でも周辺までコ
ントラストが付けられた綺麗な元素マッピング像を実時
間で容易に得ることができる。
【0048】次に、珪素プラズモンロスを用いてコント
ラストを付け、階調化された画像を得るようにした場合
の、この実施形態による元素マッピング像の取得動作に
ついて説明する。最初、スペクトル検出器16によりエ
ネルギースペクトルを取り、測定すべきプラズモンロス
ピークがスペクトル検出器16の中央に来るように、加
速管12に所定の電圧16Vを印加する。そして、次に
マッピング検出器15とエネルギースリット14を入れ
る。
ラストを付け、階調化された画像を得るようにした場合
の、この実施形態による元素マッピング像の取得動作に
ついて説明する。最初、スペクトル検出器16によりエ
ネルギースペクトルを取り、測定すべきプラズモンロス
ピークがスペクトル検出器16の中央に来るように、加
速管12に所定の電圧16Vを印加する。そして、次に
マッピング検出器15とエネルギースリット14を入れ
る。
【0049】このときのエネルギースペクトルに対する
エネルギースリット14の位置を、図4に24として示
した。そして、マッピング検出器15の出力を画像表示
装置に入力し、同じくグレイ階調表示させると、今度
は、酸化物と窒化物の部分を中間調として階調化され、
珪素の部分が白っぽく表示される。
エネルギースリット14の位置を、図4に24として示
した。そして、マッピング検出器15の出力を画像表示
装置に入力し、同じくグレイ階調表示させると、今度
は、酸化物と窒化物の部分を中間調として階調化され、
珪素の部分が白っぽく表示される。
【0050】従って、この場合でも、上記実施形態によ
れば、図6(a)に示すように、100万倍位の高倍率で
は勿論、同図(b)に示すように、10万倍でも周辺まで
コントラストが付けられた綺麗な元素マッピング像を実
時間で容易に得ることができる。
れば、図6(a)に示すように、100万倍位の高倍率で
は勿論、同図(b)に示すように、10万倍でも周辺まで
コントラストが付けられた綺麗な元素マッピング像を実
時間で容易に得ることができる。
【0051】次に、周知のコアロスを用いてコントラス
トを付けるようにした場合の、この実施形態によるマッ
ピング方法について説明する。ここでは、試料5が窒化
鉄とコバルトの積層体の場合について説明する。このと
き、鉄のLエッジは、図5(a)に示す位置にある。最
初、スペクトル検出器16により、図5(a)に示すコア
ロススペクトル25を測定し、ここで加速管12に所定
の電圧を印加し、これにより、コアロスのエッジがスペ
クトル検出器16の中央に来るようにする。
トを付けるようにした場合の、この実施形態によるマッ
ピング方法について説明する。ここでは、試料5が窒化
鉄とコバルトの積層体の場合について説明する。このと
き、鉄のLエッジは、図5(a)に示す位置にある。最
初、スペクトル検出器16により、図5(a)に示すコア
ロススペクトル25を測定し、ここで加速管12に所定
の電圧を印加し、これにより、コアロスのエッジがスペ
クトル検出器16の中央に来るようにする。
【0052】そして、エネルギースリット14とマッピ
ング検出器15を挿入するのであるが、ここで、このコ
アロスによるマッピングの場合は電子線強度が弱いの
で、エネルギースリット14の幅を20eV程度にす
る。このとき、図5(a)に示すように、試料5のコアロ
ススペクトル25がプレエネルギーエッジとポストエネ
ルギーエッジを持つので、これら2種の強度を測定する
方法、いわゆる2ウインドウ方法を採用する。
ング検出器15を挿入するのであるが、ここで、このコ
アロスによるマッピングの場合は電子線強度が弱いの
で、エネルギースリット14の幅を20eV程度にす
る。このとき、図5(a)に示すように、試料5のコアロ
ススペクトル25がプレエネルギーエッジとポストエネ
ルギーエッジを持つので、これら2種の強度を測定する
方法、いわゆる2ウインドウ方法を採用する。
【0053】このため、エネルギースリット14として
2種のウィンドウが必要なので、夫々のウィンドウが2
0eVとなるように、10mm幅のエネルギースリット
を2個準備する。このときのプレエネルギースリット位
置が図5(a)の26で、ポストエネルギースリット位置
が同じく27である。
2種のウィンドウが必要なので、夫々のウィンドウが2
0eVとなるように、10mm幅のエネルギースリット
を2個準備する。このときのプレエネルギースリット位
置が図5(a)の26で、ポストエネルギースリット位置
