JP2005302335A - 電子線エネルギー分光装置及びそれを備えた電子顕微鏡 - Google Patents

電子線エネルギー分光装置及びそれを備えた電子顕微鏡 Download PDF

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Kazutoshi Kaji
和利 鍛示
Yoshifumi Taniguchi
佳史 谷口
Shigeto Isagozawa
成人 砂子沢
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Abstract

【課題】
電子線エネルギー損失スペクトル計測や元素分布観察において、電子線エネルギー分光器のエネルギー分散方向でスペクトルのエネルギー分解能が異なるために、高エネルギー分解能でのスペクトル計測や元素分布観察ができないといった課題があった。
【解決手段】
電子線のエネルギーを分散する手段の上流側と下流側にそれぞれ12重極子レンズを配置し、上流側の12重極子レンズでは電子線が電子線エネルギー分光器に入射する角度の2乗に比例する収差の補正する。また、下流側の12重極子レンズでは電子線が電子線エネルギー分光器に入射する角度と入射電子線のエネルギー広がりに関係する値の積に比例する収差を補正する。このような補正手段を有する電子線エネルギー分光器、及びそのような電子線エネルギー分光器を備えた電子顕微鏡。
【効果】
高エネルギー分解能の電子線エネルギー損失スペクトルを計測したり、元素分布像を観察することが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は電子線エネルギー分光測定装置及び、電子線エネルギー分光装置を備えた電子顕微鏡に係り、特に電子線エネルギー分光装置の収差を補正し、高エネルギー分解能の電子線エネルギー損失スペクトルを得られる電子線エネルギー分光装置及びそれを備える電子顕微鏡に関する発明である。
半導体素子や磁気ヘッド素子の微細化,小型化により、素子はサブミクロン程度の領域に数nm(ナノメートル)の薄膜を積層した構造となっている。素子開発において、このような微小領域の構造,元素分布,結晶構造,化学結合状態を分析することは重要である。
元素分析や材料を構成する原子の化学結合状態を分析できる手段には、電子線エネルギー分光装置(エネルギーフィルタとも言う)があり、分析対象物質の微小領域を観察し指定するために透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)もしくは走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope) に電子線エネルギー分光装置を装着する。
従来技術による電子線エネルギー分光装置については特開平11−95955号(特許文献1),特開2001−312988号(特許文献2),米国特許4,743,756号(特許文献3),米国特許4,851,670号(特許文献4)がある。
従来技術を図6の概念構成図により説明する。
電子線のエネルギー分散部に入射する電子線の入射角(x方向をα、y方向をβ)と、点光源10から広がる電子線の幅xは、2次近似の次式であらわすことができる。
x=Aα+Dδ+AAα2+BBβ2 …(1)
Aは4重極レンズ51の作用でエネルギー分散された電子線を電子線検出器56上でフォーカスさせる条件を示す係数、Dは分散係数である。Dは、分散距離x1,入射電子のエネルギー広がりΔU,入射電子のエネルギーUを用いて次式であらわされる。
D=x1/δ=x1/(ΔU/U) …(2)
AAとBBはそれぞれ電子線の入射角(α,β)の2乗に比例する2次収差係数である。
図6では、電子線のエネルギー分散部55(扇形磁場プリズムとも言う)の入口(上流側)と出口(下流側)付近にそれぞれ1つの4重極レンズ51と52と、4重極レンズの近傍に1つずつ6重極レンズ53と54を設置した構成となっている。
特許文献1では、電子線のエネルギー分散部55の前後に6重極レンズを配置することで、6重極レンズがない場合に比べて、収差係数(AAとBB)の値を100分の1以下にできることが記載されている。
また、特許文献2には、4重極レンズや6重極レンズの数とその配置が特許文献1と同じであるが、4重極レンズと6重極レンズの磁路を共有した電子線エネルギー分光装置が開示されている。
これらの特許文献において、6重極レンズの働きは電子線の広がり角に関わる2次収差を除去することであることが開示されている。
一方、従来技術の特許文献3では、電子線のエネルギー分散部と電子線検出器との間に、少なくとも2つ以上の4重極レンズと、少なくとも1つ以上の6重極レンズを設置した構成である。6重極レンズの働きについては、単に収差を補正すると記載されている。特許文献1に記載されたような式(1)で具体的な説明は一切ない。
