JP3722965B2 - 電気二重層コンデンサ用炭素材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ、特に電気二重層コンデンサ用電極板に使用する炭素材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気二重層に基づく電荷の蓄積、即ち電気二重層原理を用いた電気二重層コンデンサが開発されて製品化されている。前記コンデンサは大静電容量が得られるため、小型のものは電子機器の半導体メモリー用バックアップ電源から、大型のものは車載の鉛バッテリーの用途の一部にまで使用されている。
【0003】
電気二重層コンデンサには、一般的には炭素電極が使用されている。この電気二重層コンデンサは、電極の表面と電解液の界面に生成される電気二重層を利用するものであるためかかる炭素電極の表面積を多くする必要がある。
その為、例えば特開昭63−18761号公報、特開平1−227417号公報のような微細な細孔を有する活性炭粒子や、特開平7−249551号公報のようにポリ塩化ビニリデン樹脂を非酸化性雰囲気中で加熱し、それによって原子、及び分子欠陥を生じさせて細孔を形成させたものが提案されている。
【0004】
一方、高容量の電極板を製造するためには、電極の表面積、即ち比表面積だけでなく充分な電気伝導性と熱伝導性を与える必要がある。
しかしながら、上記のような活性炭粒子は、結晶性が低く材料自体の電気抵抗が高い。
従って、この活性炭粒子を用いて電極を作成すると、活性炭粒子間での接触電気抵抗も大きくなり充分な電気伝導性が得られにくい。
その為、最近、活性炭粒子とカーボンウィスカーが含有された電極を有する電気二重層コンデンサが提案されている(特開平7−307250号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単繊維のカーボンウィスカーのフィラーは、一次元的な方向の導電距離の効果は得られるが三次元的な導電距離は十分に得られない。電気二重層コンデンサの電極板としては全体が三次元的に均一な導電性を有するものが良好で望ましい。
導電性をより向上させるためには、三次元方向に同等の特性が発揮でき、その導電距離ができるだけ長い構造のフィラーが好ましく、しかもそのフィラーが活性炭粒子を充分保持できる網目状の構造が取れるものが望ましい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決することを目的として、
[1] 平均粒径が20μm以下で、比表面積が500m2 /g以上の炭素粉末に、太さが0.05μm以上、5μm以下の気相法炭素繊維が凝集し絡み合った繊維は分岐状であり、その繊維同士の接点の少なくとも一部が炭素物質の炭化物によって固着されており、且つ炭素繊維の0.08g/cm3の粉体密度における粉体抵抗が0.3Ωcm以下であり、5μm以上、500μm以下であるフロック状又は糸鞠状の構造体を主体とする炭素繊維を0.1wt%〜30wt%添加したことを特徴とする電気二重層コンデンサ用炭素材料、
[2] フロック状又は糸鞠状の構造体を主体とする炭素繊維の比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする上記[1]に記載の電気二重層コンデンサ用炭素材料、を開発することにより上記の課題を解決した。
[3] 上記[1]又は[2]に記載の電気二重層コンデンサ用炭素材料及びバインダーを含む電気二重層コンデンサ電極用混合物、
[4] 上記[3]に記載の電極用混合物を用いる電気二重層コンデンサ、
[5] 上記[1]又は[2]に記載の電気二重層コンデンサ用炭素材料を含む電気二重層コンデンサ電極、及び
[6] 上記[5]に記載の電気二重層コンデンサ電極を用いる電気二重層コンデンサ、を開発することにより上記の課題を解決した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の 電気二重層コンデンサに用いられる比表面積が500m2 /g以上の炭素粉末は、種々の炭素粉末が使用可能である。
例えば、石油コークス、石炭コークス、椰子殻、又はフェノール樹脂粉末やポリ塩化ビニリデン樹脂粉末等を原料とした活性炭粉末などである。
この活性炭粉末の物性は、比表面積が500m2 /g以上が好ましい。500m2 /g以下であると電気二重層コンデンサの電極として充分な表面積が確保できないためイオン吸着面積が小さく、コンデンサの容量が小さくなる。
【0008】
次に、本発明に用いられるフィラーとしての炭素繊維は、一部に分岐状の部分があり、所定の大きさのフロック状又は糸鞠状(以下、フロック状等という。)に凝集していること及び繊維が絡み合い、その接点の少なくとも一部が炭化物で接着された構造体を主体とする。この炭素繊維は、気相法炭素繊維を成形、熱処理、解砕することによって製造する。