が同じく27である。
【0054】また、これに応じて、マッピング検出器1
5も2個、要するので、ここでは、2個のシンチレータ
ーを厚さ0.1mmのアルミニウム板で分離し、各シン
チレーターの光を光ファイバーで夫々のフォトマル(光
電子増倍管)に導くタイプの検出器を用いているが、マ
ルチチャンネルプレートアレイの出力を逐次加算して複
数ウィンドウ化する方式の検出器を用いても良い。
5も2個、要するので、ここでは、2個のシンチレータ
ーを厚さ0.1mmのアルミニウム板で分離し、各シン
チレーターの光を光ファイバーで夫々のフォトマル(光
電子増倍管)に導くタイプの検出器を用いているが、マ
ルチチャンネルプレートアレイの出力を逐次加算して複
数ウィンドウ化する方式の検出器を用いても良い。
【0055】これらのエネルギースリット14とマッピ
ング検出器15をスペクトル検出器16の前に入れ、ポ
ストエッジ(高ロスエネルギー側)による検出出力と、プ
レエッジ(低ロスエネルギー側)の検出出力とを演算装置
に入力し、高エネルギー側の検出出力を、低エネルギー
側の検出出力により逐次除算することにより、コアロス
によるコントラストを付けることができ、演算結果を逐
次画像表示装置に入力することにより、充分なコントラ
ストを持った元素マッピング像を得ることができる。
ング検出器15をスペクトル検出器16の前に入れ、ポ
ストエッジ(高ロスエネルギー側)による検出出力と、プ
レエッジ(低ロスエネルギー側)の検出出力とを演算装置
に入力し、高エネルギー側の検出出力を、低エネルギー
側の検出出力により逐次除算することにより、コアロス
によるコントラストを付けることができ、演算結果を逐
次画像表示装置に入力することにより、充分なコントラ
ストを持った元素マッピング像を得ることができる。
【0056】ところで、この場合、検出器位置で電子線
が25μm移動したとすると、この移動は、エネルギー
で見ると、それが0.1eVずれたことに対応し、エネ
ルギードリフトが生じてしまい、このため、従来技術で
は、10万倍のとき、エネルギーが4.5eV程度も移
動することになる。
が25μm移動したとすると、この移動は、エネルギー
で見ると、それが0.1eVずれたことに対応し、エネ
ルギードリフトが生じてしまい、このため、従来技術で
は、10万倍のとき、エネルギーが4.5eV程度も移
動することになる。
【0057】従って、従来技術では、コアロスエッジを
ポストエッジ側に5eV程度入り込んだ状態で測定しな
ければ、画像の周辺でプレエッジ側にコアロスエッジが
入ってしまうことになり、視野の周辺でマッピングが正
しく保たれなくなってしまうことになり、マッピング時
でのエネルギー分解能も、エネルギードリフトの影響
で、5eV程度しか得られなくなってしまう。
ポストエッジ側に5eV程度入り込んだ状態で測定しな
ければ、画像の周辺でプレエッジ側にコアロスエッジが
入ってしまうことになり、視野の周辺でマッピングが正
しく保たれなくなってしまうことになり、マッピング時
でのエネルギー分解能も、エネルギードリフトの影響
で、5eV程度しか得られなくなってしまう。
【0058】一方、本発明の実施形態では、上記したよ
うに、検出器位置での電子線の移動が75μmに抑えれ
るため、エネルギー分解能も0.3eVにすることがで
き、コアロスマッピングによる解像度の高い元素マッピ
ング像を容易に得ることができる。
うに、検出器位置での電子線の移動が75μmに抑えれ
るため、エネルギー分解能も0.3eVにすることがで
き、コアロスマッピングによる解像度の高い元素マッピ
ング像を容易に得ることができる。
【0059】ところで、上記したように、マッピング検
出器15として、マルチチャンネルプレートアレイの出
力を逐次加算して複数ウィンドウ化する方式の検出器を
用いた場合、低ロスエネルギー側の検出出力について
は、エネルギーの異なる2種の検出出力を取り出し、こ
れらの検出出力として得られる2種の低ロスエネルギー
電子線の強度から、高ロスエネルギー側の検出出力とし
て得られる高ロスエネルギー電子線の強度が持つバック
グラウンドを逐次演算する演算装置を設け、これによる
演算結果を逐次、画像表示装置に供給する、いわゆる3
ウインドウ方法としてもよい。
出器15として、マルチチャンネルプレートアレイの出
力を逐次加算して複数ウィンドウ化する方式の検出器を
用いた場合、低ロスエネルギー側の検出出力について
は、エネルギーの異なる2種の検出出力を取り出し、こ
れらの検出出力として得られる2種の低ロスエネルギー
