JP3724936B2 - 低放射ガラス積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅やオフィス等の建築用はもちろん車両用等の窓ガラス、さらには船舶用や航空機用の窓ガラス等各種ガラス物品として有用な低放射ガラス積層体に関する。
【0002】
【従来技術とその解決すべき課題】
最近、例えばオフィスや住宅等において、断熱性、保温性、遮熱性に優れた低放射ガラスが、寒冷地を中心に用いられている。このガラスは、2枚のガラス間に乾燥空気を封入して構成される複層ガラスにおいて、中間空気層側に可視光線は透過するが赤外線は反射する、いわゆる低放射膜をガラスに被覆したものである。これらの被膜の主なものとしては、金属層としてAgを用い、該Ag層の上下層をZnOまたはSnO2等の非金属層で被覆するのが一般に知られている。
【0003】
例えば、特許登録第2598476号には、Ag層を挟む両酸化物層との界面にNi合金を介在させる方法が示されているが、この方法では70%以上の可視光線透過率を有する低放射ガラスを得ることは問題がある。また、特公平6−62319号には亜鉛と錫からなる合金をターゲットとして反応性スパッタによって両成分の酸化物被膜を低放射ガラス積層体に用いる方法が記載されているが、この方法では特別に合金を製造してからターゲットに加工する必要があり、コストが高くなることは避けられず、又得られる被膜も酸化錫の欠点であるAg層との密着性と酸化亜鉛の欠点である化学的耐久性に問題がある。さらに、特開平2−239135号及び特開平2−289449号には、Ag層の下層または上層に15nm以下の厚みで酸化亜鉛層を設け、その下層又は上層に酸化錫、酸化アルミ、酸化チタンなどの酸化物層を設けた被覆ガラス材料が記載されており、さらにAg層に接した金属にはチタン、アルミ、不銹鋼、ビスマス、錫及びそれらの混合物が用いられているが、酸化亜鉛とこれら金属との密着性に問題がある。また、特開平4−357025号及び特開平5−42624号には、ガラスから最も離れたAg層の外側に酸化亜鉛層と酸化錫層とからなる酸化物層を配することが記されており、酸化亜鉛被膜は内部応力が高いため膜厚を20nm以下に分割して間に酸化錫を挟むことで被膜の応力が緩和され、腐食に強い低放射ガラス積層体を得るとしているが、例えば保護金属層の直上に酸化錫を配した場合、必ずしも十分な耐久性のある被膜は得られないと推察され、また最上層に酸化亜鉛を配した場合には、弱酸、弱アルカリ性の耐久性が不十分であることが考えられる。さらに、特開平8−104547号には、酸化物層に酸化錫又は/及び酸化亜鉛がもちいられることが記載されているが、酸化亜鉛と酸化錫の各々の特性については記述がなく、各成分の順序や膜厚にも言及されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の低放射ガラス積層体は、従来のかかる課題に鑑みてなしたものであってガラス基板上に銀層を少なくとも一層介在させて、被膜を多層に形成してなる
積層体であって、銀層の直下層に酸化亜鉛層を、直上層には保護金属層をそれぞれ成膜してなる低放射ガラス積層体において、保護金属は、亜鉛を主成分としアルミニウムを2〜10原子%含む合金であることを特徴とする低放射ガラス積層体である。さらに、積層体の最下層及び/または積層体の最上層には酸化錫層及び/または酸化チタン層を形成することにより、放射率が小さく、70%以上の可視光線透過率と、各層間の密着性向上による化学的耐久性の優れた低放射ガラス積層体である。
【0006】
また、本発明の低放射ガラス積層体は、前記低放射ガラスにおいて、積層体が、ガラス基体上に、酸化錫層及び/又は酸化チタン層からなる第1層、酸化亜鉛層からなる第2層、銀層からなる第3層、保護金属層よりなる第4層、その上に酸化錫層及び/又は酸化チタン層を最上層とした第5層を積層してなることを特徴とする低放射ガラス積層体である。
【0007】
なお、第5層は、酸化亜鉛層と酸化錫層及び/又は酸化チタン層が積層された層からなることが好ましい。
またさらに、各層の膜厚については、第1層は膜厚5〜27nm、第2層は膜厚3〜25nm、且つ第1層と第2層の膜厚の合計は15〜30nmであり、第3層は膜厚9〜25nm、第4層は膜厚1〜8nm、第5層の膜厚は35〜55nmであり、且つ第5層中の酸化亜鉛層の1層の膜厚が25nm以下であることが好ましい。
【0008】
また、前記5層からなる積層体は、太陽紫外線透過率が37%以下、可視光線透過率が70〜90%、太陽放射透過率が40〜70%であることが好ましい。
