JP3725741B2 - 走査信号発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、モニタ上に表示する映像信号の走査信号をカウンタを用いてデジタル的に発生する装置に関し、特に、インターレース方式であるNTSC方式及びPAL方式の両方の映像信号に共用することができる走査信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
映像信号の走査信号発生装置では、モニタ上に表示する映像信号の同期を取るために、映像信号から抽出された水平同期信号と垂直同期信号とを該装置に取り込んで処理し、同期が取られた走査信号を発生している。NTSC方式及びPAL方式等のインターレース方式の映像信号は奇数フィールドと偶数フィールドとを含み、これらのフィールドを重ね合わせて1フレームを構成しているが、モニタ上の走査線の位置を指定するための走査信号をデジタル的に発生するための手段として、図4に示すような走査信号発生装置が採用されている。
図4に示す走査信号発生装置は、NTSC方式及びPAL方式の両者に適用可能に構成されており、図4において、11、12は、これらの方式にそれぞれ適用するように構成されたカウンタであり、20は、NTSC方式の場合の走査線を表す走査信号L(N)i(i=1、2、3、……)とPAL方式の場合の走査線を表す走査信号L(P)iとを、NTSC/PAL切換制御信号CN/Pに基づいて選択的に出力するための切換回路である。
【0003】
カウンタ11には、水平及び垂直同期分離回路(不図示)によってNTSC方式の映像信号から得られた水平同期信号PH(N)及び垂直同期信号PV(N)が供給され、垂直同期信号PV(N)の後縁(低レベルから高レベルへの立ち上がりタイミング)でカウンタ11が0にリセットすなわちクリアされ、水平同期信号PH(N)の後縁(低レベルから高レベルへの立ち上がりタイミング)でカウンタ11の計数値を歩進させるよう構成されている。
【0004】
このため、図5の(A)に示すように、NTSC方式の奇数フィールドの信号に関しては、垂直同期信号PV(N)の後縁に水平同期信号PH(N)の前縁(高レベルから低レベルへの立ち上がりタイミング)が同期しているため、カウンタ11は、クリア時点t0後に、時点t1、t2、t3、……で、計数値をそれぞれ増分する。これにより、奇数フィールドの走査線の位置を表すデジタル走査信号L(N)O1、L(N)O2、L(N)O3、……が、上記それぞれの時点でカウンタ11から順次出力される。また、図5の(B)に示すように、偶数フィールドに関しては、垂直同期信号PV(N)の後縁が2つの水平同期信号PH(N)の中間に位置するので、カウンタ11は、クリア時点t0後に、時点t1+Δt、t2+Δt、t3+Δt、……で計数値をそれぞれ増分し、偶数フィールドの走査線の位置を表すデジタル信号L(N)E1、L(N)E2、L(N)E3、……が、上記それぞれの時点で順次出力される。なお、Δtは水平同期信号PPH(N)の1周期の約1/2であるから、クリア時点t0を基準として考えると、偶数フィールドにおける計数値の増分は、奇数フィールドにおける2つの増分時点の中間に生じる。したがって、切換回路20を介して出力される走査信号は、偶数フィールドの走査線が奇数フィールドの走査の中間に生じることになり、しかも、1フレーム分の走査線が適切な順に並ぶ走査信号が得られることになる。
【0005】
一方、カウンタ12には、PAL方式の映像信号から得られた水平同期信号PH(P)及び垂直同期信号PV(P)が供給される。PAL方式の映像信号における水平同期信号と垂直同期信号との関係がNTSC方式のものとは相違していることから、該カウンタ12の計数及びクリアのタイミングは、NTSC方式用のものとは相違している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示した従来例の走査信号発生装置においては、上記したように、NTSC方式とPAL方式とで映像信号の規格が相違しているため、これらに共通に使用可能な走査信号発生装置は、それぞれの方式に合わせたクリア・タイミング及び計数タイミングを有するカウンタを個別に設ける必要があった。
例えば、PAL方式の映像信号の走査信号を、NTSC方式用のタイミングでクリア及び計数するカウンタを用いて発生しようとすれば、図6の(A)及び(B)に示すように、偶数フィールドにおける走査線L(P)E1、L(P)E2、L(P)E3、……がそれぞれ、奇数フィールドにおける走査線L(P)O1、L(P)O2、L(P)O3、……の上方に位置してしまい、各フレームにおいて、適切な配置関係の走査線が鰓レス、結局、モニタ上の映像が上下にぶれてしまうことになる。
【0007】