電子線の強度から、高ロスエネルギー側の検出出力とし
て得られる高ロスエネルギー電子線の強度が持つバック
グラウンドを逐次演算する演算装置を設け、これによる
演算結果を逐次、画像表示装置に供給する、いわゆる3
ウインドウ方法としてもよい。
【0060】以下、この3ウインドウ方法による実施形
態について説明すると、この実施形態の場合でも、デー
タベースとしてのコアレスエネルキー(eV)、ウインド
ウ幅(チャンネル数)、ウインドウの間隔(チャンネル数)
は、上記した2ウインドウ方法と同じ条件を維持し、ユ
ーザが測定元素を指定することにより、加速管12にコ
アロスエネルギーに相当する電圧を印加する。
態について説明すると、この実施形態の場合でも、デー
タベースとしてのコアレスエネルキー(eV)、ウインド
ウ幅(チャンネル数)、ウインドウの間隔(チャンネル数)
は、上記した2ウインドウ方法と同じ条件を維持し、ユ
ーザが測定元素を指定することにより、加速管12にコ
アロスエネルギーに相当する電圧を印加する。
【0061】データベースの与えるウインドウ幅とウイ
ンドウ間隔を図5(b)に示すように、エネルギースロッ
ト14とマッピング検出器15に当て嵌め、EELSス
ペクトルを測定し、検出器固有のバックグラウンドとゲ
インを補正する。
ンドウ間隔を図5(b)に示すように、エネルギースロッ
ト14とマッピング検出器15に当て嵌め、EELSス
ペクトルを測定し、検出器固有のバックグラウンドとゲ
インを補正する。
【0062】図5(b)に示すように、コアロスより低エ
ネルギー側の2個のウインドウ、すなわち、第1プレウ
インドウ30と第2、プレウインドウ31の電子線強度
をパワーローモでる(A*Exp[−r])に従って演算
し、コアロスよりも高エネルギー側のポストエネルギー
側スリット位置27でのバックグラウンド32を演算す
る。
ネルギー側の2個のウインドウ、すなわち、第1プレウ
インドウ30と第2、プレウインドウ31の電子線強度
をパワーローモでる(A*Exp[−r])に従って演算
し、コアロスよりも高エネルギー側のポストエネルギー
側スリット位置27でのバックグラウンド32を演算す
る。
【0063】そして、このバックグラウンド32を、ポ
ストエネルギー側スリット位置27における電子線強度
から差し引いた結果を画像表示装置に表示するのであ
る。この作業を走査コイル3による電子線の走査と同期
して自動的に行い、実時間で元素分布像を取得する。こ
のようにした実施形態によれば、定量的な元素分布像が
得られるとう利点がある。
ストエネルギー側スリット位置27における電子線強度
から差し引いた結果を画像表示装置に表示するのであ
る。この作業を走査コイル3による電子線の走査と同期
して自動的に行い、実時間で元素分布像を取得する。こ
のようにした実施形態によれば、定量的な元素分布像が
得られるとう利点がある。
【0064】なお、この定量化には、得られたコアロス
強度を、ゼロロス強度と試料の膜厚により補正してやる
必要があるが、この実施形態によれば、ゼロロス強度の
測定と試料の膜厚分布の測定が、コアレス強度の測定と
同時にできるため、1点の測定に必要な計測時間を2倍
程度かけることにより、ゼロロス強度の測定と膜厚分布
の測定を行い、補正することができる。
強度を、ゼロロス強度と試料の膜厚により補正してやる
必要があるが、この実施形態によれば、ゼロロス強度の
測定と試料の膜厚分布の測定が、コアレス強度の測定と
同時にできるため、1点の測定に必要な計測時間を2倍
程度かけることにより、ゼロロス強度の測定と膜厚分布
の測定を行い、補正することができる。
【0065】次に、本発明の他の実施形態について、図
2により説明する。ここで、この図2の実施形態が、図
1の実施形態と異なる点は、電子線源1から電子分光装
置11までの電子線の経路における振り戻しコイル7の
位置と、この振り戻しコイル7自体の構成にある。
2により説明する。ここで、この図2の実施形態が、図
1の実施形態と異なる点は、電子線源1から電子分光装
置11までの電子線の経路における振り戻しコイル7の
位置と、この振り戻しコイル7自体の構成にある。
【0066】すなわち、図1の実施形態では、振り戻し
コイル7が対物レンズ4により形成された回折像の近傍
に設けられていたが、この図2の実施形態では、2段の
偏向コイルからなる振り戻しコイル7が用いられてお
り、しかも、この振り戻しコイル7は、結像レンズ8に
よる回折像の形成位置の近傍に設けられているものであ
る。
コイル7が対物レンズ4により形成された回折像の近傍
