JP3725271B2 - 配管設備の接続構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば高層建造物の排水設備において排水立て管に排水横主管を接続するための構造であって、特に免震構造の建造物に好適に適用できる配管設備の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主として高層建造物の免震構造化が図られており、これに伴って該建造物に必要となる給・排水用の配管設備あるいは電力、ガス用の配管設備についても免震構造化の技術が提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来この種の配管設備についての免震構造は必ずしも十分なものではなかった。例えば、排水用の配管設備の免震構造について見ると、従来、建造物の地下ビットに配管された排水横主管の水平方向の屈曲部の上流側および下流側にフレキシブル管を配置するとともに、同屈曲部をキャスター付きの台座に載置して水平方向に変位可能に設置することにより、該排水横主管の屈曲部における水平方向の変位すなわち震動を許容する技術は提供されていたが、上記排水横主管の排水立て管に対する接続部の免震構造は提供されていなかった。
このように、従来は横方向の配管相互の免震化対策はなされていたが、立て方向の配管と横方向の配管との間の免震化対策がなされていなかったため、建造物の駆体自体の免震対策に比して不十分であり、このため大きな地震等に対して立て方向の配管が損傷を受けるおそれがあった。
そこで、本発明は、主として免震化建造物に設備される各種配管の免震機能をより高めることを主目的とし、かかる目的を達成するために最適な配管設備の接続構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は前記各請求項に記載した構成の接続構造とした。
請求項1記載の接続構造によれば、立て方向の配管に対する横方向の配管の水平方向の変位が許容されるので、地震等により横方向の配管が水平方向に変位(震動)しても立て方向の配管の損傷を防止もしくは大きく低減できる。このように、立て方向の配管と横方向の配管との間が免震構造化され、この技術を従来の免震構造と併用することにより、この種の配管設備について従来よりも確実な免震対策を施すことができる。
フレキシブル管にはジャバラ形状のものの他、いわゆるポリブデン管あるいは架橋ポリエチレン管等の材質的に可撓性を有する管(可撓管)を用いることができる。
また、立て方向の配管として可撓管を用いる場合には、この立て方向の配管の一部にフレキシブル管の機能を代用させることができ、これによれば立て方向の配管を直接屈曲継手に接続することができるので配管施工の手間を大幅に簡略化することができる。
さらに、請求項1記載の接続構造によれば、屈曲継手がスムーズ移動できるので、より確実に免震機能を発揮させることができる。この構成は、屈曲継手に対して立て方向の配管の大きな荷重が付加される給水および排水設備に特に好適である。
請求項2記載の接続構造によれば、特に排水管の配管工事において、立て方向の配管としての排水立て管を直接コンクリートスラブに固定する場合に比して作業の便宜を図ることができる。
請求項3記載の接続構造によれば、立て方向の配管としての排水立て管による荷重を強固に受けることができる。
請求項4記載の接続構造によれば、短管を立て方向の配管から外すことなく固定用フランジを交換することができるので、短管を交換する場合等の作業性をよくすることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1から図7に基づいて説明する。以下説明する実施形態では、配管設備の接続構造の一例として排水立て管と排水横主管との接続構造を例示して説明する。従って、特許請求の範囲に記載した立て方向の配管が上記排水立て管に該当し、横方向の配管が上記排水横主管に該当する。また、屈曲継手として略L字形の脚部継手を例示して説明する。
図1には第1の実施形態に係る接続構造が示されている。図中1は免震構造の建造物の駆体をなすコンクリートスラブを示している。このコンクリートスラブ1は建造物の最下階のコンクリートスラブであり、地面Gとの間に介装された複数の免震装置2〜2により支持されている。この免震装置2〜2および建造物自体の免震構造については特に変更を要しないので説明を省略する。
【0006】
さて、コンクリートスラブ1には所定径のスラブ貫通孔3が形成されている。このスラブ貫通孔3には長さの短い1本の短管4が挿通されている。この短管4が図2に単独で示されている。図示するようにこの短管4の側面には雄ねじ部4aがそのほぼ全長にわたって形成されている。但し、短管4の上部には排水立て管6を接続するための受け口4bが形成され、また下部には後述するフレキシブル管7を接続するための接続部4cが形成されており、上記受け口4bとこの接続口4cには雄ねじ部4aが形成されていない。