また、従来技術の特許文献4では、電子線のエネルギー分散部と電子線検出器との間に、エネルギー選択スリットがあり、エネルギー選択スリットと電子線検出器との間に、少なくとも2つ以上の4重極レンズと、少なくとも1つ以上の6重極レンズを設置した構成である。
従来技術では、エネルギー選択スリットで選択された電子線を4重極レンズや6重極レンズを用いて、2次元の像に結像する。6重極レンズの働きについては、2次元像内の位置の2乗に依存した収差を補正すると記載されているが、特許文献1に記載されたような式(1)で具体的な説明は一切ない。また、電子線検出器で電子線エネルギー損失スペクトルを計測する場合には、6重極レンズの励磁をオフにし、4重極レンズだけを用いて計測すると記載されている。電子線エネルギー損失スペクトルに現れる収差、及び6重極レンズを用いた収差補正の記載は一切ない。
特開平11−95955号公報 特開2001−312988号公報 米国特許4,743,756号公報 米国特許4,851,670号公報
点光源50から出射した電子線が、電子線のエネルギー分散部55でエネルギー分散された後、電子線検出器56で上に投射されるときの電子線の広がりxを、入射電子線の入射角(α,β)の2乗に関係するものだけでなく、x方向の入射角(α)と電子線のエネルギー広がりに関係するδ(=ΔU/U)の積が関与する広がりも考慮すると、次式の通りとなる。
x=Aα+Dδ+AAα2+BBβ2+ADαδ …(3)
収差係数ADはエネルギー分散に関係する係数である。従来技術のように収差係数ADを小さい値になるよう補正しない場合には、電子線検出器56のエネルギー分散方向の位置によって、電子線の広がりが異なる。この広がりの様子を示したのが、図3(c)である。図3は電子線検出器で検出したゼロロスを模式的に示した図である。特に図3(c)は、電子線中央部で電子線がフォーカスした状態である。しかし、収差係数ADが原因で、電子線検出器のエネルギー分散方向の両端では、中央部よりも電子線が広がっている。
その結果、収差係数ADを補正しないで、電子線エネルギー損失スペクトルを取得すると、電子線検出器中央部ではピークが鋭いが、端部ではピークがブロードになる。そのため、計測した電子線エネルギー損失スペクトルのエネルギー分解能が計測した電子線検出器の場所により異なるといった問題がある。
つまり、電子線エネルギー損失スペクトル計測や元素分布観察において、電子線エネルギー分光器のエネルギー分散方向でスペクトルのエネルギー分解能が異なるために、高エネルギー分解能でのスペクトル計測や元素分布観察ができないといった課題があった。
本発明の目的は、以上の課題を解決するため、収差係数ADを小さくするような補正を可能とする電子線エネルギー分光装置及び、それとTEMもしくはSTEMを組み合わせた装置であって、高エネルギー分解能の電子線エネルギー損失スペクトルや元素分布像を測定できる装置およびその方法を提供することにある。
本発明は、電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の12重極子レンズと、エネルギー分散手段より下流側に少なくとも1つ以上の12重極子レンズを有する電子線エネルギー分光装置、及びそれを備えた電子顕微鏡を提供するものである。
また、本発明は、電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、エネルギー分散手段より上流側には少なくとも1つ以上の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の6重極子レンズを、エネルギー分散手段より下流側には少なくとも1つ以上の12重極子レンズを有する電子線エネルギー分光装置、及びそれを備えた電子顕微鏡を提供するものである。
また、本発明は、電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、エネルギー分散した電子線のエネルギーを選択するエネルギー選択スリットを有する電子線エネルギー分光装置により電子線のエネルギーを分析することで、電子線エネルギー損失スペクトルを計測したり、元素分布像を観察したりすることができる電子顕微鏡である。特に、高エネルギー分解能のスペクトル計測や元素分布観察をするために、エネルギー分散手段とエネルギー選択スリットの間に12重極子レンズを設置する。また、エネルギー分散手段の上流側には、少なくとも1つ以上の12重極子レンズ、もしくは、少なくとも1つ以上の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の6重極子レンズを有する電子線エネルギー分光装置である。
本発明によれば、エネルギー分解能の場所による誤差が少ない電子顕微鏡を提供することができる。その結果、高エネルギー分解能の電子線エネルギー損失スペクトルを計測可能で、また高エネルギー精度の元素分布像を観察可能な装置を提供できる。