また本発明は、ガラス基体上に、酸化錫層及び/又は酸化チタン層からなる第1層、酸化亜鉛層からなる第2層、銀層からなる第3層、亜鉛または亜鉛を主成分とする保護金属層よりなる第4層、その上に最上層が酸化亜鉛層からなる第5層、さらに銀層からなる第6層、亜鉛または亜鉛を主成分とする保護金属層よりなる第7層、その上に酸化錫層及び/又は酸化チタン層を最上層とした第8層を積層してなる低放射ガラス積層体に関する。
【0009】
第5層及び第8層は、酸化亜鉛層と酸化錫層及び/又は酸化チタン層が積層された層からなることが好ましい。
なお、第1層の膜厚が5〜37nmである第1層、第2層の膜厚が3〜35nm、且つ第1層と第2層の膜厚の合計が25〜40nm、第3層の膜厚が9〜13nm、第4層の膜厚が1〜8nm、第5層の膜厚が55〜80nmであり、しかも最上層の酸化亜鉛層の膜厚は1nm以上であり、第6層の膜厚は9〜13nm、第7層の膜厚は1〜8nm、第8層の膜厚が25〜45nmであり、しかも該第8層中の酸化亜鉛層の1層の膜厚が25nm以下であることが好ましい。
【0010】
さらに、前記8層からなる積層体は、太陽紫外線透過率が25%以下、可視光線透過率が70〜85%、太陽放射透過率が40〜50%であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の低放射ガラス積層体は、次のようにして得る。
ガラス基板としては、自動車用ならびに建築用ガラス等に通常用いられている普通板ガラス、所謂フロート板ガラスなどであり、クリアをはじめグリ−ン、ブロンズ等各種着色ガラスや各種機能性ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合せガラスのほか複層ガラス等、さらに平板あるいは曲げ板等各種板ガラス製品として使用できることは言うまでもない。また、ガラスは透明プラスチック板等との積層体であってもよい。なお、ガラスの組成は、ソーダ石灰ガラス、アルミノシリケートガラス等であるが、これらに限定されないことは、言うまでもない。
【0013】
酸化錫層及び/又は酸化チタン層よりなる非晶質の被膜は、化学的にも機械的にも強く、且つ非晶質のルーズな構造のためガラスとの密着力も強く、内部応力も発生しにくい。従ってガラスの直上に被覆する第1層被膜は酸化錫層及び/又は酸化チタン層が望ましい。ガラスとの密着力を高め、アルカリイオンの影響を断つための第1層の酸化錫層及び/又は酸化チタン層の厚みは少なくとも5nmが必要である。しかし酸化錫層及び/又は酸化チタン層は金属特にAgとの密着力が劣り、酸化錫層、酸化チタン層/銀層界面での剥離が起こりやすい。又、酸化錫はそのイオン化傾向から分かるように酸素との結合が弱く、被膜内の酸素の化学的ポテンシャルが高いため、Ag層に酸素が拡散しやすい。このためAg層の電気抵抗が上がり低い放射率を達成し難くなる。以上より、酸化錫層及び/又は酸化チタン層よりなる層は銀層と接触させないことが好ましい。なお、酸化錫層及び/または酸化チタン層には化学的、機械的特性を向上し、またガラスとの密着力も強くする非晶質の被膜成分としての元素が含まれても良い。
【0014】
酸化亜鉛層はAg層との密着力が高く、又酸素との高い結合力によって層内の酸素のポテンシャルが低いため、銀層内に酸素が拡散しにくく、低い放射率が達成しやすい。従ってAg層直下の層は酸化亜鉛層が望ましい。その下の酸化錫層からの酸素の拡散を防ぎ、Ag層との強い密着力を得るための第2層の酸化亜鉛層の厚みは少なくとも3nmは必要である。なお、酸化亜鉛層には銀層との密着力を低下せず、銀層内に酸素が拡散しにくくするような被膜の成分としての公知の元素が含まれても良い。
【0015】
Ag層に接触する酸化物層中の酸素の化学ポテンシャルはできる限り低く保つことが肝要で、酸化亜鉛成膜時の雰囲気は酸素と共にできるだけ多くのアルゴンを添加するのが望ましい。望ましいアルゴンの添加率は設備によって異なるが、概ね10〜30%である。この値は酸素雰囲気から徐々にアルゴンを添加していき、ターゲットに掛かる電圧が急に上がるか、電流が急に下がる現象を観測し、そこからアルゴンを若干減らすことで決められる。
【0016】
