JP3722770B2 - 多色可逆性感熱記録材料及び画像記録方法 - Google Patents
多色可逆性感熱記録材料及び画像記録方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを制御することにより色調が可逆的に変化する多色可逆性感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録において、発色色調の異なる層を積層して2色以上を発色させる方法としては、熱に対する各層の感度を調節する方法が一般的である。特に顕色剤の融点の違いを利用して感度を調節する方法、異なる色調の発色層の間に感度調節層を設けて、一方から加えられた熱の伝達を調節する方法等が提案されている。
【0003】
最近になって、ロイコ染料と可逆性顕色剤からなる可逆感熱発色組成物を利用した多色感熱記録材料が提案されている。特開平6−79970号公報、同6−305247号公報によれば、消色温度の異なる2種類以上の可逆性感熱発色組成物を設け、全ての混合色を形成した後に、適当な温度によって一部の画像を消去し、任意の混色あるいは単色の画像を得るというものが記載されている。しかし、この記録媒体では、消去開始温度の差別化を電子受容性化合物のアルキル基の長さに依存しているため、消去開始温度の低い電子受容性化合物を含む可逆性感熱発色組成物で形成した画像の経時安定性に問題がある。
【0004】
これに対して、特開2001−162941号公報では結晶化速度の異なる可逆性顕色剤を積層する事で、上記の問題を解決し、画像の経時安定性の高い可逆性2色感熱記録材料が提案されている。また、冷却速度のコントロールによって、2色の画像を形成する方法が提案されている。ところが、このような従来の可逆性感熱記録層にサーマルヘッドのような熱と圧力が同時に加わる方式で記録と消去を繰り返すと、可逆性感熱記録層が温度及び圧力を受けて可逆的熱発色組成物が溶出し、層破壊を起こして記録濃度が低下するといったトラブルがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は2色以上の色で明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能で、且つ安定的に繰り返し形成消去可能な多色可逆性感熱記録材料及び画像記録方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこれらの課題を解決すべく検討した結果、下記の発明により上記の課題が解決されることを見いだした。
【0007】
少なくとも通常無色または淡色のロイコ染料、光熱変換色素、および加熱により該ロイコ染料を発色させこれを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層で、発色色相の異なる層を少なくとも2層以上積層してなる多色可逆性感熱記録材料において、光熱変換色素が全ての層で同一であり、かつ発色色相の異なる可逆性感熱記録層毎に光熱変換色素の単位面積当たりの含有量が異なることを特徴とする多色可逆性感熱記録材料。
【0008】
光熱変換色素の単位面積あたりの含有量が最も少ない可逆性感熱記録層における該含有量に対して、光熱変換色素の含有量が最も多い可逆感熱記録層における該の含有量が150%以上1000%以下であることを特徴とする上記記載の多色可逆性感熱記録材料。
【0009】
可逆性感熱記録層に含有される光熱変換色素に濃度勾配が存在し、隣接する発色色調の異なる可逆性感熱記録層に近いほど光熱変換色素の単位面積あたりの含有量が少ないことを特徴とする上記記載の多色可逆性感熱記録材料。
【0010】
上記記載の多色可逆性感熱記録材料を用い、レーザー光を照射する事により発色・消色して画像を形成する画像記録方法であって、発色色調の異なる可逆性感熱記録層毎にレーザー光のエネルギーを変えることを特徴とする画像記録法法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、2色以上の色で明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能で、且つ安定的に繰り返し画像の形成・消去可能な多色可逆性感熱記録材料及び記録・消去方法を提供される。
【0012】
発色色調の異なる層を積層して2色以上を発色・消色させる方法としては、加えられたエネルギーに対する各層の感度を調節する方法がある。加えられた熱エネルギーに対する各層の感度を調節する方法としては、融点の異なる可逆性顕色剤を使う方法があるが、一般的に融点の低い可逆性顕色剤は発色に対する感度は高いが、消色に対する感度は必ずしも高くない。また、可逆性顕色剤の融点は画像保存性に大きく影響し、色による保存性の違いが大きく出てしまう。その為、画像保存性及び印字・消去エネルギー値の設定が容易という点で各層の可逆性顕色剤は同一であることが好ましい。本発明者らは、光熱変換色素をロイコ染料、可逆性顕色剤と同一層中に含有させ、発色色調の異なる層毎に光熱変換色素の含有量を調節することによって、レーザー光の照射エネルギーに対する各層の感度を調節できることを見いだした。
【0013】
本発明における光熱変換色素の含有量の調節方法としては、光熱変換色素の含有量が最も少ない層に含まれる光熱変換色素の含有量に対する該色素の含有量が最も多い層に含まれる該色素の含有量の質量%(以下、単に含有量比率という)が高いほど感度の差が大きくなり、色分離が良くなる。しかし、光熱変換色素の含有量比率は多数回に渡って繰り返し画像の形成・消去を行うためには色分離ができる範囲でできるだけ小さい方が好ましい。
【0014】
本発明者らは、本記録材料の色分離性と繰り返し画像安定性を両立する光熱変換色素の含有量比率を鋭意検討した結果、最も少ない含有量に対する最も多い含有量の質量%が150%以上1000%以下であることを見いだした。含有量比率が1000%を越えるの場合は、光熱変換色素の含有量の少ない層を発色させる為のレーザー光の照射により、該色素を1000%越える含有する層がブリスターを起こしてしまう。100回以上の繰り返しが可能な光熱変換色素の好ましい含有比率は500%以下であり、より好ましくは300%以下である。
【0015】