【0009】
気相法炭素繊維から立体構造を有するフロック状等の構造体にするには、まず分岐率の高い気相法炭素繊維を含む繊維集合体を圧縮して密度を上げて成形することによって繊維同士をつなぎ合わせる。その際使用する気相法炭素繊維は分岐していない単繊維であっても良いが、分岐状の繊維を含む方が絡み易く好ましい。
原料の気相法炭素繊維は、その繊維の径(太さ)が0.05μm以上、5μm以下、好ましくは0.1μm以上、1μm以下の繊維が良い。
【0010】
繊維径が5μm以上となると主剤の活物質である活性炭粒子が、通常、平均粒径が20μm以下であるため、その活性炭粒子間のすき間に入り込み編み目構造を作ることが困難となり、しかも薄い電極板に均一に分布しにくくなる。
又、0.05μm以下になると比表面積が大きいため、焼成又は黒鉛化時に欠陥の発生も多くなるため繊維自体の強度も弱くなり、電極に成形したときに編み目構造を取りにくく、電気抵抗を下げる効果も少なくなり好ましくない。
【0011】
繊維の長さは5μm以上、100μm以下が好ましい。繊維の長さが100μmを越えると嵩密度が小さくなり過ぎて取り扱いにくく、電極板中で均一に分散しにくくなる。
又、5μm以下になると、主剤である活性炭粒子が20μm以下であるため活性炭粒子を2個以上配位できにくくなるため添加効果が上がらず好ましくない。
【0012】
成型時に使用する気相法炭素繊維は、一旦熱処理した繊維であっても良いが、好ましくは生成したままの熱処理されていない粗製の気相法炭素繊維から出発するのが効果的である。
【0013】
もし出発物質として熱処理後の繊維を用いるときや、処理前の粗製の気相法炭素繊維でもその集合体の中に含まれるピッチ等の有機物の量が少ないときは熱処理するときに容易に炭化し易い例えばピッチ等のバインダー物質を添加して成形すると良い。
【0014】
粗製の気相法炭素繊維は、その表面に結晶が十分に発達していない部分があると共にさらにタール分を始めとする未反応の有機化合物が吸着され繊維表面が覆われている。
この未反応の有機化合物量は、製造条件によって異なるが一般的には5〜20wt%程度である。粗製の気相法炭素繊維を成形するときにこの未反応の有機物質が、バインダーの役割を果たすと共にこれを熱処理すると容易に炭化して繊維同士を接着する炭化物となる。
【0015】
分岐していない単繊維や分岐状の気相法炭素繊維は、圧縮性があり絡み易く凝集し易い性質があるので繊維集合体を圧縮して嵩密度を上げ、容易に成形することができる。
成形方法としては圧力が加わる方法であれば何れでも良く、例えば圧縮造粒法、押出造粒法なども使用できるが、繊維集合体を系内で圧縮する方法が容易である。圧縮成型法として繊維に圧力をかける方法であれば何れの方法でも良く、例えば簡単な圧縮板を用いた方法やプランジャーを用いた方法、スクリュー法、デイスクペレッター法等何れの方法も使用できるが、特にプランジャー法や圧縮板を用いた押出法が比較的容易である。
【0016】
気相法炭素繊維の集合体は、成形性が良くいろいろな形状に圧縮成形でき、例えば円柱状、直方体状等は容易である。成形体の形状はどのようなものであっても良いが、工業的にはできるだけ取り扱い易い単純な形状が良く、熱処理し易い円柱状、角柱状の形状が好ましい。
成形体の大きさは、小さすぎると圧力によって繊維の折れる割合が大きくなるので、例えば円柱状であれば直径が少なくとも3mm以上、好ましくは5mm以上である。本発明では、150mmφの円柱状に成形した。
【0017】
気相法炭素繊維を成形するときに加える圧力は、圧力と成形体の嵩密度の関係から最適な圧力を選定すれば良い。
具体的には圧力0.1kg/cm2 以上、好ましくは1.0kg/cm2 以上あれば充分である。圧力は高くても良いが繊維の崩壊を起こさない程度が好ましく、又圧力が高くなると加圧システム自体の設備費が高くなるので1〜100kg/cm2 程度、好ましくは1〜50kg/cm2 程度がよい。
【0018】
成形体密度は製品となるフロック状等炭素繊維の材料密度にも関係する。もとの気相法炭素繊維の嵩密度は非常に小さく0.001〜0.005g/cm3 程度であり、これを成形して密度を上げる。性能を上げ取り扱い易い成形体としての嵩密度は、0.02g/cm3 以上が適し、それより小さくなると熱処理もやりにくく効率も悪く、更にフィラーとして充分な性能が得られない。
【0019】
熱処理は、圧縮成形によって得られた成形体を例えば加熱ゾーンに移して常圧又は加圧下で行われる。加熱に際しては、成形体の中心部まで確実に温度が目標値以上に達する様に滞留時間を設定する。加熱方法は、通常用いられる方法で良く、例えば高周波炉、抵抗炉又は高温ガスを用いた外熱加熱方法、高温ガスによる直接加熱方法、通電加熱方法などいろいろあるが目標温度が達成できれば何れの方法でも良い。
【0020】