ガラスと銀層間に成膜する第1層の酸化錫層及び/又は酸化チタン層と第2層の酸化亜鉛層の合計の膜厚は、高い可視光線透過率、とりわけ70%以上の可視光線透過率を確保し、且つ反射色調を極力中性に保つようにするためには、ガラス/酸化錫層及び/又は酸化チタン層/酸化亜鉛層/銀層/保護金属層/第5層の構成の場合には15〜30nmが好ましい。又 ガラス/酸化錫層及び/又は酸化チタン層/酸化亜鉛層/銀層/保護金属層/第5層/銀層/保護金属層/第8層の構成の場合には25〜45nmが好ましい。この範囲を下回っても、上回っても反射率が高くなり、従って透過率が低くなる。
【0017】
第3層の銀層の厚みは放射率と可視光線透過率及び反射色調に影響し、放射率が約0.1程度以下の低放射ガラスにおいては少なくとも9nmが必要である。又高い可視光線透過率、とりわけ70%以上を確保し、且つ赤い反射光を避けるためには25nm以下とすることが好ましい。なお、銀層は銀を主成分とし銀に金、銅、白金、イリジウム等の通常被膜の成分として公知の元素が含まれても良い。
【0018】
第3層の銀層の直上部に形成する第4層の保護金属層は、銀層と酸化物層の両方に高い密着性をもつ亜鉛または亜鉛を主成分とした合金層が望ましい。なお、ここでいう保護金属層とは、銀層の直上に第4層の保護金属層を成膜した直後は全厚が金属層であるが、次いで該金属層の上層に第5層あるいは第8層の酸化物層を成膜する時、酸化性雰囲気(例えば酸素80%、アルゴン20%)で成膜するため、該金属層の上層部の一部が酸化物に変換されるが、この上層部が酸化された酸化物層と残った金属層を含めて保護金属層と呼ぶ。該保護金属層の作用は、前記第5層或いは第8層の酸化物層を成膜する際に、その酸化性雰囲気の影響が下部の銀層に及ばないように該保護金属層を介在させて銀層が酸化されるのを保護するためのものである。保護金属層として、アルミニウムを2〜10原子%含む亜鉛合金は、酸素との結合力が高く、最も効果的に銀層中に拡散してきた酸素その他の腐食性イオンをトラップするので特に好ましい。。保護金属層の厚みは厚いほど強い効果が長続きすることは当然であるが、厚すぎると可視光線透過率を下げてしまう。しかし次に酸化物を成膜する際、該保護金属層の一部は酸化されるので、その酸化前の最初の金属層の厚みは8nm以下であれば高い透過率が得られる。
【0019】
銀層が1層の積層体の場合、最上層の酸化錫層及び/又は酸化チタン層からの酸素の拡散を防ぎ、酸化錫層及び/又は酸化チタン層との密着性を高めるためには、保護金属層の上部に酸化亜鉛層を合計が0.5nm以上設けることが好ましい。なお、その酸化亜鉛層は保護金属層中の亜鉛によって形成されたあるいは亜鉛以外の金属元素を含む酸化亜鉛でも良いし、もし保護金属の酸化が不十分である場合には、第5層中の最下層に酸化亜鉛層を設けてもよい。第5層中の酸化亜鉛層の厚みの上限は、高い透過率と反射色の中性を保つための第5層の厚みの適正範囲によって決まる。しかし酸化亜鉛層は厚くなるほど内部応力が高くなる傾向があり、25nm以下としてその上に酸化錫層及び/又は酸化チタン層を設けるのが好ましい。
【0020】
ここに酸化された保護金属、中でも酸化された亜鉛合金、とりわけ酸化されたアルミニウムを2〜10原子%含む亜鉛合金(ZnAlOx)と酸化亜鉛(ZnOx)の違いの一つは、後者が太陽光線に含まれる紫外線を強く吸収するのに対して、前者はその吸収が弱い点である。これは不純物が添加されることによって酸化亜鉛のバンドギャップが広がり、吸収域が短波長側にずれるためである。更に今一つの相違点は、後者に比べ前者の成膜速度が約70%に下がることである。この原因は前者の、とりわけアルミニウムを2〜10原子%含む亜鉛合金の融点が、亜鉛の420℃に対し約20℃低ことから成膜に必要な電力をターゲットに十分に与えられないためである。従って酸化亜鉛層は保護金属の酸化による部分以外は不純物金属元素を多くとも2原子%以上含まない純粋な酸化亜鉛層であることが好ましい。
【0021】
酸化亜鉛層は緻密で大気中の腐食性ガスの拡散を防ぐ効果があり、また太陽光線に含まれる紫外線を吸収する働きがあるが化学的耐久性が低いため、酸化亜鉛層の上には非晶質酸化物である酸化錫層及び/又は酸化チタン層を設けるのが望ましい。該酸化錫及び/又は酸化チタン層の膜厚は1nm以上が好ましい。
【0022】
高い可視光線透過率と反射色調を極力中性に保つためには、銀層1層の構成の場合の第5層の膜厚は、合計で35〜55nmの範囲が適正であり、膜厚が薄すぎても厚すぎても反射率が高くなり、従って透過率が低くなる。従ってガラス/酸化錫層及び/又は酸化チタン層/酸化亜鉛層/銀層/保護金属層/第5層の構成の場合、保護金属層中の酸化物層と第5層中の最下層の酸化亜鉛層との膜厚の合計が0.5〜25nmで、さらにその上層に順次酸化錫層及び/又は酸化チタン層10〜40nm、酸化亜鉛層5〜25nm、酸化錫層及び/又は酸化チタン層1〜39.5nmを成膜することがさらに好ましい。