一方、光熱変換色素の含有量比率が150%未満の場合は、色分離が難しくなり、有効なエネルギー幅が狭くなる。有効なエネルギーに幅を持たせるためには200%以上が好ましく、より好ましくは250%以上である。
【0016】
本発明者らは、ロイコ染料を含有する層中において、少なくとも光熱変換色素量の多い1層について、光熱変換色素に濃度勾配をつけることで色分離性が向上することを見いだした。即ち、隣接する異なるロイコ染料を含有する層に近いほど光熱変換色素の濃度を薄くすることで、熱拡散による他層の発色を抑えることができる。赤、青、黄の3色の可逆性感熱記録層を設ける場合を例に取ると、支持体上に光熱変換色素の少ない可逆性感熱記録層(赤層)を設け、その上に赤層より光熱変換色素の含有量が多い可逆性感熱記録層(青層)、その上に青層より光熱変換色素の含有量の多い可逆性感熱記録層(黄層)を設け、更にその上に保護層を設けた場合、黄層中の光熱変換色素の濃度勾配を青層に近づくにしたがって層方向(面に対して垂直方向)に薄くすることにより、保護層側から黄層が発色するエネルギーのレーザー光を照射したときに黄層に隣接している青層の上部までが発色する事を防ぐことができる。青層は面方向に対し、黄層側から赤層側へ行くに従い光熱変換色素の濃度を薄くするか、中央を濃くして中央から黄層及び赤層に近いほど薄くすることが好ましい。最も光熱変換色素の含有量の少ない赤層は必ずしも濃度勾配を付ける必要は無いが、好ましくは青層に近いほど光熱変換色素の濃度を薄くした方が良い。また、赤層、青層及び黄層の間に透明の熱拡散吸収層を設ける事でさらに色分離を良くすることができる。上述の例を図1に示す。
【0017】
図1中において、赤層は支持体に近いほど光熱変換色素の濃度が濃く、青層は中央の光熱変換色素濃度が最も濃く、他層との界面に近いほど濃度が薄い。黄色層は青層との界面に近いほど光熱変換色素の濃度が薄い。
【0018】
本発明に係わる光熱変換色素に濃度勾配が存在する層とは、同一のロイコ染料を含有し、隣接して積層された場合は、一つの層と見なす。従って、光熱変換色素に濃度勾配をつける方法としては、1種類の色調のロイコ染料を含有する層を光熱変換色素の含有量を段階的に変えて複数回に分けて設ける方法、光熱変換色素を含有する層と含有しない層を連続して積層する方法等が挙げられる。上述の例を図2に示す。
【0019】
図2のロイコ染料Yの層は光熱変換色素の含有量が異る4層からなり、ロイコ染料Xの層に近い層(中間層とロイコ染料Yとの界面に近い層)ほど光熱変換色素の含有量が少ない。この場合、4層からなるロイコ染料Yの層を光熱変換色素に濃度勾配の存在する1層と見なす。ロイコ染料Xの層は、光熱変換色素を含有する層(光熱変換色素有る)と含有しない層(光熱変換色素無い)の2層からなり、ロイコ染料Yの層に近い層に光熱変換色素が含まれず、支持体に近い層が光熱変換層を有する。この場合、2層からなるロイコ染料Xの層を光熱変換色素に濃度勾配が存在する1層と見なす。
【0020】
本発明の画像記録方法はレーザー光を照射して発生する熱により行う。積層された各可逆感熱記録層を任意に発色・消色する方法は、異なるエネルギーのレーザー光を照射する事により多色の画像を形成することができる。
【0021】
例えば、レーザー光を照射して発生する熱により、2色の画像を形成する方法としては、相対的に光熱変換色素の含有量の多い可逆性感熱記録層のロイコ染料が発色し、光熱変換色素の含有量の少ない可逆性感熱記録層のロイコ染料が発色しないエネルギーのレーザー光を照射して第1の色の画像を形成し、光熱変換色素の含有量が少ない可逆性感熱記録層のロイコ染料が発色するエネルギーのレーザー光を照射して第2の色の画像を形成し、光熱変換色素の含有量が多い可逆性感熱記録層のみ消色するエネルギーで第2の色で形成した画像を第3の色に変更し、光熱変換色素の含有量が多い可逆性感熱記録層のロイコ染料が消色するエネルギーで第1の色で形成した画像を消去し、光熱変換色素の含有量が少ない可逆性感熱記録層のロイコ染料が消色するエネルギーを加えた後、光熱変換色素の含有量が多い可逆性感熱記録層のロイコ染料を消色するエネルギーを加えて第2の色で形成した画像及び第3の色で形成した画像を消去させる方法が挙げられる。
【0022】
光熱変換色素を用いて、近赤外レーザー光により繰り返して、画像を記録・消去する可逆性感熱記録材料には、高い耐熱性及び耐レーザー光特性が必要であることは勿論のこと、更に重要なことは、可逆性感熱記録材料に負荷の少ない方法で画像の記録・消去を行うことである。
【0023】
本発明に係わる画像の消去方法としては、含有する光熱変換色素の量を問わず、ブリスターを起こさずにロイコ染料を発色する事ができるレーザー照射エネルギーの25%以上65%以下のエネルギーのレーザー光を照射して消去する事により、明瞭なコントラストで画像の記録・消去を繰り返し行うことができる。更に好ましい消去エネルギーは、ブリスターを起こさずにロイコ染料を発色する事ができるレーザー照射エネルギーの30%以上50%以下であり、この範囲のエネルギーを使うことにより、多数回に渡って画像の記録・消去を行うことができる。
【0024】
記録及び消去に用いるレーザー光の照射エネルギーを変える方法としては、レーザーの出力を一定に保ちつつ、レーザー光の照射時間を変える方法、レーザーの出力そのものを変える方法、レーザーの集光レンズからの距離を変える方法、フィルターをかける方法等により、記録面に到達するレーザーエネルギーを変える方法がある。本発明者らの検討によれば、これらの中でもレーザー出力を一定に保ちつつ、レーザー光の照射時間を変えることにより、記録面に到達するレーザーエネルギーを変える方法が多数回に渡る画像の記録・消去をより高いレベルで実現できるので好ましい。レーザー出力を一定にした場合、消去時のレーザー照射時間をロイコ染料の発色に必要なレーザー照射時間の25%以上65%以下の範囲で設定する事で、単位面積に加えられるエネルギーを25%以上65%以下の範囲で設定することができる。レーザー出力を下げずにレーザー照射時間を短くすることで、高速消去が可能になる。
【0025】
レーザーの照射時間を変える方法としては、レーザー光の走査速度を変える方法が挙げられる。レーザー出力を一定にした場合に、ロイコ染料の発色に必要なレーザ走査速度の1.6倍以上4倍以下に設定することでレーザー光照射時間を25%以上63%以下に設定することができる。
