JP3723935B2 - 高粘性流体ポンプの輸送シリンダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はホッパ内に投入された高粘性流体を吸入して吐出させるための高粘性流体ポンプの輸送シリンダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高粘性流体ポンプのうち、ホッパ内の高粘性流体としてのコンクリートを吸入して吐出させるようにするコンクリートポンプの吸入吐出弁としては、揺動弁型式のものとすべり弁型式のものとがあるが、今、一例として、揺動弁型式の吸入吐出弁を採用した従来のコンクリートポンプについて説明すると、図3及び図4に示すように、ホッパ1の前側面下部に左右に並べて設けられた2つの吸入吐出口2a,2bと連通するように、ホッパ1の前側部に水平に且つ平行に配した2本の輸送シリンダ3a,3bの前端側(吐出側)をホッパ1の前側面に連結し、該輸送シリンダ3a,3bの後端側に、洗浄室4を介して2本の主油圧シリンダ5a,5bを接続し、且つ上記2本の輸送シリンダ3a,3bに収納されている圧送用ピストン6a,6bと、2本の主油圧シリンダ5a,5bに収納されているピストン7a,7bとをロッド8a,8bにて一体的に連結して、主油圧シリンダ5a,5bのピストン7a,7bを交互に前進及び後退させることにより、輸送シリンダ3a,3b内の圧送用ピストン6a,6bが交互に前進後退させるようにしてある。また、上記ホッパ1内にはS字形に屈曲させた揺動管9を配して、該揺動管9の一端部をホッパ1の背面側を回動自在に貫通させてカップリング10により圧送管11に接続すると共に、該揺動管9の他端部に固定したバルブリング12を、上記2つの吸入吐出口2a,2bに対応させてホッパ1の前側壁内側に取り付けたバルブプレート13に当接させるようにし、且つ一端を上記揺動管9に結合した連結軸14の他端側を、ホッパ1の前側壁を回動自在に貫通させて、該連結軸14の他端部に固定した操作レバー15に2本の揺動シリンダ16a,16bのロッド先端を連結し、該左右の揺動シリンダ16a,16bにより操作レバー15を介して連結軸14を回動させることにより、連結軸14を中心として上記揺動管9を左右に揺動させて上記2つの吸入吐出口2a,2bと交互に連通させるようにし、該揺動管9を揺動させて、ホッパ1内のコンクリート17を吸入させた2本の輸送シリンダ3a又は3b内のコンクリートを揺動管9内を通して吐出させるようにしてある。
【0003】
上記従来のコンクリートポンプにおける2本の輸送シリンダ3a,3bは、図3の如く洗浄室側B端部から吐出側A端部まで全長に亘り均一な肉厚となるように鋳造、鍛造、機械加工等で製作されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ホッパ1内のコンクリート17を輸送シリンダ3aと3bにて交互に吸入して吐出させるコンクリートポンプでは、輸送シリンダ3a,3bの内部圧力が吐出側Aで最大となるため、コンクリートポンプの長期に亘る運転により輸送シリンダ3a,3bが長期に亘り使用されると、吐出側Aの内周面の摩耗が洗浄室側Bの内周面より激しくなっている。圧送用ピストン6a,6bは、輸送シリンダ3a,3bの内径の増大に或る程度追従できるようになってはいるが、吐出側Aの内周面が摩耗して肉厚が薄くなると使用できなくなるので輸送シリンダ3a,3bを交換しなければならず、輸送シリンダ3a,3b自体の寿命が短かくなっている。そのため、輸送シリンダ3a,3bの寿命を延ばすために、輸送シリンダ3a,3bの肉厚を洗浄室側Bから吐出側Aにかけて一様に厚くして全体的に均一な厚肉とすることが考えられるが、全体の肉厚を厚くすると、洗浄室側では摩耗量が少なくて薄肉でよいにもかかわらず厚肉となるため、輸送シリンダ3a,3bの重量が重くなって取扱いが大変になると共にコストアップの一因となってしまう、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、重量を重くすることなく寿命を延長させることができるような高粘性流体ポンプの輸送シリンダを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、前端がホッパ内に連通させられていて内部に収納された圧送用ピストンを主油圧シリンダにより前後方向に往復動させることによりホッパ内の高粘性流体を吸入して吐出させるようにする高粘性流体ポンプの輸送シリンダにおいて、該輸送シリンダそれ自体を軸心方向に内径を同一にし且つ該輸送シリンダそれ自体の肉厚が後端側よりも前端側となる吐出側が厚くなるよう外径をテーパー状に大きくした構成とする。