【0023】
銀層2層を有するガラス/酸化錫層及び/又は酸化チタン層/酸化亜鉛層/銀層/保護金属層/第5層/銀層/保護金属層/第8層の構成の場合の第5層は、該第5層の上層である第6層が銀層であるため、該銀層の直下は前述の通り酸化亜鉛層であることが好ましい。しかし第5層の下には保護金属層があることによって、酸化錫層及び/又は酸化チタン層中の酸素のポテンシャルが低く抑えられているため、該酸化亜鉛層の厚みは1nm以上であればよい。なお、この場合大気からの腐食性ガスの拡散はあまり問題でないから、保護金属層及び銀層との接触部を除き酸化亜鉛層は不可欠ではないが、太陽光線の中に含まれる紫外線を吸収させる目的で酸化亜鉛層を設けることもできる。もしそのような酸化亜鉛層を設け、その上下を5nm以上の酸化錫層及び/又は酸化チタン層で挟むなら膜厚は40nmまで内部応力の影響は出ない。40nm以上の膜厚にすると第5層内で剥離などの現象が生じやすくなり、それがその上の層の破壊を誘発しピンホール欠陥が発生しやすくなる。
【0024】
また、銀層2層の場合の第5層の厚みは、好ましい光学的特性から55〜80nmの範囲が好ましく、第5層の構成は保護金属中の酸化物層と第5層中の酸化亜鉛層の膜厚の合計が0.5〜25nm、酸化錫層及び/又は酸化チタン層15〜78.5nm、さらにその上層に、酸化亜鉛層1〜25nmと成膜するか、又は保護金属層中の酸化物層と第5層中の酸化亜鉛層の膜厚の合計が0.5〜25nm、酸化錫層及び/又は酸化チタン層5nm以上、酸化亜鉛層〜40nm以下、酸化錫層及び/又は酸化チタン層5nm以上、酸化亜鉛層1〜25nmと順次成膜することが好ましい。
【0025】
第6層、第7層の考え方は第3層、第4層と同様である。
第8層はガラス/酸化錫層及び/又は酸化チタン層/酸化亜鉛層/銀層/保護金属層/第5層の構成の場合の第4〜5層と同様に考え、高い可視光線透過率と反射色調を極力中性に保つために第8層の膜厚は合計で25〜45nmの範囲が適正であり、膜厚が薄すぎても厚すぎても反射率が高くなり、従って透過率が低くなることから、第7層〜第8層の構成は、保護金属層からの酸化亜鉛層と第5層からの酸化亜鉛層の膜厚の合計が0.5〜25nm、さらにその上層に順次酸化錫層及び/又は酸化チタン層10〜40nm、酸化亜鉛層5〜25nm、酸化錫層及び/又は酸化チタン層1〜29.5nmと成膜することが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、成膜はDCマグネトロンスパッタリング法により行った。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1
大きさが1800mm×24000mm×約3mmのフロートガラス上に、下記順序で被膜を形成した。スパッタ装置は、カソードに予めSn、Zn(3台)、Ag、ZnAl(Al含有率4原子%)の各金属ターゲットを取り付けたのち、成膜前の圧力が5×10-5Torrとなるまで真空チャンバー内の排気を充分に行った。本方法は、真空チャンバー内のターゲットの下方に搬送ロールが設置され、そのロール上をガラス板が往復動する時に電力が印可されたターゲットより所定の金属層あるいは金属酸化物層がガラス板上に成膜されるようになっている。
【0028】
先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、Snターゲットにより第1層としてのSnOx層を10nm成膜した後、 第1層と同条件でZnターゲットにより第2層のZnOx層を12nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、Agターゲットにより第3層としてのAg層を10nm、ZnAlターゲットにより第4層のZnAl合金層(いわゆる保護金属層)を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層のZnAlOx層を2nm、SnOx層を10nm、ZnOx層を11nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を11nm、SnOx層を10nm成膜した後、ガラスを成膜室より排出した。なお、第4層のZnAl合金層(保護金属層)の上層に酸化性雰囲気でZnAlOx層を成膜するとき、一部のZnAl合金層は酸化されていた。
【0029】