【0026】
パルスレーザーによって画像を消去する方法としては、レーザー出力及び単位面積におけるスポットの数を一定にし、1スポットにレーザー光を照射する時間(パルス幅)を変えることにより、単位面積におけるレーザー光照射時間を調整できる。消去時のパルス幅をロイコ染料の発色に必要なパルス幅の25%以上65%以下に設定することでレーザー光照射時間を25%以上65%以下に設定することができる。
【0027】
また、レーザー出力及びパルス幅を一定にし、レーザー光のスポット数を少なくすることで、単位面積におけるレーザー光照射時間を短くすることができる。この場合、ロイコ染料の発色に必要なスポット数の25%以上65%以下のスポット数に設定することでレーザー光照射時間を25%以上65%以下に設定することができる。スポット数を変える方法としては、スポットを数個おきにレーザー光を照射する方法、数行置きにレーザー光を照射する方法、またはそれらを組み合わせることにより、単位面積当たりに照射されるレーザー光のスポットの数を変えることができる。画像を消去する際の斑を少なくする為には、規則的なパターンによってレーザー光を照射する事が好ましい。
【0028】
レーザー光照射時間を調整する方法は、上述の方法を組み合わせても良い。例えば、消去時のパルス幅を画像形成時の50%にし、スポット数を画像形成時の50%にすることにより、消去エネルギーを画像形成時のレーザー照射エネルギーの25%に設定することができる。
【0029】
本発明において、画像の記録や消去に用いられる近赤外レーザーの好ましい例としては、740nm〜910nmに発光領域を持つ半導体レーザーや900nm〜1500nmに発光領域を持つYAGレーザーが挙げられる。画像消去の場合は、発色しているロイコ染料にレーザー光を照射するため、ロイコ染料の劣化を少なくする目的で800nm以上のレーザー光を用いることがより好ましい。また、安定で効率的にレーザー光を熱に変換できる色素は1200nm以下に多い為、800nm以上1200nm以下のレーザー光を用いることが更に好ましい。
【0030】
光熱変換色素を用いて、近赤外レーザー光により多数回繰り返して、画像を記録、消去する可逆性感熱記録材料には、高い耐熱性及び耐レーザー光特性が必要である。本記録材料の構成材料の中でも光熱変換色素の耐レーザー光特性が、多数回の記録、消去に対して最も重要な因子である。本発明に用いられる光熱変換色素の具体的な例としては、フタロシアニン化合物、金属錯体化合物、ポリメチン化合物、ナフトキノン系化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましい光熱変換色素としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性、紫外光に対する耐光性の点でフタロシアニン化合物及び金属錯体化合物が挙げられ、特にフタロシアニン化合物が好ましい。
【0031】
フタロシアニン化合物の例としては、ナフタロシアニン化合物、無金属フタロシアニン化合物、鉄フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、ニッケルフタロシアニン化合物、バナジルフタロシアニン化合物、塩化インジウムフタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物等が好ましく、より好ましくは、バナジルフタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物である。本発明に用いられるフタロシアニン化合物は吸収波長の調節、溶媒への溶解度の向上、耐光性の改良等の目的で、芳香環に置換基を有しても良い。置換基としては、アルキル基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミド基、アミノ基、アルキルエステル基、アリールエステル基、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。芳香環に置換基が二つ以上ある場合に、それらは同一であっても異なっていてもよく、また置換基同士が結合して環を形成しても良い。
【0032】
光熱変換色素の使用量は、使用する光源の発振波長における吸光度が0.2以上になるように設定することが好ましい。この量より少ないと十分な発熱を得る為に必要なエネルギーが大きくなる。一方、光熱変換色素は可視部にも若干の吸収を有しており、使用量が多すぎるとコントラストの低下をもたらす。400nmから700nmの平均透過率が60%以上確保できるよう、光熱変換色素の使用量の上限を設定することが好ましい。光熱変換色素は、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0033】
光熱変換色素は、ロイコ染料と可逆性顕色剤を含有する層に対して、同一の層か隣接する層の少なくとも一方に含有されることが好ましく、同一の層に含有されることが良好な感度を得る上でより好ましい。
【0034】
本発明に係わるロイコ染料は、発色色調の同じロイコ染料を含有する可逆性感熱記録層を積層する事もできる。しかし、本発明を有効に作用させる為には、少なくとも含有するロイコ染料の発色色調が異なる可逆性感熱記録層を積層することが好ましい。
【0035】
本発明に係わるロイコ染料の具体的な例としては、例えば下記に挙げるものがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
3−ジエチルアミノ−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−m−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−m−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−p−フルオロフェニルアミノフルオラン、
【0037】