図1に示すように、上記雄ねじ部4aを介して短管4には2枚の固定フランジ5,5が取付けられている。両固定フランジ5,5は、上記スラブ貫通孔3よりも大径の円板形状をなす円板部5aと、内周に上記雄ねじ部4aに螺合する雌ねじ部が形成されたボス部5bを備えている。このため、両固定フランジ5,5の当該短管4の長手方向の位置は、固定フランジ5を回転させることにより任意の位置に取付けることができる。
上側の固定フランジ5はそのボス部5bを上向きにして、その円板部5aをコンクリートスラブ1の上面に当接させた状態に取付けられている。一方、下側の固定フランジ5はそのボス部5bを下向きにして、その円板部5aをコンクリートスラブ1の下面に当接された状態に取付けられている。
このように両固定フランジ5,5が取付けられることによい短管4がコンクリートスラブ1に固定されている。従って、施工手順としては、排水立て管6が施工される前に、上側の固定フランジ5のみを取り付けた状態の短管4をコンクリートスラブ1のスラブ貫通孔3に上側から挿入し、然る後に下側の固定フランジ5が接続部4c側から取付けられる。
スラブ貫通孔3は、ロックウール8により埋め戻されている。埋め戻し作業は、上側の固定フランジ5を上方へずらして行われる。なお、ロックウール8の上下面はコンクリート層8a,8aにより固定されている。上記下側の固定フランジ5は、この埋め戻し部を下から受ける働きもする。
以上のようにしてコンクリートスラブ1に取付けられた短管4の受け口4bに排水立て管6の下端部が接続される。この接続形態については特に変更を要しない。
【0007】
次に、短管4の接続口4cには上記フレキシブル管7の上部が止め輪7aにより接続されている。このフレキシブル管7自体については特に変更を要するものではなく、通常用いられるジャバラ形式の伸縮可能かつ全方向へ自由に撓み可能で、耐水性を有するものが用いられている。
このフレキシブル管7の下端部は略L字形をなす脚部継手9の上流側接続口9aに接続されている。この脚部継手9の下流側接続口9bには排水横主管10が接続されている。
また、この脚部継手9の下部には移動用のコロ9cが取付けられており、このコロ9cを介して脚部継手9は地面G上を移動可能をなっている。
このように構成された接続構造によれば、建造物を上下に貫いて配管された排水立て管6に対して、フレキシブル管7および脚部継手9を経て排水横主管10が地面G上に沿って配管されるので、排水横主管10はフレキシブル管7が変形することにより、また脚部継手9が移動することにより排水立て主管6に対して単独で横方向(水平方向)に移動できる。
このことから、例えば地震等により建造物に横揺れが発生した場合であってもフレキシブル管7が変形することにより排水立て管6と排水横主管10との間でこの横揺れが吸収され、これにより排水経路の損傷を回避することができる。
特に大きな横揺れの場合であっても、脚部継手9が移動することにより排水立て管6に対する排水横主管10の配管経路の大きな変位を吸収することができるので、より確実に配管経路の保護を図ることができる。
このように、横方向の配管相互の振動吸収に加えて、立て方向の配管経路についても振動吸収機能を持たせることができるので、建造物の免震機能を一層高めることができる。
【0008】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることが可能である。例えば、図3に示すように、下側の固定フランジ5を廃止してスラブ貫通孔3を埋め戻さない構成としてもよい。この場合、上側の固定フランジ5の円板部5aとコンクリートスラブ1の上面との間にアンカーボルト5c〜5cを打ち込んで短管4をコンクリートスラブ1の固定すればよい。その他の構成については前記実施形態と同様である。
また、図4に示すように実施してもよい。この第2実施形態は前記短管4の変形例である。この第2実施形態の短管20は前記短管4のように側面に雄ねじ部4aを有しておらず、その代わりに張出しフランジ20a〜20aを有している。
この張出しフランジ部20a〜20aは、図5に示すように上部の受け口20b寄りの4箇所に一定の間隔をおいて一体に形成されている。一方、この第2実施形態に用いられる固定フランジ21は図6に示すように二つ割り構造となっている。両分割フランジ21a,21aは、それぞれ半円筒形状のボス部21bと半円形状の円板部21cと、ボス部21bの両側方に張り出す固定板部21e,21eを備えている。