また、各被膜の膜厚Dは搬送速度とカソード電力で調整し、その値は予め100nm前後の厚さに電力E0、搬送速度V0で成膜した被膜を部分的にエッチングによって除去し、その段差を触針式表面粗さ計で測定して厚みD0を求め、実施例におけるカソード電力E、搬送速度をVとして、D=D0×E/E0×V0/Vの式に従って求めた。なお、表−1の膜組成の欄の数字は、各被膜の膜厚(nm)を示す。また、該膜組成欄の保護金属層の膜厚は、該金属層を成膜した直後の金属層の全厚を示すものであり、その後保護金属層中の上層部が酸化されたものは(→)印で示した。また、表1の膜構成における実施例1、2、3、6の第5層は( )で表示し、実施例4、5の第5層と第8層は( )で表示し、さらに実施例7の第1層と第5層も( )で表示した。
【0030】
得られた低放射ガラスの紫外線、可視光線、太陽放射の各透過率と放射率は分光光度計によって測定した。
又耐湿性の評価は、30℃、RH90%の環境試験機の中で2週間暴露した後、膜面に発生した0.3mm以上の径のピンホールの1m2当たりの数を数え、20個以上を×、10〜20個を△、5〜10個を○、4個以下を◎として評価した。
【0031】
又耐酸性の評価は、PH3に調整したアジピン酸水溶液中に低放射ガラスを浸漬し、10秒以内に変色する物を×、3分以内に変色する物を△、10分以内に変色する物を○、10分で変色が認められない物を◎として肉眼で評価した。
【0032】
実施例1で得られた低放射ガラスの品質評価をした結果、紫外線、可視光線、太陽放射の各透過率と放射率は、表−1に示す良好な光学特性がえられた。一方、耐湿性および耐酸性においてもピンホールは2〜3個と少なく、化学的耐久性は良好であった。
【0033】
実施例2
実施例1と同様に、カソードには予めSn、Zn(3台)、Ag、ZnAlの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、実施例1と同じ方法で第1層としてのSnOx層を10nm、第2層のZnOx層を12nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第3層としてのAg層を10nm、第4層のZnAl合金層を5nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層のSnOx層を16nm、ZnOx層を19nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を4nm、SnOx層を4nm成膜したのち、ガラスを成膜室より排出した。実施例1と同様に、第4層のZnAl合金層5nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り全て良好な結果が得られた。
【0034】
実施例3
実施例1と同様に、カソードには予めSn(3台)、Zn、Ag、ZnAlの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、実施例1と同じ方法で第1層としてのSnOx層を20nm、第2層のZnOx層を3nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第3層としてのAg層を20nm、第4層のZnAl合金層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層のZnAlOx層を2nm、SnOx層を19nm、ZnOx層を2nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を2nm、SnOx層を19nm成膜し、ガラスを成膜室より排出した。実施例1と同様に、第4層のZnAl合金層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り全て良好な結果が得られた。
【0035】
実施例4