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−トリルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−トリルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−トリルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−アセチルフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、
【0038】
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−トリルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−トリルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−トリルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−エトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、
【0039】
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ピロリジル−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピぺリジル−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−n−プロピルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−p−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−(4−エトキシブチル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0040】
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、
【0041】
3−(2−エトキシ−4−アミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−メチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−エチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−プロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ヘキシルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジヘキシルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−フェニルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ピリジルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(3−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0042】
3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−プロピル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ブチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ペンチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ヘキシル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−シクロヘキシル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−シアノ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ニトロ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ブロモ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0043】
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ヘプチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ノニル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−イソプロピル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−イソブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−イソペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0044】
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−メチル−2−エチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−プロピルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−ブチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−ペンチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−ヘキシルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−イソプロピルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−イソブチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0045】
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等が挙げられる。
【0046】
前記のロイコ染料は一つの層中にそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよい。また他の色相に発色するロイコ染料を混合することにより調色も行うことができる。
【0047】
本発明に用いられる可逆性顕色剤としては下記一般式(1)で示される化合物が好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
【化1】
【0049】
一般式(1)で表される化合物中、X1及びX2はそれぞれ同じであっても、異なってもよい酸素原子、硫黄原子又は両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R1は単結合又は炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R2は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R1、R2及びR3の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R1、R2及びR3は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R1の場合は、芳香環を含んでいてもよい。fは0から4の整数を表し、fが2以上のとき繰り返されるR2及びX2は同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
一般式(1)中のX1、X2は両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を含むが、その具体例としては、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2 NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2 CONH−)、3−アシルカルバジン酸エステル(−CONHNHCOO−、−OCONHNHCO−)等の基が挙げられるが、好ましくはジアシルヒドラジン、しゅう酸ジアミド、アシルセミカルバジドである。
【0051】
本発明に用いられる可逆性顕色剤の具体的な例としては以下の構造式(1−1)から構造式(1−16)に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
【化2】
【0053】
【化3】
【0054】
本発明に用いられる可逆性顕色剤はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色のロイコ染料に対する使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
【0055】
次に本発明の多色可逆性感熱記録材料の具体的製造方法について述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
本発明の多色可逆性感熱記録材料の製造方法の具体例としては、通常無色ないし淡色のロイコ染料、可逆性顕色剤、光熱変換色素を主成分とし、これらを支持体上に塗布或いは印刷して可逆性感熱記録層を形成する方法が挙げられる。
【0057】
通常無色ないし淡色のロイコ染料、可逆性顕色剤、光熱変換色素を可逆性感熱記録層に含有させる方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等により混合液を作り、支持体上に塗布又は印刷後乾燥することにより層を形成する事ができる。
【0058】
また、可逆性感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆性感熱記録層中に添加する事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらのバインダーの役割は、組成物の各素材が印字、消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。最近になって、プリペイドカード、ストアドカードといった付加価値の高い可逆性感熱記録材料が用いられることが多くなり、それに伴い、耐熱性、耐水性、さらには接着性といった高耐久品が要求されるようになってきている。このような要求に対しては、硬化性樹脂は特に好ましい。
【0059】
硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等の水酸基、カルボキシル基が架橋剤と反応し、硬化するものが挙げられる。この際の架橋剤としては、例えば、イソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ類等が挙げられる。
【0060】
電子線及び紫外線硬化樹脂に用いられるモノマーとしては、アクリル系に代表される単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられるが、特に紫外線架橋の際には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
【0061】
各層を積層する場合は、塗布する段階での最上層が次に塗る層の溶媒になるべく溶けないことが好ましい。その為には、硬化性樹脂を用いた場合は、十分に硬化した後に次の層を重ねることが好ましい。特に、塗布する段階での最上層がロイコ染料を含有する層で耐溶媒性の無い場合は、ロイコ染料が次の層にマイグレーションすることを防ぐ層(中間層)を設けることがより好ましい。その場合、中間層は透明なほど好ましい。
【0062】
可逆性感熱記録材料の老化を防止する目的で、ゴム製品等にも用いられている老化防止剤を添加することもできる。また、老化防止剤を可逆性感熱記録層の上層又は下層に含有させることもできる。光熱変換色素の紫外線による劣化を防止する目的で、光熱変換色素を含有する層または光熱変換色素を含有する層の上層に、老化防止剤を含有させることもできる。
【0063】