以下、上記の本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例の、電子線エネルギー分光装置の主要部分の概略構成図である。点光源10から出射した電子線11は、電子線のエネルギー分散部15によって、エネルギー分散作用を受けた後、エネルギー分散部15のエネルギー分散面17上に、電子線エネルギー損失スペクトルが形成される。電子線検出器16は、例えば1024チャンネルで構成される。各チャンネルに入射する電子線強度を検出することで、電子線エネルギー損失スペクトルを得ることが出来る。しかし、電子線検出器16は1次元の検出器に限るものではなく、例えば2次元CCDのような2次元の電子線検出器を用いても、エネルギー分散方向に垂直方向の画素を積算することで、電子線エネルギー損失スペクトルを計測することができる。エネルギー分散部15の上流側には、2つの12重極レンズ12と13、下流側には1つの12重極レンズ14を配置している。
12重極レンズの概略図を図2に示す。円筒形の磁路41,磁極42,励磁コイル43を備え、12個の磁極の中心と同一円上に、耐真空チューブ44を配置した構造である。12重極レンズの各磁極をD1,D2,…,D12と図2のように印す。12重極レンズは、それぞれの磁極の励磁コイルによって磁場強度を調整することで、4重極レンズの作用や6重極レンズの作用を1つのレンズで実現できる。
例えば、磁極D1,D4,D7,D10の励磁コイルのみを使って各磁極を励磁すると、4重極レンズと同じ磁場を12重極レンズの中心付近に形成することが出来る。また、磁極D2,D4,D6,D8,D10,D12の励磁コイルを使って、図2(c)に示すように各磁極を励磁すると、6重極レンズと同じ作用を及ぼす磁場を形成することが出来る。さらに、全ての磁極を励磁すると、4重極レンズと6重極レンズの2つのレンズを重畳した磁場を形成することも可能である。2つのレンズ作用を1つのレンズで実現する場合には次のような問題が発生しない。もし、1つの4重極レンズと1つの6重極レンズを個々に使った場合には、2つのレンズの機械的位置ずれが発生しやすく、それが原因となった新たな収差が発生する場合がある。しかし、本発明の12重極子レンズを用いれば、位置ずれの問題が発生せず、容易に高エネルギー分解能を実現できる。また、位置ずれの補正調整が不要で、調整の効率化やコンパクト化に有効である。
次に、各12重極レンズの作用と、それらを使って高エネルギー分解能の電子線エネルギー損失スペクトルを取得する方法を説明する。
(点光源の形成)
まず、点光源10の電子線は、電子線のエネルギーの広がりが小さい状態を実現させる。具体的には、200keVのエネルギーを有する電子線において、エネルギーの広がりは高々1eV程度である。このような状態は、電子顕微鏡において、電子線を試料に照射せずに、点光源10を形成すればよい。
(エネルギー分散の調整)
点光源10を出射した電子線11は、エネルギー分散部15で分散作用を受け、電子線検出器16上に電子線エネルギー損失スペクトルを形成する。試料を透過していないため、電子線エネルギー損失スペクトルはゼロロスピークのみが観測される。エネルギー分散部15の下流側に設置した12重極レンズ14を使って、4重極レンズの磁場を形成する。4重極レンズの磁場強度が強いほど、エネルギーの分散は大きくなる。エネルギー分散部15だけではエネルギー分散が1μm/eVであったものが、12重極レンズ14を使うと、エネルギー分散を任意の大きさ(例えば、500μm/eV)に変えることが出来る。電子線エネルギー損失スペクトルを使って、詳細な化学結合状態を計測するためには、エネルギー分散を大きくして、スペクトルの微細構造を観察できるようにする。このときのゼロロスピークの形状を模式的に示したのが、図3(a)である。このような12重極レンズ14の磁場強度の調整は、式(3)の分散係数Dの値を調整することに相当する。但し、これはあらかじめ設定される場合が多く、測定の度に調整する必要はない。
(スペクトルのフォーカス調整)
このようにしてエネルギー分散を調整した後、スペクトルのフォーカスを調整する。フォーカスの調整は、エネルギー分散部15の上流側に設置した12重極レンズ12を使って、4重極レンズと同じ磁場を形成し、電子線検出器16上に形成された電子線幅を小さくするように調整する。この調整を行うと、ゼロロスピークは図3(b)に示すように、幅が狭くなる。しかしこれだけでは、式(3)の収差係数AA,BB,ADは補正することができず、電子線の広がりを更に小さくする必要がある。
(収差係数AAとBBの補正)
次に、12重極レンズ13を使って、4重極レンズの磁場と6重極レンズの磁場を形成し、電子線検出器16上に形成された電子線幅が更に小さくなるように、4重極と6重極の磁場強度をそれぞれ調整する。この調整操作は、式(3)の収差係数AAとBBを小さくすることになる。この操作によって、電子線検出器16上の電子線の広がりは、図3
(c)に示すように、更に狭くなる。
しかし、この調整を行った後でも、収差係数ADによる収差が残る。収差係数ADが大きい値の場合、電子線検出器16のエネルギー分散方向の場所によって、ゼロロスの幅が異なる。その様子を図3(c)に示す。これまでの調整は電子線検出器16の中央部で行っており、中央部でのゼロロスの幅は狭い。しかし、電子線検出器16の両端部のゼロロスピークの幅は、中央部に比べると広い。
(収差係数ADの補正)
そこで、まず、ドリフトチューブ18を使って、電子線検出器16上のゼロロスを検出器の端部に移動させる。そして、エネルギー分散部15の下流側に設置した12重極レンズ14を使って、4重極レンズの磁場に、6重極レンズの磁場を重畳させる。6重極レンズの磁場強度は、電子線検出器16上のゼロロスピーク幅が小さくなるように調整する。
このような調整をした後の様子を図3(d)に示す。
以上記載した手順に従い調整することで、収差を補正した高エネルギー分解能の電子線エネルギー損失スペクトルを計測することができる。
電子線検出器16は、電子線エネルギー損失スペクトルの測定に限定するものではない。例えば、2チャンネル以上で構成された電子線検出器であれば、それぞれのチャンネルに入射したエネルギーの異なる電子線を同時に計測し、検出器の補正(例えば、検出器の感度補正や暗電流補正等)を実施後、各チャンネルで検出した電子線強度を使って演算を行えば元素分布像を観察することが出来る。演算法については、既に文献(Egerton著、「Electron Energy Loss Spectroscopy in the Electron Microscope」に記されているような、2ウインドウ法や3ウインドウ法を用いれば良い。
さらに、エネルギー分散部15のエネルギー分散面上にエネルギー選択スリット19を配置した電子線エネルギー分光装置の一実施例について、構成概略図4を用いて説明する。
エネルギー分散部15の上流側に2つの12重極レンズ12,13と、エネルギー分散部15とエネルギー選択スリット19の間に1つの12重極レンズ14を配置した構成である。エネルギー選択スリット19上には、エネルギー分散部15でエネルギー分散され、12重極レンズ14の4重極レンズ作用によって、電子線エネルギー損失スペクトルが形成されている。エネルギー選択スリット19は、所望のエネルギー幅の電子線だけを選択し、エネルギー選択スリット19より下流側に設置された結像レンズ系20に、電子線を透過させる役割である。したがって、エネルギー選択スリット19を使って、高いエネルギー精度で電子線を選択するためには、収差係数AA,BBは12重極レンズ12と
13を使い、収差係数ADは12重極レンズ14を使って、収差の影響の無いスペクトルを形成する。
図5は、本発明の実施例の電子線エネルギー分光器を備えた走査透過型電子顕微鏡
(STEM)の主要部分の概略構成図である。電子線発生源1で発生した電子線2は、対物レンズ4でプローブを形成し、試料5に照射される。試料5に照射される電子線の位置は、電子線走査コイル3で偏向される。試料5を透過した電子線は、投影レンズ7によって、電子線エネルギー分光器22の物点10が形成される。その後、電子線エネルギー分光器22に入射され、電子線エネルギー分光器22によって電子線のエネルギーが分析され、電子線エネルギー損失スペクトルを計測したり、元素分布像を観察したりする。電子線エネルギー分光器22は、エネルギー分散部15,エネルギー分散部15の上流側に設置された12重極レンズ12と13,下流側に設置された12重極レンズ14,エネルギー分散された電子線を検出する電子線検出器16,電子線のエネルギーを調整するドリフトチューブ18で構成される。
制御装置21は、STEM制御部30と電子線エネルギー分光器制御部28と中央制御部29で構成される。STEM制御部30は、試料上の電子線位置を制御し、電子線を走査,移動させる。電子線エネルギー分光器制御部28は、電子線エネルギー分光器22の電子線エネルギー分析条件、例えばエネルギー分散部15の励磁条件や、電子線エネルギー損失スペクトルのフォーカス条件,拡大条件,収差補正条件や、ドリフトチューブ18の印加電圧条件を制御する。中央制御部29は、測定する元素のデータベースを保有するデータベース部24と、エネルギー分散部15や12重極レンズ12と13や14の制御パラメータを保存するメモリー部27と、電子線検出器16で検出した電子線エネルギー損失スペクトルを演算する演算部23を有し、STEM制御部30や電子線エネルギー分光器制御部28を制御する。また、操作者が測定する元素等を入力する入力装置31や電子線エネルギー損失スペクトルや元素分布像を表示する表示装置25は、中央制御装部
29に接続されている。
(電子線エネルギー損失スペクトル測定,元素分布観察)
以下に、スペクトル測定時の制御装置21内の動作について説明する。
操作者が入力装置31を使って、観測したい元素を入力すると、中央制御部29はデータベース部24から該当する元素情報を引き出し、元素情報に含まれる各元素固有の測定条件を電子線エネルギー分光器制御部28に出力する。電子線エネルギー分光器制御部
28では、測定条件に基づき12重極レンズ12と13や14,ドリフトチューブ18,エネルギー分散部15を制御し、元素固有のエネルギーを含むエネルギー範囲の電子線を電子線検出器16に入射させる。電子線検出器16の各チャンネルの電子線強度信号は、電子線エネルギー損失スペクトルとなる。電子線検出器16からの電子線強度信号は、演算部23でスペクトルのバックグランド補正や電子線検出器のゲイン補正等を行う。演算後のスペクトルはメモリー部27に記憶され、かつ表示装置25で表示される。このような一連の処理によって操作者はスペクトルや元素分布像を取得することができる。
本発明の第一の実施例の主要部分を示す概略構成図。 12重極レンズの構成を示す概略図。(a)はその構造、(b)は4重極レンズと同じ磁場を発生させる時の様子、(c)は6重極レンズと同じ磁場を発生させる時の様子をそれぞれ示す。 本発明の実施例を用いて調整したゼロロスピークの形状の概略図。(a)エネルギー分散を調整したゼロロスピーク、(b)は(a)の後にスペクトルのフォーカスを調整したゼロロスピーク、(c)は(b)の後に収差係数AAとBBを補正したゼロロスピーク、(d)は(c)の後に収差係数ADを補正したゼロロスピーク。 本発明の第二の実施例の主要部分を示す概略構成図。 本発明の第三の実施例の主要部分を示す概略構成図。 従来技術の電子線エネルギー分光器の概略を示す図。
符号の説明
1…電子線源、2…電子線、3…電子線走査コイル、4…対物レンズ、5…試料、7…投影レンズまたは投影レンズ系、8…前段偏向コイル、9…Zコントラスト検出器、10…点光源、11…電子線、12,13,14…12重極レンズ、15…エネルギー分散部、16…電子線検出器、17…エネルギー分散面、18…ドリフトチューブ、19…エネルギー選択スリット、20…結像レンズ系、21…制御装置、22…電子線エネルギー分光装置、23…演算部、24…データベース部、25…画像/スペクトル表示部、27…メモリー部、28…エネルギーフィルタ制御部、29…中央制御部、30…STEM制御部、31…入力装置、32…撮像システム、41…磁路、42…磁極、43…励磁コイル、44…耐真空チューブ、51,52…4重極子レンズ、53,54…6重極子レンズ、55…磁場セクタ、56…電子線検出器。

Claims (12)

  1. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の第一の12重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より下流側に少なくとも1つ以上の第2の12重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  2. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段より上流側に1または複数の第一の4重極子レンズと1または複数の第一の6重極子レンズと、エネルギー分散手段より下流側に1または複数の第2の12重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  3. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の第一の12重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より下流側に少なくとも1つ以上の第2の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の第2の6重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  4. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも2つ以上の4重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の6重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より下流側に少なくとも1つ以上の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の6重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  5. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段を出射した電子線を検出する電子線検出器と、前記エネルギー分散手段と前記電子線検出器との間に電子線のエネルギーを選択するエネルギー選択スリットと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の12重極子レンズとを有し、前記エネルギー分散手段と前記エネルギー選択スリットとの間に少なくとも1つ以上の12重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  6. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段を出射した電子線を検出する電子線検出器と、前記エネルギー分散手段と前記電子線検出器との間に電子線のエネルギーを選択するエネルギー選択スリットと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の4重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の6重極子レンズとを有し、前記エネルギー分散手段と前記エネルギー選択スリットとの間に少なくとも1つ以上の12重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  7. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段を出射した電子線を検出する電子線検出器と、前記エネルギー分散手段と前記電子線検出器との間に電子線のエネルギーを選択するエネルギー選択スリットと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の12重極子レンズとを有し、前記エネルギー分散手段と前記エネルギー選択スリットとの間に少なくとも1つ以上の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の6重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  8. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段を出射した電子線を検出する電子線検出器と、前記エネルギー分散手段と前記電子線検出器との間に電子線のエネルギーを選択するエネルギー選択スリットと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも2つ以上の4重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも1つ以上の6重極子レンズとを有し、前記エネルギー分散手段と前記エネルギー選択スリットとの間に少なくとも1つ以上の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の6重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  9. 請求項1から8に記載のいずれかの電子線エネルギー分光装置を備え、電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子顕微鏡。
  10. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも2つの第一の12重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より下流側に少なくとも1つ以上の第2の12重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  11. 電子線のエネルギーを分析することにより電子線エネルギー損失スペクトルを測定し、あるいは元素の分布を観察する電子線エネルギー分光装置において、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段と、前記エネルギー分散手段より上流側に少なくとも2つの第一の12重極子レンズと、前記エネルギー分散手段より下流側に少なくとも1つ以上の第2の4重極子レンズと少なくとも1つ以上の第2の6重極子レンズを備えた電子線エネルギー分光装置。
  12. 電子線のエネルギーを分析することによる電子線エネルギー損失スペクトルや、あるいは元素分布の観察における補正方法であって、
    電子線のエネルギーを分散させるエネルギー分散手段より上流側に配置した多重極子レンズにより、電子線エネルギー分析装置に入射する電子線の入射角(α)の2乗に比例する収差を補正する工程と、前記エネルギー分散手段より下流側に配置した多重極子レンズにより、前記入射電子線の入射角(α)とエネルギー(U)を有する前記入射電子線においてその電子線のエネルギー広がり(ΔU)に関与する収差(α×ΔU/U)を補正する工程を有することを特徴とする補正方法。
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