実施例1と同様に、カソードには予めSn、Zn(3台)、Ag、ZnAlの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、実施例1と同じ方法で第1層としてのSnOx層を17nm、第2層のZnOx層を19nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第3層としてのAg層を10nm、第4層のZnAl合金層を8nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層としてのSnOx層を24nm、ZnOx層を28nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を4nm、SnOx層を4nm成膜し、さらに5パス目として4パス目と同じ雰囲気でSnOx層を4nm、ZnOx層を4nm成膜した。次いで、6パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第6層としてのAg層を12nm、第7層のZnAl合金層を8nm成膜した。さらに、7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第8層としてのSnOx層を14nm、ZnOx層を16nmを順次成膜し、さらに8パス目として7パス目と同じ雰囲気でZnOx層を4nm、SnOx層を4nm成膜した。次いで、ガラスを成膜室より排出した。なお、銀層の上層の第4層ZnAl合金層8nm及び第7層のZnAl合金層8nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り全て良好な結果が得られた。
【0036】
実施例5
実施例1と同様に、カソードには予めSn(3台)、Zn、Ag、ZnAlの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、実施例1と同じ方法で第1層としてのSnOx層を32nm、第2層のZnOx層を4nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第3層としてのAg層を10nm、第4層のZnAl合金層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層としてのZnAlOx層を3nm、SnOx層を42nm、ZnOx層を5nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を1nm、SnOx層を11nm成膜し、さらに5パス目として4パス目と同じ雰囲気でSnOx層を11nm、ZnOx層を1nm成膜した。次いで、6パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第6層としてのAg層を12nm、第7層のZnAl合金層を2nm成膜した。さらに、7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第8層としてのZnAlOx層を2nm、SnOx層を22nm、ZnOx層を3nmを順次成膜し、さらに8パス目として7パス目と同じ雰囲気でZnOx層を1nm、SnOx層を11nm成膜した。次いで、ガラスを成膜室より排出した。。なお、銀層の上層の第4層ZnAl合金層2nm及び第7層のZnAl合金層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り全て良好な結果が得られた。
【0037】
実施例6
実施例1と同様に、カソードには予めTi(3台)、Zn、Ag、ZnAlの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、実施例1と同じ方法で第1層としてのTiOx層を8nm、第2層のZnOx層を14nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第3層としてのAg層を10nm、第4層のZnAl合金層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層のZnAlOx層を7nm、TiOx層を7nm、ZnOx層を12nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を12nm、TiOx層を7nm成膜し、ガラスを成膜室より排出した。実施例1と同様に、第4層のZnAl合金層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り全て良好な結果が得られた。
【0038】
実施例7