熱処理温度は、最終的な用途の物性の目標とする温度によって選定すれば良く、600℃以上、好ましくは800℃以上3500℃以下が良く採用される。
以上は成形と熱処理を別の工程で行う場合であるが、これを同時に行うこともできる。例えば圧縮成型において、成形装置に加熱装置を装備し、前記した圧力で加圧しながら加熱する方法もある。
熱処理温度が、600℃以上、特に800℃以上の温度になると炭素自身の反応性が高くなる。その為、気相法炭素繊維と雰囲気ガスとの反応を防止するため、加熱部の雰囲気をヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン、その他の不活性ガス雰囲気や場合によってはH2 等の還元雰囲気に調整することが好ましい。
【0021】
本発明の特徴は気相法炭素繊維の集合体を成形し、その成形体を熱処理した後一定の大きさに解砕して立体構造を維持するところにある。
解砕したものはフロック状又は糸鞠状をなし、大きさ(最大径部分)は5μm以上、500μm以下、好ましくは10μm以上、200μm以下のものが中心で、各繊維が絡み合った立体構造である。
【0022】
絡み合った繊維は分岐状であり、絡み合った繊維の接点のその少なくとも一部がタール、ピッチ等の炭素物質の炭化物で固着されている。そして、圧縮成形、熱処理したものを解砕しているので無加圧で成形、熱処理したものの粉砕品に較べ接点が多く又強く固着されている部分が多い。従って、複合材にした際にもフロック状等の形態がかなり維持されて分散する。
【0023】
フロック状等の気相法炭素繊維の大きさが5ミクロン以下であると、主剤の活性炭粒子間に入っても粒子間の接点を取りにくく充分な導電性が得られない。又、フロック状等の大きさが500ミクロン以上であるとフロック状の形状が大きすぎ、かえって立体障害を起こし粒子の詰まりが悪くなり、粒子の密度が上がらず容量が低下する。更に、粒子間の接点も取りにくくなるため電気抵抗を下げる効果が得られない。
【0024】
解砕方法は、フロック状等を一定の大きさに維持できるような方法であれば何れであっても良い。解砕は成形体を一段で解砕しても良いが、2段以上の解砕機を組み合わせて解砕する方法も有効である。
例えば、予め圧縮型の解砕機、せん断粗砕機、衝撃解砕機等によって数10mm以下の形状に粗砕し、その後に高速回転式のピンミル、スクリーンミル、ハンマーミル等の中砕機にかけて5μm以上、500μm以下の範囲の形状に解砕する。
【0025】
このフロック状等の気相法炭素繊維の粉体抵抗(粉体密度が0.08g/cm3 の場合)は、0.3Ωcm以下が好ましく更に好ましくは0.1Ωcm以下である。この抵抗値が0.3Ωcm以上であると電極板にしたとき電極の抵抗値を下げる効果が少なく好ましくない。
【0026】
フロック状等の気相法炭素繊維の構造体である炭素材料の比表面積が20m2 /g以上であると電気伝導性が劣化し好ましくない。
【0027】
このフロック状等の気相法炭素繊維の構造体である炭素材料の添加量は、0.05wt%以上30wt%以下である。
30wt%以上添加すると、炭素繊維の容量が大きいため主剤である活物質の活性炭粒子の添加量が減少し、コンデンサとしての容量が逆に低下する。又、0.05wt%以下であると活性炭粒子との接点を増加させる効果が少ないため、電極抵抗を下げられず結果的に容量向上の効果が認められない。
【0028】
【作用】
このような電極材料は、電極活物質である活性炭粒子が、フロック状等の構造体である気相法炭素繊維の凝集体に取り込まれ、あるいは分岐を有する気相法炭素繊維の網目状構造体に絡みつくので個々の活性炭粒子と炭素繊維の接触確率が増加し電気的接点が増大する。その結果電流が極めて流れ易くなり内部抵抗も低下し、かつ活性炭粒子が無駄なく有効に電解反応に使え電池容量も増大する。
更に、活性炭粒子がこのフロック状又は網目状の気相法炭素繊維の凝集体の炭素繊維間に絡みついて保持されるため、充放電の放熱による膨張、収縮の繰り返しによる活性炭粒子の膨潤を吸収し、更に分離、脱落を防止できるため電極板の崩壊を防止できる。その結果、電池容量の低下を防止でき電池の長寿命を図ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
平均粒径が13μmで比表面積が1500m2 /gの活性炭に、比表面積が17m2 /g、繊維径が0.15μm、フロック状等の大きさが15μm、粉体密度が0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.016Ωcmのフロック状等の炭素繊維を5.0wt%添加し十分混合する。その後バインダーとして、アルコールに溶解したショーノル(昭和高分子(株)製BRL−120Z)7wt%相当を添加して12cm×12cmに成型し、850℃の温度で炭化焼結して厚さ1mmのカーボン板とした。このカーボン板より4cm×4cmの角板を切り出して電極板を作成した。この電極板を用いて、硫酸系の電気二重層のコンデンサを組み上げ体積容量を測定した。その結果、0.5Aの電流時の体積比容量は21F/ccであった。