に設けられていたが、この図2の実施形態では、2段の
偏向コイルからなる振り戻しコイル7が用いられてお
り、しかも、この振り戻しコイル7は、結像レンズ8に
よる回折像の形成位置の近傍に設けられているものであ
る。
【0067】電子線源1で発生した電子線を照射レンズ
2で細い平行電子線にし、走査コイル3により偏向さ
せ、試料5面上を走査できるようにする。対物レンズ4
で試料5にフォーカスした電子線は、この対物レンズ4
の下流で実像と回折像を形成する。ここで、実像の位置
は電子線の走査により移動するが、電子線の角度は変化
しない。一方、回折像の位置は電子線の走査によっても
移動しないが、電子線の角度が変化する。
2で細い平行電子線にし、走査コイル3により偏向さ
せ、試料5面上を走査できるようにする。対物レンズ4
で試料5にフォーカスした電子線は、この対物レンズ4
の下流で実像と回折像を形成する。ここで、実像の位置
は電子線の走査により移動するが、電子線の角度は変化
しない。一方、回折像の位置は電子線の走査によっても
移動しないが、電子線の角度が変化する。
【0068】この対物レンズ4により形成された実像
は、結像レンズ8で0.5倍にされるため、この結像レ
ンズ8の下流での像は、試料5の位置の10倍に拡大さ
れている。そして、この結像レンズ8の下流にも回折像
を形成する面がある。そこで、この付近に2段の偏向コ
イルからなる振り戻しコイル7を配置したのが、この図
2の実施形態であり、このように2段の振り戻しコイル
7を用いることにより、角度と位置の両方を戻すことが
でき、1段の振り戻しコイルを用いた場合よりも高い振
り戻し精度を得ることができる。
は、結像レンズ8で0.5倍にされるため、この結像レ
ンズ8の下流での像は、試料5の位置の10倍に拡大さ
れている。そして、この結像レンズ8の下流にも回折像
を形成する面がある。そこで、この付近に2段の偏向コ
イルからなる振り戻しコイル7を配置したのが、この図
2の実施形態であり、このように2段の振り戻しコイル
7を用いることにより、角度と位置の両方を戻すことが
でき、1段の振り戻しコイルを用いた場合よりも高い振
り戻し精度を得ることができる。
【0069】従って、図1の実施形態と同じく、この図
2の実施形態でも、振り戻しコイル7を走査コイル3と
同期させ、電子線の角度が変化しないように偏向動作を
行わせてやることにより、電子線の移動量を抑えること
ができ、この結果、電子線の移動量を充分に抑えた状態
で元素マッピング像の取得を行うことができる。なお、
この元素マッピング像の取得については、図1の実施形
態と同じでよいので、詳しい説明は割愛する。
2の実施形態でも、振り戻しコイル7を走査コイル3と
同期させ、電子線の角度が変化しないように偏向動作を
行わせてやることにより、電子線の移動量を抑えること
ができ、この結果、電子線の移動量を充分に抑えた状態
で元素マッピング像の取得を行うことができる。なお、
この元素マッピング像の取得については、図1の実施形
態と同じでよいので、詳しい説明は割愛する。
【0070】ここで、この図2の実施形態によれは、電
子線の移動量を、例えば従来技術における移動量の10
%以下に低減することができた。具体的に説明すると、
試料5の位置での走査範囲が0.75μm、対物レンズ
4の拡大率が20倍程度の場合、対物レンズ4の下流で
の移動量は15μmになるる。
子線の移動量を、例えば従来技術における移動量の10
%以下に低減することができた。具体的に説明すると、
試料5の位置での走査範囲が0.75μm、対物レンズ
4の拡大率が20倍程度の場合、対物レンズ4の下流で
の移動量は15μmになるる。
【0071】そして、対物レンズ4の下流での像は、結
像レンズ8で0.5倍されるため、結像レンズ8の下流
での電子線の移動量17は、従来技術の場合、7.5μ
m程度となっていた。しかして、この図2の実施形態で
は、結像レンズ8の下流での電子線移動量を0.8μm
程度に低減できた。
像レンズ8で0.5倍されるため、結像レンズ8の下流
での電子線の移動量17は、従来技術の場合、7.5μ
m程度となっていた。しかして、この図2の実施形態で
は、結像レンズ8の下流での電子線移動量を0.8μm
程度に低減できた。
【0072】ここで、比較のため、1段の振り戻しコイ
ルを適用した場合について示すと、この場合は、電子線
移動量は1μm程度の低減にとどまっていた。但し、こ
の場合でも、従来技術よりは格段に少ない移動量である
ことは、既に説明した通りである。