ボス部21b,21bの径は短管20の外径に合わせて設定され、その高さは張出しフランジ部20a,20a間の間隔に合わせて設定されている。また、円板部21cの径はスラブ貫通孔3よりも大きな径に設定されており、その両端部寄りにはアンカーボルト22を挿通するための孔21d,21dが形成されている。固定板部21e,21eには、それぞれボルト孔21f,21fが形成されている。
【0009】
この構成によれば、図4に示すように適切な位置の2張出しフランジ部20a,20a間に両分割フランジ21a,21aのボス部21b,21bを嵌め込んで、相互に固定板部21e,21eを重ね合わせ状にボルト締結することにより、当該固定フランジ21が短管20の軸方向所定の位置に取付けられる。従って、固定フランジ21は短管20に対して軸方向の3位置を選択して取付けることができる。図では最も下側の位置に取付けられている。
このよう取り付けられた固定フランジ21をコンクリートスラブ1の上面に当接させ、両円板部21c,21cとコンクリートスラブ1との間にアンカーボルト22を打ち込んで短管20がコンクリートスラブ1に固定される。
図4に示した実施形態では、下側の固定フランジは設けられていないが、スラブ貫通孔3はコンクリートにより埋め戻されている。その他の点については前記各実施形態と同様であり、このような構成によっても同様の作用効果を得ることができる。
また、この第2実施形態の場合、固定フランジ21が二つ割り構造であるので、短管取付け後においても簡単に取り外しまたは取付けることができる。
なお、図4では、脚部継手9が地面G上を移動してフレキシブル管7が大きく変形した状態が示されている。
【0010】
上記各実施形態において、フレキシブル管には図示したようなジャバラ形状のものの他、いわゆるポリブデン管あるいは架橋ポリエチレン管等の材質的に可撓性を有する管(可撓管)を用いることができる。
また、上記したように短管4,20およびその固定形態については種々の態様により実施可能であるが、短管4,20を用いることなく排水立て管6を直接コンクリートスラブ1に固定する構成としてもよい。この場合には、排水立て管6の下端にフレキシブル管7が直接接続される。
さらに、図7に示すように排水立て管16として可撓性を有する管を用いる場合には、排水立て管の下端部16aにフレキシブル管の機能を代用させることができ、この場合には排水立て管の下端部16aを直接脚部継手9の上流側接続口9aに接続することができ、これにより配管施工手間を大幅に省くことができる。
最後に、以上説明した実施形態では排水管の接続構造を例示したが、本発明の接続構造は排水管設備に限らず、例えば給水管設備、電力あるいはガス用の配管設備等に広く適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す図であり、排水立て管および排水横主管の接続構造を示す側面図である。
【図2】 短管の全体側面図である。
【図3】 第1の実施形態の変形例を示す側面図である。
【図4】 接続構造の第2の実施形態を示す側面図である。
【図5】 第2の実施形態に用いられる短管の全体側面図である。
【図6】 第2の実施形態に用いられる固定フランジの斜視図である。
【図7】 排水立て管(立て方向の管)に可撓性を有する管を用いた場合の配管施工例を示す側面図である。
【符号の説明】
1…コンクリートスラブ
2…免震装置
3…スラブ貫通孔
4…短管(第1の実施形態)
5…固定フランジ
6…排水立て管
7…フレキシブル管
9…脚部継手、9c…移動用コロ
10…排水横主管
20…短管(第2の実施形態)
21…固定フランジ
21a…分割フランジ
G…地面
Claims (4)
- 屈曲継手を介して立て方向の配管に横方向の配管を接続する構造であって、前記屈曲継手にキャスターを取り付けて床面上を移動可能に配置し、該屈曲継手と前記立て方向の配管との間にフレキシブル管を介在させて、前記立て方向の配管に対する前記横方向の配管の水平方向の変位を許容する構成としたことを特徴とする配管設備の接続構造。
- 請求項1記載の接続構造であって、立て方向の配管とフレキシブル管との間に短管を介装し、該短管を建造物の駆体をなすコンクリートスラブに固定したことを特徴とする配管設備の接続構造。
- 請求項2記載の接続構造であって、短管はコンクリートスラブに設けたスラブ貫通孔に挿通するとともに、該短管には側方へ張り出して前記スラブ貫通孔を通過不能な固定用フランジを取り付けて、該固定用フランジを前記コンクリートスラブの上面に当接させて、前記立て方向の配管を前記コンクリートスラブに固定する構成としたことを特徴とする配管設備の接続構造。
- 請求項3記載の接続構造であって、固定用フランジは二つ割り構造とし、接続後において短管から取り外し可能な構成としたことを特徴とする配管設備の接続構造。
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