【0030】
(実施例2)
平均粒径9μmで比表面積が2000m2 /gの活性炭に、比表面積が13m2 /g、繊維径0.15μm.フロック状等の大きさが120μm、粉体密度が0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.021Ωcmのフロック状等の炭素繊維を5wt%添加し十分混合する。その後バインダーとして、アルコールに溶解したショーノル(昭和高分子(株)製BRL−120Z)7wt%添加して12cm×12cmに成型し、850℃の温度で炭化焼結して厚さ1mmのカーボン板とした。このカーボン板から電極板を作成し、実施例1と同様の電気二重層コンデンサとし体積比容量を測定した。その結果0.5A電流時の体積比容量は21F/ccであった。
【0031】
(実施例3)
平均粒径が、3.5μmで比表面積が1900m2 /gの活性炭に、比表面積が13m2 /g、繊維径0、20μm、フロック状等の大きさが400μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.014Ωmのフロック状等の炭素繊維を5wt%添加し十分に混合する。その後、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを10wt%相当及びアルコールを添加し十分に混練する。この混練した混合物を0.7mmの厚さにロール圧延し、その後、130℃で3時間乾燥してシート状の板にした。このシート状の板から電極板を作成し実施例1と同様の電気二重層コンデンサとして体積比容量を測定した。その結果,0.5A時の体積比容量は20F/ccであった
【0032】
(実施例4)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積が13m2 /g、繊維径が0.15μm、フロック状等の大きさが120μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.019Ωcmのフロック状等の炭素繊維を10%添加した以外、実施例1と同様にして電極板を作成し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は19F/ccであった。
【0033】
(実施例5)
フロック状等の炭素繊維の添加量を3%にした以外実施例4と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は18F/ccであった。
【0034】
(実施例6)
実施例2のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積13m2 /g、繊維径0.19μm、フロック状等の大きさ200μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.017Ωcmのフロック状等の炭素繊維を28wt%添加した以外実施例2と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は17F/ccであった。
【0035】
(実施例7)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積13m2 /g、繊維径0.20μm、フロック状等の大きさが120μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.017Ωmであるフロック状等の炭素繊維の添加量を0.1wt%とした以外実施例1と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は16F/ccであった。
【0036】
(実施例8)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積13m2 /g、繊維径0.15μm、フロック状等の大きさが50μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.10Ωcmであるフロック状等の炭素繊維の添加量を5.0wt%とした以外実施例1と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は16F/ccであった。
【0037】
(比較例1)
比表面積2100m2 /gの活性炭にバインダーとして、アルコールに溶解したショーノル(昭和高分子(株)製BRL−120Z)7wt%相当を添加して成型し、850℃の温度で炭化焼結して厚さ1mmのカーボン板とした。このカーボン板から4cm×4cmの電極板を作製し、この電極板を用いて硫酸系の電気二重層コンデンサを組み上げ体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は、15F/ccであった。