実施例1と同様に、カソードには予めSn、Ti(2台)、Zn、Ag、ZnAlの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、実施例1と同じ方法で第1層としてのSnOx層を14nm及びTiOx層を2nm、第2層のZnOx層を6nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、第3層としてのAg層を10nm、第4層のZnAl合金層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第5層のZnAlOx層を3nm、SnOx層を14nm、TiOx層を2nm、ZnOx層を6nmを順次成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnOx層を6nm、TiOx層を2nm、SnOx層を14nm成膜したのち、ガラスを成膜室より排出した。実施例1と同様に、第4層のZnAl合金層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り全て良好な結果が得られた。
【0039】
比較例1
実施例1と同様に、カソードには予めSn(4台)、Zn、Ag、の各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第1層としてのSnOx層を23nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、次いでAg層を10nm、第4層のZn層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、次にSnOx層を23nm成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気で、SnOx層を15nm成膜し、ガラスを成膜室より排出した。なお、Zn金属層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り紫外線透過率が40%以上と大きく、さらに耐湿試験においてピンホールが多数(20個以上)発生した。なお、比較例1は実施例1と銀層の膜厚は同じ10nmであるが、実施例1と比較して放射率が0.12と大きくなった。
【0040】
比較例2
実施例1と同様に、カソードには予めAg、ZnAl(5台)の各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第1層としてのZnAlOx層を36nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、次いでAg層を10nm、ZnAl合金層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、ZnAlOx層を23nm成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnAlOx層を23nm成膜し、さらに5パス目として4パス目と同じ雰囲気でZnAlOx層を23nm成膜した。次いで、6パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、Ag層を12nm、ZnAl合金層を2nm成膜した。さらに、7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、最上層としてのZnAlOx層を20nm成膜し、さらに8パス目として7パス目と同じ雰囲気でZnAlOx層を20nm成膜し、次いで、ガラスを成膜室より排出した。なお、銀層の上層の各ZnAl合金層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り、耐酸試験においては浸漬後10秒以内に被膜の変色が認められた。
【0041】
比較例3
実施例1と同様に、カソードには予めSn(4台)、Zn、Ag、の各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第1層としてのSnOx層を37nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、Ag層を10nm、Zn層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、SnOx層を23nm成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気で、SnOx層を23nm成膜し、さらに5パス目として4パス目と同じ雰囲気で、SnOx層を23nm成膜した。次いで、6パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、Ag層を12nm、第7層のZn層を2nm成膜した。7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、SnOx層を21nm成膜し、さらに8パス目として7パス目と同じ雰囲気で、SnOx層を21nm成膜した後、ガラスを成膜室より排出した。なお、各Zn金属層2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り紫外線透過率が高く、さらに耐湿試験においてピンホールが多数(20個以上)発生した。なお、比較例3は、実施例4、5と比較して銀層の膜厚は同じ10、および12nmであるが、実施例4、5に比較して放射率は0.08と大きくなった。