老化防止剤としては、p,p′−ジアミノジフェニルメタン、アルドール−α−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のフェノール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン化合物、安息香酸エステル類等が挙げられる。その他、o−フェニレンチオ尿素、2−アミノベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルチオカルバミン酸ニッケル、酸化亜鉛、パラフィン等が挙げられる。また、これらの老化防止剤構造を有するモノマーを重合の一成分として含むポリマーや、ポリマー主鎖に老化防止剤構造をグラフト化したものも用いることができる。2種類以上の老化防止剤を組み合わせて用いることもできる。
【0064】
また、可逆性感熱記録層の発色感度及び消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させることができる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等のワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体等を併用して添加することができる。
【0065】
本発明の多色可逆性感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるし、更に、透明、半透明或いは不透明のいずれであってもよい。また、これらに限定されるものでもない。
【0066】
本発明の多色可逆性感熱記録材料の層構成は、可逆性感熱記録層と支持体の間に中間層を設けることもできる。この場合、保護層や中間層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。更に可逆性感熱記録層中、他の層、可逆性感熱記録層が設けられている面や反対側の面等に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料を含んでもよい。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0067】
また、可逆性感熱記録層、保護層、中間層には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、界面活性剤、蛍光染料等を含有させることもできる。
【0068】
【実施例】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は質量基準である。
【0069】
実施例1
[多色可逆性感熱記録材料の作製]
赤発色ロイコ染料(山田化学(株)製、RED500)20部、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製、バーノックD−293−70)50部、硬化剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)50部、メチルエチルケトン300部、トルエン300部に光熱変換色素(日本触媒(株)製 、TX−EX−814)0.5部をそれぞれ添加し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間粉砕し分散液を得た。上記の分散液をポリエチレンテレフタレート(250μm白色PET)シートに固形分7g/m2となる様に塗工し、乾燥して可逆性感熱記録層(A層)を設けた。次に、A層の赤発色ロイコ染料を青発色ロイコ染料(山本化成(株)製、BLUE−63)に変更し、光熱変換色素を0.5部から1.5部へ変更した以外は同様に分散液を作り、23μm透明PETに固形分7g/m2となる様に塗工し、乾燥して可逆性感熱記録層(B層)を設けた。更に、B層の上に紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾールを含有する保護層を設けた。保護層と反対側の透明ペット面に粘着性樹脂を塗布し、A層と接着して実施例1の多色可逆性感熱記録材料を得た。
【0070】
[印字消去試験1]
得られた多色可逆性感熱記録材料に発振波長830nm、出力1W、連続波の半導体レーザーを用いて、スポット径50μmで、レーザー光の走査速度を赤と青の両方発色する照射条件でレーザー光を照射して、混色画像を形成した。次に走査速度を上げて赤色のみ消色する走査速度に設定した条件でレーザー光を照射して、混色画像の一部の赤色のみを消去し、青色画像を得た。次に、走査速度更に上げた条件でレーザー光を照射して、混色画像の一部の青色のみを消去し、赤色画像を得た。次に青色画像の一部に走査速度を更に上げた条件でレーザー光を照射して、青色を消色して消色部を得た。それぞれの色を目視及び光学顕微鏡により観察した。同様の操作によって発色と消色の繰り返しを100回まで行った。
【0071】
実施例2
赤発色ロイコ染料(山田化学(株)製、RED500)20部、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製、バーノックD−293−70)50部、硬化剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)50部、メチルエチルケトン300部、トルエン300部に光熱変換色素(日本触媒(株)製 、TX−EX−814)1.0部をそれぞれ添加し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間粉砕し分散液を得た。上記の分散液をポリエチレンテレフタレート(250μm白色PET)シートに固形分3.5g/m2となる様に塗工し、乾燥して可逆性感熱記録層(C1層)を設けた。C1層の光熱変換色素を1.0部から0部に変更した以外は同様にして分散液を作り、C1層の上に固形分3.5g/m2となる様に塗工し、乾燥して可逆性感熱記録層(C2層)を設けた。次に、熱分離層としてポリウレタン層を5g/m2設けた。次に、C1層の赤発色ロイコ染料を青発色ロイコ染料(山本化成(株)製、BLUE−63)に変更し、光熱変換色素を1.0部から0部へ変更した以外は同様に分散液を作り、熱分離層の上に固形分3.5g/m2となる様に塗工し、乾燥して可逆性感熱記録層(D1層)を設けた。次にD1層の光熱変換色素を0部から3部に変更した以外は同様にして分散液を作り、D1層の上に更に、固形分3.5g/m2となる様に塗工し、乾燥して可逆性感熱記録層(D2層)を設けた。更に、D2層の上に紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾールを含有する保護層を設けて、実施例2の多色可逆性感熱記録材料を得た。