ルを適用した場合について示すと、この場合は、電子線
移動量は1μm程度の低減にとどまっていた。但し、こ
の場合でも、従来技術よりは格段に少ない移動量である
ことは、既に説明した通りである。
【0073】ここで、透過電子顕微鏡には、結像レンズ
の他にも中間レンズなどを対物レンズの下流に有する形
式のものがあるが、このような電子顕微鏡の場合、上記
図2の実施形態による2段の振り戻しコイルなら、対物
レンズと電子分光器の間であればどこに配置しても同様
の作用効果を得ることができる。一方、図1の実施形態
による1段の振り戻しコイルの場合は、レンズにより再
結像される回折像面付近に配置することにより同様の作
用効果を得ることができる。
の他にも中間レンズなどを対物レンズの下流に有する形
式のものがあるが、このような電子顕微鏡の場合、上記
図2の実施形態による2段の振り戻しコイルなら、対物
レンズと電子分光器の間であればどこに配置しても同様
の作用効果を得ることができる。一方、図1の実施形態
による1段の振り戻しコイルの場合は、レンズにより再
結像される回折像面付近に配置することにより同様の作
用効果を得ることができる。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、例えば10万倍以下の
倍率でも、視野の周辺でエネルギードリフトと視野制限
を受けることがないので、エネルギー分解能の高いコン
トラスト補正像を測定とほぼ同時に得ることができる。
倍率でも、視野の周辺でエネルギードリフトと視野制限
を受けることがないので、エネルギー分解能の高いコン
トラスト補正像を測定とほぼ同時に得ることができる。
【図1】本発明による走査透過型電子顕微鏡の一実施の
形態を示す概略構成図である。
形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明による走査透過型電子顕微鏡の他の一実
施の形態を示す概略構成図である。
施の形態を示す概略構成図である。
【図3】従来技術による走査透過型電子顕微鏡の一例を
示す概略構成図である。
示す概略構成図である。
【図4】エネルギーロス特性の一例を示すスペクトル図
である。
である。
【図5】エネルギーロス特性の他の一例を示すスペクト
ル図である。
ル図である。
【図6】従来技術によるコントラスト補正像の一例を示
す説明図である。
す説明図である。
【図7】本発明によるコントラスト補正像の一例を示す
説明図である。
説明図である。
1 電子線源 2 照射レンズ 3 走査コイル 4 対物レンズ 5 試料 6 電子線の移動量 7 振り戻しコイル 8 結像レンズ 9 絞り 10 4重極電磁レンズ 11 電子分光装置 12 加速管 13 4重極拡大電磁レンズ 14 エネルギースリット 15 マッピング検出器 16 スペクトル検出器 17 電子線の移動量 18 仮想光源の移動量 19 検出器上の移動量 20 珪素のプラズモンロススペクトル 21 窒化珪素のプラズモンロススペクトル 22 酸化珪素のプラズモンロススペクトル 23 エネルギースリット位置(窒化物/酸化物プラズ
モンロス測定時) 24 エネルギースリット位置(珪素プラズモンロス測
定時) 25 コアロススぺクトル 26 プレエネルギースリット位置 27 ポストエネルギースリット位置
モンロス測定時) 24 エネルギースリット位置(珪素プラズモンロス測
定時) 25 コアロススぺクトル 26 プレエネルギースリット位置 27 ポストエネルギースリット位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青山 隆 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 田谷 俊陸 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器グループ内 (72)発明者 砂子沢 成人 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器グループ内 Fターム(参考) 5C033 AA05 EE02 EE03 FF02 FF03 NN03 NP01 NP06 SS01 SS03 SS04 SS07 SS08 UU05
Claims (7)
- 【請求項1】 電子線源から試料に照射される電子線を
電子線走査手段により走査し、試料から透過された電子
線を電子分光手段とエネルギースリットによりエネルギ
ー分析して電子線検出手段に入力することにより、電子