【0007】
上記輸送シリンダは、吐出側に行くほど大径となるよう外径を異径として肉厚が吐出側へ向けて徐々に厚くなって吐出側端部が最大の肉厚となるようにしてあることから、該輸送シリンダを用いたコンクリートポンプを長期に亘り運転して輸送シリンダの吐出側の内周面が摩耗されても、吐出側の外径が大きいため使用に支障のない肉厚を保つことができて輸送シリンダ全体の寿命を延長させることができる。この際、洗浄室側の肉厚は厚くしていないので、従来のように、吐出側の激しい摩耗に対処させて輸送シリンダの肉厚を全長に亘り厚くしたものと比較して、輸送シリンダの軽量化を図ることができる。
【0008】
又、肉厚が後端側よりも前端側となる吐出側が厚くなるよう外径をテーパー状に大きくすることに代えて、輸送シリンダそれ自体の外径を吐出側へ向けて段階的に大きくした高粘性流体ポンプの輸送シリンダとしても輸送シリンダの寿命延長と軽量化が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1(イ)(ロ)は本発明の高粘性流体ポンプの輸送シリンダの実施の一形態を示すもので、図3及び図4に示したものと同様な構成としてあるコンクリートポンプにおいて、本発明の輸送シリンダ18a,18bは、後端側となる洗浄室側B端部から前端側となる吐出側A端部へかけて均一な内径とし、且つ、上記洗浄室4側Bから吐出側Aへ向けて徐々に大径となるようなテーパー形状として、洗浄室側端部が最小の肉厚t1 になるようにすると共に洗浄室側Bから吐出側Aへ向けて肉厚が徐々に厚くなって吐出側端部が最大の肉厚t2 となるような構成とする。図中、従来と同一なものには同一な符号が付してある。
【0011】
上記輸送シリンダ18a,18bを用いたコンクリートポンプにおいては、輸送シリンダ18a,18bの内径が長手方向に均一にしてあることから、図3及び図4に示すコンクリートポンプと全く同様にしてホッパ1内のコンクリート17を輸送シリンダ18a,18bにより交互に吸入して吐出させることができる。
【0012】
なお、上記輸送シリンダ18a,18bの肉厚は、内周面があまり摩耗されていない段階ではt1 <t2 となっているが、コンクリートポンプの運転が行われて輸送シリンダ18a,18bが長期に亘って使用されると、該輸送シリンダ18a,18bの内周面は、コンクリート17が圧送用ピストン6a,6bにより流動されて摩擦されるが、吐出側Aの内周面の摩耗が洗浄室側Bの内周面よりも激しいため、図1(ロ)に二点鎖線で示す如く、輸送シリンダ18a,18bの内周面では吐出側の内径が大きくなり、洗浄室側Bの肉厚t1 ′と吐出側Aの肉厚t2 ′がt1 ′≒t2 ′となるようになる。このように、輸送シリンダ18a,18bの吐出側の内周面が次第に摩耗して内径が大きくなっても圧送用ピストン6a,6bは或る程度追従できるように外周のピストンリング19a,19bに弾力がもたせてあるため、コンクリート17の吸入吐出を支障なく行わせることができる。
【0013】
したがって、本発明の輸送シリンダ18a,18bを用いることにより、輸送シリンダ18a,18bの吐出側Aの内周面が洗浄室側Bよりも激しく摩耗して洗浄室側Bの肉厚t1 ′と吐出側Aの肉厚t2 ′がほぼ等しくなるまで使用し続けることができるので、輸送シリンダ18a,18b吐出側と洗浄室側Bの寿命を同じにすることができて、輸送シリンダ18a,18b全体の寿命を従来に比して大幅に向上させることができる。しかも、輸送シリンダ18a,18bの外径を洗浄室側Bから吐出側Aへ向けて徐々に太くなるようなテーパー形状としていることから、従来のように、吐出側Aの激しい摩耗に対処するために輸送シリンダ3a,3bの肉厚を洗浄室側Bから吐出側Aにかけて一様に厚くして全体的に均一な厚さとなるようにしたものと比較して、輸送シリンダ18a,18bを大幅に軽量化させることができる。
【0014】