【0042】
比較例4
実施例1と同様に、カソードには予めZn(5台)、Agの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第1層としてのZnOx層を37nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、Ag層を10nm、第4層のZn層を2nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、ZnOx層を23nm成膜し、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気で、ZnOx層を23nm成膜し、さらに5パス目として4パス目と同じ雰囲気で、ZnOx層を23nm成膜した。次いで、6パス目として雰囲気をAr100%の還元性雰囲気に保持し、Ag層を12nm、Zn層を2nm成膜した。7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、ZnOx層を20nm成膜し、さらに8パス目として7パス目と同じ雰囲気で、ZnOx層を20nm成膜した後、ガラスを成膜室より排出した。なお、各Zn金属層各2nmの一部は酸化していた。評価結果は、表−1に示す通り耐湿試験においてピンホールが多数(20個以上)発生し、耐酸試験においては、浸漬後10秒以内に被膜が変色した。
【0043】
評価した結果は表1に示すように、実施例1〜7は光学特性および耐湿性、耐酸性、放射率ともに全て満足している。一方、比較例1は、紫外線透過率および耐湿性試験で不合格であった。比較例2は、耐酸性試験において不合格であった。比較例3は、紫外線透過率及び耐湿性試験において不合格であった。比較例4は、耐湿性および耐酸性試験で不合格であった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明は、銀層の直下層に酸化亜鉛層を、銀層の直上層に亜鉛または亜鉛を主成分とする保護金属層を形成することにより、銀層の抵抗率が低く保持され、小さな放射率を有し、各層がバランスのとれた膜厚とすることにより70%以上の高い可視光線透過率を保持し、反射色調は刺激性のない中性色であり、各層の適切な構成による各層間の密着性向上による優れた化学的耐久性等を有する優れた低放射ガラスを得ることができるものである。
Claims (5)
- ガラス基板上に銀層を少なくとも一層介在させて、被膜を多層に形成してなる積層体であって、銀層の直下層に酸化亜鉛層を、銀層の直上層には保護金属層をそれぞれ成膜してなる低放射ガラス積層体において、保護金属は、亜鉛を主成分としアルミニウムを2〜10原子%含む合金であることを特徴とする低放射ガラス積層体。
- 積層体の最下層及び/または積層体の最上層は、非晶質酸化物としての酸化錫層及び/又は酸化チタン層を成膜してなることを特徴とする請求項1記載の低放射ガラス積層体。
- 積層体が、ガラス基体上に、酸化錫層及び/又は酸化チタン層からなる第1層、酸化亜鉛層からなる第2層、銀層からなる第3層、保護金属層よりなる第4層、その上に酸化亜鉛層と酸化錫層及び/又は酸化チタン層を最上層とした第5層を積層してなることを特徴とする請求項1に記載の低放射ガラス積層体。
- 第1層は膜厚5〜27nm、第2層は膜厚3〜25nm、且つ第1層と第2層の膜厚の合計は15〜30nmであり、第3層は膜厚9〜25nm、第4層は膜厚1〜8nm、第5層の膜厚は35〜55nmであり、且つ第5層中の酸化亜鉛層の1層の膜厚が25nm以下であることを特徴とする請求項3記載の低放射ガラス積層体。
- 太陽紫外線透過率が37%以下、可視光線透過率が70〜90%、太陽放射透過率が40〜70%であることを特徴とする請求項3または4記載の低放射ガラス積層体。
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