線エネルギーを階調化して画像表示する方式の透過型電
子顕微鏡において、 前記試料と前記電子分光手段の間に配置した振り戻し走
査手段と、 前記電子線検出手段の出力に対して画像表示に必要な演
算処理を施す演算手段とを設け、 該振り戻し走査手段を前記電子線走査手段と同期して動
作させることにより、前記エネルギースリット位置に前
記試料の電子線による走査に伴って現れる電子線の光軸
からの移動を相殺して低減させ、 前記演算手段による演算処理を、前記試料の電子線によ
る走査に同期して逐次実行させるように構成したことを
特徴とする透過型電子顕微鏡。 - 【請求項2】 請求項1に記載の発明において、 前記電子線検出手段は、少なくとも2チャンネルのエネ
ルギースリット位置を有し、2種類以上の異なったエネ
ルギーの電子線強度に応じた出力を発生するように構成
されていることを特徴する走査透過型電子顕微鏡。 - 【請求項3】 請求項1に記載の発明において、 前記振り戻し走査手段は、1段又は複数段の偏向コイル
で構成され、 電子線の経路内の対物レンズと投影レンズ又は中間レン
ズの間に配置されていることを特徴とする走査透過型電
子顕微鏡。 - 【請求項4】 請求項1に記載の発明において、 前記振り戻し走査手段は、1段又は複数段の偏向コイル
で構成され、 電子線の経路内の投影レンズ又は中間レンズと前記電子
分光手段の間に配置されていることを特徴とする走査透
過型電子顕微鏡。 - 【請求項5】 請求項1に記載の発明において、 前記振り戻し走査手段は、電子線の光軸を法線とする面
内で直交するX軸とY軸の2軸方向に電子線の偏向が可
能で、前記2軸が、前記電子線走査手段による走査方向
のX軸、Y軸と一致するように、前記面内で回転可能に
構成されていることを特徴とする走査透過型電子顕微
鏡。 - 【請求項6】 請求項2に記載の発明において、 前記電子線検出手段の出力が、高ロスエネルギー電子線
強度と低ロスエネルギー電子線強度の2種類の電子線強
度出力であり、 前記演算手段による演算処理が、前記2種の電子線強度
出力について暗電流補正と感度補正を施す演算処理と、
前記高ロスエネルギー電子線強度出力を分子、前記低ロ
スエネルギー電子線強度出力を分母として除算する演算
処理の少なくとも2種の演算処理であることを特徴とす
る走査透過型電子顕微鏡。 - 【請求項7】 請求項2に記載の発明において、 前記電子線検出手段の出力が、1種類の高ロスエネルギ
ー電子線強度と2種類の低ロスエネルギー電子線強度の
計3種類の電子線強度出力であり、 前記演算手段による演算処理が、前記2種の電子線強度
出力について暗電流補正と感度補正を施す第1の演算処
理と、前記2種類の低ロスエネルギー電子線強度出力に
基いて高ロスエネルギー電子線強度のバックグラウンド
を演算する第2の演算処理、それに、前記高エネルギー
電子線強度から前記バックグラウンドを減算する第3の
演算処理の少なくとも3種類の演算処理であることを特
徴とする走査透過型電子顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26735599A JP2001093459A (ja) | 1999-09-21 | 1999-09-21 | 走査透過型電子顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26735599A JP2001093459A (ja) | 1999-09-21 | 1999-09-21 | 走査透過型電子顕微鏡 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001093459A true JP2001093459A (ja) | 2001-04-06 |
Family
ID=17443678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26735599A Pending JP2001093459A (ja) | 1999-09-21 | 1999-09-21 | 走査透過型電子顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001093459A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004165146A (ja) * | 2002-08-02 | 2004-06-10 | Leo Elektronenmikroskopie Gmbh | 電子顕微鏡システム |