次に、図2は本発明の他の実施の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)に示した輸送シリンダ18a,18bに代え、外径を洗浄室側Bから吐出側Aへ向けて段階的(図2では4段)に大きくなるような竹の子形状とし、洗浄室側端部が最小の肉厚t1 になるようにすると共に吐出側端部が最大の肉厚t2 となるような断面構造の輸送シリンダ20a,20bとしたものである。
【0015】
図2に示す輸送シリンダ20a,20bにおいても、長期に亘る使用において吐出側Aの内周面が洗浄室側Bよりも激しく摩耗して内径が大きくなっても、吐出側端部の肉厚t2 を洗浄室側端部の肉厚t1 ′とほぼ同じようにできることから、図1(イ)(ロ)に示すものと同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、たとえば、図2に示す実施の形態では輸送シリンダ20a,20bの外径を4段階に大きくした場合を示しているが、段数は輸送シリンダ20a,20bの長さに応じて任意に決定することができ、又、上記実施の形態では揺動弁型式の吸入吐出弁を備えたコンクリートポンプを用いた場合を示したが、すべり弁型式の吸入吐出弁を備えたコンクリートポンプについても同様にして用いることができること、更に、本発明はコンクリートポンプへの適用を前提としているが、コンクリートポンプ以外のあらゆる高粘性流体ポンプへの適用も可能であること等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の高粘性流体ポンプの輸送シリンダによれば、内径を長手方向に均一な大きさとし、外径を吐出側端部が最大となるように徐々に大きくするテーパー形状とするか、又は、吐出側へ向けて段階的に大径となるような竹の子形状として、輸送シリンダそれ自体の肉厚が吐出側へ向けて厚くなって吐出側端部が最大の肉厚となるようにしてあることから、長期に亘る使用により内周面の吐出側が洗浄室側よりも激しく摩耗して吐出側の内径が大きくなっても、吐出側の肉厚を洗浄室側の肉厚とほぼ同じ位にできて、輸送シリンダの吐出側と洗浄室側の寿命を同じにすることができ、全体の寿命を延長することができ、更に、洗浄室側は薄肉のままとすることから従来のように、全体の肉厚を厚くする場合と比較して、重量を大幅に軽量化させることができ、コストダウンを図ることができると共に取り扱いが容易になる、という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高粘性流体ポンプの輸送シリンダの実施の一形態を示すもので、(イ)は高粘性流体ポンプとしてのコンクリートポンプの切断側面図、(ロ)は本発明の輸送シリンダの拡大切断側面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示す切断側面図である。
【図3】従来より用いられている高粘性流体ポンプの一例として、揺動弁型式の吸入吐出弁を備えたコンクリートポンプを示す切断側面図である。
【図4】図3のIV−IV方向矢視図である。
【符号の説明】
1 ホッパ
5a,5b 主油圧シリンダ
6a,6b 圧送用ピストン
17 コンクリート(高粘性流体)
18a,18b 輸送シリンダ
20a,20b 輸送シリンダ
A 吐出側
B 洗浄室側
Claims (2)
- 前端がホッパ内に連通させられていて内部に収納された圧送用ピストンを主油圧シリンダにより前後方向に往復動させることによりホッパ内の高粘性流体を吸入して吐出させるようにする高粘性流体ポンプの輸送シリンダにおいて、該輸送シリンダそれ自体を軸心方向に内径を同一にし且つ該輸送シリンダそれ自体の肉厚が後端側よりも前端側となる吐出側が厚くなるよう外径をテーパー状に大きくしたことを特徴とする高粘性流体ポンプの輸送シリンダ。
- 肉厚が後端側よりも前端側となる吐出側が厚くなるよう外径をテーパー状に大きくすることに代えて、輸送シリンダそれ自体の外径を吐出側へ向けて段階的に大きくした請求項1記載の高粘性流体ポンプの輸送シリンダ。
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1995
- 1995-12-22 JP JP34950995A patent/JP3723935B2/ja not_active Expired - Fee Related
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