従来の装置は、上記したように方式別にカウンタを具備させる必要があるため構成が大型となり、よって安価に構成することができないという問題点があった。
したがって、本発明の目的は、映像信号から得られた水平同期信号及び垂直同期信号を用いてデジタル的に走査信号を発生する走査信号発生装置において、カウンタを1つだけ用いて、NTSC方式及びPAL方式の両方に適用することができる水平走査信号発生装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、第1の本発明の走査信号発生装置においては、
NTSC方式の映像信号から抽出された水平同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された水平同期信号が、択一的に入力される水平同期信号入力端子と、
クリア端子に供給されたパルス信号の後縁でクリアされ、かつ入力された水平同期信号を計数して走査信号を出力するカウンタと、
NTSC方式の映像信号から抽出された垂直同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された垂直同期信号が、択一的に供給される垂直同期信号入力端子と、
入力された垂直同期信号の後縁が所定時間遅延された疑似垂直同期信号を発生する疑似垂直同期信号発生手段と、
入力された垂直同期信号及び生成された疑似垂直同期信号の一方を選択する選択手段であって、NTSC方式の映像信号の場合は入力された垂直同期信号を選択し、PAL方式の映像信号の場合は生成された疑似垂直同期信号を選択して、カウンタのクリア端子に供給する選択手段と
からなることを特徴としている。
【0009】
第2の本発明の走査信号発生装置においては、
NTSC方式の映像信号から抽出された水平同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された水平同期信号が、択一的に入力される水平同期信号入力端子と、
クリア端子に供給されたパルス信号の後縁でクリアされ、かつ入力された水平同期信号を計数して走査信号を出力するカウンタと、
NTSC方式の映像信号から抽出された垂直同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された垂直同期信号が、択一的に供給される垂直同期信号入力端子と、
入力された垂直同期信号の後縁が所定時間遅延された疑似垂直同期信号を発生する疑似垂直同期信号発生手段と、
映像信号から抽出されたフィールド判別信号に基づいて、現在のフィールドが奇数フィールドか偶数フィールドかを判定する判別手段と、
入力された垂直同期信号及び生成された疑似垂直同期信号の一方を選択する第1の選択手段であって、判別手段が現在のフィールドが奇数フィールドであると判定したときに入力された垂直同期信号を選択し、偶数フィールドであると判定したときに疑似垂直同期信号を選択して出力する第1の選択手段と、
入力された垂直同期信号及び第1の選択手段からの出力の一方を選択する第2の選択手段であって、NTSC方式の映像信号の場合は入力された垂直同期信号を選択し、PAL方式の映像信号の場合は第1の選択手段からの出力を選択して、カウンタのクリア端子に供給する第1の選択手段と
からなることを特徴としている。
【0010】
上記した第1及び第2の本発明の走査信号発生装置において、疑似垂直同期信号発生手段は、入力された垂直同期信号の後縁から所定時間後にパルスを出力する遅延手段と、入力された垂直同期信号の前縁でセットされ、遅延手段からのパルスによりリセットされるフリップ・フロップとで構成されることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の態様】
図1は本発明の一実施例の走査信号発生装置を示しており、図1において、1は、垂直同期信号によってクリアされかつ水平同期信号を計数するクリア端子C付きのカウンタであり、図4に示した従来例におけるカウンタ11と同一のリセット・タイミング及び計数タイミングを有している。2は垂直同期信号の後縁を延長させるための遅延用カウンタ、3はRS-フリップ・フロップ(FF)回路、4はNTSC方式とPAL方式とを切り換えるための切換回路、5は垂直同期信号の論理レベルを反転するインバータ回路である。遅延用カウンタ2とフリップ・フロップ回路3とは、疑似垂直同期信号を発生する疑似垂直同期信号発生回路を構成している。なお、図1に示した装置の各回路は、正論理で動作するものとする。
【0012】
切換回路4は、NTSC方式の映像信号の場合に、同期分離回路(不図示)を介して入力された垂直同期信号PV(N)をカウンタ1のクリア端子Cに供給し、PAL方式の場合に、フリップ・フロップ回路3から発生された疑似垂直同期信号PV(P)’をカウンタ1のクリア端子Cに供給するよう、NTSC端子とPAL端子との間で、NTSC/PAL切換制御信号CN/Pに基づいて選択的に切り換えられる。