EP1463089A2 (en) * | 2003-03-24 | 2004-09-29 | Hitachi High-Technologies Corporation | Electron microscope with an energy filter |
JP2006040777A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Jeol Ltd | 電子顕微鏡 |
US7227144B2 (en) | 2005-01-12 | 2007-06-05 | Hitachi High-Technologies Corporation | Scanning transmission electron microscope and scanning transmission electron microscopy |
JP2012049130A (ja) * | 2010-08-25 | 2012-03-08 | Fei Co | 透過型電子顕微鏡で用いられる検出器システム |
JP2014142357A (ja) * | 2008-11-06 | 2014-08-07 | Nanomegas Sprl | 電子線回折による高スループット結晶構造解析のための方法及びデバイス |
-
1999
- 1999-09-21 JP JP26735599A patent/JP2001093459A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004165146A (ja) * | 2002-08-02 | 2004-06-10 | Leo Elektronenmikroskopie Gmbh | 電子顕微鏡システム |
JP4601927B2 (ja) * | 2002-08-02 | 2010-12-22 | カール・ツァイス・エヌティーエス・ゲーエムベーハー | 電子顕微鏡システム |
EP1463089A2 (en) * | 2003-03-24 | 2004-09-29 | Hitachi High-Technologies Corporation | Electron microscope with an energy filter |
US6930306B2 (en) | 2003-03-24 | 2005-08-16 | Hitachi High-Technologies Corporation | Electron microscope |
EP1463089A3 (en) * | 2003-03-24 | 2009-07-29 | Hitachi High-Technologies Corporation | Electron microscope with an energy filter |
JP2006040777A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Jeol Ltd | 電子顕微鏡 |
EP1622186A3 (en) * | 2004-07-29 | 2009-10-14 | Jeol Ltd. | Electron microscope |
US7227144B2 (en) | 2005-01-12 | 2007-06-05 | Hitachi High-Technologies Corporation | Scanning transmission electron microscope and scanning transmission electron microscopy |
US7372029B2 (en) | 2005-01-12 | 2008-05-13 | Hitachi High-Technologies Corporation | Scanning transmission electron microscope and scanning transmission electron microscopy |
JP2014142357A (ja) * | 2008-11-06 | 2014-08-07 | Nanomegas Sprl | 電子線回折による高スループット結晶構造解析のための方法及びデバイス |
JP2012049130A (ja) * | 2010-08-25 | 2012-03-08 | Fei Co | 透過型電子顕微鏡で用いられる検出器システム |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040720 |