【0072】
実施例2で得た多色可逆性感熱記録材料を実施例1と同様にして印字消去試験を行った。
【0073】
実施例3
実施例1のB層の光熱変換色素を1.5部から5.5部に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3の多色可逆性感熱記録材料を得た。
【0074】
実施例3で得た多色可逆性感熱記録材料を実施例1と同様にして印字消去試験を行った。
【0075】
比較例1
実施例1のA層の光熱変換色素を0.5部から1.0部に変更し、B層の光熱変換色素を1.5部から1.0部に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1の多色可逆性感熱記録材料を得た。
【0076】
比較例1で得た多色可逆性感熱記録材料を実施例1と同様にして印字消去試験を行った。
【0077】
比較例2
実施例1のA層の光熱変換色素を除き、可逆性顕色剤をN−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカノ]−N′−デカノヒドラジドに変更し、固形分を7g/m2となる様に塗工した以外は、実施例1のA層と同様に可逆性感熱記録層(E層)を設けた。次にE層の上に、熱分離層として、ポリウレタン層を10g/m2設けた。次に実施例1のB層の光熱変換色素を除いた以外はB層と同じ液を固形分7g/m2となる様に塗工し、可逆性感熱記録層(F層)を設けた。更に、F層の上に紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾールを含有する保護層を設けて、比較例2の多色可逆性感熱記録材料を得た。
【0078】
[サーマルヘッド及び熱スタンプを用いた印字消去試験]
比較例2の多色可逆感熱記録材料を九州松下電気(株)製CARD READER WRITER KUR−3071を用いて、消去バーを130℃で駆動しながら印字エネルギーを0.826mJ/dots相当で印字したところ赤色画像のみ得られた。一方、消去バーを駆動せずに、印字エネルギー0.626mJ/dots相当で印字したところ青色画像のみが得られた。これらの画像の一部をそれぞれ熱スタンプを用いて150℃で1秒間加熱して赤色、青色をそれぞれ消色して消去部を得た。赤色部と青色部のそれぞれの消色部とのコントラストを実施例1と同様に目視と顕微鏡により観察した。
【0079】
実施例1〜3は、100回の繰り返し印字消去した後においても、色分離良く明瞭なコントラストが得られ、実施例1と2は表面の傷も全く無かった。実施例3は90回目まで傷は無く、100回目で一部傷が見られた。しかし、比較例1では、混色画像は得られたが、青色と赤色を良好に分離するレーザー光の走査速度条件が無く、赤色画像と青色画像は得られなかった。比較例2は色分離良く良好なコントラストが得られたが繰り返しによる濃度低下と表面に傷が見られた。実施例1〜3及び比較例1及び2で得られた画像を40℃90%の条件下で24時間保存したところ、何れの多色可逆性感熱記録材料においても濃度低下が見られなかった。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば2色以上の色で明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能で、更に多数回に渡り安定的に繰り返し形成消去可能な多色可逆性感熱記録材料及び画像記録方法を提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる多色可逆性感熱記録材料の一様態を表す。
【図2】 本発明に係わる多色可逆性感熱記録材料の一様態を現す。
Claims (4)
- 少なくとも通常無色または淡色のロイコ染料、光熱変換色素、および加熱により該ロイコ染料を発色させこれを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層で、発色色相の異なる層を少なくとも2層以上積層してなる多色可逆性感熱記録材料において、光熱変換色素が全ての層で同一であり、かつ発色色相の異なる可逆性感熱記録層毎に光熱変換色素の単位面積当たりの含有量が異なることを特徴とする多色可逆性感熱記録材料。
- 光熱変換色素の単位面積あたりの含有量が最も少ない可逆性感熱記録層における該含有量に対して、光熱変換色素の含有量が最も多い可逆感熱記録層における該含有量が150%以上1000%以下であることを特徴とする請求項1記載の多色可逆性感熱記録材料。
- 可逆性感熱記録層に含有される光熱変換色素に濃度勾配が存在し、隣接する発色色調の異なる可逆性感熱記録層に近いほど光熱変換色素の単位面積あたりの含有量が少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の多色可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜3の何れかに記載の多色可逆性感熱記録材料を用い、レーザー光を照射する事により発色・消色して画像を形成する画像記録方法であって、発色色調の異なる可逆性感熱記録層毎にレーザー光のエネルギーを変えることを特徴とする画像記録法法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002078059A JP3722770B2 (ja) | 2002-03-20 | 2002-03-20 | 多色可逆性感熱記録材料及び画像記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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