図1に示した本発明の走査信号発生装置において、NTSC方式の場合には、切換回路4をNTSC側の端子に切り換えることにより、垂直同期信号PV(N)をカウンタ1のクリア端子Cに供給し、図4に示した従来例の装置の動作と同様に、水平同期信号PH(N)を計数し走査信号L(N)iとして出力する。したがって、NTSC方式の場合には、遅延用カウンタ2、フリップ・フロップ3、インバータ5は、走査信号の発生に何ら関係しておらず、これらの回路は、PAL方式の場合の走査信号発生にのみ寄与するものである。
【0013】
以下に、PAL方式の走査信号発生動作について説明する。PAL方式の映像信号から得られた垂直同期信号PPV(P)が入力されると、該垂直同期信号は遅延用カウンタ2に入力される。このとき、切換回路4はPAL端子側に接続されているので、該垂直同期信号PV(P)はカウンタ1のクリア端子Cには供給されない。
遅延用カウンタ2は、クリア端子付きプリセット・カウンタで構成されており、垂直同期信号PV(P)の後縁でクリアされて、入力される高周波のシステム・クロックCLKを計数する。そして、計数値がプリセット値に到達した時点で、カウント・アップ・パルスPcnt発生する。遅延用カウンタ2のプリセット値は、システム・クロックCLKの周期及び水平同期信号PPH(P)の周期に依存して予め設定されており、例えば、該水平同期信号のパルス幅と同一か該パルス幅よりもわずかに大きい程度の遅延ΔTが得られるように、設定されている。なお、プリセット値は変更可能であり、したがって、遅延ΔTは必要に応じて調整可能である。
【0014】
フリップ・フロップ3は、垂直同期信号PV(P)の前縁すなわち高レベルから低レベルへの立ち下がりタイミングでセットされ、遅延用カウンタ2からのカウント・アップ・パルスPcntによってリセットされるよう構成されている。なお、該フリップ・プロップを正論理動作としたため、インバータ5が挿入されている。したがって、図2の(A)及び(B)に示すように、フリップ・フロップ回路3は、前縁が垂直同期信号PV(P)の前縁と一致し、後縁が該パルスPV(P)の後縁よりもΔTだけ遅延した疑似垂直同期信号PV(P)’を発生する。発生された疑似垂直同期信号PV(P)’は、切換回路4を介してカウンタ1のクリア端子Cに供給され、その後縁でカウンタ1をクリアする。
【0015】
奇数フィールドにおいては、図2の(A)に示すように、t0の時点で疑似垂直同期信号PV(P)’立ち上がると、その時点でカウンタ1がクリアされ、その後、水平同期信号PH(N)の立ち上がり時点である時点t1、t2、t3、…でカウンタ1が増分される。また、偶数フィールドにおいては、図2の(B)に示すように、時点t0でカウンタ1がクリアされると、カウンタ1は、時点t1+Δt、t2+Δt、t3+Δt、…で増分される。したがって、図2から明らかなように、クリア時点t0を基準にすると、奇数フィールドの走査線と偶数フィールドの走査線との位置関係が反転してしまうことがなく、各フレームにおいて、適切な位置関係の走査線が得られることになる。
【0016】
上記した図1の実施例においては、PAL方式において、奇数フィールド及び偶数フィールドともに、垂直同期信号PV(P)の後縁を延長した疑似垂直同期信号PV(P)’によりカウンタ1をクリアするよう構成したが、奇数フィールドにおいては垂直同期信号PV(P)を使用してカウンタ1をクリアし、偶数フィールドにおいてのみ疑似垂直同期信号PV(P)’をカウンタのクリア用に使用してもよい。
この場合、図3に示すように、映像信号に含まれるフィールド判別信号FO/Eを監視する判別回路6を具備させて、現在のフィールドが奇数フィールドか偶数フィールドかを判別するとともに、フリップ・フロップ回路3と切換回路4との間に別の切換回路7を挿入配置して、判定回路6が奇数フィールドであると判定した場合に垂直同期信号PV(P)を、偶数フィールドであると判定した場合に疑似垂直同期信号PV(P)’を、切換回路4に供給するように構成すればよい。
【0017】
本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、遅延用カウンタ2の代わりに、CR遅延回路等の適宜の遅延手段を採用することが可能であり、また、フリップ・フロップ回路3を具備させずに、遅延用カウンタ2の出力を切換回路4又は7に直接供給しても良い。この場合も、フリップ・フロップ回路を設けた場合と同一のタイミングで、カウンタ1をクリアすることができる。