【0038】
(比較例2)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積13m2 /g、繊維径0.15μm、フロック状等の大きさが20μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.017Ωcmであるフロック状等の炭素繊維を添加量下限以下の0.05wt%添加した以外は実施例1と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は15F/ccであった。
【0039】
(比較例3)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積13m2 /g、繊維径0.2μm、フロック状等の大きさが25μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.017Ωcmであるフロック状等の炭素繊維の添加量を添加量上限を越えた35wt%添加した以外は実施例1と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は15F/ccであった。
【0040】
(比較例4)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、比表面積13m2 /g、繊維径0.15μm、フロック状等の大きさが15μm、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.31Ωcmの高比抵抗のフロック状等の炭素繊維を5.0wt%添加した以外は実施例1と同様にして電極板を作製し、体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は15F/ccであった。
【0041】
(比較例5)
実施例1のフロック状等の炭素繊維の代わりに、繊維径6μm、繊維長117μmの気相法炭素繊維の単繊維を5.0wt%添加した以外は実施例1と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は15F/ccであった。
【0042】
(比較例6)
実施例3のフロック状等の炭素繊維の代わりに、繊維径0.2μm、繊維長4μmの気相法炭素繊維の単繊維であって、粉体密度0.08g/cm3 での粉体抵抗が0.031Ωcmである炭素繊維を5wt%添加した以外は実施例3と同様にして電極板を作製し体積比容量を測定した。その結果、0.5A時の体積比容量は14F/ccであった。
以上の結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(注)フロック状等の大きさは、解砕したフロック状等の炭素繊維をアルコールに分散しその溶液をガラス板に滴下し乾燥後光学顕微鏡で観察し測定した。測定は数視野で約100個の平均を取った。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電気二重層コンデンサ用炭素材料は、電気伝導性の高いフロック状等の気相法炭素繊維を含有するため電極板として三次元的に電気伝導性が良好であり、体積比容量等の特性が優れている。又、比表面積の大きい活性炭がこのフロック状等の炭素繊維により編み目構造的に保持されるために強度的にも優れている。
Claims (6)
- 平均粒径が20μm以下で、比表面積が500m2 /g以上の炭素粉末に、太さが0.05μm以上、5μm以下の気相法炭素繊維が凝集し絡み合った繊維は分岐状であり、その繊維同士の接点の少なくとも一部が炭素物質の炭化物によって固着されており、且つ炭素繊維の0.08g/cm 3 の粉体密度における粉体抵抗が0.3Ωcm以下であり、5μm以上、500μm以下であるフロック状又は糸鞠状の構造体を主体とする炭素繊維を0.1wt%〜30wt%添加したことを特徴とする電気二重層コンデンサ用炭素材料。
- フロック状又は糸鞠状の構造体を主体とする炭素繊維の比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする請求項1記載の電気二重層コンデンサ用炭素材料。
- 請求項1又は2に記載の電気二重層コンデンサ用炭素材料及びバインダーを含む電気二重層コンデンサ電極用混合物。
- 請求項3に記載の電極用混合物を用いる電気二重層コンデンサ。
- 請求項1又は2に記載の電気二重層コンデンサ用炭素材料を含む電気二重層コンデンサ電極。
- 請求項5に記載の電気二重層コンデンサ電極を用いる電気二重層コンデンサ。
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