JP3726540B2 - 鋼管矢板継手の2電極溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管矢板のいわゆるフレア継手の2電極溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼管矢板は、一般にスパイラル溶接鋼管からなる本管と、この本管の両側に長手方向に溶接された継手材とから構成される。鋼管矢板の材質とサイズはJISA5530(1983)に規定されており、本管は外径500〜2000mm、厚さ9〜25mm、継手材のうちパイプ型は外径165.2mm、厚さ9mmまたは11mmとなっている。
【0003】
継手の形式として、P−P型、P−T型、L−T型の3種類があるが、ここでは、図7に示すようなP−P型を対象とする。P−P型はパイプ同士の継手形式であり、ほかの2種類のものに比べて、溶接継手がいわゆるフレア継手を形成することから、溶接上の問題が多く発生するためである。
【0004】
P−P型は、本管1に継手鋼管2を断続的に仮付け溶接した後、フレア継手3を本溶接する。左右上下4箇所のフレア継手3を溶接後、継手鋼管2にスリット4を加工し、このP−P型の鋼管矢板の製造が終了する。
【0005】
P−P型においては、図8の拡大図で示すように、8mm以上のビード幅が要求される。また、狭隘で深いフレア開先を呈していることから溶接施工上困難な問題がある。
【0006】
従来の2電極タンデム溶接法は、各電極毎に1つの溶融池を形成するという2プール方式の溶接法である。この溶接法の一番の問題点は、溶接速度を上げることができないことである。溶接速度を上げようとして溶接電流を増加すると、アーク圧力が過大となって、バーンスルー(溶接金属の落下)が発生するからである。したがって、この溶接法では溶接速度は100cm/min程度が限界である。
【0007】
また、電極数を3電極にし、全体の溶着量を増加させる方法も試みられているが、この方法では、溶接速度が150cm/min以上になると、先行電極(先行電極)の溶接が良好に行えないという問題がある。その理由は、先行電極のアーク直下の溶接金属層の厚さが薄くなる欠点があるため、同様にバーンスルーが発生するからである。
【0008】
特開平8−252667号公報に示された溶接法は、以上の問題点を解決する一つの方策ではある。この溶接法は、複数台の走行式溶接機を管軸方向に並べて配設し、各々の走行式溶接機の溶接速度は0.5〜0.7cm/minであるが、各台あたりの溶接長を短くすることにより、総合的に溶接速度を上げようとするものである。したがって、基本的に、溶接機1台につき2電極であり、2プール方式である。また、運棒方式としてウィービングまたは回転アーク方式を採用している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この溶接法には次のような問題点がある。
(1)100cm/min以上の溶接速度を実現するには少なくとも2台の溶接機が必要である。いくら軽装備、小型化を可能にした溶接機といえども個々に独立した溶接機を複数台必要とするため設備費の上昇は免れない。
(2)高速回転アーク溶接の場合でも2電極の2プール方式では、溶接速度を増加すると、先行電極のアーク直下の溶融金属層の厚さが薄くなり、バーンスルーが発生しやすくなる。
(3)ビード継ぎを要するため、その継ぎ目部に溶接欠陥が発生しやすくなり、かつ処理に時間がかかる。
(4)充填材と称する特殊な形状の板材をフレア開先内に挿入することによって、カットワイヤの散布を省略することとしているが、このためコストアップをもたすらすだけでなく、この充填材の安定した取付が困難である。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、鋼管矢板のフレア継手の溶接における溶接速度の高速化とコストダウンを実現する鋼管矢板継手の2電極溶接方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る鋼管矢板継手の2電極溶接方法は、2つの電極を溶接方向に並べて配置し、鋼管矢板のフレア継手をガスメタルアーク溶接する方法において、開先内にカットワイヤまたは鉄粉を散布し、先行電極と後行電極により、1つの溶融池を形成するように2つの電極を配置し、少なくとも前記先行電極に高速回転アーク溶接法を用い、かつ、高速回転アーク式アークセンサ制御により開先自動倣いを行いながら、毎分100cm以上の速度で溶接することを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、2電極で1プールを形成する、2電極1プール式の溶接法である。さらに、少なくとも先行電極に対して高速回転アーク式アークセンサ制御を行うものである。このため、本発明は下記の作用効果を奏する。
(1)2電極1プールの溶接であるので、先行電極と後行電極がそれぞれのアーク圧力により、電極間の溶融金属を押し合うことになる。そのため、各電極の直下に十分な厚さの溶接金属層が形成されるため、バーンスルー(溶接金属の落下)が発生しにくい。
(2)高速回転アーク溶接法を採用するため、アーク圧力の分散効果により、上記(1)と同様の効果が得られ、上記現象が発生しにくい。
(3)さらに高速回転アークの採用により、高精度で応答性の良い開先倣い性能が得られるため、100cm/minを超える溶接速度でも、トーチの狙い位置が安定に保たれるため、アンダーカットや割れ等の溶接欠陥が発生しない。
(4)上記(1)〜(3)の効果により、従来法よりも高い溶接電流が適用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の鋼管矢板継手の2電極溶接方法を示す概要図である。図1において、1は本管、2は継手鋼管であり、継手鋼管2はあらかじめ本管1に仮付け溶接されている。5はフレア開先6内に一様な幅で散布されたカットワイヤ(または鉄粉)である。
11は先行電極(L電極)、12は後行電極(T電極)であり、これら2本の電極は溶接方向に直線上に並べて配置され、先行電極11と後行電極12は、1つの溶融池7を形成するように25〜100mmの極間距離で配置されている。また、先行電極11と後行電極12により溶接ヘッド13を構成する溶接装置となっている。
【0014】
各電極に使用する溶接ワイヤのワイヤ径は溶着量確保の観点から1.6〜2.0mmが適当である。図中、8は溶接ビードである。
【0015】
さらにここでは、全ての電極に回転アーク方式を採用しているが、少なくとも先行電極11を回転アーク方式とすればよい。後行電極12はストリンガあるいは直線反復揺動式としてもよい。また、各電極とも回転アーク方式とした場合、溶接ワイヤの回転方向は、先行電極を正回転、後行電極を逆回転とする方がよい。正回転の定義は、図5に示すように溶接方向に対して右回転を正回転とする。
【0016】
開先倣いについては、先行電極11の高速回転アーク式アークセンサ制御によるものとし、後行電極12は先行電極11の開先倣い軌跡を再生することにより開先倣いを行うようにしてもよい。
【0017】
図2に溶接装置の概要を示す。前記の先行電極11と後行電極12の溶接ヘッド13はマニプレーター21の水平軸22の先端部に垂設されている。このマニプレーター21は溶接機台車20上の垂直軸23に沿って上下し、かつ、水平方向に移動するように構成されている。溶接機台車20は台車24上の本管1の管軸と平行に走行するようになっている。
また、仮付け溶接後、本管1および継手鋼管2からなる鋼管矢板は台車24のターニングローラ25上に載置される。その後、前述のごとくカットワイヤをフレア開先内に散布し、ターニングローラ25により本管1を回動させて所定の継手ポジションθにセットする。
各電極のトーチ角度α、β(αは溶接方向の正面から見たときの角度で、電極軸と鉛直線とのなす角度である。βは溶接方向に対する前進角または後退角である。)および狙い位置を決め、アークをスタートさせて溶接を開始する。溶接速度は溶接機台車20の走行速度を制御することにより達成される。
1つのフレア継手の溶接終了後、マニプレータ21を伸ばし、反対側のフレア継手を上記のように継手ポジションθ、トーチ角度α、βをセットしたのち溶接する。下側左右2箇所のフレア継手はターニングローラ25により鋼管矢板を反転させてから同様の手順で順次溶接する。
【0018】
さらに、本発明の実施例を説明する。
溶接施工条件を次のように設定して溶接試験を行った。表1に溶接施工条件を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
(1)電極配置
電極配置は図3のとおりとした。先行電極11のトーチ角度βはβ=0゜、後行電極12はβ=15゜とした。なお、トーチ角度αは各電極ともα=0゜である(図4参照)。
極間距離Lは30mmとした。
【0021】
(2)溶接ワイヤ
溶接ワイヤは全て同じものを使用し、ワイヤ径は溶着量確保の観点から各電極とも1.6mmφを採用した。
【0022】
(3)カットワイヤ
割れやブローホールの発生およびアークの安定の観点から、カットワイヤはφ1×1mmを採用した。また、散布幅は8mm程度とした。
【0023】
(4)継手ポジションとトーチ角度(α)、ワイヤ狙い位置、ワイヤ回転方向の関係
図4のとおりとした。ワイヤ回転方向は、図5に示すように、溶接方向に対し右回転を正回転、左回転を逆回転としている。ワイヤ狙い位置は各電極とも開先中央である。
【0024】
(5)開先倣い
各電極とも回転アーク方式を採用し、先行電極11のアークセンサ制御方式により開先自動倣いを行った。
【0025】
溶接試験結果を示すビード断面形状を図6に模式的に示す。溶接速度が100cm/min、150cm/minのいずれの場合においても、溶接欠陥のない極めて良好なビード形状を呈していた。また、ビード幅は約9mmであった。
【0026】
溶接速度の高速化を実現するためには、特に先行、後行電極の溶接電流値の合計が重要な要因となる。例えば、100cm/minの溶接速度を目標とする場合は、合計電流値は800A以上、150cm/minの場合は合計電流値は900A以上が必要である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、2電極1プール式の溶接法で、しかも高速回転アーク溶接法を用い、かつ高速回転アーク式アークセンサ制御により開先自動倣いを行いながら、鋼管矢板のフレア継手を溶接するものであるから、溶接品質を高く保ちつつ溶接速度が100cm/min以上の高速化を達成でき、かつこれに伴うコストダウンの効果が大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接方法を示す概要図である。
【図2】溶接装置の概要図である。
【図3】実施例における電極配置を示す図である。
【図4】実施例における継手ポジションとトーチ角度(α)、ワイヤ狙い位置、ワイヤ回転方向の関係を示す図である。
【図5】ワイヤ回転方向を定義する図である。
【図6】溶接試験結果のビード断面形状を模式的に示す図である。
【図7】鋼管矢板のP−P型継手を示す図である。
【図8】フレア継手の拡大図である。
【符号の説明】
1 本管
2 継手鋼管
3 フレア継手
4 スリット
5 カットワイヤ
6 フレア開先
7 溶融池
8 溶接ビード
11 先行電極
12 後行電極
13 溶接ヘッド
Claims (1)
- 2つの電極を溶接方向に並べて配置し、鋼管矢板のフレア継手をガスメタルアーク溶接する方法において、
開先内にカットワイヤまたは鉄粉を散布し、
先行電極と後行電極により、1つの溶融池を形成するように2つの電極を配置し、
少なくとも前記先行電極に高速回転アーク溶接法を用い、かつ、高速回転アーク式アークセンサ制御により開先自動倣いを行いながら、
毎分100cm以上の速度で溶接することを特徴とする鋼管矢板継手の2電極溶接方法。
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