以上説明したように、本発明の走査信号発生装置によれば、PAL方式の場合、垂直同期信号の後縁を遅延させてNTSC方式の垂直同期信号の後縁と合致させることにより、カウンタのリセット及び計数タイミングを同一にすることにより、カウンタを共通に使用可能にしている。したがって、NTSC方式であってもPAL方式であっても、それぞれの方式に対応したタイミングで動作するカウンタを別々に設ける必要がなく、1つのカウンタを具備するだけで両方の方式に対応した走査信号を発生することができる。
よって、装置を従来例に比べて小型化することができ、これにより安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の走査信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した装置の動作を説明するための波形図である。
【図3】本発明の他の実施例の走査信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】従来例の走査信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した従来例の装置の動作を説明するためのパルス波形図である。
【図6】図4に示した従来例の装置の問題点を説明するための波形図である。

Claims (3)

  1. インターレース方式の映像信号のモニタ上の走査線の位置を表す走査信号を発生する走査信号発生装置において、
    NTSC方式の映像信号から抽出された水平同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された水平同期信号が、択一的に入力される水平同期信号入力端子と、
    クリア端子に供給されたパルス信号の後縁でクリアされ、かつ入力された水平同期信号を計数して走査信号を出力するカウンタと、
    NTSC方式の映像信号から抽出された垂直同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された垂直同期信号が、択一的に供給される垂直同期信号入力端子と、
    入力された垂直同期信号の後縁が所定時間遅延された疑似垂直同期信号を発生する疑似垂直同期信号発生手段と、
    入力された垂直同期信号及び生成された疑似垂直同期信号の一方を選択する選択手段であって、NTSC方式の映像信号の場合は入力された垂直同期信号を選択し、PAL方式の映像信号の場合は生成された疑似垂直同期信号を選択して、カウンタのクリア端子に供給する選択手段と
    からなることを特徴とする走査信号発生装置。
  2. インターレース方式の映像信号のモニタ上の走査線の位置を表す走査信号を発生する走査信号発生装置において、
    NTSC方式の映像信号から抽出された水平同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された水平同期信号が、択一的に入力される水平同期信号入力端子と、
    クリア端子に供給されたパルス信号の後縁でクリアされ、かつ入力された水平同期信号を計数して走査信号を出力するカウンタと、
    NTSC方式の映像信号から抽出された垂直同期信号、及びPAL方式の映像信号から抽出された垂直同期信号が、択一的に供給される垂直同期信号入力端子と、
    入力された垂直同期信号の後縁が所定時間遅延された疑似垂直同期信号を発生する疑似垂直同期信号発生手段と、
    映像信号から抽出されたフィールド判別信号に基づいて、現在のフィールドが奇数フィールドか偶数フィールドかを判定する判別手段と、
    入力された垂直同期信号及び生成された疑似垂直同期信号の一方を選択する第1の選択手段であって、判別手段が現在のフィールドが奇数フィールドであると判定したときに入力された垂直同期信号を選択し、偶数フィールドであると判定したときに疑似垂直同期信号を選択して出力する第1の選択手段と、
    入力された垂直同期信号及び第1の選択手段からの出力の一方を選択する第2の選択手段であって、NTSC方式の映像信号の場合は入力された垂直同期信号を選択し、PAL方式の映像信号の場合は第1の選択手段からの出力を選択して、カウンタのクリア端子に供給する第1の選択手段と
    からなることを特徴とする走査信号発生装置。
  3. 請求項1又は2記載の走査信号発生装置において、疑似垂直同期信号発生手段は、
    入力された垂直同期信号の後縁から所定時間後にパルスを出力する遅延手段と、
    入力された垂直同期信号の前縁でセットされ、遅延手段からのパルスによりリセットされるフリップ・フロップと
    で構成されていることを特徴とする走査信号